JP3724886B2 - 券感熱転写印刷装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、券紙表面に目視情報を印刷し、裏面に磁気情報を記録して発行する主として鉄道業界において使用される券感熱転写印刷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
駅係員が操作する定期券および乗車券を発行する発行機としては、従来から要求される機能、例えば定期券専用機、乗車券専用機、定期券・乗車券兼用機等に応じて組み合わせを容易にするため、操作部と印刷部を分離した形のものが使用されている。
図6は上記した発行機の外観図である。同図に示すように、従来においては、操作部1aを備えた筐体1の隣に並べて券印刷装置の筐体2を配置し、また、券印刷装置の筐体2の上面2aを操作部テーブル上面1bと同一高さとし、印刷済の券は筐体2の側面2bの上部に設けられた券出口2cより排出されるように構成している。
【0003】
図7は上記券印刷機の概略構成を示す図である。同図において、2は上記した券印刷装置の筐体であり、券印刷機は原券Qを積層・収納する原券供給部2dを備えており、原券供給部2dから供給される原券は、1枚ずつ繰り出され搬送部1eを経由して印刷部1fに供給される。
印刷部1fにおいて、感熱転写フィルム部1gに巻き掛けされた転写フィルムFとを重ね合わせ原券Qの表面に目視情報を印刷する。目視情報が印刷された原券Qはさらに、情報印刷部1hに搬送されて、裏面に磁気情報が記録され、券出口2cから排出される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記図6、図7に示した構成のものは、首都圏内駅等の発売枚数が多い多量口座に対応できるように構成されており、発売枚数の少ない、すなわち大量口座を必要としない中小規模駅に適用するにはオーバ・スペックであり、広い設置スペースを必要とする。また、転写フィルムFの交換は駅係員が操作部からいったん席を立って、中腰あるいはしゃがみ込むような不安定な姿勢で券印刷装置の筐体2の前扉を開けて行わなければならず、操作性が悪い。
また、転写フィルムに過度の引張力を加えると転写フィルムが切断したり蛇行するので、上記従来のものにおいては、転写フィルムの駆動ローラを印刷速度と同期回転させながら巻取リールで転写フィルムを巻き取る必要があり、そのための機構を必要とし装置が大型化するといった問題点があった。
【0005】
本発明は上記した従来技術の問題点に鑑みなされたものであって、本発明の第1の目的は、駅係員が着席したままで転写フィルムを供給することができ、また、転写フィルム搬送に際して、フィルムに過度の引張力が加わらず、フィルム切れや、印刷時の文字欠けが発生することがない、中小規模駅に適用するに好適な券感熱転写印刷装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、上記課題を次のようにして解決する。
(1)定期券あるいは乗車券を得る印刷前の原券を収納する原券収納部と、上記原券収納部から供給される原券に磁気情報を記録するとともに、記録された磁気情報を読み取りチェックを行う磁気ヘッドを備えた情報記録部と、上記情報記録部において磁気情報が記録された原券の送り方向を反転させ、上記情報記録部を通過させて磁気情報の読み取りチェックを行った原券を印刷部に供給するための反転機構と、上記磁気情報が記録された原券と転写フィルムとを重ね合わせてサーマルヘッドとプラテンローラ間を通過させることにより、原券に目視情報を印刷する印刷部と、上記転写フィルムを印刷部に供給し、転写済の転写フィルムを回収する転写フィルム部と、定期券あるいは乗車券を得る印刷前の原券を収納する原券収納部と、原券収納部から供給される原券に磁気情報を記録する情報記録部と、磁気情報が記録された原券を印刷部に供給するため、その送り方向を反転する反転機構と、磁気情報が記録された原券と転写フィルムとを重ね合わせてサーマルヘッドとプラテンローラ間を通過させることにより、原券に目視情報を印刷する印刷部と、上記転写フィルムを印刷部に供給し、転写済の転写フィルムを回収する転写フィルム部と、目視情報印刷後の原券を取り出す券取出部とを備え、上記各部を1筐体内に収納した券感熱転写印刷装置において、上記転写フィルム部は転写フィルムを供給する転写フィルム装填リールと、転写済転写フィルムを巻き取る転写フィルム巻取リールを設ける。
