JP3721787B2 - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はハイブリッド車両の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術と解決すべき課題】
原動機として内燃機関と電動モータとを併有し、いずれか一方または双方の駆動力により走行するようにしたハイブリッド車両が知られている(例えば、山海堂出版発行「自動車工学」VOL.46 No.7 1997年6月号 39〜52頁参照)。
【0003】
このようないわゆるパラレル方式のハイブリッド車両では、基本的に比較的負荷の小さい運転域では電動モータのみで走行し、負荷が増大すると内燃機関を起動して所要の駆動力を確保し、必要に応じて電動モータと内燃機関を併用することにより最大の駆動力を発揮させられるようになっている(このように内燃機関と電動モータの駆動力を併用して走行する運転領域を以下「アシスト運転領域」という)。
【0004】
内燃機関の出力は走行のみならず発電用にも使用され、これにより電動モータに電力を供給するバッテリが常時所要の充電状態となるように図っている。しかしながら、連続登坂走行などアシスト運転領域での運転が継続すると、この間は十分に充電を行えないのでバッテリの残存容量が次第に減少し、それだけ電動モータの出力も低下してしまうので運転者の要求する出力を発揮できなくなり運転性が悪化するという問題が生じる。また、バッテリ容量がある程度まで低下するとその後に低負荷運転域での走行となっても電動モータの出力が十分に得られないことから内燃機関が起動される頻度が増大することになり、これは運転性に加えて燃費の点でも好ましくない。
【0005】
本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、アシスト運転領域でのバッテリ容量が不十分なときには内燃機関の出力を燃料増量等により増大させることにより前記問題点を解消することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、原動機として内燃機関と電動モータとを備え、内燃機関と電動モータの双方の出力により走行するアシスト運転領域を有するハイブリッド車両において、電動モータに電力を供給するバッテリの残存容量を検出する容量検出装置と、前記バッテリ残存容量に基づきアシスト運転領域で出力可能な電動モータの駆動力を算出し、該駆動力が所定の基準値に達しないときには内燃機関に供給する燃料量を増量するコントローラと、内燃機関の吸気弁または排気弁の弁作動態様を、比較的燃費が良好となる燃費作動態様と、比較的出力が良好となる出力作動態様とに切換可能な可変動弁装置とを備え、
前記コントローラを、燃費作動態様での運転状態からの燃料増量時には前記可変動弁装置による弁作動態様を出力作動態様に切り換えるように構成した。
【0007】
第2の発明は、上記第1の発明のコントローラを、電動モータの出力可能駆動力が基準値に達しないときには電動モータを当該出力可能駆動力の範囲内で駆動すると共に燃料量を増量するように構成したものとする。
【0008】
第3の発明は、同じくコントローラを、電動モータの出力可能駆動力が基準値に達しないときには電動モータを駆動することなく燃料量を増量するように構成したものとする。
【0009】
第4の発明は、上記第1から第3の各発明のコントローラを、アシスト運転領域での負荷要求に基づいて算出した電動モータの目標駆動力を基準値として設定し、バッテリの残存容量に基づいて算出した電動モータの出力可能駆動力を前記基準値と比較し、出力可能駆動力が前記基準値に達しないときに燃料量を増量するように構成したものとする。
【0010】
第5の発明は、上記第1から第4の各発明のコントローラを、出力可能駆動力の基準値に対する不足量が大であるほど燃料量を増量するように設定したものとする。
【0011】
第6の発明は、上記第1の発明において、燃費作動態様から出力作動態様への弁作動態様の切換えを、燃料量を増量した後に行うように構成したものとする。
【0012】
