JP3732748B2 - スパッタ成膜装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄膜の形成に用いられるスパッタ成膜装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光学薄膜や導電性薄膜などの各種の薄膜を形成する際にスパッタリングが行われている。スパッタリングでは、グロー放電で生成された陽イオンを電気的に加速してターゲット材料に衝突させ、これにより叩き出された原子を下地基板に被着させることによって成膜が行われる。グロー放電のために真空槽内にはアルゴンガスなどの不活性ガスが導入されるが、化学反応性スパッタリングを行う際にはさらに酸素ガス,窒素ガスなどの反応ガスの導入も行われる。スパッタリングで形成した薄膜は、抵抗加熱方式や電子線加熱方式に代表される真空蒸着法で形成した薄膜と比較して、成膜に時間がかかるという難点はあるものの、膜構造が緻密で物理,化学的に安定したものが得られ、また基板への付着力の強い薄膜が得られるという利点がある。
【0003】
スパッタリング装置は、真空槽の内部に下地基板を保持した基板ホルダと、ターゲットブロックとを収容して構成され、さらに真空槽の内部を真空引きするための真空排気装置と、基板ホルダとターゲットブロックとの間でグロー放電を生じさせるための電気系装置と、不活性ガスや反応性ガスの供給装置などを備えている。ターゲットブロックは成膜時に陰電極となるターゲットホルダにターゲット材料を固着したもので、下地基板に正対するように真空槽内部に配置されている。成膜時のグロー放電によってターゲットブロックが高温度になると、ターゲットホルダの電気抵抗が大きくなって放電電流を抑制し、グロー放電を安定に保つことが困難になってくるため、ターゲットブロックには水冷用の配管を行うのが通常となっている。
【0004】
薄膜の量産に適したスパッタリング装置は、例えば特開平7−70748号公報に記載されているように、成膜対象となる下地基板を垂直な回転軸の回りに回転するドラム状の基板ホルダの外周面で保持させ、基板ホルダ外周面の外側に設置した複数のターゲットブロックからスパッタリングを行っている。これらのターゲットブロックにそれぞれ同じターゲット材料を装着し、基板ホルダを回転させながら同時に成膜を行うことによって、成膜時間を短縮することが可能となる。また、複数のターゲットブロックに異種のターゲット材料を装着して用いることも可能で、これによれば一回の真空引きで異種の薄膜を組み合わせた多層膜を形成することも可能となる。
【0005】
また、特開平11−92924号公報記載のスパッタリング装置では、垂直な回転軸を中心に傘状の基板ホルダを回転させ、その下側に配置されたターゲットハウスに収容されたターゲットブロックからスパッタリングを行う構造となっている。ターゲットハウス内には複数のターゲットブロックがターレット式に収容され、各々のターゲットブロックに異種のターゲット材料を用い、適宜に交換して使用すれば一回の真空引きで多層膜を形成することもできる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記装置のように、真空槽内に複数のターゲットブロックを配置しておくことにより、一回の真空引きで単層膜,多層膜のいずれについても効率的な成膜が可能となるが、成膜は基板ホルダの片面側だけである。したがって、成膜面積を増やそうとすると基板ホルダを大径のものにするしかなく、成膜装置の大型化が避けられない。また、基板ホルダに下地基板の表裏反転機構を設ければ、一回の真空引きでも下地基板の両面に順次に成膜を行ったり、あるいは2枚重ねした下地基板のそれぞれの表側の面に順次に成膜を行ったりすることが可能となるが、成膜時間が2倍になるほか、基板ホルダに下地基板の表裏反転機構を設けなくてはならず、その精度や信頼性を考慮すると基板ホルダの大幅なコストアップが避けられない。
【0007】
