JP3720471B2 - 水硬性物質用補強材及び水硬性硬化物 - Google Patents

水硬性物質用補強材及び水硬性硬化物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水硬性物質用補強材及び該補強材で補強された水硬性硬化物に関する。
【0002】
【従来の技術】
セメント等の水硬性物質質は、土木建築関連分野でセメントペ−スト、セメント、モルタル、セメントコンクリ−ト等として広く使用され、重要な建築資材として位置付けられている。これらは、圧縮強度は高いものの引張強力が低く脆弱性である。一般には、この脆弱性をカバ−し、引張強度を補強するため鉄筋、鉄骨や、特殊な場合には石綿を混入することが知られており、近年では有機繊維等の繊維状物を補強材とすることも検討されている。
【0003】
水硬性物質を繊維状物で補強する場合、マトリックスと繊維状物双方の体積分率とそれらのモジュラスの積の和でその硬化物の強度が予測される(複合則)。かかる複合則は、補強材とマトリックスの界面結合力が十分に存在することが前提となっているが、多くの補強材においてはセメント等の水硬物質との間に十分な結合力を有していないのが現状である。
以上のことから、強度が高いのみでなく、水硬性物質との親和性に優れたポリビニルアルコ−ル系繊維(PVA系繊維)が補強材として広く使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来、補強材とマトリックスの接着力が高い方が好ましいと考えられており、以上の点からPVA系繊維が広く使用されているが、本発明者等は、鋭意研究の結果、マトリックスとの接着性が過大になると補強効果の点で不都合が生じやすいことを見出だした。
すなわち、補強材とマトリックスとの接着力(引抜抵抗力)高すぎると、外部応力を受けて硬化物にクラック等が生じた場合、補強材がマトリックスにかたく固定されているため、クラック部分に存在してブリッジングしている単繊維(ブリッジングファイバ−)の局所のみに応力が集中し、繊維内部において応力の分散ができないため、ブリッジングしていない他の繊維への応力分散がなされる前にブリッジングファイバ−の切断してしまうこととなる。その結果、クラックの発生と単繊維の各個破断が連鎖反応的に生じ、ただ1カ所クラックが発生することによってカタストロフィックな破断が生じることがモデル上予想される。
【0005】
このような状況下では、高モジュラスで接着性の高い補強繊維はクラックの発生に対する抑止力とはなるものの、クラック発生後のタフネスの向上には寄与しないと思われる。
以上のことから、本発明の目的は、水硬性物質の脆弱性を高めるのみでなく、クラック発生後のタフネスをも改善できる補強材及び水硬性硬化物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、引張強度70kg/mm以上、引抜抵抗10〜80kg/mm 、摩擦抵抗10kg/mm 以上のPVA系繊維からなる水硬性物質用補強材、および該PVA系繊維により補強された水硬性硬化物を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
繊維状物を補強材とする場合、先に説明した複合則にあるように、繊維状物のモジュラスが高いほど優れた補強効果が得られるが、かかる複合則が適用されるのは、マトリックスが曲げ応力によって極めて小さい歪みを形成する領域(比例限界強度LOP:Limit of Proportiorality)までである。従って、高モジュラスの繊維を用いることによってLOPを高める(クラックを発生しにくくする)ことは期待できるものの、マトリックスの歪みが大きくなってクラックが生じた後の強度向上及び強度維持(タフネス向上)の点では十分な効果が得られない。クラック発生後において高いブリッジング効果を得るためには、引張強度の高い繊維状物を使用する必要があり、具体的には、70kg/mm2 以上、好ましくは80kg/mm2 以上である必要である。
強度が低くすぎると、クラック発生後に容易に補強材が破断してブリッジング効果が得られず、硬化体のタフネスが不十分となる。
