JP3728421B2 - エチレン−ビニルアルコール共重合体二軸延伸フィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、乾熱収縮率およびボーイング率が小さく、形態安定性に優れたエチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、「EVOH」という)の二軸延伸フィルムの製造方法に関する。本発明はまた、このような方法により得られる二軸延伸フィルム、および該フィルムを有する積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
EVOH二軸延伸フィルムは、ガスバリア性に優れた材料として広く用いられている。このEVOH二軸延伸フィルムを、耐湿性、機械的特性などに優れた熱可塑性樹脂、中でもポリオレフィン系樹脂のフィルムと積層して得られる積層体は、多層プラスチック包装材として種々の分野で用いられている。例えば、このような積層体は、袋、チューブ、カップ、パウチなどの形態で、酸素バリア性に優れた容器として、食品、化粧品、医化学薬品、トイレタリーなどの種々の分野で広く使用されている。特に、近年は主に食品容器において、内容物の充填前後に加熱による殺菌処理が施されることが多くなってきており、このため、酸素バリア性に優れているだけではなく、乾熱収縮率の小さい材料が待望されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、乾熱収縮率の小さいEVOH二軸延伸フィルムを選択して、例えば、上述のポリオレフィン系樹脂を積層した場合に、縦方向(Machine direction;MD方向)に対して斜めにカール(以下、「S字カール」という)しやすいことがわかった。本発明者らの詳細な検討の結果、このS字カールを生じやすいという傾向はボーイング率が大きいEVOHフィルムほど大きいことが明らかとなった。延伸フィルムにおいて、乾熱収縮とボーイングとが相反する物性であるという従来からの知見を併せて考慮すると、両者を同時に制御することは困難であると思われた。
【0004】
本発明は、上記従来の課題を解決するためになされ、その目的とするところは、乾熱収縮率とボーイング率がいずれも小さく、形態安定性などの性質に優れた二軸延伸EVOHフィルムを安定して大量に生産することの可能な製造方法を提供することにある。本発明の他の目的は、該方法により得られ、包装用としての利用価値が高い二軸延伸フィルムを提供することにある。本発明のさらに他の目的は、該二軸延伸フィルムでなる層、および該層に接する他の熱可塑性樹脂からなる層を有し、包装材料として好適に用いられる積層体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、このような状況に鑑み鋭意検討した結果、特定の組成のEVOHを用いて、特定の製造条件を選ぶことにより、EVOH二軸延伸フィルムの乾熱収縮とボーイングとを同時に抑制することができることを見出し本発明を完成するに至った。
【0006】
本発明の二軸延伸フィルムの製造方法は、エチレン含有量15〜70モル%、ケン化度80モル%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体から主としてなるフィルムを加熱下に延伸する工程、およびこれを冷却し、次いで熱処理する工程を包含し、該延伸時の加熱温度が60〜160℃であり、冷却温度が延伸時の加熱温度よりも30〜100℃低い温度であり、かつ熱処理温度が150〜190℃である。
【0007】
好適な実施態様においては、上記延伸が同時二軸延伸である。
【0008】
好適な実施態様においては、上記延伸の前に、60〜160℃で予備加熱が行なわれる。
【0009】
好適な実施態様においては、上記二軸延伸フィルムの縦方向の延伸倍率は2.5〜4.5倍、横方向の延伸倍率は2.5〜4.5倍、かつ面延伸倍率は7〜15倍である。
【0010】
好適な実施態様においては、上記二軸延伸フィルムのボーイング率は15%以下である。
【0011】
本発明のエチレン−ビニルアルコール共重合体二軸延伸フィルムは、上記いずれかの方法によって製造され、縦方向の乾熱収縮率が4.0%以下である。
【0012】
本発明はまた、上記エチレン−ビニルアルコール共重合体二軸延伸フィルムでなる層および他の熱可塑性樹脂からなる層を有する積層体を包含する。
【0013】
