JP3760987B2 - トロイダル型無段変速機及びその組み立て方法 - Google Patents
トロイダル型無段変速機及びその組み立て方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用の変速機などに利用可能なトロイダル型無段変速機およびその組み立てに付随する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図4には、自動車用変速機として利用可能な従来のトロイダル型無段変速機が示されている。このトロイダル型無段変速機は、いわゆるダブルキャビティ型の高トルク用トロイダル型無段変速機であり、2つの入力側ディスク2,2と2つの出力側ディスク3,3とが、入力軸1の外周に取り付けられて成る。また、入力軸1の中間部の外周には出力歯車4が回転自在に支持されている。この出力歯車4の中心部に設けられた円筒状のフランジ部4a,4aには、出力側ディスク3,3がスプライン係合によって連結されている。
【0003】
また、入力軸1は、ローディングカム装置12を介して、駆動軸22により回転駆動されるようになっている。具体的には、図中左側に位置する入力側ディスク2と入力軸1との間にローディングカム装置12が設けられており、このローディングカム装置12によって、入力側ディスク2を出力側ディスク3に向け弾性的に押圧しつつ、この入力側ディスク2を回転駆動自在としている。このローディングカム装置12は、入力軸1と共に回転するローディングカム(カム板)12aと、保持器7により転動自在に保持した複数個(例えば4個)のカムローラ12bとから構成されている。ローディングカム12aの片側面(図4の右側面)には、円周方向に亙る凹凸であるカム面113が形成され、入力側ディスク2の外側面(図4の左側面)にも、同様の形状を有するカム面114が形成されている。なお、また、出力歯車4は、2つの部材の結合によって構成された仕切壁13を介してハウジング14内に支持されており、これにより、軸線Oを中心に回転できる一方で、軸線O方向の変位が阻止されている。
【0004】
出力側ディスク3,3は、入力軸1との間に介在されたニードル軸受5,5によって、入力軸1の軸線Oを中心に回転自在に支持されている。また、入力側ディスク2,2は、入力軸1と共に回転するように、その入力軸1の両端部にボールスプライン6,6を介して支持されている。また、図5にも示されるように、入力側ディスク2,2の内面(凹面)2a,2aと出力ディスク3,3の内面(凹面)3a,3aとの間には、パワーローラ11が回転自在に挟持されている。
【0005】
図4中右側に位置する入力側ディスク2は、その背面(図4の右面)が、大きな弾力を有する皿板ばね10を介して、ローディングナット9に突き当てられており、入力軸1に対する軸方向(図4の左右方向)の変位が実質的に阻止されている。入力軸1の端部にはフランジ状の鍔部1aが形成されており、この鍔部1aの片側面には、アンギュラ型の内輪軌道62が形成されている。そして、この内輪軌道62と、ベアリング支持部材(外輪)63の内周面に形成されたアンギュラ型の外輪軌道64との間には、複数個の玉65が介挿されている。すなわち、鍔部1aとベアリング支持部材63と玉65は、スラスト荷重を支承自在なアンギュラ型の玉軸受66を構成している。
【0006】
ベアリング支持部材63の外周面には、円筒面67と鍔部53とが設けられている。そして、ローディングカム12aの径方向中間部に設けられた円筒部56を円筒面67にガタつき無く且つ軸方向に変位可能に外嵌するために、鍔部53とローディングカム12aの中間部外側面との間には、ガタ付き防止用皿板ばね57が介挿されている。
【0007】
また、ベアリング支持部材63の径方向内側部位と入力側ディスク2との間には、スラストニードル軸受55と、予圧ばねである皿板ばね42とが、軸方向に沿って互いに直列に配置されている。皿板ばね42は、皿板ばね10に比べて小さな弾力を有し、各ディスク2,2,3,3の凹面2a,2a,3a,3aとパワーローラ11,11の周面11a,11a(図5参照)との各当接部に予圧を付与する。すなわち、ローディングカム装置12が推力を発生していない場合、あるいは、発生してもそれが小さい場合であっても、前記各当接部の当接圧を確保して、トロイダル型無段変速機により小さなトルクも伝達自在としている。
【0008】
