JP3725914B2 - サーマルヘッドの断線検出装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、サーマルヘッドの発熱体の断線状態を検出する断線検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の装置としては、図2に示すものが知られている(特公平6−104367号公報参照)。1は定電圧電源で構成されたサーマルヘッド駆動用基準電源で、サーマルヘッド駆動用基準電圧VH を出力し、この基準電圧VH が演算増幅器2の非反転入力端子(+)に印加される。また、演算増幅器2の出力端子と反転入力端子(−)の間には、第1のスイッチ3と第1の抵抗器R1 の直列体が接続され、非反転入力端子と接地点との間には、第2の抵抗器R2 が接続されている。
【0003】
前記第1のスイッチ3には、第3の抵抗器R3 と第2のスイッチ4の直列回路が並列に接続され、第1のスイッチ3と第1の抵抗器R1 の接続点と接地点の間には、第1のコンデンサC1 とサーマルヘッド5が並列に接続されている。このサーマルヘッド5は、抵抗器で構成された発熱体6とスイッチングトランジスタQの直列体がn個並列に接続された抵抗器群と、この抵抗器群に並列に接続された第2のコンデンサC2 で構成されている。
【0004】
7は差動増幅器で、その非反転入力端子(+)は演算増幅器2の出力端子に接続され、その反転入力端子(−)は前記第3の抵抗器R3 と第2のスイッチ4の接続点に接続されている。8はコンパレータで、その非反転入力端子(+)は前記差動増幅器7の出力端子に接続され、その反転入力端子(−)には断線判別電源9から出力される断線判別電圧VS が印加され、その出力端子から断線検出信号が出力される。
【0005】
次に、上記従来例の動作を説明する。
通常の印字モードでは、第1のスイッチ3がON、第2のスイッチ4がOFFに設定され、第1のコンデンサC1 にVC =VH (R1 +R2 )/R2 の電圧が印加される。この電圧VC は、図示していない駆動回路によって制御されてONになったスイッチングトランジスタQに接続されている発熱体6に印加され、電流iが流れて発熱することで感熱紙への印字が行なわれる。
【0006】
次に、断線検出モードでは、第1のスイッチ3がOFF、第2のスイッチ4がONに設定されるが、第1のコンデンサC1 に印加される電圧はVC =VH (R1 +R2 )/R2 となリ、印加モードのときと変わらない。この状態の下で、図示していない駆動回路によってスイッチングトランジスタQを順次ONにする。発熱体6が断線していないときは、発熱体6の抵抗値をrとすると、発熱体6に電流i=VC /rが流れ、第3の抵抗器R3 の端子間電圧はi・R3 となる。この第3の抵抗器R3 の端子間電圧i・R3 は差動増幅器7で検出され、コンパレータ8の非反転入力端子に入力されて非反転入力端子に入力される断線判別電圧VS と比較され、VS よりも低いときはコンパレータ8からその発熱体6が断線していることを示すゼロレベルの断線検出信号が出力される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように構成された従来の装置では、多数の発熱体に1つずつ順次通電して断線の有無を検出しなけれがならないので、1個のサーマルヘッドを検査するのに多大の時間を要することになる。通常、この断線検査はバーコード等を印字中のサーマルヘッドの印字動作を中断して行うので、この断線検査に長時間を要すると作業上の大きな障害になる。
【0008】
また、断線検出モードでもサーマルヘッドの発熱体には印字中と同じ電圧VC が印加されるので、装着されている感熱紙が発色するという問題点があった。
【0009】
本発明は上記のような問題点の解決を目的としてなされたもので、同時に複数の発熱体に通電して同時に検査することによって検出時間の短縮が図れるとともに、発熱体に印加する電圧を上記VC よりも低電圧にすることによって感熱紙を発色させることなく断線を検出することができるサーマルヘッド断線検出装置を得ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、サーマルヘッド駆動用基準電圧を出力するサーマルヘッド駆動用基準電源と、演算増幅器と、この演算増幅器の非反転入力端子に前記サーマルヘッド駆動用電圧より低い断線検出用電圧を印加する断線検出用電源と、前記演算増幅器の出力端子とその反転入力端子との間に接続された固定抵抗器と、サーマルヘッドに対して印字モード時には上記サーマルヘッド駆動用基準電圧を印加し、断線数検出モード時には上記演算増幅器の反転入力端子電圧を印加するスイッチング手段と、断線数検出モード時に上記サーマルヘッドの互いに並列接続された複数の発熱体の全部を同時に通電状態に駆動する制御手段とを備え、上記固定抵抗器と上記並列接続された複数の発熱体とが上記スイッチング手段を介して直列接続されており、断線数検出モード時の上記演算増幅器の出力電圧から上記通電状態に駆動した複数の発熱体のなかの断線数を検出するようにしたものである。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記演算増幅器の出力電圧をデジタルデータ変換するアナログデジタル(A/D)変換器を備えたものである。