好適な実施態様においては、上記熱可塑性樹脂はポリオレフィンである。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明において、二軸延伸フィルムの原料であるEVOHは、エチレンとビニルエステルを主成分とする共重合体をアルカリ触媒などを用いてケン化することにより得ることができる。ビニルエステルとしては脂肪酸ビニルエステルが用いられ、酢酸ビニルが代表的なものとして挙げられる。その他、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどを使用することもできる。
【0015】
上記EVOHのエチレン含有量は、15〜70モル%であることが必要であり、20〜50モル%が好ましく、25〜45モル%がより好ましい。エチレン含量が15モル%未満では、得られるフィルムの高湿度下でのガスバリア性が低下し溶融成形性も悪化する。また70モル%を越えると十分なガスバリア性が得られない。
【0016】
このEVOHには、本発明の目的が阻害されない範囲で他の単量体を少量共重合成分として含有することができる。共重合できる単量体の例としては、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどのα−オレフィン;イタコン酸、メタクリル酸、アクリル酸、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸、その塩、その部分または完全エステル、そのニトリル、そのアミド、その無水物;ビニルトリメトキシシランなどのビニルシラン系化合物;不飽和スルホン酸またはその塩;アルキルチオール類;ビニルピロリドン類などが挙げられる。
【0017】
EVOHのビニルエステル成分のケン化度は80モル%以上であることが必要であり、90モル%以上が好ましく、95モル%以上がより好ましく、98モル%以上がさらにより好ましい。ケン化度が80モル%未満では、得られるフィルムの高湿度時のガスバリア性が低下するだけでなく、EVOHの熱安定性が悪化するため、得られるフィルムにゲル・ブツが発生しやすくなる。
【0018】
EVOHとして二種類以上のEVOHを配合して用いることもできる。この場合、各々のEVOHのエチレン含有量、ケン化度に配合重量比を考慮して算出される平均値を、EVOHのエチレン含有量およびケン化度とする。さらに、フィルムに形成する際に、EVOHには、本発明の目的が阻外されない範囲で、EVOH以外の樹脂(ポリアミド、ポリオレフィンなど)、添加剤などをブレンドすることもできる。添加剤としては、熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、フィラーなどがある。EVOHの融点としては、140〜220℃の範囲が好ましい。
【0019】
本発明により、二軸延伸フィルムを製造するには、まず、上記EVOHを単独で、あるいはEVOHに、必要に応じて他の樹脂、添加剤などを加えて、未延伸フィルムを製造する。この未延伸フィルムの製造方法としては特に制限されるものではないが、例えば、スクリュー式押出機によりTダイで溶融押出して成形し冷却する方法などが挙げられる。成形温度としては、200〜280℃の範囲が好ましい。成形温度が200℃未満の場合、EVOHの溶融流動性が不十分であるため成形性に劣るおそれがある。また、成形温度が280℃を超える場合、EVOHが熱分解を起こしてフィルムが着色するおそれがある。
【0020】
上記成形により得られたフィルムを冷却する温度としては、0〜40℃の範囲が好ましい。冷却温度を0℃未満とするには専用の設備が必要となり、コスト的に不利となる。また冷却温度が40℃を超える場合は、冷却時間が長くなって生産性が低下する。
【0021】
こうして得られるEVOH未延伸フィルムの厚さは、延伸工程における操作性の観点から100〜300μmの範囲が好ましい。
【0022】
本発明の二軸延伸フィルムは、上記未延伸フィルムを加熱下に延伸する工程、およびこれを冷却し、次いで熱処理する工程により得られる。上記加熱延伸温度は60〜160℃であり、冷却温度は加熱延伸温度よりも30〜100℃低い温度であり、かつ熱処理温度は150〜190℃である。
【0023】
