JP3727957B2 - 被記録媒体、これを用いたインクジェット記録方法、印字物、分散液、これを用いた被記録媒体の製造方法 - Google Patents
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【産業上の利用分野】
本発明は、水性インクを用いた記録に適する被記録媒体、これを用いたインクジェット記録方法及び印字物に関するものであり、特に画像濃度及び解像度が高く、色調が鮮明で、インク吸収能力に優れ、かつ色味変化がなく、色再現性が良好で光沢の高い被記録媒体、これを用いたインクジェット記録方法及び印字物に関するものである。
【0002】
また、本発明は、上記被記録媒体を製造するのに好適な分散液及びこれを用いた被記録媒体の製造方法に関するものである。
【0003】
【従来の技術】
近年、インクジェット記録方式は、インクの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて、紙などの被記録媒体に付着させ、画像、文字などの記録を行なうものであるが、高速低騒音、多色化が容易、記録パターンの融通性が大きく、現像、定着が不要などの特徴があり、各種画像の記録装置として情報機器をはじめ各種の用途において急速に普及している。さらに多色インクジェット方式により形成される画像は、製版方式による多色印刷や、カラー写真方式による印画と比較して遜色のない記録を得ることも可能であり、作成部数が少ない場合には通常の多色印刷や印画によるよりも安価であることからフルカラー画像記録分野にまで広く応用されつつある。記録の高速化、高精細化、フルカラー化などの記録特性の向上に伴って記録装置、記録方法の改良が行われてきたが、被記録媒体に対しても高度な特性が要求されるようになってきた。
【0004】
従来から多種多様の被記録媒体の形態が提案されてきた。例えば特開昭52−53012号公報には低サイズの原紙に表面加工用塗料を浸潤させるインクジェット用紙が開示されている。特開昭53−49113号公報には尿素−ホルマリン樹脂粉末を内添したシートに水溶性高分子を含浸させたインクジェット用紙が開示されている。特開昭55−5830号公報には支持体表面にインク吸収性の塗工層を設けたインクジェット記録用紙が開示され、特開昭55−51583号公報には被覆層中の顔料として非晶質シリカを用いた例が開示され、特開昭55−146786号公報には水溶性高分子塗工層を用いた例が開示されている。
【0005】
また近年、ベーマイト構造のアルミナ水和物を用いた塗工層を有する被記録媒体が提案されており、例えば、米国特許明細書第4879166号、同5104730号、特開平2−276670号公報、同4−37576号公報、同5−32037号公報に開示されている。
【0006】
これらのアルミナ水和物を用いた被記録媒体は、アルミナ水和物が正電荷を持っているため、インク染料の定着が良く、発色の良い画像が得られること、従来、シリカ化合物を用いることで発生していた黒色インクの茶変、耐光性などの問題点がないこと、更に、画質特にフルカラー画像における画質の点で従来の被記録媒体に比べ好ましいなどの長所がある。しかしながら、このアルミナ水和物の持つ長所を被記録媒体に十分発揮させるためには以下の改善が必要である。
【0007】
1)アルミナ水和物を含む分散液の粘度の経時的上昇により塗工困難になるため、液の固形分濃度を高くすることができないという問題点がある。特開平4−67986号公報にはバインダーポリマーの重合度を下げる方法が開示されているが、インク受容層のひび割れ、などの外観不良や耐水性低下などの問題点があり十分な改良がなされていない。
【0008】
2)アルミナ水和物を含む分散液の粘度が高いため固形分濃度を高くできないという問題点がある。特開平4−67985号公報には、分散剤としてモノカルボン酸などの酸を添加する方法が開示されているが、刺激臭が発生したり腐食が発生するなどの製造上の問題点が発生する。
【0009】
3)インクの吸収性や画像の解像度を改良するために、米国特許明細書第5104730号、特公平3−72460号公報、特開平4−37576号公報には、インク受容層を2層または多層構成にする方法が開示されている。しかし、インク受容層の塗工・乾燥が2回になって工数が増えるという問題が発生している上に、各層の物性値が異なるため経時変化、インク受容層のひび割れなどの外観不良、印字などで各層が分離して剥がれるという問題点も生じている。
【0010】
4)本発明者らが、上記引用の従来技術について検討したところ、インク吸収性と解像度は、インク受容層の厚みに依存しており、十分なインク吸収性と解像度を得るには、およそ15μm以上、好ましくは20μm以上の厚みが必要であることがわかった。
【0011】
上記引用の従来技術における材料系、即ちアルミナ水和物とポリビニルアルコール等の水溶性高分子バインダーでは、このような厚みを有する良好なインク受容層を効率良く得るのは容易ではない。
【0012】
例えば、インク受容層を多数回塗工し厚いインク受容層を得る方法があるが、上記3)と同様の問題が生じる。また、一回の塗工で厚いインク受容層を得る方法では、長時間乾燥が必要であるため塗工速度が極めて遅くなり生産性が低下し、コストアップになるという改善すべき点、塗工時間が長くなるため分散液の粘度が経時的に上昇するという改善すべき点及び上記1)同様の問題点がある。また長い乾燥炉を有する塗工機が必要となるということもある。更に、分散液の固形分濃度を高くして塗工を行う方法があるが、上記1)、2)の改善すべき点がある。
【0013】
5)アルミナ水和物の分散液は、良好な分散状態を保つ為に、特開平4−67985号公報に開示されているモノカルボン酸などの有機酸や無機酸が通常数10%添加されている。このようなアルミナ水和物から形成されたインク受容層においては、この酸の影響で、印字されたインクの色味が変化してしまうという問題点がある。
【0014】
6)上記5)の問題点に対して、インクの改良により対処する方法があるが、現状極めて困難であり、長期間にわたる検討が必要である。即ち、インクジェット記録方式において用いられるインクは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックであり、色再現性の優れたカラー画像を得るには、それぞれのインクの最大波長を各色の適正な波長領域にするために数多くの染料の分子構造設計が行われているが、それは、煩雑な工程を要し、条件的、収率的に問題があるのが現状である。更に色再現性を染料の改良により実現しようとするとしばしば最大色濃度を得ることが困難になる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
このような問題に対して本発明者らが鋭意検討した結果、インクジェット記録によるカラー画像は、被記録媒体に印字されたインク中に含まれる染料が、被記録媒体のインク受容層に染着されてカラー画像が得られるのであるから、この被記録媒体の特性が、得られたカラー画像の品質を大きく支配するものであるということを知見した。また、優れた色再現性を実現することについても同様に被記録媒体を改良することにより可能であることも判った。インクの改良によって、各色良好な色味を得ても、被記録媒体により色味が変化してしまっては、良好なカラー画像を得ることはできず、また被記録媒体に合わせたインクを調製した場合、被記録媒体ごとにインクをかえなくてはならない。従って、インクの色味を忠実に再現する被記録媒体が最も好ましく、そのために被記録媒体の改良こそが、良好な色再現性を得るために必要なことである。
【0016】
しかしながら、被記録媒体の改良により色再現性を向上することについて言及した文献は本発明者らの知り得る限り皆無である。
【0017】
そこで本発明は、上記問題点を解決する目的でなされたものであり、画像濃度及び解像度が高く、色調が鮮明で、良好なインク吸収性、かつ色味変化がなく、色再現性の良い、光沢の高い被記録媒体、これを用いたインクジェット記録方法および印字物を提供するものである。
【0018】
また本発明は、上記被記録媒体を製造するのに好適な分散液及びこれを用いた被記録媒体の製造方法を提供するものである。
【0019】
【課題を解決するための手段及び作用】
上記問題点を解決するために、本発明者らが鋭意検討した結果、顔料として特定のアルミナ水和物と、バインダーとしてゲル化形成能を有する天然高分子物質またはその誘導体、特に特定の酸性法ゼラチンを用いることにより、酸性法ゼラチンの鋭敏なゾル−ゲル変換能とアルミナ水和物/酸性法ゼラチンの分散液のチクソ性を有効に利用し、従来困難であった厚いインク受容層を生産性良く安定的にを形成することができ、良好なインク吸収性と解像性を満足し、高画像濃度、かつ良好な色再現性を示すインク受容層を有する被記録媒体を得ることができることを見い出し本発明に至った。
【0020】
即ち本発明は、支持体上にインク受容層を有する被記録媒体において、前記インク受容層がBET比表面積70〜300m2/gのアルミナ水和物と、重量平均分子量20万〜2万の酸性法ゼラチンを含むバインダーと、を含有し、前記アルミナ水和物と前記バインダーとの混合比が重量比で1:1〜30:1であり、かつ前記インク受容層の厚さが少なくとも20μmであることを特徴とする被記録媒体である。
【0021】
また本発明は、BET比表面積70〜300m2/gのアルミナ水和物と、重量平均分子量20万〜2万の酸性法ゼラチンを含むバインダーとを、重量比1:1〜30:1の混合比で水に分散し、チクソ性の度合いを示すTI値が1.1〜5.0であることを特徴とする分散液である。
