JP2004083462A - 外用貼付剤及び外用貼付剤中の薬物のエステル化抑制方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】支持体に膏体層を設けてなる外用貼付剤において、該膏体層を形成する膏体組成物が、下記式(I)で表される化合物、分子内にカルボン酸基を有する非ステロイド系消炎鎮痛薬、l−メントール及び非水性基剤を含有し、かつ式(I)で表される化合物を膏体組成物全体に対して2質量%以上含有することを特徴とする外用貼付剤。
【化1】
R−O−(C2H4O)n−R’ …… (I)
(式中、R及びR’は、水素原子、アルキル基またはアルキルカルボニル基を示し、nは1〜600の数を示す)
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は外用貼付剤及び外用貼付剤中の薬物のエステル化抑制方法に関する。さらに詳しくは、外用貼付剤の粘着性や使用感等を良好に保ちつつ皮膚障害を抑制するとともに、膏体組成物中のカルボン酸型非ステロイド消炎鎮痛薬とl−メントールのエステル化を抑制する外用貼付剤及び外用貼付剤中の薬物のエステル化抑制方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
外用貼付剤は、経口剤を服用した場合に問題となる薬物の副作用の発現や生物学的利用率の低下等がなく、かつ薬物を持続的に投与できる点で、非常に優れた投与形態の一つである。近年では、種々の消炎鎮痛薬を含有した外用貼付剤が、打撲、捻挫、筋肉疲労から起こる痛み、肩こりに伴う痛み、腰痛及び関節痛などの治療剤として開発され、市販されている。
【0003】
しかしながら、外用貼付剤を投与することにより、皮膚呼吸の妨害やむれ、角質層剥離を引き起こすことがあり、また膏体成分自体の影響から、投与部位においてこれらの皮膚刺激等を原因とした皮膚障害、例えば、皮膚の紅斑、浮腫あるいは掻痒などが発生することがあった。さらに、外用貼付剤を同一部位に長時間連続して貼付した場合には、皮膚障害の発生頻度やその程度が重くなることがしばしば問題になっていた。
【0004】
これらの皮膚障害の中で、皮膚呼吸の妨害やむれを原因とした皮膚障害については、例えば、外用貼付剤の膏体層の通気性を向上させることにより、その発生頻度及び程度を抑制する手段が多数報告されている(特公昭51−10854号公報、特公昭62−14197号公報及び特公昭51−33811号公報等)。また、累積角質層剥離量の増加を原因とした皮膚障害の改善方法としては、ポリオレフィン系樹脂等を含有する樹脂組成物から形成された微多孔性フィルム支持体を用いる方法(特開2000−169609号公報)、あるいは粘着剤に流動パラフィンや脂肪酸エステル等のオイル状の成分を多量に加える方法(特開昭54−138124号公報、特開55−35633号公報、特開昭56−39014号公報及び特開平5−17346号公報)等の技術が報告されている。
【0005】
また、膏体成分が主原因となる皮膚障害に対する検討も進められていた。例えば、特開平2−96514号公報には、薬物の代謝を調節しうる代謝調節剤を含み、薬物の代謝物による感作または刺激の調節、軽減または除去に関する技術が、さらに、特開平2−115131号公報には、薬物と浸透促進剤を含有する組成物における、皮膚障害を抑制する技術が開示されている。
【0006】
しかし、上記方法は薬物の代謝物あるいは浸透促進剤が原因である皮膚障害などを低減させるには有効な技術であるが、それら以外の原因、例えば薬物自体が引き起こす可能性がある皮膚障害に対しての有効性が示されているものではなかった。
【0007】
一方、特開平10−182427号等には、インドール酢酸系の非ステロイド系消炎鎮痛薬であるインドメタシンを含有する外用剤で発生する皮膚障害を低減させるための技術が開示されていたが、この報告は、含水性基剤を使用した製剤に関する皮膚障害抑制技術が開示されるに留まっており、水を含まない非水性基剤を使用する製剤に対する有効性については明らかにされていなかった。また、インドメタシンに代表される非ステロイド系消炎鎮痛薬は、一般的に水に難溶性なため、含水性基剤中での含有量には限度があり、また水分の蒸発とともに結晶が析出し、薬物の経皮吸収性や薬理効果が低下するなどの欠点があるため、非水性基剤を用いた外用貼付剤の開発が行われている。
【0008】
このような非水性基剤を用いた外用貼付剤での皮膚障害抑制技術としては、インドメタシン及びl−メントールを含有する外用貼付剤に、皮膚刺激低減化剤として分子量500〜20000のポリオキシアルキレングリコール等を含有させ、皮膚刺激低減化剤が粘着剤中で連続相を形成して一定量含有される消炎鎮痛貼付剤が報告されていた(特開平6−256183号公報)。しかし、この報告も、外用貼付剤を一定時間以上連続貼付したときに引き起こされる、粘着剤が原因の刺激を低減するものであり、インドメタシンに代表されるカルボン酸型非ステロイド消炎鎮痛薬に由来する独特の皮膚障害を低減させる効果やその有効性については開示されていないものであった。
【0009】
一方、外用貼付剤の膏体組成物中には、溶解剤、薬効成分または清涼剤としてl−メントールが配合されることが多いのであるが、これがインドメタシンに代表されるカルボン酸型非ステロイド消炎鎮痛薬とともに使用した場合にあっては、両者のエステル化反応により、l−メントールのエステル体が生成してしまい、主薬であるカルボン酸型非ステロイド消炎鎮痛薬の含有量が減少してしまう場合があるという別の問題があった。従って、これらを併用する際には、薬物のエステル化を抑制する技術が必要であった。
