JP3734159B2 - トロイダル型無段変速機のための予圧付与治具及びこの治具を用いた組立方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用の変速機などに利用可能なトロイダル型無段変速機に係わり、特に、トロイダル型無段変速機のアンギュラ軸受に予圧を付与するための予圧付与治具及びこの治具を用いたトロイダル型無段変速機の組立方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図3には、自動車用変速機として利用可能な従来のトロイダル型無段変速機の一例が示されている。このトロイダル型無段変速機は、いわゆるダブルキャビティ型の高トルク用トロイダル型無段変速機であり、2つの入力側ディスク2A,2Bと2つの出力側ディスク3A,3Bとが、入力軸1の外周に取り付けられて成る。また、入力軸1の中間部の外周には出力歯車4が回転自在に支持されている。この出力歯車4の中心部に設けられた円筒状のフランジ部4a,4aには、出力側ディスク3A,3Bがスプライン係合によって連結されている。
【0003】
なお、入力軸1は、フロント側(図中左側)に位置する入力側ディスク2Aとカム板7との間に設けられたローディングカム式の押圧装置12を介して、駆動軸22により回転駆動されるようになっている。また、出力歯車4は、2つの部材の結合によって構成された中間壁(仕切壁)13を介して図示しないハウジングケース内に支持されており、これにより、軸線Oを中心に回転できる一方で、軸線O方向の変位が阻止されている。
【0004】
出力側ディスク3A,3Bは、入力軸1との間に介在されたニードル軸受5,5によって、入力軸1の軸線Oを中心に回転自在に支持されている。また、入力側ディスク2A,2Bは、入力軸1と共に回転するように、その入力軸1の両端部にボールスプライン6,6を介して支持されている。また、入力側ディスク2A,2Bの内面(凹面)2a,2aと出力ディスク3A,3Bの内面(凹面)3a,3aとの間には、パワーローラ11が回転自在に挟持されている。
【0005】
リア側(図中右側)に位置する入力側ディスク2Bとローディングナット9との間には皿ばね10およびシム29が設けられている。皿ばね10は、ローディングナット9およびシム29とともに、各ディスク2A,2B,3A,3Bの凹面2a,2a,3a,3aとパワーローラ11,11の周面11a,11aとの当接部に押圧力を付与する予圧付与装置を構成する。
【0006】
したがって、上記構成の無段変速機では、駆動軸22から入力軸1に回転力が入力されると、入力軸1と一体で入力側ディスク2A,2Bが回転し、その回転がパワーローラ11,11によって出力側ディスク3A,3Bに一定の変速比で伝達される。また、出力側ディスク3A,3Bの回転は、出力歯車4から伝達歯車15などを介して、図示しない出力軸に伝達される。
【0007】
このようなトロイダル型無段変速機における動力伝達は、パワーローラ11と入出力側ディスク2A,2B,3A,3Bとの間の油を高圧で押し付けてトラクション力を発生させることにより行なわれる。そして、このように高圧で押し付けてトラクション力を発生し動力を伝達させるための機構が前述したローディングカム式の押圧装置12である。このローディングカム機構は、入力トルクに比例した押し付け力を発生させる機構であり、動力を伝えるために有効な機構である。
【0008】
しかしながら、動力を伝えるためにはある一定以上の押し付け力を発生させる必要がある。したがって、入力トルクが小さい場合には、ローディングカム機構のみでは必要な押し付け力を得ることができず、動力を伝えることができない。そのため、トルクが僅かな場合でも動力を伝えることができるように、前述した予圧付与装置を用いている。
【0009】
予圧付与装置は、前述したように、皿ばね10とシム29とローディングナット9とによって構成され、リア側の入力側ディスク2Bの背面に設置されている。この場合、皿ばね10をローディングナット9により締め付け、シム29で皿ばね10の隙間を調整することにより、必要な予圧を発生させている。このように予圧を付与することにより、低入力トルク時の面圧を確保し、動力の伝達を可能としている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