【0022】
本発明は、BET比表面積70〜300m2/gのアルミナ水和物と、重量平均分子量20万〜2万の酸性法ゼラチンを含むバインダーと、ゼラチンに対して100〜3000ppmのアルカリ土類金属とを含有し、前記アルミナ水和物と前記バインダーとの混合比が重量比で1:1〜30:1であることを特徴とする分散液である。
【0023】
更に本発明は、水性インクの小滴を微細孔から吐出させて被記録媒体に付与して印字を行うインクジェット記録方法において、被記録媒体として上記記載の被記録媒体を用いることを特徴とするインクジェット記録方法である。
【0024】
更にまた本発明は、水性インクの小滴を微細孔から吐出させて印字を行うインクジェット記録方法において、被記録媒体として上記記載の被記録媒体を用いて、水性インクの最大吸収波長をλ1、そのインクにより印字された被記録媒体の印字部の最大吸収波長をλ2とすると、
|λ1−λ2|≦30nm
であることを特徴とするインクジェット記録方法である。
【0025】
更にまた本発明は、インクドットにより上記に記載の被記録媒体に印字された印字物であって、JISZ 8741により測定される非印字部の光沢度Gs1(60)及び印字部の光沢度Gs2(60)が40以上であることを特徴とする印字物である。
【0026】
更にまた本発明は、インクドットにより上記に記載の被記録媒体に印字された印字物であって、JISZ 8741により測定される非印字部の光沢度Gs1(60)と印字部の光沢度Gs2(60)が、
|Gs1(60)−Gs2(60)|≦20
である関係を満たすことを特徴とする印字物である。
【0027】
以下に本発明の好ましい態様を示す。
【0028】
本発明の被記録媒体は、図1に示すように、基材上に主として顔料であるアルミナ水和物とバインダーからなるインク受容層が形成された構成である。アルミナ水和物は、正電荷を持っているためインク中の染料の定着が良く、発色の良い画像を得られる。従来、シリカ系化合物を用いることで発生していたブラックインクの茶変、耐光性などの問題点がないため、インク受容層に用いる材料としては最も好ましい。
【0029】
本発明で用いられるバインダーとしては、ゲル形成能(その水溶液(ゾル)を冷却することによりゲル化してゼリー状になる性質)を有し、かつ硬膜剤により架橋し得る水溶性高分子物質が用いられ、特にゼラチン、寒天、アルギン酸ナトリウム、カッパ−カラギナン、ラムダカラギナン、イオタカラギナン、ファーセレランなどが挙げられる。特に、その水溶液が温度変化により鋭敏にゾル−ゲル変換を行い得るという点でゼラチンが好ましい。
【0030】
ゼラチンのこのゾル−ゲル変換能(セット性)により、良好な厚みのインク受容層を生産性良く形成することができる。バインダーとしてゲル形成能のない通常の水溶性高分子、例えばポリビニルアルコールを用いても前述したようにレベリングし、だれてしまうため、15〜20μm以上の厚みのインク受容層を得るのは容易ではない。また、安全性等の観点からもゼラチンは好ましい。
【0031】
インクジェット記録用シ−トのインク受容層にゼラチンを用いた従来例としては、特開平5−16517号公報、特公平3−72460号公報、特開平2−289375号公報、米国特許明細書第188048号が挙げられるが、いずれもゼラチンはインク溶媒吸収の機能のみを有し、本発明で使用するゼラチンの機能とは本質的に異なる。
【0032】
本発明で好適に用いられるゼラチンは、豚皮、牛骨などを原料とし、脱灰工程を経たコラーゲン(オセイン)からの製造工程において、塩酸などの処理により製造されるもので、酸性法ゼラチンあるいは酸処理ゼラチンと呼ばれるものである。ここで本発明において使用される酸性法ゼラチンは、上記処理により製造された酸性法ゼラチンの他に上記処理により製造された酸性法ゼラチンを加水分解あるいは酵素分解して得られる低分子量の酸性法ゼラチンや、フタル化ゼラチン、アシル化ゼラチン、フェニルカルバミル化ゼラチン、アセチル化ゼラチン、コハク化ゼラチン、カルボキシ変性ゼラチン等の化学修飾を施した酸性法ゼラチンも含んでいる。
【0033】
更に、上記酸性法ゼラチンについて本発明者らが鋭意検討した結果、後述するアルミナ水和物との相性が良く、インクジェット記録方法に適した良好なインク受容層を形成し得るのは、ある特定範囲の分子量等の物性を有する酸性法ゼラチンがとりわけ好ましいことが見い出された。本発明者らの知り得る限り特定のアルミナ水和物のバインダーとして適した相性の良いゼラチンの物性範囲を示した例は皆無である。以下に本発明で好ましく用いられる酸性法ゼラチンの物性について列挙し説明する。
【0034】
1)重量平均分子量、数平均分子量
液体クロマトグラフィーにより求めることができ、重量平均分子量(Mw)は20万〜2万が好ましく、更に18万〜2万が好ましく、とりわけ17万〜22000が好ましい。数平均分子量(Mn)は10万〜1万が好ましく、更に85000〜14000が好ましい。また、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は、1.0〜3.5が好ましく、1.2〜3.4が更に好ましい。
【0035】
この範囲を越えると、アルミナ水和物/酸性法ゼラチン液の粘度が高くなり、塗工に工夫が必要であり、不溶物の析出がみられることがある。また、この範囲以下では、ゼラチンがゲル化せず、あるいはゲル化しても非常に柔らかく液状に近いため、液がレベリングしだれてしまい、厚いインク受容層を形成するのに工夫を要する。更に、皮膜性が低いため、印字前及び/又は印字後にクラックが生じ易い。
【0036】
2)ゼリー強度
ゼリーテスターを用いて測定することができ、その強度は400〜1が好ましく、更に、370〜1、より好ましくは350〜2の範囲である。
【0037】
この範囲を越えると、アルミナ水和物/酸性法ゼラチン液の粘度が極めて高くなり、塗工に工夫が必要であったり、不溶物の析出がみられたりする。また、この範囲以下では、ゼラチンがゼリー状にゲル化せず、あるいはゼリー状にゲル化しても非常に柔らかく液状に近いため、液がレベリングしだれてしまい、厚いインク受容層を形成するのに工夫を要する。
【0038】
3)pH値、等イオン点
pH値は、pHメーターにより測定され、9.0〜5.5が好ましく、更に8.5〜5.5が好ましい。等イオン点は、陽イオン交換樹脂/陰イオン交換樹脂を通した後pHメーターを用いて測定され、9.5〜5.5が好ましく、更に、9.5〜5.8が好ましい。
【0039】
また、pHと等イオン点の関係は、(pH値−0.1)≦等イオン点 であることが好ましい。
【0040】
この関係を満たさない場合は、ゼラチンの溶液状態の安定性が低下し、経時的にゼラチンの加水分解が進行し、アルミナ水和物/酸性法ゼラチン混合分散液の一定の物性値、例えば一定の粘度が得られなくなり、塗工・乾燥により得られるインク受容層の物性、例えば厚みや細孔半径、細孔容積が変化してしまうため、安定したインク受容層が得られにくくなる。
【0041】
ここで、上記1)〜3)の物性値については、PAGI法(写真用ゼラチン試験法、1992年)に規定される方法で測定されるものであり、詳細は、後述する実施例において説明する。
【0042】
4)膨潤率
本発明における膨潤率は、(膨潤した溶媒重量/酸性法ゼラチンの重量)x100により算出され(詳細は、実施例において説明する)、水に対する膨潤率が、500%以上、好ましくは500〜5000%、更に好ましくは700〜4000%になる酸性法ゼラチンが使用できる。
【0043】
また、エチレングリコールに対する膨潤率は、300%以上、300〜2000%、更に400〜1500%になる酸性法ゼラチンが好ましい。
【0044】
インクジェット用のインクは、染料と溶媒からなり、溶媒の大部分は水であるが、通常、高沸点溶媒が少量含まれており、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコ−ルなどの多価アルコ−ルなどが使われる。
【0045】
従来、被記録媒体のインク受容層として、水吸収性樹脂が使われることが知られているが、それらは、水に対して十分な吸収性、膨潤性を示すが、エチレングリコールに対する吸収性、膨潤性は極めて低かった。本発明で用いられる酸性法ゼラチンは、水、エチレングリコール両方に対して、良好な吸収性、膨潤性があり、本発明においては、後述するアルミナの細孔と同時に、この酸性法ゼラチンもインク吸収性に寄与するという効果を有している。
【0046】
5)ゼーター電位
酸性法ゼラチンの表面電位は、一般にゼーター電位測定装置で求めることができ、0.1%溶液のゼーター電位が−15mV以上であることが好ましく、更に−10mV以上であることが好ましい。
【0047】
この範囲以下では、理由は定かではないが、アルミナ水和物/酸性法ゼラチン液の粘度が極めて高くなり、塗工に工夫を要したり、不溶物の析出がみられることがある。
【0048】
上記特定の酸性法ゼラチンは、単独で用いても良いし、また2種以上混合して用いても良い。
【0049】
また、粘度調整、接着性向上、皮膜強度向上などの点で、重量平均分子量が2万未満のゼラチンや種々の水溶性高分子物質を併用しても良い。その量は、良好なインク受容層形成に支障をきたさない範囲であれば良く、使用する物質の種類等の条件により異なるため一概には言えないが、全バインダー量の約3%〜約35%程度である。
【0050】
