JP3725491B2 - 繊維処理剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は繊維処理剤に関する。さらに詳しくは、編物、織物および不織布などの繊維製品の仕上げ加工に用いられる繊維処理剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、繊維処理剤としては、ウレタンプレポリマーを重亜硫酸塩でブロックした水性分散液からなる繊維処理剤が知られている。(例えば特開2000−265374号公報)。
しかし、これらの水性分散液からなる繊維処理剤は、水性媒体中に多量のブロックドポリウレタンが溶解しているため、特に低温下(例えば10℃以下)では、これらが析出し、沈降するという問題点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、低温下でも安定なブロックドポリウレタン系水性分散液からなる繊維処理剤を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、低温下でも安定で析出物の発生しない繊維処理剤について鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち本発明は、イソシアネート末端ウレタンプレポリマー(a)を重亜硫酸塩(b)でブロックしたブロックドポリウレタン(A)および25℃で2以下の溶解度(g/100g水)を有する疎水性溶媒(B)を含有する水性分散液からなることを特徴とする繊維処理剤、該繊維処理剤による繊維の加工方法および該繊維処理剤で加工された繊維製品である。
【0005】
【発明の実施の形態】
疎水性溶媒(B)は、2以下、好ましくは1.8以下の水に対する溶解度(g/100g水、25℃:以下WSと略記)を有する。
【0006】
(B)には、例えば、疎水性アルコール類(B1)、エステル類(B2)、エーテル類(B3)、ケトン類(B4)、炭化水素類(B5)、ハロゲン化炭化水素類(B6)およびこれらの2種以上の併用が挙げられる。
【0007】
(B1)には、好ましくは炭素数6〜18、さらに好ましくは6〜12、特に好ましくは6〜9のアルコールが含まれる。
【0008】
(B1)の例としては以下のものが挙げられる。
(B11)1価アルコールとしては、脂肪族飽和1価アルコール、脂肪族不飽和アルコール、脂環式アルコールおよび芳香族アルコールが挙げられる。
【0009】
脂肪族飽和1価アルコールには、例えば天然アルコールおよび合成アルコール(例えばチーグラーアルコールもしくはオキソアルコール)などの直鎖および分岐アルカノールが含まれ、具体的には2−エチルブタノール、2および4−メチルペンタノール、1−ヘキサノール、2−エチルペンタノール、2−メチルヘキサノール、1−、2−および3−ヘプタノール、2−エチルヘキサノール、1および2−オクタノール、1−ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノールおよびトリデカノールが挙げられる。
【0010】
脂肪族不飽和アルコールには、例えばアルケノールおよびアルカジエノールが含まれ、具体的には2−プロピルアリルアルコール、2−メチル−4−ペンテノール、1−ヘキセノール、2−エチル−4−ペンテノール、2−メチル−5−ヘキセノール、1−ヘプテノール、2−エチル−5−ヘキセノール、1−オクテノール、1−ノネノール、ウンデセノール、ドデセノールおよびゲラニオール等が挙げられる。
【0011】
脂環式アルコールには、例えばシクロアルカノールおよびシクロアルケノールが含まれ、具体的にはメチルシクロヘキサノールおよびα−テルピネオールなどが挙げられる。
【0012】
芳香族アルコールとしては、フェネチルアルコールおよびサリチルアルコールなどが挙げられる。
【0013】
(B12)2価アルコールとしては、アルカンジオール、たとえば1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオールおよび1,12−ドデカンジオールなどが挙げられる。
【0014】
(B1)のうちで好ましいものは、水性分散液中での乳化分散性の観点から(B11)、さらに好ましくは脂肪族系アルコールである。
【0015】
(B2)には、総炭素数4〜24、好ましくは6〜18、さらに好ましくは6〜12のハイドロカルビルエステル(B21)、および総炭素数4〜60、好ましくは6〜30、さらに好ましくは6〜24のポリオールエステル(B22)が含まれる。
【0016】
ハイドロカルビルエステル(B21)には、ハイドロカルビルカルボン酸エステル、例えばハイドロカルビルモノカルボン酸(B211)およびモノ−およびジ−ハイドロカルビルジカルボン酸(B212)が含まれる。以上および以下において、ハイドロカルビル基とは、1価の炭化水素基、例えば(シクロ)アルキルおよび(シクロ)アルケニル基などの(シクロ)脂肪族炭化水素基、並びに(アルキル)アリールおよびアラルキル基などの芳香族炭化水素基を意味する。
また、(シクロ)脂肪族とは、脂肪族および/または脂環族を表し、以下同様の表現が用いられる。
【0017】
(B211)を構成するモノカルボン酸には、炭素数2〜20の直鎖および分岐の、および飽和および不飽和のカルボン酸(脂肪酸)が含まれ、具体的には酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、アビエチン酸、(メタ)アクリル酸、(イソ)クロトン酸、オレイン酸およびトール油脂肪酸などが挙げられる。
【0018】
(B211)には、上記のモノカルボン酸のハイドロカルビルエステル[(B11)もしくは炭素数1〜5の低級アルコール(アルカノールもしくはアルケノール)とのエステル]が含まれ、例えば酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル、酢酸オクチル、酢酸ドデシル、酢酸オクタデシル、酢酸ビニル、酢酸オクテニルおよび酢酸ドデセニルなどの酢酸エステル、対応するプロピオン酸エステル(プロピオン酸ブチル、プロピオン酸ヘキシルなど)、酪酸エステル(酪酸ヘキシルなど)、イソ酪酸エステル(イソ酪酸ヘキシルなど)およびステアリン酸エステル(ステアリン酸ブチルなど)、並びに(メタ)アクリル酸エステル(メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチルなど)が挙げられる。
【0019】
(B212)を構成するジカルボン酸には、飽和もしくは不飽和の炭素数4〜8のジカルボン酸(コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、エチルコハク酸、ピメリン酸、マレイン酸、フマル酸およびイタコン酸など)が含まれる。
【0020】
(B212)としては、上記のジカルボン酸のモノおよびジハイドロカルビルエステル[(B11)もしくは上記の低級アルコール(アルカノールもしくはアルケノール)のエステル]、例えばコハク酸モノおよびジアルキルエステル(コハク酸モノおよびジ2−エチルヘキシル、コハク酸モノおよびジドデシル、コハク酸ジメチルおよびコハク酸ジエチルなど)、グルタル酸モノおよびジアルキルエステル(グルタル酸ジメチルなど)並びにアジピン酸酸モノおよびジアルキルエステル(アジピン酸モノおよびジメチルなど)が挙げられる。
【0021】
(B22)を構成するポリオールには、ジオールおよび3〜8個もしくはそれ以上の水酸基を有するポリオールが含まれ、ジオールには、炭素数2〜12の(シクロ)アルカンジオール[エチレングリコール(以下EGと略記する)、プロピレングリコール、1,2−、2,3−、1,3−および1,4−ブチレングリコール(以下BGと略記する)、ネオペンチルグリコール(以下NPGと略記する)、1,6−ヘキシレングリコール(以下HGと略記する)、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール(以下TMPGと略記する)および(B12)で示したアルカンジオールなど]および芳香族ジオール[キシレンジオールなど]が挙げられる。
また、3個以上の水酸基を有するポリオールとしては、例えばアルカンポリオール並びにそれらの分子内および分子間脱水物[グリセリン、トリメチロールプロパン(以下TMPと略記する)、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ポリグリセリン、ジペンタエリスリトールおよびソルビタン]並びに蔗糖およびグリコシド[シュークロズおよびメチルグルコシドなど]が挙げられる。
