図1は、本発明の超音波流量計が備える超音波素子の配置例を示す図である。図1(A)は一対の超音波素子を側面から見たときの配置例を示し、図1(B)は受信側の超音波素子を上面から見たときの配置例を示す。本発明の超音波流量計は、被測定流体が流れる流路30と、流路30を挟んで対向する位置に配置された一対の超音波トランスジューサ10,20と、一対の超音波トランスジューサ10,20により送受信される超音波の伝播時間に基づいて流路30を流れる被測定流体の流量を算出する流量算出部13とを備える。
超音波トランスジューサ10は、音響整合層11、圧電素子12を備える。また、超音波トランスジューサ10と対となる超音波トランスジューサ20は、同様に、音響整合層21、圧電素子22を備える。一対の超音波トランスジューサ10と20は、流れ方向に対して角度θだけ傾いて設置され、両者の放射面間の距離はL(伝播長)となる。なお、本例の場合、流路30の中を、被測定流体が図の矢印の方向に向かって流速Vで流れているものとし、31は流量域による流速分布の差(パターン)を示す。
図1(A),(B)に例示するように、流路30の幅方向に対して、それぞれ複数個に分割されたアレー状の圧電素子構造を有する超音波トランスジューサ10,20が、流路30の上流側及び下流側であって、流路流れ方向に対して斜めに対向する位置に配置される。なお、図1(B)では超音波トランスジューサ20のみを示し、超音波トランスジューサ10の記載を省略するが、両者は同様の構成を備えるものとする。
この超音波トランスジューサ20の圧電素子22を構成する複数の圧電素子ブロックa′,b′,c′により区分けされた流路幅に対して、各圧電素子ブロックa′,b′,c′からは独立に超音波ビームの送受信が可能である。圧電素子22は、振動的に複数の圧電素子ブロックa′,b′,c′に分割され、流量算出部13は、各圧電素子ブロックa′,b′,c′の各超音波ビームによって区分けされたエリア毎に流路30の幅方向における超音波の送受信パターンを取得する。そして、これらの超音波送受信パターンに基づいてエリア毎の超音波伝播時間を算出する。
すなわち、一対の超音波トランスジューサ10,20は、その厚み方向に分割されたブロック毎に超音波を送受信する。そして、流量算出部13は、本発明の流量算出手段に相当し、一対の超音波トランスジューサ10,20の各ブロックで送受信される超音波の伝播時間あるいは該伝播時間から算出される流速に基づいて、被測定流体の流速分布を推定し、推定した流速分布から被測定流体の流量を算出する。
図2は、本発明の超音波流量計による流量計測方法の一例を説明するための図である。本例では超音波トランスジューサ10が送信用、超音波トランスジューサ20が受信用として説明する。送信用圧電素子ブロックaから受信用圧電素子ブロックa′への伝播時間をTaa′、同様に、圧電素子ブロックbからb′への伝播時間をTbb′、更に、圧電素子ブロックcからc′への伝播時間をTcc′とする。これらの各伝播時間に対して、伝播時間Taa′と伝播時間Tbb′を比較し、伝播時間Tbb′と伝播時間Tcc′を比較することにより、流路内を流れる流量による流速分布のパターンを推定する。
また、図2(A),(B),(C)に示すように、互いに対向して平行関係にある超音波の伝播パターンaa′,bb′,cc′以外に、伝播パターンab′,ba′,bc′,cb′のように交差する複数の伝播パターンによる伝播時間の比較を行うようにしてもよい。これにより、さらに詳細に流速分布を推定することができ、より正確な流速を算出することができる。
また、各圧電素子ブロックにおける伝播時間から算出される流速を比較することにより、流路内を流れる被測定流体の流速分布のパターンを推定するようにしてもよい。
図3は、本発明の超音波流量計による流量計測方法の他の例を説明するための図である。図中、圧電素子ブロックaからブロックa′への伝播パターンaa′(順方向)での伝播時間をTaa′、その逆方向となる圧電素子ブロックa′からブロックaへの伝播パターンa′a(逆方向)での伝播時間をTa′a、同様に、圧電素子ブロックbからブロックb′への伝播パターンbb′(順方向)での伝播時間をTbb′、その逆方向となる圧電素子ブロックb′からブロックbへの伝播パターンb′b(逆方向)での伝播時間をTb′b、さらに、圧電素子ブロックcからブロックc′への伝播パターンcc′(順方向)での伝播時間をTcc′、その逆方向となる圧電素子ブロックc′からブロックcへの伝播パターンc′c(逆方向)での伝播時間をTc′cとする。
それぞれの伝播パターンによる幅方向に区分けされた流速をVa、Vb、Vcとすれば、
Va={L/(2・COSθ)}・(1/Taa′−1/Ta′a)
Vb={L/(2・COSθ)}・(1/Tbb′−1/Tb′b) …式(1)
Vc={L/(2・COSθ)}・(1/Tcc′−1/Tc′c)
