JP3731724B2 - 圧電共振子、圧電共振部品及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発振回路などを構成する際に用いられる圧電共振子、圧電共振部品及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、発振周波数を得る共振子として、圧電振動子を利用した圧電共振部品が知られている。圧電振動子は、圧電基板の一面及び他面に、1対の対向電極を付与した構造を有する。この圧電振動子は、発振回路を構成する2個の負荷容量を形成する容量素子と、互いの厚み方向の一面が向い合う位置関係に固定される。更に、接続導体により、入力電極、出力電極および接地電極がそれぞれ電気的機械的に接合され、また、キャップで封止される。
【0003】
このような圧電共振部品は、例えば、特開昭60ー123120号公報、特開平1−236715号公報、特開平8ー237066号公報または特開平10ー135215号公報等に開示されている。
【0004】
厚み縦振動モードを利用する圧電共振部品には、基本波振動モードを利用するものと、高調波振動モード、特に、第三次高調波振動モードを利用するものが知られている。
【0005】
第三次高調波振動モードを利用する圧電共振部品の典型例は、エネルギー閉じ込め型である。このタイプの圧電共振部品は、圧電基板内に非振動部分が存在するため、その部分を支持固定することにより、特性劣化のない圧電共振部品が得られ、多方面に利用されている。
【0006】
厚み縦基本振動モードの圧電共振部品は、基本波振動を利用するため、共振特性の高い(Qmax大)ものが得られる。しかし、エネルギー閉じ込め型とは異なって、非振動部分が得られにくい。特に小型化に移行していく場合、圧電基板全体が振動していく状態であり、基板の支持固定が不可能となる。
【0007】
また、圧電共振部品の基本波振動モードを利用するため、圧電基板の誘電基板上への搭載接続において、導電ペースト接続時の粘度変化による接着面積のバラツキおよび滲み出し等により接続強度が不安定となり、圧電共振部品の振動エネルギーの抑制による特性劣化、不要振動の抑圧不足による共振特性の劣化を発生し、不安定な発振飛びなど発振不良を発生することがある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、振動エネルギーの減衰を最小限に抑えて、安定に支持し得る圧電共振子及び圧電共振部品を提供することである。
【0009】
本発明のもう一つの課題は、小型化された場合でも、振動エネルギーの減衰を最小限に抑えて、安定に支持し得る圧電共振子及び圧電共振部品を提供することである。
【0010】
本発明の更にもう一つの課題は、共振特性の代表値であるQmax値が大きく、安定した共振特性を発揮し得る圧電共振子及び圧電共振部品を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するため、本発明に係る圧電共振子は、圧電基板と、第1の振動電極と、第2の振動電極と、第1のパッドと、第2のパッドとを含み、厚み縦振動モードで動作する。前記圧電基板は、六面体である。第1の振動電極は、前記圧電基板の厚み方向の一面に備えられている。前記第2の振動電極は、前記圧電基板の厚み方向の他面に備えられ、第1の振動電極と向きあっている。
【0012】
前記第1及び前記第2のパッドのそれぞれは、前記圧電基板の厚み方向の少なくとも一面であって、振動変位が最小になる領域に備えられている。前記第1のパッドは、導体でなり、第1の振動電極に電気的に導通する。前記第2のパッドは、導体でなり、前記第2の振動電極に電気的に導通する。
【0013】
上述したように、本発明に係る圧電共振子では、圧電基板の厚み方向の一面に、第1の振動電極が備えられており、圧電基板の厚み方向の他面に、第2の振動電極が備えられている。この第2の振動電極は、第1の振動電極と向きあっている。従って、第1の振動電極及び第2の振動電極に、電気エネルギーを供給することにより、当該圧電共振子を、厚み縦振動モードで動作させることができる。
【0014】
