JP3727811B2 - セラミックスグリーンシートの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミックスグリーンシートの製造方法に関し、特に、精密なセラミックス積層基板を製造するのに適したセラミックスグリーンシートの製造方法、および同セラミックスグリーンシートの製造方法により製造されたセラミックスグリーンシートを積層、焼成することからなる精密度の高いセラミックス積層基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
セラミックス成形体の焼成収縮を制御する方法として、本発明者らは、セラミックス成形体の焼成収縮を制御するに当たり、次式
Rs(μm)=6/ρS
(式中のρはセラミックス粉末の真密度(g/cm3)、Sはセラミックス粉末のBET比表面積(m2/g)を示す。)で表されるセラミックス粉末の球相当径Rsを1μm以下とする予備処理を行い、次いで、得られたセラミックス粉末に、予め算出した処理温度による熱処理を施し、しかる後、成形及び焼成を行うことからなる方法を1998年5月19日付けで発行された米国特許第5,753,160号明細書において提案している。
【0003】
更に、その関連した技術として焼成した成形体を製造するに際して、下記:
(イ)式Rs(μm)=6/ρS
(式中のρはセラミックス粉末の真密度(g/cm3)、Sはセラミックス粉末のBET比表面積(m2/g)を示す。)で表されるセラミックス粉末の球相当径Rsが1μm以下であり、且つ、
式X=Rm/Rs
(式中、Xは加熱処理前の平均凝集度、Rmは加熱処理前のレーザー散乱法により測定されたセラミックス粉末のメジアン径(μm)、Rsはセラミックス粉末の球相当径(μm)を示す。)で表される平均凝集度(X)が2〜10の範囲内にあるセラミックス粉末(A)を成形する工程、と
(ロ)グリーン成形体を所定の焼成温度で焼成する工程、とから成るセラミックス焼成体を製造する方法に於いて、
上記グリーン成形体を所望の焼成収縮率値A1とすることができる所定の温度T1であって、且つ、同温度T1は下記:
(i)1μm以下のRs値と、2〜10の平均凝集度を有するセラミックス粉末であって、上記セラミックス粉末(A)とその組成に於いて相互に類似しており、両粉末の組成に於ける共通の各成分の最大共通含有量の合計が90重量%以上で、上記セラミックス粉末(A)のRs値が該セラミックス粉末のRs値の±30%の範囲内にあり、且つ上記セラミックス粉末(A)の平均凝集度が該セラミックス粉末の平均凝集度に対して1/2倍〜2倍の範囲内にあるセラミックス粉末(B)を成形前に少なくとも二つの温度で熱処理し、次いで成形体を製造し、この成形体を前記所定の焼成温度で焼成して前記少なくとも二つの熱処理温度に対応する焼成収縮率値を得て、これにより熱処理温度と焼成収縮率との相関関係についての相関線を得ること、
(ii)上記工程(イ)で成形する粉末(A)を少量取り、これを成形前に一の温度で熱処理し、成形し、その成形体を上記所定の焼成温度で焼成して上記の一の熱処理温度での焼成収縮率値を求めること、及び
(iii)粉末(A)の熱処理温度と焼成収縮率の相関関係に関する相関線は、上記セラミックス粉末(B)について得られた相関線における焼成収縮率値の軸の方向に対してオフセットするとの仮定の下に、上記(ii)で得られた粉末(A)に就いての焼成収縮率値と上記(i)で得られた粉末(B)について得られた相関線に基づいて相関関係を確立することにより求めた上記所定の焼成温度での焼成収縮率値と熱処理温度との間に於いて確立された相関関係から求めたものである温度で熱処理することにより上記工程(ロ)中の焼成収縮率を所望の値A1に制御することからなる方法を1998年5月18日付け出願にかかる上記米国特許の一部継続出願である米国特許出願第09/080,293号明細書において提案している。
【0004】
