JP3733519B2 - 防災システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、火災の発生を検知してこの発生位置を求め放水ノズルにより消火する防災システムに係り、特に火点の算出精度が高く、建物の利用形態により火災の発生を検知する検知器の使用条件が変動する場合の防災システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
図14は例えば、特開平5−277204号公報に示された従来の防災システムのブロック図である。図において、88−1、88−2は天井にマトリックス状に配置された煙検知器、89−1、89−2は炎検知器、81は防火監視制御装置であり、火災発生位置算出装置82と放水銃制御部83から構成される。火災発生位置算出装置82は火災の発生を検知したときに煙検知器88−1、88−2の煙濃度データからその発生位置を算出する。放水銃制御部83は火災発生位置から放水銃87を選択し、その放水銃87のノズル角度や弁開度の制御データを求める。84は放送設備、85は煙検知器88−1、88−2や炎検知器89−1、89−2からの信号を防火監視制御装置81に中継する中継器である。
【0003】
このような構成において、まず、防火監視制御装置81の火災発生位置算出装置82は、煙検知器88や炎検知器89により火災発生が検知されると、各煙検知器88の位置の煙濃度を調べて高濃度の検出データから順に3点を抽出する。そして、抽出した3点の濃度データからそれぞれの距離を求めて方程式を解き、火災発生点を算出する。次に、放水銃制御部83は火災発生位置から放水銃87を選択し、その火災発生点の位置が放水エリアに入る放水銃87を選び、各放水銃87の左右の向き、上下のノズル角度や弁開度の制御データを求めて、これらを制御値として各放水銃のサーボユニット86に設定する。そして、サーボユニット86のサーボモータにより、ノズル角度や弁開度の制御を行い放水位置の遠近を制御する。次に、放送設備84で放水開始を放送する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の防災システムにおいては、離れた2箇所に火災が発生した場合には、互いに離れたところの煙検知器88の信号が算出されてしまい、火災発生点の間が火災発生点となる場合もあり、火点の算出精度がよいとはいえず、また、建物の利用形態により火災の発生を検知する煙検知器88の位置や使用条件が変わると、その都度計算方程式を変更する必要があり、また、防火監視制御装置81が何らかの原因で機能しなくなった場合のバックアップ手段がないという問題があった。
【0005】
この発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、火点の算出精度が高く、建物の利用形態により火災の発生を検知する検知器の位置と使用条件が変っても、計算式を変更することがなく、また、計算処理を簡単にし、また、制御手段が機能しない場合でも、稼働できる防災システムを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る防災システムは、監視区域の火点を検出する複数の火災検出手段と、消火水を放出する消火手段と、前記火災検出手段の検出信号に基づいて前記消火手段を制御する制御手段と、を備えた防災システムにおいて、前記制御手段は、前記検知手段の使用条件データを設定するデータベース設定部と、前記火災検出手段の動作状態を示す動作データを記憶するメモリと、前記データベース設定部に設定された前記火災検出手段の使用条件データと前記メモリに記憶された前記火災検出手段の動作データに基づいて火点の発生した監視区域の火災検出手段の座標を求め、さらに、求められた複数の前記火災検出手段の座標に基づいて火点を特定する演算部と、を備え、前記データベース設定部は、前記火災検出手段の各々の座標データと隣接関係の有無を示す制御関係表を設定するデータを備える。
【0007】
また、データベース設定部に設定された制御関係表の隣接関係の有無及びメモリに記憶された火災検出手段動作採点表の検知信号の有無を前記火災検出手段毎に各々1、0の2値で表し、演算部は、前記データベース設定部に設定された各々の火災検出手段の座標データと、前記制御関係表及び前記メモリに記憶された前記火災検出手段動作採点表に示された2値との積を前記火災検出手段毎に求めてこれらの積を合計し、さらに、前記制御関係表及び前記火災検出手段動作採点表に示された2値の前記火災検出手段毎の積の合計で商を求め、これを火点座標として特定するものである。
