JP4879412B2 - エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム - Google Patents

エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィルム全幅にわたって表面外観が平滑で奇麗なエチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、「EVOH」と記す)からなるフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
EVOHは、ガスバリア性に優れた材料として広く用いられている。特に、ポリオレフィン系樹脂に代表される耐湿性、機械的特性等に優れた熱可塑性樹脂との積層体は物性のバランスが良好であるので、袋、チューブ、カップ、パウチ等の形態で、食品、化粧品、医化学薬品、トイレタリー等の種々の分野で広く使用されている。中でも、EVOHからなる二軸延伸フィルム(以下、「EVOH二軸延伸フィルム」と記す)は、延伸していないフィルムよりもガスバリア性、機械的特性等が優れているため、その需要が急速に増大しつつあり、生産性の向上が求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、EVOH二軸延伸フィルムを得るために、全幅にわたって一定の厚さを持つフィルムを延伸しようとすると、特にフィルムの端部において厚さムラが顕著となり、極端な場合は延伸工程でフィルムが破断する。また、破断に至らない場合であっても、厚さムラが発生した部分は商品価値がないので切り取らざるを得ず、フィルム収率が低下する。
しかして、本発明の目的は、連続製造時の延伸工程におけるフィルムの破断の発生する頻度が小さく、同時に、実用的な有効幅が最大限に確保されたEVOH二軸延伸フィルムを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、このような状況に鑑み鋭意検討した結果、フィルムの幅方向の特定の厚さ分布を有するEVOHからなるフィルム(以下、「EVOHフィルム」と記す)を原料として使用することが重要であることを見出し、本発明に到達した。
【0009】
すなわち本発明は、フィルムの幅方向の中心A1における厚さをT1(μm)とし、フィルムの幅方向の特定の点A2における厚さをT2(μm)とするとき、T1およびT2が下記式(1)の関係を満足し、A1とフィルムの幅方向の端E1との間を75:25に内分する点A3におけるフィルムの厚さをT3(μm)とするとき、T1およびT3が下記式(2)の関係を満足し、T1、T2およびT3が下記式(3)の関係を満足し、且つT1が下記式(5)を満足するエチレン含有量25〜45モル%、ビニルエステル成分のケン化度98モル%以上のEVOHからなる含水率が1〜20重量%のEVOHフィルムを、60〜160℃の加熱延伸温度において、縦方向が2.5〜4.5倍、横方向が2.5〜4.5倍であり、かつ面延伸倍率が7〜15倍となる延伸倍率で二軸延伸することを特徴とする、EVOH二軸延伸フィルムの製造方法に関する。この製造方法において、前記点A2を含む領域を保持して延伸することが好ましい。
0.1 ≦ (T2−T1)/T1 ≦ 0.5 (1)
0.006 ≦ (T3−T1)/T1 ≦ 0.3 (2)
0.1 ≦ (T2−T3)/T1 ≦ 0.5 (3)
50 ≦ T1 ≦ 300 (5)
ただし点A2は、フィルムの幅方向の中心A1とフィルムの幅方向の端E1との間を95:5に内分する点をE2とし、A1とE1との間を75:25に内分する点をA3とするとき、E2とA3との間において最大のフィルム厚さを有する点である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明において、フィルムの原料であるEVOHは、エチレンとビニルエステルからなる共重合体を、アルカリ触媒等を用いてケン化することにより得ることができる。ビニルエステルとしては酢酸ビニルが代表的なものとして挙げられるが、その他の脂肪酸ビニルエステル(プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル等)も使用できる。
