JP2752871B2 - セメント補強用炭素繊維及びセメント複合体 - Google Patents
セメント補強用炭素繊維及びセメント複合体Info
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- JP2752871B2 JP2752871B2 JP31830292A JP31830292A JP2752871B2 JP 2752871 B2 JP2752871 B2 JP 2752871B2 JP 31830292 A JP31830292 A JP 31830292A JP 31830292 A JP31830292 A JP 31830292A JP 2752871 B2 JP2752871 B2 JP 2752871B2
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はセメント補強用炭素繊維
及びそれを用いたセメント複合体に関するものである。
さらに詳しくいえば、本発明は、セメントとの密着性に
優れ、かつダイレクトスプレーガンに対する工程通過性
がよく、しかも集束性が良好であって、特にダイレクト
スプレー工法に適したセメント補強用の炭素繊維、及び
このものを用いた曲げ強度の高いセメント複合体に関す
るものである。
及びそれを用いたセメント複合体に関するものである。
さらに詳しくいえば、本発明は、