JP3723476B2 - パッケージ封止におけるリッドの位置決め治具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光デバイス素子、水晶振動子等のチップを収納したパッケージの開口部を塞ぐようにリッドをシーム溶接することで、該パッケージを気密封止する封止作業の際、事前に該パッケージに対して該リッドを位置決めする治具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、光デバイス素子、水晶振動子等のパッケージ封止においては、次のような方法が広く一般に行われている。図8はパッケージ封止後の状態の縦断面図である。同図において、101は上面に開口部を持つパッケージ、102はリッド、103は半導体チップ、104は半導体チップ103を電気的に接続するワイヤ、105はパッケージ101がセラミック等の非金属である場合、パッケージ101の開口部縁辺に形成するメタライズ層である。
【0003】
ここで封止とは、リッド102の外周部をパッケージ101の開口部縁辺にシーム溶接することを意味し、図9で示すように一対のローラ電極111A、111Bを用い、この一対のローラ電極をリッド102の対向する縁部に沿って転接させながら所定の圧力とパルセーション電流を加えることで、その接合部に発生するジュール熱により溶接を行うものである。
【0004】
ここで、図10に基づいて、広く一般に行われているマニュアルシーム溶接機によるパッケージ封止の動作を説明する。テーブル51はワークを載置するためのものであり、その中心には位置規制ピン52が上方に突出し、また位置規制ピン52から所定の距離をおいて回転規制ピン53が突出している。テーブル51は図示しない駆動手段により、矢印アで示すように前後方向に移動し、セッティングエリアAと溶接エリアBのそれぞれに停止するとともに溶接時においても前後に移動し、ローラ電極111A、111Bがリッド102の縁部を転接するように作用する。
【0005】
またテーブル51が溶接エリアBに位置しているときは、図示しない駆動手段により、矢印イで示すように前記位置規制ピン52を中心として水平方向に回転し、90°の角度をおいて停止するものである。ここで従来は、パッケージ保持台54を使用してパッケージ101をテーブルの上に載置する。パッケージ保持台54の底面には図示しない穴が2箇所に凹設されており、このうち1箇所は保持すべきパッケージ101の中心位置の直下に位置し、他の一箇所は、前記位置規制ピン52と回転規制ピン53の間隔と同等の間隔をおいて凹設されている。
【0006】
まず、テーブル51がセッティングエリアAに停止した状態で、パッケージ保持台54をテーブル51に載置する。この時パッケージ保持台54の底面にある2箇所の位置決め穴のうち、保持すべきパッケージ101の中心位置の直下にある穴は前記位置規制ピン52に、他の一箇所の穴は前記回転規制ピン53にそれぞれ嵌合する。これにより、水平方向においては、パッケージ保持台54はテーブル51に対して所定の位置と角度で保持されることとなる。
【0007】
次に、パッケージ101をパッケージ保持台54に搭載する。この際、図示しない保持手段により、パッケージ101はパッケージ保持台54の所定の位置に所定の角度で保持される。さらに、人手により、リッド102をパッケージ101上に位置決めして載置する。この位置決めは、目視によりリッド102の外周部がパッケージ101の上面外周からはみ出さないように慎重に行わなければならない。
【0008】
リッド102の載置が終了したところで、テーブル51をセッティングエリアAから溶接エリアBに移動させる。このときのテーブル51の動作は、移動時の振動及び起動・停止時の衝撃が十分に小さく、載置されただけのリッド102が位置ずれを起こさない程度のものでなくてはならない。
【0009】
次に、ローラ電極111A、111Bの間隔を溶接位置に合わせる。ローラ電極111A、111Bは、左右方向に延設されたガイドレール55により左右方向に摺動可能に保持されるとともに上下方向に延設されたガイドレール56A、56Bにより上下方向に摺動可能に保持された一対の電極保持部57A、57Bの下端部に回転自在に保持されており、図示しない駆動手段により左右方向の間隔および上下方向の位置が制御可能となっている。
