JP3721762B2 - 車両のピッチング制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は車両の制動時に発生するピッチングを抑制するためピッチング制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両は、制動時において荷重移動により車両前方が車高低下するノーズダイブと称されるピッチング運動を生ずる。
このピッチングは、乗員を前のめりにさせて車酔いなどの原因となり、これを抑制するのが好ましく、従来、例えば特開平5−201222号公報に記載されているようなシステムを用いて、各車輪への車輪荷重を個々に制御することにより車両のピッチングを抑制するようにしたピッチング制御装置が、最も一般的なものとして知られている。
【0003】
ここで各車輪への車輪荷重を個々に制御するに際しては、例えば図8のごとく、制動減速度XG に対して前後輪のサスペンションシリンダ内圧変化量ΔPがそれぞれαおよびβのようなものとなるよう制御して、前後輪の車輪荷重変化(前輪の荷重増大、後輪の荷重減少)を生起させることが考えられる。
具体的には、左右前輪の静荷重時におけるサスペンションシリンダ内圧がPF0であり、左右後輪の静荷重時におけるサスペンションシリンダ内圧がPR0である場合、目標とすべき左右前輪のサスペンションシリンダ内圧PF * および左右後輪のサスペンションシリンダ内圧PR * をそれぞれ次式により求める。
PF * =PF0+KxG・XG ・・・(1)
PR * =PR0−KxG・XG ・・・(2)
ここで(+KxG,−KxG)は、それぞれ図8に示すように、制動減速度XG に対する前輪および後輪のサスペンションシリンダ内圧変化量ΔPの制御ゲインであって、換言すれば、制動減速度XG に対するピッチング抑制度合の制御ゲインである。
【0004】
しかして、これ制御らゲイン(+KxG,−KxG)を前後輪のサスペンションシリンダ内圧変化量ΔPがそれぞれ図8に破線で示すごときものとなるよう定めて、ピッチング運動が全く生じないようにすると、運転者は自分がブレーキ操作したにもかかわらずピッチングが全く生じないという違和感を持つことになる。
これがため実際上制御ゲイン(+KxG,−KxG)は、不愉快にならない程度のピッチング運動が残るよう図8に実線で示すごとく定めて、制動時の制動感を演出するのが常套である。
【0005】
一方で、例えば特開平7−89427号公報に記載されているように、各輪個別の自動ブレーキにより車両水平面挙動を、目標通りのものとなるよう制御するようにした車両挙動制御装置も周知である。
かかる車両挙動制御装置による自動ブレーキ時(車両挙動制御中)も車両には、左程大きくはないものの制動減速度が発生し、この制動減速度が運転者のブレーキ操作に伴うものでないことから、当該制動減速度に起因したピッチング運動は運転者に違和感を与える。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
かかる自動ブレーキ時(車両挙動制御中)の制動減速度に伴うピッチング運動も、前記ピッチング制御装置は制動減速度に応じたピッチング抑制作用を当然行う。
しかして、制動減速度に対するピッチング抑制度合の制御ゲインが前記のごとくに定められた固定ゲインであることから、自動ブレーキ時(車両挙動制御中)の制動減速度に伴うピッチング運動を、違和感がなくなる程度まで十分に抑制することができず、当該違和感が残存するのを免れなかった。
【0007】
請求項1に記載の第1発明は、かかる違和感の残存に関する問題を緩和すると共に、車両挙動制御中に運転者によるブレーキ操作があった場合に好適なピッチング制御を行う車両のピッチング制御装置を提案することを目的とする。
【0008】
請求項2に記載の第2発明は、上記した違和感の残存に関する問題を完全に解消した車両のピッチング制御装置を提案することを目的とする。
【0010】
請求項3に記載の第3発明は、第1発明の目的を別の構成により達成するようにした車両のピッチング制御装置を提案することを目的とする。
