JP2020179565A - 熱収縮性積層フィルム、熱収縮性積層チューブ、および包装体 - Google Patents

熱収縮性積層フィルム、熱収縮性積層チューブ、および包装体 Download PDF

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Abstract

【課題】水蒸気バリア性に優れる熱収縮性積層フィルム、ならびに該フィルムを用いたチューブおよび包装体を提供する。【解決手段】アイオノマー樹脂(A)を主成分として含む表面層と密度が0.940g/cm3以下であるポリエチレン系樹脂(B)を主成分として含む水蒸気バリア層の少なくとも2層を有する熱収縮性積層フィルム、ならびに、該フィルムを用いたチューブおよび包装体。【選択図】なし

Description

本発明は、熱収縮性、水蒸気バリア性に優れた熱収縮性積層フィルム、熱収縮性積層チューブ、およびそれらを用いた包装体に関する。
従来、アイオノマー樹脂は、強靭性と弾力性に優れるとともに柔軟性を有すことから、ボトル外層のシュリンクフィルムやチューブ、食品を真空包装するスキンパック包装などに広く用いられてきた。しかしながら、アイオノマー樹脂は収縮性に優れる一方で水蒸気バリア性が低いため、食品包材として長期保存する場合に内容物の劣化や乾燥するといった問題があった。
アイオノマー樹脂を用いた収縮性フィルムとしては、アイオノマー樹脂とポリエチレン系樹脂とを積層したフィルム(特許文献1)や、酸素バリア層としてエチレン−酢酸ビニル共重合体を積層したフィルム(特許文献2)が開示されている。
しかしながら、特許文献1に開示のフィルムは、収縮性と引き裂き性に、特許文献2に開示のフィルムでは酸素バリア性にそれぞれ優れているフィルムであったが、いずれも水蒸気バリア性に関しては考慮されたものではなかった。
特開2016−68567号公報 特開2000−117872号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その解決課題は、水蒸気バリア性に優れる熱収縮性積層フィルム、ならびに該フィルムを用いたチューブおよび包装体を提供することにある。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、アイオノマー樹脂を主成分として含む表面層と、特定のポリエチレン系樹脂を主成分として含む水蒸気バリア層との少なくとも2層を有する熱収縮性積層フィルムとすることにより、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
第1の本発明は、アイオノマー樹脂(A)を主成分として含む表面層と密度が0.940g/cm以下であるポリエチレン系樹脂(B)を主成分として含む水蒸気バリア層との少なくとも2層を有する熱収縮性積層フィルムである。
第1の本発明において、前記ポリエチレン系樹脂(B)は直鎖状低密度ポリエチレンであることが好ましい。
第1の本発明において、前記水蒸気バリア層が、結晶核剤(C)をさらに含むことが好ましい。
第1の本発明において、前記表面層が、ポリオレフィン系樹脂(D)をさらに含むことが好ましい。
第1の本発明において、前記表面層における前記アイオノマー樹脂(A)の含有量が、60質量%以上99質量%以下であることが好ましい。
第1の本発明において、(表面層)/(水蒸気バリア層)/(表面層)の順に積層された少なくとも3層を有することが好ましい。
第1の本発明において、厚さ30μmにおける水蒸気透過率が15.0g/m/24hr以下であることが好ましい。
第1の本発明において、前記水蒸気バリア層が、さらに環状オレフィン系樹脂(E)を含むことが好ましい。
第1の本発明において、前記表面層と水蒸気バリア層の積層比が(表面層):(水蒸気バリア層)=10:1〜1:10の範囲であることが好ましい。
第2の本発明は、第1の本発明の熱収縮性積層フィルムがチューブ状である熱収縮性積層チューブである。
第3の本発明は、第1の本発明の熱収縮性積層フィルムを用いた包装体である。
第4の本発明は、第2の本発明の熱収縮性積層チューブを用いた包装体である。
本発明によれば水蒸気バリア性を向上させることができ、食品包材として使用する際に内容物の劣化や乾燥を防ぎ長期保存することが可能となるため、工業的利用価値は高い。
以下、本発明の実施形態の一例としての熱収縮性積層フィルム(以下、「本発明のフィルム」や単に「フィルム」と略記することがある。)、熱収縮性積層チューブ(以下、「本発明のチューブ」や単に「チューブ」と略記することがある。)および包装体について説明する。ただし、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明における熱収縮性積層チューブは、チューブ状の熱収縮性積層フィルムのことであり、熱収縮性積層チューブは、熱収縮性積層フィルムに含まれる。
本発明において「主成分」とは、特に記載しない限り、当該主成分の機能を妨げない範囲で他の成分を含有することを許容する意を包含する。この際、当該主成分の含有割合を特定するものではないが、主成分(2成分以上が主成分である場合には、これらの合計量)が組成物中の50質量%以上、特に70質量%以上、中でも特に90質量%以上(100質量%を含む)を占めるのが好ましい。
<熱収縮性積層フィルム>
本発明の熱収縮性積層フィルムは、アイオノマー樹脂(A)を主成分として含む表面層と密度が0.940g/cm以下であるポリエチレン系樹脂(B)を主成分として含む水蒸気バリア層の少なくとも2層を有する必要がある。
(熱収縮性積層フィルムの表面層)
・アイオノマー樹脂(A)
本発明の熱収縮性積層フィルムの表面層(以下、「本発明の表面層」または単に「表面層」と略記することがある。)に使用するアイオノマー樹脂(A)は、特に限定されないが、例えば、エチレン−メタクリル酸共重合体等のエチレン−不飽和カルボン酸共重合体の分子間を金属イオンで架橋した樹脂等が使用できる。また、アイオノマー樹脂に用いられる金属イオンとしては特に限定されず、ナトリウム、亜鉛、マグネシウム、リチウム等が使用できる。
エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の、不飽和カルボン酸としては、例えば、メタクリル酸、アクリル酸等が使用可能である。
また、アイオノマー樹脂(A)は、異なるアイオノマー樹脂を2種以上併用してもよい。

アイオノマー樹脂(A)のISO1133に準拠して測定されるメルトフローレート(温度190℃、荷重21.17N)は、0.5〜2.0g/10分であることが好ましい。
本発明の熱収縮性積層フィルムの表面層にはアイオノマー樹脂(A)の他にポリオレフィン系樹脂(D)をさらに含むことが好ましい。ポリオレフィン系樹脂(D)を含むことでフィルム表面の滑り性を向上させることができる。ここで、ポリオレフィン系樹脂(D)には、アイオノマー樹脂(A)を含まないものとする。
・ポリオレフィン系樹脂(D)
ポリオレフィン系樹脂(D)としては、特に限定されないが、ポリプロピレン系樹脂が好ましく、例えば、ポリプロピレン単独重合体、ポリプロピレンブロック共重合体、ポリプロピレンランダム共重合体などが好適に使用できる。特にポリプロピレン系樹脂の中でも、アイオノマー樹脂(A)との分散性の観点から、炭素数2〜10(3を除く)のα−オレフィンと共重合したランダム共重合体が好ましく、メタロセン触媒を用いて重合されたランダム共重合体がより好ましい。また、ポリオレフィン系樹脂(D)は、異なるポリオレフィン系樹脂を2種以上併用してもよい。
ポリオレフィン系樹脂(D)のISO1133に準拠して測定されるメルトフローレート(温度230℃、荷重21.17N)は、4.0〜9.0g/10分であることが好ましく、6.0〜8.0g/10分であることがより好ましい。メルトフローレートを上記範囲とすることでアイオノマー樹脂(A)への分散性が良くなり、透明性が維持でき生産性も良好となる。
ポリオレフィン系樹脂(D)のJIS K7244−4に準拠して測定される貯蔵弾性率(25℃)は、7.0×10〜2.0×10MPaあることが好ましく、9.0×10〜1.5×10MPaであることがより好ましい。
・表面層の組成
本発明の表面層のアイオノマー樹脂(A)の含有量は60質量%以上99質量%以下であることが好ましく、80質量%以上98質量%以下であることがより好ましく、85質量%以上97質量%以下であることがさらに好ましい。アイオノマー樹脂の含有量を上記数値範囲内とすることにより、包装体として使用する際の熱収縮性を付与することができ、またシュリンクフィルムとして使用する場合には、分離、除去する際のリサイクル性を向上させることができる。また、熱圧着工程を有する場合、熱収縮性積層フィルムの一端を熱圧着することをより容易に行うことができる。
本発明の表面層のポリオレフィン系樹脂(D)の含有量は、1質量%以上40質量%以下であることが好ましく、2質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、3質量%以上15質量%以下であることがさらに好ましい。ポリオレフィン系樹脂(D)の含有量を上記数値範囲内とすることにより、表面層に滑り性を付与することができ、透明性が維持でき生産性も良好となる。
また、表面層には、アイオノマー樹脂(A)及びポリオレフィン系樹脂(D)以外の熱可塑性樹脂が含まれてもよく、ポリオレフィン系樹脂(D)として例示した以外のポリオレフィン系樹脂、例えば、ポリエチレン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の樹脂材料などがアイオノマー樹脂(A)及びポリオレフィン系樹脂(D)との相溶性の面で好ましい。
アイオノマー樹脂(A)を主成分として含む表面層は、上記樹脂材料を2種以上含んでいてもよく、その他、可塑剤、充填材、紫外線安定化剤、着色防止剤、蛍光増白剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、糸摩擦低減剤、スリップ剤、離型剤、抗酸化剤、イオン交換剤、分散剤、紫外線吸収剤等の添加剤を含んでいてもよい。
(熱収縮性積層フィルムの水蒸気バリア層)
本発明の熱収縮性積層フィルムの水蒸気バリア層(以下、「本発明の水蒸気バリア層」または単に「水蒸気バリア層」と略記する。)には、密度が0.940g/cm以下であるポリエチレン系樹脂(B)を主成分として含むことが必要である。
・ポリエチレン系樹脂(B)
ポリエチレン系樹脂(B)としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)などが挙げられるが、中でも低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)が好ましく、製膜性、水蒸気バリア性の点から直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)が好ましい。これらの樹脂の中から密度が0.940g/cm以下であるものを選択すればよい。また、本発明のポリエチレン系樹脂(B)としてはエチレンとα―オレフィンの共重合体であってもよく、これらの混合物を用いることもできる。ここでエチレンと共重合するα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等が例示される。
ポリエチレン系樹脂(B)の密度は、0.940g/cm以下であればよいが、0.938g/cm以下であることがより好ましく、0.935g/cm以下であることがさらに好ましい。密度を0.940g/cm以下とすることで、熱収縮性積層フィルムを製膜する際の延伸性を付与することができる。密度の下限値は特に設けないが、一般的なポリエチレン系樹脂である0.910g/cm以上であることが好ましく、0.915g/cm以上であることがより好ましい。
