JP5958264B2 - 高炉用塊成鉱及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高炉用塊成鉱及びその製造方法に関する。
酸化鉄を含有する原料から鉄を還元する製鉄法の一つの方法として、直接還元法がある。直接還元鉄法は、プラントが安価であると共に、運転が容易であり、更に小規模でも立地が可能であるという特徴を背景に発展を続けてきた。
直接還元方式としては、シャフト炉方式、ロータリーキルン方式又は回転炉床方式等がある。特に、シャフト炉方式の直接還元炉は、炉内の還元ガスを有効に活用できることより、種々の改善が加えられてきており、現在は、通称MIDREX法と呼ばれている常圧の竪型シャフト炉を用いる還元法が多く採用されている。又、近年、製鉄所内で発生する、亜鉛含有ダストの処理に回転炉床方式設備の稼動が開始されたことから、当該方式を用いて、還元鉱石を製造する研究も行われるようになった。
還元ガスとしては、天然ガス、又は天然ガスを改質したガス(CO及びHが主成分)や石炭ガス(石炭をガス化した時に発生するガス)などを用いて、酸化鉄原料を直接還元する。酸化鉄原料は、(a)塊状鉄鉱石、又は、(b)粉状鉄鉱石を塊成化したペレット若しくはブリケット(以下、ブリケット等と記す。)が用いられる。
還元鉱石は、隣接する高炉、転炉、製鋼電気炉や鋳物用竪型炉などに供給されることが一般的である。高炉用に用いられる還元鉱石は、分級して整粒し、篩上を直接、高炉に供給するものもあるが、酸化鉄の還元により還元鉱石には気孔が多く、高炉が要求する圧潰強度を満たさないものが多い。そこで、還元鉱石を成型機により圧縮成型するのが、一般的である。
圧縮成型には、ブリケッティングがある。ブリケッティングには、還元炉から排出された還元鉱石を高温状態のままの熱間で成型するホットブリケットアイアン(以下、HBIと記す。)と、常温までに冷却した後に成型するコールドブリケットアイアン(以下、CBIと記す。)がある。JISM8700−2004では650℃以上でブリケット化し5g/cm以上の見掛け密度としたHBIと650℃未満でブリケット化し5g/cm未満の見掛け密度としたCBIが規定されている。
熱間成型は、高温度で圧縮するので、高強度のブリケットが得られやすいが、温度制御や、設備の耐久性に困難性を伴う。一方、冷間成型は、熱間成型に比べ設備はシンプルで、運転も簡単であるが、ブリケット強度が低いという問題がある。高炉が要求する圧潰強度を得るため、バインダー等を添加することも考えられるが、無機系バインダーでは高炉のスラグ成分が増加し、有機系バインダーでは、熱分解によりタール等を発生し高炉操業にとって、好ましくない。
又、冷間成型、熱間成型に限らず、圧縮成型すると、還元により生成された還元鉱石内の気孔が閉塞し、還元率が減少するという問題がある。
以上のように、高強度で、かつ、還元性の優れた高炉用原料としての還元鉱石の製造は、困難性を伴う。
還元鉱石を高炉用原料とすることで、高炉の還元剤(コークス等)の使用量を低減することができる。しかし、還元鉱石の製造にはエネルギーが必要であり、還元効率が優れた高炉を考慮すると、還元鉱石の金属化率を必要以上に高めることは得策とはいえない。装入する還元鉱石を低金属化率(40〜80%)にすることでトータルのエネルギー所要量を最適とする提案がある(特許文献1)。
焼結ケーキの破砕物を420〜970℃の温度範囲の状態で還元炉に装入し、還元ガスとして、濃度が50体積%で温度が700℃以上のH2ガスを還元炉に吹き込み、金属化率が25〜60質量%であり、かつ粒径5〜50mmの粒子が50質量%以上で構成される還元鉱石の製造方法の提案がある(特許文献2)。
又、回転炉床式還元炉を用いて、金属化率50〜85%であって、平均35ミクロン以下の金属鉄の粒子が酸化鉄と結合して、かつ気孔率20〜50%である還元ペレットで、5〜20mmの比率が80%以上である還元鉱石の提案がある(特許文献3)。
又、乾ベースで、鉄分の総含有率が50質量%以上の還元鉱石を分級し、分級点下の金属鉄含有粉粒状物質を冷間で圧縮塊成化して塊成化物を形成し、前記塊成化物に水浸処理を施した後、静置処理を行い、含有する鉄分に対する金属鉄の質量比を0.35以上0.75以下とする高炉用還元鉱石の強度改善方法の提案がある(特許文献4)。