さらに、量産時にはスパッタ成膜工程が終わるごとに成膜済みの下地基板を基板ホルダごと真空槽から取り出し、そして新たな下地基板を保持した別の基板ホルダを真空槽にセットするという形で作業が進められるため、一台のスパッタ成膜装置には複数の基板ホルダが併用される。このため、基板ホルダのそれぞれに下地基板の表裏反転機構が必要となり、コスト面での負担はさらに大きくなる。また、上記各公報記載のスパッタ成膜装置では、ドラム状あるいは傘状の基板ホルダを垂直な回転軸を中心にして回転させる構造であるため、下地基板を保持した基板ホルダの重量が増してくると、クレーンなどを利用して真空槽の上方から基板ホルダを出し入れしなくてはならず、その交換作業が面倒なだけでなく広い作業スペースを要するという欠点もある。
【0008】
本発明は上記背景に鑑みてなされたもので、その目的は、基板ホルダの構造を複雑化させずに従来装置の2倍の効率で成膜を行うことができ、また基板ホルダの交換作業も広い作業スペースを要せずに簡便に行うことができるようにしたスパッタ成膜装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、成膜対象となる下地基板の保持面が表裏両面に設けられ、真空槽内で水平な支軸により回転自在に支持された円板状のホルダプレートと、前記支軸の回りにホルダプレートを回転させる回転機構と、ホルダプレートの表面及び裏面に対して長手方向が平行となるように真空槽内に配置された少なくとも一対のターゲットブロックとを備え、ホルダプレートを前記支軸の回りに垂直姿勢のまま回転させるとともに、ホルダプレートの表面及び裏面と、これらの面にそれぞれ対面して配置された前記各々のターゲットブロックとの間のグロー放電により、ホルダプレートの表面及び裏面に保持された下地基板に同時にスパッタ成膜を行うことができるようにしたものである。したがって下地基板の表裏面に同時に成膜を行ったり、重ね合わされた下地基板のそれぞれの表側の面に同時に成膜を行うことが可能となる。もちろん、一方の面だけに成膜を行うときには、他方の面側ではグロー放電を行わないようにすればよい。
【0010】
ホルダプレートの表裏両側で成膜を行う際には、その各々の面側で成膜過程を監視する必要があるが、そのために本発明のスパッタ成膜装置には、ホルダプレートの表裏面とそれぞれ平行であって、各々のターゲットブロックの中心からの見込み角度が35度以内となる位置で一対のモニタガラスをそれぞれ着脱自在に保持するモニタガラスホルダと、それぞれのモニタガラスに測定光を照射してその反射光に基づいて成膜過程を監視する監視装置とが設けられている。そして、各々のターゲットブロックとホルダプレート両面との間に生じるグロー放電によりホルダプレートの表裏両面に保持された下地基板とモニタガラスに同時にスパッタ成膜を行い、前記監視装置により下地基板に形成される薄膜の膜厚監視ができるようにしている。
【0011】
さらに、ホルダプレート及びターゲットブロックを収容する真空槽に隣接して設けられホルダプレートを垂直姿勢のまま収容する予備室と、真空槽に形成された縦長の出入り口を通してホルダプレートを垂直姿勢のまま予備室と真空槽との間で搬送する搬送手段と、前記開口を気密に閉じる扉とを設けておくことによって、この扉を開いたときには、ホルダプレートを垂直姿勢のまま真空槽に迅速かつ簡便に出し入れすることができ、その作業スペースも大幅に節約することが可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1に本発明のスパッタ成膜装置の外観を示す。真空槽2及び予備室3はそれぞれの架台4,5で支持され、互いに隣接するように配置されている。図2及び図3に示すように、真空室2の側壁には縦長の出入り口6が形成され、通常は扉7によって気密に閉じられている。
【0013】
図1に示すように、予備室3には次に真空槽2に送り込まれる円板状のホルダプレート8が垂直姿勢のまま収容されている。ホルダプレート8は成膜工程中に下地基板を保持する基板ホルダとなる。ホルダプレート8の表裏両面に円周をほぼ等分割するように下地基板の保持部8aが形成され、表裏に設けられた各々の保持部8aにはスパッタ成膜の対象となる下地基板10が装着される。なお、保持部8aに下地基板10を装着する際には下地基板10の形状や寸法に応じた治具が用いられ、異なった形状や寸法の下地基板でも取り付けられるようにしておくことが望ましい。
【0014】
