JP3730377B2 - 人工肛門バッグ用フィルム - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、人工肛門から排出される汚物処理用バッグに用いられる、柔軟性および臭気バリア性に優れるフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、人工肛門バッグ用フィルムとしては、低密度ポリエチレン、軟質ポリ塩化ビニルなどの単層フィルムが用いられてきた。しかし、ポリエチレン、軟質塩化ビニルなどの単層フィルムでは臭気バリアー性が十分ではなく、装着中に内容物の臭気が外部に漏れ、本人に不快感を与える。このため内容物の臭気を外部に漏らさない臭気バリアー性のあるフィルムが望まれている。
【0003】
しかし、臭気バリアー層として、ポリ塩化ビニリデン系樹脂または、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(以下EVOHと記す)を使用した多層フィルムは臭気バリアー性は十分満足されるレベルであるが、フィルムが固くなり、フィルムが肌に触れたときに不快感を与えたり、装着中のフィルムの屈曲、擦過により音が発生し、他人にバックを身につけていることがわかるなどの問題が発生する。
このため、ポリ塩化ビニリデン系樹脂を臭気バリアー層として用いる時は、通常塩化ビニリデンと共重合させる塩化ビニル、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、アクリル酸等の共重合比を調整することによって柔軟性を付与したり、更に可塑剤を添加する場合もある。
【0004】
また、表面樹脂層には塩素化ポリエチレンをブレンドしたり、またはエチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体などの柔軟な樹脂を用いる必要がある。(特表昭57−501631号、特開昭60−137368号)。
【0005】
臭気バリアー層としてEVOHを用いる場合はエチレン−酢酸ビニル共重合体部分ケン化物をブレンドし、表面層にエチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体などの柔軟な樹脂を用いた三層共押出多層フィルムを用いる方法(実開昭60−175248号)が知られている。
また、特公昭51−41157号、特公昭57−14382号にはEVOHにエチレン系共重合樹脂をブレンドすることによりEVOHにポリオレフィンとの共押出接着性が付与され、さらに耐落下衝撃性が改善されることが記載されているが、人工肛門用バッグフィルムとして有用であることは記載されていない。
【0006】
ポリ塩化ビニリデン系樹脂は熱安定性の面から溶融製膜するのに特殊な装置や技術が必要であり、また人工肛門バッグ用フィルムとして用いるには、前記特表昭57−501631号、特開昭60−137368号に見られるような共重合や可塑剤のブレンドあるいは特殊な樹脂の組み合わせで多層フィルムを得る必要がある。これらの構成のフィルムは製造上の問題があるためか、柔軟性が不足なためかは不明であるが現在市販されている人工肛門バッグには当該組成の多層フィルムは使用されていない。
【0007】
現在、臭気バリアー性の高い人工肛門バッグ用フィルムにはポリエチレンあるいはエチレン−酢酸ビニル共重合体を内外層とし、ポリ塩化ビニリデン系樹脂を中間層とする多層フィルムが使用されているが、柔軟性、装着感などが十分満足されていない。一方、EVOHを臭気バリアー材として使用することも考えられるが、実際これを使用して人工肛門バッグを作製すると、装着感、ノイズ性が極めて悪く実用に耐え難いものであった。
【0008】
この問題を解決するために、実開昭60−175248号に記載されているようにEVOHにエチレン−酢酸ビニル共重合体部分ケン化物をブレンドする方法、あるいは特開昭64−70065号に記載されているようにEVOHに酢酸ビニル、アクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルを含有するエチレン系共重合体をブレンドする方法も提案されているが、EVOH単独で用いる場合に比べれば柔軟性はある程度改善されものの、人工肛門バッグ用フィルムとしては満足できる柔軟性は無く、装着感も劣り、柔軟性を高めるために、エチレン−酢酸ビニル共重合体部分ケン化物のブレンド率を増加させると臭気バリアー性が不足し、実用的な段階に達していない。こうしてEVOHを臭気バリアー材として用いた人工肛門バッグは実用化されていないのが現状であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、人工肛門バッグの防臭性を高めるためのバリア材としてはポリ塩化ビニリデン系、EVOH系ともに、臭気バリアー性と柔軟性が両立していないのが現状である。本発明の目的は、上記の様な臭気バリアー性と柔軟性にすぐれた人工肛門バッグを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、エチレン含量20〜60モル%、ケン化度90%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体80〜95重量%および(メタ)アクリル酸含量1〜30重量%のエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体20〜5重量%からなり、エチレン−ビニルアルコール共重合体のマトリックス中にエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体粒子が分散している樹脂組成物を中間層とし、熱可塑性樹脂からなる内外層を有する人工肛門バッグ用フィルムを提供することによって達成される。
【0011】
このとき、エチレン−ビニルアルコール共重合体が、エチレン含量の異なる2種類のエチレン−ビニルアルコール共重合体(a)および(b)の混合物からなり、(a)のエチレン含量が20〜45モル%、(b)のエチレン含量が45〜65モル%、(a)と(b)のエチレン含量の差が8モル%以上であり、かつその配合重量比{(a)/(b)}が2/1〜50/1であることによって、本発明の目的はより効果的に達成される。
【0012】
また、エチレン−ビニルアルコール共重合体のMFR(Ma)とエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のMFR(Mb)の比(Ma/Mb)が0.1〜5.0であること、あるいは樹脂組成物が可塑剤を2〜15重量%含むことも好適である。
【0013】
さらに、エチレン−ビニルアルコール共重合体のマトリックス中に分散しているエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体粒子がフィルム面に平行な一軸方向に引き延ばされた円柱状の形状で分散しており、その一軸方向に垂直な面で切断したときの粒子断面の平均径が0.2〜1.3μmであることも好適である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明のEVOHは、エチレンとビニルエステルからなる共重合体をアルカリ触媒等を用いてケン化して得られる。
ビニルエステルとしては酢酸ビニルが代表的なものとしてあげられるが、その他の脂肪酸ビニルエステル(プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなど)も使用できる。
【0015】
本発明におけるEVOHのエチレン含量は20〜60モル%であり、好適には25〜50モル%、より好適には25〜45モル%である。なおここで、EVOHがエチレン含量の異なる2種類以上のEVOHの配合物からなる場合には、配合重量比から算出される平均値をエチレン含量とする。
エチレン含量が20モル%未満では、高湿度下でのガスバリア性が低下し溶融成形性も悪化する。また60モル%を越えると十分なガスバリア性が得られない。
【0016】
また、本発明のEVOHのビニルエステル成分のケン化度は90%以上であり、好適には95%以上、より好適には98%以上である。なおここで、EVOHがケン化度の異なる2種類以上のEVOHの配合物からなる場合には、配合重量比から算出される平均値をケン化度とする。
ケン化度が90モル%未満では、高湿度時のガスバリア性が低下するだけでなく、EVOHの熱安定性が悪化し、成形物にゲルが発生しやすくなる。
【0017】
またEVOHには、本発明の目的が阻害されない範囲で他の単量体を少量共重合することもできる。共重合できる単量体の例としては、プロピレン、ブテン、イソブテン、4−メチルペンテン−1、ヘキセン、オクテンなどのα−オレフィン、イタコン酸、メタクリル酸、アクリル酸、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸、その塩、その部分または完全エステル、そのニトリル、そのアミド、その無水物、ビニルトリメトキシシランなどのビニルシラン系化合物、不飽和スルホン酸、その塩、アルキルチオール類、ビニルピロリドンなどがあげられる。
【0018】
なかでも、EVOHに共重合成分としてビニルシラン化合物0.0002〜0.2モル%を含有する場合は、共押し出しする際の基材樹脂との溶融粘性の整合性が改善され、均質な共押し出し多層パイプの製造が可能なだけでなく、EVOH同士をブレンドに使用する際の分散性が改善され成形性などの改善の面でも有効である。ここで、ビニルシラン系化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルメトキシシラン等が挙げられる。なかでも、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランが好適に用いられる。
【0019】
本発明のEVOH中のリン化合物濃度は、リン元素重量換算で1〜200ppm、好適には2〜150ppm、最適には5〜100ppmの範囲であることが成形性や熱安定性の点から好ましい。
【0020】
さらにナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオンなどのアルカリ金属イオンを金属重量換算でEVOHに対し10〜500ppm含有させることも本発明の効果を増進させ、層間接着性や相溶性の改善のために効果的である。アルカリ金属化合物としては、一価金属の脂肪族カルボン酸塩、芳香族カルボン酸塩、リン酸塩、金属錯体等があげられ、具体的には、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩等があげられ、好適には、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウムがあげられる。
【0021】
また、本発明に用いるEVOHの好適なメルトフローレート(MFR)(210℃、2160g荷重下で測定した値)は、好適には0.1〜50g/10分、最適には0.5〜20g/10分である。本発明においてEVOHは、エチレン含有量および/またはケン化度の異なる1種あるいはそれ以上のEVOHをブレンドして用いる事がより好適な場合もある。
【0022】
本発明で用いるEVOHとしては、エチレン含量および/またはケン化度の異なる2種以上のEVOHをブレンドして用いる事が好適である。
特に、EVOHが、エチレン含量の異なる2種類のEVOH(a)および(b)の混合物からなり、(a)のエチレン含量が20〜45モル%、(b)のエチレン含量が45〜65モル%、(a)と(b)のエチレン含量の差が8モル%以上であり、かつその配合重量比{(a)/(b)}が2/1〜50/1であることが、良好なガスバリア性と柔軟性の両立のために好ましい。