又、回転炉床式還元炉にて、複数個の還元鉱石で構成されたHBIであって、平均C含有量が0.1質量%以上2.5質量%以下の表面部と、平均C含有量が前記表面部の平均C含有量より高い中心部と、を備えたことを特徴とするHBIの提案がある(特許文献5)。
又、回転炉床式還元炉にて、固定炭素を含んでいる酸化鉄粉体の成型体を還元するに際して、当該成型体の気孔率を24〜42%として、最高温度で1200〜1420℃の雰囲気、還元帯内の一酸化炭素の二酸化炭素に対する比を0.18〜0.4として、金属鉄比率を50質量%以上、かつ、炭素比率を5質量%以下の還元鉄含有物を製造して、当該還元鉄含有物を500〜800℃の温度にてローラー形式のモールドで圧縮成型する還元鉄成型体の製造方法の提案がある(特許文献6)。
特開平8−253801号公報 特開2011−140694号公報 特開2009−102746号公報 特開2011−63835号公報 特開2008−127580号公報 特開2010−255075号公報
特許文献2に記載の発明によれば、焼結ケーキを破砕し還元炉で予備還元鉱石を製造する。製造した予備還元鉱石を篩分けし、篩上は圧縮成型することなく高炉に装入する。成型しないので、圧潰強度は小さく、高炉に必要な圧潰強度(1000N/個)に満たないものがある。高炉に必要な圧潰強度を500N/個以上としており問題である。又、一般的には、粉鉱石を成型し還元鉱石を製造するところ、粉鉱石から塊成化した焼結ケーキを再び還元炉で還元することへの総合エネルギ面からの検討が必要と思われる。
還元鉄の篩下は、圧縮により成型されるが、成型体の強度と被還元性についての言及は無い。
特許文献3に記載の発明によれば、回転炉床炉で還元された還元ペレットは、圧縮成型されることなく、そのまま高炉に装入する。被還元性の維持のために、気孔率は、20%〜50%としている。しかし、圧縮成型されないため、気孔率が40%以上のものは、圧潰強度が小さく、高炉の使用に耐え得ない。又、粒度が2〜20mm以外のものが20%近くのものもあり、高炉使用に耐え得ない。
特許文献4に記載の発明によれば、還元鉱石の篩分け粉(5mm以下)を圧縮成型し、水浸と静置により、金属鉄と水中酸素の酸化反応による膨潤で気孔を埋め、圧潰強度の向上を図る。しかし、圧潰強度は小さく、高炉が必要な圧潰強度(1000N/個)を得るのは、セメント配合 又は、長時間の静置が必要となる。圧縮成型による被還元性の悪化が考えられるが、圧縮成型及び水浸と静置による被還元性への影響についての記述はない。又、水浸と静置のための設備投資が必要であるという問題もある。
特許文献5に記載の発明によれば、石炭を還元剤とする内装炭材塊成物を還元して得られる還元鉄は、表面は高温にさらされるため、ソリューション反応で炭素含有量が少ない。そして、還元鉄全体の炭素含有量を一定以上に維持するため中心部の炭素含有量を高める。HBIの圧潰強度は、500N/個以下であり、高炉の使用に耐えない。又、成型により気孔が潰され、還元鉄の被還元性は悪化するが、このことへの言及はない。
特許文献6に記載の発明によれば、回転炉床炉で還元された還元鉄を500〜800℃でローラー形式のモールドを用い、密度4.3〜5.2g/cmに成型するので、高炉の使用に耐える圧潰強度は期待できる。しかし、成型により気孔が潰され、還元鉄の被還元性は悪化するが、このことへの言及はない。
特許文献2〜6の記載には、還元鉱石の気孔率が高いことによる圧潰強度の低下と、圧潰強度を高めるための圧縮成型による被還元性の低下を論じた記載はない。
鉄鉱石を還元し、圧縮成型する前の還元鉱石は、表層部の酸化鉄は還元され気孔率の高い金属鉄となり、中核部の酸化鉄は、未還元の酸化鉄に止まる構造となる。このような構造の還元鉱石は、表層部の酸化鉄は還元され気孔率が高いため、そして、中核部は酸化鉄に止まっているため圧潰強度が低く、高炉の使用に耐えない。
