JP5070620B2 - 超音波流量計及び流量計測方法 - Google Patents

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Description

本発明は、超音波流量計及び流量計測方法、より詳細には、主にガスなどの流体の流速や流量を計測する超音波流量計及び該超音波流量計による流量計測方法に関する。
従来、流路を流れる流体の流速を計測する際に、流路を流れる流体には、その流量によって流速分布が異なることが流体力学的に一般に知られている。すなわち、流れが遅い時には、流路幅方向で層流と呼ばれる放物線形状の流速分布を示し、ピークの流速と、平均流速とが異なる分布状態となる。逆に流れが速くなると、徐々にその分布は崩れ、乱流域と呼ばれる流域となり、その時の流速分布は、ピーク流速が平均流速と等しい形状となるバスタブ形状と呼ばれる流速分布となり、その流速分布は流路幅方向で一様に等しい分布状態となる。
また、層流域では、放物線形状の流速分布形状に若干の相異が発生し、幅方向での流速差は一定では無い。更に層流域では、ガス種や、流路形状寸法等により、流速分布が異なることが一般に知られている。
このように流量域、流体の種類、流路形状寸法等により、流路幅方向での流速分布に差が存在すると、超音波トランスジューサにより流速分布を横切るように超音波を送受信させ、流路を流れる流体を計測する際に、流量域によって、計測される平均流速は分布の影響を受けてしまう。この分布の影響により計測した値には誤差が含まれるため、正確な流量を算出できないことになる。
仮にこの誤差の影響を補正するにしても、計測している流速分布そのものが把握出来ないので、流量域による流速分布を平均流速として補正することは極めて困難である。
このような問題に対して、例えば、特許文献1には、この分布の影響を低減し、どの流量域でも平均化された流速分布が得られるように、流路内部の幅方向を複数のエリアに分割し、特に層流域で発生する放物線形状の流速分布を平滑化するように、流路内部に仕切部材を配置する構成が記載されている。これによれば、層流域でも乱流域と同様に平均化された流速分布を計測し扱えるようになるため、正確な流速を算出でき、高精度に流量を算出することができる。
特開2005−257363号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の発明の場合、仕切部材を流路内部に挿入することで、流れに対して抵抗を発生させることになり、圧力損失が顕著化してしまうという問題がある。仮にこの圧力損失を一定レベルに抑えることができたとしても、製品の固体差、仕切部材の組み込み精度、バラツキ、温度因子等による影響を考慮すると、製品の安定性、歩留り等にも影響する可能性がある。さらに、仕切部材を追加することで、部品点数が増加し、これに伴いコスト高となってしまうという問題がある。
本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたものであり、流路内部に仕切部材などを介在させること無く、流速分布が流量域で変化しても、流速分布状態のパターンを推定し、その流速分布パターンに基づいて被測定流体の流量を算出することができる超音波流量計及び該超音波流量計による流量計測方法を提供すること、を目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、被測定流体が流れる流路と、該流路の上流側と下流側に該流路を挟んで対向する位置に配置された一対の超音波素子と、該一対の超音波素子により送受信される超音波の伝播時間に基づいて前記被測定流体の流量を算出する流量算出手段とを備えた超音波流量計であって、前記一対の超音波素子は、該一対の超音波素子から放射され且つ指向特性が流路幅よりも狭い第1の超音波パターンと、相手側の超音波素子の放射面で反射・拡散し且つ前記第1の超音波パターンと指向特性の異なる第2の超音波パターンとにより、前記流路幅を2種類の検出エリアし、前記流量算出手段は、前記一対の超音波素子間で送受信される前記第1の超音波パターン及び前記第2の超音波パターンの伝播時間の比の値あるいは該伝播時間から算出される流速の比の値に基づいて、前記被測定流体の流速分布を推定し、該推定した流速分布に応じた補正係数を、前記一対の超音波素子間で送受信される前記第1の超音波パターンの伝播時間及び前記第2の超音波パターンの伝播時間に基づいて算出される流量値に付与し、前記被測定流体の流量を算出することを特徴としたものである。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記流量算出手段は、前記流路の上流側超音波素子から放射された超音波が下流側超音波素子で受信されるまでの順方向直接伝播時間と、前記下流側超音波素子で受信された受信波の特定のゼロクロスポイントを起点とし、前記下流側超音波素子の放射面で反射した反射波が再び前記上流側超音波素子で受信されるまでの逆方向反射伝播時間とを1回の動作で計測し、これとは逆に、前記下流側超音波素子から放射された超音波が前記上流側超音波素子で受信されるまでの逆方向直接伝播時間と、前記上流側超音波素子で受信された受信波の特定のゼロクロスポイントを起点とし、前記上流側超音波素子の放射面で反射した反射波が再び前記下流側超音波素子で受信されるまでの順方向反射伝播時間とを1回の動作で計測することを特徴としたものである。
