JP2007231329A - 製鉄用非焼成塊成鉱 - Google Patents

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Abstract

【課題】常温及び炉内低温域から溶融直前の高温域に至る広い温度範囲において粉化が抑えられる高強度の製鉄用非焼成塊成鉱を提供する。
【解決手段】製鉄用鉄原料(A)に水硬性結合材(B)と粒径10μm以下の割合が90mass%以上の酸化鉄含有粉(C)を配合した混合物を、水硬性結合材(B)をバインダーとして塊状に固化させた製鉄用非焼成塊成鉱であり、常温及び炉内低温域では水硬性結合材(B)によるバインダー作用により強度が確保され、炉内高温域では酸化鉄含有粉(C)の焼結により強度が確保される。
【選択図】なし

Description

本発明は、高炉などの製鉄炉で鉄原料として用いられる製鉄用非焼成塊成鉱に関する。
高炉などの堅型製鉄炉(以下、高炉を例に説明する)を用いて行われる銑鉄製造プロセスでは、炉内の原料充填層内に還元ガスを流通させるために、原料充填層内の空隙率を一定値以上に保つことが重要である。このため鉄原料などの炉内装入物は粒度分布が大きいことが望ましく、装入後に粉化するおそれがある装入物は、その強度を高めて粉化を抑制する必要がある。このため、特に大型高炉においては、粉鉱石を炭材の燃焼熱により焼き固めた焼結鉱や、粉鉱石をペレタイザーなどで球状に成形した後、1000℃以上で高温加熱硬化させた焼成ペレットなどが広く用いられている。
一方において、特に省エネルギーを目的として、高温加熱処理しない非焼成塊成鉱に関する検討も進められてきた。この非焼成塊成鉱は、焼結鉱粉や鉄鉱石粉をセメントなどの水硬性結合材をバインダーとして、常温または廃熱等を利用した数百℃以下の比較的低温の条件で一定期間養生して製造される。
セメントなどの水硬性結合材を用いると、冷間(常温)強度は十分に確保することができ、したがって製造場所から高炉への移送を容易に行うことができ、また、高炉上部の数百℃までの温度領域においては、その形状を保持させることができる。しかし、それ以上の高温域ではセメント水和物が熱分解するために、強度が著しく低下し、高炉中部および下部での粉化とそれに伴う通気性の悪化を生じることが古くから指摘されていた。
このような問題に対して、特許文献1には、鉄鉱石粉にアスファルトやピッチなどの粘着性炭化水素混合物をバインダーとして添加混合し、これを圧縮成形して硬化させた非焼成塊成鉱(成形体)が示されている。同文献によれば、この非焼成塊成鉱は200℃程度からバインダー中の揮発分が蒸発し、バインダーの粘度が大きくなるため成形体の強度が増大し、800℃程度で揮発分の蒸発がほぼ終了し、ガラス状の炭素が鉄鉱石粒子を結合するため成形体強度がさらに増加するとしている。
特公平3−64571号公報
特許文献1は、非焼成塊成鉱の高温強度を改善する技術であるが、揮発分が200℃から蒸発を始めると、還元ガスに随伴して高炉上部から排出されることになる。高炉から排出されるガスは、一般にCOガスなどの可燃分を含むため回収されるが、この回収工程に上記揮発分を伴う排ガスが流れると、揮発分が凝縮点以下の温度に冷却されたときにタールとなり、これが回収機器内面になどに固着してしまう。このため、高炉からの排出ガス回収が事実上できなくなるという欠点がある。
したがって本発明の目的は、このような従来技術の課題を解決し、常温及び炉内低温域から溶融直前の高温域に至る広い温度範囲において粉化が抑えられる高強度の製鉄用非焼成塊成鉱を提供することにある。
本発明者らは、非焼成塊成鉱の常温及び炉内低温域での強度はセメントなどの水硬性結合材により確保することを前提に、炉内高温域において水硬性結合材の結合強度が低下するのを補う方法について、以下のような検討を行った。
セメントはCaOが水和反応してCa(OH)となることにより固化(水和硬化)するが、この水和物が500℃程度に加熱されると、下記(1)式の反応により分解して強度が低下し、バインダーとしての機能を果たせなくなる。
Ca(OH)→CaO+HO …(1)
堅型製鉄炉(以下、高炉を例に説明する)上部に装入された非焼成塊成鉱は、炉頂部では高くても200℃程度の雰囲気下にあるが、炉内を降下していくにしたがって次第に高温雰囲気に曝されるようになる。そして、そのような高温雰囲気下では上記(1)式の反応が起こり、そのままであれば非焼成塊成鉱の強度は低下し、割れや粉化などによって粒径が小さくなってしまう。このような問題に対して本発明者らは、上記高温雰囲気を利用して焼結する物質を非焼成塊成鉱に添加しておけば、無機バインダー(セメントなど)による結合に代わって焼結による結合が新たに生じ、高温強度を発現できるのではないかと考えた。
焼結反応については、多くの基礎的研究がなされているが、例えば、荒井康夫著,粉体の材料化学,培風館(1987),p143には、下記(2)式及び下記(3)式が提案されている。
Figure 2007231329
Figure 2007231329
但し r:粒子半径
x:焼結により生成される接合部の長さ
L:焼結する2粒子の直径の和
ΔL:収縮量
K:定数
D:拡散係数
γ:表面エネルギー