本発明に係る圧電共振子は、第1及び第2のパッドを備えており、第1のパッドは、導体でなり第1の振動電極に電気的に導通し、第2のパッドは、導体でなり第2の振動電極に電気的に導通する。従って、第1及び第2のパッドに電気エネルギーを供給して、圧電共振子を励振することができる。
【0015】
本発明において、第1及び第2のパッドは、振動変位の小さい位置に設けられる。このため、振動エネルギーの減衰を最小限に抑えて、圧電共振子を安定に支持し得る。具体的には、第1及び第2のパッドのそれぞれは、圧電基板の厚み方向の少なくとも一面のコーナ部に備えられる。六面体である圧電基板を、厚み縦振動モードで動作させた場合、厚み方向の両面のそれぞれにおいて、その4つのコーナ部に、振動変位が最小になる領域が生じるからである。
【0016】
上述した作用により、振動エネルギーの放散、不要振動の抑圧不足、共振特性の劣化、及び、不安定な発振飛びなどの発振不良を抑え、共振特性の代表値であるQmax値が大きく、安定した共振特性を発揮し得る圧電共振子が実現される。
【0017】
本発明は、特に、厚み縦基本振動モードの圧電共振子に有効である。厚み縦基本振動モードの圧電共振子は、前述したように、基本波振動を利用するため、共振特性の高い(Qmax大)ものが得られるが、エネルギー閉じ込め型とは異なって、圧電基板全体が振動していく状態であり、基板の支持固定が難しい。小型化に移行していく場合、特に困難である。本発明によれば、第1及び第2のパッドは、振動変位の小さい位置に設けられることになるので、振動エネルギーの減衰を最小限に抑えて、圧電共振子を安定に支持し得る。
【0018】
第1のパッド及び第2のパッドは、好ましくは、導体膜と、バンプとを含む。導体膜は圧電基板の表面に付着され、バンプは導体膜の上に付着されている。
【0019】
圧電共振子を、誘電体基板等の上に搭載する場合、従来は、導電性ペーストを用いていた。しかし、基本波振動モードを利用する圧電共振子の場合、圧電基板の誘電基板上への搭載接続において、導電ペースト接続時の粘度変化による接着面積のバラツキおよび滲み出し等により接続強度が不安定となり、圧電共振子の振動エネルギーの抑制による特性劣化、不要振動の抑圧不足による共振特性の劣化を発生し、不安定な発振飛びなど発振不良を発生することがある。第1のパッド及び第2のパッドを構成するに当り、圧電基板の表面に導体膜を付着し、導体膜の上にバンプを付着した場合、このような導電性ペーストに起因する問題点を解決できる。
【0020】
本発明は、更に、上述した圧電共振子と、基板とを組み合わせた圧電共振部品、及び、その製造方法についても開示する。
【0021】
本発明の他の目的、構成及び利点については、添付図面を参照し、更に詳しく説明する。図は単なる例に過ぎない。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係る圧電共振子を表面側から見た斜視図、図2は図1に図示された圧電共振子を、裏面側から見た斜視図である。図示された圧電共振子は、圧電基板1と、第1の振動電極21と、第2の振動電極22と、第1のパッド31と、第2のパッド32とを含み、厚み縦振動モードで動作する。より具体的には、基本波振動モードを利用する。
【0023】
圧電基板1のサイズは、一例として示すと、幅1.2mm、長さ1.2mm、厚さ0.5mm、である。
【0024】
圧電基板1は、燒結体を所定厚みに研磨し、高電界で、厚み方向に分極処理をしたものである。圧電基板1の材質は、環境への配慮から、PbOを含まない非鉛材料を用いる。圧電基板1は、実効ポアソン比が1/3未満の圧電材料によって構成することができる。実効ポアソン比が1/3未満の材料を用いても基本波について良好な波形が得られる。
【0025】
実効ポアソン比が1/3未満の圧電材料としては、例えば、タンタル酸化合物あるいはニオブ酸化合物などのペロブスカイト構造を有する化合物およびその固溶体、イルメナイト構造を有する化合物および固溶体、パイロクロア構造を有する化合物、ビスマスを含む層状構造化合物、またはタングステンーブロンズ構造を有する化合物などが挙げられる。この圧電基板1はこれらの圧電材料を最大含有成分である主成分として含んでいる。
【0026】