【0008】
また、データベース設定部は、火災検出手段の各々の座標データ、隣接関係の有無を示す制御関係表及び前記火災検出手段の検知信号の採用、不採用を示す火災検出手段属性表を備える。
【0009】
また、データベース設定部に設定された制御関係表の隣接関係の有無、火災検出手段属性表の前記火災検出手段の検知信号の採用、不採用及びメモリに記憶された火災検出手段動作採点表の検知信号の有無を前記火災検出手段毎に各々1、0の2値で表し、演算部は、前記データベース設定部に設定された各々の火災検出手段の座標データと、前記制御関係表、火災検出手段属性表、及び前記メモリに記憶された前記火災検出手段動作採点表に示された2値との積を前記火災検出手段毎に求めてこれらの積を合計し、さらに、前記制御関係表、火災検出手段属性表、及び前記火災検出手段動作採点表に示された2値の前記火災検出手段毎の積の合計で商を求め、これを火点座標として特定するものである。
【0012】
また、制御手段により演算された消火手段の制御データを受取り、制御データ表に設定するデータ設定部と、前記制御手段の異常を検出する異常検出部と、を有し、
通常は、前記火災検出手段から入力された検知信号を前記制御手段に出力するとともに、前記制御手段から受取った消火手段の制御信号を前記消火手段に出力し、前記異常検出部からの異常検出信号があったときに、前記データ設定部に設定された前記制御データ表に基づいて前記消火手段の制御信号を出力するシーケンサを備える。
【0013】
また、制御データ表は、各々の火災検出手段のアドレスに対応した制御データである。
【0014】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は実施の形態1を示す防災システムの構成を示すブロック図、図2は防災システムの制御部であるパソコンの構成図、図3は図2のデータベース部の検知器の座標データ、図4は図2のデータベース部の各検知器の隣接の有無を示す制御関係表、図5は図2のデータベース部の検知器の採用、不採用等を示す検知器属性表を各々示す図表、図6は防災システムの動作を示すフローチャート、図7〜9は火点座標の算出表を示す図表、図10は火点の座標算出の概念図である。
【0015】
図1において、1は火点を照準するカメラ、2は火災を検出する炎検知器、1aは信号に基づきカメラ1を上下左右に回動制御する回動装置であり、カメラ1の回転角および仰角を検出して出力する検出回路も備えている。3は放水ノズル、3aは放水ノズル3を上下左右に回動制御する回動装置、4は給水源であり、消火水の給水を開始する制御弁でもよい。
5は防災センタ等に設置され、全体の制御を行う制御盤、51は操作卓であり、カメラ1の画像を映出するモニタ61、後述のパソコン65の情報を表示するCRT62、火点に照準を合わせるためのスティック装置や放出を開始する放水スイッチ等の各種入力を操作する操作部63から構成される。
なお、カメラ1及びノズル3は1台図示しているが、複数台使用される。
【0016】
52はカメラ1の映像を受信する受信部、53は回動装置1aに制御を信号出力する制御部、55は回動装置3aに制御を信号出力する制御部、56は放水開始時に給水源4に起動信号を出力する制御部、7は炎検知器2の検知信号を受信する受信機である。65は制御手段であるパソコンであり、演算部58、演算部58の処理に必要なデータが設定される書き換え可能な不揮発性の記憶装置であるデータベース設定部67、一時的なデータを保存するメモリ66から構成される。
【0017】
さらに、詳細な構成を図2〜図5により説明する。図2においてデータベース設定部67には、例えば図3に示す炎検知器2の座標データ(X、Y、Z)67a、図4に示す炎検知器2に隣接する炎検知器2の有無を示す制御関係表67b、図5に示す炎検知器2の採用、不採用等を示す検知器属性表67c、可動式の床が移動した場合に補正する床高さを示す床高さ座標データ(Z)67d、ノズル座標(Xh、Yh、Zh)が設定される。
また、メモリ66には炎検知器2が動作したかどうかを示す検知器動作採点表66a(図7(a))が記憶される。
なお、検知器属性表67cは図5に示すように、各炎検知器2毎に通報点数と制御採用とが設定され、通報点数は火災発生をシステムに表示するかを設定し、制御採用は火点位置の計算に採用するかが設定されており、火点の算出について制御採用の設定は通報点数と共通にしてもよい。
このとき、不採用とされる場合は、例えば、炎検知器2の動作が不安定な場合、大空間の利用状況による監視領域が障害物で遮蔽されている場合等が上げられる。