と表記できる。ここで、Lは超音波トランスジューサ10,20の放射面間の距離、θは流れ方向とのなす角度である。
このようにして、各伝播パターンにおける伝播時間より流速Va,Vb,Vcを算出し、これらVa,Vb,Vcの大小関係により被測定流体の流速分布を推定し、この流速分布から流量域を予測することができる。
図4は、一体型圧電素子を備えた超音波トランスジューサの構成例を示す図である。図4(A)に示すように、下流側の超音波トランスジューサ20は、一つの音響整合層21に対して一つの圧電素子22が接着され、圧電素子22の厚み方向に一つ以上のスリットSが形成されている。なお、上流側の超音波トランスジューサ10の構成も同様である。
すなわち、図4(A)において、超音波トランスジューサ20を構成する圧電素子22には、スリットSにより複数に分割された圧電素子ブロックa′,b′,c′が一体的に構成されている。これにより、個々の圧電素子ブロックの厚み方向の振動を、独立にしかも効率良く取り出すことができるので、流路30の幅方向を分割したエリアに、それぞれ独立に一様な超音波ビームを送受信させることができる。このように、超音波流量計は、それぞれ独立な伝播パターンで超音波の送受信が可能なように、一体で複数個に分割されたアレー状の圧電素子構造を有する超音波トランスジューサ10,20を備える。
一対の超音波トランスジューサ10,20を、流路30の幅方向に対して、上流側及び下流側へと流路30の流れ方向に対向させて配置させ、この超音波トランスジューサを構成する複数の圧電素子ブロックによる超音波ビームにより区分けされた流路幅に対して、それぞれの圧電素子ブロックからは独立に超音波ビームの送受信が可能である。そして、振動的に複数のブロックに分割された圧電素子による各超音波ビームによって区分けされたエリア毎に流路幅方向における複数の超音波送受信パターンを取得し、これらの超音波送受信パターンから超音波伝播時間を算出する。
すなわち、図4(B)に示すように、送信用圧電素子ブロックaから受信用圧電素子ブロックa′への伝播時間をTaa′、同様に、圧電素子ブロックbからブロックb′への伝播時間をTbb′、更に、圧電素子ブロックcからブロックc′への伝播時間をTcc′とすると、各伝播時間に対して、伝播時間Taa′と伝播時間Tbb′を比較し、伝播時間Tbb′と伝播時間Tcc′を比較することにより、流路内を流れる被測定流体の流速分布のパターンを推定する。
従来、流路30を流れる被測定流体は、流量により幅方向での流速分に差ができる。特に、流速が遅いエリアでは、幅方向での流速分布は放物線形状であり、流速が速いエリアでは、バスタブ形状となることが一般的に知られている。
そこで、本発明の場合、流路幅方向で発生する流速分布を複数に分割できるように、これに対応した複数の圧電素子が分割されたポイントで、それぞれ独立に超音波を送受信できる構成とすることにより、流路幅方向で発生する流速分布のパターンによる微妙な相異を反映させた精度の高い流量計測が可能となり、計測誤差を著しく低減することができる。
また、流路内部に流速の分布を制御するための仕切板、整流板等の仕切部材を設けなくても、高い計測精度を確保出来るために、コストの低減を図ることができる。
また、複数個の圧電素子ブロックによる幅方向に分割した超音波の送受信パターンによる伝播時間の相異から、直接的に流速分布のおおよその状態が把握できるため、流路寸法、仕切板の配置精度、寸法精度等の固体差による影響がなく、さらに温度による影響も少ないため、安定性が良く高精度な流速計測を実現することができる。
また、超音波トランスジューサを構成する圧電素子が一体で構成され、しかもスリットにより複数に分割された圧電素子ブロックとして構成されるため、個々の圧電振動を独立に効率良く取り出すことができ、流路幅方向を分割したエリア毎に、それぞれ独立に一様な超音波ビームを送受信させることが可能となる。この結果、流路幅方向を複数個に分割したエリア毎に、超音波ビームをそれぞれ送受信させ、幅方向に区分けされた各エリアで送受信される超音波信号による伝播時間情報を取得することができる。
また、この伝播時間情報あるいは伝播時間情報から算出される流速情報から、流路幅方向に区分けされた各エリアによる流速(流速分布)が推定できるので、この流速分布より流量を演算し、算出することが可能となる。
図5は、分離型圧電素子を備えた超音波トランスジューサの構成例を示す図である。図5(A)に示すように、下流側の超音波トランスジューサ20は、一つの音響整合層21に対して独立した複数の圧電素子22が接着され、一体的に構成されている。なお、上流側の超音波トランスジューサ10の構成も同様である。