タンタル酸化合物またはニオブ酸化合物としては、例えば、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、およびリチウム(Li)などからなる群のうちの少なくとも1種の第1の元素と、タンタル(Ta)およびニオブ(Nb)からなる群のうちの少なくとも1種の第2の元素と、酸素とを含むものが挙げられる。これらは、第1の元素をAとし、第2の元素をBとすると、一般式
ABO3
で表される。また、ビスマスを含む層状構造化合物としては、例えば、ビスマスと、ナトリウム、カリウム、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、鉛(Pb)、カルシウム(Ca)、イットリウム(Y)、およびランタノイド(Ln)およびビスマスなどからなる群のうちの少なくとも1種の第1の元素と、バナジウム(V)、ジルコニウム(Zr)、アンチモン(Sb)、チタン(Ti)、ニオブ、タンタル、タングステン(W)およびモリブデン(Mo)などからなる群のうちの少なくとも1種の第2の元素と、酸素とを含むものが挙げられる。これらは、第1の元素をCとし、第2の元素をDとすると、次の一般式
(Bi2O2)2+(Cm-1DmO3m+1)2-
但し、m:1から8までの整数
で表される。更に、ダングステンブロンズ化合物には一般式はなく、例えば、
NaW06BaNaNbO15
などがある。但し、ここで示した化学式はいずれも科学量論組成で表したものであり、圧電基板1を構成する圧電材料としては科学量論組成でないものが用いられてもよい。
【0027】
ちなみに、これらの中でも、ビスマスを含む層状構造化合物は圧電基板1を構成する圧電材料として好ましい。機械的品質係数Qmおよびキュリー温度が大きく、特にレゾネータとして優れた特性を得ることができるからである。例えば、ビスマスとストロンチウムとチタンと酸素とを含む層状構造化合物が好ましく、特に、この層状構造化合物にランタンを含むものはより好ましい。
【0028】
第1の振動電極21は、圧電基板1の厚み方向の一面101に備えられている。第2の振動電極22は、圧電基板1の厚み方向の他面102に備えられ、第1の振動電極21と向きあっている。第1の振動電極21及び第2の振動電極22は、図示の矩形状の他、円形状の形状を採用することができる。これらの第1及び第2の振動電極21、22は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法などの薄膜技術や厚膜印刷技術によって形成することができる。材質としては、Au、Ag、Cu、Crまたはそれらの合金などを用いることができる。
【0029】
第1及び第2のパッド31、32のそれぞれは、圧電基板1の厚み方向の他面102のコーナ部A1、A2に備えられている。第1及び第2のパッド31、32は、コーナ部A1、A2において、特に、振動変位量の小さな領域を選択して、その領域内に形成する。図示された第1及び第2のパッド31、32は、円形状であるが、他の形状、例えば、角形状であってもよい。
【0030】
第1のパッド31は、導体でなり、第1の振動電極21に電気的に導通している。図示実施例において、第1のパッド31は、第1の振動電極21の形成された一面101とは反対側の他面102に形成されているので、他面102及び一面101を通るリード電極42を介して、第1の振動電極21に電気的に接続される。リード電極42は、基本的には、第1の振動電極21と同材質の導体材料によって形成される。
【0031】
図示された第1のパッド31は、図3に拡大して示すように、導体膜311と、バンプ312とを含んでいる。導体膜311は、圧電基板1の他面102に、直接に付着されている。バンプ312は、導体膜311の上に突出するように、付着されている。バンプ312は、Au、Pt、Pd、Ag、Cu、Ni、Alもしくはそれらの合金、または半田から選択された少なくとも一種を含むことができる。導体膜311も同様である。
【0032】
第2のパッド32は、導体でなり、第2の振動電極22に電気的に導通する。図示実施例の場合、第2のパッド32は、第2の振動電極22の形成された他面102に形成されており、他面102に形成されたリード電極44により、第2の振動電極22に電気的に接続される。リード電極44は、基本的には、第2の振動電極22と同材質の導体材料によって形成される。
【0033】
