JP2015193906A - 還元鉄製造方法 - Google Patents

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宏児 大菅
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耕一 森岡
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Abstract

【課題】鉄鉱石ペレットを冷却する冷却設備を用いて、簡単に安価な還元鉄を製造することができる。即ち、高炉や混洗車などに、鉄源として使用することができる還元鉄を製造することができるようにする。【解決手段】還元鉄製造方法では、被覆層11の厚さが1.5mm以上5.0mm以下であって内部に炭材内装ペレット10を有する2重構造ペレット12を、鉄鉱石ペレット13を冷却する冷却設備3内に積層された鉄鉱石ペレット13上に載置する。【選択図】図1

Description

本発明は、還元鉄製造方法に関する。
従来より、還元鉄は高炉の製鉄原料だけでなく、混銑車内に装入されるなど様々な所で使用されている。このような還元鉄に関する技術としては、例えば、特許文献1及び2に示すものが開発されている。
特許文献1は、還元鉄の製造方法を開示しており、還元鉄ペレットを高歩留で製造することができ、且つ、十分なペレット強度を得ることができることを目的としている。この特許文献1では、回転床式還元路内に装入された直後のダストペレットの表層部はFeOが生成する程度の酸化雰囲気となるために、ダストペレット中のFe分はFeOとなり、脈石成分として含有されているSiO2分と結合することによって、2FeO・SiO(ファイヤライト)などの低融点化合物をペレット表層部に生成している。
特許文献2は、還元鉄の材料に関する技術を開示しており、塊成物から発生する揮発性物質に含まれる可燃性ガスを炉内で燃焼させ、熱源として有効利用することを目的としている。この特許文献2は、回転炉床炉で加熱して還元鉄を製造するために用いる原料塊成物に関して、原料塊成物は芯部と芯部を被覆している外部層で構成し、芯部は揮発性物質含有炭材を含み、外装部は酸化鉄含有物質を含み、外装部に含まれる揮発性物質の質量は、芯部に含まれる揮発性物質の質量よりも小さく、芯部の大きさは3〜10mm、最大直径は10〜30mmとしている。
さて、上述した特許文献1のような還元鉄の製造方法や、特許文献2のような還元鉄の材料ではないが、ペレット等の製鉄原料を製造する方法、或いは、鉄鉱石ペレットに関する技術として、特許文献3及び4に示すものが開示されている。
特許文献3は、製鉄原料として適当な大きさと十分な強度を有し、反応しやすい構造と低温還元が可能な鉄含有原料と炭材が近接配置することを目的としている。この特許文献3では、鉄含有原料中の内装状態の炭材を含む炭材内装塊成鉱であって、酸化鉄粉もしくは鉄鉱石中に−3mmの大きさのコークス粉を分散状態で含む塊成鉱であってこの塊成鉱の少なくとも外層部は、厚さ1−10mm程度の低酸化度の酸化鉄の殻に覆われた状態としている。
特許文献4は、高結晶鉄鉱石を使って鉄鉱石ペレットを製造するにあたり、新たに離水加熱設備を追加設置することなく、既存の鉄鉱石ペレット用のクーラ設備を用いて、高結晶鉄鉱石粉の脱水処理が可能で、かつ、多大な設備投資を必要としないことを目的としている。この特許文献4では、グレートキルンクーラ方式において、結晶水を3wt%以上含みかつ粒子径が10mm以下の鉄鉱石粉を、クーラに装入された赤熱状態のペレット層の上に積み、ペレット層の下から上に通過する冷却ガスの排熱により鉄鉱石粉を加熱処理している。
特開2001−003113号公報 特開2013−014791号公報 特開2011−225926号公報 特開2000−144265号公報
特許文献1及び2では、回転床式還元炉を用いて還元鉄ペレットを製造するものであるが、当該回転式冷却設備は、大気を冷却ガスとした高温・酸化雰囲気である冷却設備で還元鉄を製造するものではない。
一方、特許文献3は、高炉原料としての炭材内装塊成鉱の強度を向上させる技術であり、この技術を用いて還元鉄を製造することはできない。特許文献4は、鉄鉱石ペレットを冷却する冷却設備について開示されているものの、単に、冷却設備で鉄鉱石ペレットを冷却するのみであって、この技術を用いて還元鉄を製造するという考えはない。
つまり、特許文献1〜4のいずれを用いても、鉄鉱石ペレットを冷却する冷却設備を用いて、還元鉄を製造することができないのが実情である。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、鉄鉱石ペレットを冷却する冷却設備を用いて、簡単に安価な還元鉄を製造することができる還元鉄製造方法を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
本発明の還元鉄製造方法は、被覆層の厚さが1.5mm以上5.0mm以下であって内部に炭材内装ペレットを有する2重構造ペレットを、鉄鉱石ペレットを冷却する冷却設備内に積層された鉄鉱ペレット上に載置することを特徴とする。
また、本発明の還元鉄製造方法は、被覆層の厚さが1.5mm以上5.0mm以下であって内部に炭材内装ペレットを有する2重構造ペレットを、冷却設備内に積層された鉄鉱石ペレット上に載置することで還元鉄を製造するに際し、前記被覆層に関して、当該被覆層に含まれるSiO及びFeOの組成関係fを「f=SiO/(SiO+FeO)」とした場合、f≧−0.00000189Tp+0.00399Tp−1.89、且つ、f≦0.28を満たし、前記冷却設備内の温度Tpは、1150℃以上1300℃とし、温度Tpで前記2重構造ペレットを保持する保持時間tを、t≧−0.0395・Tp+0.56・dp+51.0を満たすようにすることを特徴とする。