【0010】
ローラ電極111A、111Bの間隔が溶接位置に設定されたのち、該ローラ電極111A、111Bを下降させ、その下端部をリッドに当接させるとともに図示しない給電ケーブルから所定の電流を供給し、テーブル51を前方あるいは後方に移動させることで、リッド102の対向する2辺をシーム溶接する。次にテーブル51を90°回転させ、残りの対向する2辺も同様にシーム溶接する。
【0011】
シーム溶接による封止が完了したら、テーブル51を元の角度に90°回転させ、さらにセッティングエリアAに移動させ、パッケージ101を人手により取り出す。
以上一連の溶接動作は、人手によるワークのセッティング及び取り出し作業以外は、シーケンスプログラムにより自動実行させることができる。
【0012】
前述した溶接作業は、人手により載置したリッド102に対してそのままシーム溶接を行っているが、この際、溶接開始時にローラ電極111A、111Bが下降しリッド102に接触することで、リッド102が僅かに移動し、位置ずれを起こしやすいという欠点があった。そこでシーム溶接の前工程として、リッド102をパッケージ101に仮止めするスポット溶接が広く行われている。
【0013】
前記仮止めは、一般にはローラ電極あるいはスポット溶接専用の棒状電極により、リッド102の外周近傍の少なくとも2箇所をスポット溶接することによってなされるが、シーム溶接を行うためのローラ電極111A、111Bを利用して仮止めを行うのが、そのままシーム溶接の工程に移行できるので効率的である。
【0014】
前記仮止めを行うにも、前もってリッド102をパッケージ101の開口部に位置決めして載置することが必要であるが、前述したように、マニュアルシーム溶接機においては、リッド102の位置決めは人手で行っている。この場合ピンセット等でリッド102を摘み上げ、パッケージ101上に目視で位置合わせしながら載置する作業が、パッケージ1個毎に行われる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、人手によるリッド102の位置決め作業は、位置にばらつきが生じ、シーム溶接の仕上がり状態が安定しない。さらに位置ずれが著しい場合には封止不良をまねくことにもなる。また、前記一連の作業は窒素雰囲気中で行われるのが一般であり、大気を遮断するための透明ケースの外から手だけを該ケース内に入れて作業することは、作業の難易度を更に増している。
【0016】
これら人手作業はワークが小さくなれば難易度も増し、作業時間も難易度に応じて長くかかるため、パッケージ封止作業全体の所用時間にも大きく影響している。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、リッド102の位置決めを機械的に行うようにして、人手作業によるための前述したような不利益を大幅に低減するリッドの位置決め治具を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、パッケージの開口部に載置されたリッドを位置決めするリッドの位置決め治具として、下面に位置決め穴を有し、溶接機のテーブル上に位置決めして載置されるベースプレートと、該ベースプレートの略中央部にパッケージを位置決めして保持するパッケージ保持手段と、該パッケージ保持手段に保持されたパッケージの側面上端部に前後左右4方向から当接し、該パッケージ上に載置されたリッドを該パッケージ上面の範囲内に収めるべく設けた、該パッケージとの当接部が水平方向に偏平な板状部材の端面である4つの位置決め手段と、該4つの位置決め手段を、該パッケージを中心とし前後左右の放射状に一括して摺動可能とするカムによる駆動手段と、このカムと連動する回転プレートとを有し、該パッケージに当接した状態の該4つの位置決め手段のうち、任意の対向する位置決め手段を選択的に該パッケージから離隔させたとき、該位置決め手段に設けられたプランジャと該回転プレートに形成された円弧状の凹所との係合で、該位置決め手段を離隔した状態に保持することを特徴とするリッドの位置決め治具を提供するものである。
【0018】