ずなわち、図5(A)に示すように、超音波トランスジューサ20を構成する圧電素子22が、機械的に完全に分離された複数の圧電素子ブロックa′,b′,c′として、それぞれが独立に音響整合層21に接着固定された一体構造としてもよい。これにより、音響整合層21で一体化された個々の圧電素子ブロックの厚み方向振動を、独立にしかも効率良く取り出すことができるので、流路幅方向を分割したエリア毎に、それぞれ独立に一様な超音波ビームを送受信させることができる。
このように、それぞれ独立した伝播パターンで超音波の送受信が可能なように、音響整合層21により一体化された複数個のアレー状の圧電素子構造を有する超音波トランスジューサ20を構成する。これら一対の超音波トランスジューサ10,20は、流路幅方向に対して、上流側及び下流側へと流路の流れ方向に対向させて配置される。この超音波トランスジューサを構成する複数の圧電素子ブロックa,b,c(圧電素子ブロックa′,b′,c′)による超音波ビームにより区分けされた流路幅に対して、各圧電素子ブロックa,b,c(圧電素子ブロックa′,b′,c′)からは独立に超音波ビームが送受信される。振動的に複数のブロックに分割された圧電素子ブロックa,b,c(圧電素子ブロックa′,b′,c′)による各超音波ビームによって区分けされたエリアによる流路幅方向における複数の超音波送受信パターンによって、これら複数の超音波の送受信パターンによる伝播時間を計測することができる。
すなわち、図5(B)に示すように、送信用圧電素子ブロックaに対する受信用圧電素子ブロックa′の伝播時間をTaa′とし、同様に、圧電素子ブロックbに対するブロックb′の伝播時間をTbb′とし、更に圧電素子ブロックcに対するブロックc′の伝播時間をTcc′とする。各伝播時間Taa′,Tbb′,Tcc′に対して、伝播パターンbb′の伝播時間Tbb′と伝播パターンaa′の伝播時間Taa′を比較し、伝播パターンbb′の伝播時間Tbb′と伝播パターンcc′の伝播時間Tcc′を比較して流路内を流れる流量による流速分布のパターンを推定することで、推定した流速分布から被測定流体の流量を算出する。
このように、超音波トランスジューサを構成する圧電素子を、それぞれ独立に構成された複数のブロックとして構成することにより、個々の圧電振動を独立に効率良く取り出すことができるため、流路幅方向を分割したエリアに、それぞれ独立に一様な超音波ビームを送受信させることが可能となる。
この結果、幅方向を複数個に分割したエリアに、超音波ビームをそれぞれ送受信させることで、幅方向の区分けされたそれぞれのエリアで送受信される超音波信号による伝播時間情報を把握することができる。
また、この伝播時間情報あるいは該伝播時間から算出される流速情報から、幅方向に区分けされた各エリアによる流速が算出できるため、各エリアの流速より流量を演算し、算出することができる。
図6は、本発明の超音波流量計による流量計測方法の他の例を説明するための図である。図6(A)に示すように、それぞれ独立な超音波パターンで送受信が可能な、一体で複数個に分割された圧電素子(アレー状)構造を有する超音波トランスジューサ10,20を、流路幅方向に対して、上流側及び下流側へと流路の流れ方向に対向させて配置させる。なお、ここでは下流側の超音波トランスジューサ20のみを示し、上流側の超音波トランスジューサ10の記載は省略する。
この超音波トランスジューサ20を構成する複数の圧電素子ブロックa,b,c(圧電素子ブロックa′,b′,c′)による超音波ビームにより区分けされた流路幅に対して、各圧電素子ブロックa,b,c(圧電素子ブロックa′,b′,c′)からは独立に超音波ビームを送受信することができる。振動的に複数のブロックに分割された圧電素子ブロックa,b,c(圧電素子ブロックa′,b′,c′)による各超音波ビームによって区分けされたエリアによる流路幅方向における複数の超音波送受信パターンによって、流量域で異なる流速分布(1),(2),(3)のパターン及びこれらの中間の流速パターンに対して、複数の超音波の送受信パターンによる伝播時間を計測する。
すなわち、図6(B)に示すように、送信用圧電素子ブロックaに対する受信用圧電素子ブロックa′の伝播パターンaa′における伝播時間をTaa′とし、以下同様に、圧電素子ブロックbに対するブロックb′の伝播パターンbb′における伝播時間をTbb′とし、圧電素子ブロックcに対するブロックc′の伝播パターンcc′における伝播時間をTcc′とする。
各伝播時間に対して、伝播パターンbb′の伝播時間Tbb′と伝播パターンaa′の伝播時間Taa′とを比較し、その比を、
Taa′/Tbb′=α
とし、伝播パターンbb′の伝播時間Tbb′と伝播パターンcc′の伝播時間Tcc′とを比較し、その比を、
Tcc′/Tbb′=β
とする。
ここで、流速パターン(1)によるα及びβをα1,β1とし、流速パターン(2)によるα及びβをα2,β2とし、更に、流速パターン(3)によるα及びβをα3,β3とする。その大小関係は、
α1(β1)>α2(β2)>α3(β3)≒1