上記の二つの方法は、グリーンシートの焼成収縮制御方法を明らかにしたものであり、換言すれば、焼成収縮制御可能なグリーンシートの製造方法を提案するものであるということができる。しかしながら、同方法をそのまま適用してもクラック発生が低減し、積層性が良好なグリーンシートは得られないという問題があった。一方、多層化され、精密であるにもかかわらず、強度が高く、かつ、表面粗さにおいても優れたセラミックス積層基板を製造するためには、粒度の細かいセラミックス粉末を用いることが必要であるが、このような粒度の細かな粉末を用いてセラミックスグリーンシートを作製すると、クラックが発生し、セラミック積層基板が作製できなかったり、また、同グリーンシートの生密度(グリーンシートの密度)が極度に低くなり、積層時に積層基板が変形し易いなどの問題がある。また、原料として、乾式粉砕処理を行ったものを使用することにより、上記問題そのものは解決することはできるが、今度はセラミックスグリーンシートの生密度が高くなり過ぎ、積層時に積層した層同士の接合性が悪くなるという問題が発生する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、乾式粉砕処理を行った粒度の細かなセラミックス粉末を使用して、セラミックスグリーンシートの空隙率および有機成分率を所望の範囲内に制御しつつ、同グリーンシートのクラック不良を低減し、かつ、焼成後の基板の積層した層同士の接合性を改良した、高強度で、かつ、表面粗さの点においても優れたセラミックス積層基板を製造するためのセラミックスグリーンシートの製造方法を提供することを目的とするものである。さらにまた、かくして調製されたセラミックスグリーンシートを積層、焼成することにより、優れた層同士の接合性を有し、高強度で、表面粗さにおいても優れたセラミックス積層基板の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、乾式粉砕をおこなうに際して、セラミックス粉末の球相当径を所定の範囲内とし、このセラミックス粉末を所定の処理温度で加熱処理し平均凝集度X’を所定の範囲内とし、加熱処理したセラミックス粉末を使用して、湿式法により所定の空隙率と有機成分占有率を有するセラミックスグリーンシートを調製することにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
従って、本発明に係るセラミックスグリーンシートの製造方法は、セラミックスグリーンシートの成形に当たり、セラミックス粉末を乾式粉砕し、球相当径Rs値を
0.01≦Rs≦0.5
〔ただし、式中、Rs(μm)は6/ρCS(ただし、式中のρCは、セラミックス粉末の真密度(g/cm3)を、Sはセラミックス粉末のBET比表面積値(m2/g)を示す。)を意味する〕とする工程と、上記乾式粉砕した粉末を250℃〜1000℃の温度で加熱処理し、下式で表される平均凝集度X’
X’=R’m/Rs
〔ただし、R’mは加熱処理後レーザー散乱法により測定されたセラミックス粉末のメジアン径(μm)を意味し、Rs(μm)は上記の同じ意味を有する〕を2.5〜15の範囲内となるように調整する工程と、上記加熱処理した粉末に、有機成分が容積比でセラミックスグリーンシートの20〜55%を占め、セラミックスグリーンシートの空隙率が5〜25%を満たす量の有機成分と所用量の溶剤とを混合して、セラミックススラリーを調製する工程と、および同セラミックススラリーを用いて、セラミックスグリーンシートを成形する工程と、を含むことを特徴とする。
【0007】
さらに、本発明においては、上記の様に調製されたセラミックスグリーンシートを積層、焼成することを特徴とするセラミックス積層基板の製造方法が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るセラミックスグリーンシートの製造方法について詳細に説明する。
本発明に係るセラミックスグリーンシートの製造方法においては、まず、セラミックス粉末を乾式粉砕し、球相当径Rs値が0.01≦Rs≦0.5〔ただし、式中、Rs(μm)は6/ρCS(ただし、式中のρCは、セラミックス粉末の真密度(g/cm3)を、Sはセラミックス粉末のBET比表面積値(m2/g)を示す。)を意味する〕を満足し、かつ加熱処理後下式で表される平均凝集度X’
X’=R’m/Rs
〔ただし、R’mは加熱処理後レーザー散乱法により測定されたセラミックス粉末のメジアン径(μm)を意味し、Rs(μm)は上記の同じ意味を有する〕が2.5〜15の範囲内となるように調整する。乾式粉砕処理は、通常は適当量の粉砕助剤の存在下の方が、粉砕効率向上の点でより好ましく、また粉砕機はロールミル、振動ミル等は勿論、これ以外にも各種原理の粉砕機が使用できるが、中でも、ボールメディアを用いたボールミル、アトライター等の粉砕機は粉砕効率がよく、グリーンシートの生密度向上効果が高く、より好ましい。これらの粉砕機、粉砕条件は、セラミックスの加工分野に属する通常の知識を有する業者には周知であり、周知の条件から適切な条件を選択すればよいので、ここでのこれ以上の記載は省略する。