【0012】
EVOHのエチレン含有量は、フィルム製造時の製膜性、フィルムとしたときのガスバリア性等を考慮して、15〜70モル%であることが好ましく、20〜50モル%がより好ましく、25〜45モル%がさらにより好ましい。
【0013】
EVOHには、本発明の目的が阻害されない範囲で他の単量体を少量共重合することもできる。共重合できる単量体の例としては、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のα−オレフィン;イタコン酸、メタクリル酸、アクリル酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸、その塩、その部分または完全エステル、そのニトリル、そのアミド、その無水物;ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン系化合物;不飽和スルホン酸またはその塩;アルキルチオール類;ビニルピロリドン類等が挙げられる。
【0014】
EVOHのビニルエステル成分のケン化度は、フィルム製造時のEVOHの熱安定性、フィルムとしたときの高湿度下におけるガスバリア性等を考慮して、80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上がより好ましく、95モル%以上がさらにより好ましく、98モル%以上が最も好ましい。
【0015】
EVOHとして2種類以上のEVOHを配合して用いることもできる。この場合、各々のEVOHのエチレン含有量およびケン化度に配合重量比を加味して算出される平均値を、EVOHのエチレン含有量およびケン化度とする。さらに、本発明の目的が阻外されない範囲で熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、フィラー、他の樹脂(ポリアミド、ポリオレフィン等)をEVOHにブレンドすることもできる。また、EVOHの融点としては、140〜200℃の範囲が好ましい。
【0016】
本発明のEVOHフィルムを、図1を用いて説明する。
本発明のEVOHフィルムは、フィルムの幅方向の中心A1(図1中の1)における厚さをT1(μm、図1中の6)とし、フィルムの幅方向の特定の点A2(図1中の5)における厚さをT2(μm、図1中の7)とするとき、T1およびT2が下記式(1)の関係を満足することを特徴とする。
0.1 ≦ (T2−T1)/T1 ≦ 0.5 (1)
ただし点A2は、フィルムの幅方向の中心A1とフィルムの幅方向の端E1(図1中の2)との間を95:5に内分する点をE2(図1中の3)とし、A1とE1との間を75:25に内分する点をA3(図1中の4)とするとき、E2とA3との間において最大のフィルム厚さを有する点である。
【0017】
前記A2はフィルムの端部に近く、フィルムの二軸延伸においては、通常A2を含む領域(以下、「保持領域」と記す)がチャック等により保持されて延伸される。上記式(1)は、本発明のEVOHフィルムにおいて、該保持領域における最大厚さT2がフィルムの幅方向の中心における厚さT1よりも特定量大きいことを表している。(T2−T1)/T1は、好ましくは0.12以上0.4以下である。(T2−T1)/T1が0.1未満である場合、延伸工程における破断の頻度が増加する。また、(T2−T1)/T1が0.5を超える場合、延伸後のフィルムに厚い部分が残り、その結果切り取るフィルムの量が増加して二軸延伸フィルムの収率が低下する。
【0018】
本発明のEVOHフィルムにおいて、前記A3におけるフィルムの厚さをT3(μm、図1中の8)とするとき、前記T1およびT3が下記式(2)の関係を満足することが好ましい。また、前記T1、T2およびT3が下記式(3)の関係を満足することが好ましい。
0.006 ≦ (T3−T1)/T1 ≦ 0.3 (2)
0.1 ≦ (T2−T3)/T1 ≦ 0.5 (3)
【0019】
