JP5070620B2 - 超音波流量計及び流量計測方法 - Google Patents
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Description
また、流路内部に流速の分布を制御するための仕切板、整流板等の付加部材を使用しなくても、同等な精度が確保出来るため、製造コストの低減を図ることができる。
また、2種類の異なる超音波パターンによる伝播時間の相異から、直接流速分布の状態が把握できるので、流路寸法、仕切板の配置精度、寸法精度等の固体差による影響を受けることがなく、さらには、温度による影響も少ないため、安定性が良く高精度な流速計測を実現可能とする。
Tj1/Tj2=α、Tg1/Tg2=β …式(1)
となる。この比α,βの値を比較し、その大小関係に基づいて、流路幅方向における流速分布のパターンを推定し、妥当な流量域を予測し、被測定流体の流量を算出することができる。
V1={L/(2・COSθ)}・(1/Tj1−1/Tg1) …式(2)
V2={L/(2・COSθ)}・(1/Tj2−1/Tg2) …式(3)
より算出される。なお、Lは超音波トランスジューサ10,20の放射面間の距離、θは流れ方向とのなす角度である。これらの流速結果から、2種類の音波ビームパターンによる流速の比の値を比較し、その大小関係に基づいて、流路幅方向における流速分布のパターンを推定し、妥当な流量域を予測し、被測定流体の流量を算出することができる。
α1(β1)>α2(β2)>α3(β3)≒1 …式(4)
の関係となり、それぞれの比の値により、流量域による妥当な流速分布パターンを推定し、この推定した流速分布から被測定流体の流量を算出することができる。
すなわち、図6(C)に示す各流速分布パターン、すなわち層流域(1),(2)、乱流域(3)において、図6(A)に示す超音波パターン1による流速をVc、図6(B)に示す超音波パターン2による流速をVwとすると、その大小関係により流量域を予測し、妥当な流速を決定するようにしても良い。
(Vc1/Vw1)>(Vc2/Vw2)>(Vc3/Vw3)≒1 …式(5)
の関係となり、流速比のオーダーにより現在の流量域を推定することができ、現時点で妥当な流速を算出できる。なお、流量域の推定は、予め記憶されたデータと比較し、データの範囲に適合した値に応じた流量域を判定し、流量域で妥当な係数を割り振ることで、流速を算出し流量を演算する。
Vc={L/(2・COSθ)}・(1/Tj1−1/Tg1) …式(6)
Vw={L/(2・COSθ)}・(1/Tj2−1/Tg2) …式(7)
と表記できる。なお、Lは超音波トランスジューサ10,20の放射面間の距離、θは流れ方向とのなす角度である。
すなわち、Vc>Vwの場合には層流域と推定され、Vc/Vwの値により、妥当な流速係数を決定し、平均流速を算出することで、被測定流体の流量を算出できる。また、Vc≒Vwの場合には乱流域と推定できるため、係数無しに平均流速を決定することができる。乱流に関する速度分布はピーク速度が平均速度となるため、基本的には補正係数を用いないが、比の値に応じて乱流域に切り替わるまで妥当な補正係数を割り振ることで、流量域に関わらず、平均流速を算出し流量を演算し算出することが可能となる。
図7(A)に示すように、幅方向の流速分布に応じて、例えば、実線のような中心が最大で、中心から対称な流速分布パターン、すなわち層流域での流速分布パターン(1)の場合、直接伝播波による指向特性が流路幅より狭い超音波パターン1によって算出された流速Vcと、反射伝播波による指向特性が流路幅とほぼ等しい超音波パターン2によって算出された流速Vwとの比(Vc/Vw)の値を“ζ1”とする。
V1=φ1・(Vc+Vw)/2 …式(8)
V2=φ2・(Vc+Vw)/2 …式(9)
として算出できる。
V1=φ1′・Vc …式(10)
V2=φ2′・Vc …式(11)
として算出することもできる。但し、φ1′、φ2′はζ1、ζ2に比例した別の補正係数である。無論、別の補正係数を用いて、Vwに対する補正として流速を算出するようにしても良い。
このように、流路幅方向で互いに指向性が異なる2種類の音波ビームパターンによる流速比のオーダーに応じて、分布パターンを推定し、流速分布パターンに応じて妥当な補正係数を割り振ることにより、平均流速を算出し、被測定流体の流量を算出できる。
V1=φ5・(Vc+Vw)/2 …式(12)
V2=φ6・(Vc+Vw)/2 …式(13)
として算出できる。
V1=φ5′・Vc …式(14)
V2=φ6′・Vc …式(15)
として算出することも可能である。但し、φ5′、φ6′はζ1、ζ2に比例した別の補正係数である。無論、別の補正係数を用いて、Vwに対する補正として流速を算出するようにしても良い。
ガスの種類で変化する微妙な流速分布の相異に応じて、妥当な補正係数となるよう補正係数を変化させる事で、流速分布に関わらず平均流速を算出し流量を演算し算出できる。
図8(A)はLPGの場合における超音波パターン1の流速分布の例を示し、LPGの直接伝播波による超音波パターン1の指向特性をX(=θ1/2)とする。図8(B)は都市ガス(13A)の場合における超音波パターン1の流速分布の例を示し、同一の圧電素子を有する超音波トランスジューサから放射される直接伝播波による指向特性をX′(=θ1/2)とする。