予備室3内でホルダプレート8は垂直姿勢のまま台車11上に載せられ、台車11はその底面に設けられたコロの転動によりレール12上を移動させることができる。レール12は真空槽2の内部にも設けられ、扉7を開放しておけば、出入り口6を通して台車11を真空槽2の中にも移動させることができるようにしてある。なお、予備室3の中は真空引きされることがないので、その外壁は必ずしも強固なものでなくてもよい。予備室3の前面側には扉14が設けられ、真空槽2の扉7を開閉操作するとき、そして台車11を真空槽2に送り込むときに開放される。また、予備室3の背面側には予備室内の台車11にホルダプレート8を載置し、あるいは降ろすときに開放される扉が設けられている。
【0015】
真空槽2の下には、油拡散ポンプや分子ターボポンプ,スクロール型ドライ真空ポンプなどの適宜の真空排気装置15が設けられており、真空排気装置12を作動させることによって、真空槽2の内部を10-6Torr以下の高真空にすることができる。また、スパッタリングを行うときに真空槽2にアルゴンガスなどの不活性ガスを導入するためのガス導入装置も真空槽2の下に設置される。
【0016】
真空槽2の前面のほぼ中央部にホルダプレート8を水平な回転軸の回りに回転させる回転機構17が設けられている。回転機構17は、真空槽11の水平断面を示す図4に表されているように、真空槽11の前面壁及び背面壁に組み込まれ、軸方向に進退自在なチャッキング装置18と、背面壁側に取付けられたモータ19とからなる。チャッキング装置18は真空槽11の内部に突出してホルダプレート8に一体化された支軸8bを両側から保持し、モータ19の回転によりホルダプレート8を回転させる。なお、チャッキング装置18がホルダプレート8の支軸18bを保持したときに、ホルダプレート8は台車11からわずかに持ち上げられ、ホルダプレート8が回転するときに台車11と干渉しないようにしてある。符号12aはレール12の終端に設けられたストッパを示し、このストッパ12で台車11の位置決めを行うと、ホルダプレート8の支軸8bがチャッキング装置18でチャッキングできる位置で停止する。
【0017】
真空槽2の上面壁には、モニタガラス支持機構20a〜20cが組み込まれ、真空槽2の前面壁及び背面壁にはモニタガラス支持機構20a〜20cの組み込み位置に対応して合計6台の膜厚監視装置22が設けられている。図5に示すように、両側のモニタガラス支持機構20a,20bは、開口24を有するケース25と、円板状の1枚のモニタガラス26がそれぞれ両面に固定された円板状のモニタガラスホルダ27と、ギヤを介してモニタガラスホルダ27を一定角度ずつ回転させるステッピングモータ28とを備えている。そして、モニタガラスホルダ27はホルダプレート8とほぼ同じ垂直面内に位置し、その表裏に固定されたモニタガラス26も下地基板10とほぼ同じ垂直面内に位置する。なお、ケース27を開放してモニタガラスホルダ27を取り外すことにより、モニタガラス26の交換ができるようにしてある。
【0018】
また、中央のモニタガラス支持機構20cでは細長い矩形状のモニタガラスが用いられている。このモニタガラスは水平方向に移動自在なモニタガラスホルダの両面に取付けられており、図3に示すように開口24から部分的に露呈している。対応して設けられたステッピングモータを駆動するとラック−ピニオンを介してモニタガラスホルダが水平に移動し、これとともにモニタガラス26が開口24の背後で移動する。
【0019】
それぞれの膜厚監視装置22は、モニタガラス支持機構20a〜20cのケースに形成されたそれぞれの開口24に対面して設けられている。膜厚監視装置22は開口24から露呈したモニタガラス26に垂直に測定光を投光し、その反射光の光量変化を監視する。モニタガラスからの反射光量は、下地基板に被着される薄膜の光学的膜厚(薄膜の物理的膜厚と屈折率との積)に基づく光干渉によって変化するから、この反射光の増減を監視することによって、現在成膜中の薄膜がどの程度の膜厚まで被着されているかを知ることができる。
【0020】