上記の併用し得る水溶性高分子物質としては、具体的には例えば、天然高分子物質、でんぷん、酸化でんぷん、酢酸でんぷん、アミンでんぷん、カルボキシでんぷん、ジアルデヒドでんぷん、カチオンでんぷん、デキストリン、カゼイン、ブルラン、デキストラン、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、エチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アラビアゴム、トランガカントゴム、カラヤゴム、エコーゴム、ローストビーンガム、アルブミン、キチン、サッカロイドなどの天然高分子物質またはその誘導体;ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジニウム、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピラゾールなどのビニルポリマーまたはその誘導体;ポリアクリルアミド、ポリジメチルアミノアクリレート、ポリアクリル酸またはその塩、アクリル酸−メタクリル酸共重合体またはその塩、ポリメタクリル酸またはその塩、アクリル酸−ビニルアルコール共重合体またはその塩などのアクリル基含有ポリマー;SBRラテックス,NBRラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのラテックス類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンイミン、無水マレイン酸またはその共重合体などが挙げられ、これらのものの1種または2種以上を酸性法ゼラチンと併用しても良い。
【0051】
アルミナ水和物と酸性法ゼラチンを含むバインダーの混合比は、重量比で1:1〜30:1、より好ましくは、5:1〜25:1の範囲から任意に選択できる。バインダーの量が上記範囲より少ない場合は、インク受容層の機械的強度が不足して、ひび割れや粉落ちが発生し易く、上記範囲を越える場合は、細孔容積が少なくなってインク吸収性が低下する。
【0052】
本発明に用いられる酸性法ゼラチンは、硬膜剤により硬膜することが可能で、硬膜することによりインク受容層の耐水性を向上することができるものである。
【0053】
硬膜剤の具体例としては、ホルムアルデヒド、グリオキザール、グルタールアルデヒドなどのアルデヒド系化合物;ジアセチル、シクロペンタンジオンなどのケトン系化合物;ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4、6−ジクロロ−1、3、5−トリアジン、2、4−ジクロロ−6−S−トリアジン・ナトリウム塩などの活性ハロゲン化合物;ジビニルスルホン酸、1、3−ビニルスルホニル−2−プロパノール、N、N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセタミド)、1、3、5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−S−トリアジンなどの活性ビニル化合物;ジメチロール尿素、メチロールジメチルヒダントインなどのN−メチロール化合物;1、6−ヘキサメチレンジイソシアネートなどのイソシアネート系化合物;米国特許第3017280号、同第2983611号に記載されたアジリジン系化合物;米国特許第3100704号に記載されたカルボキシイミド系化合物;グリセロールトリグリシジルエーテルなどのエポキシ系化合物;1、6−ヘキサメチレン−N、N’−ビスエチレン尿素などのエチレンイミノ系化合物;ムコクロル酸、ムコフェノキシクロル酸などのハロゲンカルボキシアルデヒド系化合物;2、3−ジヒドロキシジオキサンなどのシオキサン系化合物;クロム明ばん、カリ明ばん、硫酸ジルコニウム、酢酸クロムなどの無機硬膜剤を挙げることができ、これらを1種あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0054】
硬膜剤の使用量としては、インク受容層の耐水性と酸性法ゼラチンの膨潤性との兼ね合いから適宜定められるが、本発明で用いられるアルミナ水和物、あるいはアルミナ水和物から溶出したアルミニウムイオン(明らかではない)が酸性法ゼラチンに対して硬膜作用を示している傾向があり、必ずしも使用する必要はないが、使用する場合、通常使われる硬膜剤の量より少量でも良く、酸性法ゼラチンの使用量に対して、0.2重量部〜20重量部、好ましくは、0.5重量部〜15重量部、更に好ましくは、0.7重量部〜10重量部である。
【0055】
本発明に用いられるアルミナ水和物としてはX線回折で非晶質を示すアルミナ水和物が好ましい。
【0056】
アルミナ水和物は下記一般式により定義される。
【0057】
Al2 O3-n (OH)2n・mH2 0
式中、nは0、1、2または3の整数のうちのいずれかを表し、mは0〜10、好ましくは0〜5の値を表す。mH2 0は、多くの場合結晶格子の形成に関与しない脱離可能な水相を表すものであるため、mはまた整数でない値をとることもできる。またこの種の材料をか焼するとmは0の値に達することがあり得る。
【0058】
また、本発明で用いられるアルミナ水和物としては、金属酸化物、例えば二酸化チタンを含有したものを用いても良く、従来困難であった分散性とインク中の染料の吸着性の両特性を、従来のアルミナ水和物より更に改良することができる。
【0059】
二酸化チタンの含有比率は、アルミナ水和物の0.01〜1.00重量%が好ましく、より好ましくは0.13〜1.00重量%である。さらに前記二酸化チタンはチタンの価数が+4価であることが好ましい。
【0060】
本発明者の知見によれば、含有されている二酸化チタンは、アルミナ水和物の表面に、FE−TEM(日立、HF2000)の倍率50万倍での観察では、観察されない程の超微粒子として存在していて、インク中の染料を吸着する時に吸着点として働いている。その理由は定かではないが、YANGら(React.Kinet.Catal.Lett.,46[1]、179〜186、1992年)が報告しているように、二酸化チタンの添加により強い電子受容性のAl3 +を含むねじれサイトが生成して吸着性が向上するため、または二酸化チタンのチタンイオンと染料が配位結合を形成しているためと推測している。更に本発明者の知見によれば、この二酸化チタンは+4価であることからアルミナ水和物と相互作用を行なっていない。その結果、粒子径と価数の両方の条件よりアルミナ水和物表面の電荷に影響を与えることがなく二酸化チタンが存在して、アルミナ水和物の分散性は損なわれない。二酸化チタンの含有量が上記範囲よりも小さい場合にはインク中の染料吸着性の改善が顕著ではなく、上記範囲よりも大きい場合にはアルミナ水和物の表面電荷が減少して分散性が低下する傾向にある。
【0061】
二酸化チタンはチタンの価数が+4価よりも小さくなると、光の照射によって前記二酸化チタンが触媒として働くようになってバインダーが劣化してひび割れや粉落ちが発生し易くなる。二酸化チタンの含有はアルミナ水和物の表面近傍だけでも良く、内部まで含有していても良い。また含有量が表面から内部にかけて変化していても良い。表面のごく近傍にのみ二酸化チタンが含有されていると、アルミナ水和物内部のバルクの性質が表面近傍に維持され易いことによって、分散性が変化しないのでさらに好ましい。
【0062】
二酸化チタンの代わりに、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、硼素、シリコン、ゲルマニウム、錫、鉛、ジルコニウム、インジウム、燐、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウムなどの酸化物を含有させて用いることができるが、インク染料の吸着性と分散性の点からは二酸化チタンが最も好ましい。また上記金属の酸化物は着色しているものが多いが、二酸化チタンは無色であるので、その点からも好ましい。
【0063】
二酸化チタンを含有するアルミナ水和物としては、上記と同様にX線回折で非晶質構造を示すアルミナ水和物が好ましい。本発明のアルミナ水和物はこの非晶質構造を保ったまま二酸化チタンを含有している。
【0064】
アルミナ水和物はアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミン酸ナトリウムの加水分解などの公知の方法で製造することができる。Rocekら(Collect.Czech.Chem.Commun.,56巻、1253〜1262、1991年)はアルミナ水和物の多孔質構造は析出温度、溶液pH、熟成時間、表面活性剤に影響されることを報告している。
【0065】
二酸化チタンを含有したアルミナ水和物の製造方法としては、アルミニウムアルコキシドとチタンアルコキシドの混合液を加水分解して製造する方法が、二酸化チタンの粒子径が小さくなり、かつ制御し易いため最も好ましい。この方法での粒子径、形状は、例えば、学会出版センター、表面の科学(田丸謙二編)、1985年の327頁に、アルコキシド法によるNi/Al2 O3 触媒で検討されている。その他の方法としては前記アルミニウムアルコキシドとチタンアルコキシドの混合液を加水分解するときに結晶成長の核としてアルミナ水和物を添加して製造することもできる。この方法では二酸化チタンはアルミナ水和物の表面近傍にのみ存在する。
【0066】
本発明で用いるアルミナ水和物(以下アルミナ水和物という場合、二酸化チタン含有水和物も含む)の形状は、柱状でアスペクト比3以下で、一定方向に配向し束状集合体を形成するもの、あるいは平板状で平均アスペクト比が3〜10、平板面の縦横比は0.6〜1.0であるものが好ましいが、特に平板形状のアルミナ水和物が好ましい。
