JP3723229B2 - 外用貼付剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ジスルフィド結合を有する薬効成分の失活を抑制できる外用貼付剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
神経痛、筋肉痛、関節痛、肉体疲労などの、ビタミンB1 不足に起因する諸症状を緩和するため、鎮痛・消炎剤が、注射又は経口投与されている。しかし、注射の場合には苦痛を伴ない、経口投与の場合には、悪心、胸やけ、胃部不快感、下痢などの副作用が現れるなどの問題がある。従って、前記症状を緩和するためには、薬剤を局所的に投与する外用剤が有用である。
【0003】
この外用剤のうち、軟膏、クリーム、ローションなどの製剤は、局所適用には好適であるが、塗布量のばらつき、使用時にカバーを用いて衣服などへの付着を防止する必要があるなど、作業が煩雑である。
【0004】
一方、外用貼付剤は、簡便な操作で疾患部位の皮膚から薬剤を吸収させることができ、前記副作用を緩和させることができる。この外用貼付剤には、一般に、水分を含まないプラスター剤(テープ剤)と、多量の水分を含んだパップ剤とがある。前記プラスター剤は、体の可動部に貼付しても剥離しないように、高い粘着性が付与されている。そのため、プラスター剤の剥離時に、貼付部位の体毛が引張られ、痛みを伴なう場合が多い。そこで、鎮痛・消炎剤を含有する多くの外用貼付剤は、水の冷却効果と薬剤の皮膚浸透性を考慮して、パップ剤の剤型で市販されている。
【0005】
前記パップ剤の基剤を構成している原料(例えば、ゼラチン、デンプン、寒天、カルボキシメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸コポリマーなど)の単独水溶液または混合水溶液中では、特にフルスルチアミンなどのジスルフィド結合を有する薬効成分が、化学反応により、急速に分解し、鎮痛・消炎効果を長期に亘り維持できなくなるなどの問題がある。
【0006】
特開昭54−101420号公報には、A−B−A型テレブロック共重合体と油成分とからなる油性の連続相中に、乳化剤によって水粒子を乳化分散させた含水ゲルを基剤とし、この基剤に外用鎮痛消炎剤などの薬効成分を配合した湿布剤であって、水粒子の含量が全体の5〜70重量%である湿布剤が開示されている。しかしながら、この湿布剤において、薬効成分としてジスルフィド結合を有する薬剤を用いると、前記と同様に薬効成分が失活し、鎮痛・消炎効果を長期に亘り維持できない。また、この湿布剤は、粘着性が経時的に低下し易く、それに伴なって薬効成分の皮膚吸収性も低下し易い。さらに、乳化剤により水粒子を乳化分散させた貼付剤では、吸水性がないため、発汗に伴なって、貼付剤が貼付部位から剥離し易くなる。そして、粘着性が低下し易いことと相まって、薬効成分の皮膚吸収性がさらに低下する。
【0007】
特開昭59−212429号公報には、A−B−Aブロックコポリマー、および軟化剤としての油又は高級脂肪酸からなるベースポリマーと、このベースリマー中に分散され、かつ親水性ポリマー、多価アルコールおよび水からなる親水性ポリマー水溶液と、薬効成分とで構成されたパップ剤が開示されている。しかし、このパップ剤において、ジスルフィド結合を有する薬効成分を用いると、薬効成分が失活し、薬理効果を長期に亘り維持できない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、ジスルフィド結合を有する薬効成分の安定性が高く、高い粘着性及び皮膚吸収性を長期に亘り維持できる外用貼付剤を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、鎮痛・消炎効果を長期に亘り維持できる外用貼付剤を提供することにある。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、吸水性を有し、発汗によっても粘着性の低下を抑制できる外用貼付剤を提供することにある。
【0011】
【発明の構成】
前記目的を達成するため、本発明者は鋭意検討を重ねた結果、特定の成分を含む基剤中では、ジスルフィド結合を有する薬効成分が安定に存在し、前記副作用を伴なうことなく、水の冷却効果と併せて前記症状を著しく緩和できることを見いだし、本発明を完成した。
【0012】
