JP2000061925A - 繊維補強コンクリート構造物及び繊維補強コンクリートの製造方法 - Google Patents
繊維補強コンクリート構造物及び繊維補強コンクリートの製造方法Info
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Abstract
応して最適な補強をすることができる繊維補強コンクリ
ート構造物及び繊維補強コンクリートの製造方法を提供
する。 【解決手段】先ず、任意の繊維太さを有する高分子繊維
2の表面に凹凸を設ける。次に、各高分子繊維の表面に
界面活性剤を塗布する。次に、各高分子繊維の任意の本
数を長尺な高分子繊維束16に形成する、そして、これ
ら高分子繊維束を、コンクリート構造物を構築するため
の型枠10内の所定位置に配置する。そして、高分子繊
維束を緊張材として前記高分子繊維の表面の凹凸が無く
ならない程度の弾性変形領域内の引張力を付与する。次
に、型枠内にセメント系マトリックス12を打設し、所
定の養生時間が経過した後、高分子繊維束への引張力を
排除して切断する。これにより高分子繊維束によってプ
レストレスが導入された繊維コンクリート構造物が形成
される。
Description
強度を補強するために高分子繊維を混入してなる繊維補
強コンクリート構造物及び繊維補強コンクリートの製造
方法に関する。
シュを用いたプレストレスコンクリート板として、例え
ば特開平5−192918号公報(以下、先願技術と称
する。)に記載のものが知られている。この先願技術の
プレストレスコンクリート板は、緊張材としてビニロ
ン、ポリプロピレンなどの高分子繊維からなるメッシュ
を、所定の引張応力を維持し低弾性、高伸び率となるよ
うに緊張して型枠内に配設し、型枠にメッシュが内部に
埋めこまれるようにセメント系マトリックスを打設し、
そのセメント系マトリックスが硬化した後にメッシュの
緊張状態を解除し、硬化したセメント系マトリックスに
プレストレスを導入してプレストレスコンクリート板と
するものである。
板を、従来のコンクリート内部にPC鋼材を埋め込んだ
PC板と比較すると、高分子繊維はPC鋼材のように腐
食するおそれがない。また、PC鋼材の場合は、防錆上
の配慮からコンクリートの被りを多く必要としていた
が、高分子繊維は防錆の配慮が不要なので、薄物のPC
板を効率良く製造することができる。
願技術を例えばコンクリート橋梁や水路のコンクリート
壁など大型の土木コンクリート構造物に採用すると、構
造物に加わる引張外力や曲げ外力が構造物の構成部分で
異なる場合においては、緊張材として高分子繊維で形成
したメッシュを用いた場合は引張強度や曲げ強度を自由
に設定することが難しく、土木コンクリート構造物に要
求される強度条件の違いに対応する合理的な補強を行な
うことができなかった。
有しており、硬化したセメント系マトリックスとの付着
力が低下しやすいので、セメント系マトリックスのじん
性を補強する効果が十分に得られない。
ト板は、薄物プレストレスコンクリート板を工場で量産
的に製造する技術であり、施工現場においてコンクリー
ト打設作業により繊維補強コンクリートを製造する方法
には採用することができない。
あり、第1の目的として、セメント系マトリックスに対
する付着力を高めた繊維補強構造とし、大きな引張外力
や曲げ外力が加わっても、高分子繊維が破断せず、その
弾性変形によってセメント系マトリックスのじん性を確
実に補強することができる繊維補強コンクリート構造物
及び繊維補強コンクリートの製造方法を提供し、第2の
目的として、大型の土木コンクリート構造物であっても
引張強度や曲げ強度を自在に設定して効果的な補強を行
うことができる繊維補強コンクリート構造物及び繊維補
強コンクリートの製造方法を提供する。
に、請求項1記載の繊維補強コンクリート構造物は、表
面に凹凸が付けられ、且つ前記表面に界面活性剤が塗布
されている短尺な高分子繊維チップを、当該高分子繊維
チップが弾性収縮している最中にセメント系マトリック