第2のパッド32も、図3を参照して説明した第1のパッド31と同様に、導体膜321と、バンプ322とを含んでいる。導体膜321は、圧電基板1の他面102に、直接に付着されている。バンプ322は、導体膜321の上に、突出するように、付着される(図3参照)。第2のパッド32の厚みは、第1のパッド31の厚みと一致させてある。
【0034】
図1及び図2に図示した実施例では、更に、第3のパッド33と、第4のパッド34とを含んでいる。第3のパッド33及び第4のパッド34のそれぞれは、圧電基板1の他面102のコーナ部A3、A4に備えられている。第3及び第4のパッド33、34は、コーナ部A3、A4において、特に、振動変位量の小さな領域を選択して、その領域内に形成する。第3及び第4のパッド33、34の厚みは、第1及び第2のパッド31、32の厚みと一致させてある。図示された第3及び第4のパッド33、34は、円形状であるが、他の形状、例えば、多角形状であってもよい。
【0035】
図示された第3のパッド33は、図3に拡大して示すように、導体膜331と、バンプ332とを含んでいる。導体膜331は、圧電基板1の他面102に、直接に付着されている。バンプ332は、導体膜331の上に突出するように、付着されている。
【0036】
第4のパッド34も、図3を参照して説明した第1のパッド31と同様に、導体膜341と、バンプ342とを含んでいる。導体膜341は、圧電基板1の他面102に、直接に付着されている。バンプ342は、導体膜341の上に、突出するように、付着される(図3参照)。
【0037】
第2のパッド32〜第4のパッド34において、導体膜321、331、341及びバンプ322、332、342は、Au、Pt、Pd、Ag、Cu、Ni、Alもしくはそれらの合金、または半田から選択された少なくとも一種を含むことができる。
【0038】
上述したように、本発明に係る圧電共振子では、圧電基板1の厚み方向の一面に、第1の振動電極21が備えられており、圧電基板1の厚み方向の他面に、第2の振動電極22が備えられている。この第2の振動電極22は、第1の振動電極21と向きあっている。従って、第1の振動電極21及び第2の振動電極22に、電気エネルギーを供給することにより、当該圧電共振子を、厚み縦振動モードで動作させることができる。
【0039】
本発明に係る圧電共振子は、第1及び第2のパッド31、32を備えており、第1のパッド31は、導体でなり、第1の振動電極21に電気的に導通し、第2のパッド32は、導体でなり、第2の振動電極22に電気的に導通する。従って、第1及び第2のパッド31、32に電気エネルギーを供給して、圧電共振子を励振することができる。
【0040】
図4は図1及び図2に示した圧電共振子のコンピュータシミュレーションによる振動変位量の分布図である。図4において、振動変位量は、A〜Eの5段階区分として示してある。白抜きA領域の変位量が最も小さく、次に鎖線で示すB領域、縦実線で示すC領域、横実線で示すD領域、斜実線で示すE領域の順で振動変位量が大きくなっている。
【0041】
図4に図示するように、六面体である圧電基板1を、厚み縦振動モードで動作させた場合、厚み方向の両面のそれぞれにおいて、その4つのコーナ部A1〜A4に、振動変位が最小になる領域Aが生じる。本発明においては、第1及び第2のパッド31、32のそれぞれは、圧電基板1の他面102のコーナ部A1、A2に備えられている。従って、第1及び第2のパッド31、32は、振動変位の小さい位置に設けられることになる。このため、第1及び第2のパッド31、32による振動エネルギーの減衰を最小限に抑えて、圧電共振子を安定に支持し得る。
【0042】
実施例の場合、第3及び第4のパッド33、34も、圧電基板1の他面102のコーナ部A3、A4に備えられている。このため、第1〜第4のバッド31〜34による4つの支点が形成されると共、第3及び第4のパッド33、34による振動エネルギーの減衰を最小限に抑えて、圧電共振子を安定に支持し得る。第3及び第4のパッド33、34の一方を省略し、3点支持構造としてもよい。
【0043】
更に、図1、図2に示す実施例では、リード電極42も振動変位量が白抜き部分Aで示される側面領域に備えられているから、リード電極42による振動エネルギーの減衰を最小限に抑えて、圧電共振子を安定に支持し得る。