図3及び図4に示すように、真空槽2にはホルダプレート8の表裏面と平行に3本ずつのターゲットブロック30a〜30c、31a〜31cが設けられている。これらのターゲットブロックは、円柱状のターゲットホルダの周面に円筒状のターゲット材料32を固着したもので、ホルダプレート8とターゲットホルダとの間でグロー放電を生じさせてスパッタリングを行うと、ターゲット材料32から叩き出された原子が下地基板10に付着して成膜が行われる。なお、ターゲットブロックとしては、特開平11−71667号公報で知られるようなマグネトロンタイプのものを用いることも可能である。
【0021】
ターゲット材料32から飛散した原子は下地基板10だけでなく開口24を通してモニタガラス26にも被着する。前述したように、下地基板10に形成される薄膜の膜厚をモニタガラス26上で監視するようにしているため、その両者の成膜過程が大きく異なっていると膜厚測定に誤差が生じてくる。これを避けるには、例えばターゲットブロック30aについては、これに対応するモニタガラス支持機構20の開口24が、ターゲットブロック30aの中心からホルダプレート8の表面に降ろした垂線から水平方向に大きく隔たらないようにしておくことが望ましい。
【0022】
すなわち、図4に示すように、ターゲットブロック30aの中心からホルダプレート8の表面に降ろした垂線と、ターゲットブロック30aの中心と開口24の中心とを結ぶ線とのなす見込み角θがあまり大きくならないようにしておくのがよい。そして、この見込み角θを35°以下にしておくと、下地基板10の膜厚監視をモニタガラス26上で行っても実用的には問題のないことが確かめられている。もちろん、他のターゲットブロックとそれに対応した開口24についても同様である。なお、図4では図面の複雑化を避けるためにモニタガラス支持機構についてはモニタガラスホルダ27とモニタガラス26だけを図示した。
【0023】
スパッタリングを行うときには、下地基板10にどのような成膜を行うかに応じて各ターゲットブロックに使用するターゲット材料32の種類が決められる。例えば、ホルダプレート8の表裏面で保持された全ての下地基板10にSiO2 の保護膜を所定の膜厚まで被着する場合には、全てのターゲットブロック30a〜30c、31a〜31cにターゲット材料32としてSiを用いたものを装着しておく。
【0024】
予備室3の扉14及び真空槽2の扉7を開放し、予備室3内に準備されていたホルダプレート8を垂直姿勢のまま真空槽2に搬送する。ホルダプレート8には、その両面に予め成膜対象となる下地基板10が取付けられている。このホルダプレート8が載置された台車11を真空槽2に向けて移動させ、台車11をストッパ12aに当接させて位置決めする。続いてチャッキング装置18を作動させる。チャッキング装置18の先端に設けられたキャッチャがホルダプレート8の支軸8bをキャッチし、強固にこれを保持するとホルダプレート8がわずかに上昇して台車11から離れる。
【0025】
ホルダプレート8がチャッキング装置18によって保持されたことを確認し、扉7を閉じから真空排気装置15を作動させ、真空槽2内を高真空にする。真空槽2の適宜の個所には真空計が取付けられ、真空度を観察することができる。真空槽2が所定の真空度に達した後、適当な真空度になるまでアルゴンガスなどの不活性ガスを真空槽2に導入する。さらに、反応ガスとして酸素ガスを真空槽2内に導入する。酸素ガスは継続的に導入されるが、真空排気装置15を継続的に作動させ、その排気量をバルブ調整により酸素ガスの導入量に合わせておくことが可能であるから、真空槽2内は一定の酸素雰囲気に保たれるようになる。
【0026】
続いて図示せぬ冷却用配管に通水して各ターゲットブロック30a〜30c、31a〜31cを冷却する。成膜工程を始める前にモータ19を駆動し、チャッキング装置18ともどもホルダプレート8を水平な回転軸を中心にゆっくりと回転させる。続いて電源装置を作動させ、それぞれのターゲットブロック30a〜30c、31a〜31cを陰電極、ホルダプレート8が陽電極となるように高電圧を印加する。これによりグロー放電が開始され、それぞれのターゲット材料32から飛散したSi原子は酸素雰囲気中を通って酸化され、SiO2 分子となって下地基板10の表面に付着する。
【0027】
さらに、それぞれのターゲット材料32から飛散したSi原子は、対応して設けられているモニタガラス支持機構20a〜20cの開口24を通し、それぞれのモニタガラス26上にも付着する。なお、各々のターゲットブロックとホルダプレート8の表裏面との間にシャッタを設け、このシャッタの開閉により成膜工程の開始及び終了を制御することも可能である。