ポリエチレン系樹脂(B)は、示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解温度が110〜135℃であることが好ましく、115℃〜130℃であることがより好ましく、118℃〜128℃であることがさらに好ましい。結晶融解温度を上記範囲にすることで、透明性と防湿性を両立することができる。また、結晶融解熱量が100〜170J/gであることが好ましく、110〜165J/gであることがより好ましく、120〜160J/gであることがさらに好ましい。
なお、該結晶融解温度は、示差走査熱量計を用いて、JIS K7121に準じて加熱速度10℃/分で測定することができ、該結晶融解熱量は、示差走査熱量計を用いて、JIS K7122に準じて加熱速度10℃/分で測定することができる。
・結晶核剤(C)
本発明の熱収縮性積層フィルムの水蒸気バリア層はポリエチレン系樹脂(B)の他に透明性、水蒸気バリア性を向上させる目的で結晶核剤(C)をさらに含むことが好ましい。
結晶核剤(C)は、前記ポリエチレン系樹脂(B)の透明性、水蒸気バリア性を向上させる効果が認められれば、その種類は特に制限されない。例えば、ジベンジリデンソルビトール(DBS)化合物、1,3−O−ビス(3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、ジアルキルベンジリデンソルビトール、少なくとも一つの塩素または臭素置換基を有するソルビトールのジアセタール、ジ(メチルまたはエチル置換ベンジリデン)ソルビトール、炭素環を形成する置換基を有するビス(3,4−ジアルキルベンジリデン)ソルビトール、脂肪族、脂環族、および芳香族のカルボン酸、ジカルボン酸または多塩基性ポリカルボン酸、相当する無水物および金属塩などの有機酸の金属塩化合物、環式ビス−フェノールホスフェート、2−ナトリウムビシクロ[2.2.1]ヘプテンジカルボン酸などの二環式ジカルボン酸及び塩化合物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−ジカルボキシレートなどの二環式ジカルボキシレートの飽和の金属または有機の塩化合物、1,3:2,4−O−ジベンジリデン−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−エチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−イソプロピルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−n−プロピルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−n−ブチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−イソプロピルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−n−ブチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2,3−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2,4−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2,5−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3,4−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3,5−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2,3−ジエチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2,4−ジエチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2,5−ジエチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3,4−ジエチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3,5−ジエチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2,4,5−トリメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3,4,5−トリメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2,4,5−トリエチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3,4,5−トリエチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルオキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルオキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−イソプロピルオキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−n−プロピルオキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−n−ブチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−クロロベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−クロロベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−[(5,6,7,8,−テトラヒドロ−1−ナフタレン)−1−メチレン]−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−[(5,6,7,8,−テトラヒドロ−2−ナフタレン)−1−メチレン]−D−ソルビトール、1,3−O−ベンジリデン