本発明によれば、鉄鉱石ペレットを冷却する冷却設備を用いて、簡単に安価な還元鉄を製造することができる。
鉄鉱石ペレットを製造するグレートキルン方式の設備の概略図である。 2重構造ペレットの全体図である。 2重構造ペレットにおける被覆層の厚みと金属化率との関係図である。 2重構造ペレットを焼成ペレット上に載置する説明図である。 被覆層の組成を説明する説明図である。 反応試験装置(電気炉)の概略図である。 外部から酸素が被覆層に供給される様子を示す図である。 SiOの周囲に低融点融液(溶融部分)が生じた様子を示す図である。 溶融部分が広がる様子を示す図である。 反応管の雰囲気温度(温度Tp)と金属化率との関係をまとめた図である。 雰囲気温度(温度Tp)を1150℃以上1300℃以下として反応させた試料の写真である。 雰囲気温度(温度Tp)を1100℃として反応させた試料の写真である。 雰囲気温度(温度Tp)を1350℃として反応させた試料の写真である。 各雰囲気温度Tpと被覆層の組成関係fとの関係を求める手順を示す図である。 雰囲気温度Tpと組成関係fの値との関係を示す図である。 保持時間、金属化率、粒径の関係をまとめた図である。 第2実施形態における2重構造ペレットにおける被覆層の厚みと金属化率との関係図である。
以下、図を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
「第1実施形態」
一般的に、鉄分を含む材料(例えば、鉱石)を、高温下で炭素を含む還元材で還元することにより、還元鉄を製造することができる。発明者らは、鉄鉱石ペレットを製造する製造工程において、当該製造工程で発生する排熱を用いて還元鉄を製造することに着目した。
図1は、鉄鉱石ペレットを製造するグレートキルン方式の設備を示している。まず、グレートキルン方式における鉄鉱石ペレットの製造工程ついて説明する。
図1に示すように、鉄鉱石ペレットの製造工程では、グレート炉1に生ペレットを装入して乾燥や予熱を行い、乾燥や予熱後の予熱ペレットをキルン炉2にて温度を制御しつつ転動焼成する。そして、転動焼成後の焼成ペレット(鉄鉱石ペレット)を、冷却する冷却設備3に装入して当該鉄鉱石ペレットを冷却することにより、鉄鉱石ペレットを製造している。
ここで、冷却設備3は、例えば、アニュラクーラである。このアニュラクーラ3では、キルン炉2から排出された鉄鉱石ペレットを炉内で移動させながら炉内に冷却ガスである大気を導入することににより、焼成ペレットを冷却することができる。アニュラクーラ3内において、焼成ペレット層上は高温かつ酸化雰囲気であり、特に、焼成ペレットの装入側(給鉱部側)は高温(例えば、1200℃〜1300℃)である。
さて、炭材と鉄鉱石(酸化鉄)とを混合した炭材内装ペレットを、アニュラクーラ3内の焼成ペレット上に載置した場合、焼成ペレット層内の下方から上方に通過する高温ガス(排ガス)により、炭材内装ペレットを加熱することができるため、還元鉄が製造できると考えられる。しかしながら、アニュラクーラ3においては、上述したように冷却ガスとして大気を用いているため、当該アニュラクーラ3内は高温・酸化雰囲気下であり、上述したような単層の炭材内装ペレットでは、一度は還元が進んでも、内部に酸素が進入することにより、再酸化してしまい、還元鉄として使用することが難しい。即ち、「鉄と鋼vol.92(2006)p117」に示されているように、炭材内装ペレットを、酸化雰囲気下(例えば大気中)で反応させると、不活性雰囲気(例えば窒素中)で反応させた場合と比較して著しく還元率が低下してしまう。
そこで、発明者は、アニュラクーラ3内の焼成ペレット上に載置する炭材内装ペレットについて検証を進めた。その結果、酸化雰囲気下で還元率を向上させるために、炭材内装ペレットの外周に、酸素の侵入を抑制する被覆層を形成することとした。
具体的には、図2に示すように、炭材と鉄鉱石(酸化鉄)とを混合した炭材内装ペレット10、即ち、核部(本体部)10に、厚みが1.5mm以上5.0mm以下である被覆層11を被覆することにより構成した2重構造の炭材内装ペレット(以下、2重構造ペレットということがある)12を、アニュラクーラ3の焼成ペレットに載置することとした。つまり、炭材内装ペレット10である核部を、1.5mm以上5.0mm以下である被覆層11で覆うことにより、ペレットを2重構造ペレットとした。
被覆層11の厚みが1.5mm未満である場合、炭材で鉄鉱石を還元する際に発生するガスによる内部の圧力を維持して外部からの酸素侵入(大気侵入)を抑制することが難しくなる。即ち、被覆層11の厚みが1.5mm未満では、当該被覆層11が薄すぎるために、酸素侵入を十分に抑制することができない。
一方、被覆層11の厚みが5.0mm超えている場合、外部からの酸素侵入を抑制することができるものの、炭材で鉄鉱石を還元する際に発生するガスを外部に逃がすことができず、内圧が上昇して被覆層11が変形して破裂などが生じる。その結果、被覆層11の亀裂から酸素が侵入してしまい、一度、還元された還元鉄が再酸化されてしまう。
図3は、2重構造ペレットにおける被覆層の厚みと金属化率とをまとめた図である。図3に示した金属化率とは、2重構造ペレットの酸化鉄に含まれる鉄分が金属化した割合であって、式(1)で求める。
金属化率(%)=[反応後の2重構造ペレット中の金属鉄(Metal−Fe)[g] /反応前の2重構造ペレット中の鉄分(T−Fe)[g]]×100 ・・・(1)
図3に示すように、被覆層11の厚みが1.5mm〜5.0mmの範囲では、金属化率は上昇し、それ以外であれば、金属化率は、略零となる。
