JP3723486B2 - トラクタの動力伝達装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トラクタの動力伝達装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
トラクタの動力伝達装置として、エンジンからの動力を高低2種の回転速度に切り換えて動力伝達する高低速切換装置と、この高低速切換装置からの動力を、例えば4段に変速して動力伝達する主変速装置と、これら高低速切換装置と主変速装置との間に、トラクタを前進させるように動力伝達する状態と、トラクタを後進させるように動力伝達する状態とに動力を切り換える前後進切換装置を備えていて、これら高低速切換装置、前後進切換装置、主変速装置によって、前進8段変速、後進8段変速可能としたものがある。
【0003】
なお、主変速装置の後側に、副変速装置やクリープ変速装置を備えているものにあっては、さらに変速段数が増える。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記動力伝達装置において、構造を簡素化して、コスト低減を図りたいという要望がある。
なお、主変速装置に、後進切換機構を備えているものがあるが、このものにあっては、前記動力伝達装置に比べて、構造が簡素化されているが、後進の変速段数は、高低速切換装置による2段しかないものである。
そこで、本発明は、前記問題点に鑑みて、トラクタ動力伝達装置の構造を簡素化して、コスト低減を図ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明が技術的課題を解決するために講じた技術的手段は、エンジンからの動力によって回転駆動される走行系推進軸と、この推進軸の軸心延長上に配置されていて該推進軸からの回転動力を主変速装置に入力する主変速入力軸と、推進軸に対して平行状に配置された伝動軸と、駆動輪を前進回転させるように推進軸からの回転動力を高低2種の回転速度に切換えて主変速入力軸に伝達する高低速切換装置とを備え、高低速切換装置は、推進軸上に設けられた高速側クラッチ部によって推進軸からの回転動力が断続自在に伝達され且つ主変速入力軸に一体回転自在に連結されている高速側出力部と、この高速側出力部の動力伝達方向前方側に位置していて推進軸上に設けられた低速側クラッチ部によって推進軸からの回転動力が断続自在に伝達され且つ低速側ギヤ伝動機構を介して主変速入力軸に連動連結された低速側出力部とを備え、前記低速側ギヤ伝動機構は、低速側出力部と一体回転する第1ギヤと、この第1ギヤに噛み合うと共に前記伝動軸と一体回転する第2ギヤと、この第2ギヤの動力伝達方向後方側に位置していて前記伝動軸と一体回転する第3ギヤと、この第3ギヤに噛み合うと共に主変速入力軸と一体回転する第4ギヤとを備えているトラクタの動力伝達装置において、前記低速側ギヤ伝動機構の第1ギヤの動力伝達方向前方側に位置していて推進軸と一体回転する動力取出ギヤと、この動力取出ギヤに噛み合うアイドラギヤと、このアイドラギヤに噛み合う入力ギヤと、この入力ギヤから前記伝動軸へと動力を断続自在に伝達するクラッチ部とを備えた後進切換装置を設けたことを特徴とする。
【0006】
また、高低速切換装置は油圧によって高速側と低速側とに切換自在とされ、後進切換装置は油圧によって動力伝達状態と動力非伝達状態とに切換自在とされ、後進切換装置が非動力伝達状態であるときに、高低速切換装置に圧油が送られ、後進切換装置が動力伝達状態であるときには、高低速切換装置に圧油が送られないように構成されているのがよい。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1はトラクタの走行系の動力伝達装置を示しており、1はエンジンであり、3はエンジン1のクランク軸2に連結されたフライホイールであり、このフライホイール3に、回転方向の衝撃を緩和するコイルバネ等の緩衝体4を介して走行系推進軸5が連結されており、エンジン1の動力で推進軸5が回転駆動されるようになっている。
【0008】
この動力伝達装置にあっては、推進軸5の回転動力は、トラクタの前進時にあっては、高低速切換装置6を介して主変速装置7に伝達され、トラクタの後進時にあっては、高低切換装置6を経ないで、後進切換装置8を介して主変速装置7に伝達されるようになっている。
なお、主変速装置7からは、副変速装置、及び/又は、クリープ変速装置等を介して駆動輪(後輪、又は、後輪及び前輪)に動力が伝達されるようになっている。
【0009】
高低速切換装置6は、エンジン1からの動力を高低2種の回転速度に切換えて主変速装置7に伝達するものであり、本実施の形態では、推進軸5に設けた油圧パック9を備えており、油圧によって高速側と低速側とに切換自在とされている。
