JP3724249B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は画像形成装置に関し、特に、複数の画像形成ユニットを有し、複数の画像形成ユニットがそれぞれ形成する画像のずれを補正するためのレジスト補正処理を行なう画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
無端ベルト上に画像を形成するための記録媒体を担持し、記録媒体を搬送しつつ異なる色彩のトナーで画像を順次形成することにより、フルカラーの画像を形成するデジタル複写機が知られている。このデジタル複写機は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色のトナーを用いて画像を形成するものであり、それぞれの色彩に1つずつ画像を形成するための画像形成ユニットを備えている。記録媒体が画像形成ユニットを通過するたびに、それぞれの色彩の画像が形成されて、4つの画像形成ユニットを通過すると4色の画像が重畳して形成される。その結果、記録媒体にフルカラーの画像が形成される。
【0003】
このようにフルカラーの画像は、4つの画像形成ユニットで形成した4色の画像を重畳することにより形成されるので、重畳された4つの画像にずれが生じないようにする必要がある。このため、4つの画像形成ユニットのそれぞれで実際に無端ベルト上に形成したレジストパターンのずれ量を検出して、検出したずれ量に基づいて画像を補正するためのレジスト補正値が求められる。そして求められたレジスト補正値に基づいて、画像にレジスト補正処理が行なわれる。
【0004】
レジストパターンは、予め定められた所定の形状であり、4つの画像形成ユニットで無端ベルト上に形成される。無端ベルト上に形成されたレジストパターンを読取ることにより、実際に無端ベルト上に形成されたレジストパターンのずれ量が検出される。
【0005】
このレジスト補正処理に用いられるレジスト補正値は、所定の時間間隔、または、カラー作像モードで所定の回数の画像形成がなされたときに更新される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、レジスト補正値の更新処理は、4つの画像形成ユニットでレジストパターンを実際に無端ベルト上に形成するので、所定の時間を必要とする。したがって、所定の時間間隔でレジスト補正値の更新処理が行なわれると、デジタル複写機を使用している間にレジスト補正値の更新処理が行なわれる場合がある。この場合に、使用者はレジスト補正値の更新処理が終了するまで待たなければならず、コピー時間が長くなり、効率が悪い。また、カラー作像モードで所定の回数の画像形成がなされたときにレジスト補正値の更新処理が行なわれる場合も同様に、使用者は、レジスト補正値の更新処理が終了するまで待たされて、コピー時間が長くなるといった問題があった。
【0007】
また、トナーの残量が減った場合には、画像形成ユニットでレジストパターンが正確に形成されないので、レジスト補正値を正確に求めることができない。
【0008】
この発明は、上述の問題点を解決するためになされたもので、レジスト補正処理を行なう画像形成装置において、コピー時間を短縮することのできる画像形成装置を提供することを目的とする。
【0009】
さらに、レジスト補正処理を正確に行なうことのできる画像形成装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を解決するためにこの発明のある局面に従うと画像形成装置は、入力された画像を記録媒体に形成するための複数の画像形成ユニットと、外部からの入力を受付けるための受信手段と、受信手段で最後に入力を受付けたときからの経過時間を計測するための第1のタイマと、複数の画像形成ユニットが停止してからの経過時間を計測するための第2のタイマと、複数の画像形成ユニットが形成したレジストパターンを検出するためのレジストパターン検出手段と、レジストパターン検出手段の出力に基づいて、入力された画像を補正するためのレジスト補正値を求めるための演算手段と、レジスト補正値の更新を要求するための更新要求手段とを備え、更新要求手段は、第1のタイマおよび/または第2のタイマの値に基づいて、レジスト補正値の更新を要求することを特徴とする。
【0013】
この発明のさらに他の局面に従うと画像形成装置は、入力された画像を記録媒体に形成するための複数の画像形成ユニットと、記録媒体上に形成された画像を記録媒体に定着するための定着手段と、定着手段の温度を検知するための定着温度検知手段と、複数の画像形成ユニットが形成したレジストパターンを検出するためのレジストパターン検出手段と、レジストパターン検出手段の出力に基づいて、入力された画像を補正するためのレジスト補正値を求めるための演算手段と、定着温度検知手段で検知した温度に基づいて、レジスト補正値の更新を要求する第1の更新要求手段と、受信手段で最後に入力を受付けたときからの経過時間を計測するための第1のタイマと、複数の画像形成ユニットが停止してからの経過時間を計測するための第2のタイマと、第1のタイマおよび/または第2のタイマの値に基づいて、レジスト補正値の更新を要求する第2の更新要求手段とを備え、第1の更新要求手段は、第2の更新要求手段で更新を要求したときは、更新を要求しないことを特徴とする。
【0014】
この発明のさらに他の局面に従うと画像形成装置は、入力された画像を記録媒体に形成するための複数の画像形成ユニットと、記録媒体を収納するためのカセット内における記録媒体の残量を検知するための残量検知手段と、複数の画像形成ユニットが形成したレジストパターンを検出するためのレジストパターン検出手段と、レジストパターン検出手段の出力に基づいて、入力された画像を補正するためのレジスト補正値を求めるための演算手段と、レジスト補正値の更新を要求するための更新要求手段とを備え、更新要求手段は、残量検知手段で記録媒体の残量が無いことが検知されたときに、レジスト補正値の更新を要求することを特徴とする。
【0015】
これらの発明に従うと、レジスト補正処理を行なう画像形成装置において、コピー時間を短縮することのできる画像形成装置を提供することができる。
【0016】
この発明のさらに他の局面に従うと画像形成装置は、入力された画像を記録媒体に形成するための複数の画像形成ユニットと、複数の画像形成ユニットにそれぞれ含まれるトナーの残量を複数の画像形成ユニットごとに検知するためのトナー残量検知手段と、複数の画像形成ユニットが形成したレジストパターンを検出するためのレジストパターン検出手段と、レジストパターン検出手段の出力に基づいて、入力された画像を補正するためのレジスト補正値を求めるための演算手段と、レジスト補正値の更新を要求するための更新要求手段とを備え、更新要求手段は、トナー残量検知手段で複数の画像形成ユニットの少なくとも1つでトナー残量が所定の値より少ない状態から少なくない状態への状態の変化が検知されたときは、レジスト補正値の更新を要求することを特徴とする。
【0017】
この発明に従うと、レジスト補正処理を正確に行なうことのできる画像形成装置を提供することができる。
