JP2007277684A - 製鉄用非焼成塊成鉱 - Google Patents

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Abstract

【課題】常温及び炉内低温域において必要な強度を有し、炉内高温域においてバインダーの熱分解による粉化や還元粉化などが生じにくい製鉄用非焼成塊成鉱を提供する。
【解決手段】 製鉄用鉄原料Aに水硬性結合材Bを配合した混合物を造粒して得られた一次粒子を複数個結合させた非焼成塊成鉱であって、前記複数個の一次粒子は、水硬性結合材Bと粒径10μm以下の割合が90mass%以上の酸化鉄含有粉Cとを配合した混合物からなる結合材で被覆且つ結合された非焼成塊成鉱である。常温及び炉内低温域では水硬性結合材Bにより強度が確保され、炉内高温域においては、一次粒子が還元粉化を生じにくく、且つ酸化鉄含有粉Cの焼結によって一次粒子及び一次粒子どうしの結合の強度が確保される。
【選択図】図1

Description

本発明は、高炉などの製鉄炉で鉄原料として用いられる製鉄用非焼成塊成鉱に関する。
高炉などの堅型製鉄炉(以下、高炉を例に説明する)を用いて行われる銑鉄製造プロセスでは、炉内の原料充填層内に還元ガスを流通させるために、原料充填層内の空隙率を一定値以上に保つことが重要である。このため鉄原料などの炉内装入物は粒度分布が大きいことが望ましく、装入後に粉化するおそれがある装入物は、その強度を高めて粉化を抑制する必要がある。このため、特に大型高炉においては、粉鉱石を炭材の燃焼熱により焼き固めた焼結鉱や、粉鉱石をペレタイザーなどで球状に成形した後、1000℃以上で高温加熱硬化させた焼成ペレットなどが広く用いられている。
一方において、特に省エネルギーを目的として、高温加熱処理しない非焼成塊成鉱に関する検討も進められてきた。この非焼成塊成鉱は、焼結鉱粉や鉄鉱石粉をセメントなどの水硬性結合材をバインダーとして、常温または廃熱等を利用した数百℃以下の比較的低温の条件で一定期間養生して製造される。
セメントなどの水硬性結合材を用いると、冷間(常温)強度は十分に確保することができ、したがって製造場所から高炉への移送を容易に行うことができ、また、高炉上部の数百℃までの温度領域においては、その形状を保持させることができる。しかし、それ以上の高温域ではセメント水和物が熱分解するために、強度が著しく低下し、高炉中部および下部での粉化とそれに伴う通気性の悪化を生じることが古くから指摘されていた。
このような問題に対して、特許文献1には、鉄鉱石粉にアスファルトやピッチなどの粘着性炭化水素混合物をバインダーとして添加混合し、これを圧縮成形して硬化させた非焼成塊成鉱(成形体)が示されている。同文献によれば、この非焼成塊成鉱は200℃程度からバインダー中の揮発分が蒸発し、バインダーの粘度が大きくなるため成形体の強度が増大し、800℃程度で揮発分の蒸発がほぼ終了し、ガラス状の炭素が鉄鉱石粒子を結合するため成形体強度がさらに増加するとしている。
また、一般に製鉄用の酸化鉄原料はヘマタイト(Fe)を含有している。このヘマタイトは還元過程でマグネタイト(Fe)に相変化するが、このとき膨張して体積が増大するため、塊成鉱が粉化するという問題を生じる。これは還元粉化と呼ばれる現象であるが、この還元粉化が生じると竪型炉内の装入原料の空隙率を低下させ、生産性を悪化させる。特に非焼成の塊成鉱は、一般に結合力が弱いため、この還元粉化が生じやすい。
このような問題に対して、特許文献2には、コールドペレットの原料の遠心含水当量を6%以上、ペレット内気孔の水分飽和度を0.8〜1.2に調整することにより、還元粉化現象を抑制する技術が示されている。
特公平3−64571号公報 特開昭60−152637号公報
特許文献1は、非焼成塊成鉱の高温強度を改善する技術であるが、揮発分が200℃から蒸発を始めると、還元ガスに随伴して高炉上部から排出されることになる。高炉から排出されるガスは、一般にCOガスなどの可燃分を含むため回収されるが、この回収工程に上記揮発分を伴う排ガスが流れると、揮発分が凝縮点以下の温度に冷却されたときにタールとなり、これが回収機器内面になどに固着してしまう。このため、高炉からの排出ガス回収が事実上できなくなるという欠点がある。
また、特許文献2では、遠心含水当量値は造粒する鉱石の吸水性によって決まるため、ベントナイトなどの粘土鉱物を添加するか、または原料中の微粒割合を増加すればよいとしている。しかし、非焼成塊成鉱が製鉄原料であることを考慮すると粘土鉱物の添加は好ましくなく、また、原料中の微粒割合を増加させるためには粉砕工程が必要となり、非焼成塊成鉱の製造コストを増大させる結果となる。
さらに、特許文献2では、水分飽和度は造粒水分或いは造粒速度などを適当に制御し、生ペレットの水分、見掛気孔率及び見掛比重を調整すればよいとしている。しかし、造粒水分や造粒速度は、水分飽和度だけでなく生ペレットの粒径も変化させる。したがって、所望の粒径で所望の水分飽和度をもつ生ペレットを得ることは一般には容易ではなく、造粒原料の粒度分布等を注意深く調整する必要が生じる。仮に一時的に適する造粒条件が見つかったとしても、原料粒度は常に一定ではなく変動することが多いため、その都度、適正な条件を見出す必要があり、実用上非常に困難を伴う。