油圧パック9は、推進軸5と一体回転するクラッチボディ11を備えると共に、このクラッチボディ11の前側に低速側クラッチ部12を備え、クラッチボディ11の後側に高速側クラッチ部13を備えている。
【0010】
低速側及び高速側クラッチ部12,13は、油圧によってピストンを動かして摩擦板を相互に圧接させることにより、クラッチボディ11から低速側又は高速側出力部14,15に動力伝達され、ピストンへの圧油供給を解除することにより、摩擦板の押付け力がなくなり、クラッチボディ11から低速側又は高速側出力部14,15への動力伝達が断たれるように構成されている。
高速側出力部15は、推進軸5の軸心延長上に配置された主変速入力軸16に一体回転自在に連結されている。
【0011】
また、低速側出力部14は、低速側ギヤ伝達機構10を介して主変速入力軸16に連動連結されていて、低速側ギヤ伝達機構10は、高速側出力部15から主変速入力軸に伝達される回転速度よりも遅い速度で動力伝達するようになっている。
この低速側ギヤ伝達機構10は、油圧パック9の低速側出力部14と一体回転するように設けられた第1ギヤ18と、この第1ギヤ18に常時噛み合うと共に推進軸5に平行に配置された走行系伝動軸17と一体回転するように設けられた第2ギヤ19と、この第2ギヤ19の後側で走行系伝動軸17と一体回転するように設けられた第3ギヤ20と、この第3ギヤ20に常時噛み合うと共に主変速入力軸16と一体回転するように設けられた第4ギヤ21とを備えている。
【0012】
主変速装置7は、主変速入力軸16と主変速出力軸26との間に、第1速ギヤ変速機構22と、第2速ギヤ変速機構23と、第3速ギヤ変速機構24と、第4速ギヤ変速機構25とが設けられており、これら第1〜4速ギヤ変速機構22,23,24,25を、変速操作レバー等によって操作される第1シフタ27又は、第2シフタ28によって、選択的に、動力伝達状態に切り換えることにより、回転速度を第1速〜第4速まで4段に変速して、主変速入力軸16から主変速出力軸26へと動力伝達可能とされている。
【0013】
後進切換装置8は、ギヤ伝達機構29と、油圧パック30とを備えており、油圧によって動力伝動状態と、非動力伝動状態とに切り換えられるようになっている。
油圧パック30は、走行系伝動軸17と一体回転するクラッチボディ31と、入力部33と、これらクラッチボディ31と入力部33との間に介装されたクラッチ部32とを備え、クラッチ部32は、油圧によってピストンを動かして摩擦板を相互に圧接させることにより、入力部33からクラッチボディ31に動力伝達され、ピストンへの圧油供給を解除することにより、摩擦板の押付け力がなくなり、入力部33からクラッチボディ31への動力伝達が断たれるように構成されている。
【0014】
ギヤ伝動機構29は、高低速切換装置6の前側に位置していて推進軸5と一体回転するように設けられた動力取出ギヤ34と、この動力取出ギヤ34と常時噛み合うアイドラギヤ35と、このアイドラギヤ35と常時噛み合うと共に入力部33と一体回転するように設けられた入力ギヤ36とを備えていて、推進軸5から入力部33へと動力伝達する。
入力部33に伝達された動力は、クラッチ部32及びクラッチボディ31を介して走行系伝動軸17に断続自在に動力伝達され、走行系伝動軸17から前記第3ギヤ20及び第4ギヤ21を経て、主変速入力軸16に動力伝達される。
【0015】
したがって、後進切換装置8から主変速装置7に至る動力伝達経路と、高低速切換装置6の低速側出力部14から主変速装置7に至る動力伝達経路との伝動手段が一部共通化されている。
前記構成のものにあっては、トラクタを前進させる場合には、後進切換装置8のクラッチ部32を切断し(非動力伝達状態とし)、主変速装置7の第1〜4速ギヤ変速機構22,23,24,25を、選択的に、動力伝達状態に切り換え、高低速切換装置6の低速側又は高速側のクラッチ部12,13を接続(動力伝達状態と)することにより、高低速切換装置6と主変速装置7とで前進8段変速可能とされている。
【0016】
また、トラクタを後進させる場合には、高低速切換装置6の低速側及び高速側のクラッチ部12,13を切断し、主変速装置7の第1〜4速ギヤ変速機構22,23,24,25を、選択的に、動力伝達状態に切り換え、後進切換装置8のクラッチ部32を接続することにより、主変速装置7で後進4段変速可能とされている。
図2は、高低速切換装置6及び後進切換装置8の圧油の切り換えを行う油圧回路の一例を示しており、この油圧回路は、前後進切換弁40と、高低速切換弁41とを有する。
【0017】
前後進切換弁40は、中立位置40aと、前進位置40bと、後進位置40cとを有する、4ポート3位置切換弁によって構成されており、高低速切換弁41は、中立位置41aと、低速位置41bと、高速位置41cとを有する、4ポート3位置切換弁によって構成されている。