【0008】
しかしながら、補強材の引張強度が高いのみでは補強効果は十分発揮されず、クラック発生後にブリッジングファイバ−が繊維内部及び他の多くの繊維に応力分散されるように補強材が適度の自由度を有し、かつ十分なブリッジング効果を発揮するためにマトリックスに対して適度の結合力を有する必要がある。
以上のことから、比較的低い引抜抵抗と高い摩擦抵抗を有する補強材、具体的には引抜抵抗10〜80kg/mm2 、かつ摩擦抵抗が10kg/mm2 以上の補強材を用いる。好ましくは、引抜抵抗30〜75kg/mm2 、摩擦抵抗12kg/mm2 以上である。
【0009】
一般に、補強材はマトリックスとの結合力(引抜抵抗)が高いほど好ましいとされているが、本発明者等は、比較的低い引抜抵抗を有し、かつ高い摩擦抵抗をする補強材を用いた場合に顕著な効果が得られることを見出だした。
すなわち、マトリックスへの接着性(引抜抵抗)が高すぎると、外部応力によってクラックが生じた後、繊維の自由度が低くかたく固定されているため、ブリッジングファイバ−の局所のみに応力が集中して他の単繊維に応力が分散される前にブリッジングファイバ−が破断し、結果的に十分な補強効果が得られない。従って、比較的低い引抜抵抗を有する補強材を使用した場合には、繊維の自由度が高いために、ブリッジングファイバ−の局所に集中した応力が該繊維内部及び他の多くの繊維に分散して繊維の破断が抑制され、しかも高い摩擦抵抗及び繊維強度によって十分なブリッジング効果が得られるのでる。
【0010】
適度の引抜抵抗及び高い摩擦抵抗を得るための手段は特に限定されないが、たとえばPVA系繊維のように繊維本来の引抜抵抗が高いものは、エポキシ系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、弗素化合物等の疎水性物質を付与またはコ−テイングしてマトリックスに対する親和性をコントロ−ルする方法が挙げられる。疎水基で変性したPVAを表面に付与してもよい。このとき繊維への付着率は0.1〜10重量%程度とするのが好ましい。
逆に、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等のように引抜抵抗の低い繊維(疎水性の高い繊維)を用いる場合には、たとえば低温プラズマ処理による繊維表面の活性化や、エッチングなどでマトリックスへの親和性を高めたり、インデント加工(押し付け加工)やフック状に折り曲げる、ウエ−ブを付ける等の加工を行う方法が挙げられる。
【0011】
使用する繊維状物の種類は特に限定されないが、鋼繊維等の金属繊維は、発錆性を有するとともに比重が7〜8と大きく軽量化の点で問題があることから、不錆性で比重が0.9〜1.5と小さい有機繊維を補強材とすることが好ましい。たとえば、高重合度ポリエチレン繊維、アラミド繊維、炭素繊維、ポリアリレート繊維等の高強力高弾性率繊維が挙げられるが、これらは水への親和性が乏しく引抜試験後の摩擦抵抗を高めることが困難であるため、水への親和性が高く強力及び耐候性、耐アルカリ性が高く、コスト的にも有利なポリビニルアルコール系繊維を用いるのが必要である。PVA系繊維は本来水硬性物質との親和性が高く、本発明の特徴は、これまで高いほど好ましいとしたその「親和性」を低減せしめることにあり、PVA系繊維を用いた場合に本発明の特徴が一層発揮される。
【0012】
補強材の繊度及び繊維長は特に限定されないが、繊度0.1〜10000d、特に0.5〜5000d程度とするのが好ましく、繊維長は1〜50mm、特に3〜30mm程度とするのが好ましい。
アスペクト比は50〜2000、好ましくは150〜600である。なおアスペクト比は、繊維長を繊維横断面の面積と同面積を有する円の直径で除したものである。
繊維のモジュラスは、2000kg/mm2 以上、特に3000kg/mm2以上であるのが好ましい。繊維のモジュラスが高い程、硬化体におけるクラックの発生を抑制でき、LOPが向上するので好ましい。
【0013】