【0067】
アスペクト比の定義は、特公平5−16015号公報に記載されている方法で求めることができる。アスペクト比は粒子の「厚さ」に対する「直径」の比で示す。ここで「直径」とは、アルミナ水和物を顕微鏡または電子顕微鏡で観察したときの粒子の投影面積と等しい面積を有する円の直径を示すものとする。縦横比はアスペクト比と同じように観察して平板面の最小値を示す直径と最大値を示す直径の比である。後者のアルミナ水和物の平均アスペクト比において、上記範囲よりも小さい場合にはインク受容層の細孔径分布範囲が狭くなり、大きい場合にはアルミナ水和物の粒子径を揃えて製造するのが困難になる。平均縦横比は上記範囲よりも小さいと同様に細孔径分布が狭くなる。
【0068】
アルミナ水和物の中で擬ベーマイトには文献(Rocek J.,et al.、Applied Catalysis、74巻,29〜36,1991年)に記載されたように柱状(繊毛状)とそうでない形状が有ることが一般に知られている。
【0069】
本発明者の知見によれば、アルミナ水和物の中でも柱状(繊毛状あるいは毛束状)のものはアルミナ水和物粒子が配向して密につまるため、インク受容層中でのアルミナ水和物粒子間の間隙が狭くなり易い。そのため、細孔径が狭い方に片寄り、かつ細孔径分布が狭くなる傾向があり、その結果ビーディングが発生し易い。それに対して平板状のものは柱状(繊毛状あるいは毛束状)よりも分散性が良く、またインク受容層を形成すると、アルミナ水和物粒子の配向がランダムになるために、細孔径分布が幅広くなるのでより好ましい。
【0070】
尚、ここでアルミナ水和物の形状、アスペクト比、縦横比及び粒子径は、アルミナ水和物をイオン交換水に分散させてコロジオン膜上に滴下して測定用試料を作り、この試料を透過型電子顕微鏡((株)日立製作所製、H−500)で観察し求めた。
【0071】
前記アルミナ水和物のBET比表面積、該アルミナ水和物及びインク受容層の細孔径分布、細孔容積、等温窒素吸脱着曲線は窒素吸着脱離方法によって同時に求めることができ、ここでは、アルミナ水和物、またはPETフィルム上に受容層を形成した被記録媒体を十分加熱・脱気してからカンタクローム社製、オートソーブ1をもちいて測定した。BET比表面積の計算はBrunauerらの方法を用いた(J.Am.Chem.Soc.、60巻、309、1938年)。また、細孔径、細孔容積の計算はBarrettらの方法を用いた(J.Am.Chem.Soc.、73巻、373、1951年)。
【0072】
かかるBET比表面積は70〜300m2/gの範囲が好ましい。BET比表面積が上記範囲よりも大きい場合には細孔径分布が大きい方に片寄ってインク中の染料を十分に吸着・固定することが難しくなり、小さい場合には顔料を分散良く塗工が困難になって細孔径分布の制御が難しくなる。
【0073】
前記アルミナ水和物とバインダーを用いてインク受容層を形成する。前記インク受容層の物性値は用いるアルミナ水和物のみで決まるのではなく、バインダーの種類や混合量、塗工液の濃度、粘度、分散状態、塗工装置、塗工ヘッド、塗工量、乾燥風の風量、温度、送風方向などの種々の製造条件によって変化するので、本発明に係るインク受容層の特性を得るためには製造条件を最適な範囲に制御する必要がある。
【0074】
本発明の第1の好ましい態様では、前記インク受容層の平均細孔半径は20〜200Åで細孔径分布の半値幅は20〜150Åが好ましく、より好ましくは80〜150Åの範囲である。ここで細孔径分布の半値幅とは、平均細孔半径の頻度の半分の頻度である細孔半径の幅を示すものである。平均細孔半径が上記範囲よりも大きくなった場合はインク中の染料の吸着・固定が低下し、画像に滲みが発生し易く、小さくなった場合にはインクの吸収が低下してビーディングが発生し易くなる。半値幅が上記範囲外の場合にはインク中の染料または溶媒成分の吸収が低下する。
【0075】
アルミナ水和物の細孔径分布もインク受容層と同じように、平均細孔半径は20〜200Åで細孔径分布の半値幅は20〜150Åが好ましい。インク受容層の細孔径分布はアルミナ水和物の細孔径分布に依存するので、上記範囲外になった場合には、インク受容層の細孔径分布を上記規定範囲内にすることが難しい。
【0076】
インク受容層の細孔容積は0.4〜0.6cc/gの範囲が好ましい。インク受容層の細孔容積が上記範囲より大きい場合はインク受容層に割れ、粉落ちが発生し、上記範囲よりも小さい場合にはインクの吸収が悪くなる傾向にある。さらにインク受容層の細孔容積は8cc/m2 以上であることが好ましい。この範囲以下では特に多色印字を行なった場合にインク受容層からインクが溢れて画像に滲みが発生し易くなる。アルミナ水和物の細孔容積はインク受容層と同じように0.4〜0.6cc/gの範囲が好ましい。この範囲外ではインク受容層の細孔容積を前記規定範囲にすることが難しくなる。
【0077】
本発明の好ましい第2の態様では、前記インク受容層の細孔径分布は2つ以上の極大を持っている。比較的大きい細孔でインク中の溶媒成分を吸収し、比較的小さい細孔でインク中の染料を吸着する。極大の一つは細孔半径100Å以下が好ましく、より好ましくは10〜60Åである。他の極大は細孔半径100〜200Åの範囲が好ましい。前者の極大が上記範囲よりも大きくなるとインク中の染料の吸着・固定が低下して画像に滲み、ビーディングが発生し易くなる。ここでビ−ディングとは、インク受容層がインク吸収性に劣るために、表面に付与されたインク滴がインク受容層表面でビ−ズ状になり、隣接するインク滴が混色して色ムラのある画像ができる現象を言う。
【0078】
後者の極大が上記範囲よりも小さくなるとインク中の溶媒成分の吸収が低下してインクの乾燥が遅くなり、印字して装置から搬出された時にインク受容層表面が乾燥しなくなり、上記範囲よりも大きくなるとインク受容層にひび割れが発生し易くなる。
【0079】
アルミナ水和物の細孔径分布もインク受容層と同じように、極大の一つは細孔半径100Å以下が好ましく、より好ましくは10〜60Åである。他の極大は細孔半径100〜200Åの範囲が好ましい。インク受容層の細孔径分布はアルミナ水和物の細孔径分布に依存するので、上記範囲外になった場合にはインク受容層の細孔径分布を上記規定範囲内にすることができない。インク受容層の全細孔容積は0.1〜1.0cc/gの範囲が好ましい。さらに好ましくは0.4〜1.0cc/g、最も好ましい範囲は、0.4〜0.6cc/gである。インク受容層の細孔容積が上記範囲より大きい場合はインク受容層にひび割れ、粉落ちが発生し、上記範囲よりも小さい場合にはインクの吸収が悪くなる。
【0080】
さらにインク受容層の細孔容積は8cc/m2 以上であることが好ましい。この範囲以下では特に多色印字を行なった場合にインク受容層からインクが溢れて画像に滲みが発生する恐れがある。細孔半径100Å以下に極大値を持つ細孔の細孔容積は、細孔分布で100Å以下に極大値を持つ細孔の最大頻度の細孔半径の、半分の頻度の細孔半径の幅を示す範囲の細孔容積を示す。この細孔半径100Å以下に極大値を持つ細孔容積は、全細孔容積の0.1〜10%が好ましく、より好ましくは1〜5%の範囲である。アルミナ水和物の細孔容積はインク受容層と同じように0.1〜1.0cc/gの範囲が好ましく、より好ましくは0.4〜1.0cc/gの範囲である。
【0081】
さらに細孔半径100Å以下に極大値を持つ細孔の細孔容積は全細孔容積の0.1〜10%が好ましく、より好ましくは1〜5%の範囲である。インク受容層の細孔容積はアルミナ水和物の細孔容積に依存するので、上記範囲外ではインク受容層の細孔容積を前記規定範囲にすることができなくなる。
【0082】
尚、上記第1の態様のアルミナ水和物と第2の態様のアルミナ水和物は、混合して用いても良い。
【0083】
等温窒素吸脱着曲線は同じように窒素吸着脱離方法で求めることができる。インク受容層の等温窒素吸脱着曲線から求めた、最大吸着ガス量の、90%の吸着ガス量での吸着と脱離の相対圧差(ΔP)は、0.2以下であることが好ましい。より好ましい範囲は0.15以下、更に好ましい範囲は0.10以下である。前記相対圧差(ΔP)はMcBain(J.Am.Chem.Soc.、57巻、699、1935年)が述べているように、インク壺形状の細孔が存在する可能性の目安に用いることができる。相対圧差(ΔP)が小さい方が細孔は直管に近く、大きくなるとインク壺になる。上記範囲を越える場合は印字後のインクの乾燥が遅くなる。
【0084】
アルミナ水和物の等温窒素吸脱着曲線から求めた、最大吸着ガス量の、90%の吸着ガス量での吸着と脱離の相対圧差(ΔP)は、0.2以下であることが好ましい。より好ましい範囲は0.15以下、更に好ましい範囲は0.10以下である。この範囲外ではインク受容層の等温窒素吸脱着曲線前記規定範囲にすることが困難になる。
【0085】
前記アルミナ水和物表面の水酸基数は、トリエチルアルミ溶液の滴定にて求めることができ、ここではアルミナ水和物1gを秤り取って滴定を行なった。その数は1020個/g以上であることが好ましい。この値未満ではアルミナ水和物を水に分散した分散液の固形分濃度を上げられにくくなる。
【0086】
アルミナ水和物の表面電位は一般にゼーター電位測定装置で求めることができる。ここでは、アルミナ水和物を0.1重量%の固形分濃度になるようにイオン交換水に分散した後に、分散液のpHを6に調整して測定した(ブルックヘブン社製、Bi−ZETA plus)。分散液のpH6でのゼーター電位は15mV以上であることが好ましい。この値未満では分散性を上げるために酸を添加する必要が生じる。酸の添加は刺激臭、腐食の発生を引き起こす。