【0010】
【本発明が解決しようとする課題】
本発明は、非水性基剤を用いた外用貼付剤において、薬物に起因する皮膚障害及びカルボン酸型非ステロイド消炎鎮痛薬とl−メントールとのエステル化を、外用貼付剤の粘着性や使用感等を良好に保ちつつ、しかも簡単な手段で有効に抑制する技術の提供をその課題とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、カルボン酸型非ステロイド消炎鎮痛薬とl−メントールを含む外用貼付剤の膏体組成物に対して特定の化合物を配合させることにより、非ステロイド消炎鎮痛薬に起因する皮膚障害及びカルボン酸型非ステロイド消炎鎮痛薬とl−メントールのエステル化を抑制する効果があることを見出した。
【0012】
すなわち本発明は、支持体に膏体層を設けてなる外用貼付剤において、該膏体層を形成する膏体組成物が、下記式(I)で表される化合物、分子内にカルボン酸基を有する非ステロイド系消炎鎮痛薬、l−メントール及び非水性基剤を含有し、かつ式(I)で表される化合物を膏体組成物全体に対して2質量%以上含有することを特徴とする外用貼付剤を提供するものである。
【0013】
【化3】
R−O−(C2H4O)n−R’ ……(I)
(式中、R及びR’は、水素原子、アルキル基またはアルキルカルボニル基を示し、nは1〜600の数を示す)
【0014】
また、本発明は、分子内にカルボン酸基を有する非ステロイド系消炎鎮痛薬及びl−メントールを含有する外用貼付剤に、上記式(I)で表される化合物を含有させることを特徴とする外用貼付剤中の薬物のエステル化抑制方法を提供するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の外用貼付剤は、非水性基剤、カルボン酸型非ステロイド消炎鎮痛薬及びl−メントールに加え、特定の化合物を膏体層全体に対して特定量含有させて膏体組成物として、該組成物を支持体上に塗布・展延して構成されるものである。
【0016】
本発明の外用貼付剤において、膏体組成物中に含有される下記(I)式で表される化合物は、薬効成分に起因する皮膚障害を抑制する作用及びカルボン酸型非ステロイド消炎鎮痛薬とl−メントールのエステル化を抑制する作用を併せ持つものである。
【0017】
【化4】
R−O−(C2H4O)n−R’ ……(I)
(式中、R及びR’は、水素原子、アルキル基またはアルキルカルボニル基を示し、nは1〜600の数を示す)
【0018】
この式(I)において、RまたはR’のアルキル基としては、メチル、エチル、ドデシル、オクタデシル、トリアコンタニル等の炭素数1から30のアルキル基が挙げられ、また、アルキルカルボニル基としては、炭素数1から30のアルキル基を有するアルキルカルボニル基が挙げられる。また、エチレンオキシ基の付加モル数nとしては、1から600が好ましい。
【0019】
上記式(I)で表される化合物の具体例としては、例えばポリエチレングリコール、あるいはポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、あるいはモノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、ジオレイン酸ポリエチレングリコール、ジイソステアリン酸ポリエチレングリコール等のポリエチレングリコール脂肪酸エステルなどが挙げられ、これらの1種を単独で、または2種以上を使用することができる。
【0020】
これらの化合物のうち、例えば、ポリエチレングリコールとしては、マクロゴール200、同300、同400、同600、同1000、同1500、同1540、同2000、同4000、同6000、同20000(いずれも三洋化成工業(株)製)等の商品名で市販されているものを使用することができる。同様に、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしてはBL−2、BL−21、BL−25、BC−2、BC−7、BC−23、BS−2、BS−4、BS−20、BO−2、BO−7、BO−20、BB−5、BB−10、BB−20(何れも日光ケミカルズ(株)製;以下同じ)等の商品名で、ポリエチレングリコール脂肪酸エステルとしてはMYL−10、MYS−2、MYS−25、MYS−40、MYS−55、MYO−2、MYO−6、MYO−10、CDS−400、CDO−600等の商品名でそれぞれ市販されているので、これらを使用することができる。
【0021】
本発明の外用貼付剤においては、上記式(I)で表される化合物のうち、平均分子量が4000から20000のポリエチレングリコールや、あるいはポリオキシエチレンステアリルエーテル、モノステアリン酸ポリエチレングリコールを用いれば、薬効成分に起因する皮膚障害の抑制する作用及びカルボン酸型非ステロイド消炎鎮痛薬とl−メントールのエステル化を抑制する作用を最大限に発揮することができるので好ましい。
【0022】
本発明の外用貼付剤において、上記化合物(I)の含有量は、膏体組成物に対して2質量%(以下、単に「%」とする)以上とする必要があり、2〜6%とすることが好ましく、3〜5%であることが更に好ましい。化合物(I)の含有量が上記の範囲であれば、膏体組成物の粘着性を低下させることなく、良好な貼付性や使用感等を保ちつつ、十分な皮膚障害抑制効果及びエステル化抑制効果を発揮することができるので好ましい。一方、化合物(I)の含有量が2%より少ないと十分な皮膚障害抑制効果やエステル化抑制効果が得られない場合がある。また、含有量が6%を超えた場合には、十分な皮膚障害抑制効果及びエステル化抑制効果を発揮することができるものの、外用貼付剤の貼付性に悪影響を及ぼす場合がある。