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記上流側超音波素子から放射された超音波が下流側へ直接伝播する順方向直接伝播パターンと、前記上流側超音波素子の放射面で反射した反射波が再び下流側へ反射伝播する順方向反射伝播パターンとは、前記流路の上流側から下流側へ伝播する順方向において指向特性が異なり、これとは逆に、前記下流側超音波素子から放射された超音波が上流側へ直接伝播する逆方向直接伝播パターンと、前記下流側超音波素子の放射面で反射した反射波が再び上流側へ反射伝播する逆方向反射伝播パターンとは、前記流路の下流側から上流側へ伝播する逆方向において指向特性が異なり、前記第1の超音波パターンは、前記順方向直接伝播パターンと前記逆方向直接伝播パターンとを含み、前記第2の超音波パターンは、前記順方向反射伝播パターンと前記逆方向反射伝播パターンとを含むことを特徴としたものである。
請求項の発明は、請求項1〜3のいずれか1の発明において、前記流量算出手段は、流体の種類、流路寸法、流量レンジの少なくとも1つに基づいて、前記補正係数とは異なる別の補正係数を付与することを特徴としたものである。
請求項の発明は、被測定流体が流れる流路と、該流路の上流側と下流側に該流路を挟んで対向する位置に配置された一対の超音波素子と、該一対の超音波素子により送受信される超音波の伝播時間に基づいて前記被測定流体の流量を算出する流量算出手段とを備えた超音波流量計による流量計測方法であって、前記一対の超音波素子から放射され且つ指向特性が流路幅よりも狭い第1の超音波パターンと、相手側の超音波素子の放射面で反射・拡散し且つ前記第1の超音波パターンと指向特性の異なる第2の超音波パターンとにより、前記流路幅を2種類の検出エリアし、前記一対の超音波素子で送受信される前記第1の超音波パターン及び前記第2の超音波パターンの伝播時間の比の値あるいは該伝播時間から算出される流速の比の値に基づいて、前記被測定流体の流速分布を推定し、該推定した流速分布に応じた補正係数を、前記一対の超音波素子間で送受信される前記第1の超音波パターンの伝播時間及び前記第2の超音波パターンの伝播時間に基づいて算出される流量値に付与し、前記被測定流体の流量を算出することを特徴としたものである。
本発明によれば、流路内部に仕切部材などを介在させること無く、流速分布が流量域で変化しても、流速分布状態のパターンを推定し、その流速分布パターンに基づいて被測定流体の流量を算出することができるため、高精度な流量検出を行うことができる。
図1は、本発明の超音波流量計が備える超音波素子の配置例を示す図である。図1(A),(B)は一対の超音波素子を側面から見たときの配置例を示す。本発明の超音波流量計は、被測定流体が流れる流路30と、流路30を挟んで対向する位置に配置された一対の超音波トランスジューサ10,20と、一対の超音波トランスジューサ10,20により送受信される超音波の伝播時間に基づいて流路30を流れる被測定流体の流量を算出する流量算出部13とを備える。
超音波トランスジューサ10は、音響整合層11、圧電素子12を備える。また、超音波トランスジューサ10と対となる超音波トランスジューサ20は、同様に、音響整合層21、圧電素子22を備える。一対の超音波トランスジューサ10と20は、流れ方向に対して角度θだけ傾いて設置され、両者の放射面間の距離はL(伝播長)となる。なお、本例の場合、流路30の中を、被測定流体が図の矢印の方向に向かって流速Vで流れているものとする。
図1(A),(B)に例示するように、流路30の幅方向に対して、圧電素子構造を有する超音波トランスジューサ10,20が、流路30の上流側及び下流側であって、流路流れ方向に対して斜めに対向する位置に配置される。
図1(A)に示すように、流体が流れる流路30の上流側及び下流側に、流れを横切るように一対の超音波トランスジューサ10,20を対向させて配置させ、上流側の超音波トランスジューサ10から下流側の超音波トランスジューサ20の順方向に直接伝播され、また、下流側の超音波トランスジューサ20から上流側の超音波トランスジューサ10の逆方向に直接伝播される超音波ビームを本発明の第1の超音波パターン(以下、超音波パターン1)という。
この超音波パターン1は、超音波トランスジューサ自身の寸法、共振周波数、放射面の振動変位とで決定される指向特性(θ1/2=X)を有し、流路幅方向よりも狭く、流路幅方向の中央部を伝播する超音波ビームのパターンである。指向特性(θ1/2=X)を有する送信時の超音波パターン1の例を図2(A),(B)に示す。なお、図2(A),(B)では超音波トランスジューサ20のみを示し、超音波トランスジューサ10の記載を省略するが、両者は同様の構成を備えるものとする。
一方、上流側の超音波トランスジューサ10から下流側の超音波トランスジューサ20へ伝播した超音波(超音波パターン1)が、下流側の超音波トランスジューサ20の放射面で面反射し、下流側から再び上流側の超音波トランスジューサ10の逆方向へ反射伝播され、また、下流側の超音波トランスジューサ20から上流側の超音波トランスジューサ10へ伝播した超音波(超音波パターン1)が、上流側の超音波トランスジューサ10の放射面で面反射し、上流側から再び下流側の超音波トランスジューサ20の順方向へ反射伝播される超音波ビームを本発明の第2の超音波パターン(以下、超音波パターン2)という。
この超音波パターン2は、互いの超音波トランスジューサ10,20の放射面で面反射することで超音波が拡散し、超音波パターン1の指向特性(θ1/2=X)とは異なり、流路幅に近い広がりとなる指向特性(θ1/2=Y)を有する。指向特性(θ1/2=Y)を有する反射時の超音波パターン2の例を図3(A),(B)に示す。なお、図3(A),(B)では超音波トランスジューサ20のみを示し、超音波トランスジューサ10の記載を省略するが、両者は同様の構成を備えるものとする。