【0087】
分散液の粘度は一般的な粘度計で測定することができる。前記アルミナ水和物をイオン交換水に分散した分散液で、硝酸根が前記アルミナ水和物の0.1〜1.0%で、アルミナ水和物の固形分濃度15重量%、温度20℃の分散液の粘度がずり速度7.9秒-1で測定して75CPS以下であることが好ましい。より好ましい範囲は30CPS以下である。粘度がこの値を超える場合には分散液の固形分濃度を下げるか、または分散性向上のために酸を添加する必要がある。ここで上記硝酸根はアルミナ水和物から硝酸根を熱水抽出してイオンクロマト(日立、L−3720)で測定して、乾燥アルミナ水和物中の重量%として求めた。また分散液の粘度は一般的な粘度計で測定することができるが、ここではTOKIMEC社製、VISCOMETERを用いて測定した。
【0088】
上記した特定の物性を有するアルミナ水和物と酸性法ゼラチンの特に好ましい組み合わせは以下のとおりである。
【0089】
A)アルミナ水和物
平均粒子径 35〜50nm
BET比表面積 70〜120m2 /g
平均細孔半径 60〜140Å
細孔容積 0.54〜0.58cc/g
pH 4.5〜7.5(15%分散液27℃)
酸性法ゼラチン
重量平均分子量 16万〜2万
数平均分子量 7.5万〜1.5万
Mw/Mn 1.0〜3.5
C)アルミナ水和物
平均粒子径 35〜50nm
BET比表面積 70〜120m2 /g
平均細孔半径 60〜140Å
細孔容積 0.54〜0.58cc/g
pH 2.0〜4.5(15%分散液27℃)
酸性法ゼラチン
重量平均分子 7.5万〜2万
数平均分子量 4.0万〜1.5万
Mw/Mn 1.0〜2.1
【0090】
インク受容層は、アルミナ水和物とゼラチン等のバインダーを含む分散液を塗工装置を用いて、支持体上に塗布、乾燥する方法により形成される。
【0091】
塗工方法としては、ブレードコート方式、エアーナイフ方式、ロールコート方式、ブラッシュコート方式、グラビアコート方式、キスコート方式、エクストルージョン方式、スライドホッパー(スライドビード)方式、カーテンコート方式、スプレー方式などを用いることができるが、ゼラチンのゾル−ゲル変換(セット性)を利用し、厚いインク受容層を形成するという点では、写真感材の塗工方式として用いられる、キスコート方式、エクストルージョン方式、スライドホッパー方式、カーテンコート方式が好ましい。特に、安定的に均一な厚みで厚塗りを行うという点で、エクストルージョン方式、スライドホッパー方式が好ましい。
【0092】
具体的には、例えばスライドホッパー(スライドビード)方式の場合、米国特許明細書第2761791号、同4001024号、同5188931号及び「にかわとゼラチン」(日本にかわ・ゼラチン工業組合発行、丸善、1987年)に記載されているように、送液ポンプからスライドホッパー型注液器に注入された分散液は、スライド面上を層上に流れ支持体上に乗り、そこに冷風が吹き付けられ、分散液はゼリー状にゲル化し、そのまま乾燥ゾーンに入り乾燥されインク受容層が形成される。その後、必要に応じゼラチンの硬膜処理のためエージングがなされる。また、必要に応じ、カレンダーロールなどを用いてインク受容層の表面平滑性を良くすることも可能である。
【0093】
分散液の塗布量は乾燥固形分換算で、0.5〜60g/m2 、より好ましくは、5〜45g/m2 であるが、良好なインク吸収性、解像性を得るには、15μm以上、好ましくは20μm以上、特に,25μm以上のインク受容層の厚みにする必要がある。
【0094】
上記塗工を行うための分散液は、理由は明きらかではないがチクソ性を示す。本発明において、チクソ性の度合いを示すものとしてTI値を用いた。TI値というのは、Thixotropic Indexのことで、B型粘度計などの回転粘度計を用いて、回転数を変えて粘度を測定し、高速回転の時の数値で低速回転の時の数値を割った値であり、ここでは、6rpm/60rpmの数値として算出した。この値が、1より大きい場合、その液体は構造体を形成しており、チクソ性を示す。本発明の分散液においてTI値は、固形分濃度、分散条件等によりかわるが、1.1〜5.0が好ましく、更に1.3〜4.5、特に1.6〜4.1が好ましい。このような範囲にに分散液を調整するのが良い。
【0095】
本発明の分散液は、チクソ性を示すため、大きな力をかけた時に粘度が下がることになるので、例えば、スライドホッパー(スライドビード)方式で塗工する場合、スライドホッパーから層状に流れ出ている間は、低い粘度であり、流動しやすいが、支持体上にそれが乗ると、止まった状態(力のかからない状態)になるので粘度が上昇し、レベリングしにくくなり、だれなくなる。故に、酸性法ゼラチンのセット性と同時にこのチクソ性により、分散液のだれが抑えられ、厚いインク受容層の形成が容易となる。
【0096】
上記TI値の範囲以下では、チクソ性が低いため、あるいはチクソ性がないため、支持体上に塗工された分散液のだれが生じる。この範囲以上では、粘度を下げるために、大きな力のかかる分散機が必要となり、装置が巨大化する、あるいは力不足の場合、粘度が下がらず、塗工困難になる。
【0097】
前述の特定の酸性法ゼラチンを用いることにより、アルミナ水和物/酸性法ゼラチンの分散液は、酸性法ゼラチンの影響で、ゾル状態の分散液が冷風により冷やされゲル状態になり、かつ分散液のチクソ性も有効に働き、ウェット状態でありながらだれることがなくなり、厚いインク受容層を形成することが可能となる。
【0098】
また、このチクソ性があるため、通常写真用ゼラチンとしてはセット性が弱く、単独では慣用的には使用されな低分子量のゼラチンであっても前記重量平均分子量、数平均分子量、ゼリー強度の範囲であれば十分使い得る。
【0099】
ここでゲル化状態のセット性については分散液の温度を下げながら粘度を測定することによって求め評価した。本発明において、分散液の温度を50℃から1℃/分の速度で降温して、液温度30℃と、20℃または15℃の粘度を測定して両者の粘度比を求めた。温度30℃と20℃の粘度比は1〜300の範囲が好ましい。また液温度30℃と15℃の粘度比は2〜1000の範囲が好ましい。さらに液温度30℃と15℃の粘度比は1.5〜10の範囲が好ましく、2〜9の範囲がより好ましい。上記範囲下限以下の場合にはゲル化(セット性)が不十分となりレベリングし、だれやすくなる。また粘度比は大きい値をとる方が粘度が急峻に増加してセット性が良くなるが、上記範囲上限以上の場合には温度による粘度変化が著しくなるので、塗工厚みが変化し易くなるなどの安定な塗工が難しくなる。
【0100】
ゼラチン分散液はある一定の温度(セット温度)以下では急峻に粘度が上昇することが知られているが(セット性)、本発明のアルミナ水和物と酸性法ゼラチンの混合分散液は、ゼラチン単独の分散液よりは粘度の上昇率は小さい。本発明のアルミナ水和物と酸性法ゼラチンの分散液は、従来の銀塩などで用いられているゼラチン分散液と比較して、ゼラチン濃度が低く、ゼラチンよりもアルミナ水和物の量が圧倒的に多い点と、従来では用いられない低分子量のゼラチンを用いる点より、セットのメカニズムが異なると推測している。
【0101】
また、分散液に含有する酸性法ゼラチンの固形分濃度としては、0.7%以上、好ましくは、0.9%以上、更に1%以上が好ましい。その上限としては、50%、好ましくは40%、より好ましくは30%が好適である。
【0102】
塗工時の通常の冷却温度(4〜20℃)において、上記固形分濃度以下では、酸性法ゼラチンのゲル化(セット性)が不十分となりレベリングし、だれてしまう。また、分散液のチクソ性が低く、良好な厚みのインク受容層の形成が困難となる。又、上記固形分濃度以上では、分散液の粘度が高くなりすぎて塗工困難となりやすい。
【0103】
本発明では、アルミナ水和物及び酸性法ゼラチンに加えてアルカリ土類金属を分散液に含有せしめることによって、固形分濃度を高くしても粘度の低い分散液が得られ、しかもそれを用いて調整した被記録媒体は高い表面光沢を有する。
【0104】
本発明で使用されるアルカリ土類金属としては、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオンが挙げられ、これらのイオンはこれらのハロゲン化物、水酸化物、硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩、チオ硫酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩の形で添加される。
【0105】
これらの中でも、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、酢酸カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウムなどは水に対する溶解性も高く、分散液の経時安定性が非常に優れているために特に好ましい。塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウムなどは臭気の発生がないため特に好ましい。
【0106】
このアルカリ土類金属イオンの添加量(濃度)について本発明者が検討したところ図2に示すとおり、アルカリ土類金属イオン濃度と分散液の濃度及び塗膜の表面光沢との関係を見出した。この結果から、製造上適した分散液の粘度や高級感のある画像を得る表面光沢を考慮したところ、アルカリ土類金属イオンの添加量は、ゼラチンを基準として100〜3000ppmの範囲が好ましい。とりわけその添加量が500〜2000ppmの範囲では、分散液の粘度が最も低く、且つ添加量の変化による粘度や表面光沢の変動が小さいためにより好ましい。