したがって、上記構成の無段変速機では、駆動軸22から入力軸1に回転力が入力されると、入力軸1の回転に伴ってローディングカム12aが回転し、カム面113が複数個のカムローラ12bを入力側ディスク2の外側面に形成したカム面114に押圧する。これにより、入力側ディスク2が複数のパワーローラ11に押圧されると同時に、両カム面113、114と複数のカムローラ12bとの押し付け合いに基づいて、入力側ディスク2が回転する。そして、この入力側ディスク2の回転が、複数のパワーローラ8、8を介して、一定の変速比で、出力側ディスク4に伝達される。また、出力側ディスク3,3の回転は、出力歯車4から伝達歯車15および伝達軸16などを介して、出力軸17に伝達される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このようなトロイダル型無段変速機では、パワーローラ11と入出力ディスク2,3との滑りを防いで無負荷時からの動力伝達を確実に行なうため、初期推力用の皿ばね42が付与する予圧を所定の範囲に設定する必要がある。しかしながら、トロイダル型無段変速機の組立工程で構成部品を順次に組み付けていく段階で、寸法公差の積み重ねにより、ローディングカム12aからベアリング支持部材63までの軸方向の寸法が変動し、その結果、初期推力用皿ばね42が発生する予圧が変動してしまう(所定の範囲から外れてしまう)場合がある。この場合には、パワーローラ11に加わる押圧力が変化して、トルク伝達容量の低下(伝達効率の低下)やパワーローラ11の滑りを招き、変速機としての品質が低下してしまう。
【0010】
また、トロイダル型無段変速機では、変位軸を介してパワーローラ11を支持するトラニオンの回転中心を、出力側ディスク3の内面3aの曲率中心にもってくる必要があるが、ケース加工等の都合上、ここには、若干の誤差が生まれる。この誤差により、変速時にディスク2,3とパワーローラ11とがこじり等の不具合を起こしたり、カムローラ12bが入力側ディスク2とローディングカム12aとの間で遊ぶようになる。カムローラ12bが入力側ディスク2とローディングカム12aとの間で遊ぶようになると、カム面113,114とカムローラ12bがたたかれ、カム面113,114の破損が起こったり、カムローラ12bの乗り上げが起こり、伝達トルクの低下等の不具合が生じる。そのため、入力側ディスク2とベアリング支持部材63との間に隙間を形成することにより、軸方向の動きを許容して、前記不具合を解決することも提案されている(特開2000−35099号参照)が、この場合には、部品点数が多くなり、また、構造も複雑になるため、皿ばね42の予圧、および、入力側ディスク2とベアリング支持部材63との間の隙間を、常時所定の範囲に調整することが難しくなる。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みて為されたもので、寸法公差の積み重ねにより変化する初期推力用皿ばねの予圧の調整と、入力側ディスクとベアリング支持部材との間の隙間の調整を、容易且つ正確に行なうことができるトロイダル型無段変速機およびその方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、請求項1に記載された発明は、回転力が入力される入力軸と、前記入力軸にスプライン結合されて入力軸と一体で回転する一対の第1および第2の入力側ディスクと、前記各入力側ディスクの回転力がパワーローラを介して伝達される一対の出力側ディスクと、前記第1の入力側ディスクと前記入力軸との間に設けられ且つ前記入力軸の回転力を前記第1の入力側ディスクに伝えるローディングカム装置と、前記ローディングカム装置を構成し且つ前記入力軸と共に回転するローディングカムと、前記入力軸と前記ローディングカムとの間に設けられてスラスト荷重を支承自在な玉軸受と、前記ローディングカムと前記入力軸との間に設けられ且つ前記入力軸との間で前記玉軸受の玉を支持するベアリング支持部材と、前記第1の入力側ディスクと前記ベアリング支持部材との間に設けられ且つ前記各ディスクと前記パワーローラとの各当接部に予圧を付与する皿ばねと、前記入力軸の軸方向位置を規定し且つ前記第2の入力側ディスクの軸方向変位を規制するローディングナットとを備えたトロイダル型無段変速機において、前記ローディングナットと前記第2の入力側ディスクとの間には、前記ローディングカムと前記ベアリング支持部材との間の隙間を所定の値に設定するためのシムが介挿され、前記ベアリング支持部材と前記第1の入力側ディスクとの間には、前記ローディングカムと前記ベアリング支持部材との間の隙間を前記所定の値に設定しつつ前記皿ばねの予圧を所定の値に調整する皿ばね調整用シムが介挿されていることを特徴とする。