【0023】
このとき、EVOH(a)のエチレン含量は20〜45モル%であることが好ましい。より好適には25〜42モル%であり、さらに好適には30〜40モル%である。EVOH(a)のエチレン含量が20モル%未満では、柔軟性が悪化し、45モル%を超えるとガスバリア性が低下する。
【0024】
また、 EVOH(b)のエチレン含量は45〜65モル%であることが好ましい。より好適には47〜62モル%であり、さらに好適には50〜60モル%である。EVOH(b)のエチレン含量がかかる範囲にあることで、柔軟性が十分に改善される。
【0025】
さらに、 EVOH(a)と(b)のエチレン含量の差は8モル%以上であることが好ましい。より好適には12モル%以上であり、さらに好適には15モル%以上である。EVOH(a)のエチレン含量の差が8モル%未満では、柔軟性の改善効果が小さい。
【0026】
またEVOH(a)および(b)の配合重量比{(a)/(b)}が2/1〜50/1であることが好ましい。より好適には3/1〜40/1であり、さらに好適には4/1〜30/1である。配合重量比が2/1未満では、ガスバリア性が低下し、50/1を超えると柔軟性の改善効果が小さい。
【0027】
本発明で用いられるエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体とは、エチレンを主成分としアクリル酸またはメタクリル酸を共重合した重合体のことをいう。本発明においては共重合体中のカルボキシル基がナトリウムや亜鉛などの金属の塩の形で存在している、いわゆるアイオノマーを含むものではない。かかるアイオノマーを用いた場合に本願発明の目的が達成されないことは、理由は明らかでないが、後述する比較例に示したとおりである。
【0028】
エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体中の(メタ)アクリル酸含量は、1〜30重量%であり、好適には2〜25重量%であり、より好適には3〜20重量%である。(メタ)アクリル酸含量が1重量%未満である場合は樹脂粒子の分散が不良となり、剛性が高くなり屈曲によりピンホールを生じやすい。また30重量%を超える場合には臭気バリア性が不足する。
【0029】
また、本発明に用いるエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の好適なメルトフローレート(MFR)(210℃、2160g荷重下で測定した値)は、好適には0.1〜80g/10分、最適には0.5〜50g/10分である。本発明においてエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体は、(メタ)アクリル酸含量および/またはMFRの異なる2種あるいはそれ以上のエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体をブレンドして用いることもできる。
【0030】
本発明の樹脂組成物におけるEVOHの含有量は80〜95重量%である。またエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の含有量は5〜20重量%である。エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の配合比が1重量%より少ない場合には、屈曲による、音の発生、クラック、装着時の不快感を生じる問題がある。また、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の配合比が40重量%より多い場合には、臭気バリア性が著しく低下する。
【0031】
本発明の樹脂組成物は、EVOHのマトリックス中にエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体粒子が分散しているものである。かかる分散形態を有することで、良好なガスバリア性、力学特性を保有することができる。エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のマトリックス中にEVOHが分散していたり、双方の樹脂が連続状につながっているような形態の時には臭気バリア性の低下が著しい。
【0032】
本発明に用いるEVOHとエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のメルトフローレート(MFR)(210℃、2160g荷重下で測定した値)比としては、EVOHのMFR(Ma)とエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のMFR(Mb)の比(Ma/Mb)が0.1〜5.0であることが好ましく、より好適には0.15〜3.0、最適には0.2〜2.0である。かかる範囲のMFRの比の樹脂を組み合わせることによって、良好に分散され、本発明の目的を達成することができる。
【0033】
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を増進させ、また溶融安定性等を改善するためにハイドロタルサイト系化合物、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系熱安定剤、高級脂肪族カルボン酸の金属塩(たとえば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等)の一種または二種以上を樹脂組成物に対し0.01〜1重量%添加することは好適である。
【0034】
また本発明の樹脂組成物に可塑剤を2〜15重量%添加することは、柔軟性の向上と屈曲時の音の発生の防止の点から好ましい。
添加する可塑剤の種類は特に限定されるものではなく、高級脂肪族アルコール、グリセリン、グリコール等に代表されるアルコール類;高級脂肪族カルボン酸に代表されるカルボン酸類;脂肪族アルコールのフタル酸エステルで代表される芳香族エステル類;多価アルコールと高級脂肪酸からなるエステルを代表とする脂肪族エステル類;芳香族アルコールあるいは脂肪族アルコールのリン酸エステルに代表されるリン酸エステル類等各種の可塑剤を用いることができる。
【0035】
なかでも好適なものとして、多価アルコール(2価、3価あるいはそれ以上の多価アルコール)と高級脂肪酸(炭素数8以上、好適には8〜30の高級脂肪酸)とのモノエステル、ジエステル、あるいはそれ以上の多価エステルが挙げられる。
その例として、ステアリン酸エステルとしてはグリセリンモノステアレート、グリセリンモノ12−ヒドロキシステアレート、グリセリンジステアレート、ジグリセリンモノステアレート、テトラグリセリンモノステアレート;ラウリン酸エステルとしてはグリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノラウレート、テトラグリセリンモノラウレートなどが例示される。それ以外の脂肪族エステルとしてはポリプロピレンアジペート、ジイソデシルアジペート、ビス(2−メチルヘキシル)アジペート、ジカプリルアジペート、ジイソオクチルアジペート、オクチルデシルアジペート、イソオクチルイソデシルアジペート、ジブチルフマレート、ジオクチルフマレート、トリエチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリブチルシトレートなどを挙げることができる。
【0036】
好ましい可塑剤の添加量は、2〜15重量%であり、より好適には4〜10重量%である。可塑剤の量がかかる範囲より多すぎる場合にはガスバリア性が低下し、少なすぎる場合には柔軟性の改善効果が充分でない。
【0037】
また、本発明の樹脂組成物に必要に応じて各種の添加剤を配合することもできる。このような添加剤の例としては、酸化防止剤、可塑剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤、フィラー、あるいは他の高分子化合物を挙げることができ、これらを本発明の作用効果が阻害されない範囲でブレンドすることができる。添加剤の具体的な例としては次のようなものが挙げられる。
【0038】
酸化防止剤:2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4,4’−チオビス−(6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,4’−チオビス−(6−t−ブチルフェノール)等。
【0039】
紫外線吸収剤:エチレン−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等。
【0040】
可塑剤:フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル、ワックス、流動パラフィン、リン酸エステル等。
帯電防止剤:ペンタエリスリットモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、硫酸化ポリオレフィン類、ポリエチレンオキシド、カーボワックス等。
滑剤:エチレンビスステアロイルアミド、ブチルステアレート等。
着色剤:カーボンブラック、フタロシアニン、キナクリドン、インドリン、アゾ系顔料、ベンガラ等。
充填剤:グラスファイバー、アスベスト、バラストナイト、ケイ酸カルシウム等。
【0041】
また、他の多くの高分子化合物を本発明の作用効果が阻害されない程度にブレンドすることもできる。
【0042】
上記フィルムにおける樹脂組成物層の各樹脂の分散状態は、EVOHのマトリックス中に分散しているエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体粒子がフィルム面に平行な一軸方向に引き延ばされた円柱状に分散分散されていることが好ましい。ここで、一軸方向とはフィルムの押出方向のことである。このとき、その軸方向に垂直な面で切断したときの粒子断面の平均径が0.2〜1.2μmであることが好ましく、0.3〜1.0μmであることがより好ましい。
かかる粒子断面の平均径が1.2μmより大きい場合には、組成物中での不均一な分散が発生しやすく、フィルム屈曲時にクラックを生じるとともに臭気バリア性が低下する。また粒子断面の平均径が0.2μm未満の場合、分散粒子を含有する効果が組成物の耐屈曲性に生かされない。
【0043】
本発明でいう粒子断面の平均径の測定方法としては、以下の手順が示される。まず、フィルムの押出方向と垂直な面のサンプルの破断面を走査型電子顕微鏡、あるいは透過型電子顕微鏡観察等によって撮影する。続いてこれら電子顕微鏡観察等によって得られた写真を画像処理によりその輪郭を特定し、特定された粒子の輪郭の長径および短径の平均の値をその粒子の径とし、得られた各粒子の径の平均値を粒子断面の平均径として求めた。
【0044】
このような分散形態を得るために、本発明における混練操作は重要である。高度な分散を有する組成物を得るための混練機としては、連続式インテンシブミキサー、ニーディングタイプ二軸押出機(同方向、あるいは異方向)などの連続型混練機が最適であるが、バンバリーミキサー、インテンシブミキサー、加圧ニーダーなどのバッチ型混練機を用いることもできる。また別の連続混練装置としては石臼のような摩砕機構を有する回転円板を使用したもの、たとえば(株)KCK製のKCK混練押出機を用いることもできる。混練機として通常に使用されるもののなかには、一軸押出機に混練部(ダルメージ、CTM等)を設けたもの、あるいはブラベンダーミキサーなどの簡易型の混練機もあげることができる。
【0045】