スに均一に混ぜ合わせることにより形成した。
ト構造物は、表面に凹凸が付けられ、且つ前記表面に界
面活性剤が塗布されている任意の繊維太さを有する高分
子繊維を、任意の本数の長尺な高分子繊維束として形成
し、これら高分子繊維束を緊張材として、前記表面の凹
凸が無くならない程度の弾性変形領域内の引張力を付与
してプレストレスト形成した。
トの製造方法は、高分子繊維の表面に凹凸を設ける工程
と、これら高分子繊維の表面に界面活性剤を塗布する工
程と、前記高分子繊維に、弾性変形領域内の引張力を付
与しつつ、前記高分子繊維を短尺な高分子繊維チップに
切断する工程と、当該高分子繊維チップが弾性収縮して
いる最中にセメント系マトリックスに均一に混ぜ合わせ
る工程とを備えた方法である。
ートの製造方法は、任意の繊維太さを有する高分子繊維
の表面に凹凸を設ける工程と、各高分子繊維の表面に界
面活性剤を塗布する工程と、前記高分子繊維の任意の本
数を長尺な高分子繊維束に形成する工程と、前記高分子
繊維束を緊張材として前記高分子繊維の表面の凹凸が無
くならない程度の弾性変形領域内の引張力を付与してプ
レストレスト形成する工程とを備えた方法である。
参照して説明する。図1は、本発明に係る第1実施形態
の繊維補強コンクリートを製造する方法を示したもので
ある。
造装置は、複数本の長尺なポリプロピレン繊維2を、順
次、エンボス加工装置4、界面活性剤塗布装置6、緊張
付与及び切断装置8に送ってポリプロピレン繊維チップ
2sを製造する装置である。
プロピレン繊維2の表面の全域に凹凸を形成する装置で
あり、このエンボス加工装置4で表面に凹凸が形成され
たポリプロピレン繊維2が界面活性塗布装置6に送られ
る。
脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ベンゼンスルホン
酸塩なとの界面活性剤を、凹凸を形成したポリプロピレ
ン繊維の表面に塗布する装置であり、この装置6により
表面全域に界面活性剤が塗布されたポリプロピレン繊維
2が緊張付与及び切断装置8に送られる。
ポリプロピレン繊維2に所定範囲の引張力(以下、この
力を切断直前の引張力と称する)を与え、この状態でポ
リプロピレン繊維2を切断して5〜60mmの長さのポリ
プロピレン繊維チップ2sを形成する装置である。この
緊張付与及び切断装置8で形成したポリプロピレン繊維
チップ2sは、切断直前の引張力に抗して弾性収縮力が
持続している。
た後に熱風オーブン式、熱ロール式、熱板接触式等の各
種方法によって、熱延伸を施すことで分子を配向させて
機械的強度を高めることがなされる。この熱延伸工程
は、図1のなかでは特に図示していないが、一般的には
ポリプロピレン繊維2を紡糸した直後、すなわちエンボ
ス加工装置4に導入される前に熱延伸を加えることが好
適とされる。つまり、エンボス加工装置4で表面に凹凸
が形成された後のポリプロピレン繊維2は、エンボスの
パターンにもより程度の差こそあれ、繊維断面に厚薄が
生じるため、エンボス後の繊維の熱延伸を均一に行うこ
とは困難で安定的な生産性に劣ると共に、熱延伸によっ
て繊維表面の凹凸が緩和される傾向にあり、後述するセ
メント系マトリックスに対する付着力向上の目的が不十
分となることが想定されるからである。
マトリックス12内の全域に、弾性収縮力が持続してい
るポリプロピレン繊維チップ2sを均一に混ぜ合わせ
る。そして、所定時間が経過した後にセメント系マトリ
ックスが硬化すると、弾性収縮力で補強されたポリプロ
ピレン繊維チップ2sを含有する繊維補強コンクリート
構造物が形成される。
した流れ作業に限ることはなく、例えばポリプロピレン
繊維チップ製造装置1を工場に設置し、その工場で生成
したポリプロピレン繊維チップ2sを施工現場に搬入
し、施工現場に配設した型枠10のセメント系マトリッ
クス12に混ぜ合わせてもよい。
クリート構造物によると、ポリプロピレン繊維チップ2
sの表面全域に凹凸が形成されているので、セメント系