第7の発明は、上記第1の発明の可変動弁装置を、吸気弁または排気弁の開閉時期を変化させることにより燃費作動態様と出力作動態様とを切り換えるように構成したものとする。
【0013】
第8の発明は、同じく可変動弁装置を、吸気弁または排気弁を複数備え、複数のうちの一部の弁の作動を休止させることにより出力作動態様から燃費作動態様へと切り換えるように構成したものとする。
【0014】
【作用・効果】
上記第1の発明以下の各発明によれば、例えば運転者によるアクセルペダルの踏み込み量などから検出したアシスト運転領域での負荷要求に対して、バッテリの残存容量が不足して電動モータの出力可能駆動力が基準値に達しない場合には、内燃機関に供給される燃料量が増量され、例えばそれまでの理論空燃比による運転から出力空燃比による運転へと切り換えられる。これにより内燃機関の出力が増大するため、電動モータを十分に駆動できない条件下においても車両の駆動力を確保して運転者の要求に応えることができ、バッテリの残存容量による駆動力変動を軽減して運転性ないしは運転感覚を改善することができる。また、バッテリの過度の消耗を防止してその充電のための内燃機関の燃費悪化を防止することができる。
【0015】
アシスト運転領域において電動モータの出力可能駆動力が基準値に達しない場合、第2の発明のように電動モータを当該出力可能駆動力の範囲内で駆動しつつ燃料増量を行うことにより、内燃機関の出力負担がそれだけ軽減されるため、バッテリの過度の消耗を防止しつつ比較的少量の燃料増で大きな駆動力を確保することができる。これに対して、バッテリの負担軽減を重視する場合には第3の発明のように電動モータを駆動せずに燃料増量のみを行うようにしてもよい。
【0016】
第4の発明では、運転者による負荷要求に応じて電動モータの出力可能駆動力に対する基準値が設定され、例えば負荷要求が低いときほど基準値も相応に小さくなるので、バッテリの残存容量を最大限に生かして電動モータによるアシスト走行の頻度を増やすことができ、すなわち内燃機関に対する燃料増量の機会を最小限にして燃費を改善することができる。
【0017】
上記各発明において、電動モータの出力可能駆動力が基準値に達しないときの燃料増量値としては、固定的な値あるいは例えば機関回転数および吸入空気量に基づいて一定の出力空燃比になるように定めた値で行うようにしてもよいが、第5の発明のように電動モータの出力可能駆動力の基準値に対する不足分が大であるほど増量値が増えるように制御することにより、アシスト運転領域での要求負荷に対してよりよく合致した機関出力および運転性を発揮させることができる。
【0018】
また、本発明では、可変動弁装置が比較的燃費が良好となる燃費作動態様で作動している運転状態からアシスト運転領域に移行したとき、電動モータの出力可能駆動力が基準値に達しないときには前記可変動弁装置が比較的出力が良好となる出力作動態様に切り換えられる。これにより燃料増量に加えて動弁装置による出力増大がなされるため、バッテリ残存容量の不足を補助しうる範囲をそれだけ大きくすることができ、あるいは燃料増量をより抑えて燃費を改善することができる。
【0019】
なお、第6の発明のように、可変動弁装置の燃費作動態様から出力作動態様への切り換えを燃料増量後に行うようにすることにより、吸排気弁の作動タイミングの変化を考慮した空燃比や点火時期の制御を行う必要がなくなり、例えば比較的大きい空燃比下での出力作動態様への切換に伴い発生するおそれのあるノッキングを回避することができる。また、このように内燃機関の弁作動を燃費作動態様と出力作動態様とに切り換える可変動弁装置としては、第7の発明のように吸気弁または排気弁の開閉時期を変化させる構成、または第8の発明のように複数の吸気弁または排気弁のうちの一部の弁の作動を休止させる構成の何れのものでも適用可能である。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。まず図1〜図4に本願発明が適用可能なハイブリッド車両の構成例を示す。これらはいずれも走行条件に応じてエンジン(内燃機関)または電動モータの何れか一方または双方の動力を用いて走行するパラレル方式のハイブリッド車両である。