a:イオン間距離
k:ボルツマン定数
T:温度
t:焼結時間
上記(2)式は、焼結により生成される接合部の長さを粒子半径で規格化したものを温度、粒子半径及び焼結時間により定式化したものであり、上記(3)式は、収縮率(ΔL/L)を同様に定式化したものである。ΔL及びLの定義は図9に示した。
上記(2)式より、接合部の成長は拡散係数Dが大きいほど、焼結時間tが長いほど、粒子半径rが小さいほど大きいことが判る。拡散係数Dは物質によっても異なるが、結晶格子の欠陥濃度が少ない(不純物が少ない)ほど大きくなる。同様に上記(3)式より、焼結による収縮率(ΔL/L)は拡散係数Dが大きいほど、焼結時間tが長いほど、粒子半径rが小さいほど大きいことが判る。
以上のことから、高純度で微粒の粒子を添加すれば、この粒子の焼結により高温域での非焼成塊成鉱の強度を高めることができるものと推定し、具体的な材料について実験と検討を重ねた結果、所定の粒径以下の酸化鉄粉を用いることが有効であることが判明した。すなわち、そのような酸化鉄粉を適量添加した非焼成塊成鉱は、水硬性結合材による結合強度の低下が始まる数百℃から酸化鉄粉が焼結をはじめ、この焼結により十分な熱間強度が確保できることが判った。また、このような鉄系の材料(酸化鉄粉)を用いることができることは、製鉄用塊成鉱としても望ましいことである。
本発明はこのような知見に基づきなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
[1]製鉄用鉄原料(A)に水硬性結合材(B)と粒径10μm以下の割合が90mass%以上の酸化鉄含有粉(C)(但し、粉体が酸化鉄のみからなる場合を含む。)を配合した混合物を、前記水硬性結合材(B)をバインダーとして塊状に固化させたことを特徴とする製鉄用非焼成塊成鉱。
[2]上記[1]の製鉄用非焼成塊成鉱において、塊成鉱が造粒物の固化体、成型物の固化体、固化体の破砕物のいずれかであることを特徴とする製鉄用非焼成塊成鉱。
[3]上記[1]又は[2]の製鉄用非焼成塊成鉱において、製鉄用鉄原料(A)が細粒焼結鉱又は/及び細粒鉄鉱石であることを特徴とする製鉄用非焼成塊成鉱。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかの製鉄用非焼成塊成鉱において、酸化鉄含有粉(C)の含有量が酸化鉄換算量で1〜30mass%であることを特徴とする製鉄用非焼成塊成鉱。
[5]上記[4]の製鉄用非焼成塊成鉱において、含有される酸化鉄含有粉(C)の個数が、製鉄用鉄原料(A)の個数以上であることを特徴とする製鉄用非焼成塊成鉱。
[6]上記[5]の製鉄用非焼成塊成鉱において、下記(1)〜(3)の条件を満足することを特徴とする製鉄用非焼成塊成鉱。
(1)製鉄用鉄原料(A)に占める粒径40μm以下の原料粒子の割合が10mass%以下の場合は、酸化鉄含有粉(C)の含有量を酸化鉄換算量で2mass%以上とする。
(2)製鉄用鉄原料(A)に占める粒径30μm以下の原料粒子の割合が10mass%以下の場合は、酸化鉄含有粉(C)の含有量を酸化鉄換算量で5mass%以上とする。
(3)製鉄用鉄原料(A)に占める粒径20μm以下の原料粒子の割合が10mass%以下の場合は、酸化鉄含有粉(C)の含有量を酸化鉄換算量で10mass%以上とする。
[7]上記[1]〜[6]のいずれかの製鉄用非焼成塊成鉱において、水硬性結合材(B)の含有量が2〜10mass%であることを特徴とする製鉄用非焼成塊成鉱。
[8]上記[1]〜[7]のいずれかの製鉄用非焼成塊成鉱において、製鉄用鉄原料(A)として、細粒焼結鉱(a)を55〜80mass%、平均粒径が40〜100μmの細粒鉄鉱石(a)を10〜25mass%含有することを特徴とする製鉄用非焼成塊成鉱。
本発明の製鉄用非焼成塊成鉱は、常温及び炉内低温域(炉外でのハンドリング時、炉への移送・装入工程、炉装入初期段階における温度域)においては、水硬性結合材(B)によるバインダー作用により強度(冷間強度)が確保され、一方、炉内高温域においては添加した酸化鉄含有粉(C)の焼結により強度(熱間強度)が確保され、このため常温及び炉内低温域から溶融直前の炉内高温域までの広い温度範囲で粉化が抑制され、その形状を維持することができる。このため、堅型製鉄炉内の原料充填層の通気性を良好に保ち、高い生産性で銑鉄を製造することができる。
本発明の製鉄用非焼成塊成鉱(以下、便宜上「非焼成塊成鉱」という)は、製鉄用鉄原料(A)に水硬性結合材(B)と粒径10μm以下の割合が90mass%以上の酸化鉄含有粉(C)を配合した混合物を、前記水硬性結合材(B)をバインダーとして塊状に固化させたものである。このような焼成塊成鉱は、さきに述べたように、常温及び炉内低温域においては水硬性結合材(B)によるバインダー作用により強度(冷間強度)が確保され、炉内高温域においては添加した酸化鉄含有粉(C)の焼結により強度(熱間強度)が確保される。
本発明の非焼成塊成鉱は、高炉に代表される竪型製鉄炉(以下、高炉を例に説明する)において鉄原料として用いられる。