の関係となり、それぞれの比の値により、流量域による流速分布パターンを推定できるため、被測定流体の流量を算出することができる。
むろん流量域の把握は、各圧電素子ブロックの伝播時間から流速を算出し、その流速の大小関係から流量域を予測しても良い。すなわち、圧電素子ブロックaに対する順方向の伝播パターンaa′での伝播時間をTaa′とし、逆方向の伝播パターンa′aでの伝播時間をTa′aとする。また、圧電ブロックbに対する順方向の伝播パターンbb′での伝播時間をTbb′とし、逆方向の伝播パターンb′bでの伝播時間をTb′bとする。更に、圧電素子ブロックcに対する順方向の伝播パターンcc′での伝播時間をTcc′とし、逆方向の伝播パターンc′cでの伝播時間をTc′cとする。
各伝播パターンによる幅方向に区分けされた流速をVa、Vb、Vcとすれば、前述の式(1)と同様に、
Va={L/(2・COSθ)}・(1/Taa′−1/Ta′a)
Vb={L/(2・COSθ)}・(1/Tbb′−1/Tb′b)
Vc={L/(2・COSθ)}・(1/Tcc′−1/Tc′c)
と表記できる。ここで、Lは超音波トランスジューサ10,20の放射面間の距離、θは流れ方向とのなす角度である。
各伝播時間より算出された流速Va、Vb、Vcの大小関係により流量域を予測し、妥当な流速を決定する。例えば、Vb>Va(Vc)の場合には層流域、その時のVa(Vc)/Vbの比の値により妥当な流速を決定する。また、Vb≒Va(Vc)の場合には乱流域であることが推定でき、妥当な流速を決定する。
このように、流量算出部13は、各ブロックの圧電素子をそれぞれ独立に動作させ、各ブロックの圧電素子により区分けされた流路30の幅方向における超音波の送受信パターンに応じた伝播時間の比あるいは伝播時間から算出される流速の比に基づいて、流路30の幅方向における流速分布を推定し、推定した流速分布から被測定流体の流量を算出する。
次に、より詳細な流速分布を把握し、流速を正確に判断するための流量計測方法について説明する。
図7は、本発明の超音波流量計による流量計測方法の他の例を説明するための図である。本例では超音波トランスジューサ10が送信用、超音波トランスジューサ20が受信用として説明する。
図7(A),(B),(C)に示すように、各圧電素子ブロックから送受信される超音波パターンで、個々の圧電素子の指向性を拡大し広がりを有する超音波ビームによる伝播時間を含め、個々の伝播時間の比較を行うことで、より詳細な流速分布を把握することができる。
すなわち、送信用圧電素子ブロックaに対する受信用圧電素子ブロックa′の伝播パターンaa′での伝播時間をTaa′とし、送信用圧電素子ブロックaに対する受信用圧電素子ブロックb′の伝播パターンab′での伝播時間をTab′とする。以下同様に、圧電素子ブロックbに対するブロックa′の伝播パターンba′での伝播時間をTba′とし、更に、圧電素子ブロックbに対するブロックb′の伝播パターンbb′での伝播時間をTbb′とし、圧電素子ブロックbに対するブロックc′の伝播パターンbc′での伝播時間をTbc′とする。さらに、圧電素子ブロックcに対するブロックb′の伝播パターンcb′での伝播時間をTcb′とし、圧電素子ブロックcに対するブロックc′の伝播パターンcc′での伝播時間をTcc′とする。
また、被測定流体の流れが幅方向の中心線で上下対称(幅方向の中心線で対称な流速分布)の場合を想定して説明する。まず個々の伝播パターンによる伝播時間の比を、Taa′/Tbb′=αとし、以下、Taa′/Tab′=β、Tba′/Tbb′=γ、Taa′/Tba′=ε、Tab′/Tbb′=μとし、各々の比の値を算出し、その大小関係と比の値とにより、より詳細に流量域による流速分布パターンを推定することができ、被測定流体の流量を精度良く算出することができる。
図8は、本発明の超音波流量計による流量計測方法の他の例を説明するための図である。前述したように、それぞれ独立した超音波パターンで送受信可能な、一体で複数個に分割されたアレー状の圧電素子構造を有する超音波トランスジューサ10,20を、流路幅方向に対して、上流側及び下流側へと流路の流れ方向に対向させて配置させる。
この超音波トランスジューサ10,20を構成する複数の圧電素子ブロックa,b,c(圧電素子ブロックa′,b′,c′)による超音波ビームにより区分けされた流路幅に対して、各圧電素子ブロックa,b,c(圧電素子ブロックa′,b′,c′)からは独立に超音波ビームを送受信することができる。振動的に複数のブロックに分割された圧電素子ブロックa,b,c(圧電素子ブロックa′,b′,c′)による各超音波ビームによって区分けされたエリア毎に流路幅方向における複数の超音波送受信パターンにより、流量域で異なる流速分布パターン及びこれらの中間の流速パターンに対して、複数の超音波の送受信パターンによる伝播時間を計測し、各伝播時間より算出した各流速の比の値に応じて流量域を把握し、この比の値に応じて妥当な補正係数を割り振り、平均流速を演算し流量を算出する。