−2,4−O−p−メチルベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−p−メチルベンジリデン−2,4−O−ベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−ベンジリデン−2,4−O−p−エチルベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−p−エチルベンジリデン−2,4−O−ベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−ベンジリデン−2,4−O−p−クロルベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−p−クロルベンジリデン−2,4−O−ベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−ベンジリデン−2,4−O−(2,4−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3−O−(2,4−ジメチルベンジリデン)−2,4−O−ベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−ベンジリデン−2,4−O−(3,4−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3−O−(3,4−ジメチルベンジリデン)−2,4−O−ベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−p−メチル−ベンジリデン−2,4−O−p−エチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−エチル−ベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−p−メチル−ベンジリデン−2,4−O−p−クロルベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−p−クロル− ベンジリデン−2,4−O−p−メチルベンジリデン−D−ソルビトールなどのジアセタール化合物、ナトリウム2,2’−メチレン−ビス−(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェート、アルミニウムビス[2,2’−メチレン−ビス−(4−6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェート]、燐酸2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ナトリウムや、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マーガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘニン酸、モンタン酸等の脂肪酸、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド、ヘベニン酸アミドなどの脂肪酸アミド、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩、シリカ、タルク、カオリン、炭化カルシウム等の無機粒子、グリセロール、グリセリンモノエステルなどの高級脂肪酸エステル、及び類似物を挙げることができる。
これらの中でも、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド、ヘベニン酸アミドなどの脂肪酸アミド、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩が特に好ましい。
以上の結晶核剤(C)は、これらのうちの一種を単独で用いることも、また、これらのうちの二種類以上を選択して組み合わせて併用することもできる。
結晶核剤(C)の具体例としては、新日本理化社製「ゲルオールD」シリーズ、旭電化工業社製「アデカスタブ」シリーズ、ミリケンケミカル社製「Millad」シリーズ、「Hyperform」シリーズ、BASF社製「IRGACLEAR」シリーズ等が挙げられ、また結晶核剤のマスターバッチとしては理研ビタミン社製「リケマスターCN」シリーズ、ミリケンケミカル社製「HL3−4」等があげられる。
・水蒸気バリア層の組成
水蒸気バリア層におけるポリエチレン系樹脂(B)の含有量は、80質量%以上99質量%以下であることが好ましく、85質量%以上98.5質量%以下であることがより好ましく、90質量%以上98質量%以下であることがさらに好ましい。ポリエチレン系樹脂(B)の含有量を上記数値範囲内とすることにより、積層フィルムに所望の水蒸気バリア性を付与することができる。
水蒸気バリア層における結晶核剤(C)の含有量は、0.01質量%以上3.0質量%以下であることが好ましく、0.02質量%以上2.5質量%以下であることがより好ましく、0.03質量%以上2.0質量%以下であることがさらに好ましい。結晶核剤(C)の含有量を上記数値範囲内とすることにより、透明性および水蒸気バリア性を向上させることができる。また、マスターバッチ(MB)として加える場合は、MB中の結晶核剤(C)の含有量が上記範囲となるようにして加えればよい。
・環状オレフィン系樹脂(E)
本発明の水蒸気バリア層にはポリエチレン系樹脂(B)と結晶核剤(C)以外の熱可塑性樹脂が含まれていてもよく、具体的には、密度が0.940g/cmを超えるポリエチレン系樹脂や、環状オレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の樹脂材料などが挙げられる。中でも、環状オレフィン系樹脂(E)が好ましい。
環状オレフィン系樹脂(E)のガラス転移温度は100℃以下が好ましく、90℃以下がより好ましく、80℃以下がさらに好ましい。ガラス転移温度を100℃以下とすることで、製膜時の延伸性を向上させることができる。一方、ガラス転移温度の下限値は特に設けないが、水蒸気バリア性やハンドリング性維持の点から40℃以上が好ましい。