図1は、本発明の非焼成塊成鉱の基本構造と昇温時の挙動を示しており、xは非焼成塊成鉱である。本発明の非焼成塊成鉱xの基本構造は、図1(イ)に示すように製鉄用鉄原料aと水硬性結合材bの混合層と、この混合層内に散在する酸化鉄含有粉c(粒径10μm以下の割合が90mass%以上の酸化鉄含有粉)からなる。このような非焼成塊成鉱xが高炉内に装入されて昇温されると、温度が概ね500℃を超えたあたりから、酸化鉄含有粉cが焼結し始め、図1(ロ)に示すように、径を縮小させつつ、焼結した酸化鉄含有粉cをバインダーとする高い熱間強度を有する非焼成塊成鉱x′になる。
図2は、酸化鉄含有粉cの粒子どうしの焼結挙動を模式的に示している。高温雰囲気下で粒子どうしが接触すると、界面で物質の拡散、移動が生じ接合する。この反応については、さきに挙げた(2)式および(3)式に従うことになる。本発明の非焼成塊成鉱xの場合には、図3に示すように、酸化鉄含有粉cと製鉄用鉄原料aとの接触・接合を考えればよい。一般に製鉄用鉄原料aは酸化鉄に様々な不純物を含んだものとなっており、また、その粒径もミリオーダーのものが多い。このため上記(2)式で示したように焼結速度は遅い。したがって、製鉄用鉄原料aから酸化鉄含有粉cへの拡散は遅いが、酸化鉄含有粉cから製鉄用鉄原料aへの拡散は速い。これによって、酸化鉄含有粉cが製鉄用鉄原料aを接合する“のり”の役割を果たすことになる。
以下、本発明の非焼成塊成鉱の構成成分の詳細と限定理由について説明する。
前記製鉄用鉄原料(A)としては、細粒焼結鉱、細粒鉄鉱石などが挙げられるが、これに限定されるものではなく、製鉄炉用の鉄原料となり得るものであって、そのままでは高炉に装入できない細粒状のものであればよい。
前記細粒焼結鉱の代表例は、鉄鉱石の焼結プロセスで返鉱と呼ばれる焼結鉱粉であり、従来の一般的な焼結プロセスでは、この焼結鉱粉は焼結工程に送り返され、焼結原料として使用されている。この焼結鉱粉の大部分は、成品焼結鉱を得る際の粒度選別工程で発生するが、高炉への輸送工程や高炉周辺で発生するものもある。従来の焼結プロセスでは、成品歩留まりは70〜80%程度であり、残りの20〜30%程度が返鉱(焼結鉱粉)として焼結工程に返送されている(すなわち、成品焼結鉱になることなくプロセス内で循環している)。したがって、本発明の非焼成塊成鉱の製鉄用鉄原料(A)として、そのような焼結鉱粉を利用できることにより、焼結鉱を含めた塊成鉱のトータル歩留まりを大きく向上させることができる。
前記細粒鉄鉱石には鉄鉱石粉も含まれる。また、元々粒度の小さい鉄鉱石、整粒工程で生じた粒度の小さい鉄鉱石などのいずれを用いてもよい。
製鉄用鉄原料(A)は、異なる種類のものを2種以上用いてもよい。この製鉄用鉄原料(A)の粒径は、一般には5mm未満である。
前記水硬性結合材(B)としては、水和硬化によって冷間で十分な強度を発現し得るものであれば特に制限はなく、例えば、高炉セメント、ポルトランドセメント、フライアッシュセメント、アルミナセメントなどの各種セメント、高炉水砕スラグ微粉末などが挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。
非焼成塊成鉱中での水硬性結合材(B)の含有量は、少なすぎると冷間での十分な強度が得られず、一方、多すぎると製鉄用鉄原料(A)の割合が減少して生産性が低下するなどの問題を生じるため、その含有量は2〜10mass%程度が適当である。
前記酸化鉄含有粉(C)は、酸化鉄を含有し、粒径10μm以下の粉を90mass%以上含むものであれば特別な制限はなく、実質的に酸化鉄のみからなる粉体であってもよい。また、酸化鉄含有粉(C)が酸化鉄以外の物質(例えば、SiO、Alなど)を含む場合には、当該物質は酸化鉄とともに粒子の一部として含まれていてもよいし、酸化鉄を含まない粒子として含まれてもよい。また、酸化鉄はFe(へマタイト)に限らず、Fe(マグネタイト)、FeOであってもよい。
なお、この酸化鉄含有粉(C)の粒径の測定方法としては、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いた測定法を適用することができる。この測定方法は、粒子にレーザービームを照射した場合、その回折・散乱光の強度および分布が粒子の粒度分布に依存することを利用するものであり、粒度分布を極めて精度良く測定することができる。
図3に示すような焼結に有効な酸化鉄含有粉の粒度を決定するために、以下に示すような基礎試験を行った。図4に示すような非常に狭い粒度分布に整粒された酸化鉄粉(Fe)を錠剤状に成形し、電気炉で焼成した後の収縮率を測定した。酸化鉄粉の粒径は6.5μm以下が99.3mass%、5.5μm以下が16.1mass%であり、これを6μmで代表させた。高炉内でセメント水和物の分解が始まり、従来のセメントボンド型非焼成塊成鉱の強度が低下し始める温度は500〜700℃の領域であるため、酸化鉄粉の錠剤成形体の焼成温度を700℃とし、高炉内で500〜700℃の滞留時間を考慮して焼成時間を1時間として焼結反応させた。このときの収縮率(ΔL/L)が0.0715であったことから、上記(3)式の未知数を決定し、粒径と収縮率の関係を求めて図5に示した。同図から、700℃で収縮する最大の粒径を作図により決定した。図示した2つの直線(破線)は、粒径が小なる部分及び大なる部分における曲線の“直線に近い部分”を仮想的に延長したものであり、これらの交点をもって700℃で収縮を開始する最大の粒径を求めると、収縮する最大の粒径は10μmと見積もられ、この粒径以下の粒子は収縮、すなわち焼結に寄与するものと推定される。以上の理由から、酸化鉄含有粉(C)は粒径10μm以下のものが好ましく、このため本発明では粒径10μm以下の割合が90mass%以上の酸化鉄含有粉(C)を用いる。