【0018】
次に動作について説明する。
まず、防災システムの稼働前に、データベース設定部67の炎検知器の座標データ67aには、例えば、図3に示すように各炎検知器2のアドレスS1、S2・・Snについて各々X、Y、Z座標を設定する。制御関係表67bは各炎検知器2間の監視区域が重なり合う位置関係にあるものを隣接関係にあるものとし、図4に示すように炎検知器2のアドレス対応で隣接関係の有無を1と0の2値で設定する。検知器属性表67cは図5に示すように警報を出すかどうかを設定する通報点数と、火点を特定できない位置に炎検知器2がある場合等に火点算出に採用しないようにするため、炎検知器2の採用、不採用等を設定する制御採用の二つの項目について採用、不採用を1と0の2値で設定しておく。
【0019】
次に図6の動作フローチャート及び図7〜10により説明する。
図7(a)は第1報の検知信号検知動作採点表、図7(b)は第1報の火点座標算出の総括表、図8(a)は第2報の検知信号検知動作採点表、図8(b)は第2報の火点座標算出の総括表、図9(a)は第3報の検知信号検知動作採点表、図9(b)は第3報の火点座標算出の総括表の例を示す図表である。
炎検知器2からの最初の作動信号を第1報として受信機7を介してパソコン65が受信すると(ステップS1)、メモリ66に検知器動作採点表66aとして記憶される(ステップS2)。検知器動作採点表66aには、図7(a)に示すように炎検知器2のアドレス対応で動作状態の有無が1と0の2値で記憶される。この場合はアドレスS1の炎検知器2のみが動作したことを示している。次に、演算部58は検知器動作採点表66aと制御関係表67bを読出し、制御関係表67bから第1報の炎検知器2のアドレスS1に対応した隣接の有無を読み出す(ステップS3)。
【0020】
次に、炎検知器座標67a、検知器属性表67cを読出し、炎検知器座標67a、ステップS3で読出された第1報の炎検知器2のアドレスS1に対応した隣接の有無、炎検知器属性表67c、検知器動作採点表66aから図7(b)に示す総括表を作成する(ステップS4)。
図7(b)はX座標のみ示しているが、Y座標についても同様に作成する。
【0021】
次に、ステップS5では、この総括表の値に基づいて、まず、次に示す計算式(1)により火点のX、Y座標中心座標を各々算出する。
中心座標=Σ(座標・第1報の隣接値・属性値・動作状態値)/Σ(第1報の隣接値・属性値・動作状態値)・・・・・(1)
この計算式は、各炎検知器2毎の座標(X、Y)、第1報の炎検知器2のアドレスS1に対応した隣接の有無を示す2値1、0、炎検知器属性の2値1、0及び検知器動作採点の2値1、0から各炎検知器2毎の積を求めてこれらの積の合計を、第1報の炎検知器2のアドレスS1に対応した隣接の有無を示す2値1、0、炎検知器属性の2値1、0及び検知器動作採点の2値1、0からなる3値の各炎検知器2毎の積を求めてこれらの積の合計で除算し、炎検知器2間の中心座標(X、Y)を求めるもので、この中心座標(X、Y)を火点の平面座標とする。
なお、分母とする第1報の炎検知器2に対応した隣接の有無を示す2値、炎検知器属性の2値及び検知器動作採点の2値からなる3値の積の合計は、火点算出に関係し、隣接関係にある炎検知器2の個数である。
高さ座標Zは、座標(X、Y)と同様に求めてもよいが、大空間は平面が多く床面を基準高さとして平均を出すまでもない。ただ、詳細に示さないが、可動式の床の場合には、その床面の位置によって設定されるデータベース設定部67の床高さ座標データ(Z)67d、中心座標(X、Y)に対応した座標(Z)として読出され設定される。
【0022】
第1報の具体的な計算は図7(b)の総括表で炎検知器2がアドレスS1〜S3とした場合についてX座標について示すと次のようになる。
このように、第1報のみでは、そのアドレス以外は、採点表がすべて0なので、計算式の分子には、座標と採点表の積の結果、第1報の座標のみが残る。また、分母には、第1報のみが1なので、第1報のX1/1となって、中心座標は、第1報の座標となる。また、第1報のアドレスが障害物等で火災監視できない状態にあるときに属性表には0が設定されることになり、このときに、上記計算式によれば、分子および分母の属性部分が0になるので、積の結果は0となり、中心座標は得られなくなる。
【0023】
この第1報の状況を図10(a)に示す。図において炎検知器2の監視範囲を示す円の中で○は炎検知器2の座標、星印は火点f、△は算出された中心座標である。第1報では隣接するものがなく、第1報の座標が中心座標となる。