【0022】
(B22)としては、ポリオールとモノカルボン酸とのモノおよびポリエステル、例えば、HGモノおよびジ酢酸エステル、EGモノおよびジ2−エチルヘキサン酸エステル、NPGモノおよびジ2−エチルヘキサン酸エステル、NPGモノおよびジイソ酪酸エステル、TMPGモノおよびジ2−エチルヘキサン酸エステル、TMPGモノおよびジイソ酪酸エステル、TMPモノ、ジおよびトリ2−エチルヘキサン酸エステル、ソルビタンのモノ、ジおよびトリ脂肪酸(炭素数12〜18)エステル(後述の小田法によるHLBが1〜7のもの)などが挙げられる。
【0023】
(B2)のうちで好ましいものは、水性分散液中での乳化分散性の観点からポリオールエステル(B22)、さらに好ましくはポリオールとモノカルボン酸とのモノおよびジエステル、特に好ましくはジオールとモノカルボン酸とのモノエステル、とりわけNPGモノ2−エチルヘキサン酸エステル、NPGモノイソ酪酸エステル、TMPGモノ2−エチルヘキサン酸エステル、TMPGモノイソ酪酸エステル(TMPGモノイソ酪酸エステルを、以下TMIEと略記する)、およびこれらのうちの2種以上の併用である。
【0024】
(B3)には総炭素数5〜18、好ましくは6〜12、さらに好ましくは6〜8で、1個もしくは2個のエーテル結合を有するハイドロカルビルエーテル(B31)、および2〜60のオキシアルキレン基と3,000以上の数平均分子量(ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーによる測定;以下、Mnと略記する)を有するポリアルキレンエーテル(B32)が含まれる。
【0025】
(B31)としては、ジハイドロカルビルエーテル(B311)[たとえばメチルn−ペンチルエーテル、メチルn−オクチルエーテル、イソプロピルn−ブチルエーテル、エチルn−ヘキシルエーテル、ジn−ブチルエーテルおよびイソブチル2−エチルヘキシルエーテルなど]並びにポリオールのモノおよびポリハイドロカルビルエーテル(B312)〔ポリオールには上記(B22)で挙げたものと同様のものを含む〕[例えば、EGモノおよびジ2−エチルヘキシルエーテル、EGモノおよびジデシルエーテル、BGモノおよびジ2−エチルヘキシルエーテル、HGモノおよびジイソブチルエーテル、HGモノおよびジペンチルエーテル、並びにTMPモノ、ジおよびトリ2−エチルヘキシルエーテルなど]が含まれる。
【0026】
ポリアルキレンエーテル(B32)には、炭素数3〜12のオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレンポリオール(B321);炭素数2〜12のオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレンポリオールのハイドロカルビルエーテル(B322);並びに、炭素数2〜12のオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレンポリオールと上記の(B21)で挙げたモノカルボン酸とのエステルもしくはその一部がハイドロカルビルエーテルのもの(B323)、が含まれる。
【0027】
上記のポリオキシアルキレンポリオールには、ポリアルキレングリコールおよびポリオールのアルキレンオキサイド(以下、AOと略記する)付加物が含まれる。
ポリオールには(B22)で示したものと同様のものが含まれる。
AOとしては、エチレンオキサイド(以下、EOと略記する)、プロピレンオキサイド(以下、POと略記する)、1,2−、2,3−および1,3−ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン(以下、THFと略記する)、炭素数5〜12のα−オレフィンオキサイドおよびこれらの2種もしくはそれ以上の併用(ブロックおよび/またはランダム付加)が挙げられる。
【0028】
(B321)の例としては、ポリアルキレングリコール[ポリプロピレングリコール(Mn=800〜3,000)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール (以下、PTMGと略記する)(Mn=300〜700)、POとTHFのブロックおよびランダム共重合体(Mn=500〜1,000)など]並びにポリオキシプロピレントリオール(Mn=800〜3,000)[グリセリンPO付加物およびTMPのPO付加物など]が挙げられる。
【0029】
(B322)の例としては、上記のポリアルキレングリコールのモノおよびジアルキル(炭素数1〜4)エーテル、(B11)で挙げた1価アルコールのAO付加物(AOとしてはEO、POおよび/またはTHF)、これらのモノエーテルおよび/またはAO付加物の二量化物(メチレンジクロライドのようなアルキレンジハロゲン化物を用いることによる二量化)、上記のポリオキシプロピレントリオールのモノ、ジおよびトリアルキル(炭素数1〜4)エーテル、並びにポリエチレングリコール(Mn=106〜370)のモノおよびジアルキル(炭素数1〜4)エーテル[後述の小田法によるHLBが1〜7の脂肪族アルコール(炭素数10〜24)EO(2〜8モル)付加物、ジエチレングリコールのジ2−エチルヘキシルエーテルおよびトリエチレングリコールのジステアリルエーテルなど]が挙げられる。
【0030】
(B323)の例としては、上記のポリアルキレングリコールのモノおよびジ酢酸エステル、上記のポリオキシプロピレントリオールのモノ、ジおよびトリ酢酸エステル、上記のポリオキシプロピレントリオールのモノアルキルエーテルおよびジアルキルエーテルのモノ酢酸エステル;これらの酢酸エステルに相当する2−エチルヘキサン酸エステル;並びに、ポリエチレングリコール(Mn=106〜300)とモノカルボン酸(炭素数8〜18)のジエステル[たとえば、ジエチレングリコールジ2−エチルヘキサン酸エステルおよびトリエチレングリコールジステアリン酸エステル]などが挙げられる。
【0031】
(B3)のうちで好ましいものは、水性分散液中での乳化分散性の観点から(B31)、さらに好ましくは(B312)、とくにグリコールモノアルキルエーテルが好ましい。
【0032】
(B4)には、総炭素数4〜24、好ましくは6〜12、さらに好ましくは6〜8のケトンが含まれる。
(B4)としては例えば、ジハイドロカルビルケトン[例えばメチルイソブチルケトン(以下、MIBKと略記)、ジイソプロピルケトン、メチルアミルケトン、エチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、イソブチルイソアミルケトン、ジイソアミルケトン、イソブチルアリルケトン、イソプロピルアリルケトン、エチルオクテニルケトンおよびジアリルケトンなどの脂肪族ジハイドロカルビル(アルキルおよび/またはアルケニル)ケトン]および環状ケトン[シクロヘキサノンなど]が挙げられる。これらのうちで好ましいものは脂肪族ケトンであり、さらに好ましいものはジアルキルケトン、特にMIBKである。
【0033】
(B5)には、炭素数4〜24、好ましくは6〜12、さらに好ましくは6〜8の炭化水素が含まれる。
(B5)としては例えば、(シクロ)脂肪族炭化水素(B51)[直鎖および分岐のアルカン(n−ヘキサン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、イソオクタンおよびイソデカンなど);アルケン(1−オクテン、2−オクテン、1−ノネン、1−デセンおよび1−ドデセンなど);シクロアルカン(シクロヘキサン、シクロデカン、シクロドデカン、シクロヘキセンおよびシクロドデセンなど);およびシクロアルケン(シクロヘキセンおよびシクロデセンなど)];並びに芳香族炭化水素(B52)[トルエン、キシレン、クメン、エチルベンゼンおよびスチレンなど]が挙げられる。これらのうちで好ましいものは(シクロ)脂肪族炭化水素(B51)である。
【0034】
(B6)には、炭素数4〜24、好ましくは6〜12、さらに好ましくは6〜8で、1〜4個のハロゲン原子(塩素、臭素およびヨウ素)を含有するハロゲン化炭化水素が含まれる。