粒径10μm以下の割合が90mass%以上の酸化鉄含有粉(C)としては、例えば、鋼材酸洗ライン回収粉(いわゆるルスナー酸化鉄など)、鉄鋼製造プロセスで生じる精錬ダスト、鉄鉱石微粉などが挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。
ここで、鋼材酸洗ライン回収粉とは、次のようなものである。鋼板などの鋼材製造プロセスの冷間圧延工程では、圧延前に表面の酸化鉄層を酸洗(塩酸溶液による酸洗)することにより除去している。この酸洗液中に鉄は塩化鉄として溶出するが、この塩化鉄を焙焼などの方法で処理することにより、高純度且つ微粉の酸化鉄粉(ヘマタイト粉)が回収される。この酸化鉄粉は非常に高純度(通常、酸化鉄含有率:95mass%以上)で微粉のものであり、本発明の酸化鉄含有粉(C)として好適なものである。
また、鋼製造プロセスで生じる精錬ダストには、溶銑予備処理工程で生じる精錬ダスト、転炉脱炭工程で生じる精錬ダスト(転炉OGダスト)などが含まれる。これらの精錬ダストは、精錬工程で発生した排ガスから集塵することにより回収されたものである。これらのダストは、酸化鉄粉の含有量が高く且つ微粉のものであり、本発明の酸化鉄含有粉(C)として好適なものである。
非焼成塊成鉱中での酸化鉄含有粉(C)の含有量は、酸化鉄換算量で1〜30mass%、特に5〜30mass%とすることが好ましい。酸化鉄含有粉(C)の含有量が酸化鉄換算量で1mass%未満では、酸化鉄含有粉(C)の焼結によるバインダー作用が十分でなく、一方、30mass%を超えると、製鉄用鉄原料(A)の量が少なくなるため生産性が低下する。
さらに、非焼成塊成鉱により高い熱間強度を発現するための酸化鉄含有粉(C)含有量の好ましい条件は、次のとおりである。まず、図3からして、酸化鉄含有粉(C)が製鉄用鉄原料(A)の粒子の「のり」として機能するためには、粒子の個数が等量以上存在すればよいと考えられる。このとき下記(4)式及び(5)式が成り立ち、これら2つの式から下記(6)式が得られる。
Figure 2007231329
Figure 2007231329
但し n :粒子個数(個)
ρ :粒子の真密度(t/m
Vp:粒子一個の体積(m
dp:粒子の直径(m)
* :大粒子を表す添え字。添え字のないものは小粒子を表す。
Figure 2007231329
簡単のため、粒径を2成分系で考える。ここで、小粒子は酸化鉄含有粉(C)であり、前述の検討から代表径を10μmとした。代表径を10μmとして検討すると、これよりも粒径が小である場合は、配合量同一の場合、粒子個数は増大し焼結に有利な方向に作用することになる。一方、大粒子は製鉄用鉄原料(A)であり、これについては代表径を40μmとした。これは、下記のような事実に基づいている。塊成化するためには一般に粒径が小さい方が有利である(比表面積を大きくすると、粒子間の接触界面積が増大するため)ので、粉砕して用いることが広く行われている。しかしながら、粉砕にかかるコストを考えるとせいぜい40μm程度までの粉砕にとどめることが多い。代表径が40μmよりも大きいと粒子個数は減少し、相対的に酸化鉄含有粉(C)の粒子数が増大するため焼結に有利な方向に作用する。製鉄用鉄原料(A)の代表径を40μmとした場合、上記(6)式から酸化鉄含有粉(C)は酸化鉄換算量で概ね2mass%配合すれば良いことになる。
製鉄用鉄原料(A)を40μm以下に粉砕して用いる場合には、厳密に(6)式によって小粒子の配合量を計算する必要がある。
上記(6)式で小粒子の粒径を10μm、密度を4t/m、大粒子の粒径を10〜50μm、密度を3.8t/mとした計算結果を図6に示した。また、製鉄用鉄原料(A)として粒径を40μm,30μm,20μm,15μm,10μmに調整したもの(各粒度以下の量を10mass%以下に調整)を準備し、さまざまな配合比で酸化鉄含有粉(C)(この場合はヘマタイト粉)と混合し、前述と同様のタブレット焼成試験を行い、強度が500Pa以上となる配合量を図6に併せて示した。これによれば、大粒子(製鉄用鉄原料(A))の粒径が20μmまでは、上記(6)式の計算値とよく一致したが、20μmよりも小さくなると、小粒子(酸化鉄含有粉(C))の配合率は計算値に比較して少量でよいことが判った。これは、大粒子(製鉄用鉄原料(A))の粒径が小さくなってくると、それ自身が焼結を始めることに起因するものと推定される。
したがって、酸化鉄含有粉(C)の焼結による熱間強度を十分に発現させるためには、含有される酸化鉄含有粉(C)の個数が、製鉄用鉄原料(A)の個数以上であることが望ましく、さらに好ましくは、製鉄用鉄原料(A)の粒度分布に応じて、酸化鉄含有粉(C)の含有量が下記(1)〜(3)の条件を満足することが望ましい。