【0028】
成膜工程では、表裏面にそれぞれ下地基板10を保持したホルダプレート8が水平な回転軸の回りに回転し、ターゲットブロック30a〜30c、31a〜31cと、ホルダプレート8の表裏面との間で一斉にグロー放電が行われるため、全ての下地基板10に並行してSiO2 の薄膜が形成されてゆく。そして、ターゲットブロック30a,30bによる成膜の過程は、モニタガラス支持機構20a,20bの前面側のモニタガラス26からの反射光を対応する膜厚監視装置22で監視することができ、またターゲットブロック30cによる成膜の過程は、モニタガラス支持機構20cの前面側のモニタガラス26からの反射光に基づいて監視することができる。もちろん、裏面側の下地基板10についても、モニタガラス支持機構20a,20b,20cの裏面側のモニタガラス26からの反射光に基づいて監視することができる。
【0029】
前面側の下地基板10はホルダプレート8の回転により、ターゲットブロック30a,30b,30cで成膜が行われることになり、その膜厚は、モニタガラス支持機構20a,20b,20cのモニタガラス26により個別的に測定される膜厚とは異なるが、その両者間には一定の相関関係があるから、対応するそれぞれの膜厚監視装置22からの信号をその相関関係に応じて評価することによって、下地基板10の膜厚を把握することが可能となる。なお、ホルダプレート8の裏面側の下地基板10についても、全く同様にその膜厚を知ることができるのはもちろんである。
【0030】
こうして所定の膜厚に達したことが測定された時点でグロー放電が中止され、成膜工程が終了する。モータ19の駆動を止め、チャッキング装置18を徐々に解除してゆくとホルダプレート8が下がり、台車11の上に再び載置される。真空排気装置15の運転を止めて真空槽2に徐々に外気を導入して外気圧と等しくし、適宜の空冷期間を置いた後、予備室3の扉14及び真空槽2の扉7を開放する。台車11を真空槽2から引き出して予備室3に移動する。予備室3内には、ホルダプレート8の軸方向に収容スペースが設けられているので、台車11からホルダプレート8を外してその収容スペースに垂直姿勢のまま保管することができる。そして、次に用意されている新たなホルダプレート8を台車11に移し、同様の手順でこれを真空槽2に送り込むことができる。
【0031】
新たに送り込まれたホルダプレート8上の下地基板10に同様の成膜を行うときには、モニタガラス支持機構20a〜20cに組み込まれているステッピングモータを一定量駆動してモニタガラスホルダ27を一定角度回転させる。これにより、開口24にはモニタガラス26の新たな面が露呈するので、以後は全く同様にして成膜を行えばよい。なお、ホルダプレート8の前面側に設けられたターゲットブロック30a〜30cのターゲット材料32にSiを用い、裏面側のターゲットブロック31a〜31cのターゲット材料32にTiを用いれば、いずれも酸素雰囲気中でグロー放電を行うことによって、前面側の下地基板10にはSiO2 薄膜を、裏面側の下地基板10にはTiO2 薄膜を同時又は順次に形成することもできる。順次に成膜を行う場合には、それぞれの成膜工程中での酸素ガスの導入量を変えることも可能であり、いずれにせよ一回の真空引きで効率的な成膜を行うことができる。
【0032】
さらに、ターゲットブロック30a〜30cの各々の間でそのターゲット材料32の種類を変え、同様に裏面側のターゲットブロック31a〜31cについてもターゲット材料32の種類を変えておけば、ホルダプレート8表裏に保持された下地基板に同時に多層膜を形成することも可能となる。この場合には、その膜構成に応じ、必要なターゲットブロックにだけ高電圧を印加し、そのターゲットブロックとホルダプレート8との間でグロー放電を生じさせればよい。モニタガラス支持機構20a〜20cはターゲットブロックごとに用いることができるので、個々のターゲットブロックごとにその成膜過程を監視すればよい。
【0033】