上記プロセスによりEVOH二軸延伸フィルムを製造する場合において、生産安定性の観点から、未延伸フィルムに水を含有させておくことが好ましい。フィルムの含水率としては、1〜30重量%が好ましく、1〜20重量%がより好ましい。フィルムの含水率が1重量%未満の場合、延伸過程でフィルムが破断しやすくなることがある。30重量%を超える場合、二軸延伸フィルムの力学的強度が不足する傾向にある。
【0024】
上記加熱延伸工程に先立って予備加熱を行うことが生産安定性の観点から好ましい。予備加熱温度としては、60〜160℃が好ましく、70〜140℃がより好ましい。この予備加熱温度は、加熱延伸温度との関係において決定することが好ましい。具体的には、予備加熱温度は加熱延伸温度の±20℃以内の範囲であることが好ましい。予備加熱時間としては、2〜30秒の範囲が好ましく、3〜10秒の範囲がより好ましい。
【0025】
加熱延伸温度は、上記のように、60〜160℃であることが必要であり、70〜140℃が好ましい。加熱延伸温度が60℃未満の場合、得られる二軸延伸フィルムのボーイング率が大きくなるため、高い確率でS字カールが発生する。160℃を超える場合には、二軸延伸フィルムの力学的強度が不足する。加熱延伸時間としては、2〜30秒の範囲が好ましく、3〜10秒の範囲がより好ましい。
【0026】
二軸延伸の方法としては、同時二軸延伸または逐次二軸延伸が採用される。中でも、同時二軸延伸が生産性の観点から好適である。延伸倍率としては、縦(長手)方向(MD方向)が2.5〜4.5倍、横(幅)方向(Transverse direction;TD方向)が2.5〜4.5倍、かつ面延伸倍率として7〜15倍の範囲が好ましく、縦方向が2.5〜3.5倍、横方向が2.5〜3.5倍、かつ面延伸倍率として8〜12倍であることがより好ましい。
【0027】
上記二軸延伸されたフィルムは、次に冷却される。冷却温度は、加熱延伸温度よりも30〜100℃低い温度であることが必要であり、加熱延伸温度よりも35〜75℃低い温度が好ましい。通常、冷却温度は0〜80℃であり、40〜75℃が好ましい。加熱延伸温度と冷却温度との差が30℃未満である場合、得られる二軸延伸フィルムのボーイング率が大きいため、高い確率でS字カールが発生する。また、加熱延伸温度と冷却温度との差が100℃を超える場合、得られる二軸延伸フィルムの乾熱収縮率が高くなる。冷却時間としては、3〜10秒の範囲が好ましい。
【0028】
冷却後の熱処理温度は150〜190℃であることが必要であり、155〜185℃であることが好ましい。熱処理温度が150℃未満の場合、延伸の緩和が不充分となり、得られる二軸延伸フィルムの寸法安定性が低下する。また、190℃を超える場合、ボーイング率が大きいため、得られる二軸延伸フィルムを含むラミネートフィルム(特にポリオレフィン層を含むラミネートフィルム)に高い確率でS字カールが発生する。熱処理時間としては、2〜30秒の範囲が好ましく、2〜20秒の範囲がより好ましい。
【0029】
上記製造方法により得られるEVOH二軸延伸フィルムのボーイング率は、15%以下であることが好ましく、12%以下であることがより好ましい。ボーイング率が15%を超える場合、得られる二軸延伸フィルムを含むラミネートフィルムに高い確率でS字カールが発生し、使用する際の形態安定性が低下する。ここで、ボーイング率とは、次のように定義される値である。
【0030】
図1に、長尺の未延伸フィルムを連続的に加熱延伸する工程を模式的に示す。フィルムの未延伸部分1に、フィルムの幅方向に直線2を引く。このフィルムを長手方向に移動させながら加熱延伸(特に幅方向に延伸)したときに、通常、フィルムの幅方向における中央部分は、フィルムの両側縁近傍に比較すると、移動方向に対して遅れを生じる。そのため、該直線2は、弓なりの曲線21に変化する。このとき、曲線21における最大遅延距離aと二軸延伸フィルムの幅bとから下記式により算出した値をボーイング率BW(%)とする:
BW = (a/b)×100
【0031】
上記製造方法によって得られるEVOH二軸延伸フィルムの縦方向(MD方向)の乾熱収縮率が、4.0%以下であることが好ましく、3.5%以下であることがより好ましい。縦方向(MD方向)の乾熱収縮率が4.0%を超える場合、フィルムの寸法安定性が低下する。ここで、縦方向(MD方向)の乾熱収縮率とは、EVOH二軸延伸フィルムを140℃で1時間乾熱処理したときの、縦方向(MD方向)の収縮率をいう。得られたEVOH二軸延伸フィルムの厚みは使用目的により異なるが、通常、5μm〜30μmである。
【0032】