なお、ここで、セラミックス粉末の真密度ρCは理論密度を示しており、例えば、イットリアを3mol%(5.4重量%)含有する部分安定化ジルコニア粉末では6.10g/cm3、アルミナ粉末では3.98g/cm3である。なお、複数のセラミックス粉末ものからなる粉末を使用する場合には、下式により算出することができる。すなわち、各セラミックス成分の添加量の重量比がWC1、WC2、WC3…であり、真比重がρC1、ρC2、ρC3…のときは、
ρC=(WC1+WC2+WC3+…)/(WC1/ρC1+WC2/ρC2+WC3/ρC3+…)
から算出できる。この場合に、各セラミックス成分の添加量の重量比を各セラミックス成分の添加重量値で置き換えても、同様の値が得られる。
【0009】
乾式粉砕処理をして調整したセラミックス粉末の球相当径Rs値が0.5μmを超えると、乾式粉砕の効果や加熱処理の効果が得られにくいほか、最終製品としての基板の強度低下や所望とする表面粗さが得られない等の不具合が生じ易く、好ましくない。一方、Rsが0.01μm未満では、積層時にグリーンシートが変形し易くなるだけでなく、焼成収縮率のバラツキや、テープ成形時にクラック等の問題が発生し易いので好ましくない。また、得られる積層基板の表面粗さも要求水準を充足しなくなるので好ましくない。積層基板の表面粗さに関しては、Rs値で0.01〜0.5μmの範囲内が好ましく、より好ましくは0.05〜0.3μmの範囲内である。乾式粉砕は、セラミックス粉末をスラリー化して流動性のよいセラミックススラリーを調製するのに必要である。乾式粉砕を施さないセラミックス粉末から得られた所望とする流動性を有しないスラリーを使用すると、グリーンシートを成形した後の同膜厚のバラツキが大きくなったり、生密度が極端に低くなり易いために、また、成形品の寸法のバラツキが大きくなったり、成形品の打ち抜き性がよくなかったりの不都合が生じる等の問題があるので好ましくない。なお、乾式粉砕を通した後、必要に応じて、湿式粉砕に供しても、上記のような不都合は、通常生じない。
【0010】
かくして所定の球相当径Rs値を有するように乾式粉砕処理をして調整したセラミックス粉末を所望の温度で加熱処理する。加熱処理する温度としては、250℃〜1000℃が好ましい。250℃未満温度での加熱処理では、加熱処理したセラミックス粉末を使用し、セラミックスグリーンシートを成形する際に、グリーンシートの金型打ち抜き性の向上や、グリーンシート積層体の積層性および積層したグリーンシートからの焼成時の脱バインダ性の向上効果が認められず、また、加熱処理温度が1000℃を超えると、使用するセラミックス粉末の材料にもよるが、加熱処理後に、同粉末が固まり易くなり、場合によっては、成形が困難となることがあるので好ましくない。加熱処理に用いる雰囲気としては、酸化性、中性、還元性または減圧下等の種々のものが採用可能である。また、ガスを流通させて加熱処理雰囲気を構成する場合、そのガス流量は、乾式粉砕の際加えた粉砕助剤の除去に効果がある場合もあるが、加熱処理がセラミックス材料に与える影響に関しては、実質的になく、従って、そのガス流量には特に限定がある訳ではない。
なお、加熱処理後下式で表される平均凝集度X’
X’=R’m/Rs
〔ただし、R’mは加熱処理後レーザー散乱法により測定されたセラミックス粉末のメジアン径(μm)を意味し、Rs(μm)は上記の同じ意味を有する〕が2.5〜15の範囲内となるように調整する。
また、熱処理後に、所望の平均凝集度となるように、原料の最適なRs値と加熱処理温度を選定する必要がある。
【0011】
ここに、平均凝集度X’とは、加熱処理後のセラミックス粉末を用いて、レーザー散乱法により測定したメジアン径R’mを前記Rsで除した値をいう。
メジアン径は、測定対象であるセラミックス粉末50mgを正確に秤取り、これをヘキサメタリン酸ナトリウム0.2%水溶液30mlと共に容器に入れ、ホモジナイザーを使用して1分間分散させ、この分散液を用いて測定する。なお、測定には、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA−700型(株式会社堀場製作所製)を用いた。
平均凝集度は15以下、好ましくは、10以下である。15を超えると、この様な粉末で得たグリーンシートでは、成形中にクラック不良の発生が生じやすく、また成形後厚みのバラツキ等が生じやすく、更に、グリーンシート層間の接着力が低下し、層間が充分に密着しない接着不良が発生しやすい。さらに、積層時に積層体の変形が生じやすい。また、この様な欠点を克服するために有機成分率を増やすと、セラミック粉末の充填率が低下し、焼成後の寸法バラツキや充分な緻密化がおこらない等の問題が発生して、好ましくない。