上記式(2)は、本発明のEVOHフィルムにおいて、点A3における厚さT3がフィルムの幅方向の中心1における厚さT1よりも特定量大きいことを表している。また、上記式(3)は、本発明のEVOHフィルムにおいて、前記保持領域における最大厚さT2が点A3における厚さT3よりも特定量大きいことを表している。保持領域に近い点A3における厚さを、上記式(2)および/または(3)を満足するように調節すると、延伸工程における破断の頻度が一段と小さくなり、また、延伸後のフィルムの厚さの均一性が一層高くなって二軸延伸フィルムの収率が増加するという利点がある。(T3−T1)/T1は、好ましくは0.01以上0.2以下である。また、(T2−T3)/T1は、好ましくは0.1以上0.4以下である。
【0020】
本発明のEVOHフィルムにおいて、フィルムの幅方向の中心A1から点A2までの距離をL12(mm、図1中の9)とするとき、前記T1およびL12が下記式(4)の関係を満足することが好ましい。
0.01 ≦ T1/L12 ≦ 0.5 (4)
【0021】
上記式(4)は、本発明のEVOHフィルムにおいて、フィルムの中心部分の厚さT1とフィルムの幅に関係する距離L12とが特定の関係にあることを表している。この関係を満足するフィルムを使用することにより、延伸工程における破断の頻度が小さく、かつ装置に過度の張力を強いることなく、厚さの均一性が高い二軸延伸フィルムを得ることができる。T1/L12は、好ましくは0.1以上0.45以下である。
【0022】
また、本発明のEVOHフィルムにおいて、前記T1が下記式(5)の関係を満足することが好ましい。さらに、前記L12が下記式(6)の関係を満足することが好ましい。
50 ≦ T1 ≦ 300 (5)
300 ≦ L12 ≦ 3000 (6)
【0023】
上記式(5)および(6)は、本発明のEVOHフィルムにおいて、フィルムの中心部分A1における厚さT1およびフィルムの幅に関係する距離L12が、それぞれ特定の範囲内にあることを表している。フィルムの厚さが薄いほど原料が少なくてすみ、厚いほど延伸工程における破断の頻度が小さくなる。上記式(5)を満足するフィルムは両方の長所を兼備えている。また、フィルムの幅が短いほど延伸が容易であり、長いほど生産性が高くなる。上記式(6)を満足するフィルムは両方の長所を兼備えている。T1は、好ましくは80以上250以下である。また、L12は、好ましくは320以上2000以下である。
【0024】
本発明のEVOHフィルムの製造方法としては、特に制限されるものではないが、例えば、前記したようなEVOHを、スクリュー式押出機によりTダイで溶融押出して成形し冷却する方法等が挙げられる。成形温度としては、200〜280℃の範囲が好ましい。成形温度が200℃未満の場合、EVOHの溶融流動性が不十分となって成形性が悪化するおそれがある。また、成形温度が280℃を超える場合、EVOHが熱分解を起こしてフィルムが着色するおそれがある。
【0025】
このときの冷却温度としては、0〜40℃の範囲が好ましい。冷却温度を0℃未満とするには専用の設備が必要となり、コスト的に不利となる。また冷却温度が40℃を超える場合は、冷却時間が長くなって生産性が低下する。
【0026】
上記したようなEVOHフィルムの幅方向の厚さ分布は、通常のフィルム製造用の押出成形機に常備されているダイスのリップ開度調整ボルトを用いて容易に制御することができる。
【0027】
本発明のEVOHフィルムは、公知の装置を使用して同時二軸延伸または逐次二軸延伸することにより、EVOH二軸延伸フィルムとすることができる。同時二軸延伸の方式としては、特殊なテンターを用いてフィルム端を保持してフィルム幅を広げるとともに隣接するクリップの間隔を広げて縦方向の延伸も同時に行う延伸方式等が、逐次二軸延伸の方式としては、縦延伸後、テンターにより横延伸を行う延伸方式等が通常採用されるが、これらの方法に限定されるものではない。
【0028】
本発明のEVOH二軸延伸フィルムを、図2を用いて説明する。
本発明のEVOH二軸延伸フィルムにおいて、フィルムの幅方向の中心A4(図2中の11)における厚さをT4(μm、図2中の14)とし、フィルムの幅方向の特定の点A5(図2中の13)における厚さをT5(μm、図2中の15)とするとき、T4およびT5が下記式(7)の関係を満足することが好ましい。
0.90 ≦ T5/T4 ≦ 1.1 (7)