【0011】
請求項4に記載の第4発明は、第3発明の作用効果を更に確実に達成し得るようにした車両のピッチング制御装置を提案することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
これらの目的のため、第1発明による車両のピッチング制御装置は、
自動ブレーキにより車両水平面挙動を制御するようにした車両挙動制御装置と、制動減速度に応じ各車輪への車輪荷重を個々に制御して車両のピッチングを抑制するようにしたピッチング制御装置とを具える車両において、
前記制動減速度に対するピッチング抑制度合の制御ゲインを、前記車両挙動制御装置による車両挙動制御中は非制御中よりも大きくする一方、
前記車両挙動制御装置による車両挙動制御中でも、運転者がブレーキ操作を行っている間は、車両挙動非制御中と同じ小さなゲインにするよう構成したことを特徴とするものである。
【0013】
第2発明による車両のピッチング制御装置は、第1発明において、
前記車両挙動制御装置による車両挙動制御中は、前記制動減速度に対するピッチング抑制度合の制御ゲインを、ピッチングが0に抑制されるような大きさに設定したことを特徴とするものである。
【0015】
第3発明による車両のピッチング制御装置は、第1発明または第2発明において、
前記制動減速度に対するピッチング抑制度合の制御ゲインを、前記車両挙動制御装置による車両挙動制御中でも、制動減速度が設定減速度を越える間は、該設定減速度以下である間よりも小さなゲインにするよう構成したことを特徴とするものである。
【0016】
第4発明による車両のピッチング制御装置は、第3発明において、
前記設定減速度を、前記車両挙動制御装置による自動ブレーキで発生する車両減速度の上限値に対応する減速度としたことを特徴とするものである。
【0017】
【発明の効果】
第1発明によるピッチング制御装置においては、車両挙動制御装置が自動ブレーキにより車両水平面挙動を制御している間、当該挙動制御の非作動中におけるよりも、制動減速度に対するピッチング抑制度合の制御ゲインを大きくすることから、
自動ブレーキによる挙動制御時に、運転者がブレーキ操作をしていないにもかかわらずピッチングが発生する違和感を回避することができると共に、挙動制御の非作動中においては、運転者のブレーキ操作に呼応したピッチングを残存させることができ、これら相反する両作用を両立させることができる。
【0018】
また、第1発明においては、上記ピッチング抑制度合の制御ゲインを、挙動制御中でも運転者がブレーキ操作を行っている間は、車両挙動非制御中と同じ小さなゲインにすることから、
挙動制御中に運転者のブレーキ操作が行われた場合において、ピッチングが生じなくなる違和感を回避することができる。
【0019】
第2発明においては、挙動制御中における上記ピッチング抑制度合の制御ゲインを、ピッチングが0に抑制されるような大きさに設定したことから、
挙動制御時はピッチングを完全に生じなくすることができ、運転者がブレーキ操作をしていないにもかかわらずピッチングが発生する違和感を完全になくすことができる。
【0020】
第3発明においては、上記ピッチング抑制度合の制御ゲインを、挙動制御中でも、制動減速度が設定減速度を越える間は、該設定減速度以下である間よりも小さなゲインにすることから、
挙動制御中に運転者のブレーキ操作が行われたことで制動減速度が設定減速度を越えた場合において、ピッチングが生じなくなる違和感を回避することができ、第1発明と同様の目的を達成することができる。
【0021】
第4発明においては、第3発明における上記の設定減速度を、車両挙動制御装置による自動ブレーキで発生する車両減速度の上限値に対応する減速度としたことから、
これを基準として判断する運転者のブレーキ操作の有無を一層正確に判断することができ、第3発明の作用効果を更に確実なものにすることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態になるピッチング制御装置のシステム図で、この図において、10は車体、11FLは左前輪、11FRは右前輪、11RLは左後輪、11RRは右後輪をそれぞれ示す。