トロイダル型無段変速機が前述したように動力を伝達するためには、入力側ディスク2A,2Bと、パワーローラ11と、出力側ディスク3A,3Bとの接触点位置が正確に出ている必要がある。そのため、中間壁13をハウジングケースに取付ける前に、中間壁13(出力歯車4のフランジ部4a,4a)に出力側ディスク3A,3Bを取付けた時、中間壁13の基準位置から出力側ディスク3A,3Bのトラクション面位置が規定の数値となっているか測定しておく必要がある。
【0011】
また、中間壁13の出力歯車4を回転支持するための軸受として、図1に示されるようなアンギュラ軸受30を使用する場合には、アンギュラ軸受30の予圧調整を正確に行なう必要がある。なぜなら、予圧調整を正確に行なわなければ、予圧不足によるアンギュラ軸受30の寿命の低下や予圧過大による起動トルクの増大を引き起こしてしまうからである。また、起動トルクが増大すると、トロイダル無段変速機全体の効率が低下する虞もある。
【0012】
しかしながら、中間壁13に取付けられたアンギュラ軸受30が図1に示されるように背面合わせとなっている場合、中間壁13にアンギュラ軸受30を組み込んだだけでは、アンギュラ軸受30に予圧が付与される状態とはならない。予圧が付与されていない状態でのアンギュラ軸受30のスラスト方向の歪み量は、実際に中間壁13をハウジングケースに組み付けて負荷を与えた場合のそれと大きく異なる。そのため、中間壁13をハウジングケースに組み付ける前にアンギュラ軸受30に予圧を付与しないで出力側ディスク3A,3Bのトラクション面位置を測定すると、その測定値は、実際に中間壁13をハウジングケースに組み付けた場合におけるトラクション面位置と異なる結果となる。
【0013】
したがって、アンギュラ軸受30に予圧を付与しないで測定した出力側ディスク3A,3Bのトラクション面位置に基づいて、出力側ディスク3A,3Bおよび中間壁13をハウジングケースに組み付けると、高い組み付け精度を確保できず、その結果、接触面の面圧不足によって滑りが発生したり、面圧過大によって寿命が低下する虞がある。
【0014】
本発明は、前記事情に着目してなされたものであり、出力側ディスクのトラクション面位置を測定する際に、アンギュラ軸受に予圧を付与するトロイダル型無段変速機のための予圧付与治具、および、この治具を用いてトロイダル型無段変速機を精度良く組み立てるための組立方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、請求項1に記載された発明は、回転力が入力される入力軸と、前記入力軸に結合されて入力軸と一体で回転する一対の入力側ディスクと、前記入力側ディスクの回転力がパワーローラを介して伝達される一対の出力側ディスクと、前記入力軸の外周に回転自在に支持されるとともに前記出力側ディスクに連結され、出力側ディスクの回転力を出力軸に伝達する出力歯車とを備え、ハウジングケースに組み付けられる中間壁に背面合わせで組み込まれた一対のアンギュラ軸受によって前記出力歯車が回転可能に支持されて成るトロイダル型無段変速機の前記アンギュラ軸受に予圧を付与するための予圧付与治具において、一方側の前記出力側ディスクの端部に当接される頭部と、前記入力軸が挿通される両出力側ディスクおよび前記出力歯車の貫通孔に挿通される軸部とから成るボルト部材と、前記ボルト部材の前記軸部の端部に螺合され、他方側の前記出力側ディスクの端部に当接されるナット部材とを備え、前記ボルト部材の前記軸部を両出力側ディスクおよび出力歯車の貫通孔に挿通するとともに、前記軸部の端部に前記ナット部材を螺合して、前記ナット部材と前記ボルト部材の前記頭部との間で両出力側ディスクを両側から挟み込むように締め付けることにより、出力側ディスクと接触するアンギュラ軸受に予圧を付与することを特徴とする。
【0016】
この請求項1に記載された発明においては、アンギュラ軸受に対して簡単に予圧を付与することができるとともに、予圧付与治具で出力側ディスクを固定したまま、出力側ディスクおよび中間壁をハウジングケースに組み付けることができ、更に、ナット部材を取り外し、ボルト状部材を入力軸の挿入時の案内に用いることにより、ケージおよびローラが入力軸と干渉することなくスムーズに入力軸を挿入できる。すなわち、精度の高い組立を簡単に実現することができる。
【0017】