したがって本発明の目的は、このような従来技術の課題を解決し、常温及び炉内低温域において必要な強度を有するとともに、炉内高温域においてバインダーの熱分解による粉化や還元粉化などが生じにくい製鉄用非焼成塊成鉱を得ることにある。
本発明者らは、非焼成塊成鉱の常温及び炉内低温域での強度はセメントなどの水硬性結合材により確保することを前提に、炉内高温域において還元粉化を抑制し且つ水硬性結合材の結合強度の低下を補うことができる方法を見出すべく、以下のような検討を行った。
塊成鉱の還元粉化現象は、酸化鉄が還元する際の膨張により生じる。このため塊成鉱の粒径が小さいほど粉化は少ない。すなわち、同一還元量であれば膨張率は一定であり、小粒子では膨張量が少ないため歪み量が少なく、したがって粉化量は少なくなる。しかしながら、塊成鉱の粒径が小さいと竪型製鉄炉(以下、高炉を説明する)に装入した際に炉排出ガスに随伴して炉外に飛散してしまう。
そこで、本発明者らは、製鉄用鉄原料に水硬性結合材を配合した混合物を造粒して粒径の小さい一次粒子とし、この一次粒子を結合材により複数個結合させて所定の大きさに塊成化させることを考えた。このような塊成鉱は、一次粒子の粒径が小さいため還元粉化が生じにくく、また、複数個の一次粒子の結合体であるため塊成鉱として必要な大きさ(炉排出ガスに随伴して飛散しないような大きさ)を備えることができる。ここで問題となるのが、常温及び炉内低温域と炉内高温域において、一次粒子どうしを強固に結合することができる結合材である。
水硬性結合材であるセメントはCaOが水和反応してCa(OH)となることにより固化(水和硬化)するが、この水和物は500℃程度に加熱されると、下記(1)式の反応により分解する。
Ca(OH)→CaO+HO …(1)
したがって、複数個の一次粒子をセメントだけで結合させた非焼成塊成鉱は、高炉内の高温雰囲気に曝されると上記(1)式の反応が起こり、セメントはバインダーとしての機能を果たせなくなる。このような問題に対して本発明者らは、上記高温雰囲気下で焼結する物質を水硬性結合材とともに結合材として用いれば、炉内高温域においては水硬性結合材による結合に代わって焼結による結合が新たに生じ、高温強度を発現できるのではないかと考えた。
焼結反応については、多くの基礎的研究がなされているが、例えば、荒井康夫著,粉体の材料化学,培風館(1987),p143には、下記(2)式及び下記(3)式が提案されている。
Figure 2007277684
Figure 2007277684
但し r:粒子半径
x:焼結により生成される接合部の長さ
L:焼結する2粒子の直径の和
ΔL:収縮量
K:定数
D:拡散係数
γ:表面エネルギー
a:イオン間距離
k:ボルツマン定数
T:温度
t:焼結時間
上記(2)式は、焼結により生成される接合部の長さを粒子半径で規格化したものを温度、粒子半径及び焼結時間により定式化したものであり、上記(3)式は、収縮率(ΔL/L)を同様に定式化したものである。ΔL及びLの定義は図3に示した。
上記(2)式より、接合部の成長は拡散係数Dが大きいほど、焼結時間tが長いほど、粒子半径rが小さいほど大きいことが判る。拡散係数Dは物質によっても異なるが、結晶格子の欠陥濃度が少ない(不純物が少ない)ほど大きくなる。同様に上記(3)式より、焼結による収縮率(ΔL/L)は拡散係数Dが大きいほど、焼結時間tが長いほど、粒子半径rが小さいほど大きいことが判る。
以上のことから、高純度で微粒の粒子の焼結によって塊成鉱の高温強度を確保できるものと推定し、具体的な材料について実験と検討を重ねた結果、所定の粒径以下の酸化鉄粉を用いることが有効であることが判明した。すなわち、そのような酸化鉄粉を水硬性結合材と混合し、これを一次粒子を被覆し且つ一次粒子どうしを結合する結合材として用いることにより、水硬性結合材による強度の低下が始まる数百℃から酸化鉄粉が焼結をはじめ、この焼結により十分な熱間強度が確保できることが判った。また、このような鉄系の材料(酸化鉄粉)を用いることができることは、製鉄用塊成鉱としても望ましいことである。
また、上記酸化鉄粉を一次粒子中に添加して炉内高温域で焼結させることにより、一次粒子自体の熱間強度をさらに高めることができ、非焼成塊成鉱の粉化をより効果的に抑制できることが判った。
本発明はこのような知見に基づきなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
[1]製鉄用鉄原料(A)に水硬性結合材(B)を配合した混合物を造粒して得られた一次粒子を複数個結合させた非焼成塊成鉱であって、前記複数個の一次粒子は、水硬性結合材(B)と粒径10μm以下の割合が90mass%以上の酸化鉄含有粉(C)(但し、粉体が酸化鉄のみからなる場合を含む。)とを配合した混合物からなる結合材で被覆且つ結合されていることを特徴とする製鉄用非焼成塊成鉱。
[2]製鉄用鉄原料(A)に水硬性結合材(B)と粒径10μm以下の割合が90mass%以上の酸化鉄含有粉(C)(但し、粉体が酸化鉄のみからなる場合を含む。)を配合した混合物を造粒して得られた一次粒子を複数個結合させた非焼成塊成鉱であって、前記複数個の一次粒子は、水硬性結合材(B)と粒径10μm以下の割合が90mass%以上の酸化鉄含有粉(C)(但し、粉体が酸化鉄のみからなる場合を含む。)とを配合した混合物からなる結合材で被覆且つ結合されていることを特徴とする製鉄用非焼成塊成鉱。