以上、2重構造ペレット12についてまとめると、当該2重構造ペレット12は、内部に炭材内装ペレット(本体部)10を有していて、この炭材内装ペレット(本体部)10を被覆層11で覆うことで構成されていて、被覆層11の厚さは1.5mm以上5.0mm以下に設定されている。
次に、2重構造ペレットをアニュラクーラ内の焼成ペレット(鉄鉱石ペレット)上に載置する方法について説明する。
まず、焼成ペレットの原料となる生ペレットを造粒工程にて造粒する。この造粒工程では、20μmの微粉鉱石をパンペレタイザーでφ12mmに成形する。そして、焼成工程に搬送された生ペレットを、グレート炉1及びキルン炉2を経て焼成して、高炉への装入に耐える強度を得た焼成ペレットにする。焼成ペレットは高温のため、アニュラクーラ3にて冷却する。
キルン炉2からアニュラクーラ3に装入される焼成ペレットは、赤熱状態である。図4に示すように、赤熱状態の焼成ペレット13をアニュラクーラ3に層厚さ(充填厚)が500〜700mm程度となるように密に充填する。そして、赤熱状態の焼成ペレット層13の下から上に大気を通過させて冷却する。アニュラクーラ3の給鉱部付近ではキルン炉2からの赤熱ペレットの持ち込み熱量により雰囲気温度が1200℃〜1300℃まで上昇し、排鉱部にいくにしたがって充填された焼成ペレットが冷却されるため、最終的な雰囲気温度は70℃まで低下する。
アニュラクーラ3に焼成ペレット層13を充填した状態で、当該焼成ペレット層13の上部に上述した2重構造ペレット12を載置する。例えば、図4に示すように、2550mmの幅で且つ500〜700mmの層厚さで充填された焼成ペレット層13上に、2550mmの幅で且つ40〜60mmの層厚さで2重構造ペレット12を積層する。2重構造ペレット12の積層開始位置は、赤熱状態の焼成ペレットが存在する給鉱部付近であることが望ましい。言い換えれば、雰囲気温度が1000℃以上、好ましくは、1200〜1300℃となるアニュラクーラ3内の位置に、2重構造ペレット12を装入(積層)することが望ましい。
表1及び2は、本発明の還元鉄製造方法にて還元鉄を製造した実施例と、本発明とは異なる方法で還元鉄を製造した比較例とをまとめたものである。
まず、実施例及び比較例の実施条件について説明する。
2重構造ペレットの核部を製造する。詳しくは、表3に示された組成を有する鉄鉱石と、表3に示された石炭とをC/O=1となるように均一に混合して、2種類の核部(炭材内装ペレット)の元材を作製する。ここで、C/Oとは、石炭中の炭素量と鉄鉱石中の酸素量の割合であって、「C/O=石炭中C(mol%)/鉱石中O(mol%)」で計算する。ガスが全てCOで排出されても還元が十分に進行するように、C/O=1としている。
鉄鉱石と石炭の造粒は、パンペレタイザーなどの皿型造粒機を用いる。ペレタイザに鉄鉱石、石炭、水分を供給して、転動造粒することにより、核部の元材を作製する。なお、パンペレタイザーの直径はφ400mm、回転数は30rpm、角度は45°に設定して、転動造粒を行った。核部(元材)の造粒後、当該造粒物(核部)を篩に掛けて、外径を11〜14mmとした。
また、SiO/(SiO+FeO)=0.24となるように、表4に示された組成を有する鉄鉱石(例えば、ペレットフィード)と、表4に示された組成を有する珪石とを均一に混合して、被覆部の元材を作製する。
ここで、酸素の進入を防止する殻を安定して形成するため、低融点の融液が生成するように被覆層11を図5に示す組成とする。図5の状態図は、「日本鉄鋼協会 鉄鋼物性値便覧 鉄鋼編 fig33-8」に示された図である。ここで、SiO/(SiO+FeO)は、被覆層11の初期化学成分により、「SiO/(SiO+FeO)(−)=SiO(質量%)/{SiO(質量%)+FeO(質量%)}」で求める。なお、FeOの値はマグネタイトの形態を含む、初期含有量を示し、被覆層11の原料は均一に混合されているものとする。SiO/(SiO+FeO)=0.24となるように、鉄鉱石および珪石を均一に混合することによって、融液が最も生成しやすく、殻を安定して形成することができる。
鉄鉱石および珪石を均一に混合することにより、被覆層11の元材を作製後、当該元材をハンドロール(手作業)で核部の表面に塗布して、1.5mm以上5.0mm以下となる被被覆層11を形成する。なお、元材を核部に塗布する際は、当該元材に水分添加をする。そして、所定の厚みの被覆層11が形成された2重構造ペレットを、85℃以上、12時間以上で乾燥機で乾燥させる。
次に、図6に示した反応試験装置(電気炉)15を用いて、2重構造ペレットの反応試験を行う。反応試験装置15は、φ75mmの筒状の反応管16と、反応管16の外側に配置した加熱部(ヒータ)17とを備えている。
反応試験では、電気炉15内をアニュラクーラ3と同じ環境としている。詳しくは、 アニュラクーラ3の雰囲気温度を模擬した熱履歴を次のようにしている。2重構造ペレット12を積層した箇所のアニュラクーラ3の雰囲気の温度は、1200℃〜1300℃で
あるため、電気炉15では、雰囲気温度を1250℃とした。また、アニュラクーラ3内の雰囲気温度が1000℃になるまでの時間は、8〜12min掛かるため、電気炉15では、10分間で1000℃とした。
反応試験では、まず、鉄鉱石ペレット13を5kgを反応管16に充填して、鉄鉱石ペレット13の表層部に設置した熱電対18が1250℃となるまで上述した熱履歴の通りに過熱する。その後、窒素雰囲気で反応管15の上方から2重構造ペレット12が10個入ったカゴを降下させて、焼成ペレット層13上に設置する。そして、反応管16の下から100L/minの大気(冷却空気)を供給して、焼成ペレット層13を冷却する。焼成ペレット層13の冷却を開始してから10min後、反応管16内の雰囲気ガスを大気から窒素に切り替えた後、2重構造ペレット12を反応管16の上部側で冷却する。そして、2重構造ペレット12の冷却後の核部(本体部)10の化学分析により、1個づつの金属化率を求める。