【0023】
一方、本発明の外用貼付剤の膏体組成物中に含有される、分子内にカルボン酸基を有する非ステロイド系消炎鎮痛薬は、皮膚から吸収され、主薬として消炎作用ないしは鎮痛作用を奏する薬効成分である。
【0024】
この消炎鎮痛薬の具体的な例としては、アセメタシン、インドメタシン、エトドラク、スリンダク等のインドール酢酸系消炎鎮痛薬、サリチル酸、ジフルニサル等のサリチル酸系消炎鎮痛薬、フルフェナム酸、メフェナム酸等のフェナム酸系消炎鎮痛薬、アルクロフェナク、ジクロフェナク、フェンブフェン、フェルビナク等のフェニル酢酸系消炎鎮痛薬、イブプロフェン、オキサプロジン、ケトプロフェン、ザルトプロフェン、スプロフェン、チアプロフェン、プラノプロフェン、フルルビプロフェン、ロキソプロフェン等のプロピオン酸系消炎鎮痛薬が挙げられる。この中で、インドール酢酸系消炎鎮痛薬、特にインドメタシンを用いた場合に生ずる皮膚障害の低減において、本発明の効果は顕著であることから、インドメタシンを使用することが好ましい。
【0025】
上記カルボン酸型非ステロイド消炎鎮痛薬の膏体組成物中での含有量は、カルボン酸型非ステロイド消炎鎮痛薬の種類に応じて、安全性と薬物の効力を勘案して適宜決定することができるが、一般には、膏体組成物全体に対して、好ましくは0.01〜20%、更に好ましくは0.05〜10%含有させることができる。本発明においては、例えば、該消炎鎮痛薬としてインドール酢酸系消炎鎮痛薬であるインドメタシンを使用した場合は、その含有量は、膏体組成物全体に対し0.05〜10%程度であればよく、0.1〜8%であることが好ましい。
【0026】
また、本発明の外用貼付剤に含有されるl−メントールは、上記カルボン酸型非ステロイド消炎鎮痛薬の溶解剤、薬効成分または清涼剤として用いられている成分である。このl−メントールは、膏体組成物全体に対し、0.1〜25%程度、好ましくは0.5〜15%程度、更に好ましくは1.0〜12%含有させることができる。なお、本発明においては、l−メントールに代えて、l−メントールを主成分とするハッカ油等を使用してもよい。
【0027】
更に、本発明の外用貼付剤において膏体組成物中に含有される非水性基剤は、実質的に水を使用することなく粘着性を有する外用貼付剤用の基剤である。このような基剤としては、種々のものが知られているが、物性及び品質等のコントロール、すなわち製剤設計が容易であるなどの点で、ゴム系粘着剤を主成分とし、これに適当な添加剤を加えたものを用いることが好ましい。このゴム系粘着剤のエラストマーとしては、例えば、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン・ブタジエンゴム、ポリイソブチレン、ブチルゴム、天然ゴム及びイソプレンゴム等のエラストマーが挙げられる。これらの1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0028】
また、このゴム系粘着剤中に加えることができる添加剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤、流動パラフィン、ポリブテン等の軟化剤、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油樹脂等の粘着付与剤等公知の成分を挙げることができ、これらの1種を単独で、または2種以上で使用することができる。
【0029】
なお、本発明の外用貼付剤においては、上記した以外の薬物を佐薬として含有させることができる。この佐薬としては、例えば、カンファー、チモール、酢酸トコフェロール、グリチルレチン酸、ノニル酸ワニリルアミド、トウガラシエキス等が挙げられる。
【0030】
また膏体組成物中に上記の各成分の他、例えば、オリーブ油、スクワレン、ラノリン等の油脂類、尿素、アラントイン等の尿素誘導体、ジメチルデシルスルホキシド、メチルオクチルスルホキシド、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルラウリルアミド、N−メチルピロリドン、ドデシルピロリドン、イソソルビトール、エトキシイソステアリルアルコール等の極性溶剤、ジイソプロピルアジペート、フタル酸エステル、セバシン酸ジエチル等の可塑剤、その他にクロタミトン、サリチル酸、アミノ酸、ニコチン酸ベンジルエステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチン酸イソプロピル、ラウリル酸エチル、ジイソプロパノールアミン、グリセリルエステル、1−ドデシル−アザシクロペンタン−2−オン等の溶解剤ないしは吸収促進剤等の1種または2種以上を、必要に応じて適宜含有させることができる。
【0031】
本発明の外用貼付剤の製造は、上記した膏体組成物を適当な塗工方法で剥離フィルムや剥離紙等に塗布・展延して膏体層を設け、該膏体層に支持体を貼り合わせることにより実施することができる。また、別の方法としては、膏体組成物を適当な塗工方法で支持体に塗布・展延して膏体層を設け、該膏体層に剥離フィルムや剥離紙等を貼り合わせる方法も挙げられる。
【0032】
本発明の外用貼付剤において、膏体組成物を塗布・展延する支持体としては、薬物の放出に影響を及ぼさないものが好ましく使用され、伸縮性及び非伸縮性のいずれのものであっても良い。具体的な支持体の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリウレタン等の合成樹脂のフィルムまたはシートあるいはこれらの積層体、多孔質体、発泡体等や、例えば綿、スフ、ナイロン、レーヨン、セルロース、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン等の繊維で構成される織布もしくは不織布または紙等が挙げられる。