そして、上記転写フィルム部の巻取リールを、該巻取リールを駆動する駆動源と摩擦板を介して接続し、原券が上記サーマルヘッドとプラテンローラ間を通過していないとき上記装填リールの回転が停止し、原券と転写フィルムとが重なって前記サーマルヘッドとプラテンローラ間を通過するときは、上記装填リールを回転させて転写フィルムを送り出し、上記摩擦板がすべり伝達をしながら巻取リールを回転させてフィルムを巻取り、上記重なりが解除されると、転写フィルムは、装填リールの摩擦板による保持力により停止し、転写フィルムも停止するように構成する。
【0008】
(2)上記(1)において、転写フィルム部の装填リールに、該装填リールに巻回された転写フィルムの両側面を抑える一対のクッション部材を設け、クッション部材間の間隔を、転写フィルムの巾寸法を越えないように構成する。
(3)上記(1)(2)において、券感熱転写印刷装置の筐体に把手を設け、携帯可能に構成する。
【0009】
本発明の請求項1の発明は、上記(1)のように、原券の送り方向を反転する反転機構を設け、また、転写フィルムを原券とともに移動させるようにしたので、原券の搬送経路を短縮化することができ、また、転写フィルムを印刷速度と同期搬送するための駆動ローラ機構等を設ける必要がないので、装置を小型化することができる。
このため、券感熱転写印刷装置をテーブル上に設置して、駅係員が着席したまま転写フィルムの交換等を行うことができ操作性を向上させることができる。
また、上記のように、転写フィルムを印刷速度と同期搬送するための駆動ローラ機構等を設ける必要がないので、転写フィルムの駆動タイミングの時間ズレがあっても転写フィルムが切断することがなく、転写フィルムの切断による券発行業務の停止を避けることができる。
また、原券1枚発行当たりの転写フィルム使用長さの比率(転写フィルムの歩留り)が一定となり、転写フィルムの無駄をなくすことができ、さらに余分に転写フィルムを搬送することがないので、戻し搬送用の駆動ローラ等も不要となる。
【0010】
本発明の請求項2の発明は、上記(2)のように構成したので、転写フィルムに傷等が付くことなく、転写フィルムの端面が不揃いとなることを防止することができる。また、転写フィルムの巻き出し位置を常に一定に保持することができので、転写フィルムが蛇行したりして印刷範囲巾よりずれて走行することがなく、文字欠け印刷が生じることを防止することができる。
本発明の請求項3の発明は、上記(3)のように構成したので、券感熱転写印刷装置を容易に移動させることができ、業務状況に応じて必要な箇所に設置することができる。このため、中小規模駅等において効果的に運用することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図1〜図5により説明する。
図1は本発明の1実施例の券感熱転写印刷装置の筐体内部の構成を示す図、図2は図1に示す券感熱転写印刷装置の外観図、図3は印刷部の構成を示す図、図4は転写フィルム部の装填リールの構造を示す図、図5は転写フィルム部の巻取リールの構造を示す図である。
【0012】
図2において、15は券感熱転写印刷装置の筐体であり、本実施例の券感熱転写印刷装置は小型化されており、筐体15の上部に設けられた把手20により携帯することができ、例えばテーブル17上に設置して使用することができる。
筐体15の正面15bには開放できる扉15c,15dが設けられており、扉15c,15dを開けて、その内部に、目視情報印刷用の転写フィルムを供給する。