マトリックス12に対する付着力が増大する。
触する前に界面活性剤が塗布されているので、繊維表面
がセメント系マトリックス12に親水性となってさらに
付着力が増大する。また、界面活性剤を塗布したことに
より、ポリプロピレン繊維チップ2sどうしが絡まった
状態のファイバーボール(塊)が発生しにくくなる。こ
れにより、セメント系マトリックス12内のポリプロピ
レン繊維チップ2sの分散性が良好となる。
ップ2sは、表面の凹凸形状と界面活性剤の塗布により
ファイバーボール(塊)を発生せずに分散性を高めなが
らセメント系マトリックス12との付着力が増大してい
き、しかもセメント系マトリックス12内のあらゆる方
向(長手方向、幅方向や板厚方向)に延在して混入され
た状態となり、ポリプロピレン繊維チップ2s自身の弾
性収縮力によって、硬化したセメント系マトリックス1
2に繊維補強効果を発現し、大きな引張外力や曲げ外力
が加わってもセメント系マトリックスのじん性を高めた
状態で補強するので、引張強度や曲げ強度を高めること
ができる。
ピレン繊維チップ2sの最適な形状と、ポリプロピレン
繊維チップ2sの切断直前に付与する引張力の最適な数
値を、表1、表2及び図3を参照して説明する。
2sの太さ(断面積)や、表面の凹凸の有無の違いによ
るセメント系マトリックスに対する付着力の変化を示し
たものである。なお、ポリプロピレン繊維チップ2sの
太さは、デニール(長さ9000m当たりの質量をグラ
ム数をもって表したもの)で示しており、デニールの値
が小さいものは太さ(断面積)が小さく、デニールの値
が大きいものは太さ(断面積)が大きい。また、付着力
試験は、図2に示すように、繊維製造時の切断直前の引
張力を900kgf/cm2 に設定した複数種類のポリプロピ
レン繊維チップ2sを用いて、それらチップ2sの下端
側を、セメントと砂とを1:1の重量比で混練りしてな
るモルタルの円筒体14(高さ60mm、直径30mmの円
筒体)に埋め込み、且つ、ポリプロピレン繊維チップ2
sの埋め込み深さは15mmまたは30mmの2つの条件と
し、所定の養生を行った後、円筒体14の上端部の上方
移動を拘束した状態でポリプロピレン繊維2sを上方に
引き抜く力の最大値Fより付着力を測定した。ここで、
付着力は、 付着力(kgf/cm2 )=最大引き抜き力F(kgf )/繊維
の埋設表面積(cm2 ) である。
0デニールであり表面に凹凸を形成しているポリプロピ
レン繊維チップ2sが、セメント系マトリックスに対す
る付着力が増大することがわかる。
2s製造時の切断直前の引張力の違いによるセメント系
マトリックスに対するポリプロピレン繊維チップ2sの
付着力の関係を示したものである。なお、ポリプロピレ
ン繊維チップ2sは、6400デニールで表面に凹凸が
形成されているものを使用し、付着力試験は図2で示し
たものと同様の方法で行った。ここで、6400デニー
ルのポリプロピレン繊維の最大引張応力は、4500kg
f/cm2 程度である。
プ2s製造時の切断直前の引張力を450〜900kgf/
cm2 の範囲にしたポリプロピレン繊維チップ2aが、セ
メント系マトリックスに対する付着力が増大することが
わかる。
を3200〜6400デニールの範囲とし、表面に凹凸
を形成し、製造時の切断直前の引張力を450〜900
kgf/cm2 の範囲)としたポリプロピレン繊維チップ2s
を混入(V=0.4%、比重0.91より、3.64kg
/m3 の混入量)してなる繊維補強コンクリート構造物の
曲げタフネス試験による荷重−変位の試験結果を図3に
示す。なお、この図3の荷重−変位の試験結果は、「鋼
繊維補強コンクリートの曲げ強度および曲げタフネス試
験方法」(JSCE−G552−1983:土木学会規
準コンクリート標準示方書〔規準編〕)に基づいてJI
S−B−7733に規定した試験機を使用して3等分点
荷重方式で行った。また、供試体は、高さ×幅×長さ=
150×150×530mmであり、実線で示すものが本
