JP5070624B2 - 超音波流量計及び流量計測方法 - Google Patents
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Description
なお、図2(A),(B),(C)に示す計算結果(図中右側)は、超音波トランスジューサの放射面の直径が約10mmで、都市ガス(13A)を伝播する際の、周波数帯域上限(600KHz)、下限(400KHz)、及び中心周波数(500KHz)での計算結果を例示したものである。上限周波数での指向性は約3.4°、下限周波数での指向性は6.0°、中心周波数での指向性は4.0°であり、上下限の約倍異なる指向性を利用し、流速分布を把握し、流速を算出する。
また、複数の幅方向に分割した超音波ビームのパターンによる伝播時間の相異から、直接流速分布状態が把握できるので、流路寸法、仕切板の配置精度、寸法精度等の固体差による影響を受けることがなく、さらには、温度による影響も少ないため、安定性が良く高精度な流速計測を実現可能とする。
更に、同一のトランスジューサにおいて、上下限周波数以外の異なる2種類の周波数を選定し、異なる2種類の指向性を利用できるので、温度による指向特性の微妙な差にも対応可能となる。
このように、流路幅方向を2つの異なる超音波ビームにより、2つのエリアに分割し、それぞれのエリアにおいて、順方向直接伝播時間Tj1、逆方向直接伝播時間Tg1、順方向直接伝播時間Tj2、逆方向直接伝播時間Tg2を計測する。
Tj1/Tj2=α、Tg1/Tg2=β …式(1)
となる。この比α,βの値を比較し、その大小関係に基づいて、流路幅方向における流速分布のパターンを推定し、妥当な流量域を予測し、被測定流体の流量を算出することができる。
V1={L/(2・COSθ)}・(1/Tj1−1/Tg1) …式(2)
V2={L/(2・COSθ)}・(1/Tj2−1/Tg2) …式(3)
より算出される。なお、Lは超音波トランスジューサ10,20の放射面間の距離、θは流れ方向とのなす角度である。これらの流速結果から、2種類の超音波ビームパターンによる流速の比の値を比較し、その大小関係に基づいて、流路幅方向における流速分布のパターンを推定し、妥当な流量域を予測し、被測定流体の流量を算出することができる。
α1(β1)>α2(β2)>α3(β3)≒1 …式(4)
の関係となり、それぞれの比の値により、流量域による妥当な流速分布パターンを推定し、この推定した流速分布から被測定流体の流量を算出することができる。
すなわち、図6(C)に示す各流速分布パターン、すなわち層流域(1),(2)、乱流域(3)において、図6(A)に示す超音波ビームパターン1による流速をVc、図6(B)に示す超音波ビームパターン2による流速をVwとすると、その大小関係により流量域を予測し、妥当な流速を決定するようにしても良い。
(Vc1/Vw1)>(Vc2/Vw2)>(Vc3/Vw3)≒1 …式(5)
の関係となり、流速比のオーダーにより現在の流量域を推定することができ、現時点で妥当な流速を算出できる。なお、流量域の推定は、予め記憶されたデータと比較し、データの範囲に適合した値に応じた流量域を判定し、流量域で妥当な係数を割り振ることで、流速を算出し流量を演算する。媒質を都市ガス(13A)としたときの流量Qと流速分布の比ζ(=Vc/Vw)の関係を図7に示す。
また、時間計測情報から演算し算出した流速結果から、2種類の超音波ビームによる流速の比の値を比較し、その大小関係に基づいて、流路幅方向における流速分布のパターンを推定し、妥当な流量域を予測し、被測定流体の流量を算出することができる。
この結果、流路幅方向で発生する流速分布のパターンによる微妙な相異が識別できるので、流量域による流速分布の相異があっても計測誤差を著しく低減し高精度な流量計測が実現できる。
Vc={L/(2・COSθ)}・(1/Tj1−1/Tg1) …式(6)