【0023】
車輪11FL,11FR,11RL,11RRはそれぞれ、対応する個々のサスペンションメンバー12FL,12FR,12RL,12RRを介して車体1に、上下方向ストローク可能に支持し、これらサスペンションメンバー12FL,12FR,12RL,12RRと車体10との間にそれぞれ、対応車輪の上下動に対して緩衝機能と振動減衰機能とを付与するサスペンションシリンダ13FL,13FR,13RL,13RRを架設する。
なおサスペンションシリンダ13FL,13FR,13RL,13RRはそれぞれ、実際には図1の図面直角方向に延在しているものであるが、図1では説明の便宜上、図面に沿うよう延在させて示した。
【0024】
各サスペンションシリンダ13FL,13FR,13RL,13RRはそれぞれ、シリンダ本体13a 内にピストン13b を摺動自在に嵌合し、ピストン13b に一体のピストンロッド13c をシリンダ本体13a の上端から抜き差し可能に突出させ、シリンダ本体13a の突出端およびピストンロッド13c 間にサスペンションスプリング13d を縮設してシリンダ伸長方向のスプリング力を作用されている構成とする。
【0025】
サスペンションシリンダ13FL,13FR,13RL,13RRはそれぞれ、ピストンロッド13c の突出端を車体10に、またシリンダ本体13a の下端をサスペンションメンバー12FL,12FR,12RL,12RRに連結して実用に供し、サスペンションスプリング13d により対応車輪のバウンド、リバウンド時において要求される緩衝機能を発揮するものとする。
これがため、ピストン13b はその前後室間を連通するピストン連通孔13e を有してシリンダ本体13a 内でストローク可能とし、さらに当該ストロークにともないピストンロッド13c がシリンダ本体13a に対し進退する時におけるピストンロッド進入体積分または退出体積分の容積変化をガスバネ13f により吸収してピストン13b のストロークを補償する。
そして、ガスバネ13f の入口通路にオリフィス13g を挿置し、これを作動油が通過する時の流動抵抗で、対応車輪のバウンド、リバウンド時において要求される振動減衰機能を生起させるものとする。
【0026】
各サスペンションシリンダ13FL,13FR,13RL,13RRの内圧、従って各車輪11FL,11FR,11RL,11RRの車輪荷重を個々に制御する圧力制御弁14FL,14FR,14RL,14RRを設け、これら圧力制御弁の出力ポートを対応するサスペンションシリンダのシリンダ本体13a 内に通じさせる。
圧力制御弁14FL,14FR,14RL,14RRの入力ポートには、圧力源15からの共通な圧力供給回路16を接続し、又ドレンポートには、圧力源15に戻る共通な圧力排除回路17を接続する。
ここで圧力源15は、圧力供給回路16に常時一定の圧力を供給し続けるものとし、当該圧力供給回路16にはこの一定圧を蓄えておくアキュムレータ18,19を接続して設ける。
【0027】
なお圧力制御弁14FL,14FR,14RL,14RRはそれぞれ、回路16およびアキュムレータ18,19からの一定油圧をシリンダ本体13a 内に補充したり、シリンダ本体13a 内の圧力を回路17よりドレンすることにより、サスペンションシリンダ13FL,13FR,13RL,13RRの内圧(車輪11FL,11FR,11RL,11RRの車輪荷重)を、制御電流i(iFL,iFR,iRL,iRR)に応じた値に制御するものとする。
ここで圧力制御弁14FL,14FR,14RL,14RRへの制御電流i(iFL,iFR,iRL,iRR)と、サスペンションシリンダ13FL,13FR,13RL,13RRの内圧とは、図2に例示するごとき比例関係にあり、制御電流iを最小値imin と最大値imax との間で変化させる間、サスペンションシリンダ内圧が最小圧Pmin と最大圧Pmax との間で変化されるものとする。