実施例1〜18では、被覆層11の厚さが1.5mm以上5.0mm以下である2重構造ペレットを鉄鉱石ペレットに積層したため、還元鉄を製造することができた(金属化率が0%よりも大きな値となった)。つまり、実施例では、被覆層11を有する二重構造ペレットを使用することで、既存のアニュラクーラの排熱を利用して還元鉄を製造することが可能となる。また、このように、製造した還元鉄は高炉に装入することで還元材比を低減することができる。また、混銑車に投入した場合は、銑鉄として歩留り溶銑コストを低減することができる。
比較例1〜4、6〜10、11〜19では、被覆層11の厚さが1.5mm未満、或いは、5.0mmを超えた2重構造ペレットを鉄鉱石ペレットに積層したため、還元鉄を製造することができなかった(金属化率が0%となった)。比較例5、10では、還元鉄を製造することができたものの、被覆層11が破裂してしまい、還元鉄として使用することができなかった。つまり、比較例では、アニュラクーラ内は高温かつ大気雰囲気であるため、十分な厚みの被覆層11を有さない炭材内装ペレットを投入したとしても、酸素がペレット内部へ進入するため再酸化が生じて還元鉄を得ることができなかったり、被覆層11が破裂して還元鉄として使用することができなかった。
本発明によれば、鉄鉱石ペレットを冷却する冷却設備を用いて、簡単に安価な還元鉄を製造することができる。即ち、高炉や混洗車などに、鉄源として使用することができる還元鉄を製造することができる。
「第2実施形態」
第2実施形態は、第1実施形態で示した還元鉄製造方法をベースに、被覆層の組成等について規定した実施形態である。なお、第1実施形態と同様の構成や方法については説明を省略する。
2重構造ペレットの被覆層は、酸素の侵入を遮断することに加え、内部で発生したCOガスを適正に外部に逃がす必要がある。そのため、2重構造ペレットをアニュラクーラ等の冷却設備に装入後、速やかに被覆層の一部を溶融させ膜を形成する必要がある。
そこで、被覆層において、FeO及びSiOを含有させることにより、低融点のFeO−SiO系融液を生成することが可能となる。例えば、FeOを多く含んだマグネタイト系鉱石と、SiO源である硅石との混合物で被覆層を構成するのが望ましい。
FeO−SiO系融液の融解は、相変態時の吸熱をともなうため熱供給が必要であるが、2重構造ペレットの外部から熱供給を待つと、被覆層による膜形成が遅れてしまうことがある。そこで、被覆層においては、融点を下げる効果のあるSiOと、酸化することによって発熱源となるFeOとをバランス良く配合することが望ましい。
図7A〜図7Cは、被覆層における膜の形成の推移を示した図である。図7Aに示すように、2重構造ペレットをアニュラクーラに装入した直後は、外部から酸素が被覆層に供給される。そうすると、被覆層に含有されるFeOと酸素とが反応して発熱する。図7Bに示すように、FeOの酸化熱により、FeOとSiOが反応して、SiOの周囲に低融点融液(溶融部分)が生じる。そして、図7Aに示したFeOと酸素との反応による発熱と、図7Bに示したFeOとSiOとが繰り返し起こることによって、図7Cに示すように、溶融部分の融液量が増加し、内部の炭材内装ペレットを覆う膜が形成される。このように、膜の形成により、内部の炭材内装ペレットの反応により発生したガス(COガス)の外部への拡散が抑制されると同時に、外部からの酸素の侵入も抑制されるため、炭材内装ペレットの反応により生じた還元鉄の再酸化を防止することができる。
さて、上述したように、低融点融液(溶解部分)を生成するための組成は、図5に示した液相線Aおよび液相線Bで囲まれる液相領域に従う。また、低融点融液(溶解部分)を形成するためには、適正な温度範囲が存在する。この実施形態では、アニュラクーラに装入した際の2重構造ペレットの温度Tpは、1150℃以上1300℃以下としている。言い換えれば、アニュラクーラ(冷却設備)内であって2重構造ペレットを載置した箇所の温度Tpは、1150℃以上1300℃以下としている。この温度Tpは、試験等により求めたものである。
試験は、図6に示す反応試験装置(電気炉)15を用いて行った。試験において、炭材内装ペレット(本体部)10の径はφ11mm〜14mm、被覆層11の厚さは1.5mm〜5.0mmとした。反応試験では、まず、鉄鉱石ペレット13を5kgを反応管16に充填して、鉄鉱石ペレット13の表層部に設置した熱電対18が所定の温度Tpになるまで予熱する。その後、窒素雰囲気で反応管16の上方から2重構造ペレット12が10個入ったカゴを降下させて、焼成ペレット層13上に設置する。すぐに、反応管16を窒素雰囲気から大気雰囲気に切換えて、電気炉の電源を落とし、反応を促進させる。所定時間後、再び、反応管16内を大気雰囲気から窒素雰囲気に切替えて、2重構造ペレット12を反応管16の上部側で冷却する。そして、2重構造ペレット12の冷却後の核部(本体部)10の化学分析により、1個づつの金属化率を求める。