なお、ガラス転移温度は、示差走査熱量計を用いて、JIS K7121に準じて測定することができる。
水蒸気バリア層への環状オレフィン系樹脂の含有量は5質量%以上40質量%以下が好ましく、10質量%以上30質量%以下がより好ましい。
・水蒸気バリア層の各種物性
本発明の水蒸気バリア層の厚さ30μmにおける水蒸気透過率は8.0g/m/24hr以下が好ましく、7.0g/m/24hr以下がより好ましく、6.0g/m/24hr以下がさらに好ましい。水蒸気透過率を8.0g/m/24hr以下とすることで表面層と積層した際に水蒸気バリア性を付与することができる。
異なる厚さの水蒸気バリア層の水蒸気透過率は、厚さ30μmでの水蒸気透過率となるよう以下の計算より求めることができる。
厚さ30μmの水蒸気透過率=(実測水蒸気透過率)×〔(実測厚さ(μm))/(30μm)〕
本発明の水蒸気バリア層の厚さ30μmにおける内部ヘーズは8.0%以下が好ましく、7.0%以下がより好ましく、6.0%以下がさらに好ましい。内部ヘーズを8.0%以下とすることで包装体としての内容物視認性や印刷柄視認性、発色性を維持することができる。
異なる厚さの水蒸気バリア層の内部ヘーズは、厚さ30μmでの内部ヘーズとなるよう以下の計算より求めることができる。
厚さ30μmの内部ヘーズ=(実測内部ヘーズ)×〔(30μm)/(実測厚さμm)〕
本発明の水蒸気バリア層の周波数10Hz、温度90℃の条件で測定された固体粘弾性の貯蔵弾性率E´は1.0×10Pa以上2.5×10Pa以下が好ましく、2.0×10Pa以上2.2×10Pa以下がより好ましく、3.0×10Pa以上2.0×10Pa以下がさらに好ましい。90℃における貯蔵弾性率を1.0×10Pa以上にすることで延伸後の収縮性が付与でき、2.5×10Pa以下にすることで延伸時の延伸ムラ、破断を抑えることができる。
水蒸気バリア層には、その他の成分として、可塑剤、充填材、紫外線安定化剤、着色防止剤、蛍光増白剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、スリップ剤、離型剤、抗酸化剤、イオン交換剤、分散剤、紫外線吸収剤等の添加剤を含んでいてもよい。
(熱収縮性積層フィルムの層構成)
本発明の熱収縮性積層フィルムは、表面層と水蒸気バリア層の少なくとも2層を有すればよい。表面層と水蒸気バリア層は、それぞれ複数層あってもよく、例えば、(表面層)/(水蒸気バリア層)/(表面層)の順に少なくとも3層を有することが好ましい。
表面層と水蒸気バリア層の積層比(厚さ比)は、(表面層):(水蒸気バリア層)=10:1〜1:10が好ましく、(表面層):(水蒸気バリア層)=8:1〜1:5がより好ましく、(表面層):(水蒸気バリア層)=6:1〜1:4がさらに好ましい。表面層と水蒸気バリア層の積層比を上記範囲とすることで、延伸性及び熱収縮性と水蒸気バリア性を付与することができる。なお、表面層、水蒸気バリア層がそれぞれ複数層の場合は、それぞれの層の合計の積層比が上記範囲に入っていることが好ましい。例えば、(表面層)/(水蒸気バリア層)/(表面層)の場合は、表面層の合計と、水蒸気バリア層との積層比が上記範囲に入っていることが好ましい。
本発明のフィルムは表面層と水蒸気バリア層の他にガスバリア層や接着層を備える構成であってもよい。ガスバリア層としては、例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ナイロンMXD−6、環状ポリオレフィン等のガスバリア性を有する樹脂を含む層を用いることができる。エチレン−ビニルアルコール共重合体としては、エバール(株式会社クラレ製)、ソアノール(三菱ケミカル株式会社製)などを使用することができる。また、接着層としては、例えば、ポリオレフィン系接着樹脂である、アドマー(三井化学株式会社製)、モディック(三菱ケミカル株式会社製)などを使用することができる。
本発明の熱収縮性積層フィルムの厚さは5μm以上500μm以下が好ましく、10μm以上450μm以下がより好ましい。特に、容器に被覆後に延伸されるような二次加工を有する用途では厚さは200μm以上500μm以下であることが好ましく、スキンパック包装等の二次加工時に延伸を必要としない用途では、5μm以上200μm以下が好ましい。
(熱収縮性積層フィルムの各物性)
本発明のフィルムの厚さ30μmにおける水蒸気透過率は15.0g/m/24hr以下が好ましく、12.0g/m/24hr以下がより好ましく、10.0g/m/24hr以下がさらに好ましい。
異なる厚さのフィルムの水蒸気透過率は、厚さ30μmでの水蒸気透過率となるよう以下の計算より求めることができる。
厚さ30μmの水蒸気透過率=(実測水蒸気透過率)×〔(実測厚さ(μm))/(30μm)〕
本発明のフィルムの厚さ30μmにおける内部ヘーズは10%以下が好ましく、8%以下がより好ましく、5%以下がさらに好ましい。内部ヘーズを10%以下とすることで包装体としての内容物視認性や印刷柄視認性、発色性を維持することができる。なお、異なる厚さのフィルムの内部ヘーズは、厚さ30μmでの内部ヘーズとなるよう以下の計算より求めることができる。
厚さ30μmの内部ヘーズ=(実測内部ヘーズ)×〔(30μm)/(実測厚さμm)〕
本発明のフィルムの振動周波数10Hz、90℃の条件で測定された固体粘弾性の貯蔵弾性率E´は1.0×10Pa以上1.0×10Pa以下が好ましく、2.0×10Pa以上9.0×10Pa以下がより好ましく、3.0×10Pa以上8.0×10Pa以下がさらに好ましい。90℃における弾性率を1.0×10Pa以上にすることで延伸後の収縮性が付与でき、1.0×10Pa以下にすることで延伸時の延伸ムラ、破断を抑えることができる。