この発明のさらに他の局面に従うと画像形成装置は、入力された画像を記録媒体に形成するための複数の画像形成ユニットと、複数の画像形成ユニットにそれぞれ含まれるトナーの残量を複数の画像形成ユニットごとに検知するためのトナー残量検知手段と、複数の画像形成ユニットが形成したレジストパターンを検出するためのレジストパターン検出手段と、レジストパターン検出手段の出力に基づいて、入力された画像を補正するためのレジスト補正値を求めるための演算手段と、レジスト補正値の更新を要求するための更新要求手段とを備え、更新要求手段は、トナー残量検知手段で複数の画像形成ユニットの少なくとも1つでトナー残量が所定の値より少ない状態と検知された場合、レジスト補正値の更新を要求しないことを特徴とする。
この発明に従うと、レジスト補正処理を正確に行なうことのできる画像形成装置を提供することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態の1つにおけるデジタル複写機について図面を参照して説明する。なお、図中同一符号は同一または相当する部材を示す。
【0019】
図1は、この発明の実施の形態の1つにおけるデジタル複写機の概略構成を示す模式的断面図である。図を参照して、デジタル複写機100は、原稿を自動的に画像読取位置に搬送するための自動原稿送り装置101と、原稿から画像データを読取るための画像読取部200と、用紙上に画像を形成するための画像形成部300とから構成されている。
【0020】
自動原稿送り装置101は、後述する操作パネルからプリントが指示されると、原稿セットトレイ102にセットされた原稿を原稿読取部200の画像読取位置に自動的に搬送する。画像読取装置200で原稿の読取が完了すると、原稿を画像読取位置から原稿排出トレイ103に排出する。原稿セットトレイ101に複数枚の原稿がセットされている場合には、最下層の原稿から順に、原稿搬送、画像読取、原稿排出の一連の動作が効率よく行なわれる。
【0021】
画像読取部200は、原稿ガラス208上にセットされた原稿の画像が、その下方を移動するスキャナに取付けられた露光ランプ201により露光される。原稿からの反射光は、第1ミラー206と2枚の反射ミラー202によりレンズ203に導かれ、CCDセンサ204に結像する。露光ランプ201と第1ミラー206とは、スキャナに取付けられており、スキャナは、スキャナモータ209により、図中に示す矢印方向(副走査方向)へ複写倍率に応じた速度Vで移動する。これにより、原稿ガラス208上にセットされた原稿を全面にわたって走査することができる。また、露光ランプ201と第1ミラー206の移動に伴い、2枚の反射ミラー202は、速度V/2で図中矢印方向へ移動する。これにより、露光ランプ201で原稿に照射された光が、原稿で反射してからCCDセンサ204に結像するまでの光路長が常に一定となる。
【0022】
露光ランプ201と第1ミラー206とが取付けられたスキャナの位置は、スキャナホームセンサ210によりそのホームポジションが検知される。また、スキャナモータ209のステップ数により、スキャナの移動量が検出される。これにより、スキャナのホーム位置からの移動量が検出され、スキャナの位置が検知される。
【0023】
CCDセンサ204に結像した反射光は、CCDセンサ224内で電気信号に変換され、画像処理回路205に送られる。画像処理回路205では、受取った電気信号にアナログ処理、A/D変換処理、デジタル画像処理等を行なった後、画像処理回路205内のメモリに記憶する。また、メモリに記憶するデータと同じデータをインターフェイス部207に出力する。
【0024】
また、画像処理回路205は、メモリに記憶した画像データもしくはインターフェイス部207より入力される画像データを、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の印字用データに変換し、画像形成部300へ送信する。
【0025】
画像形成部300では、受信した印字用データが、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックそれぞれの露光ヘッドに送られる。各露光ヘッドでは、受取った印字用データ(電気信号)に応じてレーザ光を発光する。発光されたレーザ光はポリゴンミラー301により1次元走査され、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックそれぞれの画像形成ユニット307c,307m,307y,307k内の感光体ドラム304c,304m,304y,304kを露光する。画像形成ユニット307c,307m,307y,307kは、取扱うトナーの色彩が異なるのみなのでシアンの画像を形成するための画像形成ユニット307cについてその動作を説明する。
【0026】
感光体ドラム304cは、帯電チャージャ305cによって帯電された後、イエロー用の露光ヘッドが発光するレーザ光が照射される。これにより、感光体ドラム304c上には静電潜像が形成される。続いて、現像器302cにより、静電潜像上にトナーが載せられてトナー像が形成される。感光体ドラム304c上に形成されたトナー像は、無端ベルト320上に担持された記録媒体に、転写チャージャ303cにより転写される。
【0027】
感光体ドラム304cは、樹脂製のブレード306cと常に接触しており、ブレード306cにより感光体ドラム304c上に付着した余分なトナーが除去される。
【0028】
このように、感光体ドラム304cは、図中で時計回りに回転することにより、画像形成プロセスが連続的に行なわれる。なお、画像形成ユニット307c,307m,307y,307kは、それぞれ一体的に構成され、デジタル複写機100に着脱可能となっている。
【0029】
給紙カセット310a,310b,310cには、それぞれサイズの異なる用紙がセットされている。所望のサイズの用紙が、給紙カセット310a,310b,310cに取付けられている給紙ローラ312a,312b,312cにより、搬送路へ供給される。搬送路へ供給された用紙は、搬送ローラ対314によりタイミングローラ315へ送られる。
【0030】
一方、無端ベルト320は、駆動ローラ322aと固定ローラ322b,322c、322dと、可動ローラ321により弛まないように懸架されている。駆動ローラ322aが図中で反時計回りに回転すると、無端ベルト320が所定の速度で図中で反時計回りに回転する。無端ベルト320の回転に伴って、各ローラ322b,322c,322d,321が、反時計回りに回転する。
【0031】
無端ベルト320は、無端なので継ぎ目を有し、この継ぎ目が無端ベルトの基準マークとして用いられる。タイミングセンサ323は、無端ベルト320に用紙が供給される位置に設置され、無端ベルト320の基準マークを検出する。タイミングセンサ323が出力する検出信号に同期して、タイミングローラ315が用紙を無端ベルト320に供給する。これにより、用紙が無端ベルト320の継ぎ目(基準マーク)に乗らないように、用紙が無端ベルト320に供給される。また、タイミングローラ315からの用紙を無端ベルト320に供給しやすくするために、ガイド316が設けられている。
【0032】
無端ベルト320に供給された用紙は、無端ベルト320上に担持され、図中で左方向に搬送される。これにより、用紙がシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの順に画像形成ユニットの感光体ドラム304c,304m,304y,304kと接触する。記録媒体がそれぞれの感光体ドラム304c,304m,304y,304kと接触したときに、感光体ドラムと対をなす転写チャージャ303c,303m,303y,303kにより、感光体ドラム上のトナー像が用紙に転写される。