[3]上記[1]又は[2]の製鉄用非焼成塊成鉱において、一次粒子の粒径が5mm以下であることを特徴とする製鉄用非焼成塊成鉱。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかの製鉄用非焼成塊成鉱において、製鉄用鉄原料(A)が細粒焼結鉱又は/及び細粒鉄鉱石であることを特徴とする製鉄用非焼成塊成鉱。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかの製鉄用非焼成塊成鉱において、一次粒子中での水硬性結合材(B)の含有量が2〜10mass%であり、結合材中での水硬性結合材(B)の含有量が2〜90mass%であることを特徴とする製鉄用非焼成塊成鉱。
[6]上記[1]の製鉄用非焼成塊成鉱の製造方法であって、製鉄用鉄原料(A)に水硬性結合材(B)を配合した混合物を加湿状態で一次造粒することにより一次粒子を形成した後、該一次粒子に結合材として水硬性結合材(B)と粒径10μm以下の割合が90mass%以上の酸化鉄含有粉(C)(但し、粉体が酸化鉄のみからなる場合を含む。)を加えて加湿状態で二次造粒することにより、複数個の一次粒子が前記結合材を介して結合した二次粒子を形成し、次いで、該二次粒子を養生することを特徴とする製鉄用非焼成塊成鉱の製造方法。
[7]上記[2]の製鉄用非焼成塊成鉱の製造方法であって、製鉄用鉄原料(A)に水硬性結合材(B)と粒径10μm以下の割合が90mass%以上の酸化鉄含有粉(C)(但し、粉体が酸化鉄のみからなる場合を含む。)を配合した混合物を加湿状態で一次造粒することにより一次粒子を形成した後、該一次粒子に結合材として水硬性結合材(B)と粒径10μm以下の割合が90mass%以上の酸化鉄含有粉(C)(但し、粉体が酸化鉄のみからなる場合を含む。)を加えて加湿状態で二次造粒することにより、複数個の一次粒子が前記結合材を介して結合した二次粒子を形成し、次いで、該二次粒子を養生することを特徴とする製鉄用非焼成塊成鉱の製造方法。
本発明の製鉄用非焼成塊成鉱は、一次粒子の粒径が小さいため還元粉化が生じにくく、また、複数個の一次粒子の結合体であるため、炉排出ガスに随伴して飛散しないような十分な大きさを有することができる。そして、この非焼成塊成鉱は、常温及び炉内低温域(炉外でのハンドリング時、炉への移送・装入工程、炉装入初期段階における温度域)においては、一次粒子及び結合材に含まれる水硬性結合材(B)により強度(冷間強度)が確保され、一方、炉内高温域においては、結合材に含まれる酸化鉄含有粉(C)の焼結により一次粒子自体と一次粒子どうしの結合の強度(熱間強度)が確保される。
また、一次粒子中にも酸化鉄含有粉(C)を配合した製鉄用非焼成塊成鉱の場合には、一次粒子中の酸化鉄含有粉(C)が炉内高温域で焼結することにより、さらに高い熱間強度が得られる。
以上のことから、本発明の製鉄用非焼成塊成鉱は常温及び炉内低温域から溶融直前の炉内高温域までの広い温度範囲で粉化が抑制され、その形状を維持することができる。このため、堅型製鉄炉内の原料充填層の通気性を良好に保ち、高い生産性で銑鉄を製造することができる。
本発明の製鉄用非焼成塊成鉱(以下、便宜上「非焼成塊成鉱」という)は、製鉄用鉄原料(A)に水硬性結合材(B)、さらに好ましくは粒径10μm以下の割合が90mass%以上の酸化鉄含有粉(C)(但し、粉体が酸化鉄のみからなる場合を含む。)を配合した混合物を造粒して得られた一次粒子を複数個結合させた非焼成塊成鉱であって、前記複数個の一次粒子は、水硬性結合材(B)と粒径10μm以下の割合が90mass%以上の酸化鉄含有粉(C)(但し、粉体が酸化鉄のみからなる場合を含む。)とを配合した混合物からなる結合材で被覆且つ結合されたものである。このような本発明の非焼成塊成鉱は、高炉に代表される竪型製鉄炉(以下、高炉を例に説明する)において鉄原料として用いられる。
図1及び図2は、本発明の非焼成塊成鉱の構造を模式的に示したもので、図1は一次粒子の粒径が比較的大きいもの、図2は一次粒子の粒径が比較的小さいものを示している。この非焼成塊成鉱の構造は、製鉄用鉄原料(A)に水硬性結合材(B)、さらに好ましくは酸化鉄含有粉(C)(粒径10μm以下の割合が90mass%以上の酸化鉄含有粉)を配合した混合物を造粒して得られた一次粒子1を複数個結合させたもので、複数個の一次粒子1が水硬性結合材(B)と酸化鉄含有粉(C)(粒径10μm以下の割合が90mass%以上の酸化鉄含有粉)とを配合した混合物からなる結合材2で被覆且つ結合されているものである。
このような非焼成塊成鉱は、一次粒子1の粒径が小さいため還元粉化が生じにくく、また、複数個の一次粒子1の結合体であるため、炉排出ガスに随伴して飛散しないような十分な大きさを有することができる。そして、この非焼成塊成鉱が高炉内に装入されて昇温されると、温度が概ね500℃を超えたあたりから、結合材2中の酸化鉄含有粉(C)が焼結しはじめる。冷間でバインダーとして機能していた水硬性結合材(B)の水和物は、さきに挙げた(1)式に示すように高温で分解してバインダーとして機能が著しく低下するが、高温域においては上記のように焼結した酸化鉄含有粉(C)がバインダー機能を発揮し、一次粒子1自体と一次粒子1どうしの結合の強度が確保される。ここで、非焼成塊成鉱の最外層の一次粒子1の外面には、結合材2の被覆層が極く薄くしか形成されない場合もあるが、一次粒子1は粒径が小さく割れや粉化を生じにくいため、薄い被覆層でも強度は問題ない。また、一次粒子1中に酸化鉄含有粉(C)が配合された場合には、その酸化鉄含有粉(C)の焼結により一次粒子1自体の熱間強度がさらに高められる。