【0107】
100ppm未満の添加量では、アルカリ土類金属イオンが少ないためその効果は得られず、逆に3000ppmを越えると表面光沢が低くなり、粒子の拡散電気二重層が薄くなりすぎて凝集しやすくなり、分散液が増粘しやすい。
【0108】
アルカリ土類金属の添加方法としては、ゼラチンの製造過程又は膨潤時、あるいはアルミナ水和物の分散時、ゼラチン溶液との混合時などに添加する方法が挙げられる。
【0109】
アルミナ水和物及びゼラチンを主体として含む分散液には、必要に応じてアルミナ水和物分散剤、増粘剤、pH調整剤、潤滑剤、流動性変性剤、界面活性剤、消泡剤、耐水化剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤を必要に応じて添加することも可能である。
【0110】
耐水化剤としてはハロゲン化第4級アンモニウム塩、第4級アンモニウム塩ポリマーなどの公知の材料の中から自由に選択して用いることができる。
【0111】
支持体としては適度のサイジングを施した紙、無サイズ紙、レジンコート紙等の紙類、熱可塑性フィルムのようなシート状物質及び布帛が使用でき、特に制限はない。
【0112】
熱可塑性フィルムの場合はポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリカーボネートなどの透明フィルムや、アルミナ水和物の充填または微細な発泡による不透明化したシートを用いることもできる。
【0113】
支持体にレジンコート紙を用いた場合、通常の写真プリントと同じ手触り、こし、風合いが得られ、更に本発明の被記録媒体は、インク受容層に高い光沢性を有していることもあり、通常の写真プリントににかなり近似したものになる。
【0114】
また、上記支持体とインク受容層との接着性を良好にするために、コロナ処理等の表面処理を行ったり、易接着層を下引き層として設けても良い。更にカ−ルを防止するために支持体の裏面あるいは所定の部位に樹脂層や顔料層等のカ−ル防止層を設けることもできる。
【0115】
本発明の記録方法に使用されるインクは、主として色材(染料もしくは顔料)、水溶性有機溶剤及び水を含むものである。染料としては、例えば直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料、食用色素などに代表される水溶性染料が好ましく、被記録媒体との組み合わせで定着性、発色性、鮮明性、安定性、耐光性その他の要求される性能を満たす画像を与えるものであればいずれでも使用できる。
【0116】
水溶性染料は、一般に水または水と有機溶剤からなる溶媒中に溶解して使用するものであり、これらの溶媒成分としては、好ましくは水と水溶性の各種有機溶剤などとの混合物が使用されるが、インク中の水分含有量が、20〜90重量%、好ましくは60〜90重量%の範囲内となるように調整するのが好ましい。
【0117】
上記水溶性の有機溶剤としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコールなどの炭素数が1〜4のアルキルアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類、アセトン、ジアセトンアルコールどのケトンまたはケトンアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、1、2、6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコールなどのアルキレン基が2〜6個の炭素数を含むアルキレングリコール類、グリセリン、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコーメルチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどの多価アルコールの低級アルキルエーテル類などが挙げられる。
【0118】
これらの多くの水溶性有機溶剤の中でも、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどの多価アルコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどの多価アルコールの低級アルキルエーテル類が好ましい。多価アルコール類は、インク中の水が蒸発し、水溶性染料が析出することに基づくノズルの目詰まり減少を防止するための潤滑剤としての効果が大きいため、特に好ましい。
【0119】
インクには可溶化剤を加えることもできる。代表的な可溶化剤は、含窒素複素環式ケトン類であり、その目的とする作用は、水溶性染料の溶媒に対する溶解性を飛躍的に向上さえることにある。例えばN−メチル−2−ピロリドン、1、3−ジメチル−2−イミダゾリジノンが好ましく用いられる。更に特性の改善のために、粘度調整剤、界面活性剤、表面張力調整剤、pH調整剤、比抵抗調整剤、保存安定剤などの添加剤を加えて用いることもできる。
【0120】
前記被記録媒体に上記インクを付与して記録を行う方法としては、インクジェット記録方法が好ましく、該記録方法はインクをノズルより効果的に離脱させて、被記録媒体にインクを付与し得る方法であればいかなる方法でも良い。特に特開昭54−59936号公報に記載されている方法で、熱エネルギーの作用を受けたインクが急激な体積変化を生じ、この状態変化による作用力によって、インクをノズルから吐出させるインクジェット方式は有効に使用することができる。
【0121】
本発明にかかるアルミナ水和物と酸性法ゼラチンからなるインク受容層は、良好な色再現性を示す点で好ましい。通常アルミナ水和物の分散液は、良好の分散状態を保つために、特開平4−67985号公報に開示されているモノカルボン酸などの有機酸や無機酸が通常数10%添加されており、その酸量により異なるが、分散液のpHは、2〜5程度の酸性の高いものがある。
【0122】
このようなアルミナ水和物分散液とバインダーとして通常の水溶性高分子、例えばポリビニルアルコール水溶液を混合してインク受容層を形成し、インクジェット方法によりインクを印字した場合、その酸により、インクが変化し、色味の変化が生じることになる。ところが、本発明の特定の酸性法ゼラチンをバインダーとして用いた場合、アルミナ分散液の酸性度が高くても色味の変化が少なく、インクの最大吸収波長をλ1、そのインクにより印字された被記録媒体の印字部の最大吸収波長をλ2とすると、アルミナ水和物、酸性法ゼラチンの種類、量比の調整により|λ1−λ2|≦30nmとなる印字物を得ることができる。特にマゼンタインク、シアンインクの色味変化を抑えることが可能で、|λ1−λ2|≦10nmとなる印字物を得ることができる。
【0123】
上記のように酸性法ゼラチンを用いることにより、色味変化が少なくなる理由は明きらかではないが、恐らく、酸性法ゼラチンは、多数のカルボキシル基(H+ 放出性)とアミノ基(H+ 受容性)を有しており、それらが系(インク受容層)中の酸性度をコントロールする働きをしているものと考えられる。通常のポリビニルアルコールなどをバインダーとして用いた場合、上記のように酸性度をコントロールすることができないため色味が変化してしまう。
【0124】
本発明で用いるアルミナ水和物と酸性法ゼラチン等の天然高分子物質またはその誘導体からなるインク受容層は、高い表面光沢を有しており、表面散乱がないのでつややかな良好な画像を与え、更に前述したように写真プリントにかなり近似したものになる。その光沢度Gs(60)は、JIS Z 8741に規定される方法(入射角60度)で測定することができ、本発明において、支持体に白色ポリエチレンテレフタレートフィルムあるいはレジンコート紙を用いた場合、アルミナ水和物、酸性法ゼラチンの種類、量比、両液の混合分散方法により異なるが、非印字部においてGs1(60)は、40以上が好ましく、更に45以上が好ましく、特に50以上が好ましい。またインクドットによる印字部においてGs2(60)は、40以上が好ましく、更に45以上が好ましく、特に50以上が好ましい。このようにアルミナ水和物、酸性法ゼラチンの種類、量比、両液の混合分散方法等を調整するのが好ましい。
【0125】
また従来品において、非印字部の光沢度に比べ、印字部の光沢度がかなり減少してしまうという問題点があった。このような場合、非印字部と印字部の光沢度がかなり異なるので、その画像を目視した時に奇異な印象を与え、画像品位に劣ることになる。しかし、本発明においては、印字部の光沢の減少は少なくその割合は、アルミナ水和物、酸性法ゼラチンの種類、量比、両液の混合分散方法等により異なるが、|Gs1(60)−Gs2(60)|≦20、好ましくは|Gs1(60)−Gs2(60)|≦15、更に好ましくは|Gs1(60)−Gs2(60)|≦10、という関係を満たす印字物を得ることができるという特徴がある。
【0126】
【実施例】
以下、実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明がこれらに限定されるものではない。
【0127】
本実施例で使用するゼラチンの諸物性の測定は下記の要領で行った。その結果を第1表に示す((a)〜(f))。
【0128】
1)分子量分布(重量平均分子量、数平均分子量)