この中で、本発明の目的に最も好ましいものとしては連続式インテンシブミキサーを挙げることができる。市販されている機種としてはFarrel社製FCM、(株)日本製鋼所製CIMあるいは(株)神戸製鋼所製KCM、LCMあるいはACM等がある。実際にはこれらの混練機の下に一軸押出機を有する、混練と押出ペレット化を同時に実施する装置を採用するのが好ましい。また、ニーディングディスクあるいは混練用ロータを有する二軸混練押出機、例えば(株)日本製鋼所製のTEX、Werner&Pfleiderer社のZSK、東芝機械(株)製のTEM、池貝鉄工(株)製のPCM等も本発明の混練の目的に用いられる。
【0046】
これらの連続型混練機を用いるにあたっては、ロータ、ディスクの形状が重要な役割を果たす。特にミキシングチャンバとローターチップあるいはディスクチップとの隙間(チップクリアランス)は重要であり、狭すぎても広すぎても本発明の良好な分散性を有する組成物は得られない。チップクリアランスとしては1〜5mmが最適である。
【0047】
また、本発明の良好な分散性を有する組成物を得るためには混練機の比エネルギーとして0.1kWh/kg以上、望ましくは0.2〜0.8kWh/kgで混練することが最良であることが判明した。
比エネルギーは混練に使用されるエネルギー(消費電力量;kW)を1時間あたりの混練処理量(kg)で除して求められるものであり、その単位はkWh/kgである。比エネルギーが通常の混練で採用される値より高い値で混練することが本発明の組成物を得るためには必要であり、比エネルギー0.1kWh/kg以上とするためには、単に混練機の回転数をあげるだけでは不十分で、混練中の組成物をジャケットなどにより冷却して温度を下げ、粘度を上昇させることが好ましい。粘度を低くした状態で混練したのでは本発明の目的とする組成物を得ることは難しい。したがって、混練温度は混練部の出口の排出樹脂温度でEVOHの融点〜融点+40℃の範囲であることが効果的である。
【0048】
また、混練機のローターの回転数は100〜1200rpm、望ましくは150〜1000rpm、さらに望ましくは200〜800rpmの範囲が採用される。混練機チャンバー内径(D)は30mm以上、望ましくは50〜400mmの範囲のものが挙げられる。混練機のチャンバー長さ(L)との比L/Dは4〜30が好適である。また混練機はひとつでもよいし、また2以上を連結して用いることもできる。
【0049】
混練時間は長い方が良い結果を得られるが、EVOHの熱劣化変質あるいは経済性の点から10〜600秒、好適には15〜200秒の範囲であり、最適には15〜150秒である。
【0050】
本発明の人工肛門バッグ用フィルムは、上記樹脂組成物よりなる層を中間層とし、熱可塑性樹脂からなる内外層を有するものである。
【0051】
樹脂組成物層の両側に内外層を有することが好ましいのは、樹脂組成物層を物理的に保護し、強度等を改善することができるのと同時に、樹脂組成物層が吸湿してガスバリア性が低下するのを防ぐこともできるからである。また、内外層として用いることのできる樹脂は特に限定されるものではなく、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート等)、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂等があげられ、適当に選択できる。
【0052】
また上記内外層の少なくとも片方がヒートシール可能な熱可塑性樹脂層であるのが好ましい。これは、ヒートシール操作によって人工肛門バッグを容易に製造できるからである。
【0053】
かかるヒートシール性を有する内外層に用いられる樹脂としては、樹脂組成物層中に用いられるEVOH樹脂の融点よりも低い融点あるいは軟化点を有する樹脂が好ましく、特にポリオレフィン系樹脂が好ましい。用いられるポリオレフィン系樹脂としては、高密度もしくは低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1などの単独重合体、およびエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテンなどから選ばれたα−オレフィン同士の共重合体あるいはα−オレフィンと他の共重合体成分との共重合体があげられる。これらα−オレフィン以外の共重合成分としては、ジオレフィン、N−ビニルカルバゾール、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、ビニルエーテル、などのビニル化合物、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸、そのエステルおよびその酸無水物あるいはこれらにヒドロキシル基またはエポキシ基を付加したものなどがあげられる。例えばグラフト可能なモノマーとポリオレフィンとの共重合体やα−オレフィン/α,β−不飽和カルボン酸共重合体とイオン性金属化合物との反応物であるアイオノマー樹脂などの各種の共重合体などを用いることもできる。なかでも好適なものとして、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)が好適である。これらのポリオレフィン系樹脂はそれぞれ単独で用いることもできるし、また2種以上を混合して用いることもできる。
【0054】
また、樹脂組成物層と内外層との間の接着性を確保するために接着性樹脂層を設けることもできる。接着性樹脂層に使用される樹脂は特に限定されるものではないが、ポリウレタン系、ポリエステル系一液型あるいは二液型硬化性接着剤、不飽和カルボン酸またはその無水物(無水マレイン酸など)をオレフィン系重合体または共重合体に共重合またはグラフト変性したもの(カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂)が、好適に用いられる。このような接着性樹脂層を設けることにより、層間接着性の優れた人工肛門バッグ用フィルムを得ることができる。
【0055】
これらのうちでも、接着性樹脂がカルボン酸変性ポリオレフィン樹脂であることが、EVOHを含む樹脂組成物層あるいは共重合ポリプロピレンとの接着性、あるいはスクラップ回収時の相溶性の観点からより好ましい。かかるカルボン酸変性ポリエチレン系樹脂の例としては、ポリエチレン{低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)}、ポリプロピレン、共重合ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル(メチルエステル、またはエチルエステル)共重合体等をカルボン酸変性したものが挙げられる。
【0056】
本発明の人工肛門バッグ用フィルムの具体的構成例は、樹脂組成物層をB、熱可塑性樹脂層をTとしたときに、T/B/T、T/B/T/B、T/B/T/B/T等の構成が挙げられる。
このとき、熱可塑性樹脂層のTの一層または全層がヒートシール性を有することが好ましく、これらの層間に接着性樹脂層を介在させてもよい。
【0057】
また、本発明の人工肛門バッグ用フィルムを構成する樹脂組成物層、内外層あるいは接着性樹脂層の少なくとも一層に脱臭剤を配合してもよい。かかる脱臭剤の配合により、臭気バリア性が改善される。
【0058】
配合される脱臭剤は、各種悪臭成分、例えばアンモニア、アミン、硫化水素、メルカプタン、スルフィドに対し脱臭効果のある物質であり、その種類は特に制限されるものではないが、有機酸類、鉄(II)化合物、亜鉛化合物、アルミニウム化合物、ケイ素化合物、鉄(II)化合物−有機酸組成物が挙げられる。これらの脱臭剤は単独で用いることもできるし、複数種の混合物として用いることもできる。
【0059】
かかる人工肛門バッグ用フィルムの厚み構成は特に限定されるものではないが、全体厚みが80〜200μmであることが好ましく、より好ましくは100〜150μmである。全体厚みが200μmを超える場合には、フィルム全体の剛性が高く、柔軟性が低下するとともに、必要以上に容器の重量が大きくなり、コストの点から好ましくない。また全体厚みが80μm未満では、力学的強度が低くて破れやすく、しかもその部分の樹脂組成物層にピンホールが発生しやすいので臭気バリア性が悪化する。
【0060】
また、樹脂組成物層の厚みは5〜35μmであることが好ましく、より好ましくは10〜25μmである。樹脂組成物層の厚みが35μmを超える場合にはコストが上昇する上に屈曲によりピンホールが発生しやすく好ましくない。逆に樹脂組成物層の厚みが5μm以下では、バリア性が著しく低下するので好ましくない。
【0061】
本発明の人工肛門バッグ用フィルムを得る方法は、特に限定されるものではないが、一般のポリオレフィン等の分野において実施されている成形方法、例えばTダイ成形、インフレーション成形、共押出成形、ドライラミネート成形等を採用することができ、特に共押出成形が好適である。
【0062】
以上のような人工肛門バッグ用フィルムを用いて袋状に加工することで、柔軟性および臭気バリア性に優れる人工肛門バッグを製造することができる。
【0063】
【実施例】
以下実施例により本発明をさらに説明する。
実施例によって得られたフィルムの評価は、以下の方法に従って行った。
【0064】
・フィルム中の分散粒子の粒子断面の平均径
フィルムの押出方向と垂直な面のサンプルの破断面を走査型電子顕微鏡で観察し、倍率3000〜20000倍の写真撮影を行った。得られた写真中の分散粒子断面をケイオー電子工業製画像計測ツールシステムASPECTを用いてその輪郭を特定し、特定された粒子の輪郭の長径および短径の平均の値をその粒子の径とし、得られた各粒子の径の値の平均値を粒子断面の平均径として求めた。測定する分散粒子の数は30個以上になるようにした。分散粒子の観察に際しては、配合樹脂の種類により観察が困難な場合には必要に応じて、ペレット破断面をミクロトームで平滑にしたり、分散粒子をキシレン等により溶解して分散粒子の溶解後の痕跡を観察する方法を採用したりした。
【0065】
・酸素透過量
積層フィルムを20℃−85%RHに湿度調整した後、バリア測定装置(モダンコントロール社製、OX−TRAN−10/50A)にて、底部の積層フィルムの酸素透過量を測定した。
【0066】
・耐ピンホール性
ゲルボフレックステスター(理学工業(株)製)を用いて測定した。ゲルボフレックステスターとは、12in×8inの試料片を直径3.5inの円筒状となし、両端を把持し、初期把持間隔7in、最大屈曲時の把持間隔1in、ストロークの最初の3.5inで、440℃の角度のひねりを加え、その後の2.5inは直線水平動である動作のくり返し往復動を40回/分の速さで20℃、相対湿度65%の条件下に行うものであり、耐ピンホール性とは、ゲルボフレックステスターにより1個のピンホールが発生するまでの往復回数を示す。
【0067】
・臭気バリア性、柔軟性、装着感、ノイズ性
140mm×300mmの多層フィルム2枚を重ねて、140mmの一辺と300mmの二辺を幅5mmで袋状に熱シールし、人工肛門バッグに近い形態で行った。臭気バリア性の評価は20℃、相対湿度65%にコントロールした部屋で袋の中に臭気物質として1gのスカトールを入れ、熱シールにより袋を密閉した後、内容量500mlの広口ビンに袋を入れ栓をし24時間放置した後の広口ビン内の臭気を官能検査により5点法にて評価した。また、柔軟性、装着感、ノイズ性は実際に袋を腹部に装着し、以下のように5点法で評価した。
臭気バリア性:全く臭はない(5点)〜やや臭う(3点)〜臭う(1点)
柔軟性:極めてしなやか(5点)〜しなやか(3点)〜固い(1点)
装着感:違和感小(5点)〜やや違和感あり(3点)〜気持ち悪い(1点)