(1)製鉄用鉄原料(A)に占める粒径40μm以下の原料粒子の割合が10mass%以下の場合は、酸化鉄含有粉(C)の含有量を酸化鉄換算量で2mass%以上とする。
(2)製鉄用鉄原料(A)に占める粒径30μm以下の原料粒子の割合が10mass%以下の場合は、酸化鉄含有粉(C)の含有量を酸化鉄換算量で5mass%以上とする。
(3)製鉄用鉄原料(A)に占める粒径20μm以下の原料粒子の割合が10mass%以下の場合は、酸化鉄含有粉(C)の含有量を酸化鉄換算量で10mass%以上とする。
また、本発明の非焼成塊成鉱は、製鉄用鉄原料(A)として、細粒焼結鉱(鉄鉱石の焼結プロセスで発生する返鉱など)を55〜80mass%、平均粒径が40〜100μmの細粒鉄鉱石(a)を10〜25mass%含有することが、塊成鉱内部での原料の充填度を高め、冷間および熱間での強度を確保する上で特に好ましい。すなわち、通常、返鉱に代表される細粒焼結鉱(a)の粒度は5mm以下であり、このような粒度の細粒焼結鉱(a)に対して平均粒径が40〜100μmの細粒鉄鉱石(a)を配合することにより、製鉄用鉄原料(A)の充填度が高まる。
ここで、非焼成塊成鉱中での細粒焼結鉱(a)の割合が55mass%未満では、返鉱に代表される細粒焼結鉱の有効利用ができない上、コストも高くなる。一方、80mass%超では細粒鉄鉱石(a)の割合が低下して充填度が低くなるとともに、強度を発現させるための原料の配合量も少なくなり、冷間及び熱間での強度を確保する上で不利になる。また、上記細粒鉄鉱石(a)の割合が10mass%未満では製鉄用鉄原料(A)の充填度が十分でなく、一方、25mass%を超えると細粒焼結鉱(a)の割合が低下してしまう。
また、本発明の非焼成塊成鉱は、製鉄用鉄原料(A)、水硬性結合材(B)及び酸化鉄含有粉(C)を主たる構成成分とするものであるが、必要に応じて他の成分、例えば、各種分散剤、硬化促進剤、石灰石微粉、フライアッシュ、シリカ微粉などの1種以上を、本発明の効果を損なわない限度で適量配合することもできる。これらその他成分の非焼成塊成鉱中での合計配合量は10mass%程度、特に望ましくは5mass%程度を上限とすることが好ましい。但し、コークス粉等の還元材については、別途、その使用目的に応じて20mass%程度を上限として配合してもよい。
本発明の非焼成塊成鉱の粒径(常温雰囲気下での球換算粒径)は8〜30mm程度が好ましい。非焼成塊成鉱の粒径が8mm未満では、炉に装入した際の原料充填層の通気性が悪化するおそれがあり、一方、粒径が30mmを超えると還元性が低下するおそれがある。
本発明の非焼成塊成鉱は、通常、造粒物の固化体、成型物の固化体、固化体(例えば、成型固化体や不定形固化体)の破砕物などとして得られる。
造粒物の固化体の場合には、原料(=製鉄用鉄原料(A)+水硬性結合材(B)+酸化鉄含有粉(C)+さらに必要に応じて他の成分。以下同様)と水を混合・撹拌(混練)した後、造粒を行い、得られた造粒物を一定期間養生させることにより、非焼成塊成鉱の成品を得る。造粒方法は任意であるが、代表的な方法としては、ディスクペレタイザーやドラム型造粒機を用いる転動造粒法、ブリケット成形機を用いる圧縮造粒法などがあり、いずれを用いてもよい。
ブリケット成形機は粒子群を機械的に圧縮するため、成形物の充填率が高まり、グリーン強度(成形直後の強度。これに対して冷間強度とは、成形後一定の養生期間を経過してバインダーが固化した後の粒子の強度を言う。)は増大する傾向にあるが、養生後の冷間強度はバインダーの質や量に依存するところが大きく、転動造粒法と圧縮造粒法で大きな違いはない。また、熱間強度も前述のような酸化鉄含有粉(C)の焼結接合によっているため、両造粒方法での違いはほとんどない。一般的には、圧縮造粒法は転動造粒法に比較して粒度や性状の均一なものができやすい一方で、設備費や補修費用が高いという特徴がある。したがって、造粒方法については、以上の点を考慮して適宜選択すればよい。
また、成型物の固化体の場合には、原料と水を混合・撹拌(混練)したものを型に流し込んで成型し、その後、一定期間養生させることにより、非焼成塊成鉱の成品を得ることができる。
また、固化体の破砕物の場合には、上記成型物と同じような方法で得られた成型固化体や、原料と水を混合・撹拌したものを湿式吹き付けし、これを一定期間養生させることにより得られた不定形固化体を、適当な破砕手段で破砕して非焼成塊成鉱の成品を得ることができる。
図7に、本発明の非焼成塊成鉱の製造フローの一例を示す。
図において、1a〜1cは、製鉄用鉄原料(A)、水硬性結合材(B)及び酸化鉄含有粉(C)をそれぞれ貯留した原料貯留槽であり、これら原料貯留槽1a〜1cから定量切り出し装置などを用いて、製鉄用鉄原料(A)、水硬性結合材(B)及び酸化鉄含有粉(C)を所定量切り出し、原料搬送装置2により加湿混合機3(例えば、ドラムミキサー、アイリッヒミキサーなど)へ導入する。なお、製鉄用鉄原料(A)、水硬性結合材(B)及び酸化鉄含有粉(C)は予め混合し、1つの原料貯留槽から切り出すようにしてもよい。また、図示しないが、必要に応じて事前に粒度を調整するための粉砕工程や、異物を取り除く工程などがあってもよい。