この請求項1に記載の発明によれば、前記シムおよび前記皿ばね調整用シムにより、ローディングカムとベアリング支持部材との間の隙間を所定の値に設定しつつ、前記皿ばねの予圧を所定の値に調整することができる。
【0013】
また、請求項2に記載された発明は、回転力が入力される入力軸と、前記入力軸にスプライン結合されて入力軸と一体で回転する一対の第1および第2の入力側ディスクと、前記各入力側ディスクの回転力がパワーローラを介して伝達される一対の出力側ディスクと、前記第1の入力側ディスクと前記入力軸との間に設けられ且つ前記入力軸の回転力を前記第1の入力側ディスクに伝えるローディングカム装置と、カムローラと共に前記ローディングカム装置を構成し且つ前記入力軸と共に回転するローディングカムと、前記入力軸と前記ローディングカムとの間に設けられてスラスト荷重を支承自在な玉軸受と、前記ローディングカムと前記入力軸との間に設けられ且つ前記入力軸との間で前記玉軸受の玉を支持するベアリング支持部材と、前記第1の入力側ディスクと前記ベアリング支持部材との間に設けられ且つ前記各ディスクと前記パワーローラとの各当接部に予圧を付与する皿ばねと、前記第1の入力側ディスクと前記ベアリング支持部材との間に前記皿ばねとともに設けられたスラストニードル軸受とを備え、前記ローディングカムと前記ベアリング支持部材との間に所定の隙間Sが形成されたトロイダル型無段変速機における、前記皿ばねの予圧を所定の値に調整する方法において、前記第1の入力側ディスクと対向する前記ベアリング支持部材の第1の端面とこの第1の端面と反対側の第2の端面との間の軸方向距離Bと、前記皿ばねが当接する前記第1の入力側ディスクの当接面とこの当接面と反対側に位置する第1の入力側ディスクの端面との間の軸方向長さCと、前記スラストニードル軸受の軸方向寸法Eをそれぞれ部品単体で測定し、カムローラがローディングカムに形成されたカム面及び第1の入力側ディスクに形成されたカム面のカム底に位置する状態で、前記第1の入力側ディスクと前記ベアリング支持部材と前記ローディングカムとを仮組みし、前記ベアリング支持部材の前記第2の端面と前記第1の入力側ディスクの前記端面との間の軸方向距離Aを測定し、前記寸法A,B,Cから、前記ベアリング支持部材の前記第2の端面と前記第1の入力側ディスクの前記当接面との間の距離Dを計算し、以下の計算式(1)により、前記皿ばねが所定の設定寸法Fとなるように、前記ベアリング支持部材と前記第1の入力側ディスクとの間に設けられる皿ばね調整用シムの板厚Xを選択する
D+S=F+E+X ・・・(1)
ことを特徴とする。
この請求項2に記載された発明によれば、前記皿ばね調整用シムにより、ローディングカムとベアリング支持部材との間の隙間を所定の値Sに設定しつつ、前記皿ばねの予圧を所定の値に調整することができる。
【0014】
また、請求項3に記載された発明は、回転力が入力される入力軸と、前記入力軸にスプライン結合されて入力軸と一体で回転する一対の第1および第2の入力側ディスクと、前記各入力側ディスクの回転力がパワーローラを介して伝達される一対の出力側ディスクと、前記第1の入力側ディスクと前記入力軸との間に設けられ且つ前記入力軸の回転力を前記第1の入力側ディスクに伝えるローディングカム装置と、前記ローディングカム装置を構成し且つ前記入力軸と共に回転するローディングカムと、前記入力軸と前記ローディングカムとの間に設けられてスラスト荷重を支承自在な玉軸受と、前記ローディングカムと前記入力軸との間に設けられ且つ前記入力軸との間で前記玉軸受の玉を支持するベアリング支持部材と、前記第1の入力側ディスクと前記ベアリング支持部材との間に設けられ且つ前記各ディスクと前記パワーローラとの各当接部に予圧を付与する皿ばねと、前記入力軸の軸方向位置を規定し且つ前記第2の入力側ディスクの軸方向変位を規制するローディングナットとを備えたトロイダル型無段変速機における、前記ローディングカムと前記ベアリング支持部材との間の隙間を所定の値Sに設定する方法において、前記ベアリング支持部材と対向する前記ローディングカムの対向面と、前記第1の入力側ディスクと反対側に位置するローディングカムの端面との間の軸方向距離Vと、前記ローディングカムの前記対向面と対向する前記ベアリング支持部材の対向面と、前記第1の入力側ディスクと対向する前記ベアリング支持部材の第1の端面に対して反対側に位置する第2の端面との間の軸方向距離Wとを、部品単体の状態で測定し、カムローラがローディングカムに形成されたカム面及び第1の入力側ディスクに形成されたカム面のカム底に位置し、パワーローラの傾転角が0の状態で、前記入力軸と、前記玉軸受と、前記皿板ばねとを組み付け、前記ベアリング支持部材の第2端面と、前記ローディングカムの前記端面との間の距離Yを測定し、以下の計算式(2)が満たされるように、前記ローディングナットと前記第2の入力側ディスクとの間に設けられるシムの板厚を選択する
