JP3733150B2 - 浴槽用循環口 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、加熱循環風呂装置の浴槽用循環口に関するもので、詳しくは、その流路に浄化機能を備えた加熱循環回路とジェットエア回路や気泡回路あるいは微細気泡発生回路というように二つの循環回路を備えながら一つの循環口を浴槽に設けるのみで足りる風呂装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
浴槽の湯を循環させたり、循環過程において空気を混入し気泡や微細気泡を浴槽内に噴出させたり、浴槽内に噴出する湯のスピードを上げてジェットエアバスとするような場合は、実開昭59-48628号公報、実開昭62-127458 号公報に示すように浴槽に複数の取付穴を穿設して湯の吸入口、吐出口、気泡の噴出口などを設けるようにしていた。
すなわち、一般的には浴槽の底に近い箇所に湯の吸入口を浴槽の上部に湯の吐出口を設けるようにしていた。
更に、ジェットエアを噴出させる場合は浴槽側壁に別途ジェットエア用のノズルを設けたり、気泡や微細気泡を浴槽内に供給するには同じく浴槽の側壁やあるいは底部に気泡の噴出のためのノズルや開口を設けることが必要であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、浴槽に複数の穴を設けることは、配管が複雑になり、施工に手間がかかる、ノズルが複数必要になりコスト高になる、故障の要因が増える、浴槽の体裁を損なう等の問題が生じることから必要最小限の穴を設けることが望ましかった。
しかし、実際には上記した従来例からも明らかなように、これまでの風呂装置である、例えば、主に浄化と加熱を循環によって行うだけの装置、あるいは、浄化せずに加熱とジェットエア若しくは微細気泡発生を行う装置、さらには、ジェットエアだけを発生させる装置においては、浴槽に複数のノズルや開口を設けざるを得なかった。
そこで、この発明は、加熱循環回路とジェットエア回路などの複数の回路を備えた風呂装置であっても、一つの循環口で吸い込み、吐出ができるようにして、浴槽に一の取付穴を設ければ足りるようにすべく種々試作試験を重ねたものである。
また、一の循環口によって入浴時に加熱循環回路を作動させながら同時に良好な微細気泡を発生させようとすれば、加熱循環回路を経て同時にノズルから吐き出される浴槽内の水流(吐出水流)によって微細気泡が消失しない構造的工夫が必要であった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するためこの発明による浴槽用循環口は、浴槽側壁に一の取付穴を穿孔しここに取り付けるものであって、中央に下向きの気泡吐出口と上向きの湯の吐出口を設け、これら吐出口から離れた周囲に湯の吸入口を設けるようにしたことを特徴とするものである。
また、前述の浴槽用循環口において、中央に微細気泡吐出口及び湯の吐出口を一体に形成したノズル本体を設け、このノズル本体に外嵌する通孔を設けるとともに、浴槽内内壁に近接する周縁に湯の導入溝を形成する凹部を多数形成したキャップを被せるようにしたことを特徴とするものである。
【0005】
【実施例】
以下図面に示す実施例に即してこの発明の内容を説明する。
図1はこの発明に係る浴槽用循環口2を用いた微細気泡発生回路を備えた加熱循環風呂の概略図である。
浴槽Bの側壁に一の取付穴1を穿孔し、ここに湯の吸入口21、下向きの微細気泡吐出口22及び上向きの湯の吐出口23を設けてなる循環口2を水密に取り付けるようにし、加熱循環回路3と微細気泡発生回路4を循環口2に繋げるようにしてなるものである。湯の吸入口21は吐出口22、23の周縁から加熱循環回路3に向かって引き込まれるようにしてある。
【0006】
加熱循環回路3は循環口2の湯の吸入口21から湯の吐出口23の間に循環パイプ31をもって繋げるようにしてあり、途中に加熱器5、ろ過槽6、循環ポンプ7、活性化槽8、再度加熱器5を経て最後に流量切替弁9を順次接続してなり、ろ過槽6と循環ポンプ7の間に空気取入用電磁弁10を備えたオゾン発生機11により循環パイプ31にオゾンエアを注入するようにしてある。