ただし点A5は、二軸延伸フィルムの幅方向の中心A4と二軸延伸フィルムの幅方向の端E3(図2中の12)との間を94:6に内分する点である。
【0029】
上記式(7)は、本発明のEVOH二軸延伸フィルムにおいて、点A5とフィルムの幅方向の中心A4との厚さの比率が、1.0を中心とした特定の範囲内にあることを表している。この比率が上記式(7)を満足する場合、延伸後のフィルムの厚さの均一性が一層高くなって二軸延伸フィルムの収率が増加するという利点がある。T5/T4は、好ましくは0.95以上1.05以下である。
【0030】
また、本発明のEVOH二軸延伸フィルムにおいて、前記T4が下記式(8)の関係を満足することが好ましい。
5 ≦ T4 ≦ 30 (8)
【0031】
上記式(8)は、本発明のEVOH二軸延伸フィルムにおいて、フィルムの幅方向の中心A4における厚さT4が、特定の範囲内にあることを表している。フィルムの厚さが薄いほど原料が少なくてすみ、厚いほど延伸工程における破断の頻度が小さくなる。上記式(8)を満足する二軸延伸フィルムは両方の長所を兼備えている。T4は、好ましくは7以上20以下である。
【0032】
本発明のEVOH二軸延伸フィルムの製造方法を説明する。
第一の方法は、前記T1およびT2が下記式(1)の関係を満足するEVOHフィルムを、二軸延伸することによってEVOH二軸延伸フィルムを製造する方法である。
0.1 ≦ (T2−T1)/T1 ≦ 0.5 (1)
【0033】
(T2−T1)/T1は、好ましくは0.12以上0.4以下である。(T2−T1)/T1が0.1未満である場合、延伸工程における破断の頻度が増加する。また、(T2−T1)/T1が0.5を超える場合、延伸後のフィルムに厚い部分が残り、その結果切り取るフィルムの幅方向の端部の量が増加して二軸延伸フィルムの収率が低下する。
【0034】
二軸延伸の方式としては、上記したような同時二軸延伸または逐次二軸延伸の公知の方式が挙げられる。また、延伸方法としては特に制限されるものではないが、少なくとも加熱延伸し、熱処理する工程を含む方法であることが好ましい。
【0035】
延伸倍率としては、縦方向(MD方向)が2.5〜4.5倍、横方向(TD方向)が2.5〜4.5倍、かつ面延伸倍率として7〜15倍の範囲が好ましく、縦方向が2.5〜3.5倍、横方向が2.5〜3.5倍、かつ面延伸倍率として8〜12倍がより好ましい。
【0036】
加熱延伸温度は60〜160℃であることが好ましく、70〜140℃がより好ましい。加熱延伸温度がこの範囲にあるとき、厚みムラが小さく、かつ適度に配向して力学的強度に優れた二軸延伸フィルムが得られる。加熱延伸時間としては、2〜30秒の範囲が好ましく、3〜10秒がより好ましい。
【0037】
このとき、加熱延伸に先立って予備加熱を行うことが生産安定性の観点から好ましい。予備加熱温度としては、60〜160℃が好ましく、70〜140℃がより好ましい。また、予備加熱温度は加熱延伸温度との関係から決定することが好ましい。具体的には、予備加熱温度は加熱延伸温度の±20℃以内の範囲であることが好ましい。予備加熱時間としては、2〜30秒の範囲が好ましく、3〜10秒がより好ましい。
【0038】
熱処理温度は150〜190℃であることが好ましく、155〜185℃がより好ましい。熱処理温度がこの範囲にあるとき、寸法安定性が高く、かつS字カールが発生する頻度が小さい二軸延伸フィルムが得られる。熱処理時間としては、2〜30秒の範囲が好ましく、2〜20秒の範囲がより好ましい。
【0039】
また、生産安定性の観点から、延伸前のフィルムに水を含有させることも好ましい。フィルムの含水率としては、1〜30重量%が好ましく、1〜20重量%がより好ましい。フィルムの含水率が上記の範囲内にあるとき、延伸工程における破断の頻度が小さく、かつ適度に配向して力学的強度に優れた二軸延伸フィルムが得られる。
【0040】
上記の二軸延伸フィルムの製造方法において、前記点A2を含む領域をチャック等で保持して延伸することが好ましい。これにより、延伸工程における破断の頻度を一層小さくすることができる。
【0041】