本発明で使用される水硬性物質は特に限定されないが、セメントが好ましく、ポルトランドセメントがその代表的なものであるが、高炉セメント、フライアッシュセメント、アルミナセメント等も用いることができるし、これらを混合して用いてもよい。さらにこれらのセメントと砂や砂利を混合したモルタルやコンクリ−トとして用いることができる。その他の水硬性物質としては、セッコウ、セッコウスラグ、マグネシア等が挙げられる。
また、マイカ、セピオライト、アタパルジャイト、パルプ等の助剤を用いることができる。
水硬性成形物の製法も特に限定されず、たとえば薄板の場合には長網式抄造法やハチェック法が採用できる。モルタルやコンクリ−ト等の場合、現場成形法として、打設、吹付成形、注入成形法等を採用してもよく、工場成形法として、振動成形、遠心力成形、押出成形法等が挙げられる。
水硬性硬化物における繊維状物の配合率は0.2〜10重量%、特に1〜5重量%とするのが好ましい。
【0014】
曲げ試験後のクラックの発生状況は、引張側になる面に多くのクラック(マルチクラック)が発生するものが好ましい。ブリッジングファイバ−の局所に応力が集中して補強材が破断したり、また繊維強度や摩擦抵抗が低すぎてブリッジング効果が不十分であるとモノクラックしか発生しない。従って、モノクラックしか発生しないものは、硬化物のタフネスが不十分であることになる。
また、硬化物の曲げたわみ曲線は図4、図5におけるAタイプの類型となるのが好ましい。Aタイプの曲線を示すものは、最初にクラックが発生した後も十分なブリッジング効果が得られているため、急激に曲げ荷重が小さくならず、高いタフネスを呈している。
【0015】
本発明の水硬性硬化物は、スレ−ト板、パイプ類、壁パネル、床パネル、屋根板、間仕切り、道路舗装、トンネルライニング、法面保護、コンクリ−ト向上製品等のすべてのセメント、コンクリ−ト成形物や2次製品に用いることができる。
【0016】
【実施例】
以下に実施例により本発明を説明するが、本実施例により何等限定されるものではない。
[処理剤付着率 %]
メタノ−ル/ベンゼン=1/1の溶剤を用い、ソクスレ−抽出法により処理剤を抽出後、溶剤を揮散させて残分の重量測定により算出した。
[見掛け繊度 Dr]
得られた繊維状物(場合によっては処理剤付与後の繊維状物)の一定試長の重量を測定して見掛け繊度をn=5以上で測定し、平均値を求めた。なお、一定糸長の重量測定により繊度が測定できないもの(細デニ−ル繊維)はバイブロスコ−プにより測定した。
[密度 g/cm3
4塩化炭素/ノルマルヘキサン等を媒体とする密度勾配管法で測定した(測定雰囲気20℃)。
【0017】
[繊維強度kg/mm2 、モジュラスkg/mm2
温度20℃、相対湿度65%の雰囲気下で、試長20cm(バイブロスコ−プにより繊度を測定したものは試長2cm)、引張速度10cm/分でインストロン試験機により測定、モジュラスはその伸張/荷重曲線により求めた。なおサンプルの繊維長が短かいものは、試長6mmで測定することとする。
[引抜抵抗kg/mm2 、摩擦抵抗kg/mm2
普通ポルトランドセメント(浅野セメント製 普通ポルトランドセメント)に対し、重量で同量のシリカ(ブレ−ン値4000cm2 /g 啓和炉材株式会社製 #4000)をホバ−ト型ミキサ−で2分間ドライ混合した後、水/セメント比が0.4になるような計算量の水道水を加えて2分間ウエット混合した。
これを厚さ0.2mmのポリエチレンフィルムを底に敷いたアルミ製バットに厚さ5〜10mmに敷きならした。
これに菓子折仕切枠(経木製3cm×3cm)を埋め込み、1枠に1本の繊維を埋め混んだ。
【0018】
繊維の埋め込みは、予め埋め込み長さ相当の深差に印をつけた縫針をマトリックス面に垂直に差し込んだ後に引き抜き、繊維をその深さまで(細デニ−ル繊維以外はマトリックス層の底まで)差し込んだ(図1参照)。
繊維を差し込んだ後、アルミバットをビニ−ル袋に密閉して50℃で20時間1次養生後、20℃の部屋にシ−トで包んだまま21日間放置して養生した。
養生完了後、繊維差し込み面にペンキをスプレ−して空中に露出した繊維を着色し、埋め込み長さLbを引抜試験後に測定可能できるようにした。
次いで、経木仕切板に沿って個々のセメントモルタルのブロックに分割し、オ−トグラフ(島津製作所製 5000−AGB)を用いて2mm/分で引抜試験を行い(図2参照)、図3のような変位荷重曲線を得た。