実施形態のポリプロピレン繊維チップ2sを混入してな
る繊維補強コンクリート構造物の荷重−変位の試験結果
であり、破線及び一点鎖線で示すものが鉄筋繊維補強コ
ンクリート構造物の荷重−変位の試験結果である。
ポリプロピレン繊維チップ2sを混入してなる繊維補強
コンクリート構造物のほうが、鉄筋コンクリート構造物
より曲げ強度が大きい値を示す。したがって、本実施形
態の繊維補強コンクリート構造物は、腐食のおそれがな
いので耐久性が向上し、軽量なコンクリート構造物とな
って作業性、施工性が向上する。
及び表3を参照して説明する。なお、第1実施形態で示
した構成と同一構成部分には、同一符号を付してその説
明を省略する。
生コン車20のドラム22に投入し、高速攪拌して繊維
補強コンクリートを製造している状況を示す。そして、
表3は、5m3の生コンクリートを積載した生コン車20
に、ポリプロピレン繊維チップ2sを9.1kg/m3 (コ
ンクリート1m3に対してポリプロピレン繊維チップ2s
が9.1kgの割合)の値で混入した後、初期のミキサー
排出時から終期のミキサー排出時までの各段階における
生コンクリートを採取し、生コンクリート中のポリプロ
ピレン繊維チップ2sの分散性を、ドラム22の回転時
間を変化させて実測した結果である。なお、各段階の生
コンクリートの試料採取量は、7リットル/回とし、洗
い試験によりポリプロピレン繊維チップ2sの残留量を
求め、生コンクリート1m3 当たり量に換算した。
高速攪拌で60秒以上としたときに、コンクリートの初
期のミキサー排出時(排出の0.3m3以下)、中期のミ
キサー排出時(排出の2.5m3〜3.0m3)、終期のミ
キサー排出時(排出の4.5m3以上)に渡ってポリプロ
ピレン繊維チップ2sの含有量のばらつきが少ないこと
がわかる。これにより、ドラム22の回転時間が高速攪
拌で60秒以上としたときに、コンクリート内のポリプ
ロピレン繊維チップ2sの分散性が良好となる。
設作業であっても、第1実施形態と同様の性質を有する
ポリプロピレン繊維チップ2sを配合した繊維補強コン
クリートを簡単に製造することができ、作業性、施工性
をさらに向上させることができる。
の繊維補強コンクリート構造物を製造する方法を示した
ものである。なお、本実施形態も、第1実施形態を説明
した図1及び図2と同一構成部分には、同一符号を付し
てその説明を省略する。
場内に、エンボス加工装置4及び界面活性剤塗布装置6
の他に、界面活性剤塗布装置6から送られてきた複数本
のポリプロピレン繊維2を束ね、繊維太さや本数が異な
る複数種類の繊維束(高分子繊維束)16を形成する繊
維束製造装置18と、繊維束16をロール状に巻き取る
繊維束巻取り装置19とが設置されている。そして、ロ
ール状に巻き取られた繊維束16はコンクリート構造物
の施工現場に搬入される。そして、各繊維束16は、コ
ンクリート構造物を構築するための型枠10内の所定の
位置に配置された後、緊張付与装置26により所定の引
張力が付与されるとともに、付与された緊張力が緊張保
持装置28によって保持される。ここで、緊張付与装置
26により繊維束16の各ポリプロピレン繊維2が、外
観的には伸び過ぎによって表面の凹凸が無くならない程
度、物性的には過延伸により機械的強度に影響を与えな
い程度、すなわち高分子繊維としての弾性変形領域内の
引張力を付与した状態において、セメント系マトリック
ス12が打設される。
化して所定の養生時間が経過した後、繊維束16への引
張力を排除し、切断装置30により繊維束16を切断す
る。これにより、繊維束16によってプレストレスが導
入された繊維補強コンクリート構造物が形成される。
クリート構造物によると、緊張付与装置26により伸び
過ぎによって表面の凹凸が無くならない程度の繊維束1
6に引張力が付与されており、この繊維の表面全域に形
成されている凹凸と、塗布した界面活性剤により繊維表
面がセメント系マトリックス12に親水性であるので、
繊維束16のセメント系マトリックス12に対する付着