【0028】
圧力制御弁14FL,14FR,14RL,14RRへの制御電流iFL,iFR,iRL,iRRは、コントローラ20によりこれらを決定する。
これがためコントローラ20には、運転者が車両の制動を希望して操作するブレーキペダルの踏み込み時にONとなるブレーキスイッチ21からの信号と、車両の前後加速度XG (減速度を正とする)を検出する前後加速度センサ22からの信号と、車両挙動制御装置23が挙動制御を行っている作動中に出力する挙動制御信号VDCとをそれぞれ入力する。
【0029】
ここで車両挙動制御装置23は、例えば前記した特開平7−89427号公報に記載されているように、各輪個別の自動ブレーキにより車両水平面挙動を目標通りのものとなるよう制御する周知のものである。
【0030】
上記実施の形態においてコントローラ20は、定時割り込みにより図3の制御プログラムを繰り返し実行して、以下のごとくに圧力制御弁14FL,14FR,14RL,14RRの制御電流iFL,iFR,iRL,iRRを決定し、本発明が狙いとするピッチング制御を遂行する。
つまり先ずステップ31において、挙動制御信号VDCが入力されているか否かにより、車両挙動制御装置23が挙動制御を行っている作動中か否かを判定する。
挙動制御中でなければステップ32において、図6に示すごとく前輪サスペンションシリンダ内圧変化量ΔPの制御態様がδのようになるよう、制動減速度XG に対するピッチング抑制度合の前輪側制御ゲイン(+KxG)を(+KxG1 )に設定すると共に、ステップ33において、同じく図6に示すごとく後輪サスペンションシリンダ内圧変化量ΔPの制御態様がγのようになるよう、制動減速度XG に対するピッチング抑制度合の後輪側制御ゲイン(−KxG)を(−KxG1 )に設定する。
【0031】
しかしてステップ31において、挙動制御信号VDCが入力されており、挙動制御中であると判断する場合は、ステップ34において、図6に示すごとく前輪サスペンションシリンダ内圧変化量ΔPの制御態様がεのようになるよう、制動減速度XG に対するピッチング抑制度合の前輪側制御ゲイン(+KxG)を(+KxG2 )に設定すると共に、ステップ35において、同じく図6に示すごとく後輪サスペンションシリンダ内圧変化量ΔPの制御態様がηのようになるよう、制動減速度XG に対するピッチング抑制度合の後輪側制御ゲイン(−KxG)を(−KxG2 )に設定する。
但し|KxG1 <KxG2 |とし、好ましくはこれら|KxG1 |,|KxG2 |を、図6の特性δ,γがそれぞれ図8のα,βに一致するよう、また、図6の特性ε,ηがそれぞれ図8の破線で示すピッチングを0にする特性に一致するよう決定するのが良い。
【0032】
図3における次のステップ36では、上記のようにして決定した前輪側制御ゲイン(+KxG)および後輪側制御ゲイン(−KxG)と、左右前輪の静荷重時におけるサスペンションシリンダ内圧PF0および左右後輪の静荷重時におけるサスペンションシリンダ内圧PR0と、制動減速度検出値XG とを用いて、
目標とすべき左右前輪のサスペンションシリンダ内圧PF * および左右後輪のサスペンションシリンダ内圧PR * をそれぞれ次式により求める。
PF * =PF0+KxG・XG ・・・(3)
PR * =PR0−KxG・XG ・・・(4)
【0033】
次いでステップ37において、上記の目標とすべき左右前輪サスペンションシリンダ内圧PF * および左右後輪サスペンションシリンダ内圧PR * に対する左右前輪用圧力制御弁14FL,14FRへの制御電流iF * および左右後輪用圧力制御弁14RL,14RRへの制御電流iR * を、図2に例示するようなマップ検索により求める。
更にステップ38において、左右前輪用圧力制御弁14FL,14FRの制御電流指令値iFL,iFRをそれぞれ上記の検索値iF * とし、左右後輪用圧力制御弁14RL,14RRの制御電流指令値iRL,iRRをそれぞれ上記の検索値iR * とし、これらを対応する圧力制御弁14FL,14FR,14RL,14RRに出力する。