このように、2種類の異なる指向特性(X,Y)を有する超音波ビームのパターンにより、流路30の幅方向で発生する流速分布を、ほぼ2つの検出エリアに分割することができる。すなわち、上流側の超音波トランスジューサ10から放射された超音波が下流側へ直接伝播する順方向直接伝播パターン(指向特性X)と、上流側の超音波トランスジューサ10の放射面で反射した反射波が再び下流側へ反射伝播する順方向反射伝播パターン(指向特性Y)とは、流路30の上流側から下流側へ伝播する順方向において指向特性が異なる。これとは逆に、下流側の超音波トランスジューサ20から放射された超音波が上流側へ直接伝播する逆方向直接伝播パターン(指向特性X)と、下流側の超音波トランスジューサ20の放射面で反射した反射波が再び上流側へ反射伝播する逆方向反射伝播パターン(指向特性Y)とは、流路30の下流側から上流側へ伝播する逆方向において指向特性が異なる。
図2に示す超音波パターン1は、指向特性Xを有し、順方向直接伝播パターンと逆方向直接伝播パターンとを含む直接伝播分である。また、図3に示す超音波パターン2は、順方向反射伝播パターンと逆方向反射伝播パターンとを含む反射伝播分である。流量算出部13は、超音波パターン1,2の伝播時間あるいは該伝播時間から算出される流速に基づいて、被測定流体の流速分布を推定し、推定した流速分布から被測定流体の流量を算出する。
流路を流れる被測定流体は、流量により幅方向での流速分布に差ができる。特に、流速が遅い範囲では、幅方向での流速分布は放物線形状であり、流速が速い範囲には、バスタブ形状となることが一般的に知られている。そこで、前述したように、流路幅方向で発生する流速分布を、幅方向全体のエリアと、中心エリアとを伝播する2種類の超音波ビームが得られるように、2種類の異なる指向特性を備えるようにする。すなわち、超音波トランスジューサ間で直接送受信される超音波ビームが流路幅よりも狭いビームパターンとなる指向特性と、媒質中を伝播し相手側の超音波トランスジューサの放射面で反射する超音波ビームが、面反射して拡散する効果を利用し、流路幅方向に一様に広がるビームパターンとなる指向特性である。
このように、それぞれ異なる検出エリアを有する2種類の超音波パターンによりそれぞれ独立に超音波を送受信できる構成とすることで、幅方向で発生する流速分布のパターンによる微妙な相異を識別でき、流量による流速分布の相異による計測誤差を著しく低減することができる。
また、流路内部に流速の分布を制御するための仕切板、整流板等の付加部材を使用しなくても、同等な精度が確保出来るため、製造コストの低減を図ることができる。
また、2種類の異なる超音波パターンによる伝播時間の相異から、直接流速分布の状態が把握できるので、流路寸法、仕切板の配置精度、寸法精度等の固体差による影響を受けることがなく、さらには、温度による影響も少ないため、安定性が良く高精度な流速計測を実現可能とする。
図2において、上流側の超音波トランスジューサ10から放射された超音波が、下流側の超音波トランスジューサ20で直接受信されるまでの順方向直接伝播時間を“Tj1”とし、これとは逆に、下流側の超音波トランスジューサ20から放射された超音波が、上流側の超音波トランスジューサ10で直接受信されるまでの逆方向直接伝播時間を“Tg1”とする。また、図3において、上流側の超音波トランスジューサ10で受信した受信波の特定のゼロクロスポイントを起点とし、上流側の超音波トランスジューサ10の放射面で反射した反射波が再び下流側の超音波トランスジューサ20で受信されるまでの順方向反射伝播時間を“Tj2”とし、これとは逆に、下流側の超音波トランスジューサ20で受信した受信波の特定のゼロクロスポイントを起点とし、下流側の超音波トランスジューサ20の放射面で反射した反射波が再び上流側の超音波トランスジューサ10で受信されるまでの逆方向反射伝播時間を“Tg2”とする。
図4は、順方向計測時における流量計測方法の一例を説明するための図である。順方向計測の場合、超音波流量計は、順方向直接伝播波1による順方向直接伝播時間Tj1と、逆方向反射伝播波1による逆方向反射伝播時間Tg2とを、1回の動作で一度に計測する。なお、逆方向反射伝播時間Tg2は、上流側の超音波トランスジューサ10からの超音波が下流側の超音波トランスジューサ20で受信されると同時に計測が開始される。
図5は、逆方向計測時における流量計測方法の一例を説明するための図である。逆方向計測の場合、超音波流量計は、逆方向直接伝播波2による逆方向直接伝播時間Tg1と、順方向反射伝播波2による順方向反射伝播時間Tj2とを、1回の動作で一度に計測する。なお、順方向反射伝播時間Tj2は、下流側の超音波トランスジューサ20からの超音波が上流側の超音波トランスジューサ10で受信されると同時に計測が開始される。
順方向直接伝播時間Tj1と逆方向直接伝播時間Tg1に対応した指向特性が流路幅よりも狭く、流路の中心部エリアを伝播する超音波パターンと、逆方向反射伝播時間Tg2と順方向反射伝播時間Tj2に対応した指向特性が流路幅と略等しく、流路幅方向全体のエリアを伝播する超音波パターンとにより、流路幅方向で発生する流速分布を推定することができる。すなわち、この2種類の超音波パターンの伝播時間あるいは伝播時間より算出される流速に基づいて、流路幅方向で発生する流速分布のパターンによる微妙な流速分布の相異を識別し、流量による流速を算出し流量を演算することができる。
このように、上流側の超音波トランスジューサから放射される超音波が、下流側の超音波トランスジューサで直接受信されるまでの直接伝播時間(直接伝播波)と、更に受信波の特定のゼロクロスポイントを起点とし、このゼロクロスポントから再び上流側の超音波トランスジューサで受信されるまでの反射伝播時間(反射後退波)とが、1回の動作により一度に計測され、これとは逆に、下流側の超音波トランスジューサから放射される超音波が、上流側の超音波トランスジューサで直接受信されるまでの直接伝播時間(直接伝播波)と、更に受信波の特定のゼロクロスポイントを起点とし、このゼロクロスポントから再び下流側の超音波トランスジューサで受信されるまでの反射伝播時間(反射後退波)とが、1回の動作により一度に計測される。この結果、指向特性が互いに異なる2種類の超音波パターンによる順方向及び逆方向、それぞれ2回1セットの計測ですむため、消費電力の低減が図れる。