【0012】
【作用および効果】
請求項1の発明によれば、断線数検出モード時にスイッチッグ手段を切り換えて演算増幅器の反転入力端子電圧をサーマルヘッドの複数の発熱体に同時に印加すると、演算増幅器の出力電圧は発熱体の通電個数に比例した分だけ高くなるので、この出力電圧の上昇分から発熱体の通電個数を検出することができる。このように、複数の発熱体を同時に検査できるので、検査時間を大幅に短縮できる。
【0013】
また、断線検出用電圧は駆動用基準電圧よりも低電圧で足りるので、断線数検出モード時に、何等かの理由でサーマルヘッドの発熱体に長時間断線検出用電圧を印加し続けても発熱量は少なく、感熱紙が発色する恐れがない。
【0014】
請求項2の発明によれば、演算増幅器の出力電圧信号をデジタルデータに変換するA/D変換器を設けたので、出力電圧信号のレベル判定による断線個数の検出、検査データの記録および利用が容易になる。
【0015】
【実施例】
図1は、この発明の一実施例を示す図で、図2と同一符号はそれぞれ同一または相当部分を示す。図において10は断線検出用電源で、サーマルヘッド駆動用基準電源1から出力されるサーマルヘッド駆動用基準電圧VH (例えば24ボルト)よりもはるかに低い断線検出用電圧Vi (例えば0.3ボルト)の一定電圧を演算増幅器11の非反転入力端子(+)に印加する。この演算増幅器11の出力端子と反転入力端子(−)の間には固定抵抗器RO が接続され、さらにこの反転入力端子はスイッチ12のa端子に接続されている。
【0016】
上記スイッチ12のb端子には上記サーマルヘッド駆動用基準電源1の出力電圧VH が印加され、さらにb端子と接地点との間には第1のコンデンサC1 が接続されている。スイッチ12の出力側端子となるc端子(共通端子)には、サーマルヘッド5の発熱体6とスイッチングトランジスタQの直列体がn個並列に接続され、さらに、第2のコンデンサC2 が並列接続されている。
【0017】
13はA/D変換器で、演算増幅器11の出力電圧信号VO の値をデジタルデータに変換する。14はこのデジタルデータを処理して発熱体6の検査データおよびサーマルヘッドの駆動データを得る信号処理手段で、抵抗値判別手段15、断線数検出手段16、断線箇所判別手段17、メモリ18および通電時間設定手段19を有している。20はサーマルヘッド5の動作モードを、印字モード、抵抗値判別ード、断線数検出モードおよび断線箇所判別モードに切り換える動作モード設定手段、21はサーマルヘッド5の各発熱体6の通電を制御する通電制御手段、22は諸データを表示する表示器である。
【0018】
まず、サーマルヘッド5のプリンタ装置への組み込み時に実施される、抵抗値判別モード時の動作を説明する。
まず、演算増幅器11は、その反転入力端子(−)の電圧を非反転入力端子(+)の電圧Vi に合致させるように動作する。抵抗値判別モード指令信号が入力された動作モード設定手段20は、スイッチ12をa端子側に切り換えて、演算増幅器11の反転入力端子(−)の端子電圧Viをサーマルヘッド5の各発熱体6に印加するとともに、信号処理手段14、および通電制御手段21を抵抗値判別モードに設定する。通電制御手段21は、何れか一つのスイッチングトランジスタQをONにして電流i0 を通電させる。
【0019】
このとき、発熱体6の抵抗値をrとすると、発熱体6の通電電流i0 は、
i0 =Vi /r ‥‥‥‥(1)
となり、これにともなって演算増幅器11の出力電圧V01は、
V01=i0 ・R0 +Vi ‥‥‥‥(2)
となり、電流i0 が流れていないときの出力端子電圧V0 =Vi からi0 ・R0 だけ上昇する。A/D変換器13はこの出力電圧V01をデジタルデータに変換して信号処理手段14に出力する。
【0020】
抵抗値判別手段15は、入力されたV01のデータから、次の(3)式にもとづいて発熱体6の抵抗値rを算出してメモリ18に書き込む。
r =V i ・R 0 /(V 01 −V i ‥‥‥‥(3)
信号処理手段14は、表示器22にその抵抗値rを表示する。
【0021】
次に、この実施例の印字モード時の動作を説明する。
印字モード指令信号が入力された動作モード設定手段20は、スイッチ12をb端子側に切り換えて、サーマルヘッド駆動用基準電源1から出力されるサーマルヘッド駆動用電圧VH をサーマルヘッド5の各発熱体6に印加するとともに、信号処理手段14、および通電制御手段21を印字モードに設定する。
【0022】
通電時間設定手段19は、メモリ18に書き込まれた発熱体6の抵抗値rを読み出し、通電時の各発熱体6の温度が最適印字濃度となる最適通電時間t0 (パルス幅)を設定して通電制御手段21に与える。通電制御手段21は、入力される印字データにもとづいてサーマルヘッド5の各スイッチングトランジスタQのON,OFF制御を行い、サーマルヘッド駆動用電圧VH をサーマルヘッド5の各発熱体6に時間t0 ずつ通電し、発熱させて感熱紙に印字する。この結果、常に最適濃度の印字を自動的に行うことができる。