また、平均凝集度は2.5以上がよい。その理由としては、平均凝集度が2.5未満の粉末では、空隙率が極めて小さくなり、金型打ち抜きの際のクラック発生や、積層の際の積層不良などが起こりやすいほか、焼成時に、黒化・フクレが起こりやすい。なおここで、黒化とは、グリーンシート中に含まれる有機成分が、焼成中に完全に分解せずにカーボン化して製品中に残り、焼成した製品の外観が黒くなる現象をいい、また、フクレとは、グリーンシートもしくはセラミックスグリーン積層体を焼成した後、得られた積層基板の内部に気泡ができたり、あるいはこの気泡が原因となり、同基板が変形することをいう。
勿論、スラリー調製の際に添加する有機成分の量を減らすことにより、空隙率を所望の範囲内とすることは可能であるが、グリーンシートのハンドリング性の低下、クラック発生、更に積層時にグリーンシート間の接着力低下および積層体の変形が生じやすくなる。このように良好なグリーンシートが得られにくくなるという欠点があるので好ましくない。
【0012】
かくして、加熱処理した後、セラミックス粉末を使用し、セラミックススラリーを調製し、このセラミックススラリーからセラミックスグリーンシートを製造する。ところで、セラミックスグリーンシートを成形する際に、同シートの空隙率および生密度を所望の範囲内に制御することが好ましい。それは、空隙率および生密度を所望の範囲内に制御することにより、グリーンシートの金型打ち抜き性を向上させることができ、さらに、かくして特定の形状に型抜きし、調製したグリーンシートを使用することにより、積層体の積層性、積層したグリーンシートからの焼成時の脱バインダ性の向上を図ることができるからである。
【0013】
なお、本明細書において、空隙率とは、セラミックスグリーンシート内に占める空隙の体積割合をいう。換言すれば、セラミックスグリーンシートは、通常は、体積的に見て、セラミックス粉末、バインダ等の有機成分、および空隙で形成されているから、空隙率は、セラミックスグリーンシートの体積からセラミックス粉末、および、バインダ等の有機成分が占める体積を差し引きした値をセラミックスグリーンシートの体積で割、これを100倍することにより得られる値と定義することもできる。すなわち、空隙率は下式(I)
空隙率(%)= 100−グリーン密度×〔セラミックス重量/(有機成分重量+セラミックス重量)〕×(1/ρC)×100−有機成分率 ……(I)
〔ただし、式中、セラミックス重量とは、成形用スラリー作製時に調合したセラミックス粉末の全重量をいい、グリーン密度(g/cm3)とは、下式(II)
グリーン密度(g/cm3)=グリーンシートの重量(g)/〔グリーンシート平均厚さ(cm)×グリーンシート面積(cm2)〕 ……(II)
で表され、また、有機成分率(%)とは、セラミックスグリーンシート内に占めるバインダ等の有機成分の体積割合であり、下式(III)
有機成分率(%)=グリーン密度×〔有機成分重量/(有機成分重量+セラミックス重量)〕×(1/ρO)×100 ……(III)
(ただし、式中、有機成分重量とは、成形用スラリー作製時に調合した溶媒を除く有機成分の全重量をいい、ρOは、有機成分の真密度(g/cm3)を示す。)で表され、ρCは、セラミックス粉末の真密度(g/cm3)を示す。〕で表される。なお、上記において、有機成分の真密度は、各添加成分(例えば、バインダ、可塑剤、分散剤等)の真密度と、添加重量比から算出されたものを使用する。例えば、各添加成分の添加重量比がWO1、WO2、WO3…であり、真比重がρO1、ρO2、ρO3…のときは、有機成分の真密度ρOは、下式(IV)
ρO=(WO1+WO2+WO3+…)/(WO1/ρO1+WO2/ρO2+WO3/ρO3+…)……(IV)
から算出する。この場合も、各添加成分の添加重量比を各添加成分の添加重量に置き換えても、同様の値が得られる。
【0014】
空隙率が5%未満では、グリーンシートとしての柔軟性が充分でなく、そのために、外力に対する衝撃吸収性等が悪化し、金型打ち抜きの際、クラックが発生し易く、また積層の際、積層不良等をもたらすだけでなく、焼成の際、バインダの除去が不十分となり、結果として焼成体が黒化したり、一部にフクレ等が生じたりし易い。一方、空隙率25%を超えると、グリーンシートの積層時の変形や、焼成収縮率が大きくバラツイたり、焼成体が充分に緻密化しないこともあるので好ましくない。なお、空隙はなるべく相互に連通していることがバインダの抜けや積層時の変形および積層不良を押さえる上で好ましい。空隙をできるだけ連通させるには、適当な空隙率が必要であり、空隙率は10%以上が好ましい。また、調製したセラミックススラリーを成形する前に、真空条件下で、充分に脱気することが、セラミックスグリーンシート中の径の大きな孔状空隙(ポア)を除去する上で、好ましい。なぜならば、ポアは焼成体の強度低下等の悪影響をもたらす一方、積層性の向上にはあまり貢献しないからである。