圧潰強度を高めるために還元鉱石をそのまま圧縮成型した場合、表層部の金属鉄の気孔は潰され、緻密な金属鉄になる。その結果、高炉内で、還元ガスは中への侵入が妨げられ、中核部の酸化鉄の還元が遅滞する。還元鉱石の圧潰強度を高めるための圧縮成型は、還元鉱石の還元性を悪化させるという課題がある。
本発明の目的は、圧潰強度が高く、かつ、還元性の優れた高炉用塊成鉱及びその製造方法を提供することである。
本発明者は、還元炉で製造した低金属化率の還元鉱石を一旦粉砕したうえで、再度、塊成化することで、圧潰強度が高く、かつ、被還元性が優れた高炉用の塊成鉱を製造することができることを見出した。
本発明は、この知見に基づいて上記の課題を解決するためになされたものであり、その要旨とするところは、以下のとおりである。
(1) 還元鉱石が直径1mm以下に粉砕された粒子を気孔率が20%以上40%以下となるように塊成化した高炉用塊成鉱であって、
前記塊成鉱の金属化率が40質量%以上80質量%以下であり、
酸化鉄が前記塊成鉱の表層に露出していることを特徴とする高炉用塊成鉱。
(2) 原料鉱石を還元して還元鉱石を製造する工程と、
前記還元鉱石を粉砕する工程と、
前記粉砕した還元鉱石を成型機により成型する工程を実施することを特徴とする高炉用塊成鉱の製造方法。
(3) 前記原料鉱石を還元して還元鉱石を製造する工程が、
金属化率が40質量%以上80質量%以下の還元鉱石を製造する工程であることを特徴とする(2)に記載の高炉用塊成鉱の製造方法。
(4) 前記還元鉱石を粉砕して、粉砕した還元鉱石を製造する工程が、粒度を1mm以下に粉砕して粉砕した還元鉱石を製造する工程であることを特徴とする(2)又は(3)に記載の高炉用塊成鉱の製造方法。
(5) 前記原料鉱石を還元して還元鉱石を製造する工程が、
塊鉱石、粉鉱石又はペレットの少なくともいずれかをシャフト炉による固気ガス還元プロセスにより還元鉱石を製造する工程であることを特徴とする(2)乃至(4)の少なくともいずれかに記載の高炉用塊成鉱の製造方法。
圧潰強度が高く、かつ、還元性の高い高炉用塊成鉱及びその製造方法を提供することができる。
本発明に係る高炉用塊成鉱の製造方法を示す図。 本発明に係る高炉用塊成鉱の金属化率と圧潰強度の関係を示す図。 高炉用塊成鉱の高炉装入による還元材比低下を説明するリスト線図。
図1に本発明に係る高炉用塊成鉱の製造方法を示す。本発明は、金属化率が40質量%以上80質量%以下の還元鉱石を粉砕したうえで塊成化する。
このように製造される塊成鉱自体も従来の高炉原料にない形態を有する。すなわち、1mm以下の粒子から成る気孔率20〜40%の塊成鉱であって、塊成鉱の金属化率が40〜80質量%かつ塊成鉱内部の金属化率分布が均一な高炉用の塊成鉱である。ここに、均一とは、粉砕された還元鉱石粒子を十分に混合することで達成される程度を意味する。
かかる塊成鉱は、還元鉱石を粉砕したうえで塊成化することで、表層を覆う金属鉄が破砕され、中核部にある未還元酸化鉄が表層に露出し、ガス還元が促進されること、さらに表層部に露出した酸化鉄の還元にともなう気孔の生成で、中心部へのガス拡散が促進され、中心部の還元も進行することができることを特徴としている。また、金属鉄を40質量%以上含有する還元鉱石を粉砕後成型することで、高炉に必要な圧潰強度も確保できることを特徴としている。
(還元鉱石の製造について)
還元鉱石製造に用いられる酸化鉄原料は、Feを主体とする鉄鉱石又は粉状鉄鉱石の他、各種集塵装置等から回収される多種の含鉄、含炭ダストが用いられる。塊状鉄鉱石は、そのままの姿で、粉状鉄鉱石・ダスト類は、塊成化したペレット若しくはブリケットとして、シャフト炉、ロータリーキルン又は回転炉床炉に装入し、還元する。
この還元では、完全に金属鉄まで至らない程度に還元する。還元の程度、即ち還元鉱石の金属化率は、還元鉱石の圧潰強度が高炉使用の所要強度(1000N)を満たすために40質量%必要である。また、還元炉と高炉の総合的なエネルギー消費を低減させる観点から80質量%以下の範囲に定められる(特許文献1)。すなわち、金属化率が80質量%を越えると還元工程の生産性が急激に低下する。本願発明は、シャフト炉を用いてガス還元された還元鉱石に適用するのが好ましい。これは、還元炉内の還元反応がトポケミカルに進行するため、塊成鉱の表層部が金属鉄1、中核部は未還元の酸化鉄2という構造が顕著になるためである(図1参照)。