【0033】
また、膏体層を被覆、保護するために、貼付面に設けることのできる剥離フィルムないし剥離紙としては、具体的に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の高分子材料で作られたフィルムや、紙の上にシリコーンオイル等を塗工したものが挙げられる。
【0034】
次に、より具体的に本発明の外用貼付剤の製造方法の一例を、カルボン酸型非ステロイド消炎鎮痛薬としてインドメタシン、ゴム系粘着剤としてスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体系粘着剤、および皮膚障害抑制剤及びカルボン酸型非ステロイド消炎鎮痛薬とl−メントールのエステル化抑制剤として作用する式(I)で表される化合物としてモノステアリン酸ポリエチレングリコールを用いる場合を例に取り説明すれば次の通りである。
【0035】
まず、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、軟化剤、粘着付与剤等を、適宜所定の割合で加熱混合する。次にカルボン酸型非ステロイド消炎鎮痛薬であるインドメタシン、l−メントール及びモノステアリン酸ポリエチレングリコールを加えて、均一な融解物を得る。
【0036】
次に、この融解物を、ドクターナイフ、ダイコーター等の塗工機を用いて剥離フィルムや剥離紙に塗布・展延し、その上に不織布等の支持体を貼り合わせる。最後に、必要な大きさにこれを裁断することにより、本発明の外用貼付剤を得ることができる。
【0037】
なお、以上述べた製造方法により、本発明の外用貼付剤が得られるのであるが、本発明の外用貼付剤の製造方法が上記に限られるものでないことはいうまでもない。
【0038】
かくして得られた本発明の外用貼付剤は、通常患部皮膚に、1日あたり1〜2枚を貼付することが好ましい。このようにすることにより、患部の治療を行うことができる。すなわち、例えば、腰痛、打撲、捻挫、肩こり、関節痛、筋肉痛、筋肉疲労、しもやけ、骨折痛、変形性関節症、肩関節周囲炎、腱・腱鞘炎、腱周囲炎、上腕骨上顆炎、慢性関節リウマチ、神経痛、外傷後の腫脹・疼痛などの疾患並びに症状の鎮痛・消炎治療を行うことが可能となる。
【0039】
【作用】
従来より、ポリエチレングリコール等のポリマー化合物は、薬物の溶解性や吸収促進性を向上させるための基剤成分あるいは配合剤として使用されていた(特開昭61−22011号公報及び特開平4−77425号公報等)。しかしながらポリエチレングリコールを外用剤として使用する場合、ポリエチレングリコール自体による皮膚刺激という安全面からの問題(特開平5−331049号公報)やポリエチレングリコールを含有させることによる外用貼付剤の粘着力の低下や使用感の悪化などの問題があることが報告されていた(特開平6−256183号公報)。
【0040】
しかしながら、本発明者らは、上記の問題が含水性基剤特有のものであり、非水性基剤中ではポリエチレングリコール自体での皮膚刺激等の問題は生じず、多くは貼付剤に配合したカルボン酸型非ステロイド消炎鎮痛薬の皮膚刺激によることを知った。そして、本発明においては、式(I)で表される化合物を非水性基剤中に含有させれば、外用貼付剤の粘着性や使用感等に悪影響を及ぼすことなく、上記薬剤による皮膚障害の抑制が可能であることを見出した。また、上記化合物(I)はカルボン酸型非ステロイド消炎鎮痛薬とl−メントールのエステル化を抑制する作用を有するという新たな知見を得た。本発明はこのような知見により完成されたものである。
【0041】
特に、膏体層中に化合物(I)を配合することにより、カルボン酸型非ステロイド消炎鎮痛薬とl−メントールのエステル化を防ぎ、カルボン酸型非ステロイド消炎鎮痛薬の含有量を高く維持することは、主薬である消炎鎮痛剤の放出性、経皮吸収性、薬理活性を高レベルに維持し、さらには使用上における治療効果、安全性に優れた外用貼付剤を提供するために、医薬産業上で極めて重要なことである。
【0042】
【実施例】
以下、実施例及び試験例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等になんら制約されるものではない。なお、実施例中、「部」とあるのはすべて重量部を意味する。
【0043】
実 施 例 1
外用貼付剤の調製(1):
以下の処方及び製法により、外用貼付剤(本発明品1)を得た。
【0044】
( 処 方 )
インドメタシン 0.5部
ポリエチレングリコール300 6.0部
(商品名 マクロゴール300)
l−メントール 2.0部
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 25.0部
(商品名 クレイトンD−1107)
ポリイソブチレン(エクソン化学製) 5.0部
流動パラフィン 30.5部
脂環族飽和炭化水素樹脂 30.0部
(商品名 アルコンP−100)
ジブチルヒドロキシトルエン 1.0部
【0045】
( 製 法 )
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体以下ジブチルヒドロキシトルエンまでのゴム系粘着剤成分を加熱混合し、次に残りの各成分を加え、均一な融解物を得た。得られた融解物を、ドクターナイフ塗工機を用いて剥離フィルム(ポリエステル)に、膏体重量が100g/m2になるように塗工後、塗工面に支持体(不織布)を貼り合わせ、70mm×100mmの大きさに裁断して、外用貼付剤を得た。