具体的には、圧電素子ブロックaに対する順方向伝播パターンaa′での伝播時間をTaa′とし、逆方向伝播パターンa′aでの伝播時間をTa′aとする。同様に、圧電素子ブロックbに対する順方向伝播パターンbb′での伝播時間をTbb′とし、逆方向伝播パターンb′bでの伝播時間をTb′bとする。更に、圧電素子ブロックcに対する順方向伝播パターンcc′での伝播時間をTcc′とし、逆方向伝播パターンc′cでの伝播時間をTc′cとする。各伝播パターンによる幅方向に区分けされた流速をVa,Vb,Vcとすれば、前述の式(1)と同様に、
Va={L/(2・COSθ)}・(1/Taa′−1/Ta′a)
Vb={L/(2・COSθ)}・(1/Tbb′−1/Tb′b)
Vc={L/(2・COSθ)}・(1/Tcc′−1/Tc′c)
と表記できる。ここで、Lは超音波トランスジューサ10,20の放射面間の距離、θは流れ方向とのなす角度である。
各伝播時間より算出された流速Va,Vb,Vcの大小関係により流量域を予測し、妥当な流速を決定する。Vb>Va(Vc)の場合には層流域、その時のVb/Va(Vc)の比の値により妥当な流速を決定する。またVb≒Va(Vc)であれば乱流域であることが把握できるため、これに基づいて妥当な流速を決定する。乱流に関する速度分布はピーク速度が平均速度となるため、基本的には補正係数を用いないが、比の値により乱流域に切り替わるまでは補正係数を割り振るようにしてもよく、演算は可能である。
図9は、本発明の超音波流量計における流速分布の状態を説明するための図で、図中、101,102は層流域での流速分布を示す。このように、幅方向の流速分布に応じて、例えば、流速分布(図中点線部分)101のように中心が最大で、中心から対称な速度分布パターンの場合、圧電素子ブロックbとb′の間の伝播パターンbb′により算出された流速Vbと、圧電素子ブロックcとc′の間の伝播パターンcc′により算出された流速Vcとの比の値を、Vb/Vc=ζ1とする。また、流速分布(図中実線部分)102における流速VbとVcとの比を、Vb/Vc=ζ2とし、ζ1,ζ2の大きさに比例した補正係数をそれぞれφ1,φ2とする。
図9において、流速分布101及び流速分布102の各流速パターンにおける平均流速V1,V2は、
V1=φ1・(Vb+Vc)/2 …式(2)
V2=φ2・(Vb+Vc)/2 …式(3)
として算出できる。
あるいは、
V1=φ1′・Vc …式(4)
V2=φ2′・Vc …式(5)
として算出することも可能である。但し、φ1′,φ2′はζ1,ζ2に比例した別の補正係数である。
このようにして、流量算出部13は、伝播時間の比あるいは伝播時間から算出される流速の比に対して、流速分布から予測される流量域に応じた補正を行うための流速補正係数を割り振り、被測定流体の流量を算出するように構成してもよい。
これによれば、流路幅方向を複数個に分割したエリアに、超音波ビームをそれぞれ送受信させることで、幅方向に区分けされた各エリアで、流路幅方向で異なる流速分布に応じた超音波送受信による伝播時間の計測結果が得られる。そして、その伝播時間の計測結果から、指定された区間に対する伝播時間の比の値を比較し、その大小関係に基づいて、妥当な流量域を予測すると共に、伝播時間の比の値に応じて最適な流速補正係数を割り振ることで、流路断面を横切る平均流量を演算し算出することができるため、流量域による幅方向の流速分布の影響を受けず安定した高精度な計測が実現できる。
また、伝播時間の計測結果から算出した流速結果から、指定された区間に対する流速の比の値を比較し、その大小関係に基づいて、妥当な流量域を予測すると共に、流速の比の値に応じて最適な流速補正係数を割り振ることで、流路断面を横切る平均流量を演算し算出することができるため、流量域による幅方向の流速分布の影響を受けず安定した高精度な計測が実現できる。
また、流速補正係数を、被測定流体の種類及び/又は流路30の寸法に応じて変化させるようにしてもよい。この処理は流量算出部13で実行される。図9に示すように、幅方向の流速分布に応じて、例えば、流速分布101のような中心が最大で、中心から対称な速度分布パターンの場合、圧電素子ブロックbとb′間での伝播パターンbb′により算出された流速Vbと、圧電素子ブロックcとc′間での伝播パターンcc′により算出された流速Vcとの比の値を、Vb/Vc=ζ1とする。また、流速分布102における流速VbとVcとの比を、Vb/Vc=ζ2とし、被測定流体のガス種がLPGの場合、ζ1,ζ2の大きさに比例した補正係数をそれぞれφ3,φ4とする。
これより、流速分布101,流速分布102の各流速パターンにおける平均流速V1,V2は、
V1=φ3・(Vb+Vc)/2 …式(6)
V2=φ4・(Vb+Vc)/2 …式(7)
として算出できる。
あるいは、