ゼラチン2.0gを100mlのメスフラスコにとり、溶離液(0.1Mりん酸二水素カリウムと0.1Mりん酸水素二ナトリウムの1:1混合液)を加え、十分膨潤させた後、約40℃で約6時間かけて溶解させ、この液を溶離液で10倍に希釈し、0.2%の検液とし、0.45μmのメンブレンフィルターでろ過した後、高速液体クロマトグラフィーにより測定した。その装置及び測定条件は以下の通りである。
【0129】
装置(東ソー(株)製)
本体 HLC−8020
システムコンローラー SC−8010
分光光度計 UV−8010
オートサンプラー AS−8000
デガッサー SD−8000
プリンター PP−8010
条件
カラム ビニルアルコール・コポリマーからなるGPC用カラム
(旭化成(株)製、AsahipakGS−620 2本直列)
流速 1.0ml/分
注入量 100μl
検出方法 紫外領域230nmの光学濃度
【0130】
分子量の算出は、上記条件下であらかじめ分子量の判明しているアルブミン、オバルミン、ミトクローム等を用いてリテンションタイムと分子量とから検量線を作り、試料ゼラチン溶液のリテンションタイムを検量線にあてはめ分子量を算出する方法をとった。この方法は、昭和59年3月9日日本写真学会3月例会で公知文献となっている「ゼラチンの分子量分布と粘度及びゼリー強度との関係」に記載されている。
【0131】
2)ゼリー強度
特定のガラス製ゼリーカップ中で10℃に冷却した
【0132】
【外1】
%ゼラチンの表面を特定のプランジャーで4mm押し下げるのにようする荷重をゼリーテスター(スチーブンス社製)を用いて測定した。
【0133】
3)pH
ゼラチンの5%溶液を液温35℃でpHメーター(東亜電波工業(株)製、HM−40S)を用いて測定した。
【0134】
4)等イオン点
カチオン交換樹脂(アンバーライト社製 IR−120B)5mlとアニオン交換樹脂(アンバ−ライト社製 IRA−401)10mlを混合して均一に詰められたカラム(ジャケットには約40℃湯を通しておく)に45℃の湯100mlを通し温めた後、ゼラチン1%溶液100mlを50ml/時の速さで通す。そしてカラムから流出してきた初めの約25mlを除いた後の約50mlをとり、液温を35℃にしてpH値をpHメーター(東亜電波工業(株)製、HM−40S)を用いて測定しこれを等イオン点とした。
【0135】
5)ゼーター電位、粒子径
0.1重量%のゼラチン溶液を試料として、ゼーター電位測定装置(ブルックヘブン社製,Bi−ZETA plus)を用い、ゼーター電位を測定した。尚、上記装置では、粒子径も同時に測定される。
6)膨潤率
以下のようにしてして求めた。
【0136】
(a)250ccのポリ容器の蓋に直径約3cmの穴をあけ、#400のナイロンメッシュをかぶせる。
【0137】
(b)メッシュごとポリ容器の重量(A)を測定する。
【0138】
(c)ポリ容器に溶媒(イオン交換水又はエチレングリコール溶液)を195g測り取る。
【0139】
(d)ゼラチンを5gを測り取る。
【0140】
(e)ポリ容器内にゼラチンを入れ、室温雰囲気中で24時間放置する。
【0141】
(f)ポリ容器上端に空気穴(巾1cm程度)をあける。
【0142】
(g)ポリ容器を傾け溶媒を捨て、その後の重量(メッシュ付きポリ容器+膨潤したゼラチン、B)を測定する。ここで、溶媒を捨てる時間は、溶媒が流れ出した時間を見計らって決める(例えばイオン交換水30秒、エチレングリコール60秒)。
【0143】
(h)下記式により、膨潤率を算出する。
【0144】
膨潤率(%)={(B−A−5)/5}×100
【0145】
本実施例で用いたアルミナ水和物は以下の8種類である。
【0146】
A〜D:米国特許明細書第4242271号に記載された方法でアルミニウムアルコキサイドを製造した。次に米国特許明細書第4202870号に記載された方法で前記アルミニウムアルコキサイドを加水分解して、第2−1表に示す条件、装置で熟成してアルミナのコロイダルゾルを得た。このコロイダルゾルを75℃でスプレー乾燥してアルミナ水和物A〜Dを得た。このアルミナ水和物は無定形で、平板状であった。アルミナ水和物の物性値をそれぞれ前述の方法で測定した。その結果を第2表に示す。
【0147】
E〜H:米国特許明細書第4242271号に記載された方法でアルミニウムアルコキサイドを製造した。次にイソプロピルチタン(キシダ化学(株)製)を前記アルミニウムアルコキシドの5/1000重量部混合した。米国特許明細書第4202870号に記載された方法で前記アルミニウムアルコキシド混合物を加水分解して、第2−2表に示す条件、装置で熟成して二酸化チタン含有アルミナのコロイダルゾルを得た。このコロイダルゾルを75℃でスプレー乾燥してアルミナ水和物E〜Hを得た。このアルミナ水和物は無定形で、平板状であった。アルミナ水和物の物性値をそれぞれ前述の方法で測定した。その結果を第3表に示す。
【0148】
実施例1〜45
イオン交換水に溶解・分散したゼラチン(a〜f)の10重量%溶液と、同様にイオン交換水に分散したアルミナ水和物(A〜H)の15重量%分散液を、種々の固形分重量比(P/B比=アルミナ水和物の固形分重量/ゼラチンの固形分重量)になるようにそれぞれ計量して分散機(特殊機化工業(株)製、T.K.ホモミキサーM型)を用いて、8000rpmで30分混合撹はんして混合分散液を得た。この分散液をレジンコート紙(王子製紙(株)製、厚み238μm、坪量249.8g/m2、全光白色度91.58;RC)、あるいは白色ポリエステルフィルム(東レ(株)製、ルミラーX−21、厚み100μm;WP)、あるいは透明ポリエステルフィルム(東レ(株)製、ルミラーT、厚み100μm;TP)の上にスライドホッパー方式で塗工して厚さ30μmのインク受容層を形成し被記録媒体を得た。混合した各分散液、インク受容層の物性をそれぞれ後述の方法で測定した。結果を第4表に示す。
【0149】
分散液諸物性の評価・測定方法
1)分散状態
目視により評価した。ゲル化、不溶物が生じず良好なものを◎、良好だが粘度の高めのものを○、ゲル化あるいは不溶物が生じ分散不良となったものを×とした。
2)TI値
B型回転粘度計(TOKIMEC社製,VISCOMETER)を用いて前述の通り、下記式より求めた。
【0150】
TI値=6rpmでの粘度/60rpmでの粘度
ロ−タ−:No.1、測定温度:25℃
3)セット性、粘度比
分散液の温度を50℃から1℃/分の速度で降温しながら、10℃の温度まで上記B型回転粘度計と低粘度アダプタ−、No.3ロ−タ−(回転数:3rpm)を用いて粘度を測定した。液温度30℃と20℃の粘度比と液温度30℃と15℃の粘度比、液温度20℃と15℃の粘度比をそれぞれ求めた。
4)分散液のpH
アルミナ水和物、酸性法ゼラチンの水分散液のpHはゼラチンと同じpHメ−タ−(東亜電波工業(株)製、HM−40S)を用いて液温25℃で測定した。
【0151】
インク受容層諸物性の評価・測定方法
1)インク受容層の塗膜状態
目視により評価した。平滑面が得られ良好なものを○、粗面あるいは不溶物付着等のよる欠陥の生じたものを×とした。
2)媒体のpH
分散液と同じpHメ−タ−を用いて、JIS P 8133に規定された方法(冷水抽出法)で測定した。
3)印字特性
1mmに16本の割合のノズル間隔で、128本のノズルを供えたインクジェットヘッドをY、M、C、Bkの4色分備えたインクジェットプリンタ−を用い、下記組成のインクにより、インクジェット記録を行なって、インクの乾燥性(吸収性)、画像濃度、滲み、ビ−ディングについて評価した。
(a)インク乾燥性
下記インク組成1のインクについて、Y、M、C、Bkそれぞれのインクを単色または多色でベタ印字した後の被記録媒体表面のインクの乾燥状態を記録部に指で触れて調べた。単色印字でのインク量を100%とした。インク量300%でインクが指に付着しないものを◎、インク量200%でインクが指に付着しないものを○、インク量100%でインクが指に付着しないものを△とした。
(b)画像濃度
下記インク組成1のインクについて、Y、M、C、Bkインクでベタ印字した画像のそれぞれの画像濃度を、マクベス反射濃度計RD−918を用いて評価した。
(いずれの実施例においても4色中Mの画像濃度が最も低かった)
(c)滲み、ビ−ディング
下記インク組成1について、Y、M、C、Bkそれぞれのインクを単色または多色でベタ印字した後の被記録媒体表面の滲みを評価した。また下記2種類のインク組成のそれぞれについて、Y、M、C、Bkそれぞれのインクを単色または多色でベタ印字した後のビ−ディングを目視で評価した。単色印字でのインク量を100%とした。インク量300%で発生していなければ◎、インク量200%で発生していなければ○、インク量100%で発生していなければ△とした。
【0152】
【0153】
(d)光沢度
光沢計((株)堀場製作所製、グロスチェッカーIG−320)を用いて白地(非印字部)と黒(Bk100%+C50%+M50%+Y50%の印字部)を測定し求めた。
(e)最大吸収波長の変化量(△λ)
上記インク組成1の各インクの最大吸収波長λ1と各インクにより印字した被記録媒体の印字部の最大吸収波長λ2とを分光光度計((株)日立製作所製、日立自記分光光度計U−3410)を用いて測定し、各色の最大吸収波長の変化量(シアン:△λC、マゼンタ:△λM)の絶対値を求めた。
【0154】
参考例1
イオン交換水に溶解したポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株)製、ゴーセノールNH−18)の10重量%溶液と、同様にイオン交換水に分散したアルミナ水和物(C)の15重量%分散液をP/B比=10/1になるようにした以外は実施例1と同様にして被記録媒体を得た。
