JP3732136B2 - 還元鉄の製造方法および還元鉄の冷却装置 - Google Patents

還元鉄の製造方法および還元鉄の冷却装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粉体の酸化鉄を原料として、これを固体状態で焼成還元して、還元鉄を製造して、更に、これを冷却して、常温の還元鉄粒状物を製造する方法、及び、装置に関するものである。また、当該還元鉄粒状物を溶解炉で還元溶解して溶融鉄を製造する方法にも関する。
【0002】
【従来の技術】
還元鉄を製造するプロセスとしては各種のものがあるが、この内で、安価な石炭などの炭素還元剤で還元を行う、ロータリーキルン法や回転炉床法などが実施されている。これらの技術では、酸化鉄を含む粉体と炭素粉を混合して、1100℃以上の温度で加熱することにより、酸化鉄と炭素を反応させて、還元鉄を製造することが行われている。
【0003】
還元鉄製造用のロータリーキルンは、直径が1.5〜4m、長さ40〜100mの耐火物内張りの鉄製円筒が回転する構造のものであり、キルン内部で、ガス燃焼にともなうガス輻射熱により、原料と炉内耐火物を加熱する。炉内耐火物の蓄熱も接触伝熱により、原料の加熱に利用される。ロータリーキルン法の操業では、酸化鉄と炭素の粉体を原料として、5〜20mm程度の成形体を製造して、キルンに供給する。キルンは回転しながら、成形体を低温部から高温部に移動させる。この間、成形体は徐々に加熱され、1100℃以上の温度になった時点から、盛んに還元反応を起こす。還元された成形体は、キルンの出口から排出される。なお、酸化鉄の還元のために必要な熱は成形体の出口部分に設置したバーナーで燃料ガスや重油を焚いて供給する。還元鉄を多く含む粒状物(還元鉄粒状物)は、速やかに冷却されて、更に、利用工程に送られる。
【0004】
回転炉床法は、固定した耐火物の天井及び側壁の下で、中央部を欠いた円盤状の耐火物の炉床がレールの上を回転する型式の焼成炉を主体とするプロセスであり、酸化金属の還元に用いられる。回転炉の炉床直径は10〜50メートル、かつ、幅は2〜6メートルである。原料の酸化金属と炭素系を含む粉体を原料として、大きさが5〜20mmの成形体を製造して、回転炉床式還元炉に供給する。成形体はこの炉床上に敷きつめられ、炉床上部の高温ガスの輻射熱により、1200〜1400℃の高温に加熱されて、還元反応を起こす。回転炉床法では、原料の成形体が炉床上に静置されていることから、成形体が炉内で崩壊しづらいといった利点がある。その結果、耐火物上に粉化した原料が付着する問題が無く、また、塊の製品歩留が高い長所がある。また、生産性が高く、安価な石炭系の還元剤や粉原料を使用できる、と言った理由から、近年、実施される例が増加している。
【0005】
更に、ロータリーキルン法と回転炉床法は、高炉、転炉、及び、電気炉から発生する製鉄ダストや圧延工程のシックナースラジの還元と不純物除去の処理にも有効であり、ダスト処理プロセスとしても使用され、資源リサイクルに有効なプロセスである。酸化鉄を含有するダストを処理する場合は、還元反応に伴い、亜鉛、鉛、アルカリ金属、塩素、等の不純物が揮発除去されることから、還元鉄を高炉や電気炉にリサイクルすることが容易となる。
【0006】
これらのプロセスでは、還元温度がやや低いことや炉内の雰囲気ガスが完全な還元力を持っていないことから、酸化鉄は完全には還元されず、鉄の金属化率は50〜90%となるのが一般的である。また、還元鉄粒状物には、酸化珪素や酸化アルミなどの酸化物系の不純物や硫黄や燐などの鉄に固溶する不純物などが混在しており、このままでは、鉄鋼製品とすることはできない。したがって、ここで製造された還元鉄粒状物は、還元を完了させるとともに溶融する工程を経由して、鉄鋼製品となる。
【0007】
高温で還元された還元鉄粒状物は、還元後に使用先に応じた処理を施される。例えば還元後に、電気炉で使用する場合、熱の有効利用を目的に、還元ペレットを高温のまま使用される。また、高炉での使用の場合は、常温まで冷却した後に使用するのが一般的である。
【0008】
特に、高炉で利用する場合は、強度の高い還元ペレットが必要である。例えば、回転炉床法での還元鉄粒状物の製造では、特開2000-34526公報に示されるような製造方法により、強度の高い還元鉄粒状物が製造されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、ロータリーキルン法や回転炉床法での酸化金属の還元方法は、生産性や製造費用の面で優れており、経済的に金属を製造する方法である。しかしながら、最終還元と溶解を行う工程での還元鉄粒状物の使用を前提とするプロセスであることから、還元をうまく行う以外に、次工程で利用しやすい物理的な条件を満たす必要がある。
【0010】
還元鉄粒状物を高温のまま電気炉等の溶解炉で利用する以外は、次工程での使用のために、高温の還元鉄粒状物を冷却する必要がある。この際に、高強度の還元鉄粒状物を製造することが重要である。従来の技術においても、例えば、回転炉床法での還元鉄粒状物の製造方法単独では、本発明者らの発明である特開2000-34526公報や特開2000-54034公報に示されるような方法で、強度の高い還元鉄粒状物が製造されてきた。
【0011】