V1=φ3′・Vc …式(8)
V2=φ4′・Vc …式(9)
として算出することも可能である。但し、φ3′、φ4′はζ1、ζ2に比例した別の補正係数である。
同様に、被測定流体のガス種が都市ガス(13A)の場合、ζ1,ζ2の大きさに比例した流速補正係数をそれぞれφ5,φ6とする。この場合、流速分布101,流速分布102の各流速パターンにおける平均流速V1,V2は、
V1=φ5・(Vb+Vc)/2 …式(10)
V2=φ6・(Vb+Vc)/2 …式(11)
として算出できる。
あるいは、
V1=φ5′・Vc …式(12)
V2=φ6′・Vc …式(13)
として算出することも可能である。但し、φ5′,φ6′はζ1,ζ2に比例した別の補正係数である。むろん、別の補正係数を用いて、Vbに対する補正として流速を算出するようにしても良い。
図10は、本発明の超音波流量計による流量計測方法の他の例を説明するための図である。本例に示すように、流体の種類によって、すなわち流体の粘性、密度に相異があるため、ガス種(媒質)を伝播する流速が異なり、流体を伝播する超音波の指向特性に差が発生する。また流路形状、寸法による最適な超音波ビームのエリアが異なる。
図10(A)は都市ガス(13A)の超音波伝播状態を示し、図10(B)はLPGの超音波伝播状態を示す。具体的には、都市ガス(13A)に比べて、LPGの縦波伝播速度は遅いため、同一の圧電素子寸法で形成されたブロックからの指向性は都市ガスの方が広くなる。従って、同一の圧電ブロックで、速度に大きな差があるガス種(媒質)による流速分布パターンを計測する場合、図10(C)に示すように、ガス種(媒質)によって広がりの異なる超音波ビームにより、区分けされた流速分布パターン31,32を横切る際、計測される伝播時間に微妙なズレが発生してしまうことになる。
本発明の超音波流量計の場合、ガス種に応じて、または流路寸法に応じて、最適な寸法比率に区分けされた複数の圧電素子ブロックにより、流路幅方向を複数個に分割したエリアに、最適な指向性の超音波ビームをそれぞれ送受信させることができるので、幅方向に区分けされた各エリアで、流路幅方向で異なる流速分布に応じた超音波送受信による伝播時間の計測結果が得られる。そして、その伝播時間の計測結果から、指定された区間に対する伝播時間の比の値を比較し、その大小関係に基づいて、妥当な流量域を予測すると共に、伝播時間の比の値に応じて最適な流速補正係数を割り振ることで、流路断面を横切る平均流量を演算し算出することができる。これにより、流量域による幅方向の流速分布の影響を受けず安定した高精度な計測が実現できる。
また、送受信による伝播時間の計測結果から演算し算出した流速結果から、指定された区間に対する流速の比の値を比較し、その大小関係に基づいて、妥当な流量域を予測すると共に、流速の比の値に応じて最適な流速補正係数を割り振ることで、流路断面を横切る平均流量を演算し算出することができる。これにより、流量域による幅方向の流速分布の影響を受けず安定した高精度な計測が実現できる。
また、超音波トランスジューサを構成する、複数の圧電素子アレーの配置及び数量を、流路形状寸法や、計測する流量レンジや計測分解能に伴って変化させる超音波トランスジューサの配置及び寸法、流速分布の偏り度合に応じて変化させるようにしてもよい。
図11〜図13は、流路を流れる被測定流体の計測レンジ(計測範囲)を拡大させるための超音波トランスジューサの構成例を示す図である。図11は伝播長を増加させた場合の超音波トランスジューサ10,20の配置例を示す。図12は流路幅方向の寸法が拡大したり、流量レンジが拡大し、伝播長L′が増加する場合に対応させて、中央から外れた流速分布を詳細に計測可能なように圧電素子の枚数を変化させた状態を示す。図13は流路幅方向の寸法が拡大したり、流量レンジが拡大し、伝播長L′が増加する場合に対応させて、圧電素子の枚数が流れ方向に重なるように配置させ、中央の流速分布を詳細に計測可能なように圧電素子の枚数を変化させた状態を示す。
流路を流れる被測定流体の計測レンジ(計測範囲)を拡大させたい場合、図11に示すように、超音波トランスジューサ10,20を流体の流れ方向に対してより鋭角(流れ方向とのなす角θ′<θ、伝播長L′>L)にするようにしてもよい。また、流路幅方向の寸法を拡大するような場合、例えば、流速分布が中央から偏り、流速分布を支配するエリアが中央から離れるような場合には、図12(A)〜(C)に示すように、超音波トランスジューサ10,20を構成する複数の圧電素子ブロックa,b,c,d(及び圧電素子ブロックa′,b′,c′,d′)を流路幅の中央を境に割り振るように配置する。流路幅の中央を境に4区間に分かれた超音波パターンにより、中央から外れた流速分布を優先的に計測することで中央からの偏りの影響があっても精度を損ねずに計測できる。