【0033】
各画像形成ユニット307c,307m,307y,307kに内蔵されたレジスト補正センサ308c,308m,308y,308kが、無端ベルト320の基準マークを検出する。レジスト補正センサ308c,308m,308y,308kで検出したタイミングが、画像処理回路205に送信されることにより、画像形成ユニット307c,307m,307y,307kで画像を形成するタイミングが微調整される。これにより、レジストずれによる色ずれが防止される。
【0034】
トナー像が転写された用紙は、定着ローラ対325に搬送され、定着ローラ対325により加熱される。これにより、トナーが溶かされて用紙に定着する。その後、用紙は排紙トレイ327に排出される。
【0035】
また、両面コピーの場合には、定着ローラ対325によりトナー像が定着された用紙は、用紙反転ユニット326により反転され、両面ユニット328に搬送される。そして、両面ユニット328から反転された用紙が給紙ローラ313により搬送経路に再度供給される。そして、上述した経路を用紙が搬送されることにより、用紙の裏面に画像が形成される。
【0036】
湿度センサS1は、デジタル複写機100内の湿度を検知するセンサであり、温度センサS2は、デジタル複写機100内の温度を検知するためのセンサである。用紙吸湿度センサS3は、用紙中に含まれる水分量を測るためのセンサであり、通常、用紙と接触して用紙に流れる電流値を検知することにより、用紙の吸湿度を測定する。用紙吸湿度センサS3は、タイミングローラ315の直前に設けられる。
【0037】
無端ベルト320が用紙を搬送する経路の最も下流には、レジストパターン検出センサ324が取付けられている。レジストパターン検出センサ324は、画像形成ユニット307c,307m,307y,307kにより無端ベルト320上に形成されたレジストパターンを読込む。読込んだデータは画像処理回路205に送信される。レジストパターン検出センサは、発光部と受光部とを有し、発光部で光を照射し、無端ベルト320で反射した反射光を受光部で受光する。受光部で受光した光のレベルは、無端ベルト320上のレジストパターンの有無、またはどの色彩のトナーで形成されたレジストパターンであるかを示す。また、レジストパターン検出センサ324が出力する信号のタイミングから、無端ベルト320上に形成されたレジストパターンの位置が検出される。これについては後で詳しく説明する。
【0038】
トナー回収器329は、無端ベルト320上に形成されたレジストパターンを回収する。トナー回収器329は、内部にブラシを有しており、ブラシが無端ベルト320を擦ることにより、無端ベルト320上にトナーで形成されたレジストパターンを取除く。取除かれたトナーは、トナー回収器328内に収納される。
【0039】
図2は、デジタル複写機100の上面に設けられた操作パネルの平面図である。図を参照して、操作パネル500は、液晶表示装置501と、その上に設けられ透明な部材からなるタッチパネル506とを含む。液晶表示装置501は、デジタル複写機100のプリント動作モードや内部の状態を表示する。タッチパネル506は、スイッチであり、液晶表示装置501と組合わせて用いることで、プリント動作モードの設定など、使用者が所定の操作を入力することができる。操作パネル500はさらに、プリント部数やプリント倍率などの数値を入力するためのテンキー502と、プリント動作の開始を指示するためのスタートキー505と、使用者の入力により設定されたプリント動作モードをクリアするためのクリアキー503と、デジタル複写機100のプリント動作を一時停止させるための停止キー504とを含んでいる。
【0040】
上述のデジタル複写機100は、図3に示す制御部によって制御される。図3は、デジタル複写機100の制御部の概略構成を示すブロック図である。図を参照して、制御部は、デジタル複写機100の全体を制御するための制御CPU400と、無端ベルト320を退避させるための退避機構を制御する退避機構制御部404と、上述した画像処理回路205と、レジストパターン検出センサ324が出力するデータをもとにレジスト補正値を演算するレジスト補正部406とを含む。
【0041】
制御CPU400は、操作パネル500と、湿度センサS1と、温度センサS2と、用紙吸湿度センサS3と、JAMセンサS4と、ペーパーエンプティセンサS5と、定着温度センサS6と、トナーエンプティセンサS7とが接続されている。
【0042】
操作パネル500からは、使用者が操作パネル500から入力したプリント動作モード等が送られ、制御CPU400からは、操作パネルの液晶表示装置501に表示するためのデータが送られる。
【0043】
JAMセンサS4は、用紙が搬送経路中で詰まったことを検知するためのセンサで、搬送経路中の複数箇所に設けられる。ペーパーエンプティセンサS5は、給紙カセット310a,310b,310cのそれぞれに設けられ、給紙カセット310a,310b,310c中に収納されている用紙の有無を検知するためのセンサである。定着温度センサS6は、定着ローラ対325の温度を測定するためのセンサである。トナーエンプティセンサS7は、画像形成ユニットの現像器302c,302m,302y,302k内にそれぞれセットされたトナーの有無を検知するためのセンサである。
【0044】
それぞれのセンサS1〜S7の出力が、制御CPU400に送られる。制御CPU400では、それぞれのセンサS1〜S7の出力をもとに、退避機構制御部404を制御する。この制御については後で詳しく説明する。
【0045】
また、制御CPU400は、バックアップRAM402と接続されている。バックアップRAM402は、プリント枚数やデジタル複写機100内の画像形成ユニット等のエレメントの動作回数などのデータを記憶する。バックアップRAM402は、電池でバックアップされており、デジタル複写機100のメイン電源がOFF状態となった場合でも、バックアップRAM402に記憶されたデータを保持できるようになっている。
【0046】
画像処理回路205は、CCDセンサ204と、シアン用の露光ヘッド410cと、マゼンタ用の露光ヘッド410mと、イエロー用の露光ヘッド410yと、ブラック用の露光ヘッド410kと接続されている。CCDセンサ204で光電変換されたR,G,Bの画像データは、画像処理回路205によりC,M,Y,Kの印字用データに変換される。変換されたC,M,Y,Kの印字用データは、レジスト補正部406から受信したレジスト補正値に基づいて、レジスト補正処理が行なわれた後、それぞれ対応する露光ヘッド410c,410m,410y,410kに出力される。
【0047】
それぞれの露光ヘッド410c,410m,410y,410kは、レジスト補正されたデータを受信すると、受信したデータに基づき対応する感光体ドラムにレーザビームを照射する。これにより、感光体ドラム上に静電潜像が形成される。
【0048】
レジスト補正部406は、それぞれの画像形成ユニット307c,307m,307y,307kで用紙上に画像を重畳して形成するときに、レジストずれによる色ずれを防止するために用いられるレジスト補正値を計算する。
【0049】