これらの方法は、還元時に強度の高い還元鉄粒状物を製造するために、不可欠である。しかし、還元時に、強度の高い還元鉄粒状物を製造すれば良いとの考えのみで、操業されており、還元後の冷却過程で、強度や還元率を悪化させないための効果的な処理方法についての十分な工夫がなされてこなかった。還元鉄粒状物を冷却する際に不適切な処理を行うと、還元鉄粒状物に、クラックなどの機械構造的な欠陥が生じて、強度が低下したり、冷却中の雰囲気の酸素による再酸化が生じて、還元鉄粒状物の金属鉄比率が低下するなどの問題があった。
【0012】
従来技術では、これらの問題を解決するために、回転する円筒の内部に撹拌子があり、円筒外部を冷却する構造になっている型式の冷却装置、いわゆる、ロータリークーラー、などで還元鉄粒状物を冷却することを行っているが、冷却をゆっくりする指針だけでの操業をしており、経済的に強度の高い還元鉄粒状物を製造する考えはなかった。その結果、冷却装置が巨大になり、冷却装置の価格が高価となる問題や、還元鉄粒状物の再酸化防止用の封入窒素流量が多くなる経済的な問題が生じていた。高炉で還元ペレットを利用する場合は、特に強度の高い還元ペレットが必要であることから、前述した問題が大きく、還元鉄粒状物製造の費用を低下させる際の重大な問題となっていた。
【0013】
また、例えば、従来技術でも、やや改善された還元鉄粒状物を冷却する方法が、特開2000―212651公報に開示されている。この冷却方法は、冷却時間を短縮するために、還元鉄粒状物の表面温度が650℃〜150℃まで降温する間の平均冷却速度を1500℃/分〜500℃/分の間になるよう高速で水冷している。
【0014】
しかしながら、冷却時に、還元鉄粒状物のクラック等の機械的構造欠陥が生ずるのは、主に800〜1200℃程度の高温での冷却の際であり、この発明の方法では、この温度域での冷却の工夫がないことから、高炉に供給できるまでの高強度の還元鉄粒状物の製造には向いていなかった。
【0015】
また、ロータリーキルンより排出された高温の還元鉄粒状物を徐冷して還元鉄粒状物を製造する方法が特開平10―158710公報に開示されている。ここでの冷却方法は、500℃/分以下の冷却速度で600℃になるまで徐冷している。この方法により、還元鉄粒状物表面に再酸化被膜が形成され、これが強固な緻密層となり、還元鉄粒状物内部への水分、酸素の侵入が阻害されるため、還元鉄粒状物を長期間貯蔵する際も、再酸化を抑制することができる。しかしながら、この方法によっても、高温での冷却速度が適切でなく、再酸化反応は抑制できても、還元鉄粒状物の強度が低下する問題があった。したがって、高炉での使用や長距離輸送に耐えられる強度の還元鉄粒状物の製造には必ずしも適した方法ではなかった。
【0016】
従来技術では、このような問題があったことから、緻密で再酸化の少ない還元鉄塊を製造するためには、熱間でブリケットを製造するホットブリケット法による還元鉄ブリケットを製造することも行われている。しかし、ホットブリケット法は、装置が高価であり、また、操業費も多くかかることから、経済的な方法ではなかった。
【0017】
このように、いずれの従来法においても、高強度の還元鉄粒状物を安定して製造することには、技術的な問題があった。また、還元鉄粒状物の冷却装置や成形装置が巨大になり、製造費用が増加する問題もあった。つまり、従来法では、高強度の還元鉄粒状物を製造するには、技術的・経済的な問題があり、この問題を解決するための還元条件から冷却条件までを総合的に考慮した新しい技術が求められていた。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記問題点に鑑みなされたものであり、その要旨とするところは、
(1)炉内ガスからの輻射熱伝達によって炉内物を加熱する回転炉床式還元炉にて、1200〜1400℃の温度で還元した、金属鉄比率が40質量%以上、かつ、見掛け比重が1.6〜4.5g/cm3の範囲、かつ5×10 6 N /m 2 以上の圧潰強度を有する還元鉄粒状物を、比重を高める操作をすることなしに全質量平均温度で200℃以上450℃以下の温度までを、酸素濃度7容積%以下で、低温金属壁への伝熱による冷却を行い、その後に空気流を当てることにより当該還元鉄粒状物を冷却することを特徴とする還元鉄の製造方法。
(2)上記還元鉄粒状物に当てる空気の量を、当該還元鉄粒状物の毎時1トンの処理につき毎時1000〜5000ノーマル立方メートルとすることを特徴とする、前記(1)記載の還元鉄の製造方法。
(3)前記(1)記載の方法において、全質量平均温度が450℃以下の還元鉄粒状物を、円筒容器の内部に設置してある螺旋状トラフの上に置き、当該螺旋状トラフを円周方向と上下方向を合成した方向に振動させることにより、当該還元鉄粒状物を上方又は下方に移動させながら、当該還元鉄粒状物に空気を流して、冷却することを特徴とする還元鉄の製造方法。
(4)回転炉床式還元炉やロータリーキルンなどの焼成還元炉の還元鉄粒状物の排出部に接続している、下方に傾斜している金属製シール外筒、及び、当該金属製シール外筒とシール構造で連結する、内部のガス雰囲気を調整できる、冷却構造の金属壁で囲われた一次冷却装置を有し、更に、当該一次冷却装置が二次冷却装置と直接連結している、または、耐熱性の搬送装置を経由して連結していることを特徴とする還元鉄の冷却装置であって、円筒の容器の内部に、円筒の中心軸を中心とする螺旋状トラフが存在しており、当該螺旋状トラフが円周方向と上下方向を合成した方向に振動させることにより、還元鉄粒状物を上方又は下方に移動させながら、更に、当該還元鉄粒状物に空気を流して、冷却する機構を有する装置である、二次冷却装置を用いることを特徴とする還元鉄の冷却装置。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明は、ロータリーキルン法や回転炉床法などで、炭素を還元剤として、酸化鉄を固体状態で還元する還元炉で、高強度の還元鉄粒状物を製造する方法と装置に関するものである。特に、回転炉床式の還元炉で有効な方法であることから、回転炉床法還元炉を用いて、本発明を実施する設備の例を図1に示し、これをもとに、本発明の方法及び装置を説明する。なお、本発明は、1200℃以上のガスからの輻射熱を用いて、酸化鉄を固体状態で還元する種々のプロセスにも適用できる。