また、前記4つの位置決め手段のパッケージとの当接部である水平方向に偏平な板状部材の端面を、下方から上方に至るにしたがってリッド側に突出する傾斜面にすることにより、パッケージ上面の外形寸法よりリッドの外形寸法の方が小さい場合にも、該リッドを該パッケージ上面の中央に位置決めすることができる。さらに、4つの位置決め手段に溶接機の電極下端部が係合するための突起を設けることにより、該4つの位置決め手段のうち任意の位置決め手段を選択的にパッケージから離隔する手段として、溶接機の電極の動作を利用することができる。
【0019】
【作用】
本発明によれば、リッドの位置決めを機械的に行えるので、作業者はリッドをパッケージの上面に載置するだけでよい。したがって、人手作業の場合必然的に発生する作業結果のばらつき、ここではリッドの位置のばらつきを回避することができる。その結果溶接の品質が安定し、封止不良も減少する。また、従来の作業では、人手でリッドを載置し位置決めしてから溶接を開始するまでは、リッドを保持する手段がなかった。
【0020】
しかし本発明によれば、リッドを位置決めしてから溶接動作の途中まで、つまり、第1のシーム溶接によりリッドの4辺中対向する2辺がシーム溶接され、治具によるリッドの保持が必要なくなるまでリッドを保持し続けることが可能となる。したがって、テーブル51の移動による振動衝撃あるいは電極111A、111Bが溶接開始時にリッドに接触することにより生ずるリッドの位置ずれを回避することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図1、図2、図3、図4、図5、図6及び図7に基づいて説明する。図1は本発明の1実施形態を示す上面図、図2は図1におけるX−X断面図、図3はマニュアルシーム溶接機とリッドの位置決め治具を示す斜視図、図4はリッドの位置決め治具にパッケージを搭載する状態を示す上面図、図5はリッドの位置決め治具によりリッドを位置決めする状態を示す上面図、図6はリッドの位置決め治具がリッドを位置決めした状態の拡大図、図7は溶接直前のローラ電極の動作と作用を示す縦断面図である。
【0022】
図1及び図2において、2はベース、3はベースの中心に固定され上方に突出した原点軸、4は原点軸3にベアリング5を介して水平方向に回転自在に軸着されたカム、6はカム4に固定されカム4と共に水平方向に回転自在な回転プレート、7は回転プレート6に固定され、支柱8A及び8Bにより規制された角度内(位置Cから位置E)においてカム4及び回転プレート6と共に回転自在なレバー、9は支柱8A、8B、8C、8Dによりベース2に固定された固定プレート。
【0023】
10A、10B、10C、10Dは固定プレート9の上面にそれぞれ90°の角度間隔を成して固定されたスライドレール、10Eは同じく固定プレート9の上面に固定されたスライドレール、11A、11B、11C、11D、11Eはそれぞれスライドレール10A、10B、10C、10D、10E上を摺動するスライドブロック。
【0024】
12A、12Bはそれぞれスライドブロック11A、11Bに螺設されリッド102の左右方向の位置決めを行う位置決めプレート、12C、12Dはそれぞれスライドブロック11C、11Dに螺設されリッド102の前後方向の位置決めを行う位置決めプレート、12Eはスライドブロック11Eに螺設されパッケージ101の保持を行う保持プレート、13は4個の位置決めプレート12A、12B、12C、12Dをリッド102の方向へ牽引する引っ張りコイルばね、14は保持プレート12Eをパッケージ101の方向へ牽引する引っ張りコイルばね。
【0025】
15A、15B、15C、15D、はそれぞれスライドブロック11A、11B、11C、11Dに設けられた突起、15Eはスライドブロック11Eに設けられたつまみ、16はベース2の上面に突出するように設けられたつまみ、17はカム4の回転に応動するように、スライドブロック11A、11B、11C、11Dのそれぞれの下面に螺着されたカムフォロア、18は回転プレート6を押圧するようにスライドブロック11A、11B、11C、11Dのそれぞれの下面に螺着されたプランジャ、19は回転プレート6に形成され、原点軸3を中心とした同一半径上にある4つの円弧形状のスリット、20は固定プレート9の上面中央部に螺設され、パッケージ101の保持手段となる位置決めブロックである。
【0026】