【0015】
また、本明細書において、有機成分率(%)とは、上述の式(III)で算出可能な、グリーンシート内に占める有機成分の体積割合をいう。なお、有機成分とは、セラミックススラリーおよび/またはセラミックスグリーンシートの調製時に添加される、有機溶剤を除くバインダ、可塑剤、分散剤などの有機質物質からなる各種助剤をいう。これらは、セラミックス成形に関与する技術者にとっては、周知のものである。有機成分率が20%未満では、積層時の変形や積層不良(各層間の接合不良)が生じ易い。有機成分率が55%を超えると、積層基板の焼成時に、フクレ、黒化、緻密化不良等の焼成不良が生じ易いので好ましくない。上記の有機成分の添加に際しては、有機成分率が所望の値、すなわち、20%〜55%となるような予め使用する有機成分の量を算出し、算出した量を添加する。勿論、有機成分率と、空隙率とを決める要因の一つとして、セラミックス粉末と有機成分の添加量のバランスがあるので、これらを考慮する必要があることはいうまでもない。両者のバランスは、球相当径Rsと平均凝集度X’とについての上記の要件を満たすセラミックス粉末を使用し、上記式(I)〜(III)を用いて所望の値となるように調整することによりおこなうことができる。即ち、空隙率および生密度は、セラミックス粉末の充填率と有機成分率を制御することにより、所定の範囲内とすることができる。そのためには、セラミックス粉末の球相当径Rsと平均凝集度X’を上記の範囲内に調整したものを使用することが必要となる。充填率が低いと、調製したグリーンシートの柔軟性が高すぎ、また、充填率が高いと柔軟性に欠け、成形しにくくなるので、注意を要する。
【0016】
本発明において使用するセラミックス粉末は、特に限定されるものではなく種々のものを例示できるが、例えば、部分安定化ジルコニア、安定化ジルコニア、アルミナ、チタニア、ムライト、スピネル、ベリリア、マグネシア、ジルコン粉末、コーディエライト粉末、チタン酸バリウム粉末、チタン酸鉛粉末、チタン酸ジルコン酸鉛粉末、窒化珪素、窒化アルミニウム等を主成分とする材料またはこれらの混合物等を挙げることができる。また、焼結助剤として、シリカ、粘土、遷移金属酸化物等を主成分に対して30重量%以下が添加された材料であってもよい。部分安定化ジルコニアの安定化剤としては、イットリア、マグネシア、セリア、カルシア、イッテルビア、およびその他希土類金属の酸化物等を用いることができ、イットリアの添加量としては、1〜8mol%とすることができる。
【0017】
本発明に係るセラミックスグリーンシートの製造方法においては、セラミックススラリーを用いて、セラミックスグリーンシート成形の前工程において、スラリーの粘度を所望の値にするため、およびスラリー中の気孔を除去し、成形したセラミックスグリーンシート内のポアを除去するために、真空脱気処理をおこなうことが好ましい。真空脱気処理は、加熱下および/または100mmHg以下の減圧下で行った方がスラリー中の小気孔の除去効率が向上するので、より好ましい。この際、セラミックススラリーの粘度が、約2500cps〜3000cpsとなるまで脱気処理をおこなう。ついで、溶媒の種類にもよるが、一般に、100℃程度で乾燥させる。なお、乾燥は、温度を段階的に上げるか、および/または長時間をかけて徐々に乾燥させることにより、セラミックスグリーンシート内のポアを減少させることができるだけでなく、クラック発生等の不良品発生を低減することができるので好ましい。本発明に係るセラミックス積層基板の製造方法は、かくして製造したセラミックスグリーンシートを積層、焼成することにより、セラミックス積層基板を製造する。焼成は、通常の条件下でおこなえばよい。
【0018】