本発明のフィルムの、90℃の温水中に10秒間浸漬させた際の熱収縮率はフィルムの場合には流れ方向(MD)、流れ方向に対し垂直方向(TD)それぞれが15〜60%であることが好ましい。チューブの場合には、流れ方向(MD)の収縮率は、3〜20%であることが好ましく、5〜15%であることがより好ましい。流れ方向に対し垂直方向(TD)の収縮率は30〜50%であることが好ましく、35〜45%であることがより好ましい。ここで熱収縮率とは、フィルム流れ方向(MD)、または、該流れ方向に対し垂直方向(TD)について、収縮前の原寸に対する収縮量の比率を%値で表したものである。
<熱収縮性積層チューブ>
本発明の熱収縮性積層フィルムは、チューブ状である熱収縮性積層チューブであってもよい。チューブにすることによって、円筒状の被着体に被覆しやすくなり、また、袋体として真空パック包装などに容易に用いることができる。
<熱収縮性積層フィルムの製造方法>
次に、本発明の熱収縮性積層フィルムの製造方法について説明する。製造方法は、公知の各種の製造方法が適用でき、本発明の主旨を超えなければ特に制限されるものではない。フィルムの積層方法としては、例えば、Tダイによる共押出積層法、ラミネーション法、ドライラミネーション法などを挙げることができる。これらのうち本発明においては、溶融接着する共押出積層法が好適に用いられる。具体的には、複層数に応じた複数の押出機を用いて溶融押出し、フィードブロックやマルチマニホールドなどにより溶融樹脂を展開、積層化する方法である。
収縮性を付与するための方法としては、通常用いられるテンター法などの溶融押出された樹脂を一旦冷却固化することにより原反フィルムを採取し、次いで再加熱して延伸する方式も適宜可能である。また、フィルム流れ方向(MD)にロール延伸、流れ方向(MD)に対し垂直方向(TD)にテンター延伸をする方法を適用することもできる。
本発明のフィルムの流れ方向に対し垂直方向(TD)の延伸倍率は、1.4〜2.0倍が好ましく、1.5〜1.8倍がより好ましい。また、流れ方向(MD)には未延伸でもよいが、好ましくは1.02倍以上で1.25倍以下、好ましくは1.17倍以下の範囲の倍率で延伸させて得られたものが好ましい。
ここで、熱収縮性積層フィルムの流れ方向に対し垂直方向(TD)の延伸倍率が1.4倍以上であれば被覆するのに足りる収縮量が得られ、また2.0倍以下であれば、被覆炉内の温度ムラや被覆炉への侵入方向によるチューブの収縮ムラを抑えることができる。一方、熱収縮性積層フィルムの流れ方向(MD)の延伸倍率が1.25倍以下であれば、流れ方向(MD)の収縮量が大きくなりすぎて、被覆加工したときに被覆位置がずれる現象や、カット長さを長くする必要もないためコストアップを抑えることができる。
上記した方法で得られた熱収縮性積層フィルムは、熱収縮率の調整、自然収縮率の低減やカールの発生を抑制する等の為に、必要に応じて、加熱ロール間での縦延伸、各種の熱固定、エージング等の熱処理を行うことができる。また防曇性、帯電防止性、粘着性等を付与、促進させる目的で、コロナ放電や熟成等の処理、さらには、印刷、コーティング等の表面処理又は表面加工を行うこともできる。
<熱収縮性積層チューブの製造方法>
次に、本発明の熱収縮性積層チューブの製造方法について説明する。製造方法は、公知の各種の製造方法が適用でき、本発明の主旨を超えなければ特に制限されるものではない。積層方法としては、フィルムの積層方法と同様に溶融接着する共押出積層法が好ましく、具体的には環状ダイまたは多層環状ダイを用いる方法がある。環状ダイまたは多層環状ダイより未延伸チューブを押出し、ついで延伸してシームレスの熱収縮性積層チューブとする方法が好ましい方法として挙げられる。その他、Tダイを用いて押出・延伸したフィルムを融着、溶着又は接着などにより貼合せてチューブ形状とする方法、さらに前記フィルムをスパイラル状に貼合せてチューブ形状とする方法などが挙げられる。
ここで、環状ダイあるいは多層環状ダイを用いて未延伸チューブを押出し、次いで延伸して熱収縮性積層チューブとする方法についてさらに詳細に説明する。前記した樹脂組成物は、溶融押出装置により加熱溶融され、環状ダイあるいは多層環状ダイから連続的に押し出した後、強制的に冷却され未延伸チューブに成型される。強制冷却の手段としては、低温の水に浸漬する方法、冷風による方法等を用いることができる。中でも低温の水に浸漬する方法が、冷却効率が高く有効である。この未延伸チューブを連続的に次の延伸工程に供給してもよく、また一度、未延伸チューブをロール状に巻き取った後、このロールを次の延伸工程の原反として用いてもよい。製造効率や熱効率の点から未延伸チューブを連続的に次の延伸工程に供給する方法が好ましい。
このようにして得られた未延伸チューブは、チューブ内側より圧縮気体で加圧し、延伸する。延伸方法は特に限定されるものではないが、例えば未延伸チューブの一方の端から圧縮気体による圧力を未延伸チューブの内側に加えつつ一定速度で送り出し、次いで温水又は赤外線ヒーター等により加熱し、流れ方向に対し垂直方向(TD)の延伸倍率を規制するために冷却された円筒管の中を通して固定倍率の延伸を行う。円筒管の適当な位置で延伸される様に温度条件等を調整する。円筒管で冷却された延伸後のチューブは、一対のニップロールにより挟んで延伸張力を保持しながら延伸チューブとして引き取り巻取られる。延伸は、流れ方向(MD)又は流れ方向に対し垂直方向(TD)のいずれの順序でもよいが、同時に行うのが好ましい。
延伸条件は、使用する樹脂組成物の特性や目的とする熱収縮率などにより調整される。
流れ方向(MD)の延伸倍率は、未延伸チューブの送り速度と延伸後のニップロール速度との比で決められ、流れ方向に対し垂直方向(TD)の延伸倍率は未延伸チューブの内径と延伸チューブの内径との比で決められる。これ以外の延伸加圧方法として、未延伸チューブ送り出し側と延伸チューブ引き取り側の双方をニップロールに挟み封入した圧縮気体の内圧を維持する方法も採用できる。
本発明の熱収縮性積層チューブは、未延伸チューブを流れ方向に対し垂直方向(TD)及び流れ方向(MD)に延伸して作製される。このとき流れ方向に対し垂直方向(TD)の延伸倍率は、1.4〜2.0倍が好ましく、1.5〜1.8倍がより好ましい。また、流れ方向(MD)には未延伸でもよいが、好ましくは1.02倍以上で1.25倍以下、好ましくは1.17倍以下の範囲の倍率で延伸させて得られたものが好ましい。