図3は、酸化鉄含有粉(C)の粒子どうしの焼結挙動を模式的に示している。高温雰囲気下で粒子どうしが接触すると、界面で物質の拡散、移動が生じ接合する。この反応については、さきに挙げた(2)式および(3)式に従うことになる。
以下、本発明の非焼成塊成鉱の構成成分の詳細と限定理由について説明する。
前記製鉄用鉄原料(A)としては、細粒焼結鉱、細粒鉄鉱石などが挙げられるが、これに限定されるものではなく、製鉄炉用の鉄原料となり得るものであって、そのままでは高炉に装入できない細粒状のものであればよい。
前記細粒焼結鉱の代表例は、鉄鉱石の焼結プロセスで返鉱と呼ばれる焼結鉱粉であり、従来の一般的な焼結プロセスでは、この焼結鉱粉は焼結工程に送り返され、焼結原料として使用されている。この焼結鉱粉の大部分は、成品焼結鉱を得る際の粒度選別工程で発生するが、高炉への輸送工程や高炉周辺で発生するものもある。従来の焼結プロセスでは、成品歩留まりは70〜80mass%程度であり、残りの20〜30mass%程度が返鉱(焼結鉱粉)として焼結工程に返送されている(すなわち、成品焼結鉱になることなくプロセス内で循環している)。したがって、本発明の非焼成塊成鉱の製鉄用鉄原料(A)として、そのような焼結鉱粉を利用できることにより、焼結鉱を含めた塊成鉱のトータル歩留まりを大きく向上させることができる。
前記細粒鉄鉱石には鉄鉱石粉も含まれる。また、元々粒度の小さい鉄鉱石、整粒工程で生じた粒度の小さい鉄鉱石などのいずれを用いてもよい。
製鉄用鉄原料(A)は、異なる種類のものを2種以上用いてもよい。一般に、この製鉄用鉄原料(A)の粒径は5mm未満であり、1mm未満を20mass%程度以上含むものである。
前記水硬性結合材(B)としては、水和硬化によって冷間で十分な強度を発現し得るものであれば特に制限はなく、例えば、高炉セメント、ポルトランドセメント、フライアッシュセメント、アルミナセメントなどの各種セメント、高炉水砕スラグ微粉末などが挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。
前記酸化鉄含有粉(C)は、酸化鉄を含有し、粒径10μm以下の粉を90mass%以上含むものであれば特別な制限はなく、実質的に酸化鉄のみからなる粉体であってもよい。また、酸化鉄含有粉(C)が酸化鉄以外の物質(例えば、SiO、Alなど)を含む場合には、当該物質は酸化鉄とともに粒子の一部として含まれていてもよいし、酸化鉄を含まない粒子として含まれてもよい。また、酸化鉄はFe(へマタイト)に限らず、Fe(マグネタイト)、FeO(ウスタイト)であってもよい。
なお、この酸化鉄含有粉(C)の粒径の測定方法としては、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いた測定法を適用することができる。この測定方法は、粒子にレーザービームを照射した場合、その回折・散乱光の強度および分布が粒子の粒度分布に依存することを利用するものであり、粒度分布を極めて精度良く測定することができる。
さきに挙げた(2)式及び(3)式から、焼結して強度を発現するための酸化鉄含有粉(C)は、その粒度が小さいほどよいことが判ったが、実際に有効な粒径を決定するために以下に示すような基礎試験を実施した。
種々の粒度分布を持つ酸化鉄含有粉を用意した。これらの粉体を錠剤型に成形し、この成形体を窒素雰囲気の電気炉内で700℃×10分間焼成した後の圧縮強度を測定した。その結果、図4に示すように、酸化鉄含有粉(C)の粒径10μm以下の割合と圧縮強度との間に明確な相関が認められた。すなわち、粒径10μm以下の割合が90mass%以上の酸化鉄含有粉(C)であれば、高温雰囲気下で酸化鉄含有粉が焼結して強度を発現することが明らかとなった。このため本発明では、粒径10μm以下の割合が90mass%以上の酸化鉄含有粉(C)を用いる。
粒径10μm以下の割合が90mass%以上の酸化鉄含有粉(C)としては、例えば、鋼材酸洗ライン回収粉(いわゆるルスナー酸化鉄など)、鉄鋼製造プロセスで生じる精錬ダスト、鉄鉱石微粉などが挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。
ここで、鋼材酸洗ライン回収粉とは、次のようなものである。鋼板などの鋼材製造プロセスの冷間圧延工程では、圧延前に表面の酸化鉄層を酸洗(塩酸溶液による酸洗)することにより除去している。この酸洗液中に鉄は塩化鉄として溶出するが、この塩化鉄を焙焼などの方法で処理することにより、高純度且つ微粉の酸化鉄粉(ヘマタイト粉)が回収される。この酸化鉄粉は非常に高純度(通常、酸化鉄含有率:95mass%以上)で微粉のものであり、本発明の酸化鉄含有粉(C)として好適なものである。
また、鋼製造プロセスで生じる精錬ダストには、溶銑予備処理工程で生じる精錬ダスト、転炉脱炭工程で生じる精錬ダスト(転炉OGダスト)などが含まれる。これらの精錬ダストは、精錬工程で発生した排ガスから集塵することにより回収されたものである。これらのダストは、酸化鉄粉の含有量が高く且つ微粉のものであり、本発明の酸化鉄含有粉(C)として好適なものである。