【0024】
次に、パソコン65の演算部58はデーターベース設定部67のノズル座標67eからノズル3の座標(Xh、Yh、Zh)を読み出し(ステップS6)、算出された中心座標からノズル3の座標との差分△X、△Y、△Zからノズル3の回動装置3aを回動させる旋回角と俯仰角を算出する(ステップS7)。そして、この旋回角と俯仰角の制御データをノズル3の制御を行う制御部55に入力する(ステップS8)。制御部55は使用場所の形状や算出された中心座標に基づいて、作動した炎検知器2に最も近い放水ノズル3を選択し、入力された旋回角と俯仰角に基づいて 回動装置3aを回動させ、放水ノズル3を火点fと想定される中心座標に向ける。そして、算出した中心座標からもっとも近いノズルを選択するが、複数設置されていない場合には、選択の必要はない(ステップS9)
。
【0025】
カメラ1においても同様に、算出された旋回角と俯仰角の制御データが制御部53に入力され、制御部53はカメラ1を選択し、入力された旋回角と俯仰角に基づいて 回動装置1aを回動させ、カメラ1を中心座標に向け、ステップS9で選択された放水ノズル3のカメラ1の映像が受信部52を介して操作卓51のモニタ61に映出される(ステップS10)。
【0026】
上記の動作が、第1報の炎検知器2の作動信号に対する制御動作である。その後、タイマを起動して(ステップS11)、所定時間(例えば10秒間)の間、第2報以降の炎検知器2の作動信号を受け付ける(ステップS12)。後続報である第2報の作動信号があった場合(ステップS13)、第1報と同様にメモリ66に検知器動作採点表66aとして記憶される(ステップS14)。
この場合はアドレスS1とS2の炎検知器2が動作したことを示している。次に、演算部58は検知器動作採点表66aと制御関係表67bを読出し、制御関係表67bから第1報の炎検知器2のアドレスS1に対応した隣接の有無を読み出す(ステップS15)。
【0027】
次に、炎検知器座標67a、検知器属性表67cを読出し、炎検知器座標67a、ステップS3で読出された第1報の炎検知器2のアドレスS1に対応した隣接の有無値、炎検知器属性表67c、検知器動作採点表66aから図8(b)に示す総括表を作成する(ステップS16)。図8(b)はX座標のみ示しているが、Y座標についても同様に作成する。
【0028】
次に、ステップS17では、この総括表の値に基づいて、第1報と同様に計算式1により火点のX、Y座標中心座標を各々算出する。図8(b)の総括表での算出では、中心座標(X)=(X1+X2)/2となる。
この第2報の状況を図10(b)に示す。図のように中心座標が第1報に比較し火点fに近いものとなる。
【0029】
この後の動作は第1報のときと同様に旋回角および俯仰角を算出してから放水ノズル3を新たな中心座標に向ける(ステップS18〜20)。そして、炎検知器2からの第2報後の動作信号の後続報毎にステップS13から20を繰り返して行う。この第3報の状況は図10(b)に示すように中心座標がさらに第2報に比較し火点fに近いものとなり、後続報が多いほど火点の特定精度がよくなる。
【0030】
タイマにより所定時間が経過すると、炎検知器2が新たな作動信号は受け付けずカメラ1の画面によってノズル3が火点fに向っていることを確認し、向っていなければ旋回により修正する火点評定を行ってから(ステップS21)、「評定釦」を操作して特定する(ステップS22)。火点を特定後「放水キー」の操作によって放水を開始させる(ステップS23)。このとき、給水源4は制御部56により給水を開始し、放水ノズル3から放水される。そして、消火活動終了時の復旧操作があるまで待つ(ステップS24)。
【0031】
なお、火点の検知に赤外線3波長式の炎検知器2を使用したが、天井から床面側の火点を監視する火災検知器であれば熱や煙から火災を検知する検知器でもよい。
【0032】
以上のように、炎検知器2の隣接関係により、火点の座標を算出するので、火点の算出精度が高く、建物の利用形態により火災の発生を検知する検知器の位置と使用条件が変っても、計算式を変更しないで、火点算出に使用できない炎検知器2のアドレスに0を設定することで、簡単にその炎検知器2による動作を遮蔽して、火点を算出することができる。
なお、本実施の形態では、炎検知器2の座標、隣接関係の有無を示す制御関係表、検知器属性表及び検知器動作採点表から中心座標を算出したが、炎検知器2の座標と制御関係表、炎検知器2の座標と検知器属性表、または、炎検知器2の座標と検知器動作採点表から中心座標を算出してもよい。
【0033】
実施の形態2.