ノイズ:ほとんどなし(5点)〜する(3点)〜非常に大きい(1点)
【0068】
【実施例】
次に、本発明を、合成例、実施例、及び比較例にてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0069】
実施例1
酢酸ナトリウムをナトリウム元素の重量換算で65ppm、リン化合物をリン酸塩の形でリン原子当たりの重量で100ppm含有するEVOH{エチレン量32モル%、ケン化度99.6%、MFR=3.1g/10分(210℃、2160g荷重)}90重量%と、エチレン−メタクリル酸共重合体(以下EMAAと略する){メタクリル酸(MAA)含有量:9重量%、三井デュポンケミカル「ニュクレル0903HC、MFR=5.7g/10分(210℃、2160g荷重)}10重量%とをドライブレンドした後、ニーディングディスクを有する30mmφの2軸押出機(日本製鋼所製TEX30:L/D=30)を用いてシリンダー温度をフィード下部を190℃、混練部及びノズル付近を210℃に設定し、押出機のローターの回転数は610rpm、フィーダーのモーター回転数250rpmで、溶融混練しペレット化を行った。この時の押出量が1時間当たり20kgでシリンダー内部の樹脂圧力は20kg/cm2であった。このときの比エネルギーは0.6kWh/kgであった。
【0070】
さらに、このペレタイズされた樹脂組成物樹脂組成物層とし、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE){MFR=2.1g/10分(210℃、2160g荷重)、三井石油化学製「ウルトゼックス3520L」}をヒートシール層とし、無水マレイン酸変性ポリエチレン{MFR=3.3g/10分(210℃、2160g荷重)、三井石油化学製「アドマーSF600」}を接着剤(AD)層とし、T型ダイを備えた共押出機にて3種5層(LLDPE/AD/樹脂組成物層/AD/LLDPE=30μ/10μ/20μ/10μ/30μ)で全体厚みが100μmの多層フィルムを得た。樹脂組成物層中の分散樹脂粒子断面平均径、酸素透過量および耐ピンホール性を評価した。また、得られたフィルムから袋を作成し臭気透過性、柔軟性、装着感、ノイズ性について評価した。結果を表1および表2に示す。
【0071】
比較例1
実施例1において、樹脂組成物層のかわりに実施例1で用いたのと同じEVOH樹脂を単独で用いた以外は、実施例1に同様にしてサンプルを作製し試験をおこなった。評価結果は表1および表2にまとめて示す。
【0072】
実施例2、3、比較例2
実施例1において使用したものと同じEVOHとEMAAを用い、その混合比をEVOH95重量%、EMAA5重量%(実施例2)、EVOH80重量%、EMAA20重量%(実施例3)、EVOH50重量%、EMAA50重量%(比較例2)に変更した以外は、実施例1に同様にしてサンプルを作製し試験をおこなった。評価結果は表1および表2にまとめて示す。
【0073】
実施例4、5
実施例1において使用したEVOHをエチレン含量の異なるEVOH{エチレン含量27モル%、ケン化度99.6%、MFR=3.9g/10分(210℃、2160g荷重)}(実施例4)、{エチレン含量44モル%、ケン化度99.7%、MFR=3.5g/10分(210℃、2160g荷重)}(実施例5) に変更した以外は実施例1に同様にしてサンプルを作製し試験をおこなった。評価結果は表1および表2にまとめて示す。
【0074】
実施例6〜9
実施例1において使用したEVOH90重量%の代わりに、以下に示す割合で配合した2種類のEVOHを用いた以外は実施例1に同様にしてサンプルを作製し試験をおこなった。評価結果は表1および表2にまとめて示す。
実施例6;
エチレン含量32モル%、ケン化度99.6%、MFR=3.1g/10分(210℃、2160g荷重)のEVOH85重量部
エチレン含量51モル%、ケン化度96%、MFR=15.1g/10分(210℃、2160g荷重)のEVOH5重量部
実施例7;
エチレン含量38モル%、ケン化度99.7%、MFR=3.8g/10分(210℃、2160g荷重)のEVOH85重量部
エチレン含量51モル%、ケン化度96%、MFR=15.1g/10分(210℃、2160g荷重)のEVOH5重量部
実施例8;
エチレン含量38モル%、ケン化度99.7%、MFR=3.8g/10分(210℃、2160g荷重)のEVOH85重量部
エチレン含量44モル%、ケン化度99.7%、MFR=3.5g/10分(210℃、2160g荷重)のEVOH5重量部
実施例9;
エチレン含量32モル%、ケン化度99.6%、MFR=3.1g/10分(210℃、2160g荷重)のEVOH50重量部
エチレン含量51モル%、ケン化度96%、MFR=15.1g/10分(210℃、2160g荷重)のEVOH40重量部
【0075】
実施例10〜12、比較例3〜8
実施例1において用いたEMAA{メタクリル酸含有量:9重量%、三井デュポンケミカル「ニュクレル0903HC、MFR=5.7g/10分(210℃、2160g荷重)}のかわりに、以下に示す樹脂を用いた以外は実施例1に同様にしてサンプルを作製し試験をおこなった。評価結果は表1および表2にまとめて示す。
実施例10;EMAA{メタクリル酸含有量:4重量%、三井デュポンケミカル「ニュクレルAN4214C」、MFR=12.2g/10分(210℃、2160g荷重)}
実施例11;EMAA{メタクリル酸含有量;12重量%、三井デュポンケミカル「ニュクレル1207C」、MFR=13.4g/10分(210℃、2160g荷重)}
実施例12;エチレン−アクリル酸共重合体(以下EAAと略する){アクリル酸(AA)含有量:9.0重量%、ダウケミカル「プリマコール1430、MFR=8.7g/10分(210℃、2160g荷重)}
比較例3;エチレンーメチルメタクリレート共重合体{メチルメタアクリル酸(MMA)含有量:18重量%、住友化学「アクリフトWH303、MFR=12.1g/10分(210℃、2160g荷重)}
比較例4;無水マレイン酸変性ポリエチレン{MFR=3.6g/10分(210℃、2160g荷重)、三井石油化学製「アドマーNF500」}
比較例5;アイオノマー{三井デュポンケミカル「ハイミラン1652、MFR=7.6g/10分(210℃、2160g荷重)}
比較例6;LDPE{三井石油化学製「ミラソンB324、MFR=3.4g/10分(210℃、2160g荷重)}
比較例7;ナイロン{ナイロン6(PA−6){MFR=7.2g/10分(230℃、2160g荷重)、宇部興産製「UBEナイロン1022B」}
比較例8;エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物{東ソー製「メルセンH6051」、エチレン含量89モル%、ケン化度97%、MFR=12.1g/10分(230℃、2160g荷重)}
【0076】
実施例13〜16
以下に示すEVOHとエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体を組み合わせて用いた以外は実施例1と同様にしてサンプルを作製し試験をおこなった。このとき、用いるEVOHとエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のMFRを変更することで、その比MFR(A)/MFR(B)を調整した。評価結果は表1および表2にまとめて示す。
実施例13
EVOH{エチレン含量32モル%、ケン化度99.6%、MFR=1.2g/10分(210℃、2160g荷重)}、EMAA{メタクリル酸含有量:9重量%、三井デュポンケミカル「ニュクレルNC0908HG」、MFR=15.3g/10分(210℃、2160g荷重)}
実施例14
EVOH{エチレン含量32モル%、ケン化度99.6%、MFR=33.0g/10分(210℃、2160g荷重)}、EMAA{メタクリル酸含有量:9重量%、三井デュポンケミカル「ニュクレル0903HC、MFR=5.7g/10分(210℃、2160g荷重)}
実施例15
EVOH{エチレン含量32モル%、ケン化度99.6%、MFR=1.2g/10分(210℃、2160g荷重)}、EAA{アクリル酸含有量:9重量%、ダウケミカル「プリマコール3440」、MFR=18.0g/10分(210℃、2160g荷重)}
実施例16
EVOH{エチレン含量32モル%、ケン化度99.6%、MFR=33.0g/10分(210℃、2160g荷重)}、EAA{アクリル酸含有量:9重量%、ダウケミカル「プリマコール1420」、MFR=5.6g/10分(210℃、2160g荷重)}
【0077】
実施例17
実施例1において、EVOHとEMAAの溶融混練を2軸押出し機を用いる替わりに、1軸押出し機(プラコー製GT−40−A:L/D=26、フルフライトタイプスクリュー使用)を用いてシリンダー温度をフィード下部で190℃、混練部及びノズル付近で210℃に設定し、押出機のローターの回転数は1500rpmで、溶融混練しペレット化を行い、この時の押出量が1時間当たり20kgでシリンダー内部の樹脂圧力は8kg/cm2で、このときの比エネルギーは0.1KWh/Kgであった以外は、実施例1に同様にしてサンプルを作製し試験をおこなった。評価結果は表1および表2にまとめて示す。
【0078】
実施例18
スクリューをフルフライトタイプスクリューから、先端に混練部を有したタイプのスクリューに交換した以外は実施例17と同様にしてサンプルを作製し試験をおこなった。このとき、シリンダー内部の樹脂圧力は10kg/cm2で、このときの比エネルギーは0.15KWh/Kgであった。評価結果は表1および表2にまとめて示す。
【0079】
実施例19
実施例1において使用したものと同じEVOHとEMAAを用い、それらの混合比も同様とし、これに、可塑剤としてグリセリンモノステアレートを8重量%添加変更した以外は、実施例1に同様にしてサンプルを作製し試験をおこなった。評価結果は表1および表2にまとめて示す。
【0080】
実施例20
実施例6において使用したものと同じ2種類のEVOHとEMAAを用い、それらの混合比も同様とし、これに、可塑剤としてグリセリンモノステアレートを8重量%添加変更した以外は、実施例1に同様にしてサンプルを作製し試験をおこなった。評価結果は表1および表2にまとめて示す。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】
【発明の効果】
以上のように、本発明の人工肛門バッグは、臭気バリヤー性が良好な上、柔軟性があり、また耐ピンホール性が優れているため、良好な装着感を実現するものである。
【産業上の利用分野】
本発明は、人工肛門から排出される汚物処理用バッグに用いられる、柔軟性および臭気バリア性に優れるフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、人工肛門バッグ用フィルムとしては、低密度ポリエチレン、軟質ポリ塩化ビニルなどの単層フィルムが用いられてきた。しかし、ポリエチレン、軟質塩化ビニルなどの単層フィルムでは臭気バリアー性が十分ではなく、装着中に内容物の臭気が外部に漏れ、本人に不快感を与える。このため内容物の臭気を外部に漏らさない臭気バリアー性のあるフィルムが望まれている。
【0003】
しかし、臭気バリアー層として、ポリ塩化ビニリデン系樹脂または、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(以下EVOHと記す)を使用した多層フィルムは臭気バリアー性は十分満足されるレベルであるが、フィルムが固くなり、フィルムが肌に触れたときに不快感を与えたり、装着中のフィルムの屈曲、擦過により音が発生し、他人にバックを身につけていることがわかるなどの問題が発生する。