【0021】
図1において、太い実線は機械力の伝達経路を示し、太い破線は電力線を示す。また、細い実線は制御線を示し、二重線は油圧系統を示す。この車両のパワートレインは、モータ1、エンジン2、クラッチ3、モータ4、無段変速機5、減速装置6、差動装置7および駆動輪8から構成される。モータ1の出力軸、エンジン2の出力軸およびクラッチ3の入力軸は互いに連結されており、また、クラッチ3の出力軸、モータ4の出力軸および無段変速機5の入力軸は互いに連結されている。
【0022】
クラッチ3締結時はエンジン2とモータ4が車両の推進源となり、クラッチ3解放時はモータ4のみが車両の推進源となる。エンジン2またはモータ4の駆動力は、無段変速機5、減速装置6および差動装置7を介して駆動輪8へ伝達される。無段変速機5には油圧装置9から圧油が供給され、ベルトのクランプと潤滑がなされる。油圧装置9のオイルポンプ(図示せず)はモータ10により駆動される。
【0023】
モータ1は主としてエンジン始動と発電に用いられ、モータ4は主として車両の推進(力行)と制動に用いられる。また、モータ10は油圧装置9のオイルポンプ駆動用である。また、クラッチ3締結時に、モータ1を車両の推進と制動に用いることもでき、モータ4をエンジン始動や発電に用いることもできる。クラッチ3はパウダークラッチであり、伝達トルクを調節することができる。無段変速機5はベルト式やトロイダル式などの無段変速機であり、変速比を無段階に調節することができる。
【0024】
モータ1,4,10はそれぞれ、インバータ11,12,13により駆動される。なお、モータ1,4,10に直流電動モータを用いる場合には、インバータの代わりにDC/DCコンバータを用いる。インバータ11〜13は共通のDCリンク14を介してメインバッテリ15に接続されており、メインバッテリ15の直流充電電力を交流電力に変換してモータ1,4,10へ供給するとともに、モータ1,4の交流発電電力を直流電力に変換してメインバッテリ15を充電する。なお、インバータ11〜13は互いにDCリンク14を介して接続されているので、回生運転中のモータにより発電された電力をメインバッテリ15を介さずに直接、力行運転中のモータへ供給することができる。メインバッテリ15には、リチウム・イオン電池、ニッケル・水素電池、鉛電池などの各種電池や、電機二重層キャパシターいわゆるパワーキャパシターが適用される。
【0025】
コントローラ16はマイクロコンピュータとその周辺部品や各種アクチュエータなどを備え、クラッチ3の伝達トルク、モータ1,4,10の回転速度や出力トルク、無段変速機5の変速比、エンジン2の燃料噴射量・噴射時期、点火時期などを制御する。
【0026】
コントローラ16には、図2に示すように、キースイッチ20、セレクトレバースイッチ21、アクセルペダルスイッチ22、ブレーキスイッチ23、車速センサ24、バッテリ温度センサ25、バッテリSOC検出装置26、エンジン回転センサ27、スロットル開度センサ28が接続される。キースイッチ20は、車両のキーが0N位置またはSTART位置に設定されると閉路する(以下、スイッチの閉路をオンまたは0N、開路をオフまたはOFFと呼ぷ)。セレクトレバースイッチ21は、パーキングP、ニュートラルN、リバースRおよびドライブDの何れかのレンジに切り換えるセレクタレバー(図示せず)の設定位置に応じて、P,N,R,Dのいずれかのスイッチがオンする。
【0027】
アクセルセンサ22はアクセルペダルの踏み込み量を検出し、ブレーキスイッチ23はブレーキペダルの踏み込み状態(この時、スイッチオン)を検出する。車速センサ24は車両の走行速度を検出し、バッテリ温度センサ25はメインバッテリ15の温度を検出する。また、バッテリSOC検出装置26は本発明の容量検出装置にあたるもので、メインバッテリ15の残存容量の代表値であるSOC(State Of Charge)を検出する。さらに、エンジン回転センサ27はエンジン2の回転速度を検出し、スロットル開度センサ28はエンジン2のスロットルバルブ開度を検出する。
【0028】