図8は、上述した試験による反応管16の雰囲気温度(温度Tp)と金属化率との関係をまとめた図である。図8に示すように、反応管16の雰囲気温度(温度Tp)が1300℃を超えると、被覆層の温度が上がりすぎて被覆層が溶け落ちてしまうことから金属鉄を得ることができなかった。一方で、反応管16内の温度Tpが1150℃未満であると、低融点融液(溶解部分)が発生せず、膜を形成することができない。その結果、金属鉄を得ることができない。図9Aは、反応管16の雰囲気温度(温度Tp)を1150℃以上1300℃以下として、常温まで冷却した試料(2重構造ペレット)の写真である。図9Aに示すように、雰囲気温度が適正な温度域であると、反応後も2重構造ペレットが原形を保っていることがわかる。図9Bは、雰囲気温度(温度Tp)を1100℃として反応させた試料の写真である。図9Bに示すように、被覆層が炭材内装ペレットに融着しておらず、脆いため崩れかけている。図9Cは、雰囲気温度(温度Tp)を1350℃として反応させた試料の写真である。図9Cに示すように、2重構造ペレットが溶融し過ぎてしまい、常温まで冷却した際には一部がカゴ内に残るという結果となった。これから分かるように、2重構造ペレットは、1150℃以上1300℃以下の温度(雰囲気温度)Tpで反応させることが必要である。
さて、上述したように、被覆層に含有されるFeOは発熱源となるが、低融点融液(溶融部分)が十分に形成できるだけのFeO量が必要である。そこで、発明者は、被覆層に含有されるFeOについて検証を行った。
次に、FeOの発熱について説明する。
被覆層の原料である鉄鉱石等のFeOは、Fe(=FeO・Fe)の形態で存在している。Feは、Feに酸化されるとき発熱をともなう。ここで、FeからFe及びFeに酸化した場合の発熱量(酸化発熱量)は、次式(a)、(b)次のようになる。発熱量は、「日本鉄鋼協会 鉄鋼精錬 pp235)」に示されている。
3Fe(s)+2O(g)=Fe(s) 1116.7kJ/mol ・・(a)
2Fe(s)+3/2O(g)=Fe(s) 821.3kJ/mol ・・(b)
したがって、FeからFeへの発熱量は、熱力学の第一法則に基づき、式(b)で示された数値を3倍した値から、式(a)で示された数値を2倍した値を引くことにより求めることができる。
式(a)及び式(b)を用いてFeからFeへの発熱量について、整理すると、「2Fe(s)+1/2O(g)=3Fe(s) 230.5kJ/mol・・(c)」となる。式(c)に示すように、Fe(s)の係数は、「2」であることから、Feの1molの酸化発熱量は、115.25kJ/molとなる。
したがって、Fe中のFeOは、FeO・Feの形態で存在していることから、FeOの1molの酸化発熱量は、Feの1molの酸化発熱量と等しい。ゆえに、FeOの酸化発熱量は、単位をJ/molに換算すると、115250J/molとなる。
図10に示すように、各雰囲気温度Tpにおける液相線領域の上下限値を図5の状態図より読み取る(S1)。読み取った組成となるように、被覆層の原料であるFeO及びSiO(融液生成源)の配合を決定する(S2)。FeO及びSiOの配合に基づき、FeO−SiO系溶融に必要な熱量を求める(S3)。また、FeO−SiO系溶融に必要な熱量と同じFeOの酸化発熱量を決定する(S4)。そして、FeOの酸化発熱量より、酸化発熱源(FeO)の配合を決定する(S5)。最後に、被覆層の組成関係f=SiO/(SiO+FeO)を求める(S6)。
そして、上述したS1〜S6を繰り返して、被覆層の組成関係fにおける雰囲気温度Tpの関係について求めた(S7)。その結果、f≧−0.00000189Tp+0.00399Tp−1.89、且つ、f≦0.28を満たすことが必要である。
以下、雰囲気温度Tpと組成関係f(f=SiO/(SiO+FeO))との関係について説明する。表5は、雰囲気温度Tp=1150℃、1200℃、1250℃、1300℃における組成関係fの上下限値をまとめたものである。
まず、組成関係fの下限値について説明する。
雰囲気温度Tp=1150℃の場合、図5の液相線Aと1150℃の交点より組成の下限値をよみとると、1150℃における液相領域の下限値は0.24となる(表5の組成の欄)。液相領域の下限値に基づき、融液生成源(FeO、SiO)の1gあたりの配合について求める。FeO量は、1g×(1−0.24)=0.76g、SiO量は、1g×0.24=0.24gとなる(表5-融液生成源-FeO,SiO:単位gの欄)。
ここで、FeO量及びSiO量を、mol量に換算すると、FeO量は、0.76g/71.85g/mol=0.0106mol、SiO量は、0.24g/60.0g/mol=0.0040molとなる(表5-融液生成源-FeO、SiO:単位molの欄)。
なお、各分子量は、Fe=55.85g/mol、Si=28.0g/mol、O=16.0g/molを用いた。
FeO−SiO系溶融は、2FeO(s)+SiO(s)→FeSiOで示すことができる。この式より、生成する融液mol量とSiOのmol量が等しいことがわかる。ゆえに、融液生成源1gの融解熱量は、SiOのmol量にFeSiOの融解熱をかけることで求めることができる。つまり、FeSiOの融解熱は、0.0040mol×92174J/mol=369Jとなる(表5の融液生成源の溶解熱の欄)。
なお、FeSiOの溶解熱(92174J/mol)は、Thermo Chemical Data of Pure Substances Ihsan Barin)で示された値を用いた。
したがって、FeOの酸化発熱量は、FeO−SiO系溶融に必要な熱量(溶解熱)と同じであることから、369Jとなる(表5 酸化発熱源の欄)。
そこで、必要な酸化発熱源の量は、369J/115250J/mol=0.0031991molとなる。分子量を用いてmol量を重量に換算すると、0.0031991mol×71.85g/mol=0.23gとなる(表5-融液生成源-FeO,SiO:単位gの欄)。したがって、組成関係fは、=0.24/(0.76+0.24+0.23)=0.20となる(表5-被覆層組成値の欄)。
雰囲気温度Tp=1200℃の場合、図5の液相線Aと1200℃の交点より組成の下限値をよみとると、1200℃における液相領域の下限値は0.21となる(表5の組成の欄)。液相領域の下限値に基づき、融液生成源(FeO、SiO)の1gあたりの配合について求める。FeO量は、1g×(1−0.21)=0.79g、SiO量は、1g×0.21=0.21gとなる(表5-融液生成源-FeO、SiO:単位gの欄)。