【0023】
このように、サーマルヘッド5をプリンタ装置に組み込む際、メモリ18に書き込んだ発熱体6の抵抗値rにもとづいて自動的に印字モード時の最適通電時間t0 (パルス幅)を算出して通電時間を設定するようにしたから、組立時の通電時間設定手間が省略できるとともに、通電時間の調整精度が向上する。
【0024】
次に、印字動作中に適宜実施される断線数検出モード時の動作を説明する。断線数検出モード指令信号が入力された動作モード設定手段20は、スイッチ12を端子a側に切り換えて演算増幅器11の反転入力端子の電圧Vi をサーマルヘッド5に印加するとともに、信号処理手段14、および通電制御手段21を断線数検出モードに設定する。
【0025】
通電制御手段21は、サーマルヘッド5の全スイッチングトランジスタQをONに制御して全発熱体6を同時に通電状態に制御する。このとき、各発熱体6の印加電圧Vi は十分に低い電圧であるので各発熱体6の発熱量は小さく、何等かの事情で長時間通電状態が続いても、感熱紙を発色させる温度まで上昇することはない。
【0026】
断線数検出手段16は、通電されている全発熱体(n個)6のうち、断線している個数を検出する。すなわち、電圧Vi が印加されているn個の発熱体6のうち、x個の発熱体6が断線しているときの演算増幅器11の出力電圧V0n-xは、
V0n-x=(n−x)・i0 ・R0 +Vi ‥‥‥‥‥(4)
となるから、発熱体6の断線数は、
x=n−(V0n-x−Vi )/(i0 ・R0 ) ‥‥‥‥‥(5)
となり、ここで、
0 =V i /r より、
x=n−r・(V 0n-x −V i )/(V i ・R 0 ) ‥‥‥‥‥(6)
となる。
【0027】
このように、本実施例によれば、一回の通電でもってn個の発熱体6のなかの断線数xを検出することができるので、従来の検査時間よりもはるかに短い時間でサーマルヘッド5の断線検査を行うことができる。信号処理手段14は、検出した断線数xを表示器22に表示する。
【0028】
次に、必要なときに実施する断線箇所判別モード時の動作を説明する。
断線箇所判別モード指令信号が入力された動作モード設定手段20は、スイッチ12を端子a側に切り換えて演算増幅器11の反転入力端子の電圧Vi をサーマルヘッド5に印加するとともに、信号処理手段14、および通電制御手段21を断線箇所判別モードに設定する。
【0029】
通電制御手段21は、サーマルヘッド5の各スイッチングトランジスタQを順次ONに制御して各発熱体6を順次通電状態に制御する。断線箇所判別手段17は、スイッチングトランジスタQがONに切り換えられる度に演算増幅器11の出力電圧がi0 ・ 0だけ高くなるか否かを判別して、高くならない発熱体6を断線と判定し、メモリ18にその位置データを書き込んでゆく。全ての発熱体6の検査が終了すると、信号処理手段14は当該サーマルヘッド5の断線箇所を表示器22に表示する。
【0030】
なお、断線数検出モードにおいては、n個全ての発熱体6を同時に通電状態としたが、発熱体6を適宜な複数個ずつに分割して、断線検出を行ってもよく、やはり、従来よりも短い時間で、断線検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すブロック図である。
【図2】従来のサーマルヘッドの断線検出装置を示すブロック図である。
【符号の説明】
1…サーマルヘッド駆動用基準電源、5…サーマルヘッド、6…発熱体、
10…断線検出用電源、11…演算増幅器、12…スイッチ、13…A/D変換器、14…信号処理手段、15…抵抗値判別手段、16…断線数検出手段、17…断線箇所判別手段、18…メモリ、19…通電時間設定手段、20…動作モード設定手段、21…通電制御手段、22…表示器、Q…スイッチングトランジスタ。

Claims (2)

  1. サーマルヘッド駆動用基準電圧を出力するサーマルヘッド駆動用基準電源と、演算増幅器と、この演算増幅器の非反転入力端子に前記サーマルヘッド駆動用電圧より低い断線検出用電圧を印加する断線検出用電源と、前記演算増幅器の出力端子とその反転入力端子との間に接続された固定抵抗器と、サーマルヘッドに対して印字モード時には上記サーマルヘッド駆動用基準電圧を印加し、断線数検出モード時には上記演算増幅器の反転入力端子電圧を印加するスイッチング手段と、断線数検出モード時に上記サーマルヘッドの互いに並列接続された複数の発熱体の全部を同時に通電状態に駆動する制御手段とを備え、上記固定抵抗器と上記並列接続された複数の発熱体とが上記スイッチング手段を介して直列接続されており、断線数検出モード時の上記演算増幅器の出力電圧から上記通電状態に駆動した複数の発熱体のなかの断線数を検出するサーマルヘッドの断線検出装置。
  2. 請求項において、前記演算増幅器の出力電圧をデジタルデータ変換するアナログデジタル変換器を備えたことを特徴とするサーマルヘッドの断線検出装置。
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