Vw={L/(2・COSθ)}・(1/Tj2−1/Tg2) …式(7)
と表記できる。なお、Lは送受信トランスジューサ10,20の放射面間の距離、θは流れ方向とのなす角度である。
すなわち、Vc>Vwの場合には層流域と推定され、Vc/Vwの値により、妥当な流速係数を決定し、平均流速を算出することで、被測定流体の流量を算出できる。また、Vc≒Vwの場合には乱流域と推定できるため、係数無しに平均流速を決定することができる。乱流に関する速度分布はピーク速度が平均速度となるため、基本的には補正係数を用いないが、比の値に応じて乱流域に切替わるまで妥当な補正係数を割り振ることで、流量域に関わらず、平均流速を算出し流量を演算し算出することが可能となる。
図8(A)に示すように、幅方向の流速分布に応じて、例えば、実線のような中心が最大で、中心から対称な速度分布パターン、すなわち層流域での流速分布パターン(1)の場合、指向性Xが流路幅より狭い超音波ビームパターン1によって算出された流速Vcと、指向性Yが流路幅とほぼ等しい超音波ビームパターン2によって算出された流速Vwとの比(Vc/Vw)の値を“ζ1”とする。
V1=φ1・(Vc+Vw)/2 …式(8)
V2=φ2・(Vc+Vw)/2 …式(9)
として算出できる。
V1=φ1′・Vc …式(10)
V2=φ2′・Vc …式(11)
として算出することもできる。但し、φ1′、φ2′はζ1、ζ2に比例した別の補正係数である。無論、別の補正係数を用いて、Vwに対する補正として流速を算出するようにしてもよい。
このように、流路幅方向で互いに指向性が異なる2種類の超音波ビームパターンによる、流速比のオーダーに応じて、分布パターンを推定し、流速分布パターンに応じて妥当な補正係数を割り振ることにより、平均流速を算出し、被測定流体の流量を算出できる。
V3={L/(2・COSθ)}・(1/Tj3−1/Tg3) …式(12)
として直接平均流速を算出し、被測定流体の流量を演算すれば良い。
V1=φ5・(Vc+Vw)/2 …式(12)
V2=φ6・(Vc+Vw)/2 …式(13)
として算出できる。
V1=φ5′・Vc …式(14)
V2=φ6′・Vc …式(15)
として算出することも可能である。但し、φ5′、φ6′はζ1、ζ2に比例した別の補正係数である。無論、別の補正係数を用いて、Vwに対する補正として流速を算出するようにしても良い。
ガスの種類で変化する微妙な流速分布の相異に応じて、妥当な補正係数となるよう補正係数を変化させる事で、流速分布に関わらず平均流速を算出し流量を演算し算出できる。
図9(A)はLPGの場合における超音波ビームパターン1の流速分布の例を示し、LPG中の帯域上限の高周波数による超音波ビームパターン1の指向性をX(=θ1/2)とする。図9(B)は都市ガス(13A)の場合における超音波ビームパターン1の流速分布の例を示し、同一の圧電素子を有する超音波トランスジューサから放射される直接伝播波による指向特性をX′(=θ1/2)とする。同様に、図10(A)はLPGの場合における超音波ビームパターン2の流速分布の例を示し、LPG中の帯域下限の低周波数による超音波ビームパターン2の指向性をY(=θ1/2)とする。図10(B)は都市ガス(13A)の場合における超音波ビームパターン1の流速分布の例を示し、同一の圧電素子を有する超音波トランスジューサから放射される直接伝播波による指向特性をY′(=θ1/2)とする。
図11(A)は超音波ビームパターン1の流速分布の例を示し、図11(B)は流路幅を拡大した場合における超音波ビームパターン1の流速分布の例を示し、図12(A)は超音波ビームパターン2の流速分布の例を示し、図12(B)は流路幅を拡大した場合における超音波ビームパターン2の流速分布の例を示す。