一次粒子1中での水硬性結合材(B)の含有量は、少なすぎると冷間での十分な強度が得られず、一方、多すぎると製鉄用鉄原料(A)の割合が減少して生産性が低下するなどの問題を生じるため、その含有量は2〜10mass%程度が適当である。また、一次粒子1中に酸化鉄含有粉(C)を配合する場合、製鉄用鉄原料(A)の割合を確保するため、水硬性結合材(B)と酸化鉄含有粉(C)の合計の含有量は10mass%以下とすることが好ましい。
一次粒子1の粒径や個数に特別な制限はないが、還元粉化を抑制するという観点からは、粒径(球換算の粒径)は5mm以下が好ましい。
結合材2中での水硬性結合材(B)の含有量は、少なすぎると冷間での十分な強度が得られず、一方、多すぎると酸化鉄含有粉(C)の割合が減少して熱間強度が低下するので、その含有量は2〜90mass%程度が適当である。
また、結合材2の配合量は、一次粒子の粒子間を埋めるのに十分な量とすることが好ましい。したがって、配合量は一次粒子の粒径などに応じて適宜選択される。
また、本発明の非焼成塊成鉱は、製鉄用鉄原料(A)、水硬性結合材(B)及び酸化鉄含有粉(C)を主たる構成成分とするものであるが、必要に応じて、一次粒子1及び/又は結合材2中に他の成分、例えば、各種分散剤、硬化促進剤、石灰石微粉、フライアッシュ、シリカ微粉などの1種以上を、本発明の効果を損なわない限度で適量配合することもできる。これらその他成分の一次粒子1や結合材2中での合計配合量は10mass%程度、特に望ましくは5mass%程度を上限とすることが好ましい。但し、コークス粉等の還元材については、別途、その使用目的に応じて20mass%程度を上限として配合してもよい。
本発明の非焼成塊成鉱の粒径(常温雰囲気下での球換算粒径)は8〜30mm程度が好ましい。非焼成塊成鉱の粒径が8mm未満では、炉に装入した際の原料充填層の通気性が悪化するおそれがあり、一方、粒径が30mmを超えると還元性が低下するおそれがある。
本発明の非焼成塊成鉱は、造粒物として得られる。すなわち、一次粒子用の原料(=製鉄用鉄原料(A)+水硬性結合材(B)+さらに好ましくは酸化鉄含有粉(C)+さらに必要に応じて他の成分。以下同様)と水を混合・撹拌(混練)した後、一次造粒を行って一次粒子を得る。次いで、この一次粒子に対して結合材(水硬性結合材(B)+酸化鉄含有粉(C)+さらに必要に応じて他の成分。以下同様)を加え、必要に応じてさらなる加湿を行った後、二次造粒を行い、複数個の一次粒子が前記結合材で被覆且つ結合された二次粒子を得る。その後、この二次粒子を一定期間養生させることにより、複数個の一次粒子1が結合材2で被覆且つ結合された非焼成塊成鉱の成品を得る。また、一次造粒して得られた一次粒子を一定期間養生させた後、上記二次造粒を行い、さらに一定期間養生させるようにしてもよい。
造粒方法は任意であるが、代表的な方法としては、ディスクペレタイザーやドラム型造粒機を用いる転動造粒法、ブリケット成形機を用いる圧縮造粒法などがあり、いずれを用いてもよい。ブリケット成形機は粒子群を機械的に圧縮するため、成形物の充填率が高まり、グリーン強度(成形直後の強度。これに対して冷間強度とは、成形後一定の養生期間を経過してバインダーが固化した後の粒子の強度を言う。)は増大する傾向にあるが、養生後の冷間強度はバインダーの質や量に依存するところが大きく、転動造粒法と圧縮造粒法で大きな違いはない。また、熱間強度も前述のような酸化鉄含有粉(C)の焼結によっているため、両造粒方法での違いはほとんどない。一般的には、圧縮造粒法は転動造粒法に比較して粒度や性状の均一なものができやすい一方で、設備費や補修費用が高いという特徴がある。したがって、造粒方法については、以上の点を考慮して適宜選択すればよい。
図5に、本発明の非焼成塊成鉱の製造フローの一例を示す。
製鉄用鉄原料(A)、水硬性結合材(B)及び酸化鉄含有粉(C)(或いは製鉄用鉄原料(A)及び水硬性結合材(B)の場合もある)は、それぞれが貯留された原料貯留槽3a〜3cから定量切り出し装置などを用いて所定量切り出され、原料搬送装置4で搬送され、加湿混合機5(例えば、ドラムミキサー、アイリッヒミキサーなど)に導入される。なお、製鉄用鉄原料(A)、水硬性結合材(B)及び酸化鉄含有粉(C)は予め混合し、1つの原料貯留槽から切り出すようにしてもよい。また、製鉄用鉄原料(A)は2種以上のものを別々の原料貯留槽から供給するようにしてもよい。また、図示しないが、必要に応じて事前に粒度を調整するための粉砕工程や、異物を取り除く工程などがあってもよい。
加湿混合機5に特別な制限はないが、混合攪拌能力の高いものが望ましい。混合攪拌能力の低い加湿混合機5は、混合時間を長く取る必要があり、生産性が低下するからである。
前記加湿混合機5では原料に水が添加され、混合・撹拌される。加湿混合機5の機能などに特別な制限はないが、混合攪拌能力の高いものが望ましい。混合攪拌能力の低いものを採用した場合は、混合時間を長く取る必要が生じ、生産性が低下する。
前記加湿混合機5で加湿混合された原料は原料搬送装置6により一次造粒機7に搬送され、ここで一次造粒され、一次粒子yが得られる。図5では、一次造粒機7として皿型転動造粒機(ディスクペレタイザー)を用いているが、さきに述べたように他の形式の造粒機を用いてもよい。