【0046】
実 施 例 2
外用貼付剤の調製(2):
以下の処方及び製法により、外用貼付剤(本発明品2)を得た。
【0047】
( 処 方 )
インドメタシン 0.5部
ポリエチレングリコール4000 4.0部
(商品名 マクロゴール4000)
l−メントール 3.0部
酢酸トコフェロール 1.0部
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 25.0部
(商品名 クレイトンD−1107)
ポリイソブチレン(エクソン化学製) 5.0部
流動パラフィン 30.5部
脂環族飽和炭化水素樹脂 30.0部
(商品名 アルコンP−100)
ジブチルヒドロキシトルエン 1.0部
【0048】
( 製 法 )
実施例1と同様の製法により外用貼付剤とした。
【0049】
実 施 例 3
外用貼付剤の調製(3):
以下の処方及び製法により、外用貼付剤(本発明品3)を得た。
【0050】
( 処 方 )
インドメタシン 1.0部
ポリオキシエチレンステアリルエーテル 2.0部
(商品名 BS−20)
l−メントール 3.0部
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 25.0部
(商品名 クレイトンD−1107)
流動パラフィン 48.0部
テルペンレジン 20.0部
(商品名 クリアロンP−105)
ジブチルヒドロキシトルエン 1.0部
【0051】
( 製 法 )
実施例1と同様の製法により外用貼付剤とした。
【0052】
実 施 例 4
外用貼付剤の調製(4):
以下の処方及び製法により、外用貼付剤(本発明品4)を得た。
【0053】
( 処 方 )
インドメタシン 5.0部
モノステアリン酸ポリエチレングリコール 6.0部
(商品名 MYS−40)
l−メントール 3.0部
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 25.0部
(商品名 クレイトンD−1107)
ポリイソブチレン(エクソン化学製) 5.0部
流動パラフィン 25.0部
脂環族飽和炭化水素樹脂 30.0部
(商品名 アルコンP−100)
ジブチルヒドロキシトルエン 1.0部
【0054】
( 製 法 )
実施例1と同様の製法により外用貼付剤とした。
【0055】
実 施 例 5
外用貼付剤の調製(5):
以下の処方及び製法により、外用貼付剤(本発明品5)を得た。
【0056】
( 処 方 )
インドメタシン 1.5部
ポリエチレングリコール300 4.0部
(商品名 マクロゴール300)
l−メントール 2.0部
酢酸トコフェロール 2.0部
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 25.0部
(商品名 クレイトンD−1107)
流動パラフィン 44.5部
テルペンレジン 20.0部
(商品名 クリアロンP−105)
ジブチルヒドロキシトルエン 1.0部
【0057】
( 製 法 )
実施例1と同様の製法により外用貼付剤とした。
【0058】
実 施 例 6
外用貼付剤の調製(6):
以下の処方及び製法により、外用貼付剤(本発明品6)を得た。
【0059】
( 処 方 )
インドメタシン 5.0部
ポリエチレングリコール300 2.0部
(商品名 マクロゴール300)
l−メントール 2.0部
クロタミトン 2.0部
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 25.0部
(商品名 クレイトンD−1107)
ポリイソブチレン(エクソン化学製) 5.0部
流動パラフィン 28.0部
脂環族飽和炭化水素樹脂 30.0部
(商品名 アルコンP−100)
ジブチルヒドロキシトルエン 1.0部
【0060】
( 製 法 )
実施例1と同様の製法により外用貼付剤とした。
【0061】
実 施 例 7
外用貼付剤の調製(7):
以下の処方及び製法により、外用貼付剤(本発明品7)を得た。
【0062】
( 処 方 )
インドメタシン 1.5部
ポリエチレングリコール6000 2.0部
(商品名 マクロゴール6000)
l−メントール 3.0部
天然ゴム 40.0部
ポリブテン(日本石油製) 9.5部
テルペンレジン 43.7部
(商品名 クリアロンP−105)
ジブチルヒドロキシトルエン 0.3部
【0063】
( 製 法 )
インドメタシン以下、すべてのものを溶剤(トルエン及びヘキサン)に溶解し、均一な溶解物を得た。次にこの溶解物を、ドクターナイフ塗工機を用いて剥離フィルム(ポリエステル)に溶剤留去後の膏体重量が100g/m2になるように塗工後、熱風乾燥し、塗工面に支持体(不織布)を貼り合わせ、70mm×100mmの大きさに裁断し、外用貼付剤を得た。
【0064】
実 施 例 8
外用貼付剤の調製(8):
以下の処方及び製法により、外用貼付剤(本発明品8)を得た。
【0065】
( 処 方 )
インドメタシン 1.0部
ポリエチレングリコール300 4.0部
(商品名 マクロゴール300)
l−メントール 3.0部
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 40.0部
(商品名 クレイトンD−KX401)
流動パラフィン 41.5部
ロジンエステル 10.0部
(商品名 エステルガムH)
ジブチルヒドロキシトルエン 0.5部
【0066】
( 製 法 )
実施例1と同様の製法により外用貼付剤とした。
【0067】
実 施 例 9
外用貼付剤の調製(9):