上記のような本発明の方法を採用することにより、乾熱収縮とボーイングの双方を制御することが可能となる。一般に、延伸後の熱処理を充分に行うことにより、乾熱収縮率は小さくなるが、同時にボーイング率は大きくなる傾向にある。本発明者らの検討により、上述のように、所定の温度での延伸工程と熱処理工程との間に所定の温度での冷却工程が設けられ、そのことにより、ボーイング率の上昇が好適に抑制される。
【0033】
こうして得られたEVOH二軸延伸フィルムは、そのまま単独で使用してもよいし、該二軸延伸フィルムでなる層、および他の熱可塑性樹脂からなる層を有する積層体として使用してもよい。上記他の熱可塑性樹脂としては、次の樹脂が挙げられる:ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1ペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレンと炭素数が4以上のα−オレフィンとの共重合体、ポリオレフィンと無水マレイン酸との共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、これらを不飽和カルボン酸またはその誘導体でグラフト変性した変性ポリオレフィンなど)、ナイロン(ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6/66共重合体など)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリアセタール、変性ポリビニルアルコール樹脂など。
【0034】
積層体の構成は特に限定されないが、上記EVOH二軸延伸フィルムをX、他の熱可塑性樹脂の層をYおよびZとすると、XY、YXY、XYZなどが挙げられる。積層方法としては特に制限はないが、押出ラミネート法、ドライラミネート法、溶液コート法などの当該分野で通常用いられる方法が挙げられる。
【0035】
本発明のEVOH二軸延伸フィルムおよび該二軸延伸フィルムを含む上記積層体積層体は、優れたガスバリアー性、形態安定性および透明性を有するため、主に食品包装用材料として用いられる。
【0036】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら限定されない。本実施例において、フィルムの評価は下記の方法により行った。
【0037】
(1)縦方向の乾熱収縮率
長尺状の二軸延伸フィルムの幅方向(TD方向)の中央部分から、図2Aに示すような直径10cmの円形のフィルム3を切り取る。このフィルムを140℃、1時間の条件で乾熱処理し、室温まで冷却する。処理後のフィルム3(図2B参照)の長手方向(MD方向)の長さL(cm)をノギスで読み取り、下記式により縦方向(MD方向)の乾熱収縮率S(%)を算出する。
S = {(10−L)/10}×100
【0038】
(2)ボーイング率
図1に示すように、長尺状の未延伸フィルムの幅方向に油性インクで直線2をを書き入れる。このフィルムを長手方向に移動させながら加熱し、二軸延伸を行なう。この延伸工程時に、フィルムの中央部分が進行方向に対して遅れを生じるため、延伸ムラとなり、該直線2は、弓なりの曲線21に変化する。このとき、曲線21における最大遅延距離aと二軸延伸フィルムの幅bとから下記式により算出した値をボーイング率BW(%)とする。
BW = (a/b)×100
【0039】
実施例1
エチレン含有率32モル%、ケン化度99.5%、および融点183℃のEVOH樹脂を、230℃の温度で溶融させ、Tダイから15℃の冷却面を有するキャスティングロール上に押出すと同時にエアーナイフより空気を風速30m/秒で吹き付け、厚さ150μmの未延伸フィルムを得た。このフィルムを50℃の温水に約15秒浸漬した。浸漬後の含水率は3.0重量%であった。同時二軸延伸機を用い、このフィルムを140℃で8秒間予熱し、140℃で縦、横それぞれ3倍に延伸した後、70℃に7秒間冷却し、さらに175℃で3秒間熱処理してEVOH二軸延伸フィルムを得た。このフィルムの乾熱収縮率およびボーイング率を表1に示す。後述の実施例2〜4および比較例1〜3の結果も併せて表1に示す。
【0040】
実施例2〜4
予熱温度、延伸温度、延伸倍率、冷却温度、熱処理温度および未延伸フィルムの含水率を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にしてEVOH二軸延伸フィルムを得た。
【0041】
比較例1〜3