【0020】
図1の設備は、一般的な回転炉床式還元炉の設備構成であり、成形装置1、成形体乾燥装置2、回転炉床式還元炉3、還元鉄粒状物冷却装置4、還元鉄粒状物篩装置5、及び、還元鉄粒状物備蓄ビン6から構成される。また、回転炉床式還元炉3の断面図を図2に示す。固定された耐火物製の天井7と炉壁8の下に、車輪10上を回転する炉床9が設置されている。炉壁8には、バーナー11が複数設置してあり、火炎12により、炉内の温度と雰囲気をコントロールする。
【0021】
原料粉体は成形装置1で成形体とされて、この成形体は成形体乾燥装置2で乾燥される。場合によっては、乾燥工程は省略される。この後に、成形体は回転炉床式還元炉3の中に供給される。炉内の成形体13は、炉床9の上でガス輻射熱により、加熱されて、還元反応を起こす。以降、ここで製造された還元鉄を含む成形体を還元鉄粒状物と称す。回転炉床式還元炉3から高温の還元鉄粒状物が排出されて、還元鉄粒状物冷却装置4で冷却された後に、還元鉄粒状物篩装置5で篩われて、還元鉄粒状物備蓄ビン6に備蓄される。この後、高炉などの溶解炉で溶解される。
【0022】
本発明の還元鉄粒状物の製造方法では、まず、粉鉄鉱石や転炉ガスダストなどの酸化鉄を含む粉体とコークス粉などの炭素を含む粉体を混合する。成形装置1にて、この混合された粉体をハンドリングしやすい形状に成形する。成形方法は、傾斜した円盤上で造粒核の周りに粉原料をまぶしながら、球形のペレットを作るパン式造粒機でのペレット製造方法が最も一般的に行われている。また、回転するローラーで圧縮成形するブリケット製造法や湿潤粉体を貫通ノズルから押し出す方式の成形方法も行われる場合がある。
【0023】
成形体は還元炉までの搬送に耐えられる強度が必要である。パン式造粒機のペレットの場合では、気孔率が20〜33%の緻密なものを製造して、ペレット強度を高める。また、ブリケット製造法や押し出し式の成形方法では、気孔率が30〜55%で、緻密でない成形体であるため、バインダーや水分による粘着力で強度を高める。
【0024】
回転炉床式還元炉3の炉内で、原料成分の内で一酸化炭素雰囲気で還元しやすい酸化物は、炭素によって還元される。炭素とこれらの酸化鉄を含む酸化物の比率は、炭素の原子モル量が、これら酸化物中の酸素(活性酸素)の原子モル量に対する比率を0.5〜1.5とすることが望ましい。理由は以下の通りである。回転炉床法やロータリーキルン法での還元では、酸化金属中の酸素と炭素が一酸化炭素を形成する条件での還元反応が中心である。したがって、炭素と活性酸素の原子モル比率は1.0を中心基準に配合する。ただし、雰囲気ガスや温度の条件により、一部は二酸化炭素までの反応まで還元に寄与する場合もある。また、炉内の高温の水蒸気や二酸化炭素ガスによる炭素の消費が多い場合もあることから、余剰の炭素が必要な場合もある。したがって、反応条件によっては、炭素比率を中心基準の0.5倍まで減少させたり、1.5倍まで増加させたりする。なお、一般的には、還元鉄を製造するための原料中の活性酸素を有する酸化物は、主に、鉄、マンガン、ニッケル、亜鉛、及び、鉛の酸化物である。
【0025】
上記の方法で製造した成形体を、回転炉床式還元炉3の炉内の炉床9上に敷き詰め、焼成還元する。還元反応は、約1100℃で始まり、1200℃を超えた時点から盛んになる。したがって、回転炉床式還元炉3の還元ゾーンの炉内ガス温度は、1200℃以上であることが必要である。粒径が5〜20mmと一般的な成形体を用いる回転炉床法での操業では、ガス雰囲気温度が1200℃以上である時間が5分を超えると、酸化鉄の約50%が還元されて、更に、7分間を越えると、約70%が還元される。また、約7分間経過した時点で、成形体内部の還元反応で生成した金属鉄の粒子間の焼結が顕著になるため、この時点から、還元鉄粒状物の強度が高まる。
【0026】
例えば、本発明者らが行った実験では、ガス雰囲気温度1250℃で7分間還元した、還元鉄粒状物の鉄の金属化率は67%、かつ、還元鉄粒状物質量に対する金属鉄比率は55%となった。この還元鉄粒状物の圧潰強度は5.9×106N/m2となった。これは、高炉で直接使用できるだけの強度であった。また、更に、還元後の焼成時間を取ると、還元鉄粒状物内の還元鉄粒子の焼結が強化されるため、還元鉄粒状物の強度が向上する。例えば、ガス雰囲気温度1250℃で10分間の焼成処理を行い、還元と焼結を行った還元鉄粒状物の強度は8×106 N/m2以上であった。
【0027】
ただし、炉内ガス温度が1400℃以上となると、還元鉄粒状物に混在しているスラグ成分や、還元された鉄が残留炭素と反応して生成した鉄−炭素化合物となり、これが溶融する。この結果、還元鉄粒状物の一部が溶融して、還元鉄粒状物同士で粘着したり、炉床9と融着する。この結果、還元鉄粒状物が炉内から排出されなくなる問題があるため、還元温度は、1200〜1400℃の範囲であることが必要である。また、スラグ成分や鉄−炭素化合物が部分的にも溶融すると、還元鉄粒状物の内部でこれらが球状に凝集する。溶融スラグの凝集体は、炭素や鉄の粉体と、また、溶融鉄の凝集体は、スラグ粉との濡れ性が悪いため、還元鉄粒状物内部の粒子間の結合力が低下して、還元鉄粒状物の強度が低下する。したがって、この観点からも、還元温度は、1200〜1400℃の範囲であることが必要である。