レジスト補正処理は、それぞれの画像形成ユニット307c,307m,307y,307kで無端ベルト320上に所定のレジストパターンを形成するステップと、無端ベルト上に形成されたレジストパターンをレジストパターン検出センサ324で読取るステップと、レジストパターン検出センサで読取られたデータをもとに、印字位置補正、倍率補正および空間的歪み補正のためのレジスト補正値を演算するステップと、演算して求められたレジスト補正値をもとに、C,M,Y,Kの印字用データにレジスト補正を行なうステップとからなる。
【0050】
レジスト補正部406では、予め所定のレジストパターンを記憶しており、画像処理回路205に対してレジストパターンを送信することにより、それぞれの画像形成ユニット307c,307m,307y,307kでレジストパターンが無端ベルト320上に形成される。
【0051】
図4は、レジストパターンの一例を示す図である。図を参照して、レジストパターンは、それぞれの画像形成ユニットにより、無端ベルト320の継ぎ目601を基準とした無端ベルト320上の所定の位置に形成される。レジストパターンは、それぞれの画像形成ユニットごとに、無端ベルト320が進行する方向(図中の矢印方向)に垂直な方向に3つの正方形を等間隔に並べたパターンである。ここでは、レジストパターンを、正方形とした例を示したが、たとえば、十字形や「Z」の文字形等を用いることができる。
【0052】
画像形成ユニットで形成されるレジストパターンは、基準マーク601から所定の位置に所定の形状で形成されるが、レジストずれがある場合には、所定の位置に所定の形状で形成されない。レジスト補正値は、実際に形成されたレジストパターンのずれ量から求められる。
【0053】
画像形成ユニット307cで形成されたレジストパターン603a,603b,603cは、基準マーク601から定められた所定の位置に形成されている。
【0054】
画像形成ユニット307mで形成されるレジストパターン605a,605b,605cのうち、レジストパターン605a,605cは、定められた位置に形成されているけれども、レジストパターン605bが定められた位置から無端ベルト320が進行する方向(図中矢印方向)と反対方向にずれている。なお、図中では、レジストパターンが形成されるべき所定の位置を点線で示している。このように3つのレジストパターンが相対的にずれているときには、相対的なずれ量から空間的歪みが検知され、空間的歪みを補正するためのレジスト補正値が求められる。
【0055】
画像形成ユニット307yで形成されるレジストパターン607a,607b,607cは、それぞれのパターンの大きさが、予め定められた基準となる大きさよりも小さく形成されている。また、レジストパターン607a,607cは、予め定められた基準となる位置からレジストパターン607b側にずれて形成されている。この大きさと位置のずれ量から、倍率補正に用いるためのレジスト補正値が求められる。
【0056】
画像形成ユニット307kで形成されたレジストパターン609a,609b,609cは、基準となる位置から無端ベルト320が進行する方向(図中矢印方向)と反対方向に同じ量だけずれている。この位置のずれ量から、印字位置を補正するためのレジスト補正値が求められる。
【0057】
このようにして、レジスト補正処理では、レジスト補正部406から画像処理回路205に対して、レジストパターンを送信することにより、各画像形成ユニット307c,307m,307y,307kで無端ベルト320上に所定のレジストパターンが形成される。そして、レジストパターン検出センサ324でレジストパターンを読取ることにより、読取られたレジストパターンと基準位置とのずれを検出することにより、印字位置補正、倍率補正および空間的歪み補正に用いるレジスト補正値を求める。レジスト補正部406で求められたレジスト補正値は、画像処理回路205内のレジスタおよびバックアップRAM402に記憶される。
【0058】
図3を参照して、退避機構制御部404は、退避クラッチと接続されている。退避機構制御部404は、退避クラッチ405を動作させることにより、退避機構の位置を切換える。退避機構が移動することにより、可動ローラ321と、転写チャージャ303y,303m,303cと、タイミングセンサ323と、ガイド316と、タイミングローラ315とが移動する。また、退避機構が移動することにより、無端ベルトは、すべての画像形成ユニットの感光体ドラム304c,304m,304y,304kと接触する軌道と、ブラック画像形成ユニット307kの感光体ドラム304kとのみ接触する軌道との2つの位置に切換えられる。無端ベルトがすべての画像形成ユニットの感光体ドラム304c,304m,304y,304kと接触する軌道となるときの退避機構の位置を「基本位置」といい、無端ベルトがブラック画像形成ユニット307kの感光体ドラム304kとのみ接触する軌道となるときの退避機構の位置を「退避位置」という。
【0059】
図5は、退避機構が退避位置に移動したときのデジタル複写機100の模式的断面図である。図5を参照して、退避機構により、可動ローラ321と、転写チャージャ303y,303m,303cと、タイミングセンサ323と、ガイド316と、タイミングローラ315とが、下方に移動している。これにより、無端ベルト320は、ブラック画像形成ユニット307kの感光体ドラム304kとのみ接触することになる。換言すれば、シアン画像形成ユニット307cの感光体ドラム304cと、マゼンタ画像形成ユニット307mの感光体ドラム304mと、イエロー画像形成ユニット307yの感光体ドラム304yと、無端ベルト320とは接触していない。したがって、無端ベルト320が退避機構により退避した状態においては、シアン、マゼンタ、イエローのそれぞれの画像形成ユニットの駆動を停止することができる。このため、感光体ドラム304c,304m,304kおよび現像器302c,302m,302yが駆動することにより生じる摩耗を削減することができる。
【0060】
次に、デジタル複写機100の制御部で行なわれる処理の流れについて説明する。図6は、デジタル複写機100の制御部で行なわれる処理の流れを示すフローチャートである。図を参照して、制御部ではデジタル複写機100を初期設定するステップ(S11)と、デジタル複写機100でコピーするモードを設定するステップ(S12)と、退避機構を制御するステップ(S13)と、コピー処理を行なうステップ(S14)とを含む。
【0061】
ステップS11で行なわれる初期設定では、デジタル複写機100のメイン電源がON状態とされたときに、たとえば、定着ローラ対325の温度を上昇させる処理等を行なう。初期設定は、デジタル複写機100でコピー処理を行なうために必要な準備動作である。
【0062】
ステップS12では、コピーモードの設定が行なわれる。コピーモードの設定は、使用者が操作パネル500から、液晶表示装置501に表示されたメニューに従って、タッチパネル506あるいはテンキー502から入力することにより設定される。コピーモードには、たとえば複写枚数や複写倍率、あるいは作像モード等の設定が行なわれる。ここで、作像モードの設定とは、モノクロ作像モードとカラー作像モードの切換をいう。モノクロ作像モードは、ブラック用の画像形成ユニット307kのみを用いてコピー処理を行なうモードであり、カラー作像モードは、すべての画像形成ユニット307c,307m,307y,307kを用いてコピー処理を行なうモードをいう。たとえば、モノクロ作像モードを選択した場合には、原稿がカラーであっても、ブラック用の画像形成ユニット307kのみを用いてコピー処理が行なわれる。