図11は実施の形態2を示す防災システムのブロック図、図12は防災システムのシーケンサのブロック図、図13は動作フローチャートである。図11において実施の形態1の図1、2と同じかまたは相当する部分には同じ符号を付し説明を省略する。57はパソコン65により演算された消火手段の制御データを受取り、制御データ表に設定するデータ設定部68を有し、通常は、炎検知器2から入力された検知信号をパソコン65に出力し、パソコン65で算出され、入力された制御信号をカメラ1とノズル3に出力し、パソコン65に異常があった場合は、データ設定部68に設定された制御データ表に基づいて制御信号をカメラ1とノズル3に出力するシーケンサである。
【0034】
シーケンサ57は、図12に示すように、パソコン65により算出されたカメラ1とノズル3の制御データを伝送部57cと制御部57bを介して入力し、制御データ表68aに設定するデータ設定部68、受信部7から入力された炎検知器2の検知信号を制御部57bに出力する入力部57a、パソコン65の異常を検出する異常検出部77e、炎検知器2から入力された検知信号をパソコン65に出力するとともに、パソコン65で算出された制御信号を受取り、カメラ1とノズル3に出力し、また、パソコン65に異常があった場合は、データ設定部68に設定された制御データ表に基づいて制御信号をカメラ1とノズル3に出力する制御部57bから構成される。
【0035】
制御データ表68aは、実施の形態1で示した図6のステップS7と同じものであり、中心座標からノズル3の座標(Xh、Yh、Zh)との差分△X、△Y、△Zから算出されたノズル3の回動装置3aを回動させる旋回角と俯仰角である。
【0036】
次に、動作について図6、図11〜13により説明する。
まず、制御部57bは、受信機7から信号炎検知器2の検知信号を入力部57aを介して受信し(ステップS31)、パソコン65が正常であると(ステップS32)、受信した炎検知器2のアドレスをパソコン65に伝送部57cを介して出力する(ステップS33)。そして、パソコン65においては、実施の形態1の図6に示したステップS2〜S7により、炎検知器2の各アドレスに対応したノズル3とカメラ1の制御データを算出する。次に、算出された制御信号を伝送部57cを介して受信したときに(ステップS34)、制御部57bはこの制御データを制御出力部57dを介してカメラ1の制御を行う制御部53、ノズル3の制御を行う制御部55及び給水源4の制御を行う制御部56に出力する(ステップS35)。
【0037】
次の動作は、実施の形態1の図6に示したステップS9〜S12と同じである。そして、炎検知器2からの第2報があれば(図13のステップS31)、ステップS32〜35の動作を繰り返す。
【0038】
次に、ステップS1で炎検知器2の検知信号が無く、パソコン65からのデータ設定命令があれば(ステップS37)、制御部57bは、パソコン65で算出された制御データを、データ設定部68の制御データ表68aに設定する(ステップS38)。
【0039】
そして、ステップS32において、異常検出部77eからパソコン65の異常検出信号があったときに、制御部57bはデータ設定部68に設定された制御データ表68aから炎検知器2のアドレスに対応した前記制御信号を読出し(ステップS36)、ステップS35の動作を行う。
以上の動作はシーケンサ57のメモリのサイズにより、炎検知器2からの第1報のみとしてもよいが、複数の検知信号による制御が望ましい。
【0040】
以上のように、パソコン65が機能しない場合でも、シーケンサ57によりカメラ1とノズル3の制御を行うことができる。
なお、上記実施の形態2において、シーケンサ57は、パソコン65の異常を異常検出部77eによって検出しているが、それ以外に、例えば、ステップS33のアドレス出力後の制御データ受信にタイマ手段を設けて、パソコン65から制御データを受信しない場合に、ステップS36によって制御データを読み出して出力してもよい。