また、直接伝播波による指向特性が流路幅よりも狭い超音波ビームとして流路の中心部エリアを伝播する超音波パターンと、受信側の超音波トランスジューサの放射面で面反射し拡散する反射波による超音波ビームとして流路幅方向全体のエリアを伝播する超音波パターンとは互いに指向性が異なるため、この2種類の指向特性の異なる超音波ビームにより、流路幅方向で発生する流速分布パターンの微妙な相異を識別できる。このため、流量による流速分布の相異による計測誤差を著しく低減することが可能となる。
また、この指向特性の異なる2種類の超音波ビームのパターンにより計測された伝播時間あるいは伝播時間から算出された流速から、流路幅方向に2つに区分けされた各エリアにおける流速が算出できるため、各エリアの流速より流量を算出することが可能となる。
図6は、本発明の超音波流量計による流量計測方法の一例を説明するための図である。図6(A)は超音波送信時の超音波パターン1による送信ビームエリアの状態を示し、図6(B)は超音波反射時の超音波パターン2による反射ビームエリアの状態を示す。前述したように、順方向直接伝播時間Tj1と逆方向反射伝播時間Tg2とを1回の動作で計測する。また、これと逆に、逆方向直接伝播時間Tg1と順方向反射伝播時間Tj2とを1回の動作で計測する。
流量算出部13は、図6(A),(B)に示す超音波パターン1,2、すなわち、流路30の上流側から下流側へ順方向に伝播する互いに指向特性の異なる2種類の超音波パターン及び流路30の下流側から上流側へ逆方向に伝播する互いに指向特性の異なる2種類の超音波パターンによる伝播時間の比の値あるいは該伝播時間から算出される流速の比の値に基づいて、流路30の幅方向における流速分布を推定し、推定した流速分布に応じた最適な補正係数を付与し、被測定流体の流量を算出する。
図6(A)に示す超音波パターン1(Tj1,Tg1)は、指向特性X(=θ1/2)を有し、流路30の中心部エリアを計測する音波ビームパターンである。また、図6(B)に示す超音波パターン2(Tg2,Tj2)は、指向特性Y(=θ1/2)を有し、受信側の超音波トランスジューサの放射面で面反射し拡散する反射波による音波ビームパターンである。流路幅方向全体のエリアを伝播する2種類の音波ビームパターンにおける各伝播時間の比は、
Tj1/Tj2=α、Tg1/Tg2=β …式(1)
となる。この比α,βの値を比較し、その大小関係に基づいて、流路幅方向における流速分布のパターンを推定し、妥当な流量域を予測し、被測定流体の流量を算出することができる。
また、2種類の音波ビームパターンにおける各伝播時間の計測結果から算出した2種類の流速値をV1、V2とすると、
V1={L/(2・COSθ)}・(1/Tj1−1/Tg1) …式(2)
V2={L/(2・COSθ)}・(1/Tj2−1/Tg2) …式(3)
より算出される。なお、Lは超音波トランスジューサ10,20の放射面間の距離、θは流れ方向とのなす角度である。これらの流速結果から、2種類の音波ビームパターンによる流速の比の値を比較し、その大小関係に基づいて、流路幅方向における流速分布のパターンを推定し、妥当な流量域を予測し、被測定流体の流量を算出することができる。
図6(C)は図6(A)に示す超音波パターン1の流量域による流速分布の差を示し、図6(D)は図6(B)に示す超音波パターン2の流量域による流速分布の差を示す。図中、流速パターン(1)は層流域であり、層流域(1)によるα及びβをα1及びβ1とし、また、流速パターン(2)は層流域であり、層流域(2)によるα及びβをα2及びβ2とし、更に、流速パターン(3)は乱流域であり、乱流域(3)によるα及びβをα3及びβ3とする。
この場合、その大小関係は、
α1(β1)>α2(β2)>α3(β3)≒1 …式(4)
の関係となり、それぞれの比の値により、流量域による妥当な流速分布パターンを推定し、この推定した流速分布から被測定流体の流量を算出することができる。
もちろん流量域の把握は、2種類の音波ビームパターンより計測されたそれぞれの伝播時間から算出した流速値としてもよく、その流速の大小関係から流量域を予測しても良い。
すなわち、図6(C)に示す各流速分布パターン、すなわち層流域(1),(2)、乱流域(3)において、図6(A)に示す超音波パターン1による流速をVc、図6(B)に示す超音波パターン2による流速をVwとすると、その大小関係により流量域を予測し、妥当な流速を決定するようにしても良い。
ここで、Vc>Vwの場合は層流域と推定され、その時の比(Vc/Vw)の値により妥当な流速を決定する。また、Vc/Vw≒1の場合は乱流域と推定され、これにより妥当な流速を決定する。層流域(1)の分布パターンにおける流速比をVc1/Vw1とし、層流域(2)の分布パターンにおける流速比をVc2/Vw2とし、乱流域(3)の分布パターンにおける流速比をVc3/Vw3とする。この場合、
(Vc1/Vw1)>(Vc2/Vw2)>(Vc3/Vw3)≒1 …式(5)
の関係となり、流速比のオーダーにより現在の流量域を推定することができ、現時点で妥当な流速を算出できる。なお、流量域の推定は、予め記憶されたデータと比較し、データの範囲に適合した値に応じた流量域を判定し、流量域で妥当な係数を割り振ることで、流速を算出し流量を演算する。
前述したように、2種類の音波ビームパターンによる伝播時間を計測し、各伝播時間より算出した流速比の値に応じて流量域を把握し、流速比の値に応じて妥当な補正係数を割り振り、平均流速を演算し流量を算出するようにしてもよい。各超音波ビームにより流路幅方向を2種類に区分し、計測された流速をVc,Vwとすれば、流速Vcは超音波パターン1(ビームの狭い直接伝播による計測)に対応し、流速Vwは超音波パターン2(ビーム幅がほぼ流路幅に広がる面反射音波ビームによる計測)に対応する。これらの流速Vc,Vwは、