【0063】
ステップS13では、退避機構の制御が行なわれる。これについては後で詳しく説明する。
【0064】
ステップS14では、コピー処理が行なわれる。ステップS12で設定されたコピーモードに基づいて、画像形成が行なわれる。
【0065】
次に、退避機構の制御処理について説明する。図7は、図6のステップS13で行なわれる退避機構制御処理の流れを示すフローチャートである。図を参照して、退避機構制御処理では、まず、退避機構が退避位置であるか否かが判断される(ステップS21)。退避機構が退避位置になく基本位置にある場合、すなわちすべての画像形成ユニット307c,307m,307y,307kと無端ベルト320とが接触している状態である場合には、作像モードがモノクロ作像モードか否かが判断される(S22)。モノクロ作像モードか否かは、図6のステップS21のコピーモード設定処理において、作像モードがモノクロ作像モードに設定されたか否かにより判断される。また、デジタル複写機100が、自動カラー選択(ACS)機能を有する場合には、これを用いてモノクロ作像モードまたはカラー作像モードの切換を行なうようにしてもよい。自動カラー選択(ACS)機能では、原稿をプレスキャンすることにより原稿がモノクロなのかカラーなのかを検知し、モノクロと検知した場合にはモノクロ作像モードとし、カラーと検知した場合にはカラー作像モードとする。
【0066】
ステップS22でモノクロ作像モードでないと判断された場合には、ステップS27に進み、退避機構を動作させない。
【0067】
モノクロ作像モードである場合には、次のステップS23において、湿度センサS1により計測された湿度が、所定の値よりも高いか否かが判断される。湿度が所定の値よりも高い場合には、ステップS27に進み、退避機構を動作させない。
【0068】
湿度が所定の値よりも高くない場合には、次のステップS24において、温度センサS2で検知された温度が所定の値よりも低いか否かが判断される。温度センサS2で検出された温度が所定の値よりも低い場合には、ステップS27に進み、退避機構を動作させない。
【0069】
温度センサS2で検知された温度が所定の値より低くない場合には、ステップS25に進み、用紙吸湿度センサS3で検知された用紙吸湿度が所定の値よりも高いか否かが判断される。用紙吸湿度が所定の値よりも高い場合には、ステップS27に進み、退避機構を動作させない。
【0070】
用紙吸湿度が所定の値よりも高くない場合には、退避クラッチを動作させ、退避機構を退避位置に移動させる(S26)。これにより、無端ベルト320が画像形成ユニット307c,307m,307yから退避した状態となる。
【0071】
一方、ステップS21において、退避機構が退避位置にあるときには(S21でYES)、次のステップS28において、作像モードがモノクロ作像モードか否かが判断される。モノクロ作像モードの場合には、退避機構を動作させる必要がないので、そのまま処理を終了する。モノクロ作像モードでない場合には、退避クラッチを動作させて、退避機構を基本位置に移動させる(S29)。これにより、無端ベルト320が、すべての画像形成ユニット307c,307m,307y,307kと接触する状態となる。
【0072】
このように、退避機構制御処理は、湿度が所定の値よりも高い場合あるいは温度が所定の値よりも低い場合、あるいは用紙の吸湿度が所定の値よりも高い場合には、モノクロ作像モードであっても、退避機構を動作させないようにしている。これは、湿度が高い場合、温度が低い場合、用紙の吸湿度が高い場合には、用紙を搬送するための条件(用紙の通紙性)が悪くなるので、用紙が詰まるジャミングが発生する可能性が高くなる。このような環境下で退避機構の位置を変更して用紙の搬送経路を変更すると、ジャミングが発生する可能性がより高くなってしまう。そこで、湿度、温度、用紙吸湿度のすべてが、デジタル複写機100に対して良好な条件にない場合には、退避機構を動作しないようにして、ジャミング等のトラブルの発生を防止している。
【0073】
一方、デジタル複写機100は、温度、湿度、用紙吸湿度の面で好ましい環境に置かれている場合には、用紙がジャミングする等の可能性が少なくなるので、退避機構を動作可能としている。退避機構が動作することにより、モノクロコピー時のコピーコストを削減することが可能となる。
なお、感光体ドラムの温度、定着ローラ対325の温度は、画像の品質に影響を与えるので、これらの温度が所定の範囲内にない場合には、退避機構を動作しないようにしてもよい。これにより、画像の品質が低下するのを防止することができる。
【0074】
次に、レジスト補正値の更新処理について説明する。このレジスト補正値の更新処理は、メインルーチンとは独立して行なわれる処理であって、所定の時間間隔、たとえば10「分」ごとに行なわれる。図8は、レジスト補正値の更新処理の流れを示すフローチャートである。図を参照して、レジスト補正値の更新処理は、デジタル複写機100がウォーミングアップ中であるか否かを判断するステップ(S31)と、デジタル複写機100がプレヒートモードとなる直前であるか否かを判断するステップ(S32)と、デジタル複写機100のペーパーエンプティセンサS5の出力に基づき、給紙カセット310a,310b,310c内の用紙がなくなったか否かを判断するためのステップ(S33)と、トナーエンプティセンサS7でトナーなしとされてから、トナーが補給されたか否かを判断するステップ(S34)と、先にレジスト補正値の更新を行なってから所定時間経過したか否かを判断するステップ(S35)と、カラー作像モードで所定枚数の画像形成が行なわれたか否かを判断するステップ(S36)と、レジスト補正値の更新が必要か否かを判断する更新判断処理を行なうステップ(S37)と、レジスト補正値の更新が必要か否かを判断するステップ(S38)と、レジストパターンを形成する処理を行なうステップ(S39)と、レジスト補正値を演算するためのステップ(S40)と、演算されたレジスト補正値を書換えることにより更新するステップ(S41)とを含む。
【0075】
ステップS31では、デジタル複写機100がウォーミングアップ中であるか否かが判断される。ウォーミングアップとは、デジタル複写機100の定着ローラ対325を所定の温度になるまで加熱する処理をいう。定着ローラ対325の温度は、定着温度センサS6により測定される。したがって、定着温度センサS6により検知される温度が、時間とともに上昇している期間が、ウォーミングアップ中となる。定着ローラ対325は、肉厚であることから、所定の温度に達するまでに所定の時間がかかる。しかし、定着ローラ対325が、トナーを用紙上に定着するのに十分な所定の温度に近い場合には、定着ローラ対325が所定の温度となるまでの時間が短くて済む。
【0076】
したがって、定着ローラ対325が所定の温度に達するまでの間に、レジスト補正値の更新処理を行なうことができれば、使用者がデジタル複写機100を使用するときにレジスト補正値の更新処理が開始される頻度を少なくすることができる。その結果、使用者がデジタル複写機100を使用する場合のトータルでの待ち時間を短縮することができ、コピーの生産性の向上を図ることができる。なお、レジスト補正値の更新処理においては、無端ベルト320上にトナー像(レジストパターン)を形成するものであるため、用紙上にトナーを定着する必要がないので、定着ローラ対325を用いる必要はない。