【0019】
引抜の荷重/変位の記録により最大荷重(kg 図3のPa)を及び埋め込み長さLbの1/10の変位での荷重(kg 図3のPb)をよみとり、下記式により算出した。引抜試験により繊維切れを起こしたものを除き、n=5以上となるように試験を行い、得られた値の平均値を記載した。
なおLbは引抜試験後1/10mmまで埋込長(cm)を計測したものであり、周長Lは繊維の断面形状を円と仮定し、平均繊度Dr(デニ−ル)、繊維密度A(g/cm3 )から0.2(Dr・π/(90・A))1/2 として求めたものである。
引抜抵抗力=10・Pa/(L×Lb)
摩擦抵抗力=10・Pb/(L×Lb)
【0020】
[曲げ強度(補強材直径20μ以上の場合) kg/mm2
試験に使用した硬化物の配合は以下の通りである。なお、セメントは普通ポルトランドセメント(浅野セメント製 普通ポルトランドセメント)、混和剤はポゾリス−70(ポゾリス物産製)を用いた。
水/セメント比 55%
砂/砂利比 60%
単位セメント量 360kg/m3
単位水量 198kg/m3
砂利最大径 15mm
単位砂量 976kg/m3
単位砂利量 663kg/m3
混和剤 0.4%/セメント
繊維 2vol%
【0021】
まず繊維以外(セメント、砂利、砂)を上記の配合割合となるように傾胴型ミキサ−を用いて60秒ドライミックスした後、水・混和剤を添加して、60秒間ウエットミックスした。引き続いて手でよくほぐしながら繊維を投入し、60秒間混練した。
10cm×10cm×40cmの養生型枠にコンクリ−トを敷きつめ、突き棒でついて脱気後、0.8mm厚さのビニ−ルシ−トを掛けて20℃の部屋の中で1日放置して硬化せしめた後離型した。さらに脱型後20℃の水中に28日間浸漬して養生後、乾燥させることなく3等分点載荷法で曲げ試験を行った。なお曲げ試験は、変形速度一定(ヘッドスピ−ド1mm/分)の等速変形載荷法で荷重をかけ、島津製作所製万能試験機RH−200(最大荷重要領200トン)を用いて行った。曲げ荷重/たわみ曲線を作成し、以下の式により曲げ応力を求めた。
【0022】
なおPは最大曲げ荷重(kg)、Lはスパン(本実施例においては30cm)、bは硬化物の巾(本実施例においては10cm)、tは厚さ(本実施例においては10cm)であり、n=3以上となるように試験を行い平均値を求めた。
Figure 0003720471
【0023】
[曲げ強度(補強材直径20μ未満の場合) kg/mm2
試験に使用した硬化物の配合は以下の通りである。なお、セメントは普通ポルトランドセメント(浅野セメント製 普通ポルトランドセメント)、砂はブレ−ン値4000cm2 /gのシリカ(啓和炉材株式会社製 #4000)を用いた。
水/セメント比 40%
砂/セメント比 60%
繊維添加率 2vol%
【0024】
まずセメントとシリカを容量6リットルのホバ−ト型ミキサ−を用いてドライミックスし、続いて所定の水を加えて3分間混練し、次いで所定量の繊維を手でほぐしながら投入し、3分間混練した。
離型剤を塗布した20cm×25cm×8mmの型枠へ流し込み、均整化後、直径5cm、長さ30cmの鉄パイプを転がしてレベリングを行った。
成型後、厚さ0.8mmのビニ−ルシ−トで覆って24時間1次養生後、脱型し、濡れた不織布で包み込んだ後ビニ−ル袋をかけ、20℃の部屋で21日間養生し、包みをはずして20℃で7日間風乾した。
10cm×2.5cmに切り出し、3点載荷法で曲げ試験を行った。なお曲げ試験は、変形速度一定(ヘッドスピ−ド2mm/分)の等速変形載荷法で荷重をかけ、オ−トグラフ(島津製作所製5000AGB)を用いて行った。曲げ荷重/たわみ曲線を作成し、以下の式により曲げ応力を求めた。
【0025】
なおPは最大曲げ荷重(kg)、Lはスパン(本実施例においては5cm)、bは硬化物の巾(本実施例においては2.5cm)、tは厚さ(本実施例においては0.8cm)であり、b,tを測定片1個ごとに計測してその曲げ強度を算出し、n=5以上となるように試験を行い平均値を求めた。
曲げ強度=3PL/2bt2
【0026】
[クラック状態]