以下の処方及び製法により、外用貼付剤(本発明品9)を得た。
【0068】
( 処 方 )
インドメタシン 0.5部
ポリエチレングリコール6000 4.0部
(商品名 マクロゴール6000)
l−メントール 1.0部
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 25.0部
(商品名 クレイトンD−KX401)
流動パラフィン 51.5部
ロジンエステル 17.5部
(商品名 エステルガムH)
ジブチルヒドロキシトルエン 0.5部
【0069】
( 製 法 )
実施例1と同様の製法により外用貼付剤とした。
【0070】
実 施 例 10
外用貼付剤の調製(10):
以下の処方及び製法により、外用貼付剤(本発明品10)を得た。
【0071】
( 処 方 )
インドメタシン 0.5部
モノステアリン酸ポリエチレングリコール 5.0部
(商品名 MYS−40)
l−メントール 3.0部
天然ゴム 40.0部
ポリブテン(日本石油製) 9.5部
テルペンレジン 41.7部
(商品名 クリアロンP−105)
ジブチルヒドロキシトルエン 0.3部
【0072】
( 製 法 )
実施例7と同様の製法により外用貼付剤とした。
【0073】
実 施 例 11
外用貼付剤の調製(11):
以下の処方及び製法により、外用貼付剤(本発明品11)を得た。
【0074】
( 処 方 )
フルルビプロフェン 1.0部
ポリエチレングリコール4000 4.0部
(商品名 マクロゴール4000)
l−メントール 3.0部
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 40.0部
(商品名 クレイトンD−KX401)
流動パラフィン 41.5部
ロジンエステル 10.0部
(商品名 エステルガムH)
ジブチルヒドロキシトルエン 0.5部
【0075】
( 製 法 )
実施例1と同様の製法により外用貼付剤とした。
【0076】
実 施 例 12
外用貼付剤の調製(12):
以下の処方及び製法により、外用貼付剤(本発明品12)を得た。
【0077】
( 処 方 )
フルルビプロフェン 0.5部
モノステアリン酸ポリエチレングリコール 2.0部
(商品名 MYS−40)
l−メントール 3.0部
天然ゴム 40.0部
ポリブテン(日本石油製) 9.5部
テルペンレジン 44.7部
(商品名 クリアロンP−105)
ジブチルヒドロキシトルエン 0.3部
【0078】
( 製 法 )
実施例7と同様の製法により外用貼付剤とした。
【0079】
実 施 例 13
外用貼付剤の調製(13):
以下の処方及び製法により、外用貼付剤(本発明品13)を得た。
【0080】
( 処 方 )
フルルビプロフェン 2.0部
ポリエチレングリコール300 4.0部
(商品名 マクロゴール300)
l−メントール 2.0部
酢酸トコフェロール 2.0部
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 25.0部
(商品名 クレイトンD−1107)
流動パラフィン 44.0部
テルペンレジン 20.0部
(商品名 クリアロンP−105)
ジブチルヒドロキシトルエン 1.0部
【0081】
( 製 法 )
実施例1と同様の製法により外用貼付剤とした。
【0082】
実 施 例 14
外用貼付剤の調製(14):
以下の処方及び製法により、外用貼付剤(本発明品14)を得た。
【0083】
( 処 方 )
フェルビナク 1.0部
ポリオキシエチレンステアリルエーテル 4.0部
(商品名 BS−20)
l−メントール 3.0部
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 40.0部
(商品名 クレイトンD−KX401)
流動パラフィン 41.5部
ロジンエステル 10.0部
(商品名 エステルガムH)
ジブチルヒドロキシトルエン 0.5部
【0084】
( 製 法 )
実施例1と同様の製法により外用貼付剤とした。
【0085】
実 施 例 15
外用貼付剤の調製(15):
以下の処方及び製法により、外用貼付剤(本発明品15)を得た。
【0086】
( 処 方 )
フェルビナク 1.0部
ポリエチレングリコール4000 2.0部
(商品名 マクロゴール4000)
l−メントール 3.0部
酢酸トコフェロール 2.0部
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 25.0部
(商品名 クレイトンD−1107)
流動パラフィン 36.0部
脂環族飽和炭化水素樹脂 30.0部
(商品名 アルコンP−100)
ジブチルヒドロキシトルエン 1.0部
【0087】
( 製 法 )
実施例1と同様の製法により外用貼付剤とした。
【0088】
実 施 例 16
外用貼付剤の調製(16):
以下の処方及び製法により、外用貼付剤(本発明品16)を得た。
【0089】
( 処 方 )
フェルビナク 5.0部
ポリエチレングリコール6000 6.0部
(商品名 マクロゴール6000)
l−メントール 2.0部
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 25.0部
(商品名 クレイトンD−KX401)
流動パラフィン 31.0部
脂環族飽和炭化水素樹脂 30.0部
(商品名 アルコンP−100)
ジブチルヒドロキシトルエン 1.0部
【0090】
( 製 法 )
実施例1と同様の製法により外用貼付剤とした。
【0091】
実 施 例 17
外用貼付剤の調製(17):