このため、ポリ塩化ビニリデン系樹脂を臭気バリアー層として用いる時は、通常塩化ビニリデンと共重合させる塩化ビニル、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、アクリル酸等の共重合比を調整することによって柔軟性を付与したり、更に可塑剤を添加する場合もある。
【0004】
また、表面樹脂層には塩素化ポリエチレンをブレンドしたり、またはエチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体などの柔軟な樹脂を用いる必要がある。(特表昭57−501631号、特開昭60−137368号)。
【0005】
臭気バリアー層としてEVOHを用いる場合はエチレン−酢酸ビニル共重合体部分ケン化物をブレンドし、表面層にエチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体などの柔軟な樹脂を用いた三層共押出多層フィルムを用いる方法(実開昭60−175248号)が知られている。
また、特公昭51−41157号、特公昭57−14382号にはEVOHにエチレン系共重合樹脂をブレンドすることによりEVOHにポリオレフィンとの共押出接着性が付与され、さらに耐落下衝撃性が改善されることが記載されているが、人工肛門用バッグフィルムとして有用であることは記載されていない。
【0006】
ポリ塩化ビニリデン系樹脂は熱安定性の面から溶融製膜するのに特殊な装置や技術が必要であり、また人工肛門バッグ用フィルムとして用いるには、前記特表昭57−501631号、特開昭60−137368号に見られるような共重合や可塑剤のブレンドあるいは特殊な樹脂の組み合わせで多層フィルムを得る必要がある。これらの構成のフィルムは製造上の問題があるためか、柔軟性が不足なためかは不明であるが現在市販されている人工肛門バッグには当該組成の多層フィルムは使用されていない。
【0007】
現在、臭気バリアー性の高い人工肛門バッグ用フィルムにはポリエチレンあるいはエチレン−酢酸ビニル共重合体を内外層とし、ポリ塩化ビニリデン系樹脂を中間層とする多層フィルムが使用されているが、柔軟性、装着感などが十分満足されていない。一方、EVOHを臭気バリアー材として使用することも考えられるが、実際これを使用して人工肛門バッグを作製すると、装着感、ノイズ性が極めて悪く実用に耐え難いものであった。
【0008】
この問題を解決するために、実開昭60−175248号に記載されているようにEVOHにエチレン−酢酸ビニル共重合体部分ケン化物をブレンドする方法、あるいは特開昭64−70065号に記載されているようにEVOHに酢酸ビニル、アクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルを含有するエチレン系共重合体をブレンドする方法も提案されているが、EVOH単独で用いる場合に比べれば柔軟性はある程度改善されものの、人工肛門バッグ用フィルムとしては満足できる柔軟性は無く、装着感も劣り、柔軟性を高めるために、エチレン−酢酸ビニル共重合体部分ケン化物のブレンド率を増加させると臭気バリアー性が不足し、実用的な段階に達していない。こうしてEVOHを臭気バリアー材として用いた人工肛門バッグは実用化されていないのが現状であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、人工肛門バッグの防臭性を高めるためのバリア材としてはポリ塩化ビニリデン系、EVOH系ともに、臭気バリアー性と柔軟性が両立していないのが現状である。本発明の目的は、上記の様な臭気バリアー性と柔軟性にすぐれた人工肛門バッグを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、エチレン含量20〜60モル%、ケン化度90%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体80〜95重量%および(メタ)アクリル酸含量1〜30重量%のエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体20〜5重量%からなり、エチレン−ビニルアルコール共重合体のマトリックス中にエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体粒子が分散している樹脂組成物を中間層とし、熱可塑性樹脂からなる内外層を有する人工肛門バッグ用フィルムを提供することによって達成される。
【0011】
このとき、エチレン−ビニルアルコール共重合体が、エチレン含量の異なる2種類のエチレン−ビニルアルコール共重合体(a)および(b)の混合物からなり、(a)のエチレン含量が20〜45モル%、(b)のエチレン含量が45〜65モル%、(a)と(b)のエチレン含量の差が8モル%以上であり、かつその配合重量比{(a)/(b)}が2/1〜50/1であることによって、本発明の目的はより効果的に達成される。
【0012】
また、エチレン−ビニルアルコール共重合体のMFR(Ma)とエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のMFR(Mb)の比(Ma/Mb)が0.1〜5.0であること、あるいは樹脂組成物が可塑剤を2〜15重量%含むことも好適である。
【0013】
さらに、エチレン−ビニルアルコール共重合体のマトリックス中に分散しているエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体粒子がフィルム面に平行な一軸方向に引き延ばされた円柱状の形状で分散しており、その一軸方向に垂直な面で切断したときの粒子断面の平均径が0.2〜1.3μmであることも好適である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明のEVOHは、エチレンとビニルエステルからなる共重合体をアルカリ触媒等を用いてケン化して得られる。
ビニルエステルとしては酢酸ビニルが代表的なものとしてあげられるが、その他の脂肪酸ビニルエステル(プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなど)も使用できる。
【0015】
本発明におけるEVOHのエチレン含量は20〜60モル%であり、好適には25〜50モル%、より好適には25〜45モル%である。なおここで、EVOHがエチレン含量の異なる2種類以上のEVOHの配合物からなる場合には、配合重量比から算出される平均値をエチレン含量とする。
エチレン含量が20モル%未満では、高湿度下でのガスバリア性が低下し溶融成形性も悪化する。また60モル%を越えると十分なガスバリア性が得られない。
【0016】
また、本発明のEVOHのビニルエステル成分のケン化度は90%以上であり、好適には95%以上、より好適には98%以上である。なおここで、EVOHがケン化度の異なる2種類以上のEVOHの配合物からなる場合には、配合重量比から算出される平均値をケン化度とする。
ケン化度が90モル%未満では、高湿度時のガスバリア性が低下するだけでなく、EVOHの熱安定性が悪化し、成形物にゲルが発生しやすくなる。
【0017】
またEVOHには、本発明の目的が阻害されない範囲で他の単量体を少量共重合することもできる。共重合できる単量体の例としては、プロピレン、ブテン、イソブテン、4−メチルペンテン−1、ヘキセン、オクテンなどのα−オレフィン、イタコン酸、メタクリル酸、アクリル酸、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸、その塩、その部分または完全エステル、そのニトリル、そのアミド、その無水物、ビニルトリメトキシシランなどのビニルシラン系化合物、不飽和スルホン酸、その塩、アルキルチオール類、ビニルピロリドンなどがあげられる。
【0018】
なかでも、EVOHに共重合成分としてビニルシラン化合物0.0002〜0.2モル%を含有する場合は、共押し出しする際の基材樹脂との溶融粘性の整合性が改善され、均質な共押し出し多層パイプの製造が可能なだけでなく、EVOH同士をブレンドに使用する際の分散性が改善され成形性などの改善の面でも有効である。ここで、ビニルシラン系化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルメトキシシラン等が挙げられる。なかでも、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランが好適に用いられる。
【0019】
本発明のEVOH中のリン化合物濃度は、リン元素重量換算で1〜200ppm、好適には2〜150ppm、最適には5〜100ppmの範囲であることが成形性や熱安定性の点から好ましい。
【0020】
さらにナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオンなどのアルカリ金属イオンを金属重量換算でEVOHに対し10〜500ppm含有させることも本発明の効果を増進させ、層間接着性や相溶性の改善のために効果的である。アルカリ金属化合物としては、一価金属の脂肪族カルボン酸塩、芳香族カルボン酸塩、リン酸塩、金属錯体等があげられ、具体的には、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩等があげられ、好適には、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウムがあげられる。
【0021】
また、本発明に用いるEVOHの好適なメルトフローレート(MFR)(210℃、2160g荷重下で測定した値)は、好適には0.1〜50g/10分、最適には0.5〜20g/10分である。本発明においてEVOHは、エチレン含有量および/またはケン化度の異なる1種あるいはそれ以上のEVOHをブレンドして用いる事がより好適な場合もある。
【0022】
本発明で用いるEVOHとしては、エチレン含量および/またはケン化度の異なる2種以上のEVOHをブレンドして用いる事が好適である。
特に、EVOHが、エチレン含量の異なる2種類のEVOH(a)および(b)の混合物からなり、(a)のエチレン含量が20〜45モル%、(b)のエチレン含量が45〜65モル%、(a)と(b)のエチレン含量の差が8モル%以上であり、かつその配合重量比{(a)/(b)}が2/1〜50/1であることが、良好なガスバリア性と柔軟性の両立のために好ましい。
【0023】
このとき、EVOH(a)のエチレン含量は20〜45モル%であることが好ましい。より好適には25〜42モル%であり、さらに好適には30〜40モル%である。EVOH(a)のエチレン含量が20モル%未満では、柔軟性が悪化し、45モル%を超えるとガスバリア性が低下する。
【0024】
また、 EVOH(b)のエチレン含量は45〜65モル%であることが好ましい。より好適には47〜62モル%であり、さらに好適には50〜60モル%である。EVOH(b)のエチレン含量がかかる範囲にあることで、柔軟性が十分に改善される。
【0025】
さらに、 EVOH(a)と(b)のエチレン含量の差は8モル%以上であることが好ましい。より好適には12モル%以上であり、さらに好適には15モル%以上である。EVOH(a)のエチレン含量の差が8モル%未満では、柔軟性の改善効果が小さい。
【0026】
またEVOH(a)および(b)の配合重量比{(a)/(b)}が2/1〜50/1であることが好ましい。より好適には3/1〜40/1であり、さらに好適には4/1〜30/1である。配合重量比が2/1未満では、ガスバリア性が低下し、50/1を超えると柔軟性の改善効果が小さい。