【0028】
また、原料の成形体の炭素比率が高すぎて、還元鉄粒状物内部の残留炭素が多くなる場合も、還元鉄粒状物の強度が低下する問題が生ずる。つまり、鉄−炭素化合物が生成して鉄の融点が低下することから、1200〜1400℃の温度でも、還元鉄粒状物内部の鉄粒子の溶融に伴う問題が生ずる。したがって、高強度の還元鉄粒状物を製造するためには、還元鉄粒状物の残留炭素比率を低減する必要がある。本発明者らの研究によれば、残留炭素質量が金属鉄の質量の6%以上になると、還元鉄粒状物の圧潰強度が低下する。これは、金属鉄への炭素溶解量が増加して、鉄の融点が1400℃以下となり、適正なガス温度でも還元鉄粒状物内の鉄粒子が溶解する。また、未溶解で残った炭素が還元鉄粒状物の鉄やスラグ粒子間に存在することにより、金属鉄粒子間の焼結結合を妨げることから、還元鉄粒状物の強度低下をもたらす。したがって、還元終了後に、還元鉄粒状物内に残留する炭素比率は、金属鉄に対して6%以下であることが望ましい。
【0029】
更に、本発明者らは、還元鉄粒状物の成分と圧潰強度の関係を調査した。還元鉄粒状物の金属鉄比率が高いほど、圧潰強度が高くなることを見出した。この現象の理由として、1200〜1400℃の高温では、金属鉄は物質移動が速いため、還元鉄粒状物中の金属鉄粉は短時間で焼結することが原因であることを解明した。金属鉄比率の高い還元鉄粒状物を適正に焼結させると、緻密化して、強度が高いものとなる。一方、酸化アルミや酸化鉄などの酸化物は物質移動が遅く、この温度での10分間程度の加熱では、十分な焼結が進行しない。このため、金属鉄の比率が低く、酸化物比率の高い還元鉄粒状物は、強度が低い。本発明者らは、還元鉄粒状物の金属鉄比率が40%以上の場合には、高炉で利用できる強度の限界値である、圧潰強度が5×106 N/m2以上の強度を得ることができることを解明した。
【0030】
ここで、金属鉄比率40%以上を達成するための原料の酸化鉄比率の適正な値について述べる。本発明の還元方法では、還元反応により、酸素と炭素が一酸化炭素と二酸化炭素となって、成形体から放出される。その結果、還元鉄粒状物の質量は原料成形体の65〜80%となる。トータル鉄40%含有の成形体を原料として適正な還元を施して製造した還元鉄粒状物のトータル鉄比率は50〜60%を超える。この原料での適正な還元条件とは、ガス雰囲気温度1200〜1400℃で、7分間以上の還元である。この条件では、鉄の金属化率が70%以上となり、金属鉄比率が40%以上の還元鉄粒状物が得られる。なお、トータル鉄とは、成形体や還元鉄粒状物に含まれる酸化鉄と金属鉄が含有する鉄原子の質量の総和である。
【0031】
以上に説明した操業方法で、還元鉄粒状物を製造すると、強度の高いものが得られる。この還元鉄粒状物は見掛け比重が1.6〜4.5g/cm3の範囲であり、また、5×106 N/m2以上の圧潰強度を有している。また、還元鉄粒状物の見かけ密度は、原料成形体の気孔率に影響される。気孔率が20〜30%の球形ペレットでは、還元鉄粒状物の見掛け比重が3.0〜4.5g/cm3であった、また、気孔率が30〜55%のブリケットや押し出し成形体では、還元鉄粒状物の見掛け比重が1.6〜3.5g/cm3であった。したがって、原料成形体の気孔率は20〜55%の範囲であれば、緻密で、高強度の還元鉄粒状物を製造することができる。ここで、圧潰強度は、還元鉄粒状物を上下から硬質の面で挟み込んだ際の還元鉄粒状物が破壊する押し込み力を還元鉄粒状物の投影面積で割った値である。
【0032】
還元鉄粒状物冷却装置4にて、上記の方法で製造された高温の還元鉄粒状物を冷却する。還元鉄粒状物を適切に冷却することも、高強度の還元鉄粒状物を製造するために重要な技術である。本発明者らは、還元鉄粒状物を急速に冷却すると、内部に熱歪を生じて、圧潰強度が低下することを解明した。つまり、還元鉄粒状物を水中に投入するなどの方法で急冷すると、サーマルショックで還元鉄粒状物にクラックが発生する。その結果、低冷却速度の場合には、5×106 N/m2以上の圧潰強度がある還元鉄粒状物でも、急冷すると、1×106〜3×106 N/m2と低い圧潰強度しかない。
【0033】
そこで、本発明者らは種々の冷却実験を行い、還元鉄粒状物の強度を低下させない冷却方法を発明した。つまり、上記の還元条件で製造した高強度の還元鉄粒状物を冷却する際には、全質量平均の冷却速度が毎秒150℃以下で、全質量平均温度が800℃まで冷却することが、5×106 N/m2以上の圧潰強度の還元鉄粒状物を製造するために必要である。また、8×106 N/m2以上の圧潰強度の還元鉄粒状物を製造するためには、毎秒50℃以下の冷却速度が望ましい。このような低速の冷却では、還元鉄粒状物の熱歪が小さいことから、還元鉄粒状物にクラックが発生しない。
【0034】
上記の冷却速度を実現する方法としては、還元鉄粒状物から500℃程度以下の金属面への輻射伝熱を用いるか、この冷却条件に、冷却用ガスへの強制対流伝熱による接触伝熱を加えることにより、冷却する方法がある。これらの条件では、毎秒150℃以下の冷却速度が得られて、還元鉄粒状物にはクラックが発生しなかった。また、少量の散水により、還元鉄粒状物を冷却する場合にも、毎秒150℃以下の冷却速度が実現できた。この時の散水量は還元鉄粒状物1トン当たり毎秒85kg以下であることが本発明の条件であることも、本発明者らは解明した。