加熱器5はニクロム線をモールドしてなるヒータをアルミダイキャスト製の熱交換器に貫通させるようにしたものや、ガス燃焼ヒータ、ジルコニア系セラミックを使用した電気ヒータなど適宜の手段を採用することができる。
加熱器5に二度通すのは無駄なく熱交換するためである。
【0007】
ろ過槽6は内部にポリウレタンなどのスポンジ状のろ過布61が複数層になるように構成してあり、ろ過布61によって人毛、垢、髪やゴミなどを物理的に捕捉しろ過された湯水が中央に直立されたパイプ62から下方に排出されるようになっている。
ろ過槽6と循環ポンプ7の間に循環パイプ31に接続するオゾン発生機11によってオゾンエアを循環する湯に供給し、ろ過された湯水の雑菌の殺菌、脂肪などの分解、脱臭を行う。図示の例ではオゾン発生機11により殺菌を行うようにしたが、紫外線殺菌装置であってもよく、また殺菌処理は加熱循環回路3の適宜の箇所でなせば良いので例えば湯の吐出口23や湯の吸入口21に近い箇所などに配置するようにしてもよい。
【0008】
活性化槽8はその内部に麦飯石、硫黄石、黒曜石、流紋岩、未風化真珠岩などの活性石81が一種又は二種以上混合し取扱便宜のためにネット82に充填しているもので、下部から湯水を導入し、上部から排出するようにして導入された湯が万遍なく活性石81に接触するようにしてある。この活性化槽8では石の表面に発生するバクテリアで生物的に浄化処理するもので、有機物、例えばアンモニアを分解し、生物学的に浄化するものである。同時に鉄、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、亜鉛などの有効成分が湯中に溶解し、水素イオン濃度は中性程度に中和されることになり無機化学的に処理される。
【0009】
流量切替弁9は、図示の例では、弁胴91内の循環パイプ31と接続する流路92と直交する弁室93を設け、弁室93の流路92側にダイアフラム94を配し、流路92にはオリフィス95を設けるとともに、ダイアフラム94の密着する側辺を備えた減流板96をはめ込むようにしたもので、加熱循環回路3をなす循環パイプ31の微細気泡用オリフィス14の手前からの分岐パイプ97を弁室93に接続するように構成してなるものである。そこで、加熱循環回路3のみを作動するとオリフィス95及びダイアフラム94と減流板96の間から湯の吐出口23に噴出することになるが、微細気泡発生回路4を作動させると湯が分岐パイプ97から弁室93に至りダイアフラム94を押圧して減流板96の側辺に密着してオリフィス95のみから浴槽Bに吐出されることになり流路92を絞ることになる。
【0010】
このような構成の流量切替弁9を用いると加熱循環回路3を停止することなく湯量を絞って、同時に供給される微細気泡を攪拌して消滅させるのを防止することができる。
このような構成の流量切替弁9を用いると、構造が簡単で耐久性があり、作動が確実で簡単に修理を行える利点がある。しかし、従来より用いられている電磁弁を用いてもよい。
【0011】
このように、加熱器5により湯温が保たれ循環ポンプ7により循環される湯はろ過槽6による物理処理、オゾン発生機11による殺菌処理、活性化槽8による生物処理によって完全に清浄化処理されることになる。
このように処理された湯水は流量切替弁9を経て、湯の吐出口23から浴槽Bに戻される。
【0012】
微細気泡発生回路4は、加熱循環回路3のろ過槽6の出口に循環パイプ41を接続して微細気泡吐出口22に至るまで繋げるようにしてなるもので、循環パイプ41に順次微細気泡用ポンプ12、空気分離タンク13、微細気泡用オリフィス14を介在させ、微細気泡用ポンプ12の手前に空気取入用電磁弁15を接続するとともに、空気分離タンク13にて溶解しなかった空気を微細気泡用ポンプ12に再度供給するように戻りパイプ16を設けるようにしてある。
ろ過槽6から分岐させるようにすれば微細気泡発生回路4に垢や人毛などが入り込んで故障の原因となることを防ぐことができる。
【0013】
微細気泡用ポンプ12で湯を吸引すると空気取入用電磁弁15が解放されるようにし、空気が循環パイプ41内に巻き込まれて吸入され、空気が混入された状態で微細気泡用ポンプ12に至りポンプ12内部で加圧され、この加圧によって湯水に空気が溶解されることになり、微細気泡用オリフィス14を通過することによって加圧状態から一気に圧力が解放されるとともにオリフィスにより流速が早くなるなどして流速が変化することにより湯水に溶け込んでいた空気は放出され、この空気によって微細な気泡が生じることになる。この微細気泡は、気泡の直径が10μ程度で非常に細かいものであるために浮上速度が遅く、浴槽の湯水中に数分間滞留して湯水を乳白色に染めることになる。