Y=V−W−S ・・・(2)
ことを特徴とする。
この請求項3に記載の発明によれば、前記シムにより、ローディングカムとベアリング支持部材との間の隙間を所定の値Sに設定することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明の特徴は、入力側ディスク2および出力側ディスク3の内面2a,3aとパワーローラ11の周面11aとの当接部並びにローディングカム装置12に予圧を付与するための構造を改良した点にあり、その他の構成および作用は前述した従来の構成および作用と同様であるため、以下においては、本発明の特徴部分についてのみ言及し、それ以外の部分については、図4および図5と同一の符号を付してその詳細な説明を省略することにする。
【0016】
図1〜図3は本発明の一実施形態を示している。図1に示されるように、本実施形態に係るダブルキャビティ型の高トルク用トロイダル型無段変速機では、ローディングカム12aとベアリング支持部材63との間の隙間を所定の値S(例えば0.5mm)に設定しつつ(図3参照)、初期推力用皿ばね42の予圧を所定の値(皿ばね42の寸法を所定の値)に調整するために、ベアリング支持部材63の径方向内側部位と入力側ディスク2との間に、スラストニードル軸受55と、予圧ばねである皿板ばね42と、皿ばね調整用シム30とが軸方向に沿って互いに直列に配置されるとともに、ローディングナット9と入力側ディスク2との間にシム32が介挿され、また、以下のような方法によって皿ばね調整用シム30およびシム32の板厚が設定される。
【0017】
まず、初期推力用皿ばね42の予圧を所定の値(皿ばね42の寸法を所定の値)に調整するため、部品単体で寸法B(図2参照)、寸法C(図2参照)、スラストニードル軸受55の幅寸法E(図2参照)を測定する。この場合、寸法Bは、ベアリング支持部材63の軸方向長さ(入力側ディスク2と対向するベアリング支持部材63の第1の端面63aと、第1の端面63aと反対側の第2の端面63bとの間の軸方向距離)であり、寸法Cは、皿ばね42が当接する入力側ディスク2の当接面2cと、この当接面2cと反対側に位置する入力側ディスク2の端面2dとの間の軸方向長さである。
【0018】
次に、図2に示されるように、カムローラ12bがローディングカム12aのカム面113及び入力側ディスク2のカム面114のカム底に位置する状態で、仮組みし、寸法Aを測定する。この場合、寸法Aは、ベアリング支持部材63の第2の端面63bと入力側ディスク2の端面2dとの間の軸方向距離である。なお、図2の仮組み状態では、ベアリング支持部材63とローディングカム12aとの間の隙間は0となっている。
【0019】
続いて、寸法A,B,Cから寸法D(=A−B−C)を計算する。この場合、寸法Dは、ベアリング支持部材63の第1の端面63aと入力側ディスク2の当接面2cとの間の距離に相当する。そして、以下の計算式(1)により、皿ばね42が所定の設定寸法Fとなるように、皿ばね調整用シム30の板厚Xを選択する。
D+S=F+E+X ・・・(1)
【0020】
続いて、ローディングカム12aとベアリング支持部材63との間の隙間を正確に所定の値Sに調整するために、図3に示されるように、カムローラ12bがローディングカム12aのカム面113及び入力側ディスク2のカム面114のカム底に位置し、パワーローラの傾転角が0(変速比=1)の状態で、入力軸1、玉軸受66、スラストニードル軸受55と、予圧ばねである皿板ばね42と、皿ばね調整用シム30を組み付け、寸法Yを測定する。この場合、予め、部品単体の状態で、ローディングカム12の寸法Vおよびベアリング支持部材63の寸法Wを測定しておき、以下の計算式(2)が満たされるように、シム32の板厚を選択する。
Y=V−W−S ・・・(2)
【0021】