【0041】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、この発明に係る防災システムは、監視区域の火点を検出する複数の火災検出手段と、消火水を放出する消火手段と、前記火災検出手段の検出信号に基づいて前記消火手段を制御する制御手段と、を備えた防災システムにおいて、前記制御手段は、前記検知手段の使用条件データを設定するデータベース設定部と、前記火災検出手段の動作状態を示す動作データを記憶するメモリと、前記データベース設定部に設定された前記火災検出手段の使用条件データと前記メモリに記憶された前記火災検出手段の動作データに基づいて火点の発生した監視区域の火災検出手段の座標を求め、さらに、求められた複数の前記火災検出手段の座標に基づいて火点を特定する演算部と、を備え、前記データベース設定部は、前記火災検出手段の各々の座標データと隣接関係の有無を示す制御関係表を設定するデータを備えたので、火点の算出精度が高く、建物の利用形態により火災の発生を検知する検知器の位置と使用条件が変わっても、計算式を変更することがなく、また、計算処理を簡単にすることができる。
【0042】
また、データベース設定部は、火災検出手段の各々の座標データと隣接関係の有無を示す制御関係表を設定するデータを備えたので、火点の算出精度を高くすることができる。
【0043】
また、データベース設定部に設定された制御関係表の隣接関係の有無及びメモリに記憶された火災検出手段動作採点表の検知信号の有無を前記火災検出手段毎に各々1、0の2値で表し、演算部は、前記データベース設定部に設定された各々の火災検出手段の座標データと、前記制御関係表及び前記メモリに記憶された前記火災検出手段動作採点表に示された2値との積を前記火災検出手段毎に求めてこれらの積を合計し、さらに、前記制御関係表及び前記火災検出手段動作採点表に示された2値の前記火災検出手段毎の積の合計で商を求め、これを火点座標として特定するので、火点の算出精度が高く、建物の利用形態により火災の発生を検知する検知器の位置と使用条件が変っても、計算式を変更せずに、火点算出に使用すべきでない炎検知器動作を遮蔽して、火点を算出することができる。
【0044】
また、データベース設定部は、火災検出手段の各々の座標データ、隣接関係の有無を示す制御関係表及び前記火災検出手段の検知信号の採用、不採用を示す火災検出手段属性表を備えたので、さらに火点の算出精度を高くすることができる。
【0045】
また、データベース設定部に設定された制御関係表の隣接関係の有無、火災検出手段属性表の前記火災検出手段の検知信号の採用、不採用及びメモリに記憶された火災検出手段動作採点表の検知信号の有無を前記火災検出手段毎に各々1、0の2値で表し、演算部は、前記データベース設定部に設定された各々の火災検出手段の座標データと、前記制御関係表、火災検出手段属性表、及び前記メモリに記憶された前記火災検出手段動作採点表に示された2値との積を前記火災検出手段毎に求めてこれらの積を合計し、さらに、前記制御関係表、火災検出手段属性表、及び前記火災検出手段動作採点表に示された2値の前記火災検出手段毎の積の合計で商を求め、これを火点座標として特定するので、火点の算出精度が高く、建物の利用形態により火災の発生を検知する検知器の位置と使用条件が変っても、計算式を変更せずに、火点算出に使用すべきでない炎検知器動作を遮蔽して、火点を算出することができる。
【0048】
また、制御手段により演算された消火手段の制御データを受取り、制御データ表に設定するデータ設定部と、前記制御手段の異常を検出する異常検出部と、を有し、通常は、前記火災検出手段から入力された検知信号を前記制御手段に出力するとともに、前記制御手段から受取った消火手段の制御信号を前記消火手段に出力し、前記異常検出部からの異常検出信号があったときに、前記データ設定部に設定された前記制御データ表に基づいて前記消火手段の制御信号を出力するシーケンサを備えたので、制御手段が機能しない場合でも、制御することができる。
【0049】
また、制御データ表は、各々の火災検出手段のアドレスに対応した制御データなので、火点の特定精度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1を示す防災システムの構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1を示す防災システムの制御部であるパソコンの構成図である。
【図3】 図2のデータベース部の検知器の座標データを示す図表である。
【図4】 図2のデータベース部の各検知器の隣接の有無を示す制御関係表を示す図表である。
【図5】 図2のデータベース部の検知器の採用、不採用等を示す検知器属性表を示す図表である。
【図6】 この発明の実施の形態1を示す防災システムの動作を示すフローチャートである。
【図7】 この発明の実施の形態1を示す防災システムの火点座標の算出表を示す図表である。
【図8】 この発明の実施の形態1を示す防災システムの火点座標の算出表を示す図表である。