【0077】
ステップS31で行なわれるウォーミングアップ中か否かを判断する処理については、後で詳しく説明する。ステップS31でウォーミングアップ中であると判断された場合には、ステップS37に進み、そうでない場合にはステップS32に進む。
【0078】
ステップS32では、デジタル複写機100がプレヒートモードの直前か否かが判断される。プレヒートモードとは、デジタル複写機100に対して、使用者から所定の期間操作指示がない場合、もしくは画像形成ユニット307c,307m,307y,307kが所定の期間稼動していない場合に、操作パネル500の液晶表示装置501の表示を中止したり、定着ローラ対325を所定の温度に保つための熱源の電源をOFFにしたりすることにより、デジタル複写機100の電力消費を低減させるモードである。したがって、プレヒートモードとなる直前とは、操作パネル500に最後の入力があったときからの経過時間を計時するタイマと、画像形成ユニット307c,307m,307y,307kが稼働を停止してからの経過時間を計時するタイマとを設け、これらのタイマの両者が所定の値よりも大きくなったときとされる。また、これらのタイマのいずれかが所定の値よりも大きくなったときとしてもよい。
【0079】
デジタル複写機100に対して、所定の操作が使用者からされない場合や、画像形成ユニットが稼働を停止してから所定の時間経過した場合には、ユーザがデジタル複写機100を使用する可能性が低いと考えられる。デジタル複写機100がこのような状態の場合に、レジスト補正値の更新処理を行なうことにより、使用者がデジタル複写機100を使用している間にレジスト補正値の更新処理が開始される頻度を少なくすることができる。その結果、トータルでの待ち時間を短縮することができ、コピー生産性を向上することができる。
【0080】
プレヒートモードの直前であると判断された場合には、ステップS37に進み、そうでない場合にはステップS33へ進む。
【0081】
ステップS33では、ペーパーエンプティセンサS5の出力に基づき、給紙カセット310a,310b,310c内の用紙がなくなったか否かが判断される。デジタル複写機100でコピー中に給紙カセット310a,310b,310c内の用紙がなくなった場合には、デジタル複写機100で画像形成処理が中断される。使用者は、操作パネル500の液晶表示装置501に表示されたメッセージ(用紙を補充する旨のメッセージ)に従って、給紙カセット310a,310b,310cに用紙を補給する。使用者が、給紙カセットに用紙を補給する間、デジタル複写機100は、画像形成処理を中断した状態となっている。レジスト補正値の更新処理では、無端ベルト320上にトナー像を形成するため、用紙の有無は関係ない。したがって、給紙カセット310a,310b,310cに用紙が補給されるまでの間に、レジスト補正値の更新処理を行なうことができる。これにより、使用者がデジタル複写機100を使用している間にレジスト補正処理が開始される頻度を少なくすることができる。その結果、トータルでの待ち時間を短縮することができ、コピーの生産性を向上することができる。
【0082】
ペーパーエンプティと判断された場合には、ステップS37に進み、そうでない場合にはステップS34に進む。
【0083】
ステップS34では、トナーの補給がされたか否かが判断される。画像形成装置のトナー量は、トナーエンプティセンサS7により検知される。トナーエンプティセンサS7によりトナーが画像形成に必要な量を下回ったと判断された場合には、レジスト補正処理は行なわれない。これは、トナーの量が十分でない状態でレジストパターンの形成を行なっても、正確なレジストパターンが形成されず、レジスト補正値が正確に算出できないことによる。したがって、トナーの量が十分でない状態においては、レジスト補正処理は禁止される。これにより、レジスト補正値の信頼性が確保される。一方で、レジスト補正値がコピー枚数や経過時間とともに変化していくことを考慮すると、レジスト補正値の信頼性もコピー枚数が増加するにつれて、あるいは時間が経過するにつれて次第に低くなってしまう。そこで、トナーが新たに補充された場合には、すぐにレジスト補正処理を行なうことにより、レジスト補正値の信頼性を確保するようにする。
【0084】
トナーエンプティセンサS7で、トナー量が十分でない状態から十分な状態に状態の変化が検知された場合には、ステップS37に進み、そうでない場合にはステップS35に進む。
【0085】
ステップS35では、前回のレジスト補正値の更新処理から所定時間経過したか否かが判断される。前回のレジスト補正値の更新処理の時刻は、バックアップRAM402に記憶されており、現在の時刻と、バックアップRAM402に記憶されている前回のレジスト補正値の更新処理の時刻とを比較することにより、前回のレジスト補正値の更新処理が行なわれた時刻からの経過時間が得られる。得られた経過時間と所定時間とが比較される。得られた経過時間が所定時間よりも大きい場合には、ステップS37に進み、そうでない場合にはステップS36に進む。
【0086】
ステップS36では、カラー作像モードで画像形成された枚数が、所定の枚数を超えたか否かが判断される。カラー作像モードで画像形成した回数が、バックアップRAM402に記憶されている。バックアップRAMに記憶されている画像形成の回数と、所定の枚数とが比較され、所定の枚数よりも大きい場合には、ステップS37に進み、そうでない場合には処理を終了する。ステップS37では、レジスト補正値の更新処理が必要か否かを判断するための更新判断処理が行なわれる。これについては後で詳しく説明する。
【0087】
ステップS38では、ステップS37の更新判断処理の結果に基づき、レジスト補正値の更新が必要と判断された場合(補正データ更新要求フラグ=ON)には、ステップS39に進み、そうでない場合には処理を終了する。
【0088】
ステップS39では、レジスト補正値を測定するための、レジストパターンが画像形成ユニット307c,307m,307y,307kでそれぞれ形成される。ステップS40では、レジストパターン検出センサ324で読取られたデータをもとに、レジスト補正部406でレジスト補正値の演算が行なわれる。ステップS41では、画像処理回路205内のレジスタに記憶されているレジスト補正値が、ステップS40で演算されたレジスト補正値に書換えられる。これにより、レジスト補正値が新たな値に更新される。
【0089】
次に、図8のステップS31で行なわれる、ウォーミングアップ中であるか否かを判断するためのウォーミングアップ中判断処理について説明する。図9は、定着ローラ対325の温度(定着温度)の時間的推移とレジスト補正値の更新処理の時間との関係を示す図である。図を参照して、定着ローラ対325でトナーを用紙に定着可能な温度をTmpwとし、定着ローラ対325の温度制御を行なわない場合の温度(通常は室温となる)をTmp0とする。デジタル複写機100のメイン電源がONされた場合には、定着ローラ対325は、加熱されて温度Tmp0から温度Tmpwまで上昇する。この期間T0が、メイン電源がONされたときのウォーミングアップに要する時間となる。ここでは、T0を8[min]とする。
【0090】