なお、本明細書において、セラミックス積層基板とは、セラミックスグリーンシートを成形した後、金型などによりパンチングし、所望の形状とし、場合によっては、後で行う積層工程で、さらに積層性を向上させるために、所定の形状としたグリーンシート表面に樹脂や接着剤、あるいは溶剤などを塗布するか、スラリーと類似した組成のペーストを印刷するなどにより、補助層を形成し、あるいは補助層を形成せずに準備した複数のグリーンシートの位置を合わせて重ね合わせ、そのものを1軸プレス、静水圧プレス等により加圧し積層し、セラミックスグリーンシート積層基板を得、この積層基板を焼成することにより、得られるものをいう。積層数や積層方法は、積層基板の製造用原料、積層基板の構造、積層基板の用途等により任意に選択されることはいうまでもない。即ち、積層・加圧は分割して行ってもよく、一度に行ってもよく、分割して行う際の、回数などには制限はない。なお、参考までに、セラミックスグリーンシート積層体の例として、5層のものを図1に、また、5層のセラミックス積層基板の例を図2に示すが、これらは例示であって、この例示により積層数が何ら制限されることを意味するものではない。なお、補助層は積層加重や積層温度を低減するなどの働きを有し、しばしば、積層条件を調整する目的で使用される。さらに、得られた積層体の焼成体が修正可能な反りや、変形等を有している場合には、その反りや変形等を常法に従い、修正してもよい。即ち、得られた焼成体をさらにセッター等に挟み、焼成時の最高温度付近に加熱し、加重をかけて、同焼成体の反りや形状を修正する、修正工程により修正を行ってもよい。
【0019】
一部については、上述しているが、セラミックス積層基板の強度特性と各パラメータの関係について次に詳述する。グリーンシートのいわゆる“クラック不良”は、積層基板の表面および内部にクラックが存在することとなるので、得られる積層基板の強度が著しく低下する。また、グリーンシートの積層性が悪いと、積層基板内部に積層不良が存在することとなるので、同じく積層基板の強度は低下する。これをセラミックス粉末の球相当径Rs値との関係で見ると、Rsが0.01μm未満では、グリーンシートのクラック不良以外に、グリーンシート自体の表面平滑性も悪化するので、得られた焼成後の基板の表面には、これらに起因する欠陥が発生し、同基板の強度は低下する。従って、セラミックス粉末の球相当径は、少なくとも、0.01μm以上、好ましくは、0.05μm以上である。一方、0.5μmを超えると、表面粗さが悪化し、同基板の強度が低下する。従って、0.5μm以下が好ましく、より好ましくは、0.3μm以下である。平均凝集度は15を超えると、得られた基板の表面に欠陥が生じやすく、これにより強度が低下し易くなるので、好ましくは、15以下である。より好ましくは10以下である。また、グリーンシート調製時において、充填率を向上させることにより、焼成後の基板の緻密度を向上させることができる。従って、充填率は、少なくとも35%以上が基板の強度の点からは好ましく、40%以上がより好ましい。同様に、空隙率低減により、焼成後の基板表面および内部の欠陥を減少させることができるので、空隙率は、30%以下が好ましく、20%以下がより好ましい。
【0020】
また、上記同様、一部については、上述しているが、セラミックス積層基板の表面粗さと各パラメータの関係について次に詳述する。グリーンシートのいわゆる“クラック不良”は、積層基板表面にクラックの傷痕を残すので、得られる積層基板の表面粗さは著しく悪化する。また、グリーンシート調製時において、充填率を向上させることにより、焼成後の基板の緻密度を向上させることができ、同充填率が少なくとも35%以上であることが基板の表面粗さの点からは好ましく、40%以上がより好ましい。同様に、空隙率低減により、焼成後の基板表面の欠陥を減少させることができるので、同空隙率は、30%以下が好ましく、20%以下がより好ましい。セラミックス粉末の球相当径Rs値との関係では、Rsが0.01μm未満では、グリーンシートのクラック不良以外に、グリーンシート自体の表面平滑性も悪化するので、0.01μm以上が好ましい。より好ましくは、0.05μm以上である。一方、焼成後には、基板表面にはセラミックス粒子の大きさに応じた凸凹形状が残るために、粒子径は小さいほど基板表面粗さはよくなるので、0.5μm以下が好ましく、より好ましくは、0.3μm以下である。ところで、平均凝集度が15を超えると、グリーンシート成形中にグリーンシートにクラックを生じやすく、これに起因して、得られた基板表面粗さに悪化が生じ、これを克服するために有機成分を増やすと、充填率が低下し、それに伴う焼成後の基板の緻密化不足、ひいては、基板表面粗さの悪化を招来するために、好ましくは、15以下である。より好ましくは10以下である。
【0021】
また、本発明に係るセラミックスグリーンシートの製造方法は、多層セラミックス基板、IC基板や、各種センサ、アクチュエータ、発振子、振動子、ディスプレイ、マイクロホン、スピーカおよびフィルタ等に用いられるセラミックス構造体の製造に好ましく適用することができる。
なお、本発明に係るグリーンシートの製造方法は、セラミックス粉末を用いておこなうものであるが、セラミックス粉末の代わりに金属粉末を使用しても類似の効果を奏することができる。