【0014】
微細気泡用ポンプ12と微細気泡用オリフィス14の間に空気分離タンク13を設けて溶解しなかった余剰空気を分離し、微細気泡発生回路4に戻して新規の空気とともに微細気泡用ポンプ12に供給するようにしてある。この空気分離タンク13を設けないと微細気泡吐出口22から大きな気泡となって排出されることになってしまう。なお、余剰空気をそのまま大気に放出するように構成することもできる。
この微細気泡は入浴者の体の表面を包み込むことになり、湯の体感温度を実際よりも数度低くすることになり、入浴時の血圧上昇を抑えるばかりでなく、身体の表面に付着した汚れや垢を包み込んで取り除くことになるのである。
17、17は加熱循環回路3及び微細気泡発生回路4に設けた逆止弁である。
【0015】
加熱循環回路3は湯の浄化作用と温度を保つものであるため、24時間連続して作動させるようにしてもよいが、夜間の入浴する可能性のない時間帯は、湯の温度検知(図示せず)によって断続的に作動するようにしてもよい。
入浴直前又は入浴するときに微細気泡発生回路4を作動させると同時に、流量切替弁9により加熱循環回路3から浴槽の湯に還流される湯を絞ることによって、吸入口21から吸引された湯を加熱循環回路3と微細気泡発生回路4のそれぞれに好適に分配する。これによって湯の吐出口23からの湯量を減少させ微細気泡の浴槽内での滞留時間を伸ばすようにするのである。
【0016】
また、微細気泡吐出口22を下向きに、湯の吐出口23を上向きにすることにより吐出方向が反対となるため、湯の吐出口23からの水流の影響が少なくなり、さらに、微細気泡が浴槽の底に向かって吐き出されることになるため、より一層微細気泡の滞留時間を伸ばすことができることになる。
加熱循環回路3の湯の吐出口23の近くに図示しない電気式の流量切替弁を設けて、微細気泡用ポンプ12を作動させたときに流量を絞るように構成してもよいが、実施例のように構成すると部品点数が減少して構成が簡単となるばかりか、作動が確実であるという点で優れるものといえる。
【0017】
ここで、この発明に係る循環口2について図2をもとに説明する。
循環口2は、浴槽Bを挟んでパッキンを介してねじ込み水密に一体とする浴槽内側からの押え金具201と浴槽外側の三つの循環パイプ31、41を接続する循環パイプ接続器202、循環パイプ接続器202内に三つの流路を構成するために押し込み固定する内体203、ノズル本体204及びキャップ205からなるものである。
【0018】
押え金具201は、取付穴1の周縁に掛け止める鍔211を備え外周におねじ221を設けたもので、浴槽Bの内側から鍔211にパッキン231、ライナー241を介して止めるものである。
循環パイプ接続器202は、浴槽Bの外側に取り付けるもので、循環パイプ31、31、41の接続口212、222、232を有し、これら接続口212〜の外周には接続するためにおねじ242を設けるようにしてあり、浴槽側の内周にはめねじ252を設けるようにしてあるとともに鍔262を設けるようにしてなるものである。
この循環パイプ接続器202は、鍔262と浴槽Bの間にパッキン272を介して浴槽Bの取付穴1の外周に当てがい、前述の押え金具201のおねじ221を循環パイプ接続器202の内周のめねじ252にねじ込んで水密に取りつけるようにする。
【0019】
内体203は、循環パイプ31の戻り管及び微細気泡を供給する循環パイプ41の接続口212、222に密着し、循環パイプ接続器202内を三つの流路すなわち、湯の還流路213、微細気泡流路223及び吸込路233に分けノズル本体204に接続するもので、ゴム又はプラスチックの成形品からなるものである。
【0020】
ノズル本体204は、図3乃至図5に示すように循環パイプ接続器202内を内体203にて三つの流路に分割したものを浴槽B内に連通するものである。
浴槽Bへの還流吐出口214及び微細気泡吐出口224を構成する中空の差込体234と鍔状のリング体244からなるものである。