ここで、熱収縮性積層チューブの流れ方向に対し垂直方向(TD)の延伸倍率が1.4倍以上であれば被覆するのに足りる収縮量が得られ、また2.0倍以下であれば、被覆炉内の温度ムラや被覆炉への侵入方向によるチューブの収縮ムラを抑えることができる。一方、熱収縮性積層チューブの流れ方向(MD)の延伸倍率が1.25倍以下であれば、流れ方向(MD)の収縮量が大きくなりすぎて、被覆加工したときに被覆位置がずれる現象や、カット長さを長くする必要もないためコストアップを抑えることができる。
以下、本発明の効果を明確にするために実施した実施例に基づいて本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例及び比較例によって何ら限定されるものではない。
<使用原料>
アイオノマー樹脂(A)
IO(A−1):(三井・デュポンポリケミカル社製 エチレン−メタクリル酸共重合体のZnイオン中和タイプ、MFR=0.9g/10分(190℃、荷重21.17N))
ポリエチレン系樹脂(B)
LLDPE(B−1):(宇部丸善ポリエチレン社製 直鎖状低密度ポリエチレン、密度0.938g/cm、結晶融解温度126℃、融解熱量159J/g)
HDPE(B−2):(旭化成社製 高密度ポリエチレン、密度0.947g/cm、結晶融解温度128℃、融解熱量173J/g)
LLDPE(B−3):(宇部丸善ポリエチレン社製 直鎖状低密度ポリエチレン、密度0.944g/cm、結晶融解温度128℃、融解熱量169J/g)
LLDPE(B−4):(宇部丸善ポリエチレン社製 直鎖状低密度ポリエチレン、密度0.931g/cm、結晶融解温度122℃、融解熱量136J/g)
結晶核剤(C)
結晶核剤MB(C−1):ステアリン酸亜鉛系結晶核剤1.36質量%HDPEマスターバッチ
ポリオレフィン系樹脂(D)
rPP(D−1):(日本ポリプロピレン社製 メタロセン系ランダムポリプロピレン、MFR=7.0g/10分(230℃、荷重21.17N))
<熱収縮性積層フィルム>
(実施例1)
表面層にIO(A−1)を95質量%とrPP(D−1)5質量%をドライブレンドして配合したものを用い、水蒸気バリア層にLLDPE(B−1)を97.5質量%と結晶核剤MB(C−1)2.5質量%をドライブレンドしたものを用いた。各層の樹脂を、単軸押出機を用いてフィードブロック法により共押出成形し、積層比(表面層):(水蒸気バリア層):(表面層)=1:5:1の総厚さ270μmの熱収縮性積層フィルムを得た。評価結果を表1に示す。
(実施例2)
積層比を(表面層):(水蒸気バリア層):(表面層)=1:2:1とした以外は実施例1と同様に熱収縮性積層フィルムを製膜し評価した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
(比較例1)
表面層の単層とした以外は実施例1と同様に熱収縮性積層フィルムを製膜し評価した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
(比較例2)
水蒸気バリア層にHDPE(B−2)を97.5質量%と結晶核剤MB(C−1)2.5質量%をドライブレンドしたものを用いた以外は実施例2と同様に熱収縮性積層フィルムを製膜し評価した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
(比較例3)
水蒸気バリア層にLLDPE(B−3)を97.5質量%と結晶核剤MB(C−1)2.5質量%をドライブレンドしたものを用いて、積層比を(表面層):(水蒸気バリア層):(表面層)=1:3:1とした以外は実施例1と同様に熱収縮性積層フィルムを製膜し評価した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
<水蒸気バリア層の評価>
各実施例および比較例の水蒸気バリア層について単軸押出機を用いて厚さ30μmの水蒸気バリア層のみの単層フィルムを製膜し水蒸気透過率、内部ヘーズ、および、90℃貯蔵弾性率の評価を行った。
(水蒸気透過率)
水蒸気透過率の測定はJIS K7129Bに基づき、MOCON社製PERMATRAN W 3/33を用いて、40℃、90%RHの雰囲気下において行った。
(内部ヘーズ)
JIS K 7120に準ずる方法で内部ヘーズを測定した。
(90℃貯蔵弾性率)
振動周波数10Hz、90℃の条件で固体粘弾性の弾性率E´を測定した。
<熱収縮性積層フィルムの延伸性の評価>
(90℃延伸性)
得られた熱収縮性積層フィルムをストレッチャーにて90℃、引張速度50mm/minにてTD方向に2倍延伸を行い以下の基準で評価した。
○:延伸ムラなく延伸できる。
△:一部ムラがみられるが、実用可能範囲。
×:延伸ムラがあり、無延伸部分や破断がみられる。
(90℃貯蔵弾性率)
得られた熱収縮性積層フィルムの振動周波数10Hz、90℃の条件で固体粘弾性の弾性率E´を測定した。
<熱収縮性積層フィルムの他の評価>
(水蒸気透過率)
得られた熱収縮性積層フィルムを用いて水蒸気透過率の測定を行った。測定はJIS K7129Bに基づき、MOCON社製PERMATRAN W 3/33を用いて、40℃、90%RHの雰囲気下において行い、厚さ30μmでの水蒸気透過率となるよう以下の計算より求めた。
厚さ30μmの水蒸気透過率=(実測水蒸気透過率)×〔(実測厚さ270μm)/(30μm)〕
また、以下の基準で評価した。
○:15.0g/m/24hr以下
×:15.0g/m/24hrより大きい
(内部ヘーズ)
得られた熱収縮性積層フィルムを用いてJIS K 7120に準ずる方法で内部ヘーズを測定した。
厚さ30μmでの内部ヘーズとなるよう以下の計算より求めた。
厚さ30μmの内部ヘーズ=(実測内部ヘーズ)×〔(30μm)/(実測厚さ270μm)〕
Figure 2020179565