Vc={L/(2・COSθ)}・(1/Tj1−1/Tg1) …式(6)
Vw={L/(2・COSθ)}・(1/Tj2−1/Tg2) …式(7)
と表記できる。なお、Lは超音波トランスジューサ10,20の放射面間の距離、θは流れ方向とのなす角度である。
このように、各伝播時間より算出された流速Vc,Vwの大小関係と、この流速比(Vc/Vw)の値とにより流量域を予測し、妥当な流速を決定する。
すなわち、Vc>Vwの場合には層流域と推定され、Vc/Vwの値により、妥当な流速係数を決定し、平均流速を算出することで、被測定流体の流量を算出できる。また、Vc≒Vwの場合には乱流域と推定できるため、係数無しに平均流速を決定することができる。乱流に関する速度分布はピーク速度が平均速度となるため、基本的には補正係数を用いないが、比の値に応じて乱流域に切り替わるまで妥当な補正係数を割り振ることで、流量域に関わらず、平均流速を算出し流量を演算し算出することが可能となる。
図7は、流路幅方向における流速分布パターン(層流域)の様子を説明するための図である。
図7(A)に示すように、幅方向の流速分布に応じて、例えば、実線のような中心が最大で、中心から対称な流速分布パターン、すなわち層流域での流速分布パターン(1)の場合、直接伝播波による指向特性が流路幅より狭い超音波パターン1によって算出された流速Vcと、反射伝播波による指向特性が流路幅とほぼ等しい超音波パターン2によって算出された流速Vwとの比(Vc/Vw)の値を“ζ1”とする。
また、図7(B)に示すように、点線のような流速分布パターン、すなわち層流域での流速分布パターン(2)の場合、流速VcとVwとの比(Vc/Vw)の値を“ζ2”とした場合、比の値ζ1、ζ2の大きさに比例した補正係数をそれぞれφ1、φ2とすれば、図7(A),(B)に示す各流速パターンにおける平均流速V1(実線),V2(点線)は、
V1=φ1・(Vc+Vw)/2 …式(8)
V2=φ2・(Vc+Vw)/2 …式(9)
として算出できる。
あるいは、
V1=φ1′・Vc …式(10)
V2=φ2′・Vc …式(11)
として算出することもできる。但し、φ1′、φ2′はζ1、ζ2に比例した別の補正係数である。無論、別の補正係数を用いて、Vwに対する補正として流速を算出するようにしても良い。
このように、流路幅方向で互いに指向性が異なる2種類の音波ビームパターンによる流速比のオーダーに応じて、分布パターンを推定し、流速分布パターンに応じて妥当な補正係数を割り振ることにより、平均流速を算出し、被測定流体の流量を算出できる。
同様に、ガス種が都市ガス13Aの場合、ζ1、ζ2の大きさに比例した補正係数をそれぞれφ5、φ6とすれば、各流速パターンにおける平均流速V1(実線),V2(点線)は、
V1=φ5・(Vc+Vw)/2 …式(12)
V2=φ6・(Vc+Vw)/2 …式(13)
として算出できる。
あるいは、
V1=φ5′・Vc …式(14)
V2=φ6′・Vc …式(15)
として算出することも可能である。但し、φ5′、φ6′はζ1、ζ2に比例した別の補正係数である。無論、別の補正係数を用いて、Vwに対する補正として流速を算出するようにしても良い。
ガスの種類で変化する微妙な流速分布の相異に応じて、妥当な補正係数となるよう補正係数を変化させる事で、流速分布に関わらず平均流速を算出し流量を演算し算出できる。
ここで、被測定流体の種類によって、流体の粘性や、密度などに相異があるため、ガス種(媒質)を伝播する超音波の縦波流速が異なり、超音波ビームの指向特性に差が発生する。また、流路形状、寸法などにより、最適な超音波ビームのエリアによる差に対して補正係数の値は微妙に異なり、異なる指向特性を示す2種類の超音波ビームによる計測が、流量域における流速分布パターンの差に対して、充分な相異を識別出来ないことも起こり得る。
図8は被測定流体の種類による超音波パターン1の流速分布の相異を説明するための図で、図9は被測定流体の種類による超音波パターン2の流速分布の相異を説明するための図である。
図8(A)はLPGの場合における超音波パターン1の流速分布の例を示し、LPGの直接伝播波による超音波パターン1の指向特性をX(=θ1/2)とする。図8(B)は都市ガス(13A)の場合における超音波パターン1の流速分布の例を示し、同一の圧電素子を有する超音波トランスジューサから放射される直接伝播波による指向特性をX′(=θ1/2)とする。
同様に、図9(A)はLPGの場合における超音波パターン2の流速分布の例を示し、LPGの直接伝播波による超音波パターン2の指向特性をY(=θ1/2)とする。図9(B)は都市ガス(13A)の場合における超音波パターン2の流速分布の例を示し、同一の圧電素子を有する超音波トランスジューサから放射される直接伝播波による指向特性をY′(=θ1/2)とする。
上記において、LPGの縦波による伝播速度は、都市ガス(13A)に比べて遅いため、反射伝播波による指向特性X′,Y′の何れも都市ガス(13A)の方が広くなる。すなわち、X′>X、Y′>Yの関係となる。従って、同一の圧電素子を有する超音波トランスジューサでは、速度に大きな差があるガス種(媒質)による流速分布パターンを計測する場合、ガス種(媒質)によって広がりの異なる超音波ビームが、区分けされた流速分布パターンを横切る際、ビームエリアによる検出エリアの相異により、計測される伝播時間には微妙なズレが発生し、補正係数が微妙に異なってしまうことになる。無論その伝播時間から算出した流速結果にも微妙なズレが発生することになる。