また、テーブル17上に設置した券感熱転写印刷装置を同図の矢印Xで示す1方向から操作できるように、側面15aに原券を供給するための原券供給部11が設けられ、原券供給部11には蓋11aを備えた開口部が設けられている。駅係員は正面から上記蓋11aを開けて原券Q1を収納することができる。
さらに、原券供給部11の上部には券取出部14が設けられ、また、反対側の側面15eには手差し原券供給部18が設けられており、手差し原券供給部18から手差しで原券Q2を供給することができる。
【0013】
次に図1、図3、図4、図5により、本実施例の券感熱転写印刷装置の構成を説明する。
図1は図2に示した券感熱転写印刷装置を正面15bから見たときの構成を示している。
同図において、11は原券Q1を供給する原券供給部、12は原券Q1の裏面に磁気情報を記録する情報記録部、13は原券の表面に目視情報を印刷するための印刷部、14は印刷後の原券Q1を取り出すための券取出部、15は券感熱転写印刷装置筐体、16は転写フィルム部、18は手差し原券供給部である。
また、19は上記各部を制御する制御部であり、制御部19はパネルの裏面に取り付けられている。21は上記各部が取り付けられたパネル、72は図示しない表示機器等が取り付けられた表示部である。
【0014】
原券供給部11は原券を収納する原券収納部110と、原券繰出機構112を備えており、原券繰出機構112の繰り出しローラ113により原券収納部11から原券Q1を一枚ずつ繰り出す。
情報記録部12は磁気ヘッド116と反転レバー117を備えており、上記磁気ヘッド116により、搬送されてきた原券Q1の裏面に磁気情報を記録し、反転レバー117により原券Q1の進行方向を反転して、再度、上記磁気ヘッド116に原券Q1を供給して、原券Q1に記録した磁気情報をチェックする。
印刷部13は裏面に磁気情報が記録された原券Q1の表面に目視情報を印刷するためのサーマルヘッド52を備えており、サーマルヘッド52とプラテンローラ22間を、原券Q1と転写フィルム部16から供給される転写フィルム61が通過するとき、原券Q1の表面に目視情報が印刷される。
【0015】
図3は上記印刷部13の構成を示す図である。
同図において、サーマルヘッド52は軸53により回動自在に支持されたホルダー51に取り付けられ、ホルダー51はバネ掛けピン55に係止したネジリバネ54により反時計方向に付勢されており、ストップピン57は、ブラケット58に取り付けられた調整ネジ50に当接している。また、センサ56により原券Q1が検出される。
プラテンローラ22とサーマルヘッド52間のスキマは原券Q1の厚さより狭く、原券Q1の通過時、原券Q1はプラテンローラ22とサーマルヘッド52により圧接される。また、このとき、ストップピン57と調整ネジ50の間には、原券Q1が通過するときスキマが生じる。
情報記録部12から振り分けレバー118(図1)を経由して供給される原券Q1は、転写フイルム部16の充填リール62から供給される転写フィルム61とともに、上記プラテンローラ22とサーマルヘッド52間のスキマを通過し、転写済の転写フィルムは巻取リール63に巻き取られ、原券Q1は券取出部14に送られる。
【0016】
図4は転写フィルム部16の装填リール62の構成を示す図であり、同図は、装填リール62を図1の上面から見た図を示している。
同図に示すように、軸受け部材606が券感熱転写印刷装置のパネル21にネジで取り付けられており、軸69が上記軸受部材606に接着固定されたベアリング607、608で回転自在に支持されている。
上記軸受部材606の端面(同図の上側)には摩擦板604bが接着固定されており、また、軸69と角穴で嵌合したハブ603に摩擦板604aが接着固定されている。
摩擦板604a,604bの間に押圧力が働くようにバネ602が設けられており、バネ602を圧縮するための部材601がナット600により軸69に取り付けられている。このため、軸69が回転するとき、摩擦板604a,604bによりスベリ摩擦力が生ずる。
【0017】