以下の処方及び製法により、外用貼付剤(本発明品17)を得た。
【0092】
( 処 方 )
インドメタシン 10.0部
ポリエチレングリコール6000 5.0部
(商品名 マクロゴール6000)
l−メントール 2.0部
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 25.0部
(商品名 クレイトンD−1107)
流動パラフィン 27.0部
脂環族飽和炭化水素樹脂 30.0部
(商品名 アルコンP−100)
ジブチルヒドロキシトルエン 1.0部
【0093】
( 製 法 )
実施例1と同様の製法により外用貼付剤とした。
【0094】
実 施 例 18
外用貼付剤の調製:
以下の処方及び製法により、外用貼付剤(本発明品18)を得た。
【0095】
( 処 方 )
インドメタシン 10.0部
ポリエチレングリコール4000 3.0部
(商品名 マクロゴール4000)
l−メントール 2.0部
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 25.0部
(商品名 クレイトンD−KX401)
流動パラフィン 29.5部
脂環族飽和炭化水素樹脂 30.0部
(商品名 アルコンP−100)
ジブチルヒドロキシトルエン 0.5部
【0096】
( 製 法 )
実施例1と同様の製法により外用貼付剤とした。
【0097】
実 施 例 19
外用貼付剤の調製(19):
以下の処方及び製法により、外用貼付剤(本発明品19)を得た。
【0098】
( 処 方 )
インドメタシン 0.5部
ポリエチレングリコール4000 10.0部
(商品名 マクロゴール4000)
l−メントール 3.0部
酢酸トコフェロール 1.0部
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 25.0部
(商品名 クレイトンD−1107)
ポリイソブチレン(エクソン化学製) 5.0部
流動パラフィン 24.5部
脂環族飽和炭化水素樹脂 30.0部
(商品名 アルコンP−100)
ジブチルヒドロキシトルエン 1.0部
【0099】
( 製 法 )
実施例1と同様の製法により外用貼付剤とした。
【0100】
実 施 例 20
外用貼付剤の調製(20):
以下の処方及び製法により、外用貼付剤(本発明品1)を得た。
【0101】
( 処 方 )
インドメタシン 0.5部
ポリエチレングリコール300 7.0部
(商品名 マクロゴール300)
l−メントール 2.0部
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 25.0部
(商品名 クレイトンD−1107)
ポリイソブチレン(エクソン化学製) 5.0部
流動パラフィン 29.5部
脂環族飽和炭化水素樹脂 30.0部
(商品名 アルコンP−100)
ジブチルヒドロキシトルエン 1.0部
【0102】
( 製 法 )
実施例1と同様の製法により外用貼付剤とした。
【0103】
実 施 例 21
外用貼付剤の調製(21):
以下の処方及び製法により、外用貼付剤(本発明品21)を得た。
【0104】
( 処 方 )
インドメタシン 0.5部
ポリエチレングリコール300 10.0部
(商品名 マクロゴール300)
l−メントール 2.0部
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 25.0部
(商品名 クレイトンD−1107)
ポリイソブチレン(エクソン化学製) 5.0部
流動パラフィン 26.5部
脂環族飽和炭化水素樹脂 30.0部
(商品名 アルコンP−100)
ジブチルヒドロキシトルエン 1.0部
【0105】
( 製 法 )
実施例1と同様の製法により外用貼付剤とした。
【0106】
比 較 例 1
ポリエチレングリコール4000を流動パラフィンに置換した以外は実施例2と全く同様の処方及び製法で外用貼付剤(比較品1)を得た。
【0107】
比 較 例 2
ポリエチレングリコール4000を4部から1部に減らし、その分を流動パラフィンに置換した以外は実施例2と全く同様の処方及び製法で外用貼付剤(比較品2)を得た。
【0108】
比 較 例 3
インドメタシンおよびポリエチレングリコール4000を流動パラフィンに置換した以外は実施例2と全く同様の処方及び製法で外用貼付剤(比較品3)を得た。
【0109】
比 較 例 4
インドメタシンを流動パラフィンに置換した以外は実施例2と全く同様の組成及び製法で外用貼付剤(比較品4)を得た。
【0110】
比 較 例 5
インドメタシンを0部(配合しない)とし、ポリエチレングリコール4000を6部から10部に増やし、流動パラフィンを25部とした以外は実施例2と全く同様の組成及び製法で外用貼付剤(比較品5)を得た。
【0111】
比 較 例 6
インドメタシンおよびポリエチレングリコール300を流動パラフィンに置換した以外は実施例1と全く同様の処方及び製法で外用貼付剤(比較品6)を得た。
【0112】
比 較 例 7
ポリエチレングリコール300を流動パラフィンに置換した以外は、実施例8と全く同様の処方及び製法で外用貼付剤(比較品7)とした。
【0113】
比 較 例 8
ポリエチレングリコール6000を流動パラフィンに置換した以外は、実施例9と全く同様の処方及び製法で外用貼付剤(比較品8)を得た。
【0114】
比 較 例 9
モノステアリン酸ポリエチレングリコールをテルペンレジンに置換した以外は、実施例10と全く同様の処方及び製法で外用貼付剤(比較品9)を得た。
【0115】
比 較 例 10