(B6)の例としては、脂肪族ハロゲン化炭化水素(B61)[ジクロルメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロルエタン、トリクロルエタンおよびジクロルプロパンなど]およびハロゲン化芳香族炭化水素(B62)[クロルベンゼン、ブロムベンゼン、ジクロルベンゼンおよび塩化ベンジルなど]が挙げられる。
【0035】
これらの溶媒(B)のうちで好ましいものは(B1)、(B2)、(B3)および(B4)であり、さらに好ましいものは(B1)、(B2)および(B3)であり、特に好ましいのは(B2)である。
【0036】
(B)は、取り扱いし易さの点で常温で液状であることが好ましい。また、処理された繊維製品から蒸発除去されやすいという点で(B)の沸点(常圧下での)は好ましくは300℃以下、さらに好ましくは250℃以下である。
【0037】
(B)は、(A)を含有する水性分散体において、水性媒体に対する(A)の溶解度(g/100g水性媒体、25℃;以下AMSと略記する)を下げるために添加されるものである。
例えば、AMSが20〜100の(A)を含有する水性分散体に、(B)を添加することにより、AMSが1〜10に低減された水性分散体を得ることができる。
【0038】
本発明においてブロックドポリウレタン(A)は、イソシアネート末端プレポリマー(a)が重亜硫酸塩(b)でブロックされたものであり、イソシアネート末端プレポリマー(a)[以下において、プレポリマー(a)と略記する]は有機ポリイソシアネート(a1)とポリオールなどの活性水素原子含有化合物とから誘導される。
【0039】
(a1)には、ジイソシアネートおよび3官能またはそれ以上の多官能イソシアネートが含まれ;例えば、炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)6〜20の芳香族ポリイソシアネート、炭素数2〜18の脂肪族ポリイソシアネート、炭素数6〜15の脂環式ポリイソシアネート、炭素数8〜15の芳香脂肪族ポリイソシアネートおよびこれらのポリイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物など)およびこれらの2種以上の混合物が含まれる。
【0040】
芳香族ポリイソシアネート(a11)としては、例えば1,3−および/または1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−および/または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、粗製MDI、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、並びにm−およびp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートなどが挙げられる。
【0041】
脂肪族ポリイソシアネート(a12)としては、例えばエチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート(2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート)、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、および2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエートなどが挙げられる。
【0042】
脂環式ポリイソシアネート(a13)としては、例えばイソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添MDI、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、並びに2,5−および/または2,6−ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0043】
芳香脂肪族ポリイソシアネート(a14)としては、例えばm−および/またはp−キシリレンジイソシアネート、並びにα,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0044】
また、ポリイソシアネートの変性物(a15)としては、変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、トリヒドロカルビルホスフェート変性MDI)、ウレタン変性TDI、ビューレット変性HDI、イソシアヌレート変性HDI、イソシアヌレート変性IPDIなどの(a11)〜(a14)のポリイソシアネートの変性物およびこれらの2種以上の混合物[例えば変性MDIとウレタン変性TDI(イソシアネート基含有プレポリマー)との併用]が含まれる。
【0045】
(a11)〜(a15)のうち、処理した繊維が変色しない点で好ましいものは非芳香族ポリイソシアネートであり、処理した織物の風合いの点でさらに好ましいものは(a12)である。(ポリイソシアネートのうち好ましいものはジイソシアネートである。)
【0046】
プレポリマー(a)を構成する活性水素原子含有化合物には、ポリオール(a2)が含まれる。
(a2)には、高分子ポリオール(a21)が挙げられ、(a21)の水酸基当量(水酸基1ヶ当たりの数平均分子量;水酸基価から計算される値:以下EWと略記)は少なくとも400、好ましくは500〜2,000、さらに好ましくは600〜1,700である。
【0047】
(a21)としては、例えばポリエーテルポリオール(a211)、ポリエステルポリオール(a212)、水酸基含有ビニルポリマー(a213)等が含まれる。
【0048】
ポリオール(a2)は、400未満のEW(水酸基価から計算される)を有する低分子量ポリオール(a22)を、(a21)に加えて、もしくは(a21)の代わりに含有してもよい。
【0049】
ポリエーテルポリオール(a211)は、少なくとも2個(好ましくは2〜8個)の活性水素原子を有する開始剤(i)に1個以上のAOを付加することにより得られる構造のものである。
【0050】
AOには上記の炭素数2〜12またはそれ以上のものが挙げられる。
AOのうちで好ましいものは、POおよびPOと他のAO(例えばEO)との併用である。また、AOの全量のうち30%以上がPOであることが好ましい。
【0051】
開始剤(i)としては、多価アルコール(i1)、多価フェノール(i2)、(ヒドロキシ)カルボン酸(i3)、アミン類(i4)、ポリチオール(i5)およびリン原子を含有する酸(i6)が含まれ、具体的には以下のものが挙げられる。
【0052】
(i1)多価アルコール;
上記の(b22)で述べたジオール(EGおよびPGなど)および3〜8個もしくはそれ以上のの水酸基を有するポリオール(TMPなど)が挙げられる。
(i2)多価フェノール;
単環多価(2〜4価)フェノール[ヒドロキノン、レゾルシン、カテコール、フロログリシンなど]、ビスフェノール類[ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、米国特許第4,990,545号明細書記載のこれらのハロゲン化物(例えば、テトラブロモビスフェノールA)など]およびフェノール−ホルムアルデヒド縮合物(ノボラックおよびレゾール)などが挙げられる。
(i3)(ヒドロキシ)カルボン酸;
2〜8個またはそれ以上のカルボキシル基を有するポリカルボン酸(i31)としては、例えば脂肪族ポリカルボン酸(炭素数2〜40)[シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、エチルコハク酸、アジピン酸、ピメリック酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバチン酸およびドデカンジカルボン酸などの飽和脂肪族ポリカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸およびメサコン酸などの不飽和脂肪族ポリカルボン酸、並びに不飽和モノカルボン酸もしくは上記の不飽和ジカルボン酸の重合度2〜8の重合体(マレイン酸の2量体、イタコン酸の2量体、アクリル酸の5量体、メタクリル酸の5量体など)]、脂環式ポリカルボン酸、例えば脂環式ジカルボン酸[1,2−および1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−、1,3−、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸など]、重合脂肪酸[ダイマー酸およびトリマー酸(リノレイン酸およびリノール酸などの不飽和脂肪酸の2量体および3量体など)]、芳香族ポリカルボン酸[フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸など]が挙げられ、