すなわち、本発明は、A−B−A型ブロックコポリマー5〜40重量%、粘着付与剤10〜50重量%、油成分5〜30重量%、親水性高分子0.1〜10重量%、および水10〜30重量%を含む基剤中に、ジスルフィド結合を有する薬効成分が0.01〜10重量%含まれている外用貼付剤であって、前記薬効成分が、フルスルチアミンとその塩類である外用貼付剤を提供する。
【0013】
前記ブロックコポリマーには、例えば、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマーなどが含まれる。基剤は、酸化防止剤を含んでいてもよい。さらに、ジスルフィド結合を有する薬効成分には、活性型ビタミンB1 誘導体とその塩類が含まれている。
【0014】
本発明の基剤に含まれるA−B−A型ブロックコポリマーのAブロックは硬質ポリマー単位であり、Bブロックは軟質ポリマー単位である。Aブロックとしては、芳香族ビニル化合物(例えば、スチレン、メチルスチレンなど)などのビニル系化合物の重合体単位が挙げられ、Bブロックとしては、例えば、ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン化合物の重合体単位が挙げられる。Aブロックの分子量は、例えば、1000〜50×104 程度であり、Bブロックの分子量は、例えば、5000〜20×104 程度である。好ましいブロックコポリマーには、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマーなどが含まれる。特に好ましいブロックコポリマーはスチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマーである。
【0015】
A−B−A型ブロックコポリマーの含有量は、基剤中に5〜40重量%、好ましくは5〜25重量%程度である。ブロックコポリマーの含有量が5重量%未満であると、弾性や凝集力、ひいては保型性が低下し易く、40重量%を越えると、固く、粘着力やタックの劣る膏体となり易い。
【0016】
粘着付与剤としては、通常の粘着剤に使用されている種々の物質が使用できる。粘着付与剤としては、例えば、ロジンや水添ロジン、これらと多価アルコールとのエステル、例えば、エステルガムなどのロジンとその誘導体;合成ポリテルペン樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、脂肪族系炭化水素樹脂、脂環族飽和炭化水素石油樹脂、ジシクロペンタジエン系樹脂などの石油系炭化水素樹脂とその水添樹脂;クマロン−インデン樹脂などのクマロン系樹脂;テルペン−フェノール樹脂、ポリテルペン樹脂などのテルペン系樹脂;フェノール樹脂などが挙げられる。これらの粘着付与剤は、単独で又は混合して使用できる。
【0017】
粘着付与剤の基剤中の含有量は10〜50重量%、好ましくは15〜40重量%程度である。粘着付与剤の含有量が10重量%未満では、粘着力が低下し、50重量%を越えると、膏体が固く粘着性が低下し易い。
【0018】
油成分としては、例えば、液状ポリブタジエン、液状ポリブテン、液状ポリイソプレン、液状ポリイソブチレン、解重合ゴムなどの液状ゴム;パラフィン系、ナフテン系オイルなどのオイル;パラフィンワックス、カルナバワックス、マイクロクリスタリンワックス、蜜ロウ、ポリエチレンなどのワックス類などが挙げられる。
【0019】
油成分の基剤中の含有量は、5〜30重量%、好ましくは5〜25重量%程度である。油成分の含有量が5重量%未満では、粘着力が小さく、30重量%を越えると、凝集力が低下したり、貼付時に、肌に膏体が残存してベタつきの原因となり易い。
【0020】
本発明に用いられる親水性高分子には、水溶性高分子及び水膨潤性高分子(高吸水性高分子)が含まれる。親水性高分子としては、例えば、ゼラチン、マンナン、ガム類、デンプン誘導体(例えば、デンプンにアクリレートがグラフト化した共重合体など)、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリアクリル酸塩、アルギン酸塩、アクリル系ポリマーなどの水溶性高分子;それらの共重合物からなる水膨潤性高分子が挙げられる。好ましい高分子としては、ポリビニルアルコール、デンプン誘導体、ポリエチレンオキシド、ガム類又はそれらの共重合物が挙げられる。水膨潤性高分子は、多量の水を吸収して膨潤する。水膨潤性高分子としては、自重の5〜2000倍程度の水を吸収する高分子が使用できる。特に好ましい高分子は、水溶性高分子、なかでもポリビニルアルコールを含んでいる。水溶性高分子と水膨潤性高分子は単独で使用してもよく併用してもよい。