実施例1、2は水蒸気バリア層に密度0.940g/cm以下のLLDPEを使用しているため、収縮性付与のための延伸性と水蒸気バリア性が共に良好であった。一方、比較例1では水蒸気バリア層がない為、水蒸気透過率が高くなっていた。比較例2、3では水蒸気バリア層のポリエチレン系樹脂の密度が高く、積層フィルムおよび水蒸気バリア層の弾性率が高いため90℃での延伸が困難であり、熱収縮性積層フィルムとしての収縮性付与ができなかった。
<熱収縮性積層チューブ>
(実施例3)
表面層にIO(A−1)を95質量%とrPP(D−1)5質量%をドライブレンドし配合したものを用い、水蒸気バリア層にLLDPE(B−1)を97.5質量%と結晶核剤MB(C−1)2.5質量%をドライブレンドしたものを用いた。各層の樹脂を単軸押出機で溶融し、環状ダイを用いて、内径18.3mmの未延伸チューブを成形し、続いてこの未延伸チューブを温水により加熱し、チューブ内側より圧縮気体で加圧し、延伸することにより、熱収縮性積層チューブを作製した。なお、熱収縮性積層チューブの内径は30.5mm、厚さは299μmであった。積層比は(表面層):(水蒸気バリア層):(表面層)=1:1:1とした。得られたチューブの評価結果を表2に示す。
(実施例4)
水蒸気バリア層にLLDPE(B−4)を97.5質量%と結晶核剤MB(C−1)2.5質量%をドライブレンドしたものを用いた以外は実施例3と同様に熱収縮性積層チューブを製膜し評価した。得られたチューブの評価結果を表2に示す。
(実施例5)
積層比を(表面層):(水蒸気バリア層):(表面層)=2:1:2とした以外は実施例4と同様に熱収縮性積層チューブを製膜し評価した。得られたチューブの評価結果を表2に示す。
(比較例4)
表面層の単層とした以外は実施例3と同様に熱収縮性積層チューブを製膜し評価した。得られたチューブの評価結果を表2に示す。
(延伸性)
製膜安定性を以下の基準で評価した。
○:延伸ムラによる破断がなく、製品の層間剥離による外観異常が認められない。
△:延伸ムラによる破断はないが、延伸後の製品幅の変動がみられる。また、製品の層間剥離による、外観異常が認められる。
×:延伸ムラによる破断が多発し、製品採取が不能。
(収縮性)
得られたチューブを長さ(MD)100mmにカットし、温水浸漬前のTDの製品幅を測定する。その後、90℃の温水に10秒つけ、MDの長さ、TDの製品幅を測定し、以下の計算により収縮率を求める。
MD収縮率[%]=[(浸漬前の長さ−浸漬後の長さ)/浸漬前の長さ)]×100
TD収縮率[%]=[(浸漬前の製品幅−浸漬後の製品幅)/(浸漬前の製品幅)]×100
○:MD収縮率3〜20%かつTD収縮率30〜50%
×:MD収縮率3%未満、20%より大きい、TD収縮率30%未満、50%より大きい
(水蒸気透過率)
得られたチューブを用いて水蒸気透過率の測定を行った。測定はJIS K7129Bに基づき、MOCON社製PERMATRAN W 3/33を用いて、40℃、90%RHの雰囲気下において行い、厚さ30μmでの水蒸気透過率となるよう以下の計算より求めた。
厚さ30μmの水蒸気透過率=(実測水蒸気透過率)×〔(実測厚さ299μm)/(30μm)〕
得られた結果を以下の基準で評価した。
○:15.0g/m/24hr以下
×:15.0g/m/24hrより大きい
Figure 2020179565
実施例3〜5は水蒸気バリア層に密度0.940g/cm以下のLLDPEを使用しているため、延伸性、収縮性、および、水蒸気バリア性のいずれも良好である。比較例4は、水蒸気バリア層がなく表面層単層のため水蒸気透過率が高かった。

Claims (12)

  1. アイオノマー樹脂(A)を主成分として含む表面層と密度が0.940g/cm以下であるポリエチレン系樹脂(B)を主成分として含む水蒸気バリア層との少なくとも2層を有する熱収縮性積層フィルム。
  2. 前記ポリエチレン系樹脂(B)が直鎖状低密度ポリエチレンである請求項1に記載の熱収縮性積層フィルム。
  3. 前記水蒸気バリア層が、結晶核剤(C)をさらに含む請求項1または請求項2に記載の熱収縮性積層フィルム。
  4. 前記表面層が、ポリオレフィン系樹脂(D)をさらに含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の熱収縮性積層フィルム。
  5. 前記表面層における前記アイオノマー樹脂(A)の含有量が、60質量%以上99質量%以下である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の熱収縮性積層フィルム。
  6. (表面層)/(水蒸気バリア層)/(表面層)の順に積層された少なくとも3層を有する請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の熱収縮性積層フィルム。
  7. 厚さ30μmにおける水蒸気透過率が15.0g/m/24hr以下である、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の熱収縮性積層フィルム。
  8. 前記水蒸気バリア層が、さらに環状オレフィン系樹脂(E)を含む請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の熱収縮性積層フィルム。
  9. 前記表面層と水蒸気バリア層の積層比が(表面層):(水蒸気バリア層)=10:1〜1:10の範囲である請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の熱収縮性積層フィルム。
  10. 請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の熱収縮性積層フィルムがチューブ状である熱収縮性積層チューブ。
  11. 請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の熱収縮性積層フィルムを用いた包装体。
  12. 請求項10に記載の熱収縮性積層チューブを用いた包装体。
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