前記加湿混合機3では原料に水が添加され、混合・撹拌される。加湿混合機3の機能などに特別な制限はないが、混合攪拌能力の高いものが望ましい。混合攪拌能力の低いものを採用した場合は、混合時間を長く取る必要が生じ、生産性が低下する。
前記加湿混合機3で加湿混合された原料は原料搬送装置4により造粒機5に移送され、ここで造粒される。図7では造粒機5として皿型転動造粒機(ディスクペレタイザー)を用いているが、さきに述べたように他の形式の造粒機を用いてもよい。
図7のような皿型転動造粒機を用いた場合には、球形に近い塊成鉱(造粒物)が製造される。一方、圧縮造粒機を用いた場合には、アーモンド形、豆炭形など、使用する型によりさまざまな形状のものが製造可能である。但し、さきに述べたように常温雰囲気下での球換算粒径が8〜30mm程度であれば、どのような形状でもよい。
造粒機5で得られた造粒物(塊成化物)は原料搬送装置6により静置ヤード7へ搬送され、この静置ヤード7で所定時間養生されることにより、高炉で使用可能な非焼成塊成鉱xとなる。
[実施例1]
図7に示すような製造設備を用いて製鉄用非焼成塊成鉱を製造した。
この実施例では、製鉄用鉄原料(A)として粒度分布が異なる鉄鉱石粉を用いた。また、酸化鉄含有粉(C)としては鋼材酸洗ライン回収粉を用いた。また、水硬性結合材(B)としてはポルトランドセメントを用いた。
使用した原料の成分組成を表1に、また粒度分布を図8に示す。製鉄用鉄原料(A1),(A2)は成分は同じであるが、製鉄用鉄原料(A1)は粒度がやや細かく、粒径20μm以下が10mass%以下のものである。一方、製鉄用鉄原料(A2)は粒度がやや粗く、粒径40μm以下が10mass%以下のものである。
また、酸化鉄含有粉(C1)は酸化鉄含有率が極めて高く、且つ微細粒のものであり、粒径10μm以下の割合が90mass%以上のものである。一方、酸化鉄含有粉(C2)は酸化鉄含有率が極めて高いが、粒度は粗く粒径10μm超の割合が40mass%近くあるものである。
上記原料を図7に示す製造フローに従い処理し(造粒・養生)、発明例及び比較例の非焼成塊成鉱を製造した。そして、この非焼成塊成鉱を鉄原料の一部として高炉に装入し、操業を行った。その結果を、非焼成塊成鉱の原料配合割合、冷間強度、高炉操業条件・操業成績とともに表2に示す。なお、表2の比較例1の冷間強度は、使用した焼成塊成鉱(焼成ペレット)の冷間強度を示している。
比較例1を除く各実施例では、高炉への鉄原料の配合割合を非焼成塊成鉱:12mass%、焼結鉱:79mass%、塊鉱石:9mass%とした。一方、比較例1では、非焼成塊成鉱は使用せず、焼成塊成鉱(焼成ペレット):12mass%、焼結鉱:79mass%、塊鉱石:9mass%とした。焼成ペレットは、現在の高炉操業で広く用いられているもので、背景技術の項で説明したように鉄鉱石粉を造粒した後、1000℃以上の高温で焼き固めたものであるため、極めて高強度化する一方で、その製造のためにエネルギーを多量に消費するという問題がある。
発明例及び比較例の各非焼成塊成鉱(比較例1は焼成塊成鉱)の冷間強度を調査するため、ヤードにおける粉率と高炉炉頂における粉率を測定し、その差をもって輸送時粉化量を求めた。塊成鉱が5mm以上の粒径であれば高炉の原料として使用可能であるため、−5mm(=粒径5mm未満)の粒子を粉と定義し、その質量割合を−5mmの粉率とした。
塊成鉱の冷間強度が大きい方が輸送時粉化量を低減できる。実施例の塊成鉱の粉化量をみると焼成塊成鉱が最も小さいが、他の非焼成塊成鉱も概ね1mass%以下の粉化量であり、冷間強度については問題ないレベルであった。
また、表2中に示した吹き抜け回数の「吹き抜け現象」とは、高炉内の圧力損失が増大することで還元性ガスの流れが止められ、炉内の圧力が上昇し、一定の圧力に達したとき、爆発的に還元性ガスの上昇が再開される現象を指す。この場合、ガス流れの再開と同時に炉内の装入物がガスに同伴されて移動するため、層状に堆積された装入物の分布が乱れることになる。装入物の分布が乱れると、通気性がさらに悪化したり、酸化鉄の還元不良等の問題を生じるため、還元材比が上昇するなど高炉操業に極めて悪い影響を与えるのみならず、圧力の上昇により炉体への機械的ダメージを与えたり、急激に高温ガスが噴出することによる諸設備への熱的悪影響も懸念される。
Figure 2007231329
Figure 2007231329
発明例1は、非焼成塊成鉱の原料配合割合を水硬性結合材:7mass%、製鉄用鉄原料(A1):81mass%、酸化鉄含有粉(C1):12mass%としたものである。この非焼成塊成鉱は、水硬性結合材による接合で冷間における強度は十分(輸送時粉化量は0.9mass%と小さい)である。また、高炉の操業を見ると、出銑量も多く還元材比も低く、吹き抜け現象も起きていない。これは、配合した酸化鉄含有粉(C1)が高炉内で加熱されることにより焼結し、熱間においても高い強度が維持できたためであると考えられる。なお、酸化鉄含有粉(C)の配合量は、製鉄用鉄原料(A)の粒度分布が20μm以下が10mass%以下であるため、10mass%以上が望ましいところ、本発明例では12mass%配合したことから、酸化鉄含有粉(C)の配合量も十分であったと言える。