【0027】
本発明で用いられるエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体とは、エチレンを主成分としアクリル酸またはメタクリル酸を共重合した重合体のことをいう。本発明においては共重合体中のカルボキシル基がナトリウムや亜鉛などの金属の塩の形で存在している、いわゆるアイオノマーを含むものではない。かかるアイオノマーを用いた場合に本願発明の目的が達成されないことは、理由は明らかでないが、後述する比較例に示したとおりである。
【0028】
エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体中の(メタ)アクリル酸含量は、1〜30重量%であり、好適には2〜25重量%であり、より好適には3〜20重量%である。(メタ)アクリル酸含量が1重量%未満である場合は樹脂粒子の分散が不良となり、剛性が高くなり屈曲によりピンホールを生じやすい。また30重量%を超える場合には臭気バリア性が不足する。
【0029】
また、本発明に用いるエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の好適なメルトフローレート(MFR)(210℃、2160g荷重下で測定した値)は、好適には0.1〜80g/10分、最適には0.5〜50g/10分である。本発明においてエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体は、(メタ)アクリル酸含量および/またはMFRの異なる2種あるいはそれ以上のエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体をブレンドして用いることもできる。
【0030】
本発明の樹脂組成物におけるEVOHの含有量は80〜95重量%である。またエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の含有量は5〜20重量%である。エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の配合比が1重量%より少ない場合には、屈曲による、音の発生、クラック、装着時の不快感を生じる問題がある。また、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の配合比が40重量%より多い場合には、臭気バリア性が著しく低下する。
【0031】
本発明の樹脂組成物は、EVOHのマトリックス中にエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体粒子が分散しているものである。かかる分散形態を有することで、良好なガスバリア性、力学特性を保有することができる。エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のマトリックス中にEVOHが分散していたり、双方の樹脂が連続状につながっているような形態の時には臭気バリア性の低下が著しい。
【0032】
本発明に用いるEVOHとエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のメルトフローレート(MFR)(210℃、2160g荷重下で測定した値)比としては、EVOHのMFR(Ma)とエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のMFR(Mb)の比(Ma/Mb)が0.1〜5.0であることが好ましく、より好適には0.15〜3.0、最適には0.2〜2.0である。かかる範囲のMFRの比の樹脂を組み合わせることによって、良好に分散され、本発明の目的を達成することができる。
【0033】
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を増進させ、また溶融安定性等を改善するためにハイドロタルサイト系化合物、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系熱安定剤、高級脂肪族カルボン酸の金属塩(たとえば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等)の一種または二種以上を樹脂組成物に対し0.01〜1重量%添加することは好適である。
【0034】
また本発明の樹脂組成物に可塑剤を2〜15重量%添加することは、柔軟性の向上と屈曲時の音の発生の防止の点から好ましい。
添加する可塑剤の種類は特に限定されるものではなく、高級脂肪族アルコール、グリセリン、グリコール等に代表されるアルコール類;高級脂肪族カルボン酸に代表されるカルボン酸類;脂肪族アルコールのフタル酸エステルで代表される芳香族エステル類;多価アルコールと高級脂肪酸からなるエステルを代表とする脂肪族エステル類;芳香族アルコールあるいは脂肪族アルコールのリン酸エステルに代表されるリン酸エステル類等各種の可塑剤を用いることができる。
【0035】
なかでも好適なものとして、多価アルコール(2価、3価あるいはそれ以上の多価アルコール)と高級脂肪酸(炭素数8以上、好適には8〜30の高級脂肪酸)とのモノエステル、ジエステル、あるいはそれ以上の多価エステルが挙げられる。
その例として、ステアリン酸エステルとしてはグリセリンモノステアレート、グリセリンモノ12−ヒドロキシステアレート、グリセリンジステアレート、ジグリセリンモノステアレート、テトラグリセリンモノステアレート;ラウリン酸エステルとしてはグリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノラウレート、テトラグリセリンモノラウレートなどが例示される。それ以外の脂肪族エステルとしてはポリプロピレンアジペート、ジイソデシルアジペート、ビス(2−メチルヘキシル)アジペート、ジカプリルアジペート、ジイソオクチルアジペート、オクチルデシルアジペート、イソオクチルイソデシルアジペート、ジブチルフマレート、ジオクチルフマレート、トリエチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリブチルシトレートなどを挙げることができる。
【0036】
好ましい可塑剤の添加量は、2〜15重量%であり、より好適には4〜10重量%である。可塑剤の量がかかる範囲より多すぎる場合にはガスバリア性が低下し、少なすぎる場合には柔軟性の改善効果が充分でない。
【0037】
また、本発明の樹脂組成物に必要に応じて各種の添加剤を配合することもできる。このような添加剤の例としては、酸化防止剤、可塑剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤、フィラー、あるいは他の高分子化合物を挙げることができ、これらを本発明の作用効果が阻害されない範囲でブレンドすることができる。添加剤の具体的な例としては次のようなものが挙げられる。
【0038】
酸化防止剤:2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4,4’−チオビス−(6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,4’−チオビス−(6−t−ブチルフェノール)等。
【0039】
紫外線吸収剤:エチレン−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等。
【0040】
可塑剤:フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル、ワックス、流動パラフィン、リン酸エステル等。
帯電防止剤:ペンタエリスリットモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、硫酸化ポリオレフィン類、ポリエチレンオキシド、カーボワックス等。
滑剤:エチレンビスステアロイルアミド、ブチルステアレート等。
着色剤:カーボンブラック、フタロシアニン、キナクリドン、インドリン、アゾ系顔料、ベンガラ等。
充填剤:グラスファイバー、アスベスト、バラストナイト、ケイ酸カルシウム等。
【0041】
また、他の多くの高分子化合物を本発明の作用効果が阻害されない程度にブレンドすることもできる。
【0042】
上記フィルムにおける樹脂組成物層の各樹脂の分散状態は、EVOHのマトリックス中に分散しているエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体粒子がフィルム面に平行な一軸方向に引き延ばされた円柱状に分散分散されていることが好ましい。ここで、一軸方向とはフィルムの押出方向のことである。このとき、その軸方向に垂直な面で切断したときの粒子断面の平均径が0.2〜1.2μmであることが好ましく、0.3〜1.0μmであることがより好ましい。
かかる粒子断面の平均径が1.2μmより大きい場合には、組成物中での不均一な分散が発生しやすく、フィルム屈曲時にクラックを生じるとともに臭気バリア性が低下する。また粒子断面の平均径が0.2μm未満の場合、分散粒子を含有する効果が組成物の耐屈曲性に生かされない。
【0043】
本発明でいう粒子断面の平均径の測定方法としては、以下の手順が示される。まず、フィルムの押出方向と垂直な面のサンプルの破断面を走査型電子顕微鏡、あるいは透過型電子顕微鏡観察等によって撮影する。続いてこれら電子顕微鏡観察等によって得られた写真を画像処理によりその輪郭を特定し、特定された粒子の輪郭の長径および短径の平均の値をその粒子の径とし、得られた各粒子の径の平均値を粒子断面の平均径として求めた。
【0044】
このような分散形態を得るために、本発明における混練操作は重要である。高度な分散を有する組成物を得るための混練機としては、連続式インテンシブミキサー、ニーディングタイプ二軸押出機(同方向、あるいは異方向)などの連続型混練機が最適であるが、バンバリーミキサー、インテンシブミキサー、加圧ニーダーなどのバッチ型混練機を用いることもできる。また別の連続混練装置としては石臼のような摩砕機構を有する回転円板を使用したもの、たとえば(株)KCK製のKCK混練押出機を用いることもできる。混練機として通常に使用されるもののなかには、一軸押出機に混練部(ダルメージ、CTM等)を設けたもの、あるいはブラベンダーミキサーなどの簡易型の混練機もあげることができる。
【0045】
この中で、本発明の目的に最も好ましいものとしては連続式インテンシブミキサーを挙げることができる。市販されている機種としてはFarrel社製FCM、(株)日本製鋼所製CIMあるいは(株)神戸製鋼所製KCM、LCMあるいはACM等がある。実際にはこれらの混練機の下に一軸押出機を有する、混練と押出ペレット化を同時に実施する装置を採用するのが好ましい。また、ニーディングディスクあるいは混練用ロータを有する二軸混練押出機、例えば(株)日本製鋼所製のTEX、Werner&Pfleiderer社のZSK、東芝機械(株)製のTEM、池貝鉄工(株)製のPCM等も本発明の混練の目的に用いられる。
【0046】
これらの連続型混練機を用いるにあたっては、ロータ、ディスクの形状が重要な役割を果たす。特にミキシングチャンバとローターチップあるいはディスクチップとの隙間(チップクリアランス)は重要であり、狭すぎても広すぎても本発明の良好な分散性を有する組成物は得られない。チップクリアランスとしては1〜5mmが最適である。
【0047】
また、本発明の良好な分散性を有する組成物を得るためには混練機の比エネルギーとして0.1kWh/kg以上、望ましくは0.2〜0.8kWh/kgで混練することが最良であることが判明した。