更に、流路寸法が異なる場合、LPG計測時と同じ超音波トランスジューサによる2種類の指向性ビームで都市ガス(13A)を計測すると、流路幅が狭い場合は媒質による指向性の拡大により、直接伝播波による超音波ビームを流路幅より狭く出来ないため、指向性の差を識別することができず、流速分布パターンの推定が困難となる。またこれとは反対に、媒質の変化で指向性が拡大するよりも、流路幅の拡大のほうが大きい場合、反射ビームによる指向性が流路幅と同等以上に広がる効果が期待できず、2種類の指向性は流速分布の中央部エリアに集中し、流速分布の識別分解能が充分に得られないことがある。
そこで、ガス種に応じて、また流路寸法に応じて、超音波トランスジューサを構成する圧電素子の寸法と、その寸法によって変化する共振周波数と、音響整合層の寸法を調整し最適化することで、流路幅方向を中央部エリアと、全幅エリアとの2つに分割したエリアに、異なる2種類の超音波パターンを伝播させ、ガス種の変化や、流路寸法に最適な指向特性を満足できる超音波ビームをそれぞれ送受信させる。これにより、幅方向の区分けされたそれぞれのエリアで、流路幅方向で異なる流速分布に応じた超音波送受信による伝播時間結果が得られ、その伝播時間の結果から、伝播時間の比の値を比較し、その大小関係に基づいて、妥当な流量域を推測すると同時に、比の値に応じて最適な流速分布補正係数を割り振ることで、平均流速を演算し算出することができ、流量域による幅方向の流速分布の影響を受けず安定した高精度な計測が実現できる。
または、超音波送受信による時間計測結果から演算し算出した流速結果から、流速の比の値を比較し、その大小関係に基づいて、妥当な流量域を予測すると同時に、比の値に応じて最適な流速分布補正係数を割り振るようにしてもよい。この場合も同様に、平均流速を演算し算出することができ、流量域による幅方向の流速分布の影響を受けず安定した高精度な計測が実現できる。
流路形状・寸法や、計測レンジ、計測分解能に伴って変化する流速分布パターンの変化や、流速の偏り度合を判断するのに必要な異なる2種類の超音波ビームを得るために、超音波トランスジューサから放射される超音波ビームを送受信する位置と、ビーム数を変化させ、最適な超音波エリアを満足させるようにしてもよい。
図10は流路幅の拡大による超音波パターン1の流速分布の相異を説明するための図で、図11は流路幅の拡大による超音波パターン2の流速分布の相異を説明するための図である。
図10(A)は超音波パターン1の流速分布の例を示し、図10(B)は流路幅を拡大した場合における超音波パターン1の流速分布の例を示し、図11(A)は超音波パターン2の流速分布の例を示し、図11(B)は流路幅を拡大した場合における超音波パターン2の流速分布の例を示す。
このように、流量レンジの拡大(流量計測範囲の拡大)に伴い、流路幅方向の拡大が顕著化すると、1つの圧電素子を有する超音波トランスジューサによる超音波ビームでは、流速分布を充分に推定するのに必要な検出エリアが確保できない。これは、圧電素子の寸法と、それによって変化する共振周波数、音響整合層の寸法により指向特性が変化し、流路幅の中央部と流路幅全域へと充分に広がる2種類の超音波ビームパターンを1つの超音波トランスジューサにより最適化するのは困難であるためである。
圧電素子の共振周波数を下げて、指向性を広げることにより、最適な指向性を確保出来るが、計測分解能を得るため、周波数を下げるにも限界がある。このため、1つの圧電素子を有する超音波トランスジューサで、計測分解能を満足しつつ、流速分布を識別するのに必要な指向性を満足するのは不可能に近い。特に、流速分布が流路幅の中央で対称でなく、且つ、流路幅が広い場合には、必要となる検出エリアに流速分布を把握するのに充分な、異なる2種類の指向特性を有する超音波ビームを送受信することが困難となってしまう。
このような問題に対して、図10(B)及び図11(B)に示すように、例えば、圧電素子を2つに分割し、それぞれ独立に動作できる構成の超音波トランスジューサ20′を備えるようにしてもよい。超音波トランスジューサ20′は、音響整合層21′と、2つに分割された圧電素子22′とで構成される。なお、超音波トランスジューサ20′と対となる相手方の超音波トランスジューサも同様の構成とする。
図10(B)において、流路幅の中央を境界として、中央と上下の境界のエリアに対して、直接伝播波はこの中央と上下の境界の中央部を伝播する超音波ビームエリア(1),(2)となる超音波を伝播させる。また、図11(B)において、反射波による超音波ビームは、流路幅の中央部と上下の境界であって流路幅の半分の超音波ビームエリア(3),(4)を満足する超音波を伝播させる。各圧電素子中央部から音響整合層を介して送受信される、2種類の超音波ビームによる伝播時間の計測結果から、流路幅方向の流速分布パターンを推定し、伝播時間の比の値を比較し、その大小関係に基づいて、妥当な流量域を推測すると同時に、比の値に応じて最適な流速分布補正係数を割り振ることで平均流速を演算し算出する。これにより、流量域による幅方向の流速分布の影響を受けず安定した高精度な計測が実現できる。
また、超音波の送受信による時間計測結果から演算し算出した流速結果から、流速の比の値を比較し、その大小関係に基づいて、妥当な流量域を予測すると同時に、比の値に応じて最適な流速分布補正係数を割り振ることで平均流速を演算し算出するようにしてもよい。これにより、流量域による幅方向の流速分布の影響を受けず安定した高精度な計測が実現できる。無論、計測分解能がそれほど必要でない場合では、周波数により超音波ビームを最適化しても良い。
このように、流路幅方向に対して、少なくとも2種類の指向性が異なる超音波ビームパターンを送受信させ、流路幅方向を2種類の異なる検出エリアに分割することができるため、流路幅方向で異なる流速分布に応じた伝播時間を得ることができ、その伝播時間から、指定された区間に対する2種類の超音波ビームによる伝播時間の比の値を比較し、その大小関係に基づいて、妥当な流量域を予測し、流量を算出することができる。