軸69に固定された芯金616には、クッション610aが貼り付けられたフランジ614aが小ネジで固定されている。また、芯金616の前端部(同図の下側)にはクッション610bが貼り付けられたフランジ614bがボス615に小ネジで固定された状態で嵌合し、ポールプランジャ623で抜け止めされている。
ポールプランジャ623の先端は、芯金616に設けられたミゾにはまり込んでいるので、ボス615をつまんで、手前側(同図の下側)にフランジ614bを抜き差しすることができる。
転写フィルム61は装填用ボビン621に巻き付けられており、上記フランジ614bを抜き取り、装填用ボビン621を芯金616に押し込むことにより、転写フィルム61をセットすることができる。また、フランジ614bがセットされている状態において、クッション610a,610b間の寸法Wは転写フィルム巾を越えないように構成されている。
【0018】
また、板バネ612が突出した形で芯金616にネジ止めされており、上記装填用ボビン621をセットしたとき、板バネ612により装填用ボビン621は保持される。なお、板バネ612で保持するトルクは摩擦板604a,604b間で発生する摩擦トルクより大きいので、装填用ボビン621に回転力が働いたとき、摩擦板604a,604bは滑るが、装填用ボビン621は芯金616に対して回転しない。
上記クッション610a,610bは、例えば、スポンジゴム、あるいは、ウレタン発泡体等で形成されており、クッション610a,610bにより、転写フィルム61を両側から挟持しているので、転写フィルム61に傷等が付くことなく、転写フィルム61の端面が不揃いとなることを防止することができる。また、転写フィルム61の巻き出し位置を常に一定に保持することができる。
【0019】
なお、転写フィルム61の巾は印刷に必要な巾より2〜3mm広く作られているが、転写フィルム61が印刷範囲巾よりずれて走行すると、文字の欠けた券面のものが発行されることがあり、特に定期券で上記文字欠けが生ずると、改ざんされた券面と見誤られる可能性もあり、購入者に多大な迷惑をかけることとなる。
本実施例においては、上記のようにクッション部材610a,610bにより転写フィルム61の両側を抑えているので、転写フィルム61の巻き出し位置は常に一定となり、上記文字欠け印刷が生じることを防止することができる。
【0020】
図5は巻取リール63の構成を示す図であり、同図は、巻取リール63を図1の上面から見た図を示している。
同図に示すように、軸受け部材618が券感熱転写印刷装置のパネル21にネジで取り付けられており、軸605が上記軸受部材618に接着固定されたベアリング607、608で回転自在に支持されている。
上記軸受部材618の端面(同図の上側)には摩擦板604dが接着固定されている。また、ハブ619が角穴により上記軸605に嵌合し、ハブ619には摩擦板604cが接着固定されている。
そして、摩擦板604cと摩擦板604dの間には軸受けブッシュ617が圧入された駆動プーリ620が回転自在に軸支されており、摩擦板604cは、軸605にナット600で固定された部材601とハブ619の間に設けられた圧縮バネ602により押圧されている。このため、接触圧が駆動プーリ620に働いている。
【0021】
上記駆動プーリ620には駆動ベルト65が掛けられており、駆動プーリ620は駆動ベルト65を介して図1の巻き取りモータ64により駆動される。
軸605に押ネジ固定された芯金609にはフランジ613aが小ネジで固定されており、芯金609の前端部(同図の下側)には、フランジ613bがボス615に小ネジで固定された状態で嵌合し、ポールプランジャ623で抜け止めされている。
ポールプランジャ623の先端は、芯金609に設けられたミゾにはまり込んでいるので、ボス615をつまんで、手前側(同図の下側)フランジ613bを抜き差しすることができる。
【0022】