比エネルギーは混練に使用されるエネルギー(消費電力量;kW)を1時間あたりの混練処理量(kg)で除して求められるものであり、その単位はkWh/kgである。比エネルギーが通常の混練で採用される値より高い値で混練することが本発明の組成物を得るためには必要であり、比エネルギー0.1kWh/kg以上とするためには、単に混練機の回転数をあげるだけでは不十分で、混練中の組成物をジャケットなどにより冷却して温度を下げ、粘度を上昇させることが好ましい。粘度を低くした状態で混練したのでは本発明の目的とする組成物を得ることは難しい。したがって、混練温度は混練部の出口の排出樹脂温度でEVOHの融点〜融点+40℃の範囲であることが効果的である。
【0048】
また、混練機のローターの回転数は100〜1200rpm、望ましくは150〜1000rpm、さらに望ましくは200〜800rpmの範囲が採用される。混練機チャンバー内径(D)は30mm以上、望ましくは50〜400mmの範囲のものが挙げられる。混練機のチャンバー長さ(L)との比L/Dは4〜30が好適である。また混練機はひとつでもよいし、また2以上を連結して用いることもできる。
【0049】
混練時間は長い方が良い結果を得られるが、EVOHの熱劣化変質あるいは経済性の点から10〜600秒、好適には15〜200秒の範囲であり、最適には15〜150秒である。
【0050】
本発明の人工肛門バッグ用フィルムは、上記樹脂組成物よりなる層を中間層とし、熱可塑性樹脂からなる内外層を有するものである。
【0051】
樹脂組成物層の両側に内外層を有することが好ましいのは、樹脂組成物層を物理的に保護し、強度等を改善することができるのと同時に、樹脂組成物層が吸湿してガスバリア性が低下するのを防ぐこともできるからである。また、内外層として用いることのできる樹脂は特に限定されるものではなく、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート等)、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂等があげられ、適当に選択できる。
【0052】
また上記内外層の少なくとも片方がヒートシール可能な熱可塑性樹脂層であるのが好ましい。これは、ヒートシール操作によって人工肛門バッグを容易に製造できるからである。
【0053】
かかるヒートシール性を有する内外層に用いられる樹脂としては、樹脂組成物層中に用いられるEVOH樹脂の融点よりも低い融点あるいは軟化点を有する樹脂が好ましく、特にポリオレフィン系樹脂が好ましい。用いられるポリオレフィン系樹脂としては、高密度もしくは低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1などの単独重合体、およびエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテンなどから選ばれたα−オレフィン同士の共重合体あるいはα−オレフィンと他の共重合体成分との共重合体があげられる。これらα−オレフィン以外の共重合成分としては、ジオレフィン、N−ビニルカルバゾール、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、ビニルエーテル、などのビニル化合物、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸、そのエステルおよびその酸無水物あるいはこれらにヒドロキシル基またはエポキシ基を付加したものなどがあげられる。例えばグラフト可能なモノマーとポリオレフィンとの共重合体やα−オレフィン/α,β−不飽和カルボン酸共重合体とイオン性金属化合物との反応物であるアイオノマー樹脂などの各種の共重合体などを用いることもできる。なかでも好適なものとして、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)が好適である。これらのポリオレフィン系樹脂はそれぞれ単独で用いることもできるし、また2種以上を混合して用いることもできる。
【0054】
また、樹脂組成物層と内外層との間の接着性を確保するために接着性樹脂層を設けることもできる。接着性樹脂層に使用される樹脂は特に限定されるものではないが、ポリウレタン系、ポリエステル系一液型あるいは二液型硬化性接着剤、不飽和カルボン酸またはその無水物(無水マレイン酸など)をオレフィン系重合体または共重合体に共重合またはグラフト変性したもの(カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂)が、好適に用いられる。このような接着性樹脂層を設けることにより、層間接着性の優れた人工肛門バッグ用フィルムを得ることができる。
【0055】
これらのうちでも、接着性樹脂がカルボン酸変性ポリオレフィン樹脂であることが、EVOHを含む樹脂組成物層あるいは共重合ポリプロピレンとの接着性、あるいはスクラップ回収時の相溶性の観点からより好ましい。かかるカルボン酸変性ポリエチレン系樹脂の例としては、ポリエチレン{低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)}、ポリプロピレン、共重合ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル(メチルエステル、またはエチルエステル)共重合体等をカルボン酸変性したものが挙げられる。
【0056】
本発明の人工肛門バッグ用フィルムの具体的構成例は、樹脂組成物層をB、熱可塑性樹脂層をTとしたときに、T/B/T、T/B/T/B、T/B/T/B/T等の構成が挙げられる。
このとき、熱可塑性樹脂層のTの一層または全層がヒートシール性を有することが好ましく、これらの層間に接着性樹脂層を介在させてもよい。
【0057】
また、本発明の人工肛門バッグ用フィルムを構成する樹脂組成物層、内外層あるいは接着性樹脂層の少なくとも一層に脱臭剤を配合してもよい。かかる脱臭剤の配合により、臭気バリア性が改善される。
【0058】
配合される脱臭剤は、各種悪臭成分、例えばアンモニア、アミン、硫化水素、メルカプタン、スルフィドに対し脱臭効果のある物質であり、その種類は特に制限されるものではないが、有機酸類、鉄(II)化合物、亜鉛化合物、アルミニウム化合物、ケイ素化合物、鉄(II)化合物−有機酸組成物が挙げられる。これらの脱臭剤は単独で用いることもできるし、複数種の混合物として用いることもできる。
【0059】
かかる人工肛門バッグ用フィルムの厚み構成は特に限定されるものではないが、全体厚みが80〜200μmであることが好ましく、より好ましくは100〜150μmである。全体厚みが200μmを超える場合には、フィルム全体の剛性が高く、柔軟性が低下するとともに、必要以上に容器の重量が大きくなり、コストの点から好ましくない。また全体厚みが80μm未満では、力学的強度が低くて破れやすく、しかもその部分の樹脂組成物層にピンホールが発生しやすいので臭気バリア性が悪化する。
【0060】
また、樹脂組成物層の厚みは5〜35μmであることが好ましく、より好ましくは10〜25μmである。樹脂組成物層の厚みが35μmを超える場合にはコストが上昇する上に屈曲によりピンホールが発生しやすく好ましくない。逆に樹脂組成物層の厚みが5μm以下では、バリア性が著しく低下するので好ましくない。
【0061】
本発明の人工肛門バッグ用フィルムを得る方法は、特に限定されるものではないが、一般のポリオレフィン等の分野において実施されている成形方法、例えばTダイ成形、インフレーション成形、共押出成形、ドライラミネート成形等を採用することができ、特に共押出成形が好適である。
【0062】
以上のような人工肛門バッグ用フィルムを用いて袋状に加工することで、柔軟性および臭気バリア性に優れる人工肛門バッグを製造することができる。
【0063】
【実施例】
以下実施例により本発明をさらに説明する。
実施例によって得られたフィルムの評価は、以下の方法に従って行った。
【0064】
・フィルム中の分散粒子の粒子断面の平均径
フィルムの押出方向と垂直な面のサンプルの破断面を走査型電子顕微鏡で観察し、倍率3000〜20000倍の写真撮影を行った。得られた写真中の分散粒子断面をケイオー電子工業製画像計測ツールシステムASPECTを用いてその輪郭を特定し、特定された粒子の輪郭の長径および短径の平均の値をその粒子の径とし、得られた各粒子の径の値の平均値を粒子断面の平均径として求めた。測定する分散粒子の数は30個以上になるようにした。分散粒子の観察に際しては、配合樹脂の種類により観察が困難な場合には必要に応じて、ペレット破断面をミクロトームで平滑にしたり、分散粒子をキシレン等により溶解して分散粒子の溶解後の痕跡を観察する方法を採用したりした。
【0065】
・酸素透過量
積層フィルムを20℃−85%RHに湿度調整した後、バリア測定装置(モダンコントロール社製、OX−TRAN−10/50A)にて、底部の積層フィルムの酸素透過量を測定した。
【0066】
・耐ピンホール性
ゲルボフレックステスター(理学工業(株)製)を用いて測定した。ゲルボフレックステスターとは、12in×8inの試料片を直径3.5inの円筒状となし、両端を把持し、初期把持間隔7in、最大屈曲時の把持間隔1in、ストロークの最初の3.5inで、440℃の角度のひねりを加え、その後の2.5inは直線水平動である動作のくり返し往復動を40回/分の速さで20℃、相対湿度65%の条件下に行うものであり、耐ピンホール性とは、ゲルボフレックステスターにより1個のピンホールが発生するまでの往復回数を示す。
【0067】
・臭気バリア性、柔軟性、装着感、ノイズ性
140mm×300mmの多層フィルム2枚を重ねて、140mmの一辺と300mmの二辺を幅5mmで袋状に熱シールし、人工肛門バッグに近い形態で行った。臭気バリア性の評価は20℃、相対湿度65%にコントロールした部屋で袋の中に臭気物質として1gのスカトールを入れ、熱シールにより袋を密閉した後、内容量500mlの広口ビンに袋を入れ栓をし24時間放置した後の広口ビン内の臭気を官能検査により5点法にて評価した。また、柔軟性、装着感、ノイズ性は実際に袋を腹部に装着し、以下のように5点法で評価した。
臭気バリア性:全く臭はない(5点)〜やや臭う(3点)〜臭う(1点)
柔軟性:極めてしなやか(5点)〜しなやか(3点)〜固い(1点)
装着感:違和感小(5点)〜やや違和感あり(3点)〜気持ち悪い(1点)
ノイズ:ほとんどなし(5点)〜する(3点)〜非常に大きい(1点)
【0068】
【実施例】
次に、本発明を、合成例、実施例、及び比較例にてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0069】
実施例1
酢酸ナトリウムをナトリウム元素の重量換算で65ppm、リン化合物をリン酸塩の形でリン原子当たりの重量で100ppm含有するEVOH{エチレン量32モル%、ケン化度99.6%、MFR=3.1g/10分(210℃、2160g荷重)}90重量%と、エチレン−メタクリル酸共重合体(以下EMAAと略する){メタクリル酸(MAA)含有量:9重量%、三井デュポンケミカル「ニュクレル0903HC、MFR=5.7g/10分(210℃、2160g荷重)}10重量%とをドライブレンドした後、ニーディングディスクを有する30mmφの2軸押出機(日本製鋼所製TEX30:L/D=30)を用いてシリンダー温度をフィード下部を190℃、混練部及びノズル付近を210℃に設定し、押出機のローターの回転数は610rpm、フィーダーのモーター回転数250rpmで、溶融混練しペレット化を行った。この時の押出量が1時間当たり20kgでシリンダー内部の樹脂圧力は20kg/cm2であった。このときの比エネルギーは0.6kWh/kgであった。