力が増大する。
曲げ強度などの設計条件の違いに対応して、任意の繊維
太さや任意の本数の繊維束16を使用して、各繊維束1
6に対して緊張付与装置26により緊張力を付与してお
り、従来技術における高分子繊維のメッシュを緊張材と
した場合と比較して繊維補強コンクリートの引張強度や
曲げ強度を自由に設定することができるので、土木コン
クリート構造物の効果的な補強を行うことができる。
張付与装置26の緊張力の最適な値について、前述した
図6を参照して説明する。図6は、繊維束16の引張力
を変化させて形成した繊維補強コンクリートの供試体に
ついて曲げ試験を行ったときの荷重−変位曲線を示すも
のである。
ートの曲げ強度および曲げタフネス試験方法」(JSC
E−G552−1983:土木学会規準コンクリート標
準示方書〔規準編〕)に基づいてJIS−B−7733
に規定した試験機を使用して3等分点荷重方式で行って
おり、供試体は高さ×幅×長さ=100×100×40
0mmである。
の繊維束16の引張力を1000kgf/cm2 に設定した供
試体であり、破線で示すものが、供試体作成時の繊維束
16の引張力を450kgf/cm2 に設定した供試体であ
り、一点鎖線破線で示すものが、供試体作成時の繊維束
16の引張力を3600kgf/cm2 に設定した供試体であ
る。
した試験方法の曲げタフネス(曲げじん性係数)σ
b (N/mm2 )を算出する。 なお、σb =Tb /δ1 ・L/bh …………(1) であり、δ1 はスパンの1/150のたわみ(mm)、T
b は図6のδ1 までの面積(N・mm)、Lはスパン、b
は破断断面の幅(mm)、hは破断断面の高さ(mm)であ
る。
0kgf/cm2 に設定した実線の供試体の曲げタフネスσb
は、0.5N/mm2 以上の値を示すが、引張力を450
kgf/cm2 に設定した破線の供試体と、引張力を3600
kgf/cm2 に設定した一点鎖線の供試体は、共に0.5N
/mm2 を下回る値となる。
合は、曲げ外力が加わっても繊維16が緩んだ状態であ
るため補強効果を期待することができず、逆に、繊維束
16の引張力が3600kgf/cm2 の場合は、各ポリプロ
ピレン繊維2が伸びきって破断限界点の寸前であるた
め、それ以上の僅かな外力によっては破断してしまう危
険性がある脆い状態であると共に、表面の凹凸の段差が
少なくなってセメント系マトリックス12との付着力が
付着力が低下しているため、やはり繊維束16の補強効
果を期待することができないことが明らかとなる。以上
から、引張力の範囲は、450〜3600kgf/cm2 の範
囲が適している。実工事では、600〜1200kgf/cm
2 を目安にするとよい。
3実施形態の応用例である。図7はコンクリートスラブ
40を示すものであり、このコンクリートスラブ40の
下部寄りの位置に、表面に凹凸を有する6400デニー
ルのポリプロピレン繊維2を10本束ねてなる繊維束1
6を複数配置し、1000kgf/cm2 の引張力を付与して
埋設されており、各繊維束16は、水平方向に互いに平
行に離間して(紙面の表裏方向に互いに離間して)い
る。
ートスラブを形成した。また、図8及び図9は、水路の
コンクリート壁42の側面図及びIX−IX線の矢視図であ
り、このコンクリート壁42には、表面に凹凸を有する
6400デニールのポリプロピレン繊維2からなる繊維
束16a〜16eを使用している。そして、構造物に要
求される強度条件に対応して各繊維束の束ねる本数は、
コンクリート壁42の下部に位置する繊維束ほど束ねる
本数が多くなっているとともに、隣合う繊維束との埋設
ピッチも、コンクリート壁42の下部に向かうほど短く
設定されている。
水深が深くなるにつれてコンクリート壁42に大きな引
張応力が作用するが、予め、これに対応する引張強度や
曲げ強度などの強度性能を自由に設定できるため合理的
で効果的なコンクリート壁42を構築することができ
る。
となく、各種のセメント系の構造物に適用できる。すな