【0034】
以上によって、挙動制御の非作動中は圧力制御弁14FL,14FRが左右前輪11FL,11FRのサスペンションシリンダ内圧を制動減速度XG に応じ図6のδで示すごとくに上昇させて前輪荷重を増大させると同時に、
圧力制御弁14RL,14RRが左右後輪11RL,11RRのサスペンションシリンダ内圧を制動減速度XG に応じ図6のγで示すごとくに低下させて後輪荷重を減少させる。
これがため制動減速度XG に伴うピッチングが抑制されることとなり、しかも、図6のδ,γをそれぞれ図8のα,βに一致させたことから、挙動制御の非作動中においては従来通りに好適な制動感を演出しつつ適当なピッチング抑制効果を生起させることができる。
【0035】
ところで挙動制御中は、圧力制御弁14FL,14FRが左右前輪11FL,11FRのサスペンションシリンダ内圧を制動減速度XG に応じ図6のεで示すごとくに大きく上昇させて前輪荷重を大きく増大させると同時に、
圧力制御弁14RL,14RRが左右後輪11RL,11RRのサスペンションシリンダ内圧を制動減速度XG に応じ図6のηで示すごとくに大きく低下させて後輪荷重を大きく減少させる。
これがため制動減速度XG に伴うピッチングが挙動制御中は、挙動制御の非作動中よりも大きく抑制されることとなり、運転者のブレーキ操作によらない挙動制御中の自動ブレーキでピッチングが発生する違和感を少なくすることができる。
ところで本実施の形態においては、図6のε,ηをそれぞれ図8の破線に一致させたことから、挙動制御中の自動ブレーキに伴うピッチングを完全に0にすることができ、運転者がブレーキペダルを踏んでいないにもかかわらずピッチングが発生する違和感を完全に払拭することができる。
【0036】
従って、挙動制御の非作動中において従来通りに好適な制動感を演出し得るようなピッチング抑制作用と、挙動制御中の自動ブレーキに伴うピッチングを完全に0にして、運転者がブレーキペダルを踏んでいないにもかかわらずピッチングが発生する違和感を払拭するという作用との両立を実現することができる。
【0037】
図4は、挙動制御中に運転者がブレーキ操作を行った場合における問題をも解消するようにした本発明の他の実施の形態を示す。
図3の制御によれば、挙動制御中は一義的にピッチングを0にするよう作用するが、この制御では、挙動制御中に運転者がブレーキ操作を行った場合もピッチングが完全に抑制されることとなって、運転者はブレーキペダルの踏み込みにもかかわらず車両が全くピッチングを発生しないという違和感を持つのを避けられない。
【0038】
そこで本実施の形態においては、図3に対してステップ39を付加し、これをステップ31,34間に挿入し、ステップ39でブレーキスイッチ21(図1参照)がOFFか否かを、つまり運転者によるブレーキ操作がなかったか否かを判定し、ブレーキスイッチがOFF(運転者がブレーキペダルを釈放中)の間のみ制御をステップ34,35に進めるようにする。
かかる構成によれば、ステップ31において挙動制御信号VDCから挙動制御中であると判定しても、ステップ39で運転者がブレーキペダルを釈放中であると判定しない限り、ステップ34,35でのピッチング抑制度合い(制御ゲイン)の増大が行われないこととなる。
【0039】
換言すれば、挙動制御中であっても運転者がブレーキペダルを踏み込んで制動している間は、ステップ39が制御をステップ32,33に進める結果、ピッチング抑制度合い〔前輪側制御ゲイン(+KxG)および後輪側制御ゲイン(−KxG)〕が小さな(+KxG1 )および(−KxG1 )にされて、制動減速度に見合った不愉快にならない程度のピッチングが残存する態様でピッチング制御を行うことができる。
よって本実施の形態においては、挙動制御中とはいえ、運転者によるブレーキ操作があったにもかわらずピッチングが全く発生しないという違和感を解消することができる。
【0040】
図5は、図4におけると同様の作用効果を別の構成により達成し得るようにした本発明の更に他の実施の形態を示す。