ヒドロキシカルボン酸(i32)としては、1個以上の水酸基と1個以上のカルボキシル基を1分子中に有する化合物、例えば、グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、酒石酸およびリシノレイン酸などの脂肪族ヒドロキシカルボン酸、並びにサリチル酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸が挙げられる。
【0053】
(i4)アミン類;
1級モノアミン(i41)としては炭素数1〜20の脂肪族1級モノアミン[モノアルキルアミン(メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、n−ブチルアミンなど)、およびモノアルケニルアミン(オレイルアミンなど)]、脂環族1級モノアミン(シクロヘキシルアミンなど)、並びに芳香族1級モノアミン(ベンジルアミンおよびアニリンなど)が挙げられる。
ポリアミン(i42)としては、アミノ基を2〜10個有するポリアミン、例えば脂肪族ポリアミン[アルキレンジアミン(炭素数2〜18)、ポリアルキレン(炭素数2〜6)ポリアミン(3〜10個のアミノ基を含有する)、;具体的には、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミンおよびN−メチルアミノエチルアミンなど]、芳香族ポリアミン(炭素数6〜20)[2,4−および2,6−トリレンジアミン、4,4’−および2,4’−ジフェニルメタンジアミン、ポリメチレンポリフェニレンポリアミンおよびトリフェニルメタントリアミンなど]並びにこれらの部分アルキル(炭素数1〜8)置換体が挙げられる。
【0054】
ポリチオール(i5)としては、多価アルコール(i1)の水酸基をチオール基にした構造のものが挙げられ、具体的にはエチレンジチオール、プロピレンジチオール、1,4−ブタンジチオールおよびドデカンジチオールなどが挙げられる。
【0055】
リン原子を含有する酸(i6)としては、リン酸類(リン酸、ピロリン酸およびポリリン酸)、リン、ホスホン酸、ホスフィン酸およびこれらの酸の部分アルキル(炭素数1〜8)エステル(ジブチルピロホスフェートなど)が挙げられる。
【0056】
これらのうちで好ましいものは多価アルコール(i1)、さらに脂肪族多価アルコールであり、特にトリオールおよびジオール、とりわけジオールが好ましい。
【0057】
ポリエーテルポリオール(a211)は、触媒の存在下に開始剤(i)に1個またはそれ以上のAOを開環付加重合することにより得られる。
触媒としては、アニオン付加重合触媒(アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等)、カチオン付加重合触媒、配位アニオン付加重合触媒が挙げられる。
これらのうち、経済性、生産性の観点から、アニオン付加重合触媒による製造が好ましい。開環付加重合は、通常40〜150℃、好ましくは90〜130℃の温度で行うことができる。
【0058】
ポリエーテルポリオール(a211)は、2分子もしくはそれ以上のAO付加物を、アルキレンジハロゲン化物(炭素数1〜4の、例えばメチレンジクロライドなど)などのカップリング剤を用いてカップリング反応することによって得ることもできる。
【0059】
(a211)としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、PTMGおよびビスフェノールAのEOおよび/またはPO付加物のような直鎖ポリエーテルジオール、並びにグリセリンのEOおよび/またはPO付加物のような分岐ポリエーテルポリオールが挙げられる。
【0060】
ポリエステルポリオール(a212)には、例えば、ポリオールとポリカルボン酸から得られる縮合ポリエステルポリオール(a2121)、ポリオールの存在下にラクトンを開環重合して得られるポリラクトンポリオール(a2122)、ひまし油およびひまし油とポリオールとのエステル交換生成物などのひまし油ポリオール(a2123)、ポリオールの存在下にアルキレンカーボネートを開環重合して得られるポリカーボネートポリオール(a2124)などが含まれる。
【0061】
(a2121)、(a2122)、(a2123)および(a2124)で使用できるポリオールは、多価アルコール(i1)およびポリオキシアルキレンポリオール[(a211)および開始剤(i)へのAOの低モル数付加物など]が挙げられる。
【0062】
(a2121)を構成するポリカルボン酸には、前述の(i31)が含まれる。
これらのうちで好ましくはジカルボン酸、特にアジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸である。
ポリオールのうちで(a2121)に使用して好ましいものは多価アルコールであり、特にジオール(EG、DEG,BG,HGおよびNPGなど)およびこれらと、少量(20%以下、好ましくは10%以下)の3から4個の水酸基を有するポリオール(TMPなど)との併用である。
【0063】
(a2121)はポリオールとポリカルボン酸もしくはそれらのエステル形成性誘導体(酸無水物、酸ハロゲン化物、低級アルキルエステル)を反応させることにより製造することができ、またポリカルボン酸無水物とAOとの反応により製造することができる。
【0064】
(a2121)の具体例としては、ポリ(エチレンアジペート)ジオール、ポリ(ブチレンアジペート)ジオール、ポリ(ヘキサメチレンアジペート)ジオール、ポリ(ネオペンチルアジペート)ジオール、ポリ(エチレン/ブチレンアジペート)ジオール、ポリ(ネオペンチル/ヘキシルアジペート)ジオール、ポリ(3−メチルペンチルアジペート)ジオール、ポリ(ブチレンイソフタレート)ジオールなどが挙げられる。
【0065】
(a2122)、多価アルコールの存在下に炭素数4〜13のラクトン(例えばε−カプロラクトン、δ−バレロラクトンなど)を開環重合して得られるものであり、具体的には、ポリε−カプロラクトンジオール、ポリ−3−メチルδ−バレロラクトンジオール等が挙げられる。
【0066】
(a2123)には、ひまし油、ハロゲン化ひまし油、ひまし油のAO低モル(1〜3モル)付加物、および上記のポリオール(EG、TMP、ペンタエリスリトールなど)とひまし油とのエステル交換生成物などが含まれる。
【0067】
(a2124)を構成するアルキレンカーボネートとしては、炭素数3〜13のアルキレンカーボネート、例えばエチレン、プロピレンおよびヘキサメチレンカーボネートが挙げられる。
具体的には、ポリエチレンカーボネートジオールおよびポリヘキサメチレンカーボネートジオール等が挙げられる。
【0068】
これらのうち、好ましいものは(a2121)である。
【0069】
水酸基含有ビニルポリマー(a213)としては、ポリオレフィンポリオール(a2131)、例えば、オレフィンおよび必要により少量の他の単量体(30%以下、好ましくは15〜20%)の水酸基末端(共)重合体;並びにアクリルポリオール(a2132)、例えば、ヒドロキシアルキル(炭素数2〜8)(メタ)アクリレートおよび必要により他の単量体の(共)重合体などが挙げられる。
【0070】
オレフィンとしては、アルカジエン(1,3−ブタジエンなど)および炭素数8〜18のα−オレフィンなどがなどが挙げられる。
共重合の場合の他の単量体としては、スチレンなどの芳香族炭化水素系単量体、(メタ)アクリロニトリルなどの不飽和ニトリル、およびメチル(メタ)アクリレートなどのアルキル(炭素数1〜20)(メタ)アクリレートがなどが挙げられる。
【0071】
(a2131)および(a2132)の具体例としては、
ポリブタジエンポリオール(以下PBDと略記する)、ハロゲン化PBD、炭素数8〜18のα−オレフィンから誘導されるポリα−オレフィンポリオール、PBDの不飽和二重結合に水素を付加した水素添加PBD、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートおよび/またはメチル(メタ)アクリレートとスチレンの共重合体、並びにアクリルポリオールなどが挙げられる。