なお、図12(B)には流速分布31が中央から偏った状態を示す。このように、超音波ビームの発射位置を独立に、且つ同時に可変できる構成としているため、流路幅方向を複数のエリアに分割しつつ、それぞれの超音波ビームが互いに広がりをもって重なり合う効果により、流路幅方向に対して、部分的にも、全体的にも超音波ビームを放射することができる。このため、温度の変化や、個体差があっても予めマージンをもって流路幅方向に一様な超音波を放射することが可能となり、温度、個体差等の影響を受けず安定な計測を行うことができ、計測精度を確保することができる。
これに対して、流速分布の偏りが流路幅の中央部に分布する場合では、すなわち、流速分布を支配するエリアが中央に存在する場合では、図13(A)及び(B)に示すように、超音波トランスジューサ10,20を構成する圧電素子ブロックa,b,c,d,e(及び圧電素子ブロックa′,b′,c′,d′,e′)を流路幅方向のみならず、流れ方向へシフトさせた位置関係にも配置し、中央部に集中するように割り振るように配置させる。すなわち、圧電素子ブロックd,e(及び圧電素子ブロックd′,e′)を流れ方向にシフトさせて配置する。これにより、流路中央部をより詳細に分割できるので、中央部での流速分布の偏りが大きい場合に有効となる。
むろんそれ以外にも幅方向、それと隣接する流れ方向へ互い違いに配置させたりすることも可能ではあるが、可能な限り少ない枚数で、効率の良い配置構成を、流路形状寸法や、流速分布の偏り部位に合わせて最適化させるようにすればよい。
このように、流体の種類や、流路寸法に応じて流速補正係数を変化させることで、流路幅方向に流体の粘性や密度の相異で変化する流速分布による影響を考慮した最適な流速補正係数を割り振ることができる。このような圧電素子ブロックの配置構成にすることで、流路幅方向に複数個に分割したエリアに、超音波ビームをそれぞれ送受信させ、流路幅方向の区分けされたそれぞれのエリアで、流路幅方向で異なる流速分布に応じた超音波送受信による伝播時間の計測結果が得られる。そして、この伝播時間の計測結果から、指定された区間に対する伝播時間の比の値を比較し、その大小関係に基づいて、妥当な流量域を予測すると共に、伝播時間の比の値に応じて最適化された流速補正係数を割り振ることで、流路断面を横切る平均流量を演算し算出することができる。このようにして、流量域による幅方向の流速分布が流体の種類や、流路寸法に影響を受けないよう補正係数を最適化させるので、安定した高精度な計測が実現できる。
また、時間計測情報から演算し算出した流速結果から、指定された区間に対する流速の比の値を比較し、その大小関係に基づいて、妥当な流量域を予測すると共に、流速の比の値に応じて最適化された流速補正係数を割り振ることで、流路断面を横切る平均流量を演算し算出することができる。このようにして、流量域による幅方向の流速分布が流体の種類や、流路寸法に影響を受けないよう補正係数を最適化させるので、安定した高精度な計測が実現できる。
また、超音波トランスジューサを構成する複数の圧電素子アレーの幅方向における各ブロックの寸法比率を、流路を流れる流体の種類や、流路形状に応じて変化させることで、流体の種類によって異なる粘性、密度の相異による流速値の相異により、流体を伝播する超音波の指向性に差があっても、また流路形状、寸法による超音波ビームエリアに差があっても、最適な寸法比率に区分けされた複数の圧電素子ブロックにより、流路幅方向を複数個に分割したエリアに、最適な超音波ビームをそれぞれ送受信させることができる。
また、幅方向の区分けされたそれぞれのエリアで、流路幅方向で異なる流速分布に応じた超音波送受信による伝播時間の計測結果が得られ、その伝播時間の計測結果から、指定された区間に対する伝播時間の比の値を比較し、その大小関係に基づいて、妥当な流量域を予測すると同時に、伝播時間の比の値に応じて最適な流速補正係数を割り振ることで、流路断面を横切る平均流量を演算し算出することができる。このため、流量域による幅方向の流速分布の影響を受けず安定した高精度な計測が実現できる。
また、超音波の送受信による伝播時間の計測結果から演算し算出した流速結果から、指定された区間に対する流速の比の値を比較し、その大小関係に基づいて、妥当な流量域を予測すると共に、流速の比の値に応じて最適な流速補正係数を割り振ることで、流路断面を横切る平均流量を演算し算出することができる。このため、流量域による幅方向の流速分布の影響を受けず安定した高精度な計測が実現できる。
また、超音波トランスジューサを構成する複数の圧電素子アレーの配置及び枚数を、流路を流れる流体の種類や、計測する流量レンジに応じて変化させることで、流体の種類によって異なる粘性、密度による流速分布の差があっても、また計測すべき流量レンジによる流速分布に差があっても、流路幅に対して最適な位置に配置させ、最適な枚数により区分けされた複数の圧電素子ブロックにより、流路幅方向を複数個に分割したエリアに、超音波ビームをそれぞれ送受信させることができる。