ここで、FeO量及びSiO量を、mol量に換算すると、FeO量は、0.79g/71.85g/mol=0.0110mol、SiO量は、0.21g/60.0g/mol=0.0035molとなる(表5-融液生成源-FeO、SiO:単位molの欄)。
FeSiOの融解熱は、0.0035mol×92174J/mol=323Jとなり(表5の融液生成源の溶解熱の欄)、FeOの酸化発熱量も323Jとなる(表5 酸化発熱源の欄)。
そこで、必要な酸化発熱源の量は、 323J/115250J/mol=0.0027992molとなる。分子量を用いてmol量を重量に換算すると、0.00279921mol×71.85g/mol=0.20gとなる(表5-酸化熱源-FeOにおける単位gの欄)。したがって、組成関係fは、=0.21/(0.79+0.21+0.20)=0.17となる(表5-被覆層組成値の欄)。
雰囲気温度Tp=1250℃の場合、図5の液相線Aと1250℃の交点より組成の下限値をよみとると、1250℃における液相領域の下限値は0.16となる(表5の組成の欄)。液相領域の下限値に基づき、融液生成源(FeO、SiO)の1gあたりの配合について求める。FeO量は、1g×(1−0.16)=0.84g、SiO量は、1g×0.16=0.16gとなる(表5-融液生成源-FeO,SiO:単位gの欄)。
ここで、FeO量及びSiO量を、mol量に換算すると、FeO量は、0.84g/71.85g/mol=0.0117mol、SiO量は、0.16g/60.0g/mol=0.0027molとなる(表5-融液生成源-FeO、SiO:単位molの欄)。
FeSiOの融解熱は、0.0027mol×92174J/mol=246Jとなり(表5の融液生成源の溶解熱の欄)、FeOの酸化発熱量も246Jとなる(表5 酸化発熱源の欄)。
そこで、必要な酸化発熱源の量は、246J/115250J/mol=0.0021327molとなる。分子量を用いてmol量を重量に換算すると、0.0021327mol×71.85g/mol=0.15gとなる(表5-酸化熱源-FeOにおける単位gの欄)。したがって、組成関係fは、=0.16/(0.84+0.16+0.15)=0.14となる(表5-被覆層組成値の欄)。
雰囲気温度Tp=1300℃の場合、図5の液相線Aと1300℃の交点より組成の下限値をよみとると、1300℃における液相領域の下限値は0.11となる(表5の組成の欄)。液相領域の下限値に基づき、融液生成源(FeO、SiO)の1gあたりの配合について求める。FeO量は、1g×(1−0.11)=0.89g、SiO量は、1g×0.11=0.11gとなる(表5-融液生成源-FeO, SiO:単位gの欄)。
ここで、FeO量及びSiO量を、mol量に換算すると、FeO量は、0.89g/71.85g/mol=0.0124mol、SiO量は、0.11g/60.0g/mol=0.0018molとなる(表5-融液生成源-FeO、SiO:単位molの欄)。
FeSiOの融解熱は、0.0018mol×92174J/mol=169Jとなり(表5の融液生成源の溶解熱の欄)、FeOの酸化発熱量も169Jとなる(表5 酸化発熱源の欄)。
そこで、必要な酸化発熱源の量は、169J/115250J/mol=0.0014663molとなる。分子量を用いてmol量を重量に換算すると、0.0014663mol×71.85g/mol=0.11gとなる(表5-酸化熱源-FeOにおける単位gの欄)。したがって、組成関係fは、=0.11/(0.89+0.11+0.11)=0.10となる(表5-被覆層組成値の欄)。
次に、組成関係fの上限値について説明する。
雰囲気温度Tp=1150℃の場合、図5の液相線Bと1200℃の交点より組成の上限値をよみとると、1150℃における液相領域の上限値は0.37となる(表5の組成の欄)。液相領域の下限値に基づき、融液生成源(FeO、SiO)の1gあたりの配合について求める。FeO量は、1g×(1−0.37)=0.63g、SiO量は、1g×0.37=0.37gとなる(表5-融液生成源-FeO, SiO:単位gの欄)。
ここで、FeO量及びSiO量を、mol量に換算すると、FeO量は、0.63g/71.85g/mol=0.0088mol、SiO量は、0.37g/60.0g/mol=0.0062molとなる(表5-融液生成源-FeO、SiO:単位molの欄)。
FeSiOの融解熱は、0.0062mol×92174J/mol=568Jとなり(表5の融液生成源の溶解熱の欄)、FeOの酸化発熱量も568Jとなる(表5 酸化発熱源の欄)。
そこで、必要な酸化発熱源の量は、 568J/115250J/mol=0.0049319molとなる。分子量を用いてmol量を重量に換算すると、0.0049319mol×71.85g/mol=0.35gとなる(表5-酸化熱源-FeOにおける単位gの欄)。したがって、組成関係fは、=0.37/(0.63+0.37+0.35)=0.28となる(表5-被覆層組成値の欄)。
雰囲気温度Tp=1200℃の場合、図5の液相線Bと1200℃の交点より組成の上限値をよみとると、1200℃における液相領域の上限値は0.37となる(表5の組成の欄)。液相領域の下限値に基づき、融液生成源(FeO、SiO)の1gあたりの配合について求める。FeO量は、1g×(1−0.37)=0.63g、SiO量は、1g×0.37=0.37gとなる(表5-融液生成源-FeO, SiO:単位gの欄)。