予熱温度、延伸温度、延伸倍率、冷却温度、熱処理温度および未延伸フィルムの含水率を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にしてEVOH二軸延伸フィルムを得た。比較例1においては、本発明の方法に比較して延伸温度が低く、かつ冷却工程が設けられていない。比較例2においては、熱処理温度が低く、比較例3においては、冷却工程が設けられていない。
【0042】
【表1】
【0043】
実施例5
実施例1で得られたEVOH二軸延伸フィルムと厚さ40μmの低密度ポリエチレンフィルムとをドライラミネートにより積層し、さらに厚さ20μmの延伸ポリプロピレンフィルムをEVOHフィルムと接するように重ねてドライラミネートし、積層フィルムを得た。この積層フィルムを、縦10cm、横20cmの大きさに切り取り、低密度ポリエチレン層が内側となるように二つに折り畳んで、正方形とした。この二つ折のフィルムの端部および両側部をヒートシールして密封状態の袋を作成した。これを室温で5時間放置したが、S字カールは目視により認められなかった。
【0044】
比較例4
比較例1で得られた二軸延伸フィルムを用いて、実施例5と同様に積層フィルムの調製を行なった。この積層フィルムで実施例5と同様に袋を作成し、放置したところ、S字カールが発生した。
【0045】
表1に示すように、本発明により得られる二軸延伸フィルムは、ボーイング率および乾熱収縮率のいずれもが低い値である。このようなフィルムを用いて調製された積層体は、S字カールの発生がなく、外観が美麗であり、製袋性も良好であった。これに対して、比較例4の積層フィルムにおいてはS字カールが発生して見栄えが悪く、製袋不良が生じることもあった。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、このように、乾熱収縮率とボーイング率がいずれも小さく、形態安定性などの性質に優れた二軸延伸EVOHフィルムを安定して大量に生産することが可能となる。得られた二軸延伸フィルムは、包装用のフィルムとして利用価値が高く、例えば、この二軸延伸フィルムでなる層、および該層に接する他の熱可塑性樹脂からなる層を有する積層体は、包装材料として好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】未延伸フィルムを二軸延伸する工程におけるボーイングの発生を説明する概略図である。
【図2】延伸フィルムの乾熱収縮試験において、切り出した円形のフィルムの寸法の変化を示す概略図である。
【符号の説明】
1:フィルムの未延伸部分
3:円形のフィルム
21:曲線
Claims (8)
- エチレン含有量15〜70モル%、ケン化度80モル%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体から主としてなるフィルムを加熱下に延伸する工程、およびこれを冷却し、次いで熱処理する工程を包含する二軸延伸フィルムの製造方法であって、延伸時の加熱温度が60〜160℃であり、冷却温度が延伸時の加熱温度よりも30〜100℃低い温度であり、かつ熱処理温度が150〜190℃である、二軸延伸フィルムの製造方法。
- 前記延伸が同時二軸延伸である、請求項1に記載の方法。
- 前記延伸の前に、60〜160℃で予備加熱を行う、請求項1または2に記載の方法。
- 前記二軸延伸フィルムの縦方向の延伸倍率が2.5〜4.5倍、横方向の延伸倍率が2.5〜4.5倍、かつ面延伸倍率が7〜15倍である、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
- 二軸延伸フィルムのボーイング率が15%以下である、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
- 請求項1から5のいずれか1項に記載の方法によって製造され、かつ縦方向の乾熱収縮率が4.0%以下である、エチレン−ビニルアルコール共重合体二軸延伸フィルム。
- 請求項6に記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体二軸延伸フィルムでなる層、および他の熱可塑性樹脂からなる層を有する積層体。
- 前記熱可塑性樹脂がポリオレフィンである、請求項7に記載の積層体。
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