【0035】
本発明の方法の還元手段で製造した還元鉄粒状物では、還元処理に引き続き、焼結を行っていることにより、還元鉄粒状物内の金属鉄粒子が粗大化している。この結果、金属鉄粒子の比表面積が小さく、かつ、比較的緻密な還元鉄粒状物が製造できる。このことから、本発明の方法で製造する還元鉄粒状物の再酸化速度が遅い利点があるが、それでも、高温では、雰囲気酸素濃度が還元鉄粒状物の再酸化に強く影響する。
【0036】
本発明者らの実験結果をまとめた図3に示されるように、特に、800℃以上の高温では還元鉄粒状物は再酸化速度が大きい。また、450℃以下になると再酸化速度は大幅に低下して、300℃以下では再酸化がほとんど停止する。再酸化速度が大きい800℃以上では、還元鉄粒状物の冷却時の雰囲気の酸素濃度を低下させることが重要である。本発明者らの研究では、800℃以上でも、雰囲気の酸素濃度が10容積%を切る条件から酸化速度が低下する。本発明の冷却速度での冷却の場合は、雰囲気酸素濃度が7容積%以下では、還元鉄の再酸化が、実質上問題とならない。また、雰囲気酸素濃度が3容積%以下では、再酸化はほとんどない。したがって、再酸化防止のための雰囲気酸素濃度は7容積%以下が望ましい。例えば、本発明の方法での還元鉄粒状物の冷却では、冷却装置内の雰囲気ガス酸素濃度を7容積%以下とすると、再酸化率が10%以下とできる。また、450℃以上の温度まで、雰囲気酸素濃度を7容積%以下とすると、更に良好な効果が得られ、還元鉄粒状物の再酸化率を6%以下とできる。
【0037】
本発明者らは、また、還元鉄粒状物の全質量平均が800℃以下では、通常の方法で冷却を行う場合は、大きな冷却速度でも還元鉄粒状物にクラックが発生するなどの圧潰強度を低下させる現象は起きないことを確認した。そこで、本発明者らは、800℃以下での冷却速度を向上させることによって、冷却装置を小さくすることが可能であることを見出した。800℃以下での冷却速度の速い還元鉄粒状物の冷却方法としては、まず、散水冷却と水中への還元鉄粒状物投入の方法がある。本発明者らは、冷却速度が毎秒150℃以上の条件で還元鉄粒状物を冷却する実験を行ったが、顕著な強度低下は認められなかった。また、水を用いない還元鉄粒状物の冷却方法としては、還元鉄粒状物の周囲にガス冷却媒体を流す強制対流による接触伝熱が有効である。特に、還元鉄粒状物の温度が450℃以下では、輻射による冷却が非効率であることから、これらは有効な方法である。また、この温度であれば、再酸化速度が小さいことから、空気をガス冷却媒体として用いることができる。
【0038】
以上に説明した操業方法を実現するための装置を説明する。回転炉床式還元炉に併設する、還元鉄粒状物の冷却装置の例を図4に示す。本設備は、一次冷却装置と二次冷却装置から構成されるものである。一次冷却装置では、一次冷却室15の内部で、雰囲気酸素濃度を低下させながら、還元粒状物26を冷却するものである。また、二次冷却装置は、二次冷却室19の内部で散水冷却を行なう装置を用いるものである。
【0039】
回転炉床式還元炉3の内部で還元された、高温の還元鉄粒状物26は、回転炉床式還元炉3の還元鉄粒状物出口と連結した金属製シール外筒14を経由して、一次冷却室15の内部に送られる。還元鉄粒状物26は、外部冷却式の円筒状の冷却装置外壁25の上で層状になって移動していく。一次冷却室15は、冷却装置外壁25に囲まれており、還元鉄粒状物26からの輻射熱は冷却装置外壁25の内面に伝達される。この際、窒素配管16に接続している窒素ノズル17から、窒素ガスを流して、一次冷却室15の内部の雰囲気ガス酸素濃度を低下させ、7容積%以下とする。なお、還元鉄粒状物26の再酸化率を3%以下すると目的では、雰囲気ガスの酸素濃度を3容積%以下とする。還元鉄粒状物26は、主としてこの輻射伝熱により、冷却されるが、冷却速度を大きくしたい場合は、窒素ガスを多く流して冷却することもある。これらの方法で、一次冷却室15の内部で、還元鉄粒状物26を800℃以下まで冷却する。なお、一次冷却室15には、熱せられた窒素リッチガスのガス排出口22が設置してある。
【0040】
一次冷却室15で、800℃以下に冷却された還元鉄粒状物26は、隔壁18で隔てられた二次冷却室19に送られる。二次冷却室19の内部では、還元鉄粒状物26の冷却速度を大きくするために、水配管20に接続している散水ノズル21にて、還元鉄粒状物26に散水冷却を行う。ここで、還元鉄粒状物を約100〜120℃まで冷却する。この時、還元鉄粒状物26は若干の水分を含んでいるが、この後、還元鉄粒状物26の残存熱で、この水分は蒸発する。二次冷却室19には、内部の水蒸気を抜くための蒸気排出口23と蒸気排出ファン24が設置してある。場合によっては、一次冷却装置で冷却された還元鉄粒状物26を、耐熱性の搬送装置で一次冷却装置と二次冷却装置を連結して、同様の冷却を行なう場合もある。
【0041】
一次冷却装置での冷却を比較的大きくしたい場合は、一次冷却装置の内部でも、還元鉄粒状物26に散水する。ただし、冷却速度を毎秒150℃以下にするために、還元鉄粒状物26の質量1トン当たりの散水量を毎秒85kg以下とする。一次冷却装置と二次冷却装置は、図4のもの以外でも良い。例えば、一次冷却装置は、外気と遮断されている冷却室の内部で、耐熱性のパン式コンベアの上に還元鉄粒状物を載せて、少量の散水をする方式の冷却装置でも良い。また、二次冷却装置は、水を張ったピットなどを用いる浸漬式水冷を行なうことや、酸素濃度が低いガスを冷媒として吹き付けて冷却することでも良い。