【0155】
この被記録媒体に対して、上記インク組成1のインク染料を用いて印字を行なったところ、目視でも色味の変化していることがわかり、最大吸収波長の変化量を求めたところ、△λC=41nm、△λM=22nmであった。
【0156】
比較例1
キャストコート紙(神崎製紙(株)製、ミラーコート)を用い光沢度を測定したところ白地59.9、黒37.2であり、印字部の光沢度が20以上減少し、画像品位が悪くなった。
【0157】
実施例46〜57
実施例1で使用した酸性法ゼラチンに、第5表に示すアルカリ土類金属イオンを種々の濃度で添加し、イオン交換水で膨潤・溶解して20重量%溶液を調製した。これを20重量%のアルミナ水和物(実施例1で用いたもの)の分散液に固形分重量比(P/B=アルミナ水和物の固形分重量/ゼラチンの固形分重量)が10/1になるように混合し、分散機(特殊機化工業(株)製、T.K.ホモミキサ−M型)によって撹拌して混合分散液を調製した。この分散液をレジンコ−ト紙上にワイヤ−バ−で塗工して被記録媒体を得た。調製した各分散液及び被記録媒体の物性を第5表に示す。
【0158】
ここで、アルカリ土類金属イオンを含有しない場合、分散液粘度は220cpsであり、光沢度は63.0であった。
【0159】
【表1】
【0160】
【表2】
【0161】
【表3】
【0162】
【表4】
【0163】
【表5】
【0164】
【表6】
【0165】
【表7】
【0166】
【発明の効果】
1)バインダーとして酸性法ゼラチンを用いたことにより、そのゾル−ゲル変換(セット性)を利用して、良好な厚みのインク受容層を生産性良く安定して形成することができ、十分な解像度と良好な画質を得ることができる。
【0167】
2)バインダーとして酸性法ゼラチンを用いたことにより、その緩衝作用により酸性度の高いアルミナ水和物を用いても、その受容層において色味変化がなく、色再現性の良い被記録媒体を得ることができる。
【0168】
3)特定のアルミナ水和物と酸性法ゼラチンを混合分散した分散液は、適度のチクソ性を有し、この性質が、良好な厚みのインク受容層形成に有効に働いている。
【0169】
4)高い光沢性を有したインク受容層をもつ被記録媒体を得ることができ、特に、支持体としてレジンコート紙を用いた場合、通常の写真プリントと同じ光沢感、触感、風合いのものが得られる。また印字部の光沢が非印字部と同じ程度に高いため、品位の高い画像を得ることができる。
【0170】
5)二酸化チタンをアルミナ水和物に含有させたことによって、染料の吸着性と分散性の両者を共に改善することができた。塗工液の固形分濃度を上げても分散液の粘度を低くできるため、受像層の塗布厚を厚くすることができる。さらに印字したインクの吸着・固定が良くなるため、経時変化を防ぐことができる。
【0171】
6)二酸化チタンは無色であるため添加してもインク受容層が着色しない。
【0172】
7)平板状のアルミナ水和物を用いると最密充填構造をとった時に粒子間の間隙が幅広くできるため、ある程度広い分布を持った細孔径の媒体ができる。各インク染料、溶媒成分は特定径のアルミナ水和物の細孔に選択的に吸着されるので、細孔径分布が広い媒体を用いるとインク組成に影響を受けにくくなる。そのためインク組成に対する選択性が高くなる。
【0173】
8)同一顔料またはインク受容層に2つ以上の細孔径分布の極大があることで、細孔の機能分離を行なうことができる。比較的径の小さな細孔でインク中の染料を効率的に吸収することができるため、解像度が良く十分な濃度の発色の画像を得ることができる。比較的径の大きな細孔でインク中の溶媒成分の吸収を早くに行なうことができるため、ビ−ディングや滲み、インクの溢れ出しがなく解像度の良い画像を得る。
【0174】
9)ヒステリシスを持たないことでインク中の溶媒成分の脱離がし易くなって、インクの乾燥性が良くなって、滲み、裏写りを防止することができる。
【0175】
10)アルミナ水和物の分散性が良いため、分散液の固形分濃度を高くしても溶液の粘度を低くすることができる。
【0176】
11)アルミナ水和物溶液のpHが中性領域でも分散性が良いので、分散液の酸の添加量を少なくすることができる。
【0177】
12)分散液にアルカリ土類金属イオンを特定量含有せしめることにより、固形分濃度が高いにもかかわらず、低粘度の分散液を得ることができ、これを用いて調製した被記録媒体は表面光沢が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の被記録媒体の実施形態を示す断面図である。
【図2】アルカリ土類金属イオンの量に対する粘度−光沢度の変化を示す図である。
【符号の説明】
1 支持体
2 インク受容層
Claims (26)
- 支持体上にインク受容層を有する被記録媒体において、前記インク受容層がBET比表面積70〜300m2/gのアルミナ水和物と、重量平均分子量20万〜2万の酸性法ゼラチンを含むバインダーと、を含有し、前記アルミナ水和物と前記バインダーとの混合比が重量比で1:1〜30:1であり、かつ前記インク受容層の厚さが少なくとも20μmであることを特徴とする被記録媒体。
- PAGI法により測定される前記ゼラチンのゼリー強度が、1〜400の範囲にある請求項1に記載の被記録媒体。
- PAGI法により測定される前記ゼラチンのpH値が、9.0〜5.5の範囲にある請求項1に記載の被記録媒体。
- PAGI法により測定される前記ゼラチンの等イオン点が、9.5〜5.5の範囲にある請求項1に記載の被記録媒体。
- PAGI法により測定される前記ゼラチンのpH値が、9.0〜5.5の範囲にあり、等イオン点が、9.5〜5.5の範囲にある請求項1に記載の被記録媒体。
- 前記ゼラチンのpH値と等イオン点が、下記関係を満たしている請求項5に記載の被記録媒体。
(pH値−0.1)≦等イオン点 - 前記ゼラチンの水に対する膨潤率が、500%以上である請求項1に記載の被記録媒体。
- 前記ゼラチンのエチレングリコールに対する膨潤率が、300%以上である請求項1に記載の被記録媒体。
- 前記ゼラチンの0.1%の水溶液のゼータ電位が、−15mV以上である請求項1に記載の被記録媒体。
- 前記アルミナ水和物が、二酸化チタンを0.01から〜1.00重量%含有する請求項1に記載の被記録媒体。
- 前記アルミナ水和物が、アスペクト比3以下の柱状アルミナ水和物であり、一定方向に配向した束状集合体を形成する請求項1に記載の被記録媒体。
- 前記アルミナ水和物が、平均アスペクト比3〜10の平板状アルミナ水和物である請求項1又は10に記載の被記録媒体。
- 前記アルミナ水和物が、非晶質化合物である請求項1又は10に記載の被記録媒体。
- インク受容層が、ゼラチンに対して100〜3000ppmのアルカリ土類金属イオンを含有する請求項1に記載の被記録媒体。
- 前記インク受容層の厚さが少なくとも25μmである請求項1に記載の被記録媒体。
- BET比表面積70〜300m2/gのアルミナ水和物と、重量平均分子量20万〜2万の酸性法ゼラチンを含むバインダーとを、重量比1:1〜30:1の混合比で水に分散し、チクソ性の度合いを示すTI値が1.1〜5.0であることを特徴とする分散液。
- アルミナ水和物と酸性法ゼラチンを水に分散した分散液で、該分散液の30℃での粘度と20℃の粘度の比が1〜300である請求項16に記載の分散液。
- アルミナ水和物と酸性法ゼラチンを水に分散した分散液で、該分散液の30℃での粘度と15℃の粘度の比が2〜1000である請求項16に記載の分散液。
- アルミナ水和物と酸性法ゼラチンを水に分散した分散液で、該分散液の20℃と15℃の粘度比の比が1.5〜10である請求項17又は18に記載の分散液。
- 前記ゼラチンの固形分濃度が0.7%以上である請求項16に記載の分散液。
- BET比表面積70〜300m2/gのアルミナ水和物と、重量平均分子量20万〜2万の酸性法ゼラチンを含むバインダーと、ゼラチンに対して100〜3000ppmのアルカリ土類金属とを含有し、前記アルミナ水和物と前記バインダーとの混合比が重量比で1:1〜30:1であることを特徴とする分散液。
- 水性インクの小滴を微細孔から吐出させて被記録媒体に付与して印字を行うインクジェット記録方法において、被記録媒体として請求項1〜15のいずれかに記載の被記録媒体を用いることを特徴とするインクジェット記録方法。
- 水性インクに熱エネルギーを作用させてインクの小滴を形成する請求項22に記載のインクジェット記録方法。
- 水性インクの小滴を微細孔から吐出させて印字を行うインクジェット記録方法において、被記録媒体として請求項1〜15のいずれかに記載の被記録媒体を用いて、水性インクの最大吸収波長をλ1、そのインクにより印字された被記録媒体の印字部の最大吸収波長をλ2とすると、
|λ1−λ2|≦30nm
であることを特徴とするインクジェット記録方法。 - インクドットにより請求項1〜15のいずれかに記載の被記録媒体に印字された印字物であって、JISZ 8741により測定される非印字部の光沢度Gs1(60)及び印字部の光沢度Gs2(60)が40以上であることを特徴とする印字物。
- インクドットにより請求項1〜15のいずれかに記載の被記録媒体に印字された印字物であって、JISZ 8741により測定される非印字部の光沢度Gs1(60)と印字部の光沢度Gs2(60)が、
|Gs1(60)−Gs2(60)|≦20
である関係を満たすことを特徴とする印字物。
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