【0044】
上述した作用により、振動エネルギーの放散、不要振動の抑圧不足、共振特性の劣化、及び、不安定な発振飛びなどの発振不良を抑え、共振特性の代表値であるQmax値が大きく、安定した共振特性を発揮し得る圧電共振子が実現される。
【0045】
実施例では、更に、第1のパッド31、第2のパッド32、第3のパッド33及び第4のパッド34は、導体膜311、321、331、341と、バンプ312、322、332、342とを含む。導体膜311、321、331、341は圧電基板1の表面に付着され、バンプ312、322、332、342は導体膜311、321、331、341の上に付着されている。
【0046】
圧電共振子を、誘電体基板等の上に搭載する場合、従来は、導電性ペーストを用いていた。しかし、基本波振動モードを利用する圧電共振子の場合、圧電基板1の誘電基板上への搭載接続において、導電ペースト接続時の粘度変化による接着面積のバラツキおよび滲み出し等により接続強度が不安定となり、圧電共振子の振動エネルギーの抑制による特性劣化、不要振動の抑圧不足による共振特性の劣化を発生し、不安定な発振飛びなど発振不良を発生することがある。第1のパッド31及び第2のパッド32を構成するに当り、圧電基板1の表面に導体膜311、321、331、341を付着し、導体膜311、321、331、341の上にバンプ312、322、332、342を付着した場合、このような導電性ペーストに起因する問題点を解決できる。
【0047】
図5は本発明に係る圧電共振子の別の実施例を示す斜視図である。図において、図1及び図2に現れた構成部分と同一の構成部分については、同一の参照符号を付してある。この実施例では、第3及び第4のパッド33、34は、絶縁体で構成されている。この実施例は、第3及び第4のパッド33、34は、必ずしも、第1及び第2のパッド31、32と同様の導体構造とする必要がないことを示している。
【0048】
図6は本発明に係る圧電共振子の別の実施例を表面側から見た斜視図、図7は図6に図示された圧電共振子を、裏面側から見た斜視図である。図において、図1及び図2に現れた構成部分と同一の構成部分については、同一の参照符号を付してある。この実施例では、圧電基板1の一面101のコーナ部A1に第1のパッド31が備えられている。圧電基板1の他面102には、第2のパッド32、第3のパッド33、第4のパッド34及び第5のパッド35が、備えられている。即ち、第1のパッド31と第2のパッド32とは、異なる面に配置することができる。
【0049】
図8は圧電共振子を用いた圧電共振部品の組立工程を示す図、図9は図8に図示された組立工程を経て得られた圧電共振部品の斜視図である。図示の圧電共振部品は、圧電共振子7と、基板6と、封止ケース8とを有する。
【0050】
圧電共振子7は、図1及び図2に示した圧電共振子である。圧電共振子7の他面102には、第1〜第4のパッド31〜34が既に形成されている。
【0051】
基板6は、誘電体材料を用いて形成された基体61に、3つの端子電極62〜64を、間隔を隔てて帯状に形成してある。端子電極62〜64のうち、端子電極62、63は、入出力端子となり、端子電極61は中間接地電極となる。
【0052】
組立に当っては、圧電共振子7を基板6の表面に搭載し、図10に図示するように、バンプ312、322、332、342により、第1〜第4のパッド31〜34を、2つの端子電極62、63に接続する。
【0053】
図11は図9、図10に示した圧電共振部品の電気的等価回路図である。圧電共振部品は、圧電共振子7に含まれる等価抵抗R、等価インダクタンスL及び等価キャパシタンスC11、C12に対し、端子電極62ー64間の電極間容量C01、及び、端子電極63ー64間の電極間容量C02の直列回路を接続し、電極間容量C01、C02の接続点に端子電極64を接続した回路構成となる。
【0054】
図12は図6、図7に図示した圧電共振子を用いた圧電共振部品の斜視図である。図において、図9に現れた構成部分と同一の構成部分については、同一の参照符号を付してある。この実施例では、圧電基板1の一面101に形成された第1のパッド31を、例えば、ワイヤボンディグ46等の手段によって、端子電極62に接続してある。
【0055】