また、時間計測情報から演算し算出した流速結果から、指定された区間に対する2種類の超音波ビームによる流速の比の値を比較し、その大小関係に基づいて、流路幅方向における流速分布のパターンを推定し、妥当な流量域を予測し、流量を算出することができる。
また、流路幅方向に対して、少なくとも2種類の指向性が異なる超音波ビームパターンを送受信させ、流路幅方向を2種類の異なる検出エリアに分割することができるため、流路幅方向で異なる流速分布に応じた伝播時間が得られ、その伝播時間の結果から、指定された区間に対する2種類の超音波ビームによる伝播時間の比の値を比較し、その大小関係に基づいて、流路幅方向における流速分布のパターンを推定し、妥当な流量域を予測すると同時に、その比の値に応じて最適な流速分布補正係数を割り振ることで、流路断面を横切る平均流速を演算し算出するができるので、流量による幅方向の流速分布の影響を受けず、全流量域に渡って安定し高精度な計測が実現できる。
また、時間計測情報から演算し算出した流速結果から、指定された区間に対する流速の比の値を比較し、その大小関係に基づいて、流路幅方向における流速分布のパターンを推定し、妥当な流量域を予測すると同時に、比の値に応じて最適な流速分布補正係数を割り振ることで、流路断面を横切る平均流速を演算し算出することができるので、流量域による幅方向の流速分布の影響を受けず、全流量域に渡って安定し高精度な計測が実現できる。
さらに、同一の流体での流量による流速分布の補正係数の妥当な値は、流体の種類や、流路寸法に応じて微妙に変動する。従って、流体の種類や、流路寸法、流量レンジの少なくとも1つに基づいて、流速分布補正係数とは異なる別の補正係数を付与することで、流路幅方向に流体の粘性や密度の相異で微妙に変化する流速分布の影響を考慮した最適な補正係数を割り振ることができる。
このように、流路幅方向の流速分布が流体の種類や、流路寸法に影響を受けないよう、流体の種類や、流路寸法、流量レンジの少なくとも1つに基づいて、流速分布補正係数とは異なる別の補正係数を付与することで、補正係数を最適化させることができるので、流量域による幅方向の流速分布の影響を気にせず、全流量域に渡って安定し高精度な計測が実現できる。
すなわち、時間計測情報から演算し算出した流速結果から、各流速値における比の値を比較し、その大小関係に基づいて、流路幅方向における流速分布のパターンを推定し、妥当な流量域を予測すると同時に、比の値に応じて最適化された流速分布補正係数を変更し、さらには、流体の種類や、流路寸法、流量レンジの少なくとも1つに基づいて、流速分布補正係数とは異なる別の補正係数を付与することで、流量域による幅方向の流速分布が流体の種類や流路寸法に関わらず、全流量域に渡って安定した高精度な計測が実現できる。
超音波トランスジューサを構成する圧電素子の寸法と、それに伴う共振周波数、また音響整合層の寸法を、流路を流れる流体の種類や、流路形状・寸法に応じて変化させることで、流体の種類によって異なる粘性、密度の相異に伴う流速値の相異により、流体を伝播する超音波の指向性に差があっても、また流路形状・寸法によるビームエリアに差があっても、流路幅方向を2分割したエリアに、最適な超音波ビームをそれぞれ送受信させることができる。
幅方向に区分けされたそれぞれのエリアで、流路幅方向で異なる流速分布に応じた超音波送受信による伝播時間を得ることができ、その伝播時間の結果から、指定された区間に対する伝播時間の比の値を比較し、その大小関係に基づいて、流路幅方向における流速分布のパターンを推定し、妥当な流量域を予測すると同時に、比の値に応じて最適な流速分布補正係数を割り振ることで、流路断面を横切る平均流速を演算し算出することができる。このため、流量域による幅方向の流速分布の影響を受けず、全流量域に渡って安定し高精度な計測が実現できる。
また、超音波の送受信による時間計測結果に基づいて演算し算出した流速結果から、指定された区間に対する流速の比の値を比較し、その大小関係に基づいて、流路幅方向における流速分布のパターンを推定し妥当な流量域を予測すると同時に、比の値に応じて最適な流速分布補正係数を割り振ることで、流路断面を横切る平均流速を演算し算出することができる。このため、流量域による幅方向の流速分布の影響を受けず、全流量域に渡って安定し高精度な計測が実現できる。
超音波トランスジューサから放射される超音波のビーム数を、流路を流れる流体の種類や、計測する流量レンジに伴う計測音場の相異に応じて変化させることで、流体の種類によって異なる粘性、密度に応じた流速分布の差があっても、また計測すべき流量レンジによる流速分布に差があっても、2種類の超音波パターン、すなわち、流路幅に対してこの幅よりも狭い複数の超音波ビームを超音波トランスジューサから放射し、流路幅方向を複数個に分割したエリアに、超音波ビームをそれぞれ送受信させるパターンと、この複数の超音波ビームが受信されると同時に、受信側の超音波トランスジューサの放射面で反射し伝播することで、流路幅以上の指向性となるパターンとを送受信させることができる。
これにより、流路幅方向を区分けされたそれぞれのエリアで、流路幅方向で異なる流速分布に応じた超音波送受信による伝播時間が得られるので、その伝播時間の結果から、指定された区間に対する伝播時間の比の値を比較し、その大小関係に基づいて、流路幅方向における流速分布のパターンを推定し、妥当な流量域を予測すると同時に、比の値に応じて最適な流速分布補正係数を割り振ることで、流路断面を横切る平均流速を演算し算出することができる。これにより、流量域による幅方向の流速分布の影響を受けず、全流量域に渡って安定し高精度な計測が実現できる。