発明例2は、非焼成塊成鉱の原料配合割合を水硬性結合材:7mass%、製鉄用鉄原料(A2):90mass%、酸化鉄含有粉(C1):3mass%としたものである。この非焼成塊成鉱は、水硬性結合材による接合で冷間における強度は十分(輸送時粉化量は0.9mass%と小さい)である。また、高炉の操業を見ると、出銑量も多く還元材比も低く、吹き抜け現象も起きていない。これは、配合した酸化鉄含有粉(C1)が高炉内で加熱されることにより焼結し、熱間においても高い強度が維持できたためであると考えられる。なお、酸化鉄含有粉(C)の配合量は、製鉄用鉄原料(A)の粒度分布が40μm以下が10mass%以下であるため、2mass%以上が望ましいところ、本発明例では3mass%配合したことから、酸化鉄含有粉(C)の配合量も十分であったと言える。
発明例3は、非焼成塊成鉱の原料配合割合を水硬性結合材:7mass%、製鉄用鉄原料(A1):85mass%、酸化鉄含有粉(C1):8mass%としたものである。この非焼成塊成鉱は、水硬性結合材による接合で冷間における強度は十分(輸送時粉化量は0.9mass%と小さい)である。また、高炉の操業を見ると、発明例1や発明例2と比較するとやや劣るものの出銑量も多く還元材比も低く、吹き抜け現象も起きていない。これは、配合した酸化鉄含有粉(C1)が高炉内で加熱されることにより焼結し、熱間においても高い強度が維持できたためであると考えられる。なお、酸化鉄含有粉(C)の配合量は、製鉄用鉄原料(A)の粒度分布が20μm以下が10mass%以下であるため、10mass%以上が望ましいところ、本発明例では8mass%の配合であり、酸化鉄含有粉(C)の量がやや不足したものと考えられ、したがって、高炉操業成績が発明例1や発明例2に比較してやや劣ったものと考えられる。
発明例4は、非焼成塊成鉱の原料配合割合を水硬性結合材:7mass%、製鉄用鉄原料(A2):92mass%、酸化鉄含有粉(C1):1mass%としたものである。この非焼成塊成鉱は、水硬性結合材による接合で冷間における強度は十分(輸送時粉化量は0.9mass%と小さい)である。また、高炉の操業を見ると、発明例1や発明例2と比較するとやや劣るものの出銑量も多く還元材比も低く、吹き抜け現象も起きていない。これは、配合した酸化鉄含有粉(C1)が高炉内で加熱されることにより焼結し、熱間においても高い強度が維持できたためであると考えられる。なお、酸化鉄含有粉(C)の配合量は、製鉄用鉄原料(A)の粒度分布が40μm以下が10mass%以下であるため、2mass%以上が望ましいところ、本発明例では1mass%の配合であり、酸化鉄含有粉(C)の量がやや不足したものと考えられ、したがって、高炉操業成績が発明例1や発明例2に比較してやや劣ったものと考えられる。
比較例1は、塊成鉱として、非焼成塊成鉱ではなく焼成塊成鉱(焼成ペレット)を用いた例である。焼成塊成鉱は高温で焼き固めているため、冷間における強度では非焼成ペレットよりも大きい(輸送時粉化量は0.6mass%と最小である)。また、高炉の操業を見ると、吹き抜け現象は起きておらず、概ね順調な操業が可能であったが、実施例に比較して出銑量がやや低下し、還元材比もやや上昇する結果となった。
比較例2は、非焼成塊成鉱の原料配合割合を水硬性結合材:7mass%、製鉄用鉄原料(A1):78mass%、酸化鉄含有粉(C2):15mass%としたものである。この非焼成塊成鉱は、水硬性結合材による接合で冷間における強度は十分(輸送時粉化量は1.0mass%と小さい)である。一方、高炉の操業を見ると、発明例と比較して出銑量が大幅に低下し、還元材比も大きく上昇している。また、吹き抜け現象も9回/日と頻発している。これは、配合した酸化鉄含有粉(C)の粒度が粗く高炉内で加熱されても焼結しにくいため、高温雰囲気下でセメント水和物が分解すると強度が著しく低下し、高炉内の通気性が悪化したためであると考えられる。
比較例3は、非焼成塊成鉱の原料配合割合を水硬性結合材:7mass%、製鉄用鉄原料(A1):93mass%とし、酸化鉄含有粉(C)は配合しなかった例である。この非焼成塊成鉱は、水硬性結合材による接合で冷間における強度は十分(輸送時粉化量は0.90mass%と小さい)である。一方、高炉の操業を見ると、発明例と比較して出銑量が大幅に低下し、還元材比も大きく上昇している。また、吹き抜け現象も12回/日と頻発している。これは、酸化鉄含有粉(C)を配合していないため、高温雰囲気下でセメント水和物が分解すると強度が著しく低下し、高炉内の通気性が悪化したためであると考えられる。
[実施例2]
この実施例では、製鉄用鉄原料(A)として、返鉱(粒径4mm以下)と鉄鉱石粉(平均粒径40〜100μm)を用いた。また、酸化鉄含有粉(C)としては鋼材酸洗ライン回収粉(酸化鉄含有量:99.89mass%,粒径10μm以下の割合が97.9mass%)を用いた。また、水硬性結合材(B)としては、ハイアルミナセメント、ポルトランドセメント、高炉水砕スラグ微粉末のいずれかを用いた。
上記原料を表3,4に示した配合割合で適宜配合し、所定量の水を添加して、万能混練機にて6分間混練した。この混練物を30×30×30mmの型に流し込んで成型し、卓上バイブレーターにて1分間振動して脱泡した。この成型物を1日後に脱型した後、110℃×24hの乾燥処理を行い、非焼成塊成鉱の成品を得た。その後、発明例1〜5及び比較例1,2の非焼成塊成鉱については800℃×3hで、発明例6〜9については900℃×3hで、各々コークスブリーズ中において還元焼成した。