圧電基板1を製造する工程は、既によく知られている。例えば、出発原料として、主に酸化物の原料を用い、それらを所望の組成となるように秤量し、純水あるいはアセトンなどの溶媒中で、ジルコニアボールを使い、ボールミル混合を行う。次いで、混合した原料粉末を十分に乾燥させたのち、例えば、プレス成形により700〜900℃の温度で仮焼成をする。
【0056】
続いて、例えば、この仮焼成体を再度ボールミル粉砕したのち、乾燥させ、バインダーとしてポリビニルアルコールを適量加えて造粒する。
【0057】
造粒したのち、例えば、この造粒粉を、一軸プレス成型器を用いて、200〜300MPaの加重により、縦20mm、横20mm、厚み約1.5mmの薄板状に成形する。
【0058】
次に、例えば、熱処理により、成形体からバインダーを揮発させ、1100〜1350℃の温度で本焼成を行う。本焼成を行ったのち、この焼成体の厚さを、例えば、ラップ研磨機により研磨して整え、その後、鏡面加工を施して圧電基板の母材板を形成する。
【0059】
母材板を形成した後、例えば、銅(Cu)を真空蒸着することにより、母材板の両面に分極処理用電極を形成する。その後、例えば、この分極処理用電極を形成した母材板を、200〜300℃に加熱したシリコンオイル中に浸し、5〜10Kv/mmの電界を1分間印加して分極処理を行う。
【0060】
分極処理を行った後、分極処理用電極を除去してダイシングなどにより母材板の大きさを整え、圧電基板を形成する。次に、圧電基板の対向面にたとえばスパッタ形成により、銀などの金属よりなる電極を形成する。これにより圧電共振子が形成される。
【0061】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、次のような効果を得ることができる。
(a)振動エネルギーの減衰を最小限に抑えて、安定に支持し得る圧電共振子及び圧電共振部品を提供することができる。
(b)小型化された場合でも、振動エネルギーの減衰を最小限に抑えて、安定に支持し得る圧電共振子及び圧電共振部品を提供することができる。
(c)共振特性の代表値であるQmax値が大きく、安定した共振特性を発揮し得る圧電共振子及び圧電共振部品をを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る圧電共振子を表面側から見た斜視図である。
【図2】図1に図示された圧電共振子を、裏面側から見た斜視図である。
【図3】図1に図示された圧電共振子の一部を拡大して示す図である。
【図4】図1及び図2に示した圧電共振子のコンピュータシミュレーションによる振動変位量の分布図である。
【図5】本発明に係る圧電共振子の別の実施例を示す斜視図である。
【図6】本発明に係る圧電共振子の別の実施例を表面側から見た斜視図である。
【図7】図6に図示された圧電共振子を、裏面側から見た斜視図である。
【図8】圧電共振子を用いた圧電共振部品の組立工程を示す図である。
【図9】図8に図示された組立工程を経て得られた圧電共振部品の斜視図である。
【図10】図9に示した圧電共振部品の一部を拡大して示す図である。
【図11】図9、図10に示した圧電共振部品の電気的等価回路図である。
【図12】図6、図7に図示した圧電共振子を用いた圧電共振部品の斜視図である。
【符号の説明】
1 圧電基板
21、22 第1及び第2の振動電極
31〜34 第1乃至第4のパッド
311、321、331、341 導体膜
312、322、332、342 バンプ
A1〜A4 コーナ部
Claims (13)
- 圧電基板と、第1の振動電極と、第2の振動電極と、第1のパッドと、第2のパッドとを含み、基本波厚み縦振動モードで動作させる圧電共振子であって、
前記圧電基板は、六面体であり、
前記第1の振動電極は、前記圧電基板の厚み方向の一面であって、4つのコーナ部を有する四角形状の面に備えられており、
前記第2の振動電極は、前記圧電基板の厚み方向の他面であって、4つのコーナ部を有する四角形状の面に備えられ、前記第1の振動電極と向きあっており、
前記第1のパッドは、導体でなり、前記第1の振動電極の設けられた前記面の前記コーナ部の一つに設けられ、導体によって前記第1の振動電極に電気的に導通しており、