ここで、FeO量及びSiO量を、mol量に換算すると、FeO量は、0.63g/71.85g/mol=0.0088mol、SiO量は、0.37g/60.0g/mol=0.0062molとなる(表5-融液生成源-FeO、SiO:単位molの欄)。
FeSiOの融解熱は、0.0062mol×92174J/mol=568Jとなり(表5の融液生成源の溶解熱の欄)、FeOの酸化発熱量も568Jとなる(表5 酸化発熱源の欄)。
そこで、必要な酸化発熱源の量は、 568J/115250J/mol=0.0049319molとなる。分子量を用いてmol量を重量に換算すると、0.0049319mol×71.85g/mol=0.35gとなる(表5-酸化熱源-FeOにおける単位gの欄)。したがって、組成関係fは、=0.37/(0.63+0.37+0.35)=0.28となる(表5-被覆層組成値の欄)。
雰囲気温度Tp=1250℃の場合、図5の液相線Bと1250℃の交点より組成の上限値をよみとると、1250℃における液相領域の上限値は0.38となる(表5の組成の欄)。液相領域の下限値に基づき、融液生成源(FeO、SiO)の1gあたりの配合について求める。FeO量は、1g×(1−0.38)=0.62g、SiO量は、1g×0.38=0.38gとなる(表5-融液生成源-FeO, SiO:単位gの欄)。
ここで、FeO量及びSiO量を、mol量に換算すると、FeO量は、0.62g/71.85g/mol=0.0086mol、SiO量は、0.38g/60.0g/mol=0.0063molとなる(表5-融液生成源-FeO、SiO:単位molの欄)。
FeSiOの融解熱は、0.0063mol×92174J/mol=584Jとなり(表5の融液生成源の溶解熱の欄)、FeOの酸化発熱量も584Jとなる(表5 酸化発熱源の欄)。
そこで、必要な酸化発熱源の量は、584J/115250J/mol=0.0050652molとなる。分子量を用いてmol量を重量に換算すると、0.0050652mol×71.85g/mol=0.36gとなる(表5-酸化熱源-FeOにおける単位gの欄)。したがって、組成関係fは、=0.38/(0.62+0.38+0.36)=0.28となる(表5-被覆層組成値の欄)。
雰囲気温度Tp=1300℃の場合、図5の液相線Bと1300℃の交点より組成の上限値をよみとると、1300℃における液相領域の上限値は0.38となる(表5の組成の欄)。液相領域の下限値に基づき、融液生成源(FeO、SiO)の1gあたりの配合について求める。FeO量は、1g×(1−0.38)=0.62g、SiO量は、1g×0.38=0.38gとなる(表5-融液生成源-FeO, SiO:単位gの欄)。
ここで、FeO量及びSiO量を、mol量に換算すると、FeO量は、0.62g/71.85g/mol=0.0086mol、SiO量は、0.38g/60.0g/mol=0.0063molとなる(表5-融液生成源-FeO、SiO:単位molの欄)。
FeSiOの融解熱は、0.0063mol×92174J/mol=584Jとなり(表5の融液生成源の溶解熱の欄)、FeOの酸化発熱量も584Jとなる(表5 酸化発熱源の欄)。
そこで、必要な酸化発熱源の量は、584J/115250J/mol=0.0050652molとなる。分子量を用いてmol量を重量に換算すると、0.0050652mol×71.85g/mol=0.36gとなる(表5-酸化熱源-FeOにおける単位gの欄)。したがって、組成関係fは、=0.38/(0.62+0.38+0.36)=0.28となる(表5-被覆層組成値の欄)。
以上、雰囲気温度Tp=1150℃、1200℃、1250℃、1300℃における組
成関係fの値をまとめると、図11に示すものとなる。図11に示すように、f≧−0.00000189Tp+0.00399Tp−1.89で且つf≦0.28を満たす範囲にすることによって、被覆層による低融点融液(溶融部分)を形成することができる。
なお、実機においては、雰囲気温度Tpを直接測定することが難しい場合は、キルン炉2からアニュラクーラ3に落下させる部分(キルン落ち口部)の温度を雰囲気温度Tp(載置した箇所の温度Tp)として採用してもよい。
さて、炭素のガス化反応は大きな吸熱反応であるため、炭材内装ペレットの反応は外部からの熱供給に依存した伝熱律速であることが知られている。そのため、2重構造ペレットの粒径dp(mm)と雰囲気温度Tpに反応速度は依存するものと考えられる。即ち、2重構造ペレットの粒径が小さく、雰囲気温度Tpが高いほど還元速度は速くなり、短時間で高還元率に到達する。そこで、核組成をOreA+CoalAとして、被覆層がOreCの2重構造ペレットを作成し、粒径dpと温度Tpの影響を試験により検証した。この試験条件は、上述した反応試験装置(電気炉)における試験と同様である。
図12は、所定の温度(1250℃)で保持した保持時間(min)、金属化率、粒径dpの関係をまとめた図である。図12に示すように、金属化率が5%に達するまでの保持時間は、粒径dpが小さい場合は短く、粒径dpが大きい場合は長くなる。表6は、粒径dp、温度(保持した温度)、金属化率をまとめたものである。
表6の結果に基づき、粒径dp、雰囲気温度Tp、金属化率が5%に到達するまでの保持時間(min)を重回帰により整理した。その結果、金属化率が5%以上にするためには、保持時間t(min)がt=−0.0395・Tp+0.56・dp+51.0以上とする必要がある。
以上、まとめると、被覆層の厚さが1.5mm以上5.0mm以下であって内部に炭材内装ペレットを有する2重構造ペレットを、冷却設備内に積層された鉄鉱石ペレット上に載置することで還元鉄を製造するに際しては、被覆層に関して、当該被覆層に含まれるSiO及びFeOの組成関係fを「f=SiO/(SiO+FeO)」とした場合、f≧−0.00000189Tp+0.00399Tp−1.89、且つ、f≦0.28を満たし、冷却設備内の温度Tpは、1150℃以上1300℃とし、さらに、温度Tpの保持時間tは、t≧−0.0395・Tp+0.56・dp+51.0である必要がある。