また、請求項2に記載された発明は、回転力が入力される入力軸と、前記入力軸に結合されて入力軸と一体で回転する一対の入力側ディスクと、パワーローラと接触するトラクション面を有し且つ前記入力側ディスクの回転力が前記パワーローラを介して伝達される一対の出力側ディスクと、前記入力軸の外周に回転自在に支持されるとともに前記出力側ディスクの回転力を出力軸に伝達する出力歯車とを備えたトロイダル型無段変速機の組立方法において、一対のアンギュラ軸受を背面合わせで中間壁に組み込み、前記出力歯車のフランジ部を各アンギュラ軸受の内輪部に回転可能に支持するとともに、出力歯車の前記フランジ部に各出力側ディスクを装着して、各出力側ディスクの背面をこれに対向するアンギュラ軸受の内輪に接触させ、予圧付与治具のボルト部材の軸部を両出力側ディスクおよび出力歯車の貫通孔に挿通するとともに、軸部の端部にナット部材を螺合して、ナット部材とボルト部材の頭部との間で両出力側ディスクを両側から挟み込むように締め付け、これによって、アンギュラ軸受に予圧を付与し、予圧を付与した状態で、中間壁の基準位置からの出力側ディスクのトラクション面位置を測定し、測定した出力側ディスクのトラクション面位置に基づいて、出力側ディスクおよび中間壁をハウジングケースに組み付けることを特徴とする。
【0018】
この請求項2に記載された発明においては、中間壁をハウジングケースに組み付ける前に、アンギュラ軸受に予圧を付与して、出力側ディスクのトラクション面位置を正確に測定できる(また、アンギュラ軸受の起動トルクを正確に測定することができる)ため、出力側ディスクおよび中間壁をハウジングケースに高い精度で組み付けることができ、その結果、接触面の面圧不足によって滑りが発生したり、面圧過大によって寿命が低下する虞がなくなる。
【0019】
また、請求項3に記載された発明は、請求項2に記載された発明において、前記予圧付与治具で前記出力側ディスクを締め付け固定したまま、前記中間壁を前記ハウジングケースに組み込み、組み付けが完了した後、前記ボルト部材および前記ナット部材を取り外し、これらに代えて、両出力側ディスクおよび出力歯車の貫通孔に前記入力軸を挿通することを特徴とする。
【0020】
この請求項3に記載された発明においては、予圧付与治具を固定したままハウジングケースに組み付けられるため、組み付けが容易である。
【0021】
また、請求項4に記載された発明は、請求項3に記載された発明において、前記ボルト部材の案内によって、前記入力軸を両出力側ディスクおよび出力歯車の貫通孔に挿通することを特徴とする。
【0022】
この請求項4に記載された発明においては、出力側ディスク等の貫通孔に装着されたケージおよびローラ(あるいは、軸受等)が入力軸と干渉することなく、両出力側ディスクおよび出力歯車の貫通孔にスムーズに入力軸を挿通できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。なお、本発明の特徴は、出力側ディスクのトラクション面位置を測定する際に、アンギュラ軸受に予圧を付与する点にあり、その他の構成および作用は前述した従来の構成および作用と同様であるため、以下においては、本発明の特徴部分についてのみ言及し、それ以外の部分については、図3と同一の符号を付してその説明を省略することにする。
【0024】
図1は、中間壁13をハウジングケース(図示せず)に組み付ける前の状態であって、中間壁13の出力歯車4のフランジ部4a,4aに出力側ディスク3A,3Bを取付けたまま、本発明の一実施形態に係る予圧付与治具40を用いてアンギュラ軸受30に予圧を付与した状態を示している。アンギュラ軸受30は中間壁13に背面合わせで取付けられており、中間壁13にアンギュラ軸受30を組み込んだだけでは、アンギュラ軸受30に予圧が付与されないため、本実施形態では、予圧付与治具40を用いてアンギュラ軸受30に予圧を付与している。
【0025】
図示のように、予圧付与治具40は、ボルト部材40Aと、ナット部材40Bとから成る。ボルト部材40Aは、一方側の出力側ディスク3Aのトラクション面(凹状の内面)側の端部に当接される頭部42と、後に入力軸1が挿通される両出力側ディスク3A,3Bおよび出力歯車4の貫通孔に挿通される軸部44とから成る。また、ナット部材40Bは、軸部44の端部に螺合されて、他方側の出力側ディスク3Bのトラクション面(凹状の内面)側の端部に当接される。なお、図中、80は、予圧付与時に出力側ディスク3A,3Bに傷が付くことを防止する間座であり、82は調整シムである。調整シム82の厚さを変えることにより、予圧の調整および出力側ディスク3A,3Bの高さ調整を行なう。