また、超音波の送受信による時間計測結果から演算し算出した流速結果から、指定された区間に対する流速の比の値を比較し、その大小関係に基づいて、流路幅方向における流速分布のパターンを推定し、妥当な流量域を予測すると同時に、比の値に応じて最適な流速分布補正係数を割り振ることで、流路断面を横切る平均流速を演算し算出することができる。このため、流量域による幅方向の流速分布の影響を受けず、全流量域に渡って安定し高精度な計測が実現できる。
本発明の超音波流量計が備える超音波素子の配置例を示す図である。 指向特性(θ1/2=X)を有する送信時の超音波パターンの例を示す図である。 指向特性(θ1/2=Y)を有する反射時の超音波パターンの例を示す図である。 順方向計測時における流量計測方法の一例を説明するための図である。 逆方向計測時における流量計測方法の一例を説明するための図である。 本発明の超音波流量計による流量計測方法の一例を説明するための図である。 流路幅方向における流速分布パターン(層流域)の様子を説明するための図である。 被測定流体の種類による超音波パターンの流速分布の相異を説明するための図である。 被測定流体の種類による超音波パターンの流速分布の相異を説明するための図である。 流路幅の拡大による超音波パターンの流速分布の相異を説明するための図である。 流路幅の拡大による超音波パターンの流速分布の相異を説明するための図である。
符号の説明
10,20…超音波素子(超音波トランスジューサ)、11,21…音響整合層、12,22…圧電素子、13…流量算出部、30…流路。

Claims (5)

  1. 被測定流体が流れる流路と、該流路の上流側と下流側に該流路を挟んで対向する位置に配置された一対の超音波素子と、該一対の超音波素子により送受信される超音波の伝播時間に基づいて前記被測定流体の流量を算出する流量算出手段とを備えた超音波流量計であって、
    前記一対の超音波素子は、該一対の超音波素子から放射され且つ指向特性が流路幅よりも狭い第1の超音波パターンと、相手側の超音波素子の放射面で反射・拡散し且つ前記第1の超音波パターンと指向特性の異なる第2の超音波パターンとにより、前記流路幅を2種類の検出エリアし、
    前記流量算出手段は、前記一対の超音波素子間で送受信される前記第1の超音波パターン及び前記第2の超音波パターンの伝播時間の比の値あるいは該伝播時間から算出される流速の比の値に基づいて、前記被測定流体の流速分布を推定し、該推定した流速分布に応じた補正係数を、前記一対の超音波素子間で送受信される前記第1の超音波パターンの伝播時間及び前記第2の超音波パターンの伝播時間に基づいて算出される流量値に付与し、前記被測定流体の流量を算出することを特徴とする超音波流量計。
  2. 請求項1に記載の超音波流量計において、前記流量算出手段は、前記流路の上流側超音波素子から放射された超音波が下流側超音波素子で受信されるまでの順方向直接伝播時間と、前記下流側超音波素子で受信された受信波の特定のゼロクロスポイントを起点とし、前記下流側超音波素子の放射面で反射した反射波が再び前記上流側超音波素子で受信されるまでの逆方向反射伝播時間とを1回の動作で計測し、これとは逆に、前記下流側超音波素子から放射された超音波が前記上流側超音波素子で受信されるまでの逆方向直接伝播時間と、前記上流側超音波素子で受信された受信波の特定のゼロクロスポイントを起点とし、前記上流側超音波素子の放射面で反射した反射波が再び前記下流側超音波素子で受信されるまでの順方向反射伝播時間とを1回の動作で計測することを特徴とする超音波流量計。
  3. 請求項2に記載の超音波流量計において、前記上流側超音波素子から放射された超音波が下流側へ直接伝播する順方向直接伝播パターンと、前記上流側超音波素子の放射面で反射した反射波が再び下流側へ反射伝播する順方向反射伝播パターンとは、前記流路の上流側から下流側へ伝播する順方向において指向特性が異なり、これとは逆に、前記下流側超音波素子から放射された超音波が上流側へ直接伝播する逆方向直接伝播パターンと、前記下流側超音波素子の放射面で反射した反射波が再び上流側へ反射伝播する逆方向反射伝播パターンとは、前記流路の下流側から上流側へ伝播する逆方向において指向特性が異なり、
    前記第1の超音波パターンは、前記順方向直接伝播パターンと前記逆方向直接伝播パターンとを含み、前記第2の超音波パターンは、前記順方向反射伝播パターンと前記逆方向反射伝播パターンとを含むことを特徴とする超音波流量計。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の超音波流量計において、前記流量算出手段は、流体の種類、流路寸法、流量レンジの少なくとも1つに基づいて、前記補正係数とは異なる別の補正係数を付与することを特徴とする超音波流量計。
  5. 被測定流体が流れる流路と、該流路の上流側と下流側に該流路を挟んで対向する位置に配置された一対の超音波素子と、該一対の超音波素子により送受信される超音波の伝播時間に基づいて前記被測定流体の流量を算出する流量算出手段とを備えた超音波流量計による流量計測方法であって、
    前記一対の超音波素子から放射され且つ指向特性が流路幅よりも狭い第1の超音波パターンと、相手側の超音波素子の放射面で反射・拡散し且つ前記第1の超音波パターンと指向特性の異なる第2の超音波パターンとにより、前記流路幅を2種類の検出エリアし、
    前記一対の超音波素子で送受信される前記第1の超音波パターン及び前記第2の超音波パターンの伝播時間の比の値あるいは該伝播時間から算出される流速の比の値に基づいて、前記被測定流体の流速分布を推定し、該推定した流速分布に応じた補正係数を、前記一対の超音波素子間で送受信される前記第1の超音波パターンの伝播時間及び前記第2の超音波パターンの伝播時間に基づいて算出される流量値に付与し、前記被測定流体の流量を算出することを特徴とする流量計測方法。
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