【0022】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例)
1.グリーンシートの調製
下記セラミックス粉末に、下記表1に記載の球相当径になるように、粉砕処理を施した。乾式、湿式ともに、アトライタ(直径5mmのジルコニアボール使用)は、5分〜60分、振動ミル(直径10mmのジルコニアボール使用)は2時間〜24時間、ボールミル(直径10mmのジルコニアボール使用)は12時間〜48時間かけて粉砕処理を行った。乾式粉砕については、粉末100重量部に対して、粉砕助剤として、エタノールを、A〜E粉末には0.6重量部、F、G、I粉末には0.9重量部、H、およびJ粉末には1.2重量部を添加した後、粉砕を実施した。粉砕終了後、60メッシュのスクリーン(篩)で篩別し、通過したもののみを使用した。なお、比較例として使用した湿式粉砕の場合には、粉末100重量部に対して、イオン交換水を、A〜E粉末には150重量部、F、G、I粉末には220重量部、H、およびJ粉末には290重量部添加した後、粉砕を実施した。粉砕物を取り出し、150℃で15時間乾燥させた後、60メッシュのスクリーン(篩)で篩別し、通過したもののみを使用した。
【0023】
セラミックス粉末原料:
原料A〜Dについては、部分安定化ジルコニア(Y2O33モル%で部分安定化されたジルコニア粉末)であって、焼結助剤としてアルミナを0.2%含有する、表1に示したように粒子径のみが相互に異なる4種類の原料を使用した。
原料Eについては、安定化ジルコニア(Y2O38モル%で安定化されたジルコニア粉末)を使用した。
原料Fとしては、純度99.9%以上のα−アルミナを使用した。
原料Gとしては、純度99.9%以上のγ−アルミナを使用した。
原料Hとしては、純度99.9%以上のムライト(3Al2O3・2SiO2)を使用した。
原料Iとしては、純度99.9%以上のγ−アルミナを使用した。
原料Jとしては、純度99.9%以上のムライト(3Al2O3・2SiO2)を使用した。
なお、当然のことながら、上記各材料には、不純物などの不可避に含まれる成分をそれぞれ含むことはいうまでもない。
【0024】
次に、上記篩を通過させた粉末を所定の温度で加熱処理した。下記表1の加熱処理温度は、最高温度を示し、その温度で4時間保持した。なお、参考のために、比較例には、加熱処理なしのものも採用した。加熱処理後の平均凝集度値も、表1にあわせ示す。
【0025】
2.成形用スラリー作製
上記セラミックス粉末と、有機成分として、バインダであるポリビニルブチラール樹脂(セキスイ化学製:BM−2)、可塑剤であるDOP(ジオクチルフタレート)、および分散剤であるソルビタン脂肪酸エステル(花王製:SP−030)と、有機溶剤として、トルエン/2−プロパノール混合溶液(容積比50/50)を所定割合にて調合し、ボールミル(直径10mmのジルコニアボール使用)で20時間混合した。その後、こうして得られたスラリーを、真空脱泡処理により、粘度調整をおこない、3000cpsの成形用スラリーを作製し、ドクターブレードマシーンにより、成形し、100℃で2時間乾燥させ、膜厚150μmのセラミックスグリーンシートを得た。こうして得られたセラミックスグリーンシートのクラック発生について評価した。
【0026】
積層性の評価1
上記のようにして調製したセラミックスグリーンシートを5枚重ね合わせて、80℃で、100kgf/cm2、3分の条件で加熱圧着積層した。その後、最高保持温度1400〜1600℃で2時間保持し、焼成を行った後、積層時の変形、および亀裂の有無、焼成時のクラック発生の有無、焼成後の積層界面での剥離の有無を肉眼で検査し、積層性を評価した。さらにまた、得られた積層基板の強度特性と表面粗さ特性についても評価した。
【0027】
積層性の評価2
上記のようにして調製したセラミックスグリーンシートを5枚準備し、それぞれ積層される面に、印刷乾燥後の厚さは5μmとなるように接着補助層をスクリーン印刷により形成し、100℃で10分間乾燥させた。ここで使用する接着補助層は、積層に供されるセラミックスグリーンシート成形用スラリーの作製に使用したセラミックス粉末および有機成分が同一組成、同一重量比であって、溶剤が2−エチルヘキサノールであるペーストをボールミルにより混合作製し、粘度40000cpsに調整したものを使用した。こうして得られた接着補助層を上面に形成したセラミックスグリーンシートを重ね合わせて、80℃で、20kgf/cm2、1分の条件で加熱圧着積層した。その後、最高保持温度1400〜1600℃で2時間保持し、焼成を行った後、積層時の変形、および亀裂の有無、焼成時のクラック発生の有無、焼成後の積層界面での剥離の有無を肉眼で検査し、積層性を評価した。さらにまた、得られた積層基板の強度特性と表面粗さ特性についても評価した。なお、表1及び表2の最右欄に、参考までに、実施例・比較例の別を表示した。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