図3は、従来技術の説明において図10に基づいて説明した一般的なマニュアルシーム溶接機において、本発明によるリッドの位置決め治具が如何なる状態で使用されるかを示している。リッドの位置決め治具1は、図10におけるパッケージ保持台54と同様に、その底面に図示しない位置決め用の穴が2箇所凹設されており、この穴がテーブル51の上面に設けられた位置規制ピン52および回転規制ピン53と嵌合することにより、テーブル51上の所定の位置に所定の角度で載置される。リッドの位置決め治具1は、常時このようにテーブル51上に載置された状態で使用される。
【0027】
個々の溶接作業は、パッケージ101をリッドの位置決め治具1に搭載することから始まる。図1で示すレバー7は、規制手段である支柱8A、8Bにより位置Cから位置Eまでのみ原点軸3を中心として回転する。まず、このレバー7を位置Eに移動させる。このレバー7が位置Eにある状態を図5(a)に示す。図5は図1の中からリッド102の位置決めに直接作用する部品を中心に抽出して示してある。
【0028】
レバー7は原点軸3を中心として回転するカム4に回転プレート6を介して固定されており、レバー7が位置Eにあるときにカム4のなす角度は、カム4に応動する4つのカムフォロア17が原点軸3から最も離れた状態になる角度となる。つまりこの状態は、スライドブロック11A、11B、11C、11D及び位置決めプレート12A、12B、12C、12Dが原点軸3から最も離れた位置にある状態である。
【0029】
次に、図4(a)で示すように、つまみ15Eを人手で矢印ウの方向に押圧する。このときつまみ16とつまみ15Eを指で掴むようにすると、この動作は片手で容易に行うことができる。これに伴いスライドブロック11E及び保持プレート12Eはスライドレール10E上を原点軸3から離れる方向に移動する。この状態でパッケージ101を位置決めブロック20の上に載置し、つまみ15Eを解放する。
【0030】
位置決めブロック20には突起21及び22が形成されており、突起21はパッケージ101の右側面の位置、突起22はパッケージ101の手前側面の位置をそれぞれ規制する。したがって図4(b)で示すようにつまみ15Eを解放すると、引っ張りコイルばね14の牽引力により保持プレート12Eは矢印エの方向にパッケージ101を押圧する。その結果パッケージ101は、突起21、22及び保持プレート12Eに挟まれ、所定の位置と角度で保持される。
【0031】
次に、このように位置決めして保持されたパッケージ101上にリッド102を人手により載置する。続いて図5(a)、図5(b)、図5(c)で示すように、レバー7を位置Eから位置Dを経由して位置Cまで人手で回転させる。レバー7の回転に伴いカム4も回転し、引っ張りコイルばね13の牽引力でカム4に応動するカムフォロア17は徐々に原点軸3に向かって移動する。したがって、カムフォロア17に連動する4つの位置決めプレート12A、12B、12C、12Dはそれぞれパッケージ101及びリッド102に向かって移動し、やがて図5(c)に示すようにパッケージ101の4側面上端部とリッド102の4辺に当接し、リッド102の位置決めを達成する。
【0032】
前術したリッド102の位置決め動作において、プランジャ18はスリット19が形成された回転プレート6の上面を常時押圧している。しかし、プレート9に形成された4つのスリット19は短い円弧形状であり、カム4に伴って回転するため、レバー7が位置Eから位置Cに至るまでのいずれの角度においても、プランジャ18と係合することはない。プランジャ18がスリット19の端部の横をすり抜けるような動作を呈する。したがって位置決めプレート12A、12B、12C、12Dは、リッド102に向かって滑らかに移動する。
【0033】
図5(c)のようにリッド102が位置決めされた状態の詳細図を図6に示す。図6は、位置決めプレート12A、12Bによるリッド102の左右方向の位置決めの状態を示しているが、リッド102の前後方向の位置決めも、位置決めプレート12A、12Bがそれぞれ12C、12Dに置き換わるだけで、同様の位置関係である。
【0034】
一般にリッド102の外形寸法はパッケージ101の上面の外形寸法より若干小さく作られている。そこで本実施例では、位置決めプレート12A、12B、12C、12Dそれぞれにおいて、リッド102に当接すべき先端の形状を図6の如く傾斜面にして、リッド102の位置がパッケージ101の上面において偏らないようにしている。以上のリッド102の位置決め作業は、図3において、リッドの位置決め治具1の載置されているテーブル51が、セッティングエリアAに停止している状態で行われる。