また、幅方向の区分けされたそれぞれのエリアで、流路幅方向で異なる流速分布に応じた超音波送受信による伝播時間の計測結果が得られるので、その伝播時間の計測結果から、指定された区間に対する伝播時間の比の値を比較し、その大小関係に基づいて、妥当な流量域を予測すると共に、伝播時間の比の値に応じて最適な流速補正係数を割り振ることで、流路断面を横切る平均流量を演算し算出することができる。このため、流量域による幅方向の流速分布の影響を受けず安定した高精度な計測が実現できる。
また、超音波の送受信による伝播時間の計測結果から演算し算出した流速結果から、指定された区間に対する流速の比の値を比較し、その大小関係に基づいて、妥当な流量域を予測すると共に、流速の比の値に応じて最適な流速補正係数を割り振ることで、流路断面を横切る平均流量を演算し算出することができる。このため、流量域による幅方向の流速分布の影響を受けず安定した高精度な計測が実現できる。
図14は、本発明の超音波流量計による流量計測方法の他の例を説明するための図である。本例の場合、図14(A)に示すように、一対の超音波トランスジューサ10,20を構成する圧電素子ブロックを4個で構成する。なお、ここでは超音波トランスジューサ10の記載は省略する。図14(B)は圧電素子ブロックa,b,c,dと圧電素子ブロックa′,b′,c′,d′がそれぞれ独立に超音波を送受信する場合の例を示し、図14(C)は圧電素子ブロック(a,b)、(c,d)と圧電素子ブロック(a′,b′)、(c′,d′)がそれぞれ同時に超音波を送受信する場合の例を示し、図14(D)は圧電素子ブロック(b,c)と圧電素子ブロック(b′,c′)がそれぞれ同時に超音波を送受信する場合の例を示す。
このように、各ブロックをそれぞれ独立に動作させて得られた順方向及び逆方向の伝播時間、あるいは、各伝播時間から演算し算出した各ブロックによる超音波ビームによる流速値を取得する。また、各々隣接する複数の圧電素子ブロック、すなわち、ブロック(a,b)と(a′,b′)、ブロック(c,d)と(c′,d′)、ブロック(b,c)と(b′,c′)の各圧電素子ブロックを同時に動作させ順方向及び逆方向の伝播時間、あるいは、各伝播時間から演算し算出した各ブロックによる超音波ビームによる流速値を取得する。
上記のように取得したデータに基づいて、流路幅方向をより細かく分割した超音波ビームエリアのデータが得られるので、各エリアで送受信される超音波の伝播時間の計測結果から、指定された区間に対する伝播時間の比の値を比較し、その大小関係に基づいて、妥当な流量域を予測すると共に、伝播時間の比の値に応じて最適な流速補正係数を割り振ることで、流路断面を横切る平均流量を演算し算出することができる。これにより、流量域による幅方向の流速分布の影響を受けず、より安定した高精度な計測ができることになる。
なお、超音波の送受信による伝播時間の計測結果から演算し算出した流速結果によっても、指定された区間に対する流速の比の値を比較し、その大小関係に基づいて、妥当な流量域を予測すると共に、流速の比の値に応じて最適な流速補正係数を割り振ることで、流路断面を横切る平均流量を演算し算出することができる。これにより、流量域による幅方向の流速分布の影響を受けず安定した高精度な計測ができる。
このようにして、流量算出部13は、各ブロックの圧電素子をそれぞれ独立に動作させる場合と、各ブロックの圧電素子を同時に動作させる場合とを組み合わせ、各ブロックの圧電素子により区分けされた流路30の幅方向における超音波の送受信パターンに応じた伝播時間の比あるいは伝播時間から算出される流速の比に基づいて、流路30の幅方向における流速分布を推定し、推定した流速分布から被測定流体の流量を算出する。
これによれば、伝播時間の計測結果の比及び妥当な流速補正係数を割り振る超音波流量計測において、個々の圧電素子アレーを独立に動作させる場合と、同時に動作させる場合とを組み合わせることで、流路幅方向をより細かく分割した超音波ビームエリアが得られるため、各エリアで送受信される超音波の伝播時間の計測結果から、指定された区間に対する伝播時間の比の値を比較し、その大小関係に基づいて、妥当な流量域を予測すると共に、伝播時間の比の値に応じて最適な流速補正係数を割り振ることで、流路断面を横切る平均流量を演算し算出することができる。このため、流量域による幅方向の流速分布の影響を受けず、より安定した高精度な計測が実現できる。
また、超音波送受信による伝播時間の計測結果から演算し算出した流速結果から、指定された区間に対する流速の比の値を比較し、その大小関係に基づいて、妥当な流量域を予測すると共に、流速の比の値に応じて最適な流速補正係数を割り振ることで、流路断面を横切る平均流量を演算し算出することができる。このため、流量域による幅方向の流速分布の影響を受けず安定した高精度な計測が実現できる。