【0021】
親水性高分子を用いることにより、界面活性剤により水を乳化分散することなく、水を保持した状態で分散させることができる。従って、発汗による粘着性の低下および貼付部位からの剥離を防止でき、薬効成分の皮膚吸収性を高めることができる。
【0022】
これらの高分子の種類および量は、薬効成分の安定性を考慮して選択される。親水性高分子の含有量は、例えば、0.1〜10重量%である。0.1重量%未満であると保水性が低下し、10重量%を越えると膏体が固くなり易い。
【0023】
基剤中の水の含有量は、1〜40重量%、好ましくは5〜35重量%、さらに好ましくは10〜30重量%程度である。水の含有量が1重量%未満である場合には、水による冷却効果や、薬物放出性が低下し易く、40重量%を越えると、膏体の粘着性が低下しやすい。
【0024】
前記基剤は、基剤及び薬効成分の安定性を高めるため、酸化防止剤を含んでいてもよい。酸化防止剤は、基剤の劣化及び経時変化を防止しうるものであればいずれも使用でき、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)などのアルキルフェノール系化合物、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)などのアルキレンビスフェノール系化合物、ジラウリルチオジプロピオネートなどのチオプロピオン酸エステル系化合物、ノニルフェニルホスファイトなどのリン系化合物、N−フェニルナフチルアミンなどのアミン系化合物などが含まれる。
【0025】
酸化防止剤の含有量は、基剤や膏体の変色、粘着物性の経時変化を防止できる範囲、例えば、0.01〜2重量%程度である。
【0026】
さらに、基剤は、前記成分以外に、慣用の成分、例えば、経皮吸収促進剤、油脂類、流動パラフィン、ラノリン、着色料、金属封鎖剤、pH調整剤、安定剤、防腐剤、酸化チタン、カオリン、ベントナイトなどの賦形剤などを含んでいてもよい。
【0027】
このような成分からなる基剤は、含水ホットメルト型粘着剤のように挙動し、水の冷却効果と薬効成分の安定性を併せ持つ。従って、前記基剤や、薬効成分を含有する膏体の粘着性、ひいては薬効成分の高い皮膚吸収性を長期に亘り維持できる。
【0028】
本発明の外用貼付剤は、基剤中にジスルフィド結合を有する薬効成分を含んでいる。上記薬効成分は、分子中にジスルフィド結合を有していればよく、消炎・鎮痛作用剤が好ましい。好ましい薬効成分は、活性型ビタミンB1 誘導体とその塩類、例えば、チアミン プロピル ジスルフィド(TPD)、チアミン テトラヒドロフルフリル ジスルフィド(フルスルチアミン、TTFD)、チアミン6−メトキシカルボニル−1−アセチルチオペンチル ジスルフィド(TATD)などの活性型ビタミンB1 誘導体とその塩類、特にTTFDとその塩類である。TTFDの塩酸塩は、下記構造式で表わされる。
【0029】
【化1】
Figure 0003723229
前記活性型ビタミンB1 誘導体の塩としては、例えば、前記塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などの無機酸塩;フッ化水素酸塩、臭化水素酸塩などのハロゲン化水素酸塩;メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩などの低級アルキルスルホン酸塩;ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩などのアリールスルホン酸塩;フマル酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩などの有機酸塩などが挙げられる。
【0030】
前記活性型ビタミンB1 誘導体およびその塩類は、神経痛、筋肉痛、関節痛、肉体疲労などの、ビタミンB1 不足に起因する諸症状を緩和する。このような薬効成分は、注射剤、錠剤に製剤化され、注射又は経口投与されているものの、高い皮膚吸収性を有することは知られていない。また、通常の基剤中では、失活し易いため、このような薬効成分を基剤中に含む外用貼付剤も知られていない。
【0031】