【0070】
さらに、このペレタイズされた樹脂組成物樹脂組成物層とし、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE){MFR=2.1g/10分(210℃、2160g荷重)、三井石油化学製「ウルトゼックス3520L」}をヒートシール層とし、無水マレイン酸変性ポリエチレン{MFR=3.3g/10分(210℃、2160g荷重)、三井石油化学製「アドマーSF600」}を接着剤(AD)層とし、T型ダイを備えた共押出機にて3種5層(LLDPE/AD/樹脂組成物層/AD/LLDPE=30μ/10μ/20μ/10μ/30μ)で全体厚みが100μmの多層フィルムを得た。樹脂組成物層中の分散樹脂粒子断面平均径、酸素透過量および耐ピンホール性を評価した。また、得られたフィルムから袋を作成し臭気透過性、柔軟性、装着感、ノイズ性について評価した。結果を表1および表2に示す。
【0071】
比較例1
実施例1において、樹脂組成物層のかわりに実施例1で用いたのと同じEVOH樹脂を単独で用いた以外は、実施例1に同様にしてサンプルを作製し試験をおこなった。評価結果は表1および表2にまとめて示す。
【0072】
実施例2、3、比較例2
実施例1において使用したものと同じEVOHとEMAAを用い、その混合比をEVOH95重量%、EMAA5重量%(実施例2)、EVOH80重量%、EMAA20重量%(実施例3)、EVOH50重量%、EMAA50重量%(比較例2)に変更した以外は、実施例1に同様にしてサンプルを作製し試験をおこなった。評価結果は表1および表2にまとめて示す。
【0073】
実施例4、5
実施例1において使用したEVOHをエチレン含量の異なるEVOH{エチレン含量27モル%、ケン化度99.6%、MFR=3.9g/10分(210℃、2160g荷重)}(実施例4)、{エチレン含量44モル%、ケン化度99.7%、MFR=3.5g/10分(210℃、2160g荷重)}(実施例5) に変更した以外は実施例1に同様にしてサンプルを作製し試験をおこなった。評価結果は表1および表2にまとめて示す。
【0074】
実施例6〜9
実施例1において使用したEVOH90重量%の代わりに、以下に示す割合で配合した2種類のEVOHを用いた以外は実施例1に同様にしてサンプルを作製し試験をおこなった。評価結果は表1および表2にまとめて示す。
実施例6;
エチレン含量32モル%、ケン化度99.6%、MFR=3.1g/10分(210℃、2160g荷重)のEVOH85重量部
エチレン含量51モル%、ケン化度96%、MFR=15.1g/10分(210℃、2160g荷重)のEVOH5重量部
実施例7;
エチレン含量38モル%、ケン化度99.7%、MFR=3.8g/10分(210℃、2160g荷重)のEVOH85重量部
エチレン含量51モル%、ケン化度96%、MFR=15.1g/10分(210℃、2160g荷重)のEVOH5重量部
実施例8;
エチレン含量38モル%、ケン化度99.7%、MFR=3.8g/10分(210℃、2160g荷重)のEVOH85重量部
エチレン含量44モル%、ケン化度99.7%、MFR=3.5g/10分(210℃、2160g荷重)のEVOH5重量部
実施例9;
エチレン含量32モル%、ケン化度99.6%、MFR=3.1g/10分(210℃、2160g荷重)のEVOH50重量部
エチレン含量51モル%、ケン化度96%、MFR=15.1g/10分(210℃、2160g荷重)のEVOH40重量部
【0075】
実施例10〜12、比較例3〜8
実施例1において用いたEMAA{メタクリル酸含有量:9重量%、三井デュポンケミカル「ニュクレル0903HC、MFR=5.7g/10分(210℃、2160g荷重)}のかわりに、以下に示す樹脂を用いた以外は実施例1に同様にしてサンプルを作製し試験をおこなった。評価結果は表1および表2にまとめて示す。
実施例10;EMAA{メタクリル酸含有量:4重量%、三井デュポンケミカル「ニュクレルAN4214C」、MFR=12.2g/10分(210℃、2160g荷重)}
実施例11;EMAA{メタクリル酸含有量;12重量%、三井デュポンケミカル「ニュクレル1207C」、MFR=13.4g/10分(210℃、2160g荷重)}
実施例12;エチレン−アクリル酸共重合体(以下EAAと略する){アクリル酸(AA)含有量:9.0重量%、ダウケミカル「プリマコール1430、MFR=8.7g/10分(210℃、2160g荷重)}
比較例3;エチレンーメチルメタクリレート共重合体{メチルメタアクリル酸(MMA)含有量:18重量%、住友化学「アクリフトWH303、MFR=12.1g/10分(210℃、2160g荷重)}
比較例4;無水マレイン酸変性ポリエチレン{MFR=3.6g/10分(210℃、2160g荷重)、三井石油化学製「アドマーNF500」}
比較例5;アイオノマー{三井デュポンケミカル「ハイミラン1652、MFR=7.6g/10分(210℃、2160g荷重)}
比較例6;LDPE{三井石油化学製「ミラソンB324、MFR=3.4g/10分(210℃、2160g荷重)}
比較例7;ナイロン{ナイロン6(PA−6){MFR=7.2g/10分(230℃、2160g荷重)、宇部興産製「UBEナイロン1022B」}
比較例8;エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物{東ソー製「メルセンH6051」、エチレン含量89モル%、ケン化度97%、MFR=12.1g/10分(230℃、2160g荷重)}
【0076】
実施例13〜16
以下に示すEVOHとエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体を組み合わせて用いた以外は実施例1と同様にしてサンプルを作製し試験をおこなった。このとき、用いるEVOHとエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のMFRを変更することで、その比MFR(A)/MFR(B)を調整した。評価結果は表1および表2にまとめて示す。
実施例13
EVOH{エチレン含量32モル%、ケン化度99.6%、MFR=1.2g/10分(210℃、2160g荷重)}、EMAA{メタクリル酸含有量:9重量%、三井デュポンケミカル「ニュクレルNC0908HG」、MFR=15.3g/10分(210℃、2160g荷重)}
実施例14
EVOH{エチレン含量32モル%、ケン化度99.6%、MFR=33.0g/10分(210℃、2160g荷重)}、EMAA{メタクリル酸含有量:9重量%、三井デュポンケミカル「ニュクレル0903HC、MFR=5.7g/10分(210℃、2160g荷重)}
実施例15
EVOH{エチレン含量32モル%、ケン化度99.6%、MFR=1.2g/10分(210℃、2160g荷重)}、EAA{アクリル酸含有量:9重量%、ダウケミカル「プリマコール3440」、MFR=18.0g/10分(210℃、2160g荷重)}
実施例16
EVOH{エチレン含量32モル%、ケン化度99.6%、MFR=33.0g/10分(210℃、2160g荷重)}、EAA{アクリル酸含有量:9重量%、ダウケミカル「プリマコール1420」、MFR=5.6g/10分(210℃、2160g荷重)}
【0077】
実施例17
実施例1において、EVOHとEMAAの溶融混練を2軸押出し機を用いる替わりに、1軸押出し機(プラコー製GT−40−A:L/D=26、フルフライトタイプスクリュー使用)を用いてシリンダー温度をフィード下部で190℃、混練部及びノズル付近で210℃に設定し、押出機のローターの回転数は1500rpmで、溶融混練しペレット化を行い、この時の押出量が1時間当たり20kgでシリンダー内部の樹脂圧力は8kg/cm2で、このときの比エネルギーは0.1KWh/Kgであった以外は、実施例1に同様にしてサンプルを作製し試験をおこなった。評価結果は表1および表2にまとめて示す。
【0078】
実施例18
スクリューをフルフライトタイプスクリューから、先端に混練部を有したタイプのスクリューに交換した以外は実施例17と同様にしてサンプルを作製し試験をおこなった。このとき、シリンダー内部の樹脂圧力は10kg/cm2で、このときの比エネルギーは0.15KWh/Kgであった。評価結果は表1および表2にまとめて示す。
【0079】
実施例19
実施例1において使用したものと同じEVOHとEMAAを用い、それらの混合比も同様とし、これに、可塑剤としてグリセリンモノステアレートを8重量%添加変更した以外は、実施例1に同様にしてサンプルを作製し試験をおこなった。評価結果は表1および表2にまとめて示す。
【0080】
実施例20
実施例6において使用したものと同じ2種類のEVOHとEMAAを用い、それらの混合比も同様とし、これに、可塑剤としてグリセリンモノステアレートを8重量%添加変更した以外は、実施例1に同様にしてサンプルを作製し試験をおこなった。評価結果は表1および表2にまとめて示す。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】
【発明の効果】
以上のように、本発明の人工肛門バッグは、臭気バリヤー性が良好な上、柔軟性があり、また耐ピンホール性が優れているため、良好な装着感を実現するものである。
Claims (6)
- エチレン含量20〜60モル%、ケン化度90%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体80〜95重量%および(メタ)アクリル酸含量1〜30重量%のエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体20〜5重量%からなり、エチレン−ビニルアルコール共重合体のマトリックス中にエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体粒子が分散している樹脂組成物を中間層とし、熱可塑性樹脂からなる内外層を有する人工肛門バッグ用フィルム。
- エチレン−ビニルアルコール共重合体が、エチレン含量の異なる2種類のエチレン−ビニルアルコール共重合体(a)および(b)の混合物からなり、(a)のエチレン含量が20〜45モル%、(b)のエチレン含量が45〜65モル%、(a)と(b)のエチレン含量の差が8モル%以上であり、かつその配合重量比{(a)/(b)}が2/1〜50/1である請求項1記載の人工肛門バッグ用フィルム。
- エチレン−ビニルアルコール共重合体のMFR(Ma)とエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のMFR(Mb)の比(Ma/Mb)が0.1〜5.0である請求項1または2に記載の人工肛門バッグ用フィルム。
- エチレン−ビニルアルコール共重合体のマトリックス中に分散しているエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体粒子がフィルム面に平行な一軸方向に引き延ばされた円柱状の形状で分散しており、その一軸方向に垂直な面で切断したときの粒子断面の平均径が0.2〜1.3μmである請求項1ないし3のいずれかに記載の人工肛門バッグ用フィルム。
- 樹脂組成物が可塑剤を2〜15重量%含む請求項1ないし4のいずれかに記載の人工肛門バッグ用フィルム。
- 樹脂組成物にアルカリ金属イオンを金属重量換算でEVOHに対し10〜500ppm含有させた請求項1ないし5のいずれかに記載の人工肛門バッグ用フィルム。
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