【0072】
これらのポリオール(a2131)および(a2132)のうち、処理された繊維製品の感触の点で好ましくは(a2131)である。
【0073】
高分子ポリオール(a21)は、ビニル変性されたもの、即ちポリマーポリオールであってもよい。ポリマーポリオールは、(a21)[(a211)および/または(a212)など]および必要により(a22)の存在下にビニル単量体を重合して得られるものである。
ビニル単量体としてはスチレンなどの芳香族炭化水素系ビニル単量体、(メタ)アクリロニトリルなどの不飽和ニトリルなどがなどが挙げられる。
ポリマーポリオール中のポリマー含量は広範囲に変えることができ、例えば1〜80%、好ましくは10〜70%である。
【0074】
高分子ポリオール(a211)、(a212)および(a213)は、単独でもまたは2個もしくはそれ以上の混合物でも使用できる。
【0075】
高分子ポリオール(a211)は、処理された繊維製品の感触(柔らかすぎず、硬すぎず)の観点から、H1−NMRによって決定される平均官能基数(水酸基の平均の数;以下、Fと略記する)が、通常1.8〜8もしくはそれ以上、好ましくは2〜4、さらに好ましくは2.3〜3、特に好ましくは2.4〜2.9である。
【0076】
低分子ポリオール(a22)としては、(B22)で記載した多価アルコール(ジオール、および3〜8個の水酸基を有するポリオール)、および(i)の低モルAO付加物(400以下のEWのもの)などが挙げられる。
通常、(a22)は2〜8、好ましく2〜3のFを有する。
(a22)の具体例としては、EG、PG、1,4−BG、TMP、ビスヒドロキシアルキル化2価フェノール(例えば、ビスフェノールAのEO2モル付加物)、ビスヒドロキシアルキルモノイハイドロカルビルアミン(例えば、ビスヒドロキシエチルアニリン)およびテトラキスヒドロキシアルキルジアミン(例えば、テトラキスヒドロキシプロピルエチレンジアミン);並びにこれらの低モル(1〜8×Fモル)AO付加物など、が挙げられる。
【0077】
プレポリマー(a)を構成する活性水素原子含有成分としては、さらに1個もしくはそれ以上のその他の活性水素原子含有化合物(a3)を含んでもよい。
(a3)としては、1官能化合物(a31)および多官能化合物(a32)などが挙げられる。
【0078】
(a31)の例としては、モノオール類(a311)並びに1級および2級モノアミン(a312)が挙げられる。
【0079】
(a311)としては;ハイドロカルビルアルコールなどの1価アルコール[(B11)および(B211)で挙げた低級アルコール];(ポリ)エーテルモノオール[セロソルブ類(セロソルブ並びにメチル、ブチル、イソブチルおよびヘキシルセロソルブ);カルビトール類(カルビトール並びにメチルおよびブチルカルビトール);ジオールもしくは(B312)および(B322)で挙げたPAGのモノハイドロカルビルエーテル;(B323)で挙げた(ポリ)オキシアルキレンジオールとモノカルボン酸のモノエステルなどが挙げられる。
【0080】
(a312)としては、モノおよびジハイドロカルビルアミン(モノおよびジアルキルアミンなど)、および3級アミノ基含有1級もしくは2級モノアミン[(i4)で記載したジアミンのN,N−ジ−およびN,N,N’−トリ−ハイドロカルビル置換体]などがなどが挙げられる。
【0081】
多官能化合物(a32)は、2〜8もしくはそれ以上、好ましくは2〜3のFを有する。
(a32)の具体例としては、ポリアミン(a321)[(i42)で述べた芳香族、脂肪族、脂環族および芳香脂肪族ポリアミン、並びにポリオキシアルキレンポリアミンなど]およびアミノアルコール(a322)[(C221)で述べたモノおよびジアルカノール(炭素数2〜4)アミン(モノおよびジエタノールアミン、イソプロパノールアミンなど)]が挙げられる。
【0082】
(a3)のうちで、好ましいものは低分子量のものであり、400以下のEW(水酸基価、1級アミン価および2級アミン価などのにより計算される)を有するものである。
【0083】
活性水素原子含有成分のうち、(a21)の含量は、通常、少なくとも50%、好ましくは80〜99%、さらに好ましくは90〜98%であり、(a22)の含量は、通常0〜50%、好ましくは1〜20%、さらに好ましくは2〜10%であり、(a31)および/または(a32)の含量は、通常0〜10%、好ましくは1〜5%、特に好ましくは2〜3%である。
【0084】
プレポリマー(a)の製造において、化学量論的に過剰の(a1)が活性水素原子含有成分と反応し、例えば、NCO/活性水素原子含有基(OH+NH2+NH)の当量比は通常1.3〜2.2/1、好ましくは1.4〜2.0/1である。
【0085】
(a31)/(a1)の当量比は好ましくは0〜0.1、さらに好ましくは0〜0.05である。
〔(a22)+(a32)〕/(a1)の当量比は、好ましくは0〜0.1、さらに好ましくは0〜0.05である。
【0086】
プレポリマー(a)の製造法は通常の方法でよい。
(a1)と活性水素原子含有成分との反応は、通常20℃〜150℃、好ましくは60℃〜110℃である。
反応は不活性溶媒の非存在下もしくは存在下に行われる。
溶媒としては、分子内に活性水素原子を含まない有機溶剤(アセトンおよびメチルエチケトンなどのケトン類、THFおよびジオキサンなどのエーテル)が使用できる。
【0087】
(a21)および必要により(a22)、(a31)および/または(a32)からなる活性水素原子含有成分は、予め混合しておいて、もしくは順次添加して一段で(a1)と反応させてもよく、または多段反応[例えば(a21)と(a1)を反応させたのち、(a22)、(a31)および/または(a32)と反応させる方法など]でもよい。
【0088】
プレポリマー(a)のイソシアネート基含量(以下NCO含量と略記)は通常0.5〜10%、好ましくは1.5〜6%である。
プレポリマー(a)は、通常1,000〜20,000、好ましくは1,300〜10,000、特に好ましくは1,500〜6,000のMnを有する。
【0089】
(a)のHLBは、好ましくは2〜6.5、さらに好ましくは4〜5.8である。
HLBが2以上であれば、(A)の水性分散液の分散安定性が良好な傾向になり、HLBが6.5以下であれば、繊維処理剤としての低温での安定性がさらに向上する傾向にある。
【0090】
本発明においてHLBは小田法によって定義されるものであり、「界面活性剤活性の合成とその応用」(槇書店、1957年刊)に記載された小田良平博士の有機化合物の概念図に基づいて決定されたものである。
【0091】
本発明においてプレポリマー(a)の末端イソシアネート基をブロックするための重亜硫酸塩(b)としては、例えば重亜硫酸ナトリウムおよび重亜硫酸カリウム等の重亜硫酸アルカリ金属塩、重亜硫酸アンモニウム、並びにこれらの2種以上の混合物があげられる。これらのうちで(a)と反応させやすい点で重亜硫酸ナトリウムが好ましい。
(b)は予め水溶液としてから仕込むことが好ましく、その濃度は好ましくは10〜40%である。
【0092】
本発明におけるブロックドポリウレタン(A)の製造方法は特に限定されない。
(A)の合成は、水性媒体(c)中で、乳化分散剤(d)の存在下に、(a)を(b)でブロック反応することにより達成できる。
繊維製品の処理後に(b)が残留することによる耐水性の低下をきたすことなく水分散性の増大を十分に発現できるという観点から、(a)に対する(b)の当量比は、好ましくは0.9〜1.3、さらに好ましくは0.95〜1.25である。
【0093】
ブロック反応に使用できる水性媒体(c)は、水および水と親水性溶媒の混合物である。
親水性溶媒としては25℃で水に対する溶解度が2(g/100g水)を越えるものが挙げられ、例えば親水性アルコール[(B211)で述べた低級アルコールなど];炭素数2〜5のエステル[酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピルなど];炭素数3〜5のケトン[アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトンなど];炭素数3〜7のグリコールモノアルキルエーテル[(a311)で示した(ポリ)エーテルモノオール(例えばセロソルブなど)など]が挙げられる。