本発明の基剤中に前記薬効成分を含有させると、薬効成分の高い安定性、ひいては高い鎮痛・消炎効果を長期に亘り維持できる。薬効成分は、単独または混合して使用できる。
【0032】
薬効成分の含有量は、特に限定されないが、通常、0.01重量%〜10重量%程度である。
【0033】
本発明の外用貼付剤は、基剤中に、通常パップ剤に使用される他の薬効成分、例えば、l−メントール、dl−カンフル、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、ノニル酸ワニリルアミド、オウバク末、トウガラシエキス、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、グリチルリチン酸アンモニウム、ビタミンEなどの薬効成分を含んでいてもよい。これらの薬効成分の含有量は、特に限定されないが、通常、0.01重量%〜10重量%程度である。
【0034】
外用貼付剤は、慣用の方法に従って調製できる。外用貼付剤は、例えば、前記A−B−A型ブロックコポリマー、粘着付与剤、油成分などを加熱下、好ましくは120〜180℃程度の加熱下で溶融混合した後、溶融混合物の温度を下げ、親水性高分子、水および薬効成分を添加して混合分散することにより調製できる。水は、高分子水溶液又は含水吸水性高分子として添加するのが好ましい。薬効成分は、通常、親水性高分子、水と共に添加してもよく、親水性高分子および水を添加した後、添加してもよい。なお、酸化防止剤、油性の添加剤及び油性の他の薬効成分は、通常、ブロックコポリマーなどと共に加熱下で溶融混合してもよく、必要に応じて温度を下げた溶融混合物に添加してもよい。
【0035】
溶融混合には、バンバリーミキサー、ニーダー等の混合機が使用できる。冷却した溶融混合物に、親水性高分子、水、薬効成分などを混合分散する場合には、ミキサー、コロイドミル、乳化機、超音波乳化機などの高速撹拌可能な撹拌混合機を用いるのが好ましい。高速撹拌による混合分散は、例えば、温度50〜100℃、好ましくは75〜90℃程度、回転数1000〜30000rpm 、好ましくは1200〜5000rpm 程度の条件で行なうことができる。
【0036】
このようにして調製された外用貼付剤は、そのまま鎮痛・消炎剤として使用することも可能であるが、通常、薬効成分を含む基剤を、可撓性を有するシート状基材、例えば、合成樹脂フィルムやシート、織布、不織布などに塗布し、基剤から剥離可能なフィルム、例えば合成樹脂フィルムでカバーされる。前記基材は、薬効成分を含む基剤が塗布される多孔質層と、バッキング層とで構成されていてもよい。好ましい基材は、多孔質層を含んでいる。好ましい外用貼付剤は、基材と、この基材上に形成された、ジスルフィド結合を有する薬効成分を含む基剤層と、この基剤層から剥離可能であり、かつ基剤層をカバーする剥離可能なフィルムとで構成されている。
【0037】
本発明の外用貼付剤は、筋肉疲労、筋肉痛、神経痛又は関節痛治療用に好適に使用される。
【0038】
本発明は、基剤中のジスルフィド結合を有する薬効成分の安定化方法も開示する。この安定化方法においては、前記より明らかなように、前記基剤の成分とジスルフィド結合を有する薬効成分とが混合される。
【0039】
【発明の効果】
本発明の外用貼付剤は、ジスルフィド結合を有する薬効成分の安定性が高く、高い粘着性及び皮膚吸収性を長期に亘り維持できる。
【0040】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、%とあるのは、重量%を示す。
【0041】
Figure 0003723229
上記基剤成分のうち、A−B−A型ブロックコポリマー、粘着付与剤、液状ゴム、酸化防止剤、および流動パラフィンを、約150℃に加熱したニーダー中で溶融混合撹拌した。溶融混合物の温度を約90℃に下げ、サリチル酸グリコール、l−メントール、およびビタミンEを添加した。次いで、TTFD、水溶性高分子、および金属封鎖剤を水に溶解し、得られた水溶液を約70℃に加温し、先のニーダー内に入れ、高速にて撹拌して混合分散させた。
【0042】
TTFDを含有する膏体を、温時不織布上に約500g/m2 になるように塗布して、シリコン処理したポリエチレンテレフタレート製フィルムライナーと貼り合わせた後、所定の大きさに裁断して貼付剤を得た。
【0043】
Figure 0003723229
上記成分を用い、実施例1と同様にして貼付剤を得た。
【0044】
Figure 0003723229