本実施の形態では、挙動制御中の自動ブレーキに伴う制動減速度が大きくてもせいぜい0.3g程度の小さなものであり、制動減速度XG が設定減速度XG1(例えば上記の0.3g)以下である間を、運転者によるブレーキ操作が行われていない領域と見做し得るし、また、制動減速度XG が設定減速度XG1を越えている間を、運転者がブレーキ操作を行っている領域と見做して差し支えないとの事実認識に基づき、
図7に示すごとく、挙動制御中において、制動減速度XG が設定減速度XG1以下である間は、前輪サスペンションシリンダ内圧変化量ΔPの制御態様が図6におけると同様のεになるよう、制動減速度XG に対するピッチング抑制度合の前輪側制御ゲイン(+KxG)を(+KxG2 )に設定すると共に、後輪サスペンションシリンダ内圧変化量ΔPの制御態様が図6におけると同様のηになるよう、制動減速度XG に対するピッチング抑制度合の後輪側制御ゲイン(−KxG)を(−KxG2 )に設定するが、
制動減速度XG が設定減速度XG1より大きい間は、前輪サスペンションシリンダ内圧変化量ΔPの制御態様がρとなるよう、制動減速度XG に対するピッチング抑制度合の前輪側制御ゲイン(+KxG)を(+KxG0 )に設定すると共に、後輪サスペンションシリンダ内圧変化量ΔPの制御態様がτとなるよう、制動減速度XG に対するピッチング抑制度合の後輪側制御ゲイン(−KxG)を(−KxG0 )に設定する。
ところで、制動減速度XG が設定減速度XG1より大きい間における制御ゲインの絶対値|KxG0 |は、制動減速度XG が設定減速度XG1以下である間における制御ゲインの絶対値|KxG2 |よりも小さくし、これにより同じ挙動制御中でも運転者によるブレーキ操作がある間は、このブレーキ操作がない間よりも、両者間の制御ゲイン差に応じた分だけピッチングの抑制度合いが低下されて、挙動制御中に運転者のブレーキ操作がある時はピッチングが残存するようになす。
【0041】
これがため図5においては、図4のステップ39に代えてステップ41を設け、更にステップ42,43を付加した構成にする。
挙動制御中に選択されるステップ41では、制動減速度XG が設定減速度XG1以下であるか、設定減速度XG1より大きいかにより、運転者によるブレーキ操作がないのか、運転者によるブレーキ操作中なのかを判定する。
運転者によるブレーキ操作中でなければ、ステップ34,35でのピッチング抑制度合い(制御ゲイン)の増大を行って、挙動制御の自動ブレーキによるピッチングを0にし、運転者がブレーキ操作を行っていないのにピッチングが発生するような違和感をなくす。
【0042】
ところで、運転者によるブレーキ操作があるために制動減速度XG が設定減速度XG1を越える場合は、ステップ41が制御をステップ42,43に順次進める。
ステップ42,43では、制動減速度XG が設定減速度XG1以下である時(運転者によるブレーキ操作がない間)の前輪側制御ゲイン(+KxG2 )および後輪側制御ゲイン(−KxG2 )と、制動減速度XG が設定減速度XG1を越えている時(運転者によるブレーキ操作がある間)の前輪側制御ゲイン(+KxG0 )および後輪側制御ゲイン(−KxG0 )と、左右前輪の静荷重時におけるサスペンションシリンダ内圧PF0および左右後輪の静荷重時におけるサスペンションシリンダ内圧PR0と、設定減速度XG1と、制動減速度検出値XG とを用いて、
目標とすべき左右前輪のサスペンションシリンダ内圧PF * および左右後輪のサスペンションシリンダ内圧PR * をそれぞれ次式により求める。
PF * =PF0+〔KxG2 ・XG1+KxG0 (XG −XG1)〕・・・(5)
PR * =PR0−〔KxG2 ・XG1+KxG0 (XG −XG1)〕・・・(6)
【0043】
以上により目標とすべき左右前輪サスペンションシリンダ内圧PF * および左右後輪サスペンションシリンダ内圧PR * が求められた後は、ステップ37,38において前記各実施の形態におけると同様の処理がなされ、それぞれのサスペンションシリンダ内圧(車輪荷重)を目標値にすることができる。