コントローラ16にはまた、エンジン2の燃料噴射装置30、点火装置31、可変動弁装置32などが接続される。コントローラ16は、燃料噴射装置30を制御してエンジン2への燃料の供給と停止および燃料噴射量・噴射時期を調節するとともに、点火装置31を駆動してエンジン2の点火時期制御を行う。また、コントローラ16は可変動弁装置32を制御してエンジン2の吸・排気弁の作動状態を調節する。なお、コントローラ16には低圧の補助バッテリ33から電源が供給される。
【0029】
図3または図4はパワートレインの配置例を示す図である。クラッチ3の入力側のモータ1とエンジン2の配置は、図3に示すようにモータ1をエンジン2の上流に配置してもよいし、図4に示すようにモータ1をエンジン2の下流に配置してもよい。図3に示す配置例では、エンジン2の出力軸をクラッチ3の入力軸と直結して1軸で構成するとともに、エンジン2の出力軸をモータ1の出力軸とベルトや歯車により連結する。また、図4に示す配置例では、エンジン2の出力軸をモータ1のローターを貫通してクラッチ3の入力軸と直結し、クラッチ3の入力側を1軸で構成する。
【0030】
一方、クラッチ3の出力側のモータ4と無段変速機5の配置は、図3に示すようにモータ4を無段変速機5の上流に配置してもよいし、図4に示すようにモータ4を無段変速機5の下流に配置してもよい。図3に示す配置例では、クラッチ3の出力軸をモータ4のローターを貫通して無段変速機5の人力軸と直結し、クラッチ3の出力側を1軸で構成する。また、図4に示す配置例では、クラッチ3の出力軸を無段変速機5の入力軸を貫通してモータ4の出力軸と直結し、クラッチ3の出力側を1軸で構成する。いずれの場合でもモータ4を無段変速機5の入力軸に連結する。
【0031】
パワートレインの配置は図3および図4に示す配置例に限定されず、クラッチ3の入力軸にエンジン2とモータ1を連結するとともに、クラッチ3の出力軸にモータ4と無段変速機5の入力軸を連結し、無段変速機5の出力軸から減速装置6および差動装置7を介して駆動輪8に動力を伝える推進機構であれば、各機器がどのような配置でも成立する。
【0032】
以上は本発明が適用可能なハイブリッド車両の基本的な構成例を示したものであり、本発明ではこうしたパラレル方式のハイブリッド車両のアシスト運転領域でのバッテリ充電量の過度の低下とこれに伴う電動モータ出力の低下を回避することを目的としている。以下にこのためのコントローラ16の制御動作例につき流れ図を参照しながら説明する。
【0033】
図5はアシスト運転領域での上記電動モータ4の駆動・非駆動と燃料噴射装置32を介して燃料供給量の増量の有無を制御するルーチンの概略を示したもので、これはコントローラ16により一定の周期で繰り返し実行される。この制御ではまず運転者による負荷要求を代表する値としてアクセル開度センサ28からの信号をアクセル開度ACCとして読み込み、これを所定の基準値ACC1と比較する(ステップ1〜2)。このときACC≦ACC1のときはエンジンのみによる駆動力で十分であるとして電動モータを駆動することなく、ストイキ運転すなわち理論空燃比による運転を行うと共に、エンジン2に備えた可変動弁装置を燃費作動態様で作動させる(ステップ9,11,12)。これに対して、ACC>ACC1であれば次にバッテリSOC検出装置26からの信号をバッテリ残存容量の代表値SOCとして読みとり、このSOC下での電動モータ4の出力可能駆動力(トルク)Tmaを演算またはマップ検索等により求める(ステップ3,4)。
【0034】
次に、上記出力可能駆動力Tmaを所定の基準値Tma1と比較し、このときTma≧Tma1のときには電動モータ4が負荷要求に対して十分に応えうるトルクを発揮しうる状態であるので電動モータ4を駆動し、エンジンはそのままストイキ運転を継続する(ステップ5,10,11,12)。これに対して、Tma<Tma1であったときには電動モータ4が十分なアシストトルクを発揮しうる状態にないので、電動モータ4を駆動することなく、燃料増量を実行して出力空燃比による運転を行うと共に、前記可変動弁装置を出力作動態様で作動させる(ステップ5〜8)。