【0035】
次に作業者はマニュアル溶接機に対して、溶接動作の始動命令を与える。これからの溶接動作は全て所定のプログラムにより自動的に行われる。まず、図3で示すテーブル51が、リッドの位置決め治具1を搭載したまま溶接エリアBに移動する。この時リッド102は4方向から位置決めプレート12A、12B、12C、12Dにより保持された状態にある。しかし、リッド102をパッケージ101にシーム溶接あるいは仮止めするには、溶接を行うべき対向する一対の辺から位置決めプレートを離隔させなければならない。
【0036】
そこで、上方で待機状態にあったローラ電極111A、111Bが所定量下降し、図7(a)の矢印オで示すように間隔を広げる。この動作によりローラ電極111B、111Aの下端部の外側面は、突起15A、15Bに当接し、さらに間隔を広げることにより、図7(b)で示すようにスライドブロック11A、11Bを押し広げ、これらの下面にそれぞれ螺着されたプランジャ18が回転プレート6に形成されたスリット19にそれぞれ係合する。
【0037】
つまりプランジャ18は、スライドブロック11A、11B、11C、11Dがカム4に応動して動作する場合、原点軸3を中心とした半径方向においてスリット19の外側から内側あるいは内側から外側に移動するがスリット19に係合することがなく、レバー7が位置Cにある状態においてスライドブロック11A、11B、11C、11Dを半径方向の外側に移動させたときは、スリット19に係合するものである。なお本実施例では、スリット19は回転プレート6の板厚方向に貫通した円弧状のスリットであるが、これが、回転プレート6の上面に凹設された円弧状の非貫通の溝であっても、同等の作用を奏することは自明である。
【0038】
プランジャ18とスリット19の係合により、ローラ電極111B、111Aが突起15A、15Bから離隔しても、スライドブロック11A、11Bは引っ張りコイルばね13の牽引力に抗して静止状態を維持する。つまり、位置決めプレート12A、12Bがリッド102の左右両辺から離隔し、なおかつ、残りの位置決めプレート12C、12Dがリッド102の前後両辺を保持した状態を維持する。そしてこの間にローラ電極111A、111Bはリッド102の左右両辺をシーム溶接あるいは仮止めスポット溶接後シーム溶接する。
【0039】
リッド102の左右両辺のシーム溶接が完了したのち、テーブル51は、図3の矢印イで示すように、位置決めピン52を中心に90°回転し停止する。その後前述した溶接動作と同様に、残った一対の位置決めプレート12C、12Dをローラ電極111A、111Bの動作でリッド102から各々離隔させ、プランジャ18の作用により静止させる。このときリッド102は既に2辺が溶接済みなので位置ずれの心配がない。
【0040】
かくして残りの2辺をシーム溶接し、封止は完了する。封止完了後、パッケージ101を搭載したテーブル51は90°回転して元の角度に戻り、図3で示す溶接エリアBからセッティングエリアAに移動し、この時点でマニュアル溶接機の自動運転が終了する。封止が完了したパッケージ101は人手により取り出す。図4(a)で示すように、まず、レバー7を位置Eに回転さることにより4つ全てのプランジャ18をスリット19から解放し、その後つまみ15Eを矢印ウの方向に押圧することにより保持プレート12Eをパッケージ101から離隔させてパッケージ101を取り出す。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、従来人手によって行ってきたリッドの位置決め作業を機械的に行うことが可能になり、リッドの位置のばらつきによる溶接品質のばらつき、あるいは封止不良を削減することができる。さらに、本発明によるリッドの位置決め治具は、リッドを位置決めした後もリッドを保持し続けるので、リッドをパッケージ上に載置し位置決めしてから溶接の工程に入るまでの時間におけるリッドの位置ずれの危険性も排除できる。
【0042】