わち、工場で製造するコンクリート二次製品や、現場で
構築する構造物などである。また、セメントペーストや
モルタルおよびセメントと土を混合したソイルセメント
などにも適用できることは言うまでもない。
ロピレン繊維に限るものではなく、例えば、ポリオレフ
ィン系のポリエチレン、ビニル系のポリ塩化ビニル、ポ
リビニルアルコール、その他のナイロン、アラミド等の
高分子繊維を使用しても、同様の作用効果を得ることが
できる。
維補強コンクリート構造物によると、表面に凹凸が付け
られ、且つ前記表面に界面活性剤が塗布され、製造時に
プレストレスした短尺な高分子繊維チップをセメント系
マトリックスに均一に混ぜ合わせているので、高分子繊
維チップとセメント系マトリックスとの間の付着力が大
幅に増大する。そして、このように付着力が大幅に増大
した高分子繊維チップが硬化したセメントマトリックス
内で弾性収縮しているため、セメント系マトリックスの
全域に繊維の補強効果を発現させ、大きな引張外力や曲
げ外力が加わってもセメント系マトリックスのじん性を
高めた状態で補強するので、満足する引張強度や曲げ強
度を得ることができる。
ト構造物によると、表面に凹凸が付けられ、且つ前記表
面に界面活性剤が塗布されている任意の繊維太さの高分
子繊維を、任意の本数を束ねた長尺な高分子繊維束とし
て形成し、これら高分子繊維束を緊張材として前記表面
の凹凸が無くならない程度の弾性変形領域内の引張力を
付与して形成しているので、高分子繊維束とセメント系
マトリックスとの間の付着力が大幅に増大する。そし
て、このように付着力が大幅に増大した高分子繊維束
が、硬化したセメント系マトリックスからなる繊維補強
コンクリート構造物の全域に確実にプレストレスを導入
する。また、高分子繊維で形成したメッシュを緊張材と
した従来の方法と比較して、本願発明は、引張強度や曲
げ強度を自由に設定することができるので、土木コンク
リート構造物の効果的な補強を行うことができる。
トの製造方法によると、請求項1記載の繊維補強コンク
リート構造物を簡単に製造することができるとともに、
表面に凹凸が付けられ、且つ前記表面に界面活性剤が塗
布された短尺な高分子繊維チップを、例えば生コン車に
投入するだけで容易に製造することができるので、施工
現場のコンクリート打設作業であっても、高品質のコン
クリート構造物を簡単に製造することができ、作業性、
施工性をさらに向上させることができる。
ートの製造方法によると、請求項2記載の繊維補強コン
クリート構造物を簡単に製造することができるととも
に、従来のメッシュ状の高分子繊維を使用したコンクリ
ート構造物と比較して、引張強度や曲げ強度などの設計
条件の違いに対応して最適な補強が行えるため、合理的
で効果的な繊維補強コンクリート構造物を構築すること
ができる。
ート構造物の製造方法を示す概略図である。
方法を示す図である。
クリート供試体の曲げタフネス試験結果を示す図であ
る。
ートの製造方法を示す概略図である。
ートの製造方法を示す平面概略図である。
スト形成した繊維補強コンクリート供試体の曲げタフネ
ス試験結果を示す図である。
スト形成した繊維補強コンクリートスラブを示す図であ
る。
スト形成した水路の繊維補強コンクリート壁を示す断面
図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 表面に凹凸が付けられ、且つ前記表面に
界面活性剤が塗布されている短尺な高分子繊維チップ
を、当該高分子繊維チップが弾性収縮している最中にセ
メント系マトリックスに均一に混ぜ合わせることにより
形成したことを特徴とする繊維補強コンクリート構造
物。 - 【請求項2】 表面に凹凸が付けられ、且つ前記表面に
界面活性剤が塗布されている任意の繊維太さを有する高
分子繊維を、任意の本数の長尺な高分子繊維束として形
成し、これら高分子繊維束を緊張材として、前記表面の
凹凸が無くならない程度の弾性変形領域内の引張力を付
与してプレストレスト形成したことを特徴とする繊維補