すなわち、時間計測情報から演算し算出した流速結果から、各流速値における比の値を比較し、その大小関係に基づいて、流路幅方向における流速分布のパターンを推定し、妥当な流量域を予測すると同時に、比の値に応じて最適化された流速分布補正係数を変更し、さらには、流体の種類や、流路寸法、流量レンジの少なくとも1つに基づいて、流速分布補正係数とは異なる別の補正係数を付与することで、流量域による幅方向の流速分布が流体の種類や流路寸法に関わらず、全流量域に渡って安定した高精度な計測が実現できる。
Claims (5)
- 被測定流体が流れる流路と、該流路の上流側と下流側に該流路を挟んで対向する位置に配置された一対の超音波素子と、該一対の超音波素子により送受信される超音波の伝播時間に基づいて前記被測定流体の流量を算出する流量算出手段とを備えた超音波流量計であって、
前記一対の超音波素子は、該一対の超音波素子の周波数帯域に含まれる2以上の異なる周波数に対応して、互いに指向性が異なる2以上の超音波ビームパターンを送受信することにより、前記流路の幅方向を複数の検出エリアとし、
前記流量算出手段は、前記一対の超音波素子間で送受信される前記2以上の超音波ビームパターンの伝播時間の比の値あるいは該伝播時間から算出される流速の比の値に基づいて、前記被測定流体の流速分布を推定し、該推定した流速分布に応じた補正係数を、前記一対の超音波素子間で送受信される前記2以上の超音波ビームパターンの伝播時間に基づいて算出される流量値に付与し、前記被測定流体の流量を算出することを特徴とする超音波流量計。 - 請求項1に記載の超音波流量計において、前記2以上の超音波ビームパターンは、前記一対の超音波素子の上限周波数に対応して前記流路の幅よりも狭いビーム幅をもつ第1の超音波ビームパターンと、前記一対の超音波素子の下限周波数に対応して前記流路の幅と略同じビーム幅をもつ第2の超音波ビームパターンとを含むことを特徴とする超音波流量計。
- 請求項1または2に記載の超音波流量計において、前記流量算出手段は、流体の種類、流路寸法、流量レンジの少なくとも1つに基づいて、前記補正係数とは異なる別の補正係数を付与することを特徴とする超音波流量計。
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の超音波流量計において、前記一対の超音波素子は、前記2以上の超音波ビームパターンより得られた伝播時間の比の値あるいは該伝播時間から算出される流速の比の値から、前記被測定流体の流量域が乱流域と判断された場合、前記第1の超音波ビームパターン及び前記第2の超音波ビームパターン以外に、前記上下限周波数の略中間となる中心周波数帯域に対応した第3の超音波ビームパターンを送受信し、
前記流量算出手段は、前記第3の超音波ビームパターンの伝播時間あるいは該伝播時間から算出される流速に基づいて、前記被測定流体の流量を算出することを特徴とする超音波流量計。 - 被測定流体が流れる流路と、該流路の上流側と下流側に該流路を挟んで対向する位置に配置された一対の超音波素子と、該一対の超音波素子により送受信される超音波の伝播時間に基づいて前記被測定流体の流量を算出する流量算出手段とを備えた超音波流量計による流量計測方法であって、
前記一対の超音波素子の周波数帯域に含まれる2以上の異なる周波数に対応して、互いに指向性が異なる2以上の超音波ビームパターンを送受信することにより、前記流路の幅方向を複数の検出エリアとし、
前記一対の超音波素子間で送受信される前記2以上の超音波ビームパターンの伝播時間の比の値あるいは該伝播時間から算出される流速の比の値に基づいて、前記被測定流体の流速分布を推定し、該推定した流速分布に応じた補正係数を、前記一対の超音波素子間で送受信される前記2以上の超音波ビームパターンの伝播時間に基づいて算出される流量値に付与し、前記被測定流体の流量を算出することを特徴とする流量計測方法。
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