また従来と比較して本発明によれば、微細な位置決め作業をレバーを回動させるという1つの操作で実現できるので、位置決め作業に要する時間を大幅に削減できる。加えて、人手によりリッドを位置決めするというような微細な作業は作業者に神経を使わせ、これを連続して行えば、作業者に多くの疲労が蓄積することは容易に想像できる。このように疲労を伴う作業から作業者を解放して、生産性を高めることにも本発明は寄与する。
【0043】
また、シーム溶接においてパッケージの品種が変更になることは通常考えられることで、特にワークの供給から搬送、溶接、検査までを一貫して自動運転するような自動シーム溶接機に比べて、本発明が対象としているマニュアル溶接機においては、品種変更の頻度が高いことは言うまでもない。そこで、本発明によるリッドの位置決め治具では、パッケージの品種変更に伴うパッケージとリッドの外形寸法変更に対応するため、図1で示すところの位置決めプレート12A、12B、12C、12D、保持プレート12E及び位置決めブロック20がすべて螺設によって構成されており、これらをネジの脱着により交換すれば容易にしかも安価に品種変更に対応できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施形態を示す上面図
【図2】図1におけるX−X断面図
【図3】マニュアルシーム溶接機とリッドの位置決め治具を示す斜視図
【図4】リッドの位置決め治具にパッケージを搭載する状態を示す上面図
【図5】リッドの位置決め治具によりリッドを位置決めする状態を示す上面図
【図6】リッドの位置決め治具がリッドを位置決めした状態の拡大図
【図7】溶接直前のローラ電極の動作と作用を示す縦断面図
【図8】パッケージ封止後の状態の縦断面図
【図9】シーム溶接を示す斜視図
【図10】従来のマニュアルシーム溶接機の動作を示す斜視図
【符号の説明】
1 リッドの位置決め治具
2 ベース
3 原点軸
4 カム
5 ベアリング
6 回転プレート
7 レバー
8A、8B、8C、8D 支柱
9 固定プレート
10A、10B、10C、10D、10E スライドレール
11A、11B、11C、11D、11E スライドブロック
12A、12B、12C、12D 位置決めプレート
12E 保持プレート
13 引っ張りコイルばね
14 引っ張りコイルばね
15A、15B、15C、15D 突起
15E つまみ
16 つまみ
17 カムフォロア
18 プランジャ
19 スリット
20 位置決めブロック
Claims (3)
- 半導体チップを収納したパッケージの開口部に金属製のリッドを載置し、該リッドを該パッケージ開口部縁辺にシーム溶接するパッケージの封止作業において、溶接のためにパッケージの開口部に載置されたリッドを位置決めするリッドの位置決め治具であって、
下面に位置決め穴を有し、溶接機のテーブル上に位置決めして載置されるベースプレートと、
該ベースプレートの上側略中央部にパッケージを位置決めして保持するパッケージ保持手段と、
該パッケージ保持手段に保持されたパッケージの側面上端部に前後左右4方向から当接し、該パッケージ上に載置されたリッドを該パッケージ上面の範囲内に収めるべく設けた、該パッケージとの当接部が水平方向に偏平な板状部材の端面である4つの位置決め手段と、
該4つの位置決め手段を、該パッケージを中心とし前後左右の放射状に一括して摺動可能とするカムによる駆動手段と、
このカムと連動する回転プレートとを有し、
該パッケージに当接した状態の該4つの位置決め手段のうち、任意の対向する位置決め手段を選択的に該パッケージから離隔させたとき、該位置決め手段に設けられたプランジャと該回転プレートに形成された円弧状の凹所との係合で、該位置決め手段を離隔した状態に保持することを特徴とするリッドの位置決め治具。 - 4つの位置決め手段のパッケージとの当接部である水平方向に偏平な板状部材の端面が、下方から上方に至るにしたがってリッド側に突出する傾斜面であることを特徴とする請求項1記載のリッドの位置決め治具。
- 任意の対向する位置決め手段を選択的にパッケージから離隔する手段として溶接機の電極の動作を利用するために、4つの位置決め手段に該電極の下端部が係合するための突起を設けたことを特徴とする請求項1または2記載のリッドの位置決め治具。
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