【0035】
燃料噴射装置32による基本的な空燃比制御では、例えばエンジン回転数と吸入空気量とに基づいて定めた基本燃料噴射量(電磁燃料噴射弁の開弁パルス幅)を、空燃比センサからの空燃比信号に基づいて補正することにより所定の目標空燃比となるようなPID制御が実行される。そこで、このような空燃比フィードバック制御系において燃料増量を行うためには、例えば前記制御空燃比の目標値を理論空燃比よりも小さい出力空燃比に設定して、これにより燃料量が増量するように図る。増量分の燃料は、エンジン回転に同期して開閉駆動される燃料噴射弁の開弁パルス幅自体を増やすか、もしくは燃料噴射弁を前記回転同期に加えて回転非同期のタイミングで駆動していわゆる割込噴射を行わせることにより供給する。
【0036】
一方、前記の可変動弁装置は、比較的燃費が良好となる燃費作動態様と比較的出力が良好となる出力作動態様の2種の弁作動態様を有する。このような弁作動態様を有する可変動弁装置には、例えば吸気カムのクランク角度基準での位相を変化させることにより吸気弁の開弁期間を進角または遅角させるようにしたものや、複数の吸気弁のうちの一部の弁の作動を休止させることにより主として低負荷・低回転域でのエンジントルクおよび燃費を改善するようにしたものなどがあり、種々の形式のものが適用可能である。
アクセル開度ACCが基準値ACC1よりも小さい、比較的負荷要求の小さい運転域では電動モータ4を駆動することなく、エンジンの動弁装置を燃費作動態様としてストイキ運転させることにより(ステップ2,9,11,12)、負荷の低い領域でのエンジントルク特性および燃費を良好に保つことができる。
一方、Tma<Tma1であるときには電動モータ4は駆動せず、エンジンを上述のようにして出力空燃比で運転させると共に動弁装置を出力作動態様に切り換える(ステップ5〜8)。
【0037】
図6はこのような制御による制御結果を示したもので、図においてAはエンジン運転領域にてアクセルペダルを踏み込み始めた点、Bは前記アクセル踏み込み操作によりアクセル開度が基準値ACC1を超えた点を示している。また、図中ASは電動モータ4によるアシスト作動を行った場合の特性、NAは電動モータ4を駆動せず、上記の燃料増量補正によりエンジン出力を増大させたときの特性をそれぞれ示している。バッテリの残存容量が不十分なときには図示したように電動モータ4を駆動することなく、燃料増量補正を行うことによりほぼ同一の出力を発揮させることが可能である。
【0038】
なお、この実施形態においてはバッテリの残存容量を示すSOC値から出力可能駆動力Tmaを求め、これを基準値Tma1と比較することで所要の電動モータ出力が得られるか否か判定しているが、SOC値によって直接電動モータ出力を代表させることも可能であり、この場合にはSOC値に対する基準値を設定してその比較結果に基づきただちに電動モータ4の駆動および燃料増量の有無を決定するようにしてもよい。
【0039】
また、図7は可変動弁装置の動作態様と空燃比制御によるエンジントルク特性を示したもので、動弁装置を燃費作動態様から出力作動態様へと切り換え、さらに空燃比を出力空燃比とすることにより、電動モータ4のトルク不足を補うのに必要なだけのエンジントルクの向上を達成することが可能である。なお、既述したように燃費作動態様から出力作動態様への切換えは燃料量を増量したのちに行うのがノッキングや燃焼性の点から有利である。
【0040】
図8はコントローラ16による制御の第二の実施形態を示した流れ図である。上記第一の実施形態と異なるのは、出力可能駆動力Tmaの判定において、Tma<Tma1となる条件下においても駆動可能な範囲で電動モータ4を駆動し、電動モータ4によっては不足する駆動力の分だけ燃料増量を行うようにした点にある(ステップ5〜7)。この場合、例えば図9に示したように駆動可能出力Tmaが基準値Tma1から低下するほど大きくなる燃料増量補正係数Kmaをマップ等により与え、この補正係数Kmaを上述した空燃比制御の目標値から減じることで、電動モータ4によるアシストトルクの不足分に対応したエンジン出力の増大を図ることができる。したがって、この実施形態によれば、燃料増量の機会を最小限に抑えて燃費を改善することができ、あるいはエンジン出力を総合した最大駆動力を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】〜