本発明のEVOH二軸延伸フィルムの第二の製造方法は、フィルムを二軸延伸する工程と、二軸延伸フィルムの幅方向の端E3を含む部分を切り取る工程とを含むEVOH二軸延伸フィルムの製造方法であって、切り取る部分の重量がフィルム全体の重量に基いて30重量%以下であることを特徴とする方法である。
【0042】
第二の製造方法において、使用されるEVOHフィルムとしては特に制限はないが、上記したような本発明のEVOHフィルムが好ましい。また、二軸延伸の方式および延伸方法としては、例えば第一の製造方法の説明で述べたような方式および延伸方法を採用することができる。
【0043】
第二の製造方法においては、二軸延伸された後のフィルムの幅方向の端E3を含む部分を切り取る工程が必須である。二軸延伸の際、フィルムの幅方向の端部は延伸されないまま残るので、フィルムの幅方向の端E3は、フィルムの幅方向の中心A4および点A5に比較すると厚くなる。E3を含む部分を切り取る工程を設けない場合、厚さムラによりフィルムの商品価値が低下する。
【0044】
第二の製造方法において、切り取る部分の重量は、フィルム全体の重量に基いて30重量%以下であることが必要であり、25重量%以下であることが好ましい。切り取る部分の重量が30重量%を超える場合、フィルムの生産性が低下する。切り取る部分の重量を上記の範囲とするために、例えば、延伸後のフィルムの厚さの均一性を高くすることによって、切り取らない部分、すなわち製品部分を大きくすること、フィルムの幅方向の端E3における厚さを小さくすることによって、切り取る部分の重量を小さくすること等の手段が採用される。
【0045】
フィルムの幅方向の端E3を含む部分を切り取る方法としては特に制限はなく、ラインに設置されたカッターを使用する方法等が一般的である。切り取る部分の重量を上記の範囲とするために、フィルムの幅方向の端部E3と点A5との間にカッター等を配置し、E3を含む部分を切り取ることが好ましい。
【0046】
上記のような方法によって得られたEVOH二軸延伸フィルムは、そのまま単独で使用してもよいし、該二軸延伸フィルムに他の熱可塑性樹脂からなる層を積層して使用してもよい。他の熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレンと炭素数が4以上のα−オレフィンとの共重合体、オレフィン類と無水マレイン酸との共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、これらを不飽和カルボン酸またはその誘導体でグラフト変性した変性ポリオレフィン等)、各種ナイロン(ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6/66共重合体等)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリアセタール、変性ポリビニルアルコール樹脂等が挙げられる。積層方法としては特に制限はないが、押出ラミネート法、ドライラミネート法、溶液コート法等の公知の方法が挙げられる。
【0047】
本発明のEVOH二軸延伸フィルム、および該二軸延伸フィルムに他の熱可塑性樹脂からなる層を積層してなる積層体は、優れたガスバリアー性、形態安定性及び透明性を有するため、食品、化粧品、医化学薬品、トイレタリー等の種々の分野で広く使用される。
【0048】
【実施例】
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。
【0049】
実施例1
エチレン含有率32モル%、ケン化度99.5%、融点183℃のEVOH樹脂を、230℃の温度で溶融させ、Tダイから15℃の冷却面を有するキャスティングロール上に押出すと同時にエアーナイフより空気を風速30m/秒で吹き付け、EVOHフィルムを得た。その後、このフィルムに水を3.0重量%含有させ、図1中の点A2を含む領域をチャックでつかみ、同時二軸延伸機を用いて予熱温度120℃、延伸温度120℃で縦、横それぞれ3倍に延伸した後、170℃で熱処理して、全幅2500mmのEVOH二軸延伸フィルムを得た。延伸前後のフィルムの厚さ分布を示すパラメータを表1に示す。また、二軸延伸フィルムの製造を8時間連続して行った時の破断回数、製品として採用されたフィルム幅、および切り取った不要部分の、フィルム全体に対する重量比率を表2に示す。
