JP3732570B2 - 超音波流量計 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は超音波流量計の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の超音波流量計では流体の流れ中を流れと斜め方向に超音波ビームを発射し、超音波ビームの軸線上での線平均流速を測定し、それを流管断面での平均流速に変換し、これに流管断面積を乗算することで流量の算出を行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
流管内の流速分布は層流と乱流では異なるため、正確な流速を求めるには流れの状態が層流か乱流かによって計算式を変更する必要がある。ところが前記従来の技術では、流管内の流れが層流か乱流かを判別する手段がないため、流量の計測精度が向上できないとか、レンジアビリティを拡大できないという問題点があった。
【0004】
そこで本発明はこれらの問題点を解消できる超音波流量計を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1の発明は、
断面が円形の流管内を流れる流体の流れ中を流れと斜め方向に超音波ビームを発射し、該超音波ビームの軸線(4)上での線平均流速(Ve)を測定し、それを流管断面での平均流速に変換した値に基いて流量を算出する超音波流量計において、
流管(1)の中心軸(X)上を流れと平行な方向に第2の超音波ビームを発射して最大流速(Va)を測定し、
該最大流速(Va)と前記線平均流速(Ve)との比より流れが層流であるか乱流であるかを判別して、線平均流速(Ve)を流管断面での平均流速に変換する計算式を変更するようにしたことを特徴とする超音波流量計である。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1の超音波流量計において、
最大流速(Va)と線平均流速(Ve)との比(Va/Ve)が一定値を超えるときには流れが層流であると判別し
前記比(Va/Ve)が一定値以下のときには流れが乱流であると判別することを特徴とするものである。
【0007】
そして、請求項3の発明は、請求項1又は2の超音波流量計において、
流れと斜め方向の超音波ビームによって該ビームの軸線(4)上での線平均流速(Ve)を測定するために管璧に設けた二つの超音波素子(2),(3)と、
第2の超音波ビームによって最大流速(Ve)を測定するために流れ中に設けた二つの超音波素子(5),(6)とを具備したことを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の好ましい実施の形態で、1は断面が円形の流管で、該流管(1)内を図示左右方向に流体が流れている。
【0009】
2と3は流管1の管壁に設けた超音波素子で、両素子間で超音波パルスの送受を行うことで超音波ビームの軸線4上での線平均流速Veを測定するための素子である。
【0010】
軸線4上での線平均流速Veは、一方の超音波素子2から他方の超音波素子3までの超音波の伝搬時間と、他方の超音波素子3から一方の超音波素子2までの超音波の伝搬時間とから、時間逆数差法を用いて音速と無関係に求める周知の方法で測定する。
【0011】
5と6は流管1の中心軸X−X上に離れて配置した超音波素子で、両素子の間で超音波パルスの送受を行うことで超音波ビームの軸線7上における最大流速Vaを測定する。
【0012】
最大流速Vaは超音波の順方向伝搬時間と逆方向伝搬時間とから時間逆数差法を用いて音速と無関係に求める。
図2に示すように、流管1の軸線方向の座標をχ、半径方向の座標をrとすると、円形断面の流管1内での流速v(r)は、層流の場合(レイノルズ数Re≦2300)、
v(r)=(R2 /4μ)(−dp/dχ){1−(r/R)2 }…(1)
であらわされる。
【0013】
但し、 R:流管1の半径
μ:流体の粘度
−dp/dχ:管壁による摩擦損失
である。
【0014】
上記(1)式より、軸線7上の最大流速Vaは
Va=(R2 /4μ)(−dp/dχ)…(2)
となる。
【0015】
また軸線4上の線平均速度Veは
Ve=(R2 /6μ)(−dp/dχ)…(3)
となる。
【0016】
従って、流れが層流の場合の最大流速Vaと線平均流速Veとの比、つまり流速比Kは
となり、一定である。
【0017】
流れが層流の場合の流速分布を図3(a)に示す。
次に、流れが乱流の場合の流速分布は図3(b)のようになり、層流とは異なる流速分布になる。
【0018】
乱流の場合の流速分布v(r)は、実験式である指数法則の式で示すと、次の(5)式となる。
v(r)=Va{1−(r/R)}1/n …(5)
但し、
n=2.1logRe−1.9
である。
【0019】
(5)式を解いて、超音波ビームの軸線4上の線平均流速Veを求めると、
Ve={n/(n+1)}Va…(6)
となる。従って流速比Kは
K=Va/Ve=(n+1)/n…(7)
となる。
【0020】
ここで、乱流となる最小のレイノルズ数Re=2300を考えたとき、n=5.16となり、流速比Kは
K≦1.2…(8)
となる。
【0021】
上述のように、層流と乱流では(4)式と(8)式に示すように流速比Kの値が明確に違うため、流速比Kの値によって流れの状態が層流か乱流かを判別する。
【0022】
そして、層流の場合と乱流の場合とで異なる計算式を用いて、前記線平均流速Veを流管1の断面での平均流速に変換し、変換した平均流速に基いて流量を算出する。
【0023】
線平均流速Veを、層流や乱流の場合に、流管断面での平均流速に変換する計算式は周知の式を用いることができる。
そして、こうして求めた流管断面での平均流速に流管断面積を乗算して流量を算出するのも周知の計算を用いる。
【0024】
【発明の効果】
本発明の超音波流量計は上述のように構成されているので、層流か乱流かで断面平均流速の計算式を変更できるため、より正確な流量計測が可能となり、測定精度が向上する。
【0025】
また層流、乱流にかかわらず高精度の測定ができるため、広い流量範囲での測定が可能となり、レンジアビリティの拡大に役立つ。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す縦断面図である。
【図2】流速分布を説明する図である。
【図3】(a)は層流の流速分布、(b)は乱流の流速分布を示す図である。
【符号の説明】
1…流管
2,3,5,6…超音波素子
4,7…超音波ビームの軸線
X…流管の中心軸
Va…最大流速
Ve…線平均流速
Claims (3)
- 断面が円形の流管内を流れる流体の流れ中を流れと斜め方向に超音波ビームを発射し、該超音波ビームの軸線(4)上での線平均流速(Ve)を測定し、それを流管断面での平均流速に変換した値に基いて流量を算出する超音波流量計において、
流管(1)の中心軸(X)上を流れと平行な方向に第2の超音波ビームを発射して最大流速(Va)を測定し、
該最大流速(Va)と前記線平均流速(Ve)との比より流れが層流であるか乱流であるかを判別して、線平均流速(Ve)を流管断面での平均流速に変換する計算式を変更するようにしたことを特徴とする超音波流量計。 - 最大流速(Va)と線平均流速(Ve)との比(Va/Ve)が一定値を超えるときには流れが層流であると判別し
前記比(Va/Ve)が一定値以下のときには流れが乱流であると判別することを特徴とする請求項1記載の超音波流量計。 - 流れと斜め方向の超音波ビームによって該ビームの軸線(4)上での線平均流速(Ve)を測定するために管璧に設けた二つの超音波素子(2),(3)と、
第2の超音波ビームによって最大流速(Ve)を測定するために流れ中に設けた二つの超音波素子(5),(6)とを具備したことを特徴とする請求項1又は2記載の超音波流量計。
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-
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- 1996-04-11 JP JP08920496A patent/JP3732570B2/ja not_active Expired - Fee Related
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