【図4】 本発明が適用可能なハイブリッド車両の構成例を示す概略構成図。
【図5】 本発明による制御動作の第一の実施形態を示す流れ図。
【図6】 上記第1の実施形態による制御状態の説明図。
【図7】 上記第一の実施形態における可変動弁装置の作動態様に応じた出力特性の説明図。
【図8】 本発明による制御動作の第二の実施形態を示す流れ図。
【図9】 上記第二の実施形態における燃料増量係数の設定内容の説明図。
【符号の説明】
1,4 電動モータ
2 エンジン
3 クラッチ
5 無段変速機
9 油圧装置
10 油圧発生用モータ
15 バッテリ
16 コントローラ(コントローラ)
20 キースイッチ
21 セレクタレバースイッチ
22 アクセルセンサ
23 ブレーキスイッチ
24 車速センサ
25 温度センサ
26 バッテリSOC検出装置(容量検出装置)
27 エンジン回転数センサ
28 アクセル開度センサ
Claims (8)
- 原動機として内燃機関と電動モータとを備え、内燃機関と電動モータの双方の出力により走行するアシスト運転領域を有するハイブリッド車両において、
電動モータに電力を供給するバッテリの残存容量を検出する容量検出装置と、
前記バッテリ残存容量に基づきアシスト運転領域で出力可能な電動モータの駆動力を算出し、該駆動力が所定の基準値に達しないときには内燃機関に供給する燃料量を増量するコントローラと、
内燃機関の吸気弁または排気弁の弁作動態様を、比較的燃費が良好となる燃費作動態様と、比較的出力が良好となる出力作動態様とに切換可能な可変動弁装置とを備え、
前記コントローラを、燃費作動態様での運転状態からの燃料増量時には前記可変動弁装置による弁作動態様を出力作動態様に切り換えるように構成したことを特徴とする
ハイブリッド車両の制御装置。 - コントローラは、電動モータの出力可能駆動力が基準値に達しないときには電動モータを当該出力可能駆動力の範囲内で駆動すると共に燃料量を増量するように構成したことを特徴とする請求項1記載のハイブリッド車両の制御装置。
- コントローラは、電動モータの出力可能駆動力が基準値に達しないときには電動モータを駆動することなく燃料量を増量するように構成したことを特徴とする請求項1記載のハイブリッド車両の制御装置。
- コントローラは、アシスト運転領域での負荷要求に基づいて算出した電動モータの目標駆動力を基準値として設定し、バッテリの残存容量に基づいて算出した電動モータの出力可能駆動力を前記基準値と比較し、出力可能駆動力が前記基準値に達しないときに燃料量を増量するように構成したことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のハイブリッド車両の制御装置。
- コントローラは、出力可能駆動力の基準値に対する不足量が大であるほど燃料量を増量するように設定したことを特徴とする請求項1から4の何れかに記載のハイブリッド車両の制御装置。
- 燃費作動態様から出力作動態様への弁作動態様の切換えは、燃料量を増量した後に行うように構成したことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。
- 可変動弁装置は、吸気弁または排気弁の開閉時期を変化させることにより燃費作動態様と出力作動態様とを切り換えるように構成したことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。
- 可変動弁装置は、吸気弁または排気弁を複数備え、複数のうちの一部の弁の作動を休止させることにより出力作動態様から燃費作動態様へと切り換えるように構成したことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。
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