上記成分を用い、実施例1と同様にして貼付剤を得た。
【0045】
比較例
カルボキシメチルセルロース 3.0%
カルボキシビニルポリマー 8.0%
実施例1の水溶性高分子 2.0%
70%ソルビトール 20.0%
グリセリン 30.0%
ポリアクリル酸 5.0%
TTFD・塩酸塩 1.0%
サリチル酸グリコール 1.0%
l−メントール 0.5%
水酸化アルミニウム 0.1%
水 29.4%
上記成分を用いて、常法により膏体を調製し、実施例1と同様に不織布上に500g/m2 の割合で塗工した後、所定の大きさに裁断して貼付剤を得た。
【0046】
前記実施例1〜3、および比較例で得られた貼付剤を、ポリエチレン/アルミ構成の袋に入れ、40℃に保存し、時間の経過に伴なうTTFDの残存量を高速液体クロマトグラフィーにより測定し、TTFDの安定性を調べた。結果を図1に示す。
【0047】
図1より、実施例1〜3の貼付剤は、比較例の貼付剤と比較して、TTFDの経時安定性が高い。
【0048】
実験例
遅発性筋痛を来し易い運動負荷を定量的に与える運動機能評価装置(川崎重工業(株)製、Myoret RZ-450 )により、健康な成人6人の大腿伸筋群(大腿四頭筋)に、遠心性収縮運動を800回負荷した。運動負荷の直後、12時間、24時間および36時間経過後に、それぞれ、患部に、実施例1と比較例で得られた貼付剤二枚(1枚:10cm×14cm)を10時間貼付した。貼付部位は、足の膝関節から15cm上の部位である。なお、貼付剤を貼付しない場合を対照とした。
【0049】
1.5Tの1 H−MRI(Magnetic Resonance Imaging) /S装置(Gyroscan S15、Philips 社製)を用い、運動前及び運動後に1 H−MRI測定を行ない、SE、IR、縦緩和時間T1 、横緩和時間T2 の計算画像を得た。
【0050】
データ解析において、運動負荷は仕事量(ワットおよびジュール)として定量し、1 H−MRI測定による運動前後の画像の変化を、ROI(関心領域)に領域設定し画像の変化から緩和時間T1 、T2 を測定した。なお、関心領域は、貼付部位の横断面において一方の側部の関心領域(ROI1)、この側部と対向する他方の側部の関心領域(ROI3)、およびこれらの側部間に位置する関心領域(ROI2)とした。
【0051】
筋疲労及び筋痛の緩和の適切な指標となる緩和時間T2 (平均値)の経時変化を図2乃至図4に示す。なお、図2は対照の結果を示すグラフであり、図3は比較例の貼付剤の結果を示すグラフであり、図4は実施例1の貼付剤の結果を示すグラフである。緩和時間T2 は、核スピン系がラジオ波で得たエネルギーを放散して元に戻るまでの時間である。
【0052】
運動負荷のみを与え貼付剤を貼付しない場合には、図2に示されるように、運動負荷を与えた後、24〜72時間に緩和時間の極大値が現われ、以降、緩和時間が漸次減少した。これに対して、比較例及び実施例1の貼付剤を貼付すると、図3及び図4に示されるように、筋疲労、筋痛の回復が早い。特に、TTFDを含む実施例1の貼付剤は、比較例の貼付剤よりも筋疲労、筋痛の回復が早い。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例および比較例における結果を示すグラフである。
【図2】図2は実験例における対照の結果を示すグラフである。
【図3】図3は実験例における比較例の貼付剤の結果を示すグラフである。
【図4】図4は実験例における実施例1の貼付剤の結果を示すグラフである。

Claims (4)

  1. A−B−A型ブロックコポリマー5〜40重量%、粘着付与剤10〜50重量%、油成分5〜30重量%、親水性高分子0.1〜10重量%、および水10〜30重量%を含む基剤中に、ジスルフィド結合を有する薬効成分が0.01〜10重量%含まれている外用貼付剤であって、前記薬効成分が、フルスルチアミンとその塩類である外用貼付剤。
  2. 基剤が酸化防止剤を含む請求項1記載の外用貼付剤。
  3. A−B−A型ブロックコポリマーが、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマーである請求項1記載の外用貼付剤。
  4. 筋肉疲労、筋肉痛、神経痛又は関節痛治療用である請求項1記載の外用貼付剤。
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