【0042】
また、還元鉄粒状物の再酸化を極力低減するためには、一次冷却装置の出口の還元鉄粒状物26の温度を低くすることが望ましい。還元鉄粒状物26の温度を450℃以下まで、酸素濃度が7容積%以下の雰囲気ガス中で冷却する。この場合も、還元鉄粒状物26の強度低下の防止のために、この際の冷却速度は毎秒150℃以下とする。その後に、二次冷却装置である、散水式冷却装置や空気との接触伝熱を用いる装置などで還元鉄粒状物を冷却する。
【0043】
図5に示す装置は、一次冷却装置としてロータリークーラー29を、また、二次冷却装置としてスパイラル冷却コンベア30を使用する冷却装置の例である。なお、ロータリークーラー29は、回転する金属製円筒の内部で還元鉄粒状物26から鉄皮に輻射熱を伝え、この時に、熱された外皮を散水冷却する装置であり、また、スパイラル冷却コンベア30は、円筒容器である外円筒32の内部に、螺旋トラフ33が存在しており、これらが一体で振動するにより、還元鉄粒状物を上方又は下方に移動させながら、還元鉄粒状物26に空気を流して冷却する装置である。スパイラル冷却コンベア30は200〜500℃の耐熱のある素材で製造することが良い。
【0044】
この方法では、回転炉床式還元炉3から排出された高温の還元鉄粒状物26を金属製シール外筒14を経由して、一次冷却装置であるロータリークーラー29に入れる。ロータリークーラー29での還元鉄粒状物26の冷却方法は、図4の一次冷却装置の方法で説明したものと同じであるが、この場合は、還元鉄粒状物26を450℃以下まで、場合によっては、200〜300℃まで冷却する。この冷却された還元鉄粒状物26は、ロータリークーラー29から排出されて、耐熱性のある還元鉄粒状物搬送装置28、例えば、移動パン式コンベア方式のものなどで、スパイラル冷却コンベア30に送る。
【0045】
二次冷却装置であるスパイラル冷却コンベア30では、螺旋トラフ33に還元鉄粒状物26を載せる。螺旋トラフ33は、幅が300〜1500mm程度の螺旋状に設置されている底板と、この底板の両脇の側壁で構成されるものである。場合によっては、外円筒32を側壁として利用することもある。螺旋トラフ33は、10〜50mmの厚みで、粒状の固体物を置く構造となっている。還元鉄粒状物26を効率的に上方向に搬送するためには、螺旋トラフ33の底面と水平面がなす角度は5〜20度が望ましい。加振装置34を用いて、外円筒32と螺旋トラフ33をいっしょに、円周方向の旋回と上下方向の合成した方向の動きする振動を行う。この際に、外円筒32から、還元鉄粒状物の毎時1トンの処理につき毎時1000〜5000ノーマル立方メートルの空気を螺旋トラフ33の上の還元鉄粒状物26に送る。この空気が還元鉄粒状物26に接触することにより、還元鉄粒状物26が冷却される。本発明の還元方法で還元された還元鉄粒状物26は、この温度では、還元鉄粒状物26の空気での再酸化速度が小さいため、このような空気との接触伝熱においても、再酸化の問題は生じない。
【0046】
この方法で冷却されて、かつ、螺旋トラフ33の最上部に移動した還元鉄粒状物26は、出口から排出される。この時の温度は100℃以下であることが望ましい。この方法で製造された還元鉄粒状物26は、1〜5%再酸化されるだけである。出口から排出された還元鉄粒状物26は、還元鉄粒状物備蓄ビン6に入れられる。その後、搬送用のベルトコンベアやトラックなどで、利用先の高炉などに送られる。
【0047】
スパイラル冷却コンベア30を二次冷却装置として用いることは、経済的な効果がある。まず、装置が小型であり、特に、縦に長い装置であることから、設置面積、いわゆるフットプリント、が小さい。したがって、設置面積に制約がある場合や冷却装置が掘り込みピット内に設置してある場合には特に有効である。また、スパイラル冷却コンベア30の内部で、還元鉄粒状物26が冷却されながら、上方に搬送されるため、還元鉄粒状物ビン6の入り口が高い位置にあっても、揚げ用のコンベアが不要になる効果もある。また、この装置では、散水を行うことに伴う水蒸気の排出の問題を最小限とする効果やドライな還元鉄粒状物を得る効果もある。
【0048】
上記に説明した本発明の還元鉄粒状物の冷却装置は、高強度の還元鉄粒状物の冷却だけでなく、強度の弱い、一般の還元鉄粒状物の冷却にも有効である。本発明の装置を使用すると、冷却が効率的に行えるため、還元鉄冷却装置として使用する際にも、装置を小型化して、設備費を低減することができる。
【0049】
以上に二例で説明した方法などによって製造した還元鉄粒状物は、以下の特長を有する。まず、圧潰強度が高い。製鉄高炉やキューポラ等のシャフト式の溶解と還元の機能を有する炉でこの還元鉄粒状物を使用できる。シャフト式は、原料と加熱用の熱風が向流で移動して熱交換することから、熱効率が良い特長があり、まだ、還元が完全に完了しておらず、50〜90%しか金属化率のない還元鉄粒状物の仕上げ還元には効果的なプロセスである。しかし、一方、シャフト炉では、炉内に多量の原料を入れてこれを還元と溶解するものである。したがって、還元鉄粒状物の圧潰強度が低い場合は、炉内で潰れてしまい、粉が発生する。この粉が炉内のガス流れを阻害する問題がある。本発明の方法で製造した還元鉄粒状物は圧潰強度が高く、かつ、互いの擦れによる粉の発生も少ないことから、この問題が起きない。また、本発明の方法で製造した還元鉄粒状物は、高強度で、かつ、擦れによる粉の発生が少ないことから、還元鉄粒状物の長距離搬送にも問題ない。