親水性溶媒を使用することにより、反応系の粘度が低下し、副反応が抑制し易くなる。水と親水性溶媒との混合物における水/親水性溶媒の重量比は好ましくは1/9〜99/1である。
【0094】
水性媒体(c)の使用量は、(a)の重量を基準として、好ましくは20〜120%[(b)の溶解に使用される水も含む]、さらに好ましくは30〜100%である。20〜120%であれば、粘度が高すぎることなく(a)と(b)の乳化分散が容易となる。
【0095】
使用される乳化分散剤(d)としては、ノニオン性、アニオン性、カチオン性および両性の低分子型界面活性剤(d1)、高分子型乳化分散剤(d2)、およびこれらの併用が挙げられる。
(d1)の具体例としては、米国特許4,331,447号明細書および米国特許3,929,678号明細書に記載のノニオン性、アニオン性、カチオン性、および両性の低分子型界面活性剤が挙げられる。
【0096】
高分子型乳化分散剤(d2)のMnは通常3,000〜1,000,000、好ましくは5,000〜100,000である。
(d2)としては、ポリビニルアルコール、デンプンおよびその誘導体、セルロース誘導体(例えばカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなど)、カルボキシル基含有(共)重合体(例えばポリアクリル酸ソーダなど)、並びに特開平07−133423号公報および特開平08−120041号公報に記載のウレタン結合もしくはエステル結合を有する高分子型乳化分散剤など[例えば、ポリエステルジオール(ポリカプロラクトンポリオールなど)とポリエーテルジオール(ポリエチレングリコールなど)をポリイソシアネート(IPDIおよびHDIなど)で連結させたものなど]が使用できる。
【0097】
乳化分散剤(d)のHLBは好ましくは11〜16、さらに好ましくは12〜15であり、乳化分散する際、重亜硫酸塩と共存しても安定性が高いノニオン性の低分子型界面活性剤が特に好ましい。
【0098】
低分子型のノニオン性界面活性剤のうち、好ましいものは、▲1▼脂肪族アルコール(炭素数6〜20)AO(炭素数2〜4)付加物(重合度=2〜50)、▲2▼脂肪酸(炭素数10〜20)のポリアルキレングリコールエステルもしくは同様の脂肪酸のAO(炭素数2〜4)付加物(重合度2〜50)、▲3▼ポリ(重合度2〜50)オキシアルキレン(炭素数2〜4)スチレン(1〜20モル)化アリールエーテル、▲4▼ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール(プルロニック型ノニオン性界面活性剤)およびこれらの併用であり、さらに好ましいものは▲1▼および▲3▼、特に▲3▼である。
【0099】
乳化分散剤は、(a)を基準として好ましくは1〜10%、さらに好ましくは3〜8%である。1%以上であれば(a)と(b)の乳化分散が容易となり、10%以下であれば繊維製品の防縮性を低下させることが少ない。
【100】
ブロック化反応における(a)と(b)の添加順序は、(a)が(b)と反応する限りは特に限定されないが、(a)中に(b)を添加する方が、(b)中に(a)を添加するよりも好ましい。
例えば、各成分の好ましい添加順序は、1)(a)、(d)、(b)の後に(c);2)(a)、(b)、(d)の後に(c);3)(c)、(d)、(a)の後に(b)であり、さらに好ましくは1)の順序である。
また、(b)よりも先に乳化分散剤を添加する場合、乳化分散剤が水酸基を含有する場合は、乳化分散剤添加後、速やかに(b)を添加することが好ましく、このことにより副反応が抑制できる。
【0101】
ブロック反応の温度は、好ましくは10〜60℃、さらに好ましくは20〜40℃である。
ブロック化反応の終点は、ブロック化反応物中の未反応の重亜硫酸塩(b)を苛性カリ水溶液で滴定し、重亜硫酸塩含量が平衡になった時点である。
【0102】
(A)におけるブロックドイソシアネート基(−NHCO−SO3M;Mはアルカリ金属もしくはアンモニウムカチオン)の含有量は、(A)を基準として好ましくは1〜25%、さらに好ましくは3〜15%である。
【0103】
本発明における水性分散液は、さらに必要により電解質(C)を含有してもよい。電解質(C)としては、十分なポリウレタン樹脂のマイグレーション防止効果を付与するという点で、2以下のpKaを有する強酸の塩が好ましい。ここで、pKaは酸の解離定数(Ka)の逆数の対数値であり、ここでは、無限希釈水溶液における25℃の値を言い、−logKaに等しい。
【0104】
(C)としては、25℃における0.01モル%の水溶液のモル伝導率(Λ)が110〜130、特に110〜120S・cm2・モル-1のものが好ましい。
この範囲であれば、繊維製品の処理中におけるポリウレタン樹脂のマイグレーションを防止する十分な効果を発揮でき、また処理剤水溶液中あるいはマングル等の絞りロール上にポリウレタンが析出することが少ない。
【0105】
Λの単位における記号Sはジーメメンスを表し、これはコンダクタンスの単位である。
【0106】
強酸およびそれらのpKaの値、および塩のモル伝導率(Λ)の値は、それぞれ改訂4版「化学便覧」基礎編II(日本化学会編:平成5年発行)のII−317頁およびII−322頁、並びにII−446頁〜451頁に記載されている。
【0107】
Λの測定は、導電率計「DS−15」((株)堀場製作所製)を使用し、白金黒めっきされた導電率電極を用いて25±0.2℃で測定することもできる。
【0108】
強酸には、例えば、HCl(pKa=−8)、HBr(pKa=−9)、HI(pKa=−10)、HNO3(pKa=−1.8)、H2SO4(pKa2=1.99)、H2S2O3(pKa2=1.6)、HIO3(pKa=0.77)、フォスフィン酸HPH2O2(pKa=1.23)およびH2SeO4(pKa2=1.70)
などが含まれる。
【0109】
好ましい塩としては、金属塩(C1)、例えばアルカリ金属(IA属;Li、NaおよびK)の塩(C11)およびその他の金属[IB金属(CuおよびAg)、アルカリ土類(II属)金属(Mg、Ca、SrおよびBa)およびIIB金属(Znなど)]の塩(C12)、並びに非金属塩(C2)、例えばアンモニウム塩(C21)および有機塩基の塩(C22)[例えば、1級、2級および3級アミンの塩(C221)、並びに4級アンモニウム塩(C222)など]が挙げられる。
【0110】
(C1)の具体例としては、(C11)[Na2SO4、K2SO4、NaNO3、NaCl、NaBr、NaIおよびNa2S2O3など]および(C12)[Sr(NO3)2、Ba(NO3)2、Ca(NO3)2、CaCl2、BaCl2、AgNO3、SrCl2、CuCl2、Cu(NO3)2、MgCl2、Mg(NO3)2、およびZn(NO3)2など]が挙げられる。
【0111】
(C221)を構成する好ましいアミンには、例えばモノ、ジおよびトリハイドロカルビル(炭素数1〜18)および/またはヒドロキシアルキル(炭素数2〜4)アミンなどが含まれる。
モノアルキル(炭素数2〜18)アミンには、例えばエチルアミン、n−プロピルアミン、n−およびイソブチルアミン、n−ヘキシルアミンおよびn−オクチルアミンなどが含まれる。
ジアルキル(アルキル基の炭素数2〜18)アミンには、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジオクチルアミン、メチルブチルアミン、エチルブチルアミンおよびメチルペンチルアミンなどが含まれる。
トリハイドロカルビルアミンには、トリアルキル(炭素数2〜18)アミンおよびジアルキル(炭素数2〜18)ベンジルアミンなど、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミンおよびジエチルベンジルアミンなどが含まれる。
ヒドロキシアルキルアミンには、アルカノールアミン、例えばモノ、ジおよびトリエタノールアミン、エチルエタノールアミンおよびジエチルエタノールアミンなどが含まれる。