【0050】
実施例2〜4、比較例1〜3
ダイスのリップ開度調整ボルトを調節して、EVOHフィルムの各部位の厚みを表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてEVOH二軸延伸フィルムを得た。延伸前後のフィルムの厚さ分布を示すパラメータを表1に示す。また、二軸延伸フィルムの製造を8時間連続して行った時の破断回数、製品として採用されたフィルム幅、および切り取った不要部分の、フィルム全体に対する重量比率を表2に示す。
【0051】
【表1】
Figure 0004879412
【0052】
【表2】
Figure 0004879412
【0053】
【発明の効果】
本発明のEVOHフィルムを二軸延伸することにより、連続製造時の延伸工程におけるフィルムの破断が最小限に抑制され、同時に、実用的な有効幅が最大限に確保されたEVOH二軸延伸フィルムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のEVOHフィルムの断面図を模式的に図示したものである。
【図2】本発明のEVOH二軸延伸フィルムの断面図を模式的に図示したものである。
【符号の説明】
1. フィルムの幅方向の中心A1
2. フィルムの幅方向の端E1
3. フィルムの幅方向の中心A1とフィルムの幅方向の端E1との間を95:5に内分する点E2
4. フィルムの幅方向の中心A1とフィルムの幅方向の端E1との間を75:25に内分する点A3
5. E2とA3との間において最大のフィルム厚さを有する点A2
6. フィルムのA1における厚さT1(μm)
7. フィルムのA2における厚さT2(μm)
8. フィルムのA3における厚さT3(μm)
9. フィルムのA1からA2までの距離L12(mm)
11. 二軸延伸フィルムの幅方向の中心A4
12. 二軸延伸フィルムの幅方向の端E3
13. 二軸延伸フィルムの幅方向の中心A4と二軸延伸フィルムの幅方向の端E3との間を94:6に内分する点A5
14. 二軸延伸フィルムのA4における厚さT4(μm)
15. 二軸延伸フィルムのA5における厚さT5(μm)

Claims (2)

  1. フィルムの幅方向の中心A1における厚さをT1(μm)とし、フィルムの幅方向の特定の点A2における厚さをT2(μm)とするとき、T1およびT2が下記式(1)の関係を満足し、A1とフィルムの幅方向の端E1との間を75:25に内分する点A3におけるフィルムの厚さをT3(μm)とするとき、T1およびT3が下記式(2)の関係を満足し、T1、T2およびT3が下記式(3)の関係を満足し、且つT1が下記式(5)を満足するエチレン含有量25〜45モル%、ビニルエステル成分のケン化度98モル%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体からなる含水率が1〜20重量%のフィルムを、
    60〜160℃の加熱延伸温度において、縦方向が2.5〜4.5倍、横方向が2.5〜4.5倍であり、かつ面延伸倍率が7〜15倍となる延伸倍率で二軸延伸することを特徴とする、エチレン−ビニルアルコール共重合体からなる二軸延伸フィルムの製造方法。
    0.1 ≦ (T2−T1)/T1 ≦ 0.5 (1)
    0.006 ≦ (T3−T1)/T1 ≦ 0.3 (2)
    0.1 ≦ (T2−T3)/T1 ≦ 0.5 (3)
    50 ≦ T1 ≦ 300 (5)
    ただし点A2は、フィルムの幅方向の中心A1とフィルムの幅方向の端E1との間を95:5に内分する点をE2とし、A1とE1との間を75:25に内分する点をA3とするとき、E2とA3との間において最大のフィルム厚さを有する点である。
  2. 前記点A2を含む領域を保持して延伸する、請求項に記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体からなる二軸延伸フィルムの製造方法。
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