前記第2のパッドは、導体でなり、前記第1のパッド及び前記第1の振動電極の設けられた前記面のコーナ部であって、前記第1のパッドの設けられたコーナ部とは異なるコーナに設けられ、導体によって前記第2の振動電極に電気的に導通しており、
前記圧電基板は、前記第 1 の振動電極及び前記第 2 の振動電極に電圧を印加し、基本波厚み縦振動モードで動作させたとき、厚み方向の両面のそれぞれにおいて、前記4つのコーナ部に、振動変位が最小になる領域を生じる、
圧電共振子。 - 圧電基板と、第1の振動電極と、第2の振動電極と、第1のパッドと、第2のパッドとを含み、基本波厚み縦振動モードで動作させる圧電共振子であって、
前記圧電基板は、六面体であり、
前記第1の振動電極は、前記圧電基板の厚み方向の一面であって、4つのコーナ部を有する四角形状の面に備えられており、
前記第2の振動電極は、前記圧電基板の厚み方向の他面であって、4つのコーナ部を有する四角形状の面に備えられ、第1の振動電極と向きあっており、
前記第1のパッドは、導体でなり、前記第1の振動電極の設けられた前記面の前記コーナ部の一つに設けられ、前記第1の振動電極に電気的に導通しており、
前記第2のパッドは、導体でなり、第2の振動電極の設けられた前記面のコーナ部の一つに設けられ、前記第2の振動電極に電気的に導通しており、
前記圧電基板は、前記第 1 の振動電極及び前記第 2 の振動電極に電圧を印加し、基本波厚み縦振動モードで動作させたとき、厚み方向の両面のそれぞれにおいて、前記4つのコーナ部に、振動変位が最小になる領域を生じる、
圧電共振子。 - 請求項1又は2に記載された圧電共振子であって、前記第1のパッド及び第2のパッドは、導体膜と、バンプとを含み、前記導体膜は、前記圧電基板の表面に付着され、前記バンプは、前記導体膜の上に付着されている圧電共振子。
- 請求項1乃至3の何れかに記載された圧電共振子であって、更に、第3のパッドと、第4のパッドとを含んでおり、前記第3及び第4のパッドのそれぞれは、前記圧電基板の厚み方向の少なくとも一面であって、前記第1のパッド及び前記第2のパッドを設けた前記コーナ部とは異なるコーナ部に設けられている圧電共振子。
- 請求項4に記載された圧電共振子であって、前記第3及び第4のパッドは、導体でなる圧電共振子。
- 請求項5に記載された圧電共振子であって、前記第3及び第4のパッドは、導体膜と、バンプとを含み、前記導体膜は、前記圧電基板の表面に付着され、前記バンプは、前記導体膜の上に付着されている圧電共振子。
- 請求項5に記載された圧電共振子であって、前記第3及び第4のパッドは、電気絶縁体でなる圧電共振子。
- 請求項1乃至7の何れかに記載された圧電共振子であって、前記バンプは、Au、Pt、Pd、Ag、Cu、Ni、Alもしくはそれらの合金、または半田から選択された少なくとも一種を含む圧電共振子。
- 圧電共振子と、基板とを含む圧電共振部品であって、
前記圧電共振子は、請求項1乃至8の何れかに記載されたものでなり、
前記基板は、表面に少なくとも2つの端子電極を有しており、
前記圧電共振子は、前記基板の前記表面に搭載され、前記第1及び第2のパッドが、前記2つの端子電極に接続されている
圧電共振部品。 - 請求項1に記載された圧電共振部品の製造方法であって、
前記第1のパッド及び第2のパッドを構成する前記導体膜の表面に、バンプを形成し、前記圧電共振子を前記基板の前記表面に搭載し、前記第1及び第2のパッドを、前記バンプにより、前記2つの端子電極に接続する工程を含む
圧電共振部品の製造方法。 - 請求項10に記載された圧電共振部品の製造方法であって、
前記圧電基板の厚み方向の少なくとも一面であって、前記一面の4つのコーナ部において選択された部分に第3及び第4のパッドを形成し、
前記第3及び第4のパッドを形成した前記一面を、前記基板の前記表面と向きあわせる、
圧電共振部品の製造方法。 - 請求項11に記載された圧電共振部品の製造方法であって、前記第3及び第4のパッドは、導体でなる圧電共振部品の製造方法。
- 請求項12に記載された圧電共振部品の製造方法であって、前記第3及び第4のパッドは、前記圧電基板の表面に導体膜を付着させ、前記導体膜の表面にバンプを付着させる工程によって形成される圧電共振部品の製造方法。
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