【図9】 この発明の実施の形態1を示す防災システムの火点座標の算出表を示す図表である。
【図10】 この発明の実施の形態1を示す防災システムの火点の座標算出の概念図である。
【図11】 この発明の実施の形態2を示す防災システムの構成を示すブロック図である。
【図12】 この発明の実施の形態2を示す防災システムのシーケンサのブロック図である。
【図13】 この発明の実施の形態2を示す防災システムのシーケンサの動作フローチャートである。
【図14】 従来の消火システムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 カメラ、2 炎検知器、3 放水ノズル、4 給水源、5 制御盤、51操作卓、53、55、56 制御部、57 シーケンサ、57b 制御部、58 演算部、65 パソコン、66 メモリ、66a 検知器動作採点表、67データベース設定部、67a 座標データ(X、Y)、67b 制御関係表、67c 検知器属性表、68 データ設定部、68a 制御データ表、77 異常検出部。
Claims (6)
- 監視区域の火点を検出する複数の火災検出手段と、消火水を放出する消火手段と、前記火災検出手段の検出信号に基づいて前記消火手段を制御する制御手段と、を備えた防災システムにおいて、
前記制御手段は、
前記検知手段の使用条件データを設定するデータベース設定部と、
前記火災検出手段の動作状態を示す動作データを記憶するメモリと、
前記データベース設定部に設定された前記火災検出手段の使用条件データと前記メモリに記憶された前記火災検出手段の動作データに基づいて火点の発生した監視区域の火災検出手段の座標を求め、さらに、求められた複数の前記火災検出手段の座標に基づいて火点を特定する演算部と、
を備え、
前記データベース設定部は、前記火災検出手段の各々の座標データと隣接関係の有無を示す制御関係表を設定するデータを備えたことを特徴とする防災システム。 - データベース設定部に設定された制御関係表の隣接関係の有無及びメモリに記憶された火災検出手段動作採点表の検知信号の有無を前記火災検出手段毎に各々1、0の2値で表し、
演算部は、前記データベース設定部に設定された各々の火災検出手段の座標データと、前記制御関係表及び前記メモリに記憶された前記火災検出手段動作採点表に示された2値との積を前記火災検出手段毎に求めてこれらの積を合計し、さらに、前記制御関係表及び前記火災検出手段動作採点表に示された2値の前記火災検出手段毎の積の合計で商を求め、これを火点座標として特定することを特徴とする請求項1記載の防災システム。 - データベース設定部は、
火災検出手段の各々の座標データ、隣接関係の有無を示す制御関係表及び前記火災検出手段の検知信号の採用、不採用を示す火災検出手段属性表を備えたことを特徴とする請求項1記載の防災システム。 - データベース設定部に設定された制御関係表の隣接関係の有無、火災検出手段属性表の前記火災検出手段の検知信号の採用、不採用及びメモリに記憶された火災検出手段動作採点表の検知信号の有無を前記火災検出手段毎に各々1、0の2値で表し、
演算部は、前記データベース設定部に設定された各々の火災検出手段の座標データと、前記制御関係表、火災検出手段属性表、及び前記メモリに記憶された前記火災検出手段動作採点表に示された2値との積を前記火災検出手段毎に求めてこれらの積を合計し、さらに、前記制御関係表、火災検出手段属性表、及び前記火災検出手段動作採点表に示された2値の前記火災検出手段毎の積の合計で商を求め、これを火点座標として特定することを特徴とする請求項3記載の防災システム。 - 制御手段により演算された消火手段の制御データを受取り、制御データ表に設定するデータ設定部と、
前記制御手段の異常を検出する異常検出部と、を有し、
通常は、前記火災検出手段から入力された検知信号を前記制御手段に出力するとともに、前記制御手段から受取った消火手段の制御信号を前記消火手段に出力し、
前記異常検出部からの異常検出信号があったときに、前記データ設定部に設定された前記制御データ表に基づいて前記消火手段の制御信号を出力するシーケンサを備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の防災システム。 - 制御データ表は、各々の火災検出手段のアドレスに対応した制御データであることを特徴とする請求項5記載の防災システム。
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