曲げ試験におけるマトリックス破壊時、引張側になる面のクラック発生状況を観察し、モノクラック(モノ)かマルチクラック(マルチ)かを肉眼判定した。[曲げ荷重たわみ曲線]
曲げ荷重たわみ曲線を図4のA,B,C(補強材直径20μ以上)、または図5のA,B(補強材直径20μ未満)の類型に従って分類し判定した。
【0027】
[実施例1]
重合度1700、ケン化度99.9モル%のPVAチップを52.5重量%になるよう水分調節し、1軸型スクリュ−押出機で溶解、脱機後、孔径3.5mmφのノズルから押し出し、熱風型乾燥機を用いて2.5m/minの速度で400分かけて乾燥し(乾燥後の水分率0.1%未満)、次いで熱風型熱延伸炉に導き13倍の延伸倍率で延伸し、概ね4000dの繊維を得た。
得られた繊維をアルキル変性PVA(株式会社クラレ製 MP−103)を温水に溶解して50g/リットルの水溶液としたものを、延伸ロ−ラ−出口〜乾燥ロ−ラ−間でデイップし、引き続いて表面温度130℃の熱ロ−ラ−で乾燥し、長さ30mmにカットした。結果を表1に示す。
【0028】
[実施例2]
アルキル変性PVAのかわりに、弗素変性PVA(株式会社クラレ製 MF−PVA−25)を用いた以外は実施例1と同様に行った。結果を表1にしめす。[比較例1]
樹脂コ−トをしない以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
[比較例2]
延伸倍率を9.5倍とした以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
[比較例3]
コンクリ−ト補強用鋼繊維として市販されているISファイバ−(イケダ鋼板株式会社製 SPCC−1)を用いて評価を行った。結果を表1に示す。
なお鋼繊維の横断面は正方形であり、見掛け繊度の欄は断面辺長(mm)を記載した。
【0029】
[実施例3]
重合度3500、ケン化度98.8モル%のPVAを水に溶解し、これに硼酸を0.28重量%/PVA及び界面活性剤(松本油脂製薬製 アクチノ−ル)を3重量%/PVAとなるように添加して、PVA濃度12重量%の紡糸原液を用いた。
該紡糸原液を孔径0.08mm、1000ホ−ルのノズルから70℃に保たれた凝固液(苛性ソ−ダ128g/リットル、芒硝350g/リットルを含む水溶液)に吐出して凝固せしめ、4m/minの速度で凝固液から引き出した。
なお、ノズルからの原液吐出量は最終製品の繊度が1800d/1000fとなるように調節した。
【0030】
次いで30℃、20g/リットルの硫酸浴にて中和し、80℃、80g/リットルの硫酸浴中で湿潤延伸(6倍)をした後、32℃の水で糸篠を洗浄して硫酸の含有量を0.3〜0.35重量%に調整した。
引き続いて、水分率0.3重量%未満となるように乾燥し、全延伸倍率26倍になるように乾熱延伸を行った。次いで、240℃の炉中を通過させて熱処理した後、ロ−ラ−タッチ方式でエポキシ系樹脂エマルジョン(吉村油化学株式会社製 ビスフェノ−ルエポキシ樹脂E1022)を、繊維への付着率0.6〜0.8重量%となるように塗布した。
ヤ−ン状でチ−ズ形状に巻き取り、長さ6mmにカットした。結果を表2に示す。
【0031】
[実施例4]
エポキシ系樹脂エマルジョンのかわりに酸化ポリプロピレン乳化物(松本油脂製薬株式会社製 VTO−351)を用いた以外は実施例3と同様に行った。結果を表2示す。
[比較例4]
鉱物油系界面活性剤(三洋化成株式会社製 タイヤコードオイル♯2010)を塗布した以外は実施例3と同様に行った。結果を表3に示す。
【0032】
[比較例5]
重合度1700、ケン化度99.9モル%のPVAを水に溶解して、15.5重量%の紡糸原液を調製し、これを孔径0.08mm、4000ホ−ルのノズルから40℃に保たれた凝固液(硫酸ナトリウム435g/リットル水溶液)に吐出して凝固せしめ、次いで80℃、400g/リットルの硫酸ナトリウム浴中にて、2.3倍の湿熱延伸を行って乾燥した。
次いで全延伸倍率が8.5倍になるように乾熱延伸して一旦まきとり、これを水洗して脱芒硝した後、ホルマリン28g/リットル、硫酸240g/リットル、硫酸ナトリウム130g/リットルのホルマリン浴(70℃)中で25分間処理し、苛性ソ−ダで中和水洗後、実施例4と同様に酸化ポリプロピレン乳化物で処理し、乾燥して繊度8000d/4000fの繊維を得た。結果を表2に示す。