また、多層膜の膜構成によっては、同一のターゲットブロックを複数回用いて成膜を行うこともあり得るが、そのときにはそのターゲットブロックに対応して設けられたモニタガラス支持機構のモニタガラスホルダを一回の成膜ごとに一定量移動させ、その都度、開口24に新たなモニタガラス面を露呈させるようにすれば、より確実な膜厚監視が可能となる。さらに、ホルダプレート8の下地基板保持部分に開口を形成し、下地基板10の表裏面をそれぞれホルダプレート8の表裏に露呈させるようにしておけば、一回の真空引きで下地基板10の表裏面に所望の薄膜を形成することができる。
【0034】
以上、図示した実施形態に基づいて本発明について説明してきたが、一枚のホルダプレート8の表裏面にそれぞれ下地基板10を保持させる代わりに、片面だけに下地基板10を保持させた二枚のホルダプレート8を背中合わせに同軸に重ね、これらを水平な回転軸の回りに同時に回転させて成膜を行っても同様の作用が得られる。なお、本発明を実施するうえでは、真空槽2や予備室3の形状,寸法は適宜に選択することができる。また、ターゲットブロックの個数や形状、設置位置についても変更が可能で、必ずしも図示した形態にのみ限られない。
【0035】
【発明の効果】
以上のように、本発明装置によれば、ホルダプレートの表裏両面に保持された下地基板に対し、ホルダプレートの表裏に配置されたターゲットブロックを利用して成膜を行う構成にしてあるから、単層はもとより多層構成の薄膜でも一回の真空引きの後で同時に、又は順次に形成してゆくことができ、従来装置よりも2倍の効率で成膜を行うことが可能となる。さらに、下地基板を保持したホルダプレートを真空槽の側方から垂直姿勢のままで出し入れする構成にしてあるから、ホルダプレートの取り出しや装填が簡単になり成膜装置周囲のスペースも節約することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を用いたスパッタ成膜装置の外観図である。
【図2】真空槽の外観図である。
【図3】真空槽の要部垂直断面図である。
【図4】真空槽の要部水平断面図である。
【図5】モニタガラス支持機構の概略断面図である。
【符号の説明】
2 真空槽
3 予備室
7 扉
8 ホルダプレート
10 下地基板
18 チャッキング装置
19 モータ
20a〜20c モニタガラス支持機構
22 膜厚監視装置
24 開口
26 モニタガラス
27 モニタガラスホルダ
28 ステッピングモータ
Claims (3)
- 成膜対象となる下地基板の保持面が表裏両面に設けられ、真空槽内で水平な支軸により回転自在に支持された円板状のホルダプレートと、
前記支軸の回りにホルダプレートを回転させる回転機構と、
ホルダプレートの表面及び裏面に対して長手方向が平行となるように真空槽内に配置された少なくとも一対の円柱状のターゲットブロックと、
ホルダプレートの外周でホルダプレートの表裏面とそれぞれ平行に、かつ前記各々のターゲットブロックの中心からの見込み角度が35度以内となるようにそれぞれ個別のモニタガラスを着脱自在に保持するモニタガラスホルダと、
ホルダプレートの表面側と裏面側とからモニタガラスのそれぞれに垂直に測定光を照射し、その垂直反射光に基づいて成膜時の膜厚を個別に監視する一対の膜厚監視装置とを備え、
ホルダプレートを前記支軸の回りに垂直姿勢のまま回転させるとともに、ホルダプレートの表面及び裏面と、これらの面にそれぞれ対面して配置された前記各々のターゲットブロックとの間のグロー放電により、ホルダプレートの表面及び裏面に保持された下地基板とそれぞれのモニタガラスに同時にスパッタ成膜が行われるようにしたことを特徴とするスパッタ成膜装置。 - ホルダプレートの表裏面の少なくとも一方に円柱状のターゲットブロックがその長手方向が互いに平行となるように複数本設けられ、これらのターゲットブロックごとに前記モニタガラスホルダが設けられていることを特徴とする請求項1記載のスパッタ成膜装置。
- ホルダプレート及びターゲットブロックを収容する真空槽の側方に隣接して設けられ、ホルダプレートを垂直姿勢のまま収容する予備室と、真空槽に形成された縦長の出入り口を通してホルダプレートを垂直姿勢のまま予備室と真空槽との間で搬送する搬送手段と、前記出入り口を気密に閉じる扉とを備えたことを特徴とする請求項1又は2記載のスパッタ成膜装置。
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