ポリエチレングリコール4000を流動パラフィンに置換した以外は、実施例11と全く同様の処方及び製法で外用貼付剤(比較品10)とした。
【0116】
比 較 例 11
モノステアリン酸ポリエチレングリコールをテルペンレジンに置換した以外は、実施例12と全く同様の処方及び製法で外用貼付剤(比較品11)を得た。
【0117】
比 較 例 12
ポリオキシエチレンステアリルエーテルを流動パラフィンに置換した以外は、実施例14と全く同様の処方及び製法で外用貼付剤(比較品12)とした。
【0118】
試 験 例 1
皮膚安全性試験:
上記処方及び製法で得られた本発明品1〜4、19及び比較品1〜5の外用貼付剤を、健常人10名の背部に1日2回貼付で3日間(計6回)繰り返し貼付した。6回貼付剥離1時間後及び24時間後に、皮膚障害の程度を表1の判定基準に従って判定して、下記式(II)で皮膚刺激指数(SI値)を求め、皮膚障害抑制を評価した。結果を表2に示す。
【0119】
( 判定基準 )
【表1】
【0120】
【数1】
【0121】
( 結 果 )
【表2】
【0122】
上記表2の結果から明らかなように、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンステアリルエーテルまたはモノステアリン酸ポリエチレングリコールを2%以上配合した本発明品の貼付剤は、ポリエチレングリコールを配合していない比較品1及びポリエチレングリコールを1%配合した比較品2に比べて、いずれも皮膚障害を抑制していることが確認できた。なお、インドメタシンを含有しない比較品3ないし5の皮膚刺激指数は、いずれも比較品1および2と比較して明らかに低いものであったことから、上記本発明品および比較品における皮膚刺激は、インドメタシンが原因であることが示される。
【0123】
試 験 例 2
貼付性の評価:
本発明品1、2、19〜21及び比較品6の外用貼付剤を、健常人30名の肘に8時間貼付し、貼付中の剥がれ・めくれ等を表3の評価基準で評価し、貼付性を評価した。試験は3回に分けて行い、1回に6種の試験物質のうち2種を使用した。結果を表4に示す。
【0124】
( 評価基準 )
【表3】
【0125】
( 結 果 )
【表4】
【0126】
上記表4の結果から明らかなように、ポリエチレングリコールを6%、4%配合した本発明品1及び2の外用貼付剤は、ポリエチレングリコールを配合していない比較品6の貼付剤とほぼ同程度の貼付性を保持することができ、貼付性に非常に優れることが確認できた。
【0127】
また、ポリエチレングリコールを7%、10%配合した本発明品19〜21の貼付剤のスコアは本発明品1、2や比較品6よりも低かった。
【0128】
試 験 例 3
安定性試験:
本発明品8〜12、14、19〜21及び比較品7〜12の外用貼付剤を60℃で1箇月保存し、1箇月後のl−メントールエステル体生成量を測定した。結果を表5に示す。
【0129】
( 結 果 )
【表5】
【0130】
表5の結果からわかるように、ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコールまたはポリオキシエチレンステアリルエーテル等式(I)の化合物を配合した本発明品の外用貼付剤は、これら化合物を配合していない比較品よりもl−メントールエステル体の生成が抑制されており、式(I)の化合物を膏体組成物中に含有させることにより、膏体中のl−メントールとカルボン酸型非ステロイド消炎鎮痛薬とのエステル化を有効に抑制できることが確認できた。
【0131】
【発明の効果】
本発明の外用貼付剤は、膏体層を形成する組成物中に式(I)の化合物を含有させることにより、膏体層にインドメタシン等の非ステロイド系消炎鎮痛薬を含有させた場合であっても、外用貼付剤自体の貼付性を良好に保ちつつ、該非ステロイド系消炎鎮痛薬に起因する皮膚障害を抑制するとともに、膏体中のl−メントールとカルボン酸型非ステロイド消炎鎮痛薬とのエステル化を有効に抑制できるものである。
【0132】
従って、本発明の外用貼付剤は、一般の貼付剤と同程度の良好な貼付性を保持しつつ、皮膚障害の発生を防ぎ薬物の安定性が大幅に改善された外用貼付剤として、捻挫、筋肉疲労から起こる痛み、肩こりに伴う痛み、腰痛及び関節痛、打撲、変形性関節症、肩や腱などの関節周囲炎、慢性関節リウマチ、神経痛、外傷後の腫瘍・疼痛などの治療に有利に使用することができるものである。
以 上
Claims (8)
- 式(I)で表される化合物を、膏体組成物全体に対して2〜6質量%含有するものである請求項第1項記載の外用貼付剤。
- 式(I)で表される化合物が、外用貼付剤の皮膚貼付の際の皮膚障害抑制作用と膏体組成物中の分子内にカルボン酸基を有する非ステロイド系消炎鎮痛薬とl−メントールのエステル化抑制作用を有するものである請求項第1項または第2項記載の外用貼付剤。
- 分子内にカルボン酸基を有する非ステロイド系消炎鎮痛薬がインドメタシンである請求項第1項ないし第3項の何れかの項記載の外用貼付剤。
- 非水性基剤がゴム系粘着剤である請求項第1項ないし第4項の何れかの項記載の外用貼付剤。
- ゴム系粘着剤のエラストマーが、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン・ブタジエンゴム、ポリイソブチレン、ブチルゴム、天然ゴム及びイソプレンゴムから選ばれた1種または2種以上である請求項第5項記載の外用貼付剤。
- 分子内にカルボン酸基を有する非ステロイド系消炎鎮痛薬がインドメタシンである請求項第7項記載のエステル化抑制方法。
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