差込体234は、一端を内体203の湯の還流路213及び微細気泡流路223に差し込んで保持するもので、他端の浴槽Bに臨む還流する湯の吐出口214(23)は上向きに、微細気泡吐出口224(22)は下向きに形成するようにしてある。
リング体244は湯の吸入口21の一部をなす窓穴244aを備えるとともに押え金具201の内周にはめ込むようにしてなり、周縁は環状部244bをなすとともに、取り付け状態における上部に半円状のアーチ部244cを庇状に突設するようにしてある。
窓穴244aは湯の吸入口21を構成するもので、窓穴244aにより構成される四本のアーム244dの外周縁が押え金具201の内周にはめ込まれるようにしてある。
環状部244bに設けたアーチ部244cは浴槽Bから吸入する湯を下方の吸込路233に効率よく案内するためのものである。
【0021】
キャップ205は、浴槽B内壁に近接する周縁に湯の導入溝を形成する凹部215を多数形成し、中央にノズル本体204の還流する湯の吐出口214及び微細気泡吐出口224に外嵌する通孔225を設けてなるものである。
キャップ205の内面からはノズル本体204のリング体244の環状部244bの外周にはまる四つの弧状の係止片235を設けるとともに、環状部244bの内面に当接する筒状片245を設けるようにしてある。
係止片235にはキャップ205が簡単に外れないようにノズル本体204の環状部244bの周縁を押える突条235aが設けてある。キャップ205をノズル本体204に押し込むときにこの突条235aを乗り越えることになる。
図示の例ではキャップ205の周縁が浴槽B内壁から離れるようになっているが密着するか殆ど隙間がないように構成してもよい。
【0022】
【発明の効果】
浴槽に一の取付穴を設け、ここに、湯の吐出口23、微細気泡吐出口22及び湯の吸入口21を備えた循環口2を配置することにより加熱循環浴槽と気泡浴槽を一体とした風呂装置を提供できるものであり、浴槽に必要最小限の加工をすれば足りるので、配管が複雑になるのを防ぎ、施工を簡素化できる。またノズル(湯の吐出口23(214)、微細気泡吐出口22(224))を一体としているので、コストをおさえ故障の原因を減らすことができる。そして、浴槽内壁の美観を損なうことがない。
【0023】
また、微細気泡回路を加熱循環回路と組み合わせた場合は、循環口の微細気泡吐出口を下向きに、湯の吐出口を上向きに設けることになるので、浴槽内の湯に吐出する湯によって微細気泡がただちに攪拌されることなく、かつ微細気泡が浴槽の底部に向かって噴出されるので速やかに浴槽内の全部の湯水が乳白色に染まることになるのである。
微細気泡発生回路を作動させるときに加熱循環回路の流量を絞る流量切替弁を採用することにより湯の吐出口から湯量を減らせば更に微細気泡を消滅させることがない。
更に、微細気泡によって入浴者の身体から微細気泡とともに浮上した垢や汚れなどが湯の表面に向かう噴流によって湯面にさざなみが立ち、目立たなくなるばかりでなく、湯の中に巻き込み湯の吸入口からろ過槽に導くことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る循環口を用いた加熱循環風呂装置の要部を示す概略図である。
【図2】この発明に係る循環口の要部断面図である。
【図3】ノズル本体とキャップを組み合わせた状態の断面図である。
【図4】ノズル本体の斜視図である。
【図5】ノズル本体の正面図である。
【図6】キャップの背面図である。
【符号の説明】
B 浴槽
1 取付穴
2 循環口
21 吸入口
22 微細気泡吐出口
23 吐出口
3 加熱循環回路
4 微細気泡発生回路
201 押え金具
202 循環パイプ接続器
203 内体
204 ノズル本体
205 キャップ
Claims (2)
- 浴槽側壁に一の取付穴を穿孔し、この取付穴に設ける循環口であって、中央に下向きの気泡吐出口と上向きの湯の吐出口を設け、これら吐出口から離れた周囲に湯の吸入口を設けるようにしたことを特徴とする浴槽用循環口。
- 中央に微細気泡吐出口及び吐出口を一体に形成したノズル本体を設け、このノズル本体に外嵌する通孔を設けるとともに、浴槽内内壁に近接する周縁に湯の導入溝を形成する凹部を多数形成したキャップを被せるようにしたことを特徴とする請求項1記載の浴槽用循環口。
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