【0050】
次に、本発明の方法で製造した還元鉄粒状物は、その内部の金属鉄粒子が焼結して、内部の比表面積が小さくなっていることと、緻密なことも特長である。この効果により、本発明の方法で製造した還元鉄粒状物は再酸化速度が小さく、三ヶ月程度の期間であれば、野外ヤード保管した際に、雨を浴びても、顕著な再酸化がなく、また、再酸化にともなう発熱の問題もない。また、還元鉄をトラックや船舶などでの輸送の場合に問題となる、輸送中の発熱や火災の問題が生じない。したがって、本発明の方法で製造した還元鉄粒状物を100kmから数千kmの遠距離輸送して、遠方の製鉄所で溶解して鉄製品を製造することが可能である。
【0051】
還元鉄粒状物を使用する還元炉や溶解炉は、製鉄用高炉とキューポラ以外にも、酸素や空気と炭素源を用いる溶融還元炉、アーク式電気炉、スラグに電極を浸漬させる電気炉、いわゆるサブマージドアーク炉、及び、酸素転炉などがある。本発明の方法で製造した還元鉄粒状物の金属化率は50〜90%程度である。したがって、溶解の際には、残留した酸化鉄の還元を行う必要があることから、溶解炉には、溶解機能以外に、還元機能も要求される。特に、溶融還元炉とサブマージドアーク炉は強い還元能力を有することから、本発明に有効な溶解炉である。また、アーク式電気炉では、炉内に吹き込まれた粉炭などの還元材との反応で、また、酸素転炉の炉内では、溶銑中の炭素や珪素との反応で、残留している酸化鉄の還元が可能であることから、これらは、本発明で製造された還元鉄粒状物の還元と溶解が可能である。
【0052】
なお、還元鉄粒状物を製鉄高炉で使用する際には、塊鉱石や焼結鉱などの他原料と混合して使用することが良い。これは、還元鉄粒状物は5〜20mmと比較的小粒径であることから、還元鉄粒状物のみでは、高炉内部のガス通気が悪くなることが理由である。還元鉄粒状物をキューポラで使用する場合も、同様の問題が生ずることから、この場合は、裁断された鉄スクラップなどと混合して使用することが良い。このように、シャフト炉では、炉内のガス通気不良の問題を起こさないために、小さい還元鉄粒状物を使用することは避けたほうが良い。この問題を避けるためには、5mm以上の還元鉄粒状物の比率が80%以上あることが良い。
【0053】
以上に説明した方法で溶解されて製造された溶解鉄を、更に精錬して、鉄鋼製品を製造する。
【0054】
【実施例】
回転炉床式還元炉3と図4に示される還元鉄粒状物の冷却装置を組み合わせた設備を用いて操業した結果を実施例1として示す。回転炉床式還元炉3は、毎時15トンの高炉向け還元鉄粒状物を製造するものである。
【0055】
原料は、微粉の鉄鉱石(ペレットフィード)、転炉ガスダスト、及び、粉コークスを混合したもので、トータル鉄比率が54%、炭素比率が14%で、炭素と活性酸素の原子モル比率が1.05であった。これをパン式造粒機である成形装置1にて、気孔率が23%の成形体を製造した。これを水分1%まで乾燥して、回転炉床式還元炉3で、還元ゾーンの温度1370℃で11分間、焼成還元した。ここで得られた還元鉄粒状物を図3の装置で、800℃まで冷却速度97℃/秒で、かつ、内部の酸素濃度5.3容積%の状態で、冷却して、更に、スプレー散水により、13秒間で100℃まで冷却した。
【0056】
実施例1の操業では、還元して得られて排出された直後の還元鉄粒状物の金属鉄比率は56質量%、トータル鉄比率は71質量%であり、金属化率は79%であった。冷却後の還元鉄粒状物の金属鉄比率は51質量%、トータル鉄比率は70質量%であり、したがって、金属化率は73%であった。つまり、冷却時の金属化率の低下は6%と低位であった。また、還元鉄粒状物に含まれる残留炭素の比率は2.3質量%であり、本発明の範囲内であった。この還元鉄粒状物の見掛け比重が3.1g/cm3あり、圧潰強度が9.5×106 N/m2であった。これは高炉で使用できる最低強度の約2倍であった。この還元鉄粒状物を他の鉱石や焼結鉱と混合して、製鉄用高炉で使用して、溶銑を製造した。
【0057】
一方、回転炉床式還元炉3での還元条件は実施例1と同じであるものの、炉内から排出された還元鉄粒状物を、高温のまま水中に投入して冷却した操業も比較例1として行った。比較例1では、還元鉄粒状物の圧潰強度が3.1×106 N/m2しかなく、また、金属化率は64%と大幅に低下していた。つまり、適正な冷却を行わなかった結果、圧潰強度が低く、また、再酸化率も高かった。この還元鉄粒状物は高炉で使用することができなかった。また、この還元鉄粒状物を一ヶ月間、野外ヤードに保管したところ、再酸化が進行して、金属化率が42%まで低下した。
【0058】
また、比較例2では、原料は実施例1と同一のものを用いたが、還元条件が本発明の範囲外である操業の例である。回転炉床式還元炉3で、還元ゾーンのガス温度1160℃で6分間、焼成還元した。ここで得られた還元鉄粒状物を実施例1と同じ方法で冷却した。この操業での還元鉄粒状物の金属鉄比率は37質量%と低く、金属化率も54%と低位であった。このように、還元条件が不適切であることから、還元鉄粒状物の圧潰強度も3.6×106 N/m2しかなく、製鉄用高炉で使用することができなかった。
【0059】