デジタル複写機100が所定の時間操作されない場合、または画像形成ユニットが所定の時間稼働しない場合には、プレヒートモードとなる。Ps0,Ps1,Ps2は、それぞれ、プレヒートモードが開始される3通りの時刻を示している。また、時刻Ps0に対応する時刻Pe0は、プレヒートモードから復帰してウォーミングアップが開始される時刻を示す。時刻Pe1,時刻Pe2は、それぞれ、プレヒートが開始される時刻Ps1,時刻Ps2に対応するプレヒートモードから復帰してウォーミングアップが開始される時刻を示す。
【0091】
したがって、時刻Ps0から時刻Pe0までの時間が、プレヒートモードによりデジタル複写機100が省電力制御される時間となる。ここでは、この時間を16[min]とする。同様に、時刻Ps1から時刻Pe1までの省電力制御される時間を、12[min]とし、時刻Ps2から時刻Pe2までの省電力制御される時間を8[min]とする。
【0092】
また、時刻Ps1から時刻Pe1までの省電力制御される時間で、定着温度がTmpwからTmp1まで下がる。このときの温度Tmp1を、ここでは60[℃]とする。時刻Ps2から時刻Pe2までの省電力制御される時間に定着温度がTmp2まで下がる。このときの温度Tmp2を、ここでは110[℃]とする。
【0093】
このように、プレヒートモードの時間が長いほど、定着温度が低くなり、プレヒートモードの時間に比例して、定着温度が低下する。ただし、ここでいう比例は、線形関数を示すのではなく、非線形な関数を示す。
【0094】
また、プレヒートモードからウォーミングアップモードとなった場合に、定着温度がTmp0の場合には、時刻Pe0から時刻Pwまでの時間T0かかる。また、定着温度がTmp1の場合には、時刻Pe1から時刻Pwまでの時間T1がかかる。同様に、定着温度がTmp2の場合には、時刻Pe2から時刻Pwまでの時間T2がかかる。ここでは、時間T1を例えば12[min]、時間T2を例えば8[min]とする。このように、プレヒートモードから復帰してウォーミングアップに必要な時間は、定着温度に比例する。ただし、ここでいう比例は、線形関数を示すのではなく、非線形な関数を示す。
【0095】
したがって、プレヒートモードから復帰してウォーミングアップに要する時間は、定着温度から予測することができる。レジスト補正値の更新処理に必要な時間が予測されたウォーミングアップに必要な時間よりも短ければ、レジスト補正値の更新処理を実行しても時間的なロスは生じない。
【0096】
図では、レジスト補正値の更新処理に必要な時間をTrgstで示している。予測される時間T0,T1,T2のうち、レジスト補正値の更新処理に必要な時間Trgstよりも長い時間T0,T1の場合にのみ、レジスト補正値の更新処理を可能とするようにすれば、レジスト補正値の更新処理を行なうことにより時間的なロスは生じない。
【0097】
図10は、図8のステップS31で行なわれるウォーミングアップ中か否かを判断するウォーミングアップ中判断処理の流れを示すフローチャートである。図を参照して、まず、定着ローラ対325の温度を、定着温度センサS6より取得する(S51)。そして、取得した定着ローラ対の温度から、ウォーミングアップに必要な時間(ウォーミングアップ時間)を予測する(S52)。そして、レジスト補正値の更新に必要な時間(補正値更新時間)が、ステップS52で予測されたウォーミングアップに必要な時間よりも小さいか否かが判断される(S53)。補正値更新時間がウォーミングアップ時間よりも小さい場合には(S53でYES)、YESでリターンする(S46)。補正値更新時間がウォーミングアップ時間よりも小さくない場合には(S43でNO)、NOでリターンする(S45)。
【0098】
このように、定着ローラ対325の温度からウォーミングアップに要する時間を予測し、レジスト補正値の更新処理に必要な時間が、予測された時間よりも短い場合に、レジスト補正値の更新処理が開始される。
【0099】
次に、図8のステップS37で行なわれる更新判断処理について説明する。図11は、図8のステップS37で行なわれる更新判断処理の流れを示すフローチャートである。図を参照して、まず、デジタル複写機100がプレヒートモードとなる直前であるか否かが判断される(S61)。プレヒートモードの直前であると判断された場合には、プレヒートフラグを「ON」に設定し(S62)、更新フラグを「ON」に設定する(S63)。プレヒートフラグは、デジタル複写機100が、プレヒートモードの状態であることを示すフラグであり、デジタル複写機100がプレヒートモードの場合に「ON」に設定され、プレヒートモードでない場合には「OFF」に設定される。
【0100】
更新フラグは、レジスト補正値の更新処理の開始を指示するためのフラグであり、レジスト補正値の更新処理が必要な場合に「ON」に設定され、レジスト補正値の更新処理が不要な場合には「OFF」に設定される。図8のステップS38で、更新フラグの状態が判断され、更新フラグがONの場合に、ステップS39〜ステップS41までの処理が行なわれることにより、レジスト補正値の更新が行なわれる。
【0101】
ステップS61でプレヒートモードの直前でないと判断された場合には(S61でNO)、デジタル複写機100がウォーミングアップ中か否かが判断される(S64)。ウォーミングアップ中と判断された場合には(S64でYES)、プレヒートフラグが「ON」であるか否かが判断される(S65)。プレヒートフラグが「ON」の場合には、プレヒートフラグが「OFF」に設定され(S66)、更新フラグが「OFF」に設定される(S67)。これにより、プレヒートモードの直前にレジスト補正値の更新処理が一度行なわれた後、プレヒートモードから復帰したウォーミングアップ中にレジスト補正値の更新処理が行なわれないことになる。これは、デジタル複写機100がプレヒートモードのときには、画像形成処理は行なわれないので、プレヒートモードの直前にレジスト補正値の更新処理を行なった場合には、そのプレヒートモードから復帰したウォーミングアップ中にレジスト補正値の更新処理を行なう必要がないことによるものである。
【0102】
ステップS64でウォーミングアップ中でないと判断された場合には、ステップS68に進む。また、ステップS64でウォーミングアップ中と判断された場合であっても、プレヒートフラグが「ON」でない場合には、ステップS68に進む。ステップS68では、更新フラグを「ON」に設定する。これにより、図8のステップS33でペーパーエンプティと判断された場合、ステップS34でトナー残量がなくなった画像形成装置にトナーが補充された場合、ステップS35で先のレジスト補正値の更新処理から所定時間が経過した場合、ステップS36でカラー作像モードで所定の回数画像形成がされた場合、ウォーミングアップ中であってプレヒートモードの直前にレジスト補正値の更新処理が行なわれなかった場合に、更新フラグが「ON」に設定されることになる。
【0103】
以上説明したように、本実施の形態におけるデジタル複写機100では、ウォーミングアップ中であるとき、プレヒートモードに入る直前のとき、あるいは給紙カセットの用紙がなくなったときに、レジスト補正値の更新処理を行なうようにしている。これにより、デジタル複写機100を使用者が使用中にレジスト補正値の更新処理が開始される頻度を少なくすることができる。その結果、使用者がデジタル複写機100を使用する場合に、待ち時間を短縮することができ、コピーの生産性を向上することができる。
【0104】