強コンクリート構造物。 - 【請求項3】 高分子繊維の表面に凹凸を設ける工程
と、これら高分子繊維の表面に界面活性剤を塗布する工
程と、前記高分子繊維に、弾性変形領域内の引張力を付
与しつつ、前記高分子繊維を短尺な高分子繊維チップに
切断する工程と、当該高分子繊維チップが弾性収縮して
いる最中にセメント系マトリックスに均一に混ぜ合わせ
る工程と、を備えたことを特徴とする繊維補強コンクリ
ートの製造方法。 - 【請求項4】 任意の繊維太さを有する高分子繊維の表
面に凹凸を設ける工程と、各高分子繊維の表面に界面活
性剤を塗布する工程と、前記高分子繊維の任意の本数を
長尺な高分子繊維束に形成する工程と、前記高分子繊維
束を緊張材として前記高分子繊維の表面の凹凸が無くな
らない程度の弾性変形領域内の引張力を付与してプレス
トレスト形成する工程と、を備えたことを特徴とする繊
維補強コンクリートの製造方法。
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---|---|---|---|
JP10232848A JP2000061925A (ja) | 1998-08-19 | 1998-08-19 | 繊維補強コンクリート構造物及び繊維補強コンクリートの製造方法 |
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JP10232848A JP2000061925A (ja) | 1998-08-19 | 1998-08-19 | 繊維補強コンクリート構造物及び繊維補強コンクリートの製造方法 |
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---|---|---|---|
JP10232848A Pending JP2000061925A (ja) | 1998-08-19 | 1998-08-19 | 繊維補強コンクリート構造物及び繊維補強コンクリートの製造方法 |
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Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101035001B1 (ko) | 2010-03-12 | 2011-05-17 | 코오롱건설주식회사 | 하이브리드 섬유가 혼입된 시멘트 경화체 |
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JP2022186192A (ja) * | 2021-06-04 | 2022-12-15 | 極東興和株式会社 | プレストレストコンクリートの製造方法 |
-
1998
- 1998-08-19 JP JP10232848A patent/JP2000061925A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101035001B1 (ko) | 2010-03-12 | 2011-05-17 | 코오롱건설주식회사 | 하이브리드 섬유가 혼입된 시멘트 경화체 |
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JP2022186192A (ja) * | 2021-06-04 | 2022-12-15 | 極東興和株式会社 | プレストレストコンクリートの製造方法 |
JP7299944B2 (ja) | 2021-06-04 | 2023-06-28 | 極東興和株式会社 | プレストレストコンクリートの製造方法および製造装置 |
CN115338951A (zh) * | 2022-08-08 | 2022-11-15 | 南通理工学院 | 一种混合纤维混凝土及其制备方法 |
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