【0026】
次に、上記構成の予圧付与治具40を用いてアンギュラ軸受30に予圧を付与しながら、出力側ディスク3A,3Bとともに中間壁13をハウジングケースに精度良く組み付ける方法について説明する。
【0027】
まず、図示のように、出力歯車4を各アンギュラ軸受30の内輪部30aに回転可能に支持し、出力歯車4のフランジ部4a,4aに各出力側ディスク3A,3Bを装着するとともに、各出力側ディスク3A,3Bの背面(トラクション面と反対側の面)をこれと対向するアンギュラ軸受30の内輪に接触させる。
【0028】
続いて、予圧付与治具40のボルト部材40Aの軸部44を両出力側ディスク3A,3Bおよび出力歯車4の貫通孔60,62に挿通するとともに、軸部44の端部にナット部材40Bを螺合して、ナット部材40Bとボルト部材40Aの頭部との間で出力側ディスク3A,3Bを両側から挟み込むように締め付ける。これにより、出力側ディスク3A,3Bの背面と接触しているアンギュラ軸受30の内輪が出力歯車4の方に押し付けられ、アンギュラ軸受30に予圧が付与される。この場合、ボルト部材40Aに対するナット部材40Bの捩じ込み量を調整することにより、アンギュラ軸受30に規定の予圧を付与し、そのときの起動トルクを調整することで適正な起動トルクを得る。
【0029】
次に、この予圧付与状態で、中間壁13の基準位置からの出力側ディスク3A,3Bのトラクション面位置を測定する。このように、中間壁13をハウジングケースに組み付ける前に、アンギュラ軸受30に予圧を付与して、出力側ディスク3A,3Bのトラクション面位置を測定すると、その測定値は、実際に中間壁13をハウジングケース(図示せず)に組み付けた場合におけるトラクション面位置と略一致する。したがって、この測定した出力側ディスク3A,3Bのトラクション面位置に基づいて、出力側ディスク3A,3Bおよび中間壁13をハウジングケースに組み付けると、高い組み付け精度を確保でき、その結果、接触面の面圧不足によって滑りが発生したり、面圧過大によって寿命が低下する虞がなくなる。
【0030】
なお、出力側ディスク3A,3Bおよび中間壁13をハウジングケースに組み付ける場合には、予圧付与治具40で出力側ディスク3A,3Bを固定したまま、中間壁13をハウジングケース(図示せず)に組み込む。そして、組み付けが完了した後、ボルト部材40Aおよびナット部材40Bを取り外し、これらに代えて、両出力側ディスク3A,3Bおよび出力歯車4の貫通孔に入力軸1を挿通する。この場合、ボルト部材40Aの案内によって入力軸1を挿通すれば、ケージおよびローラ(あるいは、軸受け5等)が入力軸1と干渉することなく、スムーズに入力軸1を挿通できる。
【0031】
以上のように、本実施形態では、予圧付与治具40のボルト部材40Aの軸部44を両出力側ディスク3A,3Bおよび出力歯車4の貫通孔60,62に挿通するとともに、軸部44の端部にナット部材40Bを螺合して、ナット部材40Bとボルト部材40Aの頭部42との間で両出力側ディスク3A,3Bを両側から挟み込むように締め付け、これによって、アンギュラ軸受30に予圧を付与している。しかも、予圧を付与した状態で、中間壁13の基準位置からの出力側ディスク3A,3Bのトラクション面位置を測定し、測定した出力側ディスク3A,3Bのトラクション面位置に基づいて、出力側ディスク3A,3Bおよび中間壁13をハウジングケースに組み付けるようにしている。
【0032】
このように、中間壁13に出力側ディスク3A,3Bを組み付けた状態で予圧付与治具40を用いて予圧を付与して出力ディスク3A,3Bのトラクション面位置を測定することは、実際に中間壁13をハウジングケースに組み付けて負荷を与えた場合と同様な組み付け状態でトラクション面位置を測定していることと同等となる。そのため、測定時において正確にトラクション面接触点位置を調整することができる。したがって、トラクション面位置の測定後に出力側ディスク3A,3Bおよび中間壁13をハウジングケースに組み付けてトロイダル型無段変速機を構成した際にも、トラクション面における接触点位置は規定の寸法を満たすことができるため、接触面の面圧が不足して滑りを発生したり、接触面の面圧が過大となって寿命が低下したり等といった不具合の発生を防止することができる。また、トラクション面位置だけでなくアンギュラ軸受の起動トルクも同様にして調整することができるため、予圧不足によるアンギュラ軸受の寿命の低下や予圧過大による起動トルクの増大を防ぐことができる。そして、以上のような不具合を防ぐことができることにより、トロイダル無段変速機の信頼性を向上することができる。