(還元鉱石の構造について)
トポケミカル形式では、還元反応に伴う膨張・収縮を無視するならば還元鉱石の半径と中核部の酸化鉄2の半径は、以下の式(1)のようになる。
[数1]
r/R=(1‐M/100)1/3・・・・・(1)
ただし、R;還元鉱石の半径(mm)
r;中核部酸化鉄の半径(mm)
M;還元鉱石の金属化率(質量%)
即ち、還元鉱石の中核部は、半径rの酸化鉄2、その周りは(R−r)の厚みの金属鉄1から成る構造をとる。
(還元鉱石の気孔について)
緻密層を想定した時の金属鉄の比重は、同じく緻密層を想定した酸化鉄に対し、1.5倍(金属鉄の比重は7.8g/cm、酸化鉄の比重は5.2g/cm)程度となるため、生成した金属鉄層の気孔は増大する。鉱石をヘマタイトと仮定し気孔率をp(体積%)であるときの、膨張・収縮を無視したときの還元鉱石の金属鉄層の気孔率p’(体積%)は、以下の式(2)のようになる。
[数2]
p' = 100‐(100‐p) × (55.85/79.85)×(5.2/7.8)・・・・(2)
ただし、55.85は鉄の原子量、79.85(55.85+16×3/2)はヘマタイトの鉄1原子あたりの式量、7.8は鉄の比重(g/cm)、5.2はヘマタイトの比重(g/cm)を示す。
前記式(2)にp=30%を入れると、p’=67.36%となる。通常はp=30%程度でp’=67%程度に増大するため、還元ガスの内部への拡散と浸透により、未還元酸化鉄核の還元は進行する。しかし気孔が増大することで強度が低下するため、輸送中に割れや粉化を起こす、高炉内で粉が蓄積し通気性に影響を及ぼすなどの問題が生じる。
それに対処する技術として、ブリケッティングがある、金属鉄を見掛け密度5g/cmにブリケット化した時の気孔率は36%程度となるため強度は向上するものの、還元ガスの内部への拡散・浸透と未還元酸化鉄核の還元は阻害される。多孔質体の有効拡散係数は気孔率の二乗に比例するとみなせるため、ガスの有効拡散係数は約0.29倍(=36/67)2に低下することになる(鉄と鋼、53(1967)11, 1163、近藤ら)。そのため還元鉱をそのままブリケット化する従来の技術では、未還元酸化鉄核の被還元性は非常に悪化することになる。
(還元鉱石の粉砕と成型について)
還元鉱石の中心核は、金属鉄の発達が不十分であるため、強度が十分でない。強度を確保するため圧縮成型すると表面の金属鉄が緻密化し、表面の金属鉄緻密層により還元ガスの拡散が阻害され、内部の未還元酸化鉄の還元が抑制される。
本発明に係る高炉用塊成鉱は、上述の還元鉱石をいったん粉砕してから再度加圧成型する。こうすることで、十分な強度を付与させるだけでなく、表層部に未還元酸化鉄を露出させることができ、被還元性が改善される。さらに露出した未還元酸化鉄の還元による脱酸素と酸化鉄から金属鉄への変化に伴う密度変化(5.9g/cmから7.86g/cm)によって気孔が生じ、塊成鉱内の還元ガスの拡散、その結果として未還元酸化鉄の被還元性の向上を図ることが出来、塊成鉱の高炉装入による還元剤比の低減効果を確保することが出来る。
還元鉱石の粉砕は、粒径1mm以下とする。粒度が1mm以上の場合は、圧縮が容易でなく、所望の強度が発現しないためである。粉砕機は特に限定しないが、ボールミルやロッドミルの使用ができる。
粉砕後の還元鉱石の成型は、圧縮力により加圧成型する(図1)。安定した成型性を確保するためには気孔率が重要となる。成型時の圧力により気孔率を変化させながら、その成型性を評価した。還元率による組成や脈石量の変動を考慮して試験を行った結果、気孔率が20%以上40%以下とすることで、安定した塊成化物が得られることがわかった。これ以上の気孔率では塊成化が不十分で崩壊しやすく形とならなくなり、これ以下の気孔率では緻密すぎて装置内で閉塞を起こすなど塊成化操作上のトラブルが発生する。 成型機は、ロール型ブリケットマシンが好ましく、水などの金属鉄を酸化させるバインダーの使用は控える方がよい。ペレタイザーは成型に水を必要とする点で、好ましくない。