図5のような皿型転動造粒機を用いた場合には、球形に近い一次粒子y(造粒物)が製造される。一方、圧縮造粒機を用いた場合には、アーモンド形、豆炭形など、使用する型により様々な形状の一次粒子(造粒物)が製造可能である。これら一次粒子yは、非焼成塊成鉱の一次粒子1に相当するものである。
前記一次粒子yは原料搬送装置8で搬送され、二次造粒機9に導入される。一方、結合材である水硬性結合材(B)と酸化鉄含有粉(C)は、それぞれが貯留された原料貯留槽10a,10bから定量切り出し装置などを用いて所定量切り出され、原料搬送装置11で搬送され、前記二次造粒機9に導入される。なお、水硬性結合材(B)と酸化鉄含有粉(C)は予め混合し、1つの原料貯留槽から切り出すようにしてもよい。
前記二次造粒機9では、一次粒子yと結合材(水硬性結合材(B)+酸化鉄含有粉(C))が混合造粒され、複数個の一次粒子yが結合材で被覆且つ結合された二次粒子x(造粒物)が得られる。この二次粒子xは養生場所12で所定時間養生されることより固化し、高炉で使用可能な非焼成塊成鉱となる。
図5に示すような製造設備を用いて製鉄用非焼成塊成鉱を製造した。
使用した原料の成分組成を表1に、それらの粒度分布を図6に示す。製鉄用鉄原料(A1)は細粒の鉄鉱石であり、製鉄用鉄原料(A2)は焼結鉱の篩下粉である。これらは成分や粒度分布は異なるが、いずれも鉄分を豊富に含んでおり製鉄原料としては好適なものである。また、酸化鉄含有粉(C1),(C2)としては鋼材酸洗ライン回収粉を用い、水硬性結合材(B)としてはポルトランドセメントを用いた。
また、酸化鉄含有粉(C1)は酸化鉄含有率が極めて高く、且つ微細粒のものであり、粒径10μm以下の割合が90mass%以上のものである。一方、酸化鉄含有粉(C2)は酸化鉄含有率が極めて高いが、粒度は粗く粒径10μm超の割合が40mass%近くあるものである。
上記原料を図5に示す製造フローに従い処理し(造粒・養生)、発明例及び比較例の非焼成塊成鉱を製造した。そして、この非焼成塊成鉱を鉄原料の一部として高炉(内容積3223m)に装入し、操業を行った。その結果を、非焼成塊成鉱の原料配合割合、冷間強度、高炉操業条件・操業成績とともに表2に示す。なお、表2の比較例1の冷間強度は、使用した焼成塊成鉱(焼成ペレット)の冷間強度を示している。
比較例1を除く各実施例では、高炉への鉄原料の配合割合を非焼成塊成鉱:12mass%、焼結鉱:79mass%、塊鉱石:9mass%とした。一方、比較例1では、非焼成塊成鉱は使用せず、焼成塊成鉱(焼成ペレット):12mass%、焼結鉱:79mass%、塊鉱石:9mass%とした。焼成ペレットは、現在の高炉操業で広く用いられているもので、背景技術の項で説明したように鉄鉱石粉を造粒した後、1000℃以上の高温で焼き固めたものであるため、極めて高強度化する一方で、その製造のためにエネルギーを多量に消費するという問題がある。
発明例及び比較例の各非焼成塊成鉱(比較例1は焼成塊成鉱)の冷間強度を調査するため、ヤードにおける粉率と高炉炉頂における粉率を測定し、その差をもって輸送時粉化量を求めた。塊成鉱が5mm以上の粒径であれば高炉の原料として使用可能であるため、−5mm(=粒径5mm未満)の粒子を粉と定義し、その質量割合を−5mmの粉率とした。
塊成鉱の冷間強度が大きい方が輸送時粉化量を低減できる。実施例の塊成鉱の粉化量をみると焼成塊成鉱が最も小さいが、他の非焼成塊成鉱も概ね1mass%以下の粉化量であり、冷間強度については問題ないレベルであった。
また、表2中に示した吹き抜け回数の「吹き抜け現象」とは、高炉内の圧力損失が増大することで還元性ガスの流れが止められ、炉内の圧力が上昇し、一定の圧力に達したとき、爆発的に還元性ガスの上昇が再開される現象を指す。この場合、ガス流れの再開と同時に炉内の装入物がガスに同伴されて移動するため、層状に堆積された装入物の分布が乱れることになる。装入物の分布が乱れると、通気性がさらに悪化したり、酸化鉄の還元不良等の問題を生じるため、還元材比が上昇するなど高炉操業に極めて悪い影響を与えるのみならず、圧力の上昇により炉体への機械的ダメージを与えたり、急激に高温ガスが噴出することによる諸設備への熱的悪影響も懸念される。
Figure 2007277684
Figure 2007277684
発明例1は、非焼成塊成鉱の原料配合割合を、一次粒子については水硬性結合材(B):2mass%、製鉄用鉄原料(A1):98massとし、結合材については酸化鉄含有粉(C1):93mass%、水硬性結合材(B):7mass%としたものである。また、一次粒子の粒径を4.1mm、二次粒子(塊成鉱)の粒径を18mmとした。この非焼成塊成鉱は、水硬性結合材(B)による接合で冷間における強度は十分(輸送時粉化量は0.9mass%と小さい)である。また、高炉の操業を見ると、出銑量も多く還元材比も低く、吹き抜け現象も起きていない。