第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、アニュラクーラ3の給鉱部付近では
キルン炉2からの赤熱したペレット(焼成ペレット)の持ち込み熱量により雰囲気温度が1200℃〜1300℃まで上昇し、排鉱部に移るにつれて充填されたペレットが冷却されるため、最終的な雰囲気温度は70℃まで低下する。このようなアニュラクーラにおいて、給鉱部に装入装置(搬送コンベアおよびシュート等)を設け、装入装置から充填された焼成ペレット上に焼成ペレットを供給することにより、焼成ペレット上に2重構造ペレットを載置する。そして、装入装置から離れた位置であって、保持時間t(min)を十分に確保できる位置に排出装置(スクリュー式など)を設け、載置した2重構造ペレットのみを回収することで、鉄鉱石ペレットの製造を妨げることなく、既存のアニュラクーラの排ガスを利用して還元鉄を製造することができる。
表7〜9は、第2実施形態における還元鉄製造方法にて還元鉄を製造した実施例と、第2実施形態とは異なる方法で還元鉄を製造した比較例とをまとめたものである。
表7の実施例及び比較例は、被覆層の厚みを変化させた場合をまとめたものである。表8の実施例及び比較例は、組成関係f及び冷却設備内の雰囲気温度(温度)Tpを変化させた場合をまとめたものである。表9の実施例及び比較例は、保持時間tを変化させた場合をまとめたものである。
表7の比較例1、2、8〜11、17〜20、26〜29、35、36では、被覆層11の厚さが1.5mm未満、或いは、5.0mmを超えた2重構造ペレットを鉄鉱石ペレットに積層したため、還元鉄を製造することができなかった(金属化率5%未満)。
また、表8の比較例37〜42、59〜70、87〜92では、雰囲気温度Tpが1100℃未満、或いは、1300℃超であったため、還元鉄を製造することができなかった(金属化率5%未満)。表8の比較例43,46,47,50,51,54等は、f<−0.00000189Tp+0.00399Tp−1.89、或いは、f>0.28であったため、還元鉄を製造することができなかった(金属化率5%未満)。表9の比較例93,95,97,99等は、保持時間Tが短く、T<−0.0395・Tp+0.56・dp+51.0であったため、還元鉄を製造することができなかった(金属化率5%未満)。
一方、表7〜表9の実施例では、被覆層11の厚さは1.5mm〜5.0mmであった。それゆえ、図13に示すように、還元鉄を製造することができた(金属化率5%以上)。また、実施例では、f≧−0.00000189Tp+0.00399Tp−1.89、且つ、f≦0.28、温度Tpは1150℃以上1300℃以下、t≧−0.0395・Tp+0.56・dp+51.0である。それゆえ、既存のアニュラクーラの排熱を利用して還元鉄を製造することができる(金属化率5%以上)。特に、製造した還元鉄は、金属化率が高いほど高炉に装入、もしくは混銑車に投入することで、還元に必要なエネルギーを低減することができる。還元エネルギーの低減効果は、以下のように試算できる。酸化鉄を金属鉄まで還元するためのエネルギーは、「2Fe(s)+3/2 O(g)=Fe(s) 821.3kJ/mol」により、Feの1molあたりで410.7kJ/mol必要となる。一方で、金属化率5%まで予備還元を行うと、金属化していない残りの95%部分もウスタイトまで還元が進む。そのため、必要な還元エネルギーは、「Fe(s)+1/2O(g)=FeO(s) 264.4kJ/mol」の95%と考えることができるので、264.4 ×0.95=251.2kJ/molとなる。即ち、アニュラクーラの排熱を利用することで、予備還元した鉄1molあたりに必要な還元エネルギーが(1−251.2/410.7)×100=38.8%低減することができる。
なお、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する領域を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な事項を採用している。
1 グレート炉
2 キルン炉
3 冷却設備
10 炭材内装ペレット(核部、本体部)
11 被覆層
12 2重構造ペレット
15 反応試験装置(電気炉)
16 反応管
17 加熱部(ヒータ)
18 熱電対

Claims (2)

  1. 被覆層の厚さが1.5mm以上5.0mm以下であって内部に炭材内装ペレットを有する2重構造ペレットを、鉄鉱石ペレットを冷却する冷却設備内に積層された鉄鉱石ペレット上に載置することを特徴とする還元鉄製造方法。
  2. 被覆層の厚さが1.5mm以上5.0mm以下であって内部に炭材内装ペレットを有する2重構造ペレットを、冷却設備内に積層された鉄鉱石ペレット上に載置することで還元鉄を製造するに際し、
    前記被覆層に関して、当該被覆層に含まれるSiO及びFeOの組成関係fを「f=SiO/(SiO+FeO)」とした場合、f≧−0.00000189Tp+0.00399Tp−1.89、且つ、f≦0.28を満たし、
    前記冷却設備内の温度Tpは、1150℃以上1300℃とし、温度Tpで前記2重構造ペレットを保持する保持時間tを、t≧−0.0395・Tp+0.56・dp+51.0を満たすようにすることを特徴とする還元鉄製造方法。
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