アミジン化合物には、N,N,N’−ハイドロカルビル置換アミジン(例えば、N,N−ジメチル−N’−ベンジルホルムアミジンなど)および環状アミジン[例えば、イミダゾール(1−メチルイミダゾールおよび1−メチルベンズイミダゾールなど)、イミダゾリン(1,2−ジメチルイミダゾリンなど)、テトラヒドロピリミジン(1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジンなど)およびジアザビシクロアルケン(1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7および1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン−5など)]、並びに国際特許出願WO95/15572公報に記載のものが含まれる。
【0112】
(C2)の具体例としては、(C21)[NH4Cl、NH4NO3およびNH4SO4など]、(C221)[2−ヒドロキシエチルアンモニウムクロライド、ジメチルアンモニウムクロライドおよびトリメチルアンモニウムクロライドなど]および(C222)[メチルトリエチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、メチル4級化1−メチルイミダゾールクロライド、メチル4級化1,2−ジメチル1,4,5,6−テトラヒドロピリミジンクロライド、メチル4級化1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7クロライドおよびメチル4級化1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン−5など]、並びに対応する硝酸塩、硫酸塩およびメト硫酸塩が挙げられる。
【0113】
これらの塩のうちで、好ましいものは金属塩(C1)である。さらに好ましいものは(C11)(特にNa2SO4およびK2SO4)およびこれらと(C12の併用である。
(C1)における(C11)の好ましい含量は、ポリウレタン樹脂のマイグレーションの防止効果の観点で、少なくとも50%、さらに好ましくは少なくとも80%である。
以上および以下において、%および部はいずれも重量%および重量部を表す。
【0114】
本発明における繊維処理剤は、ブロックドポリウレタン(A)、疎水性溶媒(B)および必要により電解質(C)が水性分散媒中に分散された水性分散液からなるものである。
水性分散媒としては、水および水と親水性溶媒の混合物が使用できる。好ましい親水性溶媒としては、前述の(c)におけると同じものが挙げられる。
水性分散媒中における水/親水性溶媒の重量比は、好ましくは100/0〜80/20、さらに好ましくは100/0〜90/10である。
【0115】
本発明において、疎水性溶媒(B)は(A)の重量に基づいて、好ましくは2〜30%、さらに好ましくは3〜25%、特に好ましくは5〜20%である。
(B)が(A)に対して2%以上であれば溶解成分が残りにくく低温での安定性がよくなる傾向にあり、また、繊維加工処理時のポリウレタンのマイグレーションの防止効果も発揮しやすくなる。一方、30%以下であれば水性分散体の乳化分散性が低下することが少ない。
【0116】
本発明において、電解質(C)の量は、(A)を基準として好ましくは0〜5%、さらに好ましくは0.5〜3%である。(C)が5%以下であると繊維処理剤中あるいはマングル等の絞りロール上にポリウレタンの析出・凝集が少なくなる。
【0117】
本発明の繊維処理剤は、(A)に、(B)および必要により(C)を添加し、必要によりさらに水性媒体(D)を添加して乳化分散、希釈する方法などにより製造できる。
添加される水性媒体(D)は水が好ましいが、前述の(c)で挙げた親水性溶媒と水との混合物を使用してもよい。(D)における好ましい水/親水性溶媒の比率は100/0〜90/10である。
(B)および(D)並びに必要により使用される(C)の添加の順序は特に限定されず、(D)が(B)および(C)の前、もしくは(B)および(C)の中間で添加されてもよい。
また、(B)は、ブロック化反応の前に添加されてもよい。
これらのうち好ましい方法は、▲1▼(a)と(b)のブロック反応を完結させ、その後、(B)および(D)をさらに添加して乳化分散させ、さらに必要により(C)を添加し、混合する方法である。
【0118】
本発明の繊維処理剤は、必要により二塩基酸ジヒドラジド(E)を含有していてもよい。(E)を構成する二塩基酸としては、炭酸および前述の(i3)のうちのジカルボン酸が挙げられる。
(E)の具体例としては、カーボジヒドラジド、炭素数2〜8の脂肪族二塩基酸とヒドラジンからのヒドラジド[グルタル酸ヒドラジド(以下GDと略記する)、コハク酸ヒドラジド、アジピン酸ヒドラジドなど(以下ADと略記する)]、芳香族二塩基酸とヒドラジンからのヒドラジド(イソフタル酸ヒドラジド、テレフタル酸ヒドラジドなど)が挙げられる。
これらのうち処理された繊維製品の風合いの点で好ましいものは脂肪族二塩基酸からのヒドラジドである。本発明における(A)のブロックイソシアネート基に対する(E)のヒドラジド基の当量比は、通常0.1〜0.7、好ましくは0.2〜0.5である。当量比が0.1以上であれば繊維製品の耐水性がさらに良好になり、0.7以下であれば処理布の風合いがさらに柔軟になる。(E)の添加順序は、好ましくは(A)、(B)、(C)および(D)の後である。
【0119】
本発明の繊維処理剤は、さらに必要により公知の消泡剤および/または湿潤剤(HLB12〜18の高級アルコールEO付加物など)を添加してもよい。これらの添加剤の添加割合は(A)に基づいて1%以下、特に0.1〜0.5%であることが好ましい。
【0120】
本発明における繊維処理剤の組成の例は以下の通りである。
ブロックドポリウレタン(A):通常10〜50%、好ましくは15〜45%、
疎水性溶媒(B):通常0.2〜15%、好ましくは0.3〜13%、
電解質(C):通常0〜2.5%、好ましくは0.1〜1.5%、
[(B)+(C)]:通常0.2〜17.5%、好ましくは0.4〜14.5%、
二塩基酸ジヒドラジド(E):通常0〜8%、好ましくは0.1〜5%、
(A)〜(D)の合計:通常11〜65%、好ましくは16〜55%、
乳化分散剤(d):通常0〜5%、好ましくは0.3〜4%、
固形分濃度:通常10〜70%、好ましくは15〜60%、
水性媒体[(c)+(D)]:通常30〜90%、好ましくは40〜85%、
以上および以下において、固形分濃度は130℃で45分乾燥後の蒸発残留分である。
本発明の繊維処理剤の粘度(25℃)は通常10〜1000mPa・sである。
【0121】
繊維処理剤のpHを6〜9に調整するためにpH調整剤を添加してもよい。
pH調整剤としては、アルカリ性物質[2を越えるpKaを有する弱酸(炭酸およびリン酸など)の強塩基塩(アルカリ金属塩など)、例えば炭酸水素ナトリウムなど]、および炭酸などの酸性物質が挙げられる。
【0122】
また、本発明の繊維処理剤は、他の繊維処理剤、例えば各種樹脂エマルションおよび/または柔軟剤等と併用してもよい。樹脂エマルジョンとしては、(A)以外のポリウレタンエマルション、アクリルエマルション、SBRラテックスおよびこれらの2種以上が挙げられる。また、柔軟剤としては、シリコン系柔軟剤(アミノ基含有シリコンエマルジョンなど)が挙げられる。
併用におけるこれらの併用比率は、本発明の繊維処理剤(固形分)の重量に基づいて、好ましくは100%以下、さらに好ましくは70%以下である。
【0123】
本発明の繊維処理剤は天然繊維、再生繊維および合成繊維などに適用することができる。天然繊維としては、例えば羊毛、木綿および絹等が挙げられる。
再生繊維としてはレーヨンおよびアセテート等が挙げられる。合成繊維としてはポリエステル、ポリアミドおよびポリアクリロニトリル等が挙げられる。
処理される繊維製品の形態としては編物、織物および不織布などが挙げられる。これらのうち、天然繊維(特に羊毛)の織物に対して柔軟な風合いと防縮性とを付与するための処理剤として特に好適に用いられる。
【0124】
本発明の繊維処理剤 を繊維製品に適用する方法としては、以下の方法が例示される。
(1)繊維処理剤を水で希釈して処理剤希釈液を作成する。
(2)繊維製品に処理剤希釈液を付着させる。
(3)必要付着量になるまでマングルなどで絞る。
(4)予備乾燥した後熱処理する。
希釈液の固形分濃度は通常1〜5%である。
希釈液の付着方法は、ロール塗布、浸漬、デイッピングおよびスプレー等が挙げられる。希釈液の付着量は通常2〜100g/100g繊維である。
予備乾燥は例えば80〜130℃で2〜5分、熱処理は例えば130〜170℃で1〜3分間の条件が挙げられる。
繊維製品に対する処理剤のうちの(A)+(C)+(E)の合計の付着量(熱処理後の固形分)は、処理前の繊維製品に基づいて通常0.5〜5%、好ましくは0.8〜4.5%である。