還元鉱石の金属化率と成型後の塊成鉱の圧潰強度の関係を調査した。ここに、成形時の気孔率は20%以上40%以下の範囲になるように調整されている。その結果を、図2に示す。金属化率40%以下では成型後の塊成鉱の圧潰強度の発現が困難である。
次に、本発明の実施例について説明するが、本発明は、これに限られるものではない。
(還元鉱石の製造)
原料A(ブラジル産微粉鉄鉱石、平均粒度約0.02mm)と原料B(豪州産粉鉄鉱石、平均粒度約0.2mm)を用い、ロール直径700mm、ロール幅650mmのダブルロール圧縮成型機により、約7ccのピロー型ブリケットを成型した。
成型したブリケットをガス還元プロセスによって、金属化率55質量%に予備還元し、還元鉱石を製造した。製造した還元鉱石の組成を表1に示す。
(還元鉱石の粉砕と成型)
次に、製造した還元鉱石を1mm以下に粉砕し、前記ダブルロール圧縮成型機により、再度、約7ccのピロー型ブリケットを成型し、粉砕後成型したブリケットを製造した。
気孔率は、粉砕前の還元鉱石が30.9%で、粉砕後成型した高炉用塊成鉱が31.0%で、ほぼ、同じであった。また、圧壊強度は、1100〜1300Nの範囲で、高炉の所要強度1000Nを満足するものが得られた。
(ソリューションロスカーボン量の測定)
粉砕後成型したブリケットを高温性状測定装置による還元試験を行い、ガス組成からソリューションロスカーボン量を求めた。求めたソリューションロスカーボン量から、RIST線図におけるB点を求め、高炉の還元剤比を求めることができる。高温性状測定によるソリューションロスカーボン量の測定は、高温性状測定装置を用いて以下のように行った(鉄と鋼、83(1997)2,97、細谷ら)。ルツボ径85mmのルツボに、コークス20mm、試料(焼結鉱及び還元鉱石)70mmをコークス、試料の順に繰り返し装入する。ルツボに還元ガスを導入し、試料を還元し、試料が滴下完了するまで実験を行い、ガス組成を分析する。排出ガスのCO+COとNの比率から、ソリューションロス反応の反応速度を求めた。
還元条件を表2に示す。
導入ガス中のCO,H2は試料層通過時に下記の式(3)(4)の還元反応により、一部がCO2およびH2Oに変化する。
[数3]
FeOx + CO = FeOx-1 + CO2・・・・・(3)
[数4]
FeOx + H2 = FeOx-1 + H2O・・・・・(4)
発生したCO2およびH2Oは、一部、コークス層通過時の下記の式(5)(6)のガス化反応により、COおよびH2に変化する。
[数5]
CO2 + C = 2CO・・・・・(5)
[数6]
H2O + C = CO + H2・・・・・(6)
又、温度上昇により鉱石類中の未還元FeOとスラグ分が溶融しコークスと接触することにより、下記の式(7)の溶融還元反応によっても、COを生成する。
[数7]
FeO + C = Fe + CO・・・・・(7)
式(5)(6)(7)の反応により消費されるCがソリューションロスカーボンである。ここで、N2は反応に関与しないため流量は一定である。そこで、排出ガスのCO+CO2とN2の比率から、ソリューションロス反応の反応速度を下記の式(8)により求めることが出来る。
[数8]
ソリューションロス反応速度(g-C/min)
=([排出ガスCO+CO2 (vol%)]/[排出ガスN2 (vol%)]−[導入ガスCO(vol%)]/[導入ガスN2 (vol%)])×[導入ガスN2(mol/min)]×12(g-C/mol)・・・・・(8)
ソリューションロス反応速度(g-C/min)を全試験時間について積分し、さらに試料として装入した鉄分の量で除する下記の式(9)によりソリューションロスカーボン量(g-C/kg-Fe)を求めることが出来る。
[数9]
ソリューションロスカーボン量(g-C/kg-Fe)
= [全試験時間でのソリューションロス反応量(g-C)]/ ([装入試料量(g)]×[装入時鉄分(wt%)]/100)×1000(g/kg)・・・・・(9)
ソリューションロスカーボン量(Kg-C/t-Fe)を表3に示す。
ソリューションロスカーボン量(Kg-C/t-Fe)をさらにmol比率にすることで、RIST線図のB点、B´点を求めた。