註:表中、記号−は、加熱処理の欄にあっては、加熱処理をしなかったことを、また、積層性の判断の欄においては、クラック発生のために、積層性の良、不良が判断できなかったことを示す。さらに、積層性の判断の欄においては、積層評価試験1および2共に良好なものを○、積層評価試験1および2において共に不良なものを×で示す。また、強度特性の欄にあっては、積層基板の抗折強度を島津製作所製オートグラフS500を用いて4点曲げ法により測定し、充分な強度を示すものを◎、使用可能なものを○、強度不十分なものを×、クラック発生のために、測定できなかったものを−で示す。さらに、表面粗さ特性の欄にあっては、積層基板表面に薄層配線および電極形成を行い、良好なものを◎、使用可能なものを○、薄層配線および電極の強度不足なものを×、クラック発生のために、測定できなかったものを−で示す。
【0031】
上記表1に示したように、本発明の方法を採用することで、微細なセラミックス粉末を使用したセラミックスグリーンシートの成形性および積層性を向上させることができる。
【0032】
【発明の効果】
乾式粉砕によりセラミックス粉末を所定の範囲内の球相当径Rsを有し、そのものを所定温度で加熱処理して、所定の平均凝集度を有するようにして、初めて適当な空隙率と強度があり、良好な積層性を持つグリーンシートが得られる。すなわち、より具体的には、乾式粉砕を採用することで、セラミックス粉末を使用してスラリーを調製する際に、良好なスラリーの流動性と、適度の生密度が得られ、結果として、グリーンシートの成形時の寸法バラツキも少なく、打ち抜き性もよく、かつ、同グリーンシートから積層体を焼成、成形するに際して高頻度で採用されるテープ成形時においても、クラックも実質的になくなり;また、乾式粉砕により、球相当径Rsを所定の範囲内とすることで、積層時の変形、焼成収縮率のバラツキ、テープ成形時のクラック不良等を押さえるとともに、基板強度低下や表面粗さ悪化等も防止でき;さらに、加熱処理することにより、平均凝集度を所定の範囲内とすることで、グリーンシートの空隙率および生密度を適正化することにより、金型打ち抜き性、積層性、焼成時の脱バインダ性の向上を図ることができるという効果を発揮するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 セラミックスグリーンシート積層体の層構成の例を模式的に示す断面図である。
【図2】 セラミックス積層基板の層構成の例を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1…ダイヤフラム部、2…基体部。
Claims (3)
- セラミックス粉末を乾式粉砕し、
球相当径Rs値を
0.01≦Rs≦0.5
〔ただし、式中、Rs(μm)は6/ρCS(ただし、式中のρCは、セラミックス粉末の真密度(g/cm3)を、Sはセラミックス粉末のBET比表面積値(m2/g)を示す。)を意味する〕とする工程と、
上記乾式粉砕した粉末を250℃〜1000℃の温度で加熱処理し、下式で表される平均凝集度X’
X’=R’m/Rs
〔ただし、R’mは加熱処理後レーザー散乱法により測定されたセラミックス粉末のメジアン径(μm)を意味し、Rs(μm)は上記の同じ意味を有する〕を2.5〜15の範囲内となるように調整する工程と、
上記加熱処理した粉末に、有機成分が容積比でセラミックスグリーンシートの20〜55%を占め、セラミックスグリーンシートの空隙率が5〜25%を満たす量の有機成分と所用量の溶剤とを混合して、セラミックススラリーを調製する工程と、および
同セラミックススラリーを用いて、セラミックスグリーンシートを成形する工程と、を含むことを特徴とするセラミックスグリーンシートの製造方法。 - セラミックス粉末を乾式粉砕するに際して、ボールメディアを用いた粉砕機を使用することを特徴とする請求項1記載の製造方法。
- 請求項1または2記載の製造方法により製造したセラミックスグリーンシートを積層、焼成することを特徴とするセラミックス積層基板の製造方法。
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