【0033】
また、本実施形態では、予圧付与治具40で出力側ディスク3A,3Bを締め付け固定したまま、中間壁13をハウジングケースに組み込み、組み付けが完了した後、ボルト部材40Aおよびナット部材40Bを取り外し、これらに代えて、両出力側ディスク3A,3Bおよび出力歯車4の貫通孔60,62に入力軸1を挿通するようにしている。つまり、予圧付与治具40を固定したままハウジングケースに組み付けられるため、組み付けが容易である。
【0034】
また、本実施形態では、ボルト部材40Aの案内によって、入力軸1を両出力側ディスク3A,3Bおよび出力歯車4の貫通孔60,62に挿通するようにしている。したがって、出力側ディスク3A,3B等の貫通孔に装着されたケージおよびローラ(あるいは、軸受け5等)が入力軸1と干渉することなく、両出力側ディスク3A,3Bおよび出力歯車4の貫通孔60,62にスムーズに入力軸1を挿通できる。
【0035】
また、以上説明した画期的な組立方法は、ボルト・ナット構造を成す予圧付与治具40の特徴的な構成によって初めて実現することができる。すなわち、本実施形態の予圧付与治具40は、一方側の出力側ディスク3Aの端部に当接される頭部42と、入力軸1が挿通される両出力側ディスク3A,3Bおよび出力歯車4の貫通孔60,62に挿通される軸部44とから成るボルト部材40Aと、ボルト部材40Aの軸部44の端部に螺合され、他方側の出力側ディスク3Bの端部に当接されるナット部材40Bとを備え、ボルト部材40Aの軸部44を両出力側ディスク3A,3Bおよび出力歯車4の貫通孔60,62に挿通するとともに、軸部44の端部にナット部材40Bを螺合して、ナット部材40Bとボルト部材40Aの頭部42との間で両出力側ディスク3A,3Bを両側から挟み込むように締め付けることにより、出力側ディスク3A,3Bと接触するアンギュラ軸受30に予圧を付与することを特徴としている。
【0036】
予圧付与装置40のこのような構成によれば、アンギュラ軸受30に対して簡単に予圧を付与することができるとともに、予圧付与治具40で出力側ディスク3A,3Bを固定したまま、出力側ディスク3A,3Bおよび中間壁13をハウジングケースに組み付けることができ、更に、ナット部材を取り外し、ボルト状部材を入力軸の挿入時の案内に用いることにより、ケージおよびローラが入力軸と干渉することなくスムーズに入力軸を挿入できる。すなわち、精度の高い組立を簡単に実現することができる。
【0037】
なお、図2は、出力側ディスク3A,3Bと出力歯車4とが爪嵌合によって連結された構成に本発明を適用した形態を示している。出力側ディスク3A,3Bと出力歯車4との結合が爪部70,72同士の嵌合によって成されている場合には、出力歯車4で発生するモーメントをアンギュラ軸受30で支えなければならないため、図2に示されるようにアンギュラ軸受30が背面合わせで中間壁13に組込まれるのが一般的である。そのため、図2に示されるように予圧付与治具40を用いてアンギュラ軸受30に予圧を与える方法は有効な手段となる。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載された発明によれば、アンギュラ軸受に対して簡単に予圧を付与することができるとともに、予圧付与治具で出力側ディスクを固定したまま、出力側ディスクおよび中間壁をハウジングケースに組み付けることができ、更に、ナット部材を取り外し、ボルト状部材を入力軸の挿入時の案内に用いることにより、ケージおよびローラが入力軸と干渉することなくスムーズに入力軸を挿入できる。すなわち、精度の高い組立を簡単に実現することができる。
【0039】
請求項2に記載された発明によれば、中間壁をハウジングケースに組み付ける前に、アンギュラ軸受に予圧を付与して、出力側ディスクのトラクション面位置を正確に測定できる(また、アンギュラ軸受の起動トルクを正確に測定することができる)ため、出力側ディスクおよび中間壁をハウジングケースに高い精度で組み付けることができ、その結果、接触面の面圧不足によって滑りが発生したり、面圧過大によって寿命が低下する虞がなくなる。