発明例2は、非焼成塊成鉱の原料配合割合を、一次粒子については水硬性結合材(B):3mass%、製鉄用鉄原料(A1):57mass、製鉄用鉄原料(A2):40massとし、結合材については酸化鉄含有粉(C1):93mass%、水硬性結合材(B):7mass%としたものである。また、一次粒子の粒径を3.8mm、二次粒子(塊成鉱)の粒径を20mmとした。この非焼成塊成鉱は、水硬性結合材(B)による接合で冷間における強度は十分(輸送時粉化量は0.9mass%と小さい)である。また、高炉の操業を見ると、出銑量も多く還元材比も低く、吹き抜け現象も起きていない。
発明例3は、非焼成塊成鉱の原料配合割合を、一次粒子については水硬性結合材(B):3mass%、製鉄用鉄原料(A1):90mass、酸化鉄含有粉(C1):7mass%とし、結合材については酸化鉄含有粉(C1):93mass%、水硬性結合材(B):7mass%としたものである。また、一次粒子の粒径を4.2mm、二次粒子(塊成鉱)の粒径を25mmとした。この非焼成塊成鉱は、水硬性結合材(B)による接合で冷間における強度は十分(輸送時粉化量は0.8mass%と小さい)である。また、高炉の操業を見ると、出銑量も多く還元材比も低く、吹き抜け現象も起きていない。
発明例4は、非焼成塊成鉱の原料配合割合を、一次粒子については水硬性結合材(B):3mass%、製鉄用鉄原料(A1):90mass、酸化鉄含有粉(C1):7mass%とし、結合材については酸化鉄含有粉(C1):10mass%、水硬性結合材(B):90mass%としたものである。また、一次粒子の粒径を3.5mm、二次粒子(塊成鉱)の粒径を26mmとした。この非焼成塊成鉱は、水硬性結合材(B)による接合で冷間における強度は十分(輸送時粉化量は0.8mass%と小さい)である。また、高炉の操業を見ると、出銑量も多く還元材比も低く、吹き抜け現象も起きていない。
比較例1は、塊成鉱として、非焼成塊成鉱ではなく焼成塊成鉱(粒径20mmの焼成ペレット)を用いた例である。焼成塊成鉱は高温で焼き固めているため、冷間における強度は非焼成ペレットよりも大きい(輸送時粉化量は0.6mass%と最小である)。また、高炉の操業を見ると、吹き抜け現象が5回/日生じ、出銑量がやや低下傾向となり還元材比もやや高くなった。焼成塊成鉱は冷間強度は十分であるが、高炉内での熱間強度が不足するため、操業不調となるものと考えられる。すなわち、さきに述べたような還元粉化現象が生じ、高炉内の空隙率を低下させた結果であると考えられる。
発明例5は、非焼成塊成鉱の原料配合割合を、一次粒子については水硬性結合材(B):2mass%、製鉄用鉄原料(A1):98massとし、結合材については酸化鉄含有粉(C1):93mass%、水硬性結合材(B):7mass%としたものである。また、一次粒子の粒径を6.8mm、二次粒子(塊成鉱)の粒径を18mmとした。この非焼成塊成鉱は、水硬性結合材(B)による接合で冷間における強度は十分(輸送時粉化量は1.0mass%と小さい)である。また、高炉の操業は概ね良好であるが、吹き抜け現象が2回/日生じ、発明例1〜4に較べて出銑量が若干低下し、還元材比も少し高くなっている。これは、一次粒子の粒径を5mm超としたことで、一次粒子の還元粉化現象が生じやすくなり、炉内の空隙率を若干低下させたためであると考えられる。
比較例2は、非焼成塊成鉱の原料配合割合を、一次粒子については水硬性結合材(B):2mass%、製鉄用鉄原料(A1):98massとし、結合材については酸化鉄含有粉(C2):93mass%、水硬性結合材(B):7mass%としたものである。また、一次粒子の粒径を4.0mm、二次粒子(塊成鉱)の粒径を18mmとした。この非焼成塊成鉱は、水硬性結合材(B)による接合で冷間における強度は十分(輸送時粉化量は0.9mass%と小さい)である。この非焼成塊成鉱は、水硬性結合材(B)による接合で冷間における強度は十分(輸送時粉化量は0.9mass%と小さい)である。しかし、高炉の操業を見ると、吹き抜け現象が18回/日と頻発しており、出銑量が低下傾向となり還元材比も高くなった。これは結合材に用いた酸化鉄含有粉(C2)の粒度が粗いために十分に焼結せず、水硬性結合材(B)もバインダー機能を失うため、一次粒子がバラバラの状態になり、炉内の空隙率を低下させたためであると考えられる。
比較例3は、非焼成塊成鉱の原料配合割合を、一次粒子については水硬性結合材(B):2mass%、製鉄用鉄原料(A1):98massとし、結合材については水硬性結合材(B)のみとしたものである。また、一次粒子の粒径を4.2mm、二次粒子(塊成鉱)の粒径を18mmとした。この非焼成塊成鉱は、水硬性結合材(B)による接合で冷間における強度は十分(輸送時粉化量は1.0mass%と小さい)である。しかし、高炉の操業を見ると、吹き抜け現象が25回/日と頻発しており、出銑量が低下傾向となり還元材比も高くなった。これは結合材に用いた水硬性結合材(B)がバインダー機能を失うため、一次粒子がバラバラの状態になり、炉内の空隙率を低下させたためであると考えられる。