各非焼成塊成鉱(乾燥体)について、常温中にて下降速度1mm/分で圧縮試験を行った。また、各非焼成塊成鉱の焼成体について、窒素5L/分を流しながら、焼成温度と同温度にて下降速度0.1mm/分で圧縮試験を行った。なお、目標強度は1MPaとした。
以上の圧縮試験の結果を、各非焼成塊成鉱の配合割合とともに、表3および表4に示す。
Figure 2007231329
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表3,4において、本発明条件を満足し且つ返鉱(粒径4mm以下)と平均粒径40〜100μmの鉄鉱石粉を併用することにより製鉄用鉄原料(A)の粒度調整を行った発明例は、冷間及び熱間ともに十分な圧縮強度が得られている。
発明例6と発明例7はポルトランドセメントの配合量がそれぞれ4mass%と10mass%の実施例であり、常温の圧縮強度はポルトランドセメント:10mass%の発明例7の方が大きいが、熱間の圧縮強度は発明例6と発明例7でほぼ同等である。なお、発明例8はポルトランドセメント配合量が12mass%であるが、熱間強度はポルトランドセメント配合量:10mass%の発明例7とあまり変わらない。また、発明例9はポルトランドセメント配合量が少ない場合であるが、他の発明例に較べて常温強度が小さい。
これに対して、返鉱に水硬性結合材を加えただけの比較例1は、冷間及び熱間ともに圧縮強度が発明例に較べて大幅に劣っている。また、返鉱(粒径4mm以下)と平均粒径40〜100μmの鉄鉱石粉を併用した製鉄用鉄原料に水硬性結合材を加えた比較例2も、熱間での圧縮強度が発明例に較べて大幅に劣っている。
本発明の非焼成塊成鉱の基本構造と昇温時の挙動を示す説明図 酸化鉄含有粉の粒子どうしの焼結挙動を模式的に示す説明図 非焼成塊成鉱中での酸化鉄含有粉と製鉄用鉄原料の接触・接合状態を模式的に示す説明図 基礎試験に用いた酸化鉄粉の粒度分布を示すグラフ 基礎試験に用いた酸化鉄粉の粒径と酸化鉄粉による錠剤の収縮率との関係を示すグラフ 粒子の焼結が生じる条件を、大粒子の粒径と小粒子の配合率との関係で示したグラフ 本発明の非焼成塊成鉱を製造フローの一例を示す説明図 実施例で使用した原料の粒度分布を示すグラフ 粒子の焼結による収縮率(ΔL/L)のΔLおよびLの定義を示す説明図
符号の説明
x,x′ 非焼成塊成鉱
a 製鉄用鉄原料
b 水硬性結合材
c 酸化鉄含有粉
1a〜1c 原料貯留槽
2,4,6 原料搬送装置
3 加湿混合機
5 造粒機
7 静置ヤード

Claims (8)

  1. 製鉄用鉄原料(A)に水硬性結合材(B)と粒径10μm以下の割合が90mass%以上の酸化鉄含有粉(C)(但し、粉体が酸化鉄のみからなる場合を含む。)を配合した混合物を、前記水硬性結合材(B)をバインダーとして塊状に固化させたことを特徴とする製鉄用非焼成塊成鉱。
  2. 塊成鉱が造粒物の固化体、成型物の固化体、固化体の破砕物のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の製鉄用非焼成塊成鉱。
  3. 製鉄用鉄原料(A)が細粒焼結鉱又は/及び細粒鉄鉱石であることを特徴とする請求項1又は2に記載の製鉄用非焼成塊成鉱。
  4. 酸化鉄含有粉(C)の含有量が酸化鉄換算量で1〜30mass%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の製鉄用非焼成塊成鉱。
  5. 含有される酸化鉄含有粉(C)の個数が、製鉄用鉄原料(A)の個数以上であることを特徴とする請求項4に記載の製鉄用非焼成塊成鉱。
  6. 下記(1)〜(3)の条件を満足することを特徴とする請求項5に記載の製鉄用非焼成塊成鉱。
    (1)製鉄用鉄原料(A)に占める粒径40μm以下の原料粒子の割合が10mass%以下の場合は、酸化鉄含有粉(C)の含有量を酸化鉄換算量で2mass%以上とする。
    (2)製鉄用鉄原料(A)に占める粒径30μm以下の原料粒子の割合が10mass%以下の場合は、酸化鉄含有粉(C)の含有量を酸化鉄換算量で5mass%以上とする。
    (3)製鉄用鉄原料(A)に占める粒径20μm以下の原料粒子の割合が10mass%以下の場合は、酸化鉄含有粉(C)の含有量を酸化鉄換算量で10mass%以上とする。
  7. 水硬性結合材(B)の含有量が2〜10mass%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の製鉄用非焼成塊成鉱。
  8. 製鉄用鉄原料(A)として、細粒焼結鉱(a)を55〜80mass%、平均粒径が40〜100μmの細粒鉄鉱石(a)を10〜25mass%含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の製鉄用非焼成塊成鉱。
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