【0040】
請求項3に記載された発明によれば、請求項2と同様の作用効果が得られるとともに、予圧付与治具を固定したままハウジングケースに組み付けられるため、組み付けが容易である。
【0041】
請求項4に記載された発明によれば、請求項3と同様の作用効果が得られるとともに、出力側ディスク等の貫通孔に装着されたケージおよびローラ(あるいは、軸受等)が入力軸と干渉することなく、両出力側ディスクおよび出力歯車の貫通孔にスムーズに入力軸を挿通できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の要部断面図である。
【図2】図1の変形例に係る要部断面図である。
【図3】従来のトロイダル型無段変速機の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 入力軸
2A,2B 入力側ディスク
3A,3B 出力側ディスク
4 出力歯車
5 ニードル軸受
6 ボールスプライン
11 パワーローラ
30 アンギュラ軸受
40 予圧付与治具
40A ボルト部材
40B ナット部材
42 頭部
44 軸部
60,62 貫通孔
Claims (4)
- 回転力が入力される入力軸と、前記入力軸に結合されて入力軸と一体で回転する一対の入力側ディスクと、前記入力側ディスクの回転力がパワーローラを介して伝達される一対の出力側ディスクと、前記入力軸の外周に回転自在に支持されるとともに前記出力側ディスクに連結され、出力側ディスクの回転力を出力軸に伝達する出力歯車とを備え、ハウジングケースに組み付けられる中間壁に背面合わせで組み込まれた一対のアンギュラ軸受によって前記出力歯車が回転可能に支持されて成るトロイダル型無段変速機の前記アンギュラ軸受に予圧を付与するための予圧付与治具において、
一方側の前記出力側ディスクの端部に当接される頭部と、前記入力軸が挿通される両出力側ディスクおよび前記出力歯車の貫通孔に挿通される軸部とから成るボルト部材と、
前記ボルト部材の前記軸部の端部に螺合され、他方側の前記出力側ディスクの端部に当接されるナット部材と、
を備え、
前記ボルト部材の前記軸部を両出力側ディスクおよび出力歯車の貫通孔に挿通するとともに、前記軸部の端部に前記ナット部材を螺合して、前記ナット部材と前記ボルト部材の前記頭部との間で両出力側ディスクを両側から挟み込むように締め付けることにより、出力側ディスクと接触するアンギュラ軸受に予圧を付与することを特徴とする予圧付与治具。 - 回転力が入力される入力軸と、前記入力軸に結合されて入力軸と一体で回転する一対の入力側ディスクと、パワーローラと接触するトラクション面を有し且つ前記入力側ディスクの回転力が前記パワーローラを介して伝達される一対の出力側ディスクと、前記入力軸の外周に回転自在に支持されるとともに前記出力側ディスクの回転力を出力軸に伝達する出力歯車とを備えたトロイダル型無段変速機の組立方法において、
一対のアンギュラ軸受を背面合わせで中間壁に組み込み、
前記出力歯車のフランジ部を各アンギュラ軸受の内輪部に回転可能に支持するとともに、出力歯車の前記フランジ部に各出力側ディスクを装着して、各出力側ディスクの背面をこれに対向するアンギュラ軸受の内輪に接触させ、
予圧付与治具のボルト部材の軸部を両出力側ディスクおよび出力歯車の貫通孔に挿通するとともに、軸部の端部にナット部材を螺合して、ナット部材とボルト部材の頭部との間で両出力側ディスクを両側から挟み込むように締め付け、これによって、アンギュラ軸受に予圧を付与し、
予圧を付与した状態で、中間壁の基準位置からの出力側ディスクのトラクション面位置を測定し、
測定した出力側ディスクのトラクション面位置に基づいて、出力側ディスクおよび中間壁をハウジングケースに組み付けることを特徴とするトロイダル型無段変速機の組立方法。 - 前記予圧付与治具で前記出力側ディスクを締め付け固定したまま、前記中間壁を前記ハウジングケースに組み込み、組み付けが完了した後、前記ボルト部材および前記ナット部材を取り外し、これらに代えて、両出力側ディスクおよび出力歯車の貫通孔に前記入力軸を挿通することを特徴とする請求項2に記載の組立方法。
- 前記ボルト部材の案内によって、前記入力軸を両出力側ディスクおよび出力歯車の貫通孔に挿通することを特徴とする請求項3に記載の組立方法。
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