発明例6は、非焼成塊成鉱の原料配合割合を、一次粒子については水硬性結合材(B):2mass%、製鉄用鉄原料(A1):98massとし、結合材については酸化鉄含有粉(C1):93mass%、水硬性結合材(B):7mass%としたものである。また、一次粒子の粒径を4.1mm、二次粒子(塊成鉱)の粒径を35mmとした。この非焼成塊成鉱は、水硬性結合材(B)による接合で冷間における強度は十分(輸送時粉化量は1.0mass%と小さい)である。また、高炉の操業は概ね良好であるが、吹き抜け現象が5回/日生じ、発明例5に較べて出銑量が若干低下し、還元材比も少し高くなっている。これは二次粒子(塊成鉱)の粒径を大きくしたことに起因するものと考えられる。一般に非焼成塊成鉱に限らず、酸化鉄原料はその粒子の外側から還元されていくが、粒径が大きい場合、粒子中心部の酸化鉄の還元が完了するのに時間がかかり、概ね粒子粒径が30mmを超えると中心部の酸化鉄は未還元のまま、高炉下部に到達するようになる。このような場合、高炉下部では過剰の還元負荷がかかり、吸熱反応により熱不足の状態となるため操業状態が不安定化する傾向がある。
比較例4は、非焼成塊成鉱の原料配合割合を、一次粒子については水硬性結合材(B)を使用せず製鉄用鉄原料(A1)のみとし、結合材については酸化鉄含有粉(C1):93mass%、水硬性結合材(B):7mass%としたものである。また、一次粒子の粒径を4.2mm、二次粒子(塊成鉱)の粒径を18mmとした。この非焼成塊成鉱は、一次粒子中に水硬性結合材(B)を配合していないため、冷間における強度が不十分(輸送時粉化量が3.6mass%と大きい)である。また、高炉の操業を見ると、吹き抜け現象が15回/日と頻発しており、出銑量が低下傾向となり還元材比も高くなった。
本発明の非焼成塊成鉱の一構造例を模式的に示す説明図 本発明の非焼成塊成鉱の他の構造例を模式的に示す説明図 酸化鉄含有粉の粒子どうしの焼結挙動を模式的に示す説明図 酸化鉄含有粉に含まれる粒径10μm以下の粒子の割合と酸化鉄含有粉の成形焼結体の圧縮強度との関係を示すグラフ 本発明の非焼成塊成鉱を製造フローの一例を示す説明図 実施例で使用した原料の粒度分布を示すグラフ
符号の説明
1 一次粒子
2 結合材
3a,3b,10a,10b 原料貯留槽
4,6,8,11 原料搬送装置
5 加湿混合機
7 一次造粒機
9 二次造粒機
12 養生場所

Claims (7)

  1. 製鉄用鉄原料(A)に水硬性結合材(B)を配合した混合物を造粒して得られた一次粒子を複数個結合させた非焼成塊成鉱であって、
    前記複数個の一次粒子は、水硬性結合材(B)と粒径10μm以下の割合が90mass%以上の酸化鉄含有粉(C)(但し、粉体が酸化鉄のみからなる場合を含む。)とを配合した混合物からなる結合材で被覆且つ結合されていることを特徴とする製鉄用非焼成塊成鉱。
  2. 製鉄用鉄原料(A)に水硬性結合材(B)と粒径10μm以下の割合が90mass%以上の酸化鉄含有粉(C)(但し、粉体が酸化鉄のみからなる場合を含む。)を配合した混合物を造粒して得られた一次粒子を複数個結合させた非焼成塊成鉱であって、
    前記複数個の一次粒子は、水硬性結合材(B)と粒径10μm以下の割合が90mass%以上の酸化鉄含有粉(C)(但し、粉体が酸化鉄のみからなる場合を含む。)とを配合した混合物からなる結合材で被覆且つ結合されていることを特徴とする製鉄用非焼成塊成鉱。
  3. 一次粒子の粒径が5mm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の製鉄用非焼成塊成鉱。
  4. 製鉄用鉄原料(A)が細粒焼結鉱又は/及び細粒鉄鉱石であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の製鉄用非焼成塊成鉱。
  5. 一次粒子中での水硬性結合材(B)の含有量が2〜10mass%であり、結合材中での水硬性結合材(B)の含有量が2〜90mass%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の製鉄用非焼成塊成鉱。
  6. 請求項1に記載の製鉄用非焼成塊成鉱の製造方法であって、
    製鉄用鉄原料(A)に水硬性結合材(B)を配合した混合物を加湿状態で一次造粒することにより一次粒子を形成した後、該一次粒子に結合材として水硬性結合材(B)と粒径10μm以下の割合が90mass%以上の酸化鉄含有粉(C)(但し、粉体が酸化鉄のみからなる場合を含む。)を加えて加湿状態で二次造粒することにより、複数個の一次粒子が前記結合材を介して結合した二次粒子を形成し、次いで、該二次粒子を養生することを特徴とする製鉄用非焼成塊成鉱の製造方法。
  7. 請求項2に記載の製鉄用非焼成塊成鉱の製造方法であって、
    製鉄用鉄原料(A)に水硬性結合材(B)と粒径10μm以下の割合が90mass%以上の酸化鉄含有粉(C)(但し、粉体が酸化鉄のみからなる場合を含む。)を配合した混合物を加湿状態で一次造粒することにより一次粒子を形成した後、該一次粒子に結合材として水硬性結合材(B)と粒径10μm以下の割合が90mass%以上の酸化鉄含有粉(C)(但し、粉体が酸化鉄のみからなる場合を含む。)を加えて加湿状態で二次造粒することにより、複数個の一次粒子が前記結合材を介して結合した二次粒子を形成し、次いで、該二次粒子を養生することを特徴とする製鉄用非焼成塊成鉱の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101190938B1 (ko) 2007-11-22 2012-10-12 발레 에스 에이 소결광 제조용 원료의 제조방법

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