回転炉床式還元炉3と図5に示す冷却装置を用いた還元操業の結果を実施例2として示す。実施例2では、450℃以下まで、一次冷却装置内で、低酸素濃度のガス雰囲気、かつ、冷却速度を遅くして、更に、空気を流して還元鉄粒状物を冷却する処理の実施例である。
【0060】
原料は、微粉の鉄鉱石(ペレットフィード)、及び、粉コークスを混合したもので、トータル鉄比率が55%、炭素比率が16%で、炭素と活性酸素の原子モル比率が1.12であった。これをパン式造粒装置である成形装置1にて、気孔率が26%の成形体を製造した。これを回転炉床式還元炉3で、還元ゾーンの温度1260℃で8分間、焼成還元した。ここで得られた還元鉄粒状物を図5の冷却装置で冷却した。ロータリークーラー29にて、冷却速度37℃/秒で、約1200℃の還元鉄粒状物を300℃まで冷却して、更に、スパイラル冷却コンベア30により、105秒間で70℃まで冷却した。なおロータリークーラー29の内部の酸素濃度は2.7容積%であった。
【0061】
実施例2の操業では、還元して得られた冷却前の還元鉄粒状物の金属鉄比率は55質量%で、トータル鉄比率は71質量%であり、つまり、金属化率は77%であった。また、冷却後の還元鉄粒状物の金属鉄比率は54質量%、トータル鉄比率は71質量%であり、したがって、金属化率は76%であった。このように、冷却時の金属化率の低下は1%ですんでいる。また、還元鉄粒状物に含まれる残留炭素の比率は2.9質量%であり、本発明の範囲内であった。この還元鉄粒状物の見掛け比重が2.9g/cm3あり、圧潰強度が7.5×106 N/m2であった。これは高炉で使用できる強度であった。
【0062】
【発明の効果】
本発明の操業方法と装置を用いれば、高い還元率を確保するとともに、圧潰強度が高い還元鉄粒状物を製造することができる。この還元鉄粒状物は、高炉などの溶解と還元を行う炉で直接使用して溶銑を製造でき、また、長期間の備蓄や長距離輸送にも耐えられる特徴を持つ。また、本発明の還元鉄の冷却装置は、小型とすることができることから、設備建設費用が安価で、また、設置面積が小さい効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の還元用回転炉床法の回転炉とその付帯の装置からなる全体プロセス例を示す図である。
【図2】回転炉床式の還元炉の断面を示す図である。
【図3】空気中での還元鉄粒状物の再酸化速度に与える温度の影響を示す図である。
【図4】ロータリークーラーと散水冷却装置から構成される、本発明の還元鉄粒状物の冷却装置を示す図である。
【図5】ロータリークーラーとスパイラル冷却コンベアから構成される、本発明の還元鉄粒状物の冷却装置を示す図である。
【符号の説明】
1 成形装置
2 成形体乾燥装置
3 回転炉床式還元炉
4 還元鉄粒状物冷却装置
5 還元鉄粒状物篩装置
6 還元鉄粒状物備蓄ビン
7 天井
8 炉壁
9 炉床
10 車輪
11 バーナー
12 火炎
13 成形体
14 金属製シール外筒
15 一次冷却室
16 窒素配管
17 窒素ノズル
18 隔壁
19 二次冷却室
20 水配管
21 散水ノズル
22 窒素ガス排出口
23 蒸気排出口
24 蒸気排出ファン
25 冷却装置外壁
26 還元鉄粒状物
27 還元鉄粒状物出口
28 還元鉄粒状物搬送装置
29 ロータリークーラー
30 スパイラル冷却コンベア
31 空気供給配管
32 外円筒
33 螺旋トラフ
34 加振装置

Claims (4)

  1. 炉内ガスからの輻射熱伝達によって炉内物を加熱する回転炉床式還元炉にて、1200〜1400℃のガス温度で還元して得た、金属鉄比率が40質量%以上、かつ、見掛け比重が1.6〜4.5g/cm3の範囲、かつ5×10 6 N /m 2 以上の圧潰強度を有する還元鉄粒状物を、比重を高める操作をすることなしに全質量平均温度で200℃以上450℃以下の温度までを、酸素濃度7容積%以下で、低温金属壁への伝熱による冷却を行い、その後に空気流を当てることにより当該還元鉄粒状物を冷却することを特徴とする還元鉄の製造方法。
  2. 上記還元鉄粒状物に当てる空気の量を、当該還元鉄粒状物の毎時1トンの処理につき毎時1000〜5000ノーマル立方メートルとすることを特徴とする、請求項1記載の還元鉄の製造方法。
  3. 請求項1記載の方法において、全質量平均温度が450℃以下となった還元鉄粒状物を、円筒容器の内部に設置してある螺旋状トラフの上に置き、当該螺旋状トラフを円周方向と上下方向を合成した方向に振動させることにより、当該還元鉄粒状物を上方又は下方に移動させながら、当該還元鉄粒状物の周囲に空気を流して、冷却することを特徴とする還元鉄の製造方法。
  4. 焼成還元炉の還元鉄粒状物の排出部に接続している、下方に傾斜している金属製シール外筒、及び、当該金属製シール外筒とシール構造で連結する、内部のガス雰囲気を調整できる、冷却構造の金属壁で囲われた一次冷却装置を有し、更に、当該一次冷却装置に直接連結している、または、耐熱性の搬送装置を経由して連結している二次冷却装置とから構成されることを特徴とする還元鉄の冷却装置であって、
    円筒の容器の内部に、円筒の中心軸を中心とする螺旋状トラフが存在しており、当該螺旋状トラフを円周方向と上下方向を合成した方向に振動させることにより、還元鉄粒状物を上方又は下方に移動させながら、当該還元鉄粒状物に空気を流して、冷却する機構を有する装置である、二次冷却装置を用いることを特徴とする還元鉄の冷却装置。
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