【0033】
【表1】
Figure 0003720471
【0034】
【表2】
Figure 0003720471
【0035】
比較例4においては、マトリックスとの接着性が極めて高い補強材を使用しているため、曲げ強度は高いものの、曲げ荷重/たわみ曲線の形状はBタイプである。すなわち、硬化物に曲げ荷重が加わわると、ある限度領域をこえるとマトリックスにクラックが生じるが、繊維の体積分率とヤング率が大きくするとクラックが生じる応力を高める(クラックを生じにくくする)ことができる(複合則)。しかしながら、この場合、一旦クラックが生じてしまうとクラック部でブリッジングしている繊維の局所に応力が集中するため、単一繊維内に応力が分散されないまま繊維が破断してしまい(繊維の強度は高くても、繊度が小さいため単繊維自体の強力は高くはない)、その結果、クラックが成長するとともに繊維の破断が連鎖的に生じることとなる。従って、曲げ強度は優れているものの、タフネスの点で満足できるものは得られない。
【0036】
一方、本発明においては、マトリックスに対して適度の接着性を有する補強材を用いている。従って、モルタルの曲げ強度が高く、また曲げ荷重/たわみ曲線の形状はAタイプであり、さらに引抜試験後のサンプルには長さ方向に多数のマルチクラックが発生していることから、曲げ強度、曲げタフネスともに優れていることがわかる。
すなわち、硬化物に曲げ応力が加わった場合、クラックが発生してもブリッジングしている繊維内に応力が分散し、ブリッジングファイバ−に切断が生じる前にクラック巾が広がって、他の多くの繊維もブリッジング効果を発揮して応力が分散されることとなり、かつ補強材の強度及び摩擦抵抗が高いためクラック発生後も優れた補強効果が得られる。1本の繊維強力には限界があるが、変形歪量に分布をもった多数の積分的強力の向上で、第1クラックの進展が妨げられ、マトリックスの他の部分にクラックが発生してマルチクラックが生じることとなる。本発明の硬化物は、このような破壊経過をたどるために硬化物のタフネスが優れたものとなる。
【0037】
逆に、補強材とマトリックスとの接着性(引抜抵抗、摩擦抵抗)が低すぎると(比較例3)、クラックが容易に発生するのみでなく、クラック発生後にはセメントに十分なブリッジンッグ効果が期待できず、クラックが容易に進展して低いタフネスしか得られない。
また、比較例2、5においては、繊維の強度、ヤング率が低いため、第1クラック発生後になされる応力分散時に単一繊維での伸び変形が大きく、他のクラックが生じる前にクラック巾が拡大し、繊維強度が低いためにブリッジング効果が得られず破断してしまう。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、曲げ強度が高いのみでなくタフネスの高い水硬性硬化体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】引抜抵抗及び摩擦抵抗を測定するために、補強材をマトリックスに差し込んだ状態を示した模式図。
【図2】引抜抵抗及び摩擦抵抗の測定に使用する装置を示した模式図。
【図3】引抜抵抗試験及び摩擦抵抗試験により得られる変位荷重曲線の1例を示した図。
【図4】曲げ荷重たわみ曲線(補強材直径20μ以上の場合)の例を示した図。
【図5】曲げ荷重たわみ曲線(補強材直径20μ未満の場合)の例を示した図。

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  1. 引張強度70kg/mm以上、引抜抵抗10〜80kg/mm 、摩擦抵抗10kg/mm 以上のポリビニルアルコール系繊維からなる水硬性物質用補強材。
  2. 引張強度70kg/mm以上、引抜抵抗10〜80kg/mm 、摩擦抵抗10kg/mm 以上のポリビニルアルコール系繊維により補強された水硬性硬化物。
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