ここで、B点は、ベース条件(燒結鉱100%使用の場合)における、固体炭素によって還元(FeO + C = Fe + CO)される酸化鉄酸素の量を示し、B´点は、還元鉱石を使用した場合の、固体炭素によって還元(FeO + C = Fe + CO)される酸化鉄酸素の量を示す。
(還元材比の算定)
ソリューションロスカーボン量から、図3に示すRIST線図を用いて高炉の還元材比を求めることができる(小野陽一:鉄と鋼,Vol.79(1993),No.9,N618 (Rist線図の概要)及び小野陽一:鉄と鋼,Vol.79(1993),No.9,N711 (還元鉄装入効果))。ソリューションロスカーボン量(モル比)からRIST線図のB点、B´点を求める。次に、RIST線図のP点、P´点は、高炉の送風条件により求めることができる。B点とP点を結ぶ勾配及びB´点とP´点を結ぶ勾配より、高炉の還元剤比を求めた。
ここで、P点は、ベース条件における、保存帯より高温部での挙動に伴う熱収支の送風量に対する不動点を示し、P´点は、還元鉱石を使用した場合の、保存帯より高温部での挙動に伴う熱収支の送風量に対する不動点を示す。
送風条件は、酸素富化率3%、送風湿分10g/Nm、送風温度1200℃とした。又、微粉炭比150kg/t、溶銑温度1530℃、スラグ比300kg/tとし、他は標準的な条件に準じた。
求めた高炉の還元材比を表3に示す。
ただし、CSL;ソリューションロスカーボン
RAR;高炉の還元材比
ベースは、還元鉱石を使用せず、燒結鉱100質量%を高炉に使用した場合である。比較例1は、従来法の粉砕後成型していない還元鉱石をそのまま100%高炉に使用した場合である。実施例1は、本発明に係る粉砕後成型した塊成鉱を100%高炉に使用した場合である。
実施例1は、比較例1に対し、ソリューションロスカーボンが低下し、高炉の還元剤比
が低減した。比較例2は、還元鉱石を20%使用した場合であり、実施例2は、粉砕後成型した塊成鉱を20%使用した。粉砕後成型していない比較例2に対し、粉砕後成型した実施例2は、ソリューションロスカーボンが低下し、高炉の還元剤比が低減した。
圧潰強度が高く、かつ、還元性の優れた高炉用塊成鉱の提供及びその製造に利用することができる。
1…金属鉄
2…酸化鉄
B…ベース条件における、固体炭素によって還元(FeO + C = Fe + CO)される酸化鉄酸素の量、
B´…塊成鉱を使用した場合の、固体炭素によって還元(FeO + C = Fe + CO)される酸化鉄酸素の量、
P…ベース条件における、保存帯より高温部での挙動に伴う熱収支の送風量に対する不動点
P´…塊成鉱を使用した場合の、保存帯より高温部での挙動に伴う熱収支の送風量に対する不動点。

Claims (5)

  1. 還元鉱石が直径1mm以下に粉砕された粒子を気孔率が20%以上40%以下となるように塊成化した高炉用塊成鉱であって、
    前記塊成鉱の金属化率が40質量%以上80質量%以下であり、
    酸化鉄が前記塊成鉱の表層に露出していることを特徴とする高炉用塊成鉱。
  2. 原料鉱石を還元して還元鉱石を製造する工程と、
    前記還元鉱石を粉砕する工程と、
    前記粉砕した還元鉱石を成型機により成型する工程を実施することを特徴とする高炉用塊成鉱の製造方法。
  3. 前記原料鉱石を還元して還元鉱石を製造する工程が、
    金属化率が40質量%以上80質量%以下の還元鉱石を製造する工程であることを特徴とする請求項2に記載の高炉用塊成鉱の製造方法。
  4. 前記還元鉱石を粉砕して、粉砕した還元鉱石を製造する工程が、粒度を1mm以下に粉砕して粉砕した還元鉱石を製造する工程であることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の高炉用塊成鉱の製造方法。
  5. 前記原料鉱石を還元して還元鉱石を製造する工程が、
    塊鉱石、粉鉱石又はペレットの少なくともいずれかをシャフト炉による固気ガス還元プロセスにより還元鉱石を製造する工程であることを特徴とする請求項2乃至請求項4の少なくともいずれかに記載の高炉用塊成鉱の製造方法。
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