ここで、寸法Vは、ベアリング支持部材63と隙間Sをもって対向するローディングカム12aの対向面90と、入力側ディスク2と反対側に位置する(駆動軸22と係合する)ローディングカム12aの端面92との間の軸方向距離であり、寸法Wは、ローディングカム12aの対向面90に隙間Sをもって対向するベアリング支持部材63の対向面63cと、ベアリング支持部材63の第2の端面63bとの間の軸方向距離である。また、寸法Yは、ベアリング支持部材63の第2の端面63bとローディングカム12aの端面92との間の距離に相当する。
【0022】
図1に示されるように、ローディングナット9は入力軸1の端面位置で位置決めされ、入力軸1は玉65の位置を決め、玉65はベアリング支持部材63の位置を決定するため、シム32の板厚を変えることにより、ベアリング支持部材63の位置が決まり、ベアリング支持部材63の対向面63c(端面63a,63b)位置が決まる。そのため、シム32によって、ローディングカム12aとベアリング支持部材63との間の隙間を正確に所定の値Sに調整することができる。
以上のように、本実施形態によれば、寸法公差の積み重ねにより変化する初期推力用皿ばねの予圧の調整と、入力側ディスクとベアリング支持部材との間の隙間の調整を容易且つ正確に行なうことができ、変速機の品質を維持できる。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、前記シムおよび前記皿ばね調整用シムにより、ローディングカムとベアリング支持部材との間の隙間を所定の値に設定しつつ、前記皿ばねの予圧を所定の値に調整することができる。
請求項2に記載された発明によれば、前記皿ばね調整用シムにより、ローディングカムとベアリング支持部材との間の隙間を所定の値に設定しつつ、前記皿ばねの予圧を所定の値に調整することができる。
請求項3に記載の発明によれば、前記シムにより、ローディングカムとベアリング支持部材との間の隙間を所定の値に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るトロイダル無段変速機の断面図である。
【図2】図1のトロイダル無段変速機の仮組み立て状態を示す要部拡大断面図である。
【図3】図1のトロイダル無段変速機の組み立て状態を示す要部拡大断面図である。
【図4】従来のトロイダル無段変速機の断面図である。
【図5】図4における入力側ディスクと出力側ディスクとの間に備わるパワーローラ部分の断面図である。
【符号の説明】
1 入力軸
2 入力側ディスク
3 出力側ディスク
9 ローディングナット
11 パワーローラ
12 ローディングカム装置
12a ローディングカム
30 皿ばね調整用シム
32 シム
42 皿ばね
63 ベアリング支持部材
Claims (3)
- 回転力が入力される入力軸と、前記入力軸にスプライン結合されて入力軸と一体で回転する一対の第1および第2の入力側ディスクと、前記各入力側ディスクの回転力がパワーローラを介して伝達される一対の出力側ディスクと、前記第1の入力側ディスクと前記入力軸との間に設けられ且つ前記入力軸の回転力を前記第1の入力側ディスクに伝えるローディングカム装置と、前記ローディングカム装置を構成し且つ前記入力軸と共に回転するローディングカムと、前記入力軸と前記ローディングカムとの間に設けられてスラスト荷重を支承自在な玉軸受と、前記ローディングカムと前記入力軸との間に設けられ且つ前記入力軸との間で前記玉軸受の玉を支持するベアリング支持部材と、前記第1の入力側ディスクと前記ベアリング支持部材との間に設けられ且つ前記各ディスクと前記パワーローラとの各当接部に予圧を付与する皿ばねと、前記入力軸の軸方向位置を規定し且つ前記第2の入力側ディスクの軸方向変位を規制するローディングナットとを備えたトロイダル型無段変速機において、
前記ローディングナットと前記第2の入力側ディスクとの間には、前記ローディングカムと前記ベアリング支持部材との間の隙間を所定の値に設定するためのシムが介挿され、