従って、挙動制御中であっても運転者がブレーキペダルを踏み込んで制動減速度XG が設定減速度XG1を越える場合は、図7にρ,τで示すようにピッチング抑制度合いが(+KxG2 ),(−KxG2 )から(+KxG0 ),(−KxG0 )に低下されて、制動減速度に見合った不愉快にならない程度のピッチングが残存する態様でピッチング制御を行うことができる。
よって本実施の形態においても、挙動制御中とはいえ、運転者によるブレーキ操作があったにもかわらずピッチングが全く発生しないという違和感を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態になる車両のピッチング制御装置を示すサスペンション制御系統図である。
【図2】同サスペンション制御系統におけるサスペンションシリンダ内圧用の圧力制御弁に係わる制御特性図である。
【図3】同実施の形態においてコントローラが実行するピッチング制御プログラムを示すフローチャートである。
【図4】本発明の他の実施の形態を示すピッチング制御プログラムのフローチャートである。
【図5】本発明の更に他の実施の形態を示すピッチング制御プログラムのフローチャートである。
【図6】図3に示すピッチング制御装置が狙いとする、前後輪サスペンションシリンダの内圧変化量に関する変化特性図である。
【図7】図5に示すピッチング制御装置が狙いとする、前後輪サスペンションシリンダの内圧変化量に関する変化特性図である。
【図8】従来のピッチング制御装置により得られる前後輪サスペンションシリンダの内圧変化量特性図である。
【符号の説明】
10 車体
11FL 左前輪
11FR 右前輪
11RL 左後輪
11RR 右後輪
12FL 左前輪サスペンションメンバー
12FR 右前輪サスペンションメンバー
12RL 左後輪サスペンションメンバー
12RR 右後輪サスペンションメンバー
13FL 左前輪サスペンションシリンダ
13FR 右前輪サスペンションシリンダ
13RL 左後輪サスペンションシリンダ
13RR 右後輪サスペンションシリンダ
14FL 左前輪サスペンションシリンダ用圧力制御弁
14FR 右前輪サスペンションシリンダ用圧力制御弁
14RL 左後輪サスペンションシリンダ用圧力制御弁
14RR 右後輪サスペンションシリンダ用圧力制御弁
15 油圧源
16 圧力供給回路
17 圧力排除回路
18 アキュムレータ
19 アキュムレータ
20 コントローラ
21 ブレーキスイッチ
22 前後加速度センサ
23 車両挙動制御装置
Claims (4)
- 自動ブレーキにより車両水平面挙動を制御するようにした車両挙動制御装置と、制動減速度に応じ各車輪への車輪荷重を個々に制御して車両のピッチングを抑制するようにしたピッチング制御装置とを具える車両において、
前記制動減速度に対するピッチング抑制度合の制御ゲインを、前記車両挙動制御装置による車両挙動制御中は非制御中よりも大きくする一方、
前記車両挙動制御装置による車両挙動制御中でも、運転者がブレーキ操作を行っている間は、車両挙動非制御中と同じ小さなゲインにするよう構成したことを特徴とする車両のピッチング制御装置。 - 請求項1において、前記車両挙動制御装置による車両挙動制御中は、前記制動減速度に対するピッチング抑制度合の制御ゲインを、ピッチングが0に抑制されるような大きさに設定したことを特徴とする車両のピッチング制御装置。
- 請求項1または2において、前記制動減速度に対するピッチング抑制度合の制御ゲインを、前記車両挙動制御装置による車両挙動制御中でも、制動減速度が設定減速度を越える間は、該設定減速度以下である間よりも小さなゲインにするよう構成したことを特徴とする車両のピッチング制御装置。
- 請求項3において、前記設定減速度を、前記車両挙動制御装置による自動ブレーキで発生する車両減速度の上限値に対応する減速度としたことを特徴とする車両のピッチング制御装置。
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