このものにあっては、前後進切換弁40を前進位置40aに切り換えた状態で高低速切換弁41を、低速位置41b又は高速位置41cに切り換えることにより、油圧ポンプ42からの圧油が高低速切換装置6の低速側クラッチ部12又は高速側クラッチ部13に供給されて、これらの一方が接続されるようになっている。
【0018】
また、前後進切換弁40を後進位置40bに切り換えると、後進切換装置8のクラッチ部32に圧油が供給されて、該クラッチ部32が接続され、高低速切換装置6の低速側クラッチ部12及び高速側クラッチ部13には、圧油は供給されない。
なお、動力伝達装置及び油圧回路は本実施の形態のものに限定されることはなく、適宜設計変更可能である。
例えば、後進切換装置8、又は高低速切換装置6は、シフタによって動力が切り換えられるように構成してもよい。
【0019】
また、エンジン1からの動力をクラッチを介して推進軸5に断続自在に動力伝達するようにしてもよい。
また、高低速の切り換えと、後進の切り換えとを、それぞれ別の操作レバーによって操作するようにしてもよいが、1本の操作レバーで操作するようにするのがよい。
また、高低速切換装置6と、後進切換装置8とを並列的に配置することにより、動力伝達装置の前後方向のコンパクト化が図れる。
【0020】
【発明の効果】
本発明によれば、従来の前後進切換装置の前進側の切換機構が不要とされ、構造の簡素化を図ることができ、コスト低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】トラクタの動力伝達装置の概略構成図である。
【図2】高低速切換装置及び後進切換装置の油圧回路図である。
【符号の説明】
1 エンジン
6 高低切換装置
7 主変速装置
8 後進切換装置
Claims (2)
- エンジンからの動力によって回転駆動される走行系推進軸と、この推進軸の軸心延長上に配置されていて該推進軸からの回転動力を主変速装置に入力する主変速入力軸と、推進軸に対して平行状に配置された伝動軸と、駆動輪を前進回転させるように推進軸からの回転動力を高低2種の回転速度に切換えて主変速入力軸に伝達する高低速切換装置とを備え、高低速切換装置は、推進軸上に設けられた高速側クラッチ部によって推進軸からの回転動力が断続自在に伝達され且つ主変速入力軸に一体回転自在に連結されている高速側出力部と、この高速側出力部の動力伝達方向前方側に位置していて推進軸上に設けられた低速側クラッチ部によって推進軸からの回転動力が断続自在に伝達され且つ低速側ギヤ伝動機構を介して主変速入力軸に連動連結された低速側出力部とを備え、前記低速側ギヤ伝動機構は、低速側出力部と一体回転する第1ギヤと、この第1ギヤに噛み合うと共に前記伝動軸と一体回転する第2ギヤと、この第2ギヤの動力伝達方向後方側に位置していて前記伝動軸と一体回転する第3ギヤと、この第3ギヤに噛み合うと共に主変速入力軸と一体回転する第4ギヤとを備えているトラクタの動力伝達装置において、
前記低速側ギヤ伝動機構の第1ギヤの動力伝達方向前方側に位置していて推進軸と一体回転する動力取出ギヤと、この動力取出ギヤに噛み合うアイドラギヤと、このアイドラギヤに噛み合う入力ギヤと、この入力ギヤから前記伝動軸へと動力を断続自在に伝達するクラッチ部とを備えた後進切換装置を設けたことを特徴とするトラクタの動力伝達装置。 - 高低速切換装置は油圧によって高速側と低速側とに切換自在とされ、後進切換装置は油圧によって動力伝達状態と動力非伝達状態とに切換自在とされ、後進切換装置が非動力伝達状態であるときに、高低速切換装置に圧油が送られ、後進切換装置が動力伝達状態であるときには、高低速切換装置に圧油が送られないように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のトラクタの動力伝達装置。
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JP2001329667A JP3723486B2 (ja) | 2001-10-26 | 2001-10-26 | トラクタの動力伝達装置 |
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Country Status (1)
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Families Citing this family (3)
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- 2001-10-26 JP JP2001329667A patent/JP3723486B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
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