【0125】
本発明の繊維処理剤とともに、他の繊維処理剤を予め混合して、もしくは別々に使用する場合、繊維製品に対するこれらの繊維処理剤の合計の付着量(熱処理後の固形分)は、処理前の繊維製品に基づいて通常0.5〜10%、好ましくは0.8〜9である。
【0126】
【実施例】
以下、製造例および実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、部はいずれも重量部を表す。
【0127】
製造例1
温度計および撹はん機を備えた密閉反応槽に、PBD(水酸基当量EW=1,000、平均官能基数F=2)147.5部を仕込み、さらにHDI24.8部(NCO/活性水素=2.0)を加えた。反応系を窒素ガスで置換したのち、撹はん下、105℃で6時間反応させて、NCO含量3.8%、HLB2.2のNCO末端ウレタンプレポリマーを得た。得られたウレタンプレポリマーを30℃に冷却して、ポリオキシアルキレン(EO19モルおよびPO1.5モルブロック付加物)スチレン化(スチレン2.75モル)フェニルエーテル(HLB=13.8)13部、重亜硫酸ソーダ水溶液(Na2S2O5として13.9部/水32.4部)およびエチルアルコール74.7部を加えた。その後30℃で90分間撹拌しブロックドポリウレタン樹脂(A1)を得た。
製造例2
製造例1と同様のPBD147.5に代えてPBD59部およびグリセリンPO付加物(EW=1,000、F=3)88.5部を使用したこと以外は製造例1と同様にしてブロックドポリウレタン(A2)を得た。ウレタンプレポリマーのNCO含量は3.7%、HLBは3.8であった。
製造例3
PBD59部に代えてPTMG(EW=1,000、F=2)59部を使用したこと以外は製造例2と同様にしてブロックドポリウレタン(A3)をを得た。ウレタンプレポリマーのNCO含量は3.8%、HLBは5.7であった。
【0128】
実施例1〜11
表1記載の(A)306.3部に、表1記載の溶媒23.4部を混合した。さらに水776.3部、および必要により表1記載の塩を加えて30分間混合した後、必要により表1記載の(E)を加えてさらに混合して水性分散液を得た。これらを実施例1〜11の繊維処理剤とした。
表1にこれらの固形分および粘度(25℃)の分析値を示す。
【0129】
比較例1
表1記載の(A)306.3部に、水776.3部を加えて30分間混合して水性分散液を得た。これを比較例1の繊維処理剤とした。
表1にこれらの固形分および粘度(25℃)の分析値を示す。
比較例2
表1記載の(A)306.3部に、表1記載の溶媒23.4部を混合した。さらに水776.3部を加えて30分間混合して水性分散液を得た。これを比較例2の繊維処理剤とした。
表1にこれらの固形分および粘度(25℃)の分析値を示す。
なお、表1中のDEKはジエチルケトン(溶解度3.4)の略号である。
比較例3及び4
表1記載の(A)306.3部に、水776.3部、および表1記載の塩を加えて30分間混合した後、必要により表1記載の(E)を加えてさらに混合して水性分散液を得た。これらを比較例3および4の繊維処理剤とした。
表1にこれらの固形分および粘度(25℃)の分析値を示す。
なお、NaAcは酢酸ナトリウム(酢酸のpKa=4.56)の略号である。
【0130】
【表1】
【0131】
性能試験例;
これらの繊維処理剤を用いて下記の試験方法で性能試験を行った。
それらの試験結果を表2に示す。
【0132】
性能試験例1(繊維処理剤の沈降安定性試験)
繊維処理剤を10℃で静置し、目視で沈降物が発生するまでの日数を測定した。
【0133】
性能試験例2(処理布の曲げ剛性試験)
(1)繊維処理剤希釈液の作成
繊維処理剤150部、浸透剤(炭素数12〜14のsec−アルコールのEO9モル付加物)2部、炭酸水素ナトリウム1部、水847部を混合し繊維処理剤希釈液(希釈液−1)を作成した。
繊維処理剤100部、浸透剤(炭素数12〜14のsec−アルコールのEO9モル付加物)2部、炭酸水素ナトリウム1部、水897部を混合し繊維処理剤希釈液(希釈液−2)を作成した。
(2)試験布の作成
試験用の未染色ウールサージ(寸法25cm×25cm)を繊維処理剤 希釈液(希釈液−1または希釈液−2)に浸漬し、マングルで絞り率60%となるよう調整した。この浸漬布を130℃で5分間、乾燥、熱処理を施して処理布を作成した。各処理布を20cm×20cmに裁断し、25℃、湿度50%の条件で3時間放置した後、KES純折り曲げ試験機で処理布の曲げ剛性率を測定した。値が小さい方が風合いが柔らかいことを示す。
【0134】
性能試験例3(処理布の洗剤洗濯後の面積収縮率)
性能試験例2と同様にして得られた処理布を20cm×20cmに裁断し、 以下の条件で洗濯し面積収縮率を測定した。
洗濯条件はJISL−1027、103法に準じて家庭洗濯機にて家庭用洗剤2g/L、浴比1/60、40℃の温水で5分間洗濯、2分間すすぎ、 脱水後60℃水平乾燥を1回として繰り返し洗濯20回、40回、60回 実施し洗濯後の面積収縮率を測定した。
面積収縮率(%)は、洗濯前処理布の縦方向標識間距離をL1、横方向標識間距離をL2、所定回数洗濯後の各標識間距離をL1’、L2’として面積収縮率を(L1×L2−L1’×L2’)×100/(L1×L2)で計算した。
【0135】
【表2】
【0136】
【発明の効果】
本発明の疎水性溶媒(B)を含有する繊維処理剤は低温下でも安定で析出物がないので、繊維製品の仕上げ加工時に均一に処理ができる。そのため、得られる繊維製品は柔軟な風合いと優れた防縮性を発揮することができる。また、必要により電解質(C)を添加された繊維処理剤はポリウレタン樹脂のマイグレーションがほとんど無いので、さらに上記の風合いと防縮性の効果を向上させることができる。これらの効果を奏することから、本発明の繊維処理剤は、天然繊維、再生繊維または合成繊維等でできた編物、織物または不織布等の繊維製品の仕上げ剤として有用である。
Claims (13)
- イソシアネート末端ウレタンプレポリマー(a)を重亜硫酸塩(b)でブロックしたブロックドポリウレタン(A)および25℃で2以下の溶解度(g/100g水)を有する疎水性溶媒(B)を含有する水性分散液からなることを特徴とする繊維処理剤。
- (a)が2〜6.5のHLBを有する請求項1記載の繊維処理剤。
- (B)を(A)の重量に基づいて2〜30%含有する請求項1または2記載の繊維処理剤。
- (B)が疎水性アルコール類(B1)、エステル類(B2)、エーテル類(B3)、ケトン類(B4)、炭化水素類(B5)およびハロゲン化炭化水素(B6)からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の疎水性溶媒である請求項1〜3のいずれか記載の繊維処理剤。
- (B)が(B1)、(B2)、(B3)および(B4)からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の疎水性溶媒である請求項4記載の繊維処理剤。
- (B1)が脂肪族1価アルコール、(B2)が脂肪族カルボン酸アルキルエステル、(B3)がグリコールモノアルキルエーテル、(B4)がジアルキルケトンである請求項5記載の繊維処理剤。
- 水性分散液がさらに電解質(C)を含有し、(C)は2.0以下の酸解離定数pKaを有する酸の塩であり、該塩は、0.01モル%水溶液が25℃において110〜130S・cm2・モル-1のモル伝導率Λを有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載の繊維処理剤。
- (C)が、強酸と塩基との無機塩である請求項7記載の繊維処理剤。
- (C)を(A)の重量に基づいて0.5〜5%含有する請求項7または8記載の繊維処理剤。
- さらに、二塩基酸ジヒドラジド(E)を含有する請求項1〜9のいずれか記載の繊維処理剤。
- 請求項1〜10のいずれか記載の繊維処理剤で繊維製品を処理することを特徴とする繊維製品の処理または加工方法。
- 請求項1〜10のいずれか記載の繊維処理剤で浸せき処理された繊維製品を熱処理することを特徴とする繊維製品の処理または加工方法。
- 請求項1〜10のいずれか記載の繊維処理剤で加工された繊維製品。
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