また、デジタル複写機100がウォーミングアップ中であっても、ウォーミングアップ状態となる前のプレヒートモードに入る直前に、レジスト補正値の更新処理がなされた場合には、ウォーミングアップ中にレジスト補正値の更新処理を行なわないようにしている。これにより、先に行なわれたレジスト補正値の更新処理の後に画像形成処理が行なわれずにレジスト補正値の更新処理が行なわれることがなく、無駄なレジスト補正値の更新処理を行なわないようにすることができる。
【0105】
さらに、画像形成ユニット中のトナー残量が少なくなった場合には、レジスト補正値の更新処理を行なわないようにしているので、レジスト補正値の信頼性を確保することができる。そして、トナーが新たに供給された場合には、レジスト補正値の更新処理を直ちに行なうようにしているので、レジスト補正値の信頼性を高めることができる。
【0106】
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態の1つにおけるデジタル複写機の概略構成を示す模式的断面図である。
【図2】デジタル複写機100の上面に設けられた操作パネル500の平面図である。
【図3】デジタル複写機100の制御部の構成を示すブロック図である。
【図4】レジストパターンを説明するための図である。
【図5】退避機構が退避位置に移動したときのデジタル複写機100の模式的断面図である。
【図6】デジタル複写機100の制御部で行なわれる処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】図6のステップS13で行なわれる退避機構制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】デジタル複写機100の制御部で行なわれるレジスト補正値の更新処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】定着ローラ対325の温度(定着温度)の時間的推移とレジスト補正値の更新処理の時間との関係を示す図である。
【図10】図8のステップS31で行なわれるウォーミングアップ中判断処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】図8のステップS37で行なわれる更新判断処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
204 CCDセンサ
205 画像処理回路
324 レジストパターン検出センサ
400 制御CPU
404 退避機構制御部
406 レジスト補正部
500 操作パネル
S1 湿度センサ
S2 温度センサ
S3 用紙吸湿度センサ
S4 JAMセンサ
S5 ペーパーエンプティセンサ
S6 定着温度センサ
S7 トナーエンプティセンサ

Claims (5)

  1. 入力された画像を記録媒体に形成するための複数の画像形成ユニットと、
    外部からの入力を受付けるための受信手段と、前記受信手段で最後に入力を受付けたときからの経過時間を計測するための第1のタイマと、
    前記複数の画像形成ユニットが停止してからの経過時間を計測するための第2のタイマと、
    前記複数の画像形成ユニットが形成したレジストパターンを検出するためのレジストパターン検出手段と、
    前記レジストパターン検出手段の出力に基づいて、前記入力された画像を補正するためのレジスト補正値を求めるための演算手段と、
    前記レジスト補正値の更新を要求するための更新要求手段とを備え、
    前記更新要求手段は、前記第1のタイマおよび/または前記第2のタイマの値に基づいて、前記レジスト補正値の更新を要求することを特徴とする、画像形成装置。
  2. 入力された画像を記録媒体に形成するための複数の画像形成ユニットと、
    前記記録媒体上に形成された画像を前記記録媒体に定着するための定着手段と、
    前記定着手段の温度を検知するための定着温度検知手段と、
    前記複数の画像形成ユニットが形成したレジストパターンを検出するためのレジストパターン検出手段と、
    前記レジストパターン検出手段の出力に基づいて、前記入力された画像を補正するためのレジスト補正値を求めるための演算手段と、
    前記定着温度検知手段で検知した温度に基づいて、前記レジスト補正値の更新を要求する第1の更新要求手段と、
    前記受信手段で最後に入力を受付けたときからの経過時間を計測するための第1のタイマと、前記複数の画像形成ユニットが停止してからの経過時間を計測するための第2のタイマと、前記第1のタイマおよび/または前記第2のタイマの値に基づいて、前記レジスト補正値の更新を要求する第2の更新要求手段とを備え、
    前記第1の更新要求手段は、前記第2の更新要求手段で前記更新を要求したときは、前記更新を要求しないことを特徴とする、画像形成装置。
  3. 入力された画像を記録媒体に形成するための複数の画像形成ユニットと、
    前記記録媒体を収納するためのカセット内における前記記録媒体の残量を検知するための残量検知手段と、
    前記複数の画像形成ユニットが形成したレジストパターンを検出するためのレジストパターン検出手段と、
    前記レジストパターン検出手段の出力に基づいて、前記入力された画像を補正するためのレジスト補正値を求めるための演算手段と、
    前記レジスト補正値の更新を要求するための更新要求手段とを備え、
    前記更新要求手段は、前記残量検知手段で前記記録媒体の残量が無いことが検知されたときに、前記レジスト補正値の更新を要求することを特徴とする、画像形成装置。
  4. 入力された画像を記録媒体に形成するための複数の画像形成ユニットと、
    前記複数の画像形成ユニットにそれぞれ含まれるトナーの残量を前記複数の画像形成ユニットごとに検知するためのトナー残量検知手段と、
    前記複数の画像形成ユニットが形成したレジストパターンを検出するためのレジストパターン検出手段と、
    前記レジストパターン検出手段の出力に基づいて、前記入力された画像を補正するためのレジスト補正値を求めるための演算手段と、
    前記レジスト補正値の更新を要求するための更新要求手段とを備え、
    前記更新要求手段は、前記トナー残量検知手段で前記複数の画像形成ユニットの少なくとも1つでトナー残量が所定の値より少ない状態から少なくない状態への状態の変化が検知されたときは、前記レジスト補正値の更新を要求することを特徴とする、画像形成装置。
  5. 入力された画像を記録媒体に形成するための複数の画像形成ユニットと、
    前記複数の画像形成ユニットにそれぞれ含まれるトナーの残量を前記複数の画像形成ユニットごとに検知するためのトナー残量検知手段と、
    前記複数の画像形成ユニットが形成したレジストパターンを検出するためのレジストパターン検出手段と、
    前記レジストパターン検出手段の出力に基づいて、前記入力された画像を補正するためのレジスト補正値を求めるための演算手段と、
    前記レジスト補正値の更新を要求するための更新要求手段とを備え、
    前記更新要求手段は、前記トナー残量検知手段で前記複数の画像形成ユニットの少なくとも1つでトナー残量が所定の値より少ない状態と検知された場合、前記レジスト補正値の更新を要求しないことを特徴とする、画像形成装置
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