転写済の転写フィルム61は巻取用ボビン622に巻き取られ、転写済の転写フィルム61を巻き取った巻取用ボビン622は、上記フランジ613bを抜き取ることにより、取り外すことができる。また、板バネ612が突出した形で芯金616にネジ止めされており、上記巻取用ボビン621は板バネ612により保持される。
なお、板バネ612で保持するトルクは、摩擦板604c,604d間で発生する摩擦トルクより大きいので、駆動プーリ620が回転するとき、摩擦板604a,604bと駆動プーリ620が滑っても、巻取用ボビン622は芯金616に対して回転しない。
【0023】
図1、図3、図4、図5において、転写フィルム61の装填は次のように行われる。
装填リール62のフランジ614bを引き抜き、転写フィルム61が巻かれた装填用ボビン621をインク面が原券Q1の表面と接触するように芯金616に押し込む。板バネ612が芯金616の外周に取り付けられているので、装填用ボビン612は板バネ612により保持される。
次いで、装填リール62のフランジ614bを装着し、装填リール62から転写フィルム61を巻き出し、フィルムセンサ60a,60bの間を通過させて、案内ローラ66に巻き掛ける。さらに、サーマルヘッド52とプラテンローラ22の間を通して、案内ローラ67に巻き掛け、巻取リール63の巻取用ボビン622に巻き付ける。そして、表示部72に設けられた転写フィルム送りボタン(図示せず)を押して、転写フィルム61の弛みをとる。
【0024】
次に、図1、図3、図4、図5により本実施例における券発行時の動作について説明する。
原券Q1を原券供給部11にセットするには、テーブル17上に設置された券感熱印刷装置の筐体15の側面に設けられた原券供給箱用蓋11aを開ける。そして、原券供給部11の底板111を最下部まで押し下げて、プッシュラッチで保持し、原券供給部11に原券Q1を収納する。
原券供給後、再度原券供給部11の底板111の端部を押し下げて、保持を外し、原券供給箱用蓋11aを閉じて施錠する。
次いで、図示しない操作部に設けられたスイッチを操作し起動すると、制御部19の制御により、原券繰り出し機構112が動作し、繰り出しローラ113により、原券供給部11に収納された原券Q1をスリップしない速度で送り出す。
原券供給部11から送り出された原券Q1は振り分けレバー118を経由して、情報記録部12に送られる。
【0025】
情報記録部12において、原券Q1はベルト114,115で挟持され、B矢印方向に送られ、磁気ヘッド116により裏面に磁気情報の書き込みが行われる。磁気情報が書き込まれた原券Q1の先端は反転レバー117の内側に沿って、C矢印方向に搬送され、原券Q1により反転レバー117が回動する。その結果、図示しないセンサ等が駆動され原券Q1の送り方向が反転される。方向を反転した原券Q1はD矢印方向に搬送され、磁気ヘッド116により読取チェックが行われる。
上記のように、反転レバー117を設けて、原券Q1の移動方向を反転させることにより、原券Q1の移動経路を短くすることができ、装置の奥行き寸法を短くし、装置の小型化を図ることができる。
磁気情報が書き込まれた原券Q1は振り分けレバー118で、E矢印方向に振り分けられ、搬送速度を下げて印刷部13に搬送される。
【0026】
搬送速度を下げた時点で、巻取リール63を回転させる巻き取りモータ64が駆動される。この状態では、巻取リール63の駆動プーリ620(図3参照)は滑り駆動状態であり、転写フィルム61は停止しており、転写フィルム61には許容張力を下回る張力が掛けられている。
原券Q1がプラテンローラ22に送り込まれると、転写フィルム61は原券とともに重合搬送され、原券Q1の表面に感熱転写印刷が行われる。
上記重合搬送の間、駆動プーリ620はすべり駆動しながら、巻取リール63で転写フィルム61を巻き取り、また、装填リール62側は、すべり摩擦力で転写フィルム61に許容張力を下回るバックテンションを掛ける。
感熱転写後、転写フィルム61は斜め上方に搬送され、また、原券Q1は原券Q1の剛性によりサーマルヘッド52下面に沿って券取出部14方向に搬送され、転写フィルム61と原券Q1は分離される。
【0027】
原券Q1の後端がサーマルヘッド52の感熱部を通過し終わると、転写フィルム61は停止状態に戻り、駆動プーリ620は、前記したすべり駆動状態になり、転写フィルム61は停止する。すなわち、転写フィルム61は原券Q1がサーマルヘッド52を通過するときだけ、原券と共に移動し、原券Q1がサーマルヘッド52を通過すると、装填リール62の摩擦板604a,604bによるすべり保持力が転写フィルム61に働き、巻取リール63のすべり駆動力を上回っていることで停止する。
表面に目視情報が印刷された原券Q1は、搬送ローラ120で挟持され、券取出部14へ送られ外部に排出される。また、原券Q1の位置は図示しないセンサで検出され、原券Q1が外部に排出されると装置が停止する。
また、手差原券供給部18から原券Q2を供給すると、情報記録部12において、上記したように原券Q2の裏面に磁気情報が記録され、振り分けレバー118を経由して印刷部13に送られる。そして、サーマルヘッド52とプラテンローラ22の間を通過するとき表面に目視情報が印刷され、券取出部14から外部に排出される。
【0028】
上記のように、原券Q1がプラテンローラ22とサーマルヘッド52間を通過するとき、転写フィルム61を原券Q1と共に重合搬送するようにしたので、転写フィルム61を印刷速度と同期搬送するための駆動ローラ機構を設ける必要がなく、また、転写フィルム61の駆動タイミングの時間ズレがあっても転写フィルム61が切断することがない。このため、転写フィルムの切断による券発行業務の停止を避けることができる。
また、原券1枚発行当たりの転写フィルム使用長さの比率(転写フィルムの歩留り)が一定となり、転写フィルムの無駄がなくなる。
さらに、余分に転写フィルムを搬送することがないので、戻し搬送用の駆動ローラ等も不要となる。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明においては以下の効果を得ることができる。
(1)原券の搬送方向を反転する反転機構を設けたので、原券の搬送経路を短縮化することができ、また、転写フィルムの搬送を原券とともにサーマルヘッドとプラテンローラの間で重合搬送するようにしたので、転写フィルムを印刷速度と同期搬送するための駆動ローラ機構等を設ける必要がなく、装置を小型化することができる。
このため、券感熱転写印刷装置をテーブル上に設置して、駅係員が着席したまま転写フィルムの交換等を行うことができ操作性を向上させることができる。
【0030】
(2)転写フィルムを印刷速度と同期搬送するための駆動ローラ機構等を設ける必要がないので、転写フィルムの駆動タイミングの時間ズレがあっても転写フィルムに過大な張力が掛かることがなく、転写フィルムが切断することがない。
このため、転写フィルムの切断による券発行業務の停止を避けることができる。
また、原券1枚発行当たりの転写フィルム使用長さの比率(転写フィルムの歩留り)が一定となり、転写フィルムの無駄がなくすことができ、さらに余分に転写フィルムを搬送することがないので、戻し搬送用の駆動ローラ等も不要となる。
【0031】
(3)転写フィルム部の装填リールに、該装填リールに巻回された転写フィルムの両側面を抑える一対のクッション部材を設け、クッション部材間の間隔を、転写フィルムの巾寸法を越えないようにしたので、転写フィルムに傷等が付くことなく、転写フィルムの端面が不揃いとなることを防止することができる。
また、転写フィルムの巻き出し位置を常に一定に保持することができので、転写フィルムが蛇行したりして印刷範囲巾よりずれて走行することがなく、文字欠け印刷が生じることを防止することができる。
(4)券感熱転写印刷装置に把手を付けて携帯可能としたので、券感熱転写印刷装置を容易に移動させることができ、業務状況に応じて必要な箇所に設置することができる。このため、中小規模駅等において効果的に運用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例の券感熱転写印刷装置の筐体内部の構成を示す図である。
【図2】図1に示す券感熱転写印刷装置の外観図である。
【図3】本発明の実施例の印刷部の構成を示す図である。
【図4】本発明の実施例の転写フィルム部の装填リールの構造を示す図である。
【図5】本発明の実施例の転写フィルム部の巻取リールの構造を示す図である。
【図6】従来の券発行機の外観図である。
【図7】従来の券印刷機の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
11 原券供給部
11a 蓋
12 情報記録部
13 印刷部
14 券取出部
15 筐体
15c,15d 扉
16 転写フィルム部
17 テーブル
18 手差し原券供給部
19 制御部
20 把手
21 パネル
22 プラテンローラ
50 調整ネジ
51 ホルダー
52 サーマルヘッド
53 軸
54 ネジリバネ
55 バネ掛けピン
56 原券センサ
57 ストップピン
58 ブラケット
60a,60b フィルムセンサ
61 転写フィルム
62 装填リール
63 巻取リール
64 巻き取りモータ
65 駆動ベルト
66,67 案内ローラ
69 軸
72 表示部
112 原券繰り出し機構
113 繰り出しローラ
114,115 ベルト
116 磁気ヘッド
117 反転レバー
118 振り分けレバー
120 搬送ローラ
602 バネ
603,619 ハブ
604a〜604d 摩擦板
605 軸
606,618 軸受
607,608 ベアリング
609,616 芯金
610a,610b クッション
612 板バネ
613a,613b フランジ
614a,614b フランジ
615 ボス
617 軸受ブッシュ
620 駆動プーリ
621 装填用ボビン
622 巻取用ボビン
623 ボールプランジャ
Claims (3)
- 定期券あるいは乗車券を得る印刷前の原券を収納する原券収納部と、 上記原券収納部から供給される原券に磁気情報を記録するとともに、記録された磁気情報を読み取りチェックを行う磁気ヘッドを備えた情報記録部と、
上記情報記録部において磁気情報が記録された原券の送り方向を反転させ、上記情報記録部を通過させて磁気情報の読み取りチェックを行った原券を印刷部に供給するための反転機構と、
上記磁気情報が記録された原券と転写フィルムとを重ね合わせてサーマルヘッドとプラテンローラ間を通過させることにより、原券に目視情報を印刷する印刷部と、
上記転写フィルムを印刷部に供給し、転写済の転写フィルムを回収する転写フィルム部と、
目視情報印刷後の原券を取り出す券取出部とを備え、上記各部を1筐体内に収納した券感熱転写印刷装置であって、
上記転写フィルム部は転写フィルムを供給する転写フィルム装填リールと、転写済転写フィルムを巻き取る転写フィルム巻取リールを備え、
上記転写フィルム部の巻取リールは、該巻取リールを駆動する駆動源と摩擦板を介して接続されており、
原券が上記サーマルヘッドとプラテンローラ間を通過していないとき上記装填リールの回転が停止しており
原券と転写フィルムとが重なって前記サーマルヘッドとプラテンローラ間を通過するときは、上記装填リールを回転させて転写フィルムを送り出し、上記摩擦板がすべり伝達をしながら巻取リールを回転させてフィルムを巻取り、
上記重なりが解除されると、転写フィルムは、装填リールの摩擦板による保持力により停止し、転写フィルムも停止する
ことを特徴とする券感熱転写印刷装置。 - 転写フィルム部の装填リールは、該装填リールに巻回された転写フィルムの両側面を抑える一対のクッション部材を備えており、
上記クッション部材間の間隔を、転写フィルムの巾寸法を越えないように構成した
ことを特徴とする請求項1の券感熱転写印刷装置。 - 券感熱転写印刷装置の筐体に把手が設けられ、携帯可能に構成されている
ことを特徴とする請求項1または請求項2の券感熱転写印刷装置。
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