同様に、図9(A)はLPGの場合における超音波パターン2の流速分布の例を示し、LPGの直接伝播波による超音波パターン2の指向特性をY(=θ1/2)とする。図9(B)は都市ガス(13A)の場合における超音波パターン2の流速分布の例を示し、同一の圧電素子を有する超音波トランスジューサから放射される直接伝播波による指向特性をY′(=θ1/2)とする。
図10(A)は超音波パターン1の流速分布の例を示し、図10(B)は流路幅を拡大した場合における超音波パターン1の流速分布の例を示し、図11(A)は超音波パターン2の流速分布の例を示し、図11(B)は流路幅を拡大した場合における超音波パターン2の流速分布の例を示す。
すなわち、時間計測情報から演算し算出した流速結果から、各流速値における比の値を比較し、その大小関係に基づいて、流路幅方向における流速分布のパターンを推定し、妥当な流量域を予測すると同時に、比の値に応じて最適化された流速分布補正係数を変更し、さらには、流体の種類や、流路寸法、流量レンジの少なくとも1つに基づいて、流速分布補正係数とは異なる別の補正係数を付与することで、流量域による幅方向の流速分布が流体の種類や流路寸法に関わらず、全流量域に渡って安定した高精度な計測が実現できる。
Claims (5)
- 被測定流体が流れる流路と、該流路の上流側と下流側に該流路を挟んで対向する位置に配置された一対の超音波素子と、該一対の超音波素子により送受信される超音波の伝播時間に基づいて前記被測定流体の流量を算出する流量算出手段とを備えた超音波流量計であって、
前記一対の超音波素子は、該一対の超音波素子から放射され且つ指向特性が流路幅よりも狭い第1の超音波パターンと、相手側の超音波素子の放射面で反射・拡散し且つ前記第1の超音波パターンと指向特性の異なる第2の超音波パターンとにより、前記流路幅を2種類の検出エリアとし、
前記流量算出手段は、前記一対の超音波素子間で送受信される前記第1の超音波パターン及び前記第2の超音波パターンの伝播時間の比の値あるいは該伝播時間から算出される流速の比の値に基づいて、前記被測定流体の流速分布を推定し、該推定した流速分布に応じた補正係数を、前記一対の超音波素子間で送受信される前記第1の超音波パターンの伝播時間及び前記第2の超音波パターンの伝播時間に基づいて算出される流量値に付与し、前記被測定流体の流量を算出することを特徴とする超音波流量計。 - 請求項1に記載の超音波流量計において、前記流量算出手段は、前記流路の上流側超音波素子から放射された超音波が下流側超音波素子で受信されるまでの順方向直接伝播時間と、前記下流側超音波素子で受信された受信波の特定のゼロクロスポイントを起点とし、前記下流側超音波素子の放射面で反射した反射波が再び前記上流側超音波素子で受信されるまでの逆方向反射伝播時間とを1回の動作で計測し、これとは逆に、前記下流側超音波素子から放射された超音波が前記上流側超音波素子で受信されるまでの逆方向直接伝播時間と、前記上流側超音波素子で受信された受信波の特定のゼロクロスポイントを起点とし、前記上流側超音波素子の放射面で反射した反射波が再び前記下流側超音波素子で受信されるまでの順方向反射伝播時間とを1回の動作で計測することを特徴とする超音波流量計。
- 請求項2に記載の超音波流量計において、前記上流側超音波素子から放射された超音波が下流側へ直接伝播する順方向直接伝播パターンと、前記上流側超音波素子の放射面で反射した反射波が再び下流側へ反射伝播する順方向反射伝播パターンとは、前記流路の上流側から下流側へ伝播する順方向において指向特性が異なり、これとは逆に、前記下流側超音波素子から放射された超音波が上流側へ直接伝播する逆方向直接伝播パターンと、前記下流側超音波素子の放射面で反射した反射波が再び上流側へ反射伝播する逆方向反射伝播パターンとは、前記流路の下流側から上流側へ伝播する逆方向において指向特性が異なり、
前記第1の超音波パターンは、前記順方向直接伝播パターンと前記逆方向直接伝播パターンとを含み、前記第2の超音波パターンは、前記順方向反射伝播パターンと前記逆方向反射伝播パターンとを含むことを特徴とする超音波流量計。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の超音波流量計において、前記流量算出手段は、流体の種類、流路寸法、流量レンジの少なくとも1つに基づいて、前記補正係数とは異なる別の補正係数を付与することを特徴とする超音波流量計。
- 被測定流体が流れる流路と、該流路の上流側と下流側に該流路を挟んで対向する位置に配置された一対の超音波素子と、該一対の超音波素子により送受信される超音波の伝播時間に基づいて前記被測定流体の流量を算出する流量算出手段とを備えた超音波流量計による流量計測方法であって、
前記一対の超音波素子から放射され且つ指向特性が流路幅よりも狭い第1の超音波パターンと、相手側の超音波素子の放射面で反射・拡散し且つ前記第1の超音波パターンと指向特性の異なる第2の超音波パターンとにより、前記流路幅を2種類の検出エリアとし、
前記一対の超音波素子で送受信される前記第1の超音波パターン及び前記第2の超音波パターンの伝播時間の比の値あるいは該伝播時間から算出される流速の比の値に基づいて、前記被測定流体の流速分布を推定し、該推定した流速分布に応じた補正係数を、前記一対の超音波素子間で送受信される前記第1の超音波パターンの伝播時間及び前記第2の超音波パターンの伝播時間に基づいて算出される流量値に付与し、前記被測定流体の流量を算出することを特徴とする流量計測方法。
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