前記ベアリング支持部材と前記第1の入力側ディスクとの間には、前記ローディングカムと前記ベアリング支持部材との間の隙間を前記所定の値に設定しつつ前記皿ばねの予圧を所定の値に調整する皿ばね調整用シムが介挿されていることを特徴とするトロイダル型無段変速機。 - 回転力が入力される入力軸と、前記入力軸にスプライン結合されて入力軸と一体で回転する一対の第1および第2の入力側ディスクと、前記各入力側ディスクの回転力がパワーローラを介して伝達される一対の出力側ディスクと、前記第1の入力側ディスクと前記入力軸との間に設けられ且つ前記入力軸の回転力を前記第1の入力側ディスクに伝えるローディングカム装置と、カムローラと共に前記ローディングカム装置を構成し且つ前記入力軸と共に回転するローディングカムと、前記入力軸と前記ローディングカムとの間に設けられてスラスト荷重を支承自在な玉軸受と、前記ローディングカムと前記入力軸との間に設けられ且つ前記入力軸との間で前記玉軸受の玉を支持するベアリング支持部材と、前記第1の入力側ディスクと前記ベアリング支持部材との間に設けられ且つ前記各ディスクと前記パワーローラとの各当接部に予圧を付与する皿ばねと、前記第1の入力側ディスクと前記ベアリング支持部材との間に前記皿ばねとともに設けられたスラストニードル軸受とを備え、前記ローディングカムと前記ベアリング支持部材との間に所定の隙間Sが形成されたトロイダル型無段変速機における、前記皿ばねの予圧を所定の値に調整する方法において、
前記第1の入力側ディスクと対向する前記ベアリング支持部材の第1の端面とこの第1の端面と反対側の第2の端面との間の軸方向距離Bと、前記皿ばねが当接する前記第1の入力側ディスクの当接面とこの当接面と反対側に位置する第1の入力側ディスクの端面との間の軸方向長さCと、前記スラストニードル軸受の軸方向寸法Eをそれぞれ部品単体で測定し、
カムローラがローディングカムに形成されたカム面及び第1の入力側ディスクに形成されたカム面のカム底に位置する状態で、前記第1の入力側ディスクと前記ベアリング支持部材と前記ローディングカムとを仮組みし、前記ベアリング支持部材の前記第2の端面と前記第1の入力側ディスクの前記端面との間の軸方向距離Aを測定し、
前記寸法A,B,Cから、前記ベアリング支持部材の前記第2の端面と前記第1の入力側ディスクの前記当接面との間の距離Dを計算し、以下の計算式(1)により、前記皿ばねが所定の設定寸法Fとなるように、前記ベアリング支持部材と前記第1の入力側ディスクとの間に設けられる皿ばね調整用シムの板厚Xを選択する
D+S=F+E+X ・・・(1)
ことを特徴とする方法。 - 回転力が入力される入力軸と、前記入力軸にスプライン結合されて入力軸と一体で回転する一対の第1および第2の入力側ディスクと、前記各入力側ディスクの回転力がパワーローラを介して伝達される一対の出力側ディスクと、前記第1の入力側ディスクと前記入力軸との間に設けられ且つ前記入力軸の回転力を前記第1の入力側ディスクに伝えるローディングカム装置と、前記ローディングカム装置を構成し且つ前記入力軸と共に回転するローディングカムと、前記入力軸と前記ローディングカムとの間に設けられてスラスト荷重を支承自在な玉軸受と、前記ローディングカムと前記入力軸との間に設けられ且つ前記入力軸との間で前記玉軸受の玉を支持するベアリング支持部材と、前記第1の入力側ディスクと前記ベアリング支持部材との間に設けられ且つ前記各ディスクと前記パワーローラとの各当接部に予圧を付与する皿ばねと、前記入力軸の軸方向位置を規定し且つ前記第2の入力側ディスクの軸方向変位を規制するローディングナットとを備えたトロイダル型無段変速機における、前記ローディングカムと前記ベアリング支持部材との間の隙間を所定の値Sに設定する方法において、
前記ベアリング支持部材と対向する前記ローディングカムの対向面と、前記第1の入力側ディスクと反対側に位置するローディングカムの端面との間の軸方向距離Vと、前記ローディングカムの前記対向面と対向する前記ベアリング支持部材の対向面と、前記第1の入力側ディスクと対向する前記ベアリング支持部材の第1の端面に対して反対側に位置する第2の端面との間の軸方向距離Wとを、部品単体の状態で測定し、
カムローラがローディングカムに形成されたカム面及び第1の入力側ディスクに形成されたカム面のカム底に位置し、パワーローラの傾転角が0の状態で、前記入力軸と、前記玉軸受と、前記皿板ばねとを組み付け、前記ベアリング支持部材の第2端面と、前記ローディングカムの前記端面との間の距離Yを測定し、
以下の計算式(2)が満たされるように、前記ローディングナットと前記第2の入力側ディスクとの間に設けられるシムの板厚を選択する
Y=V−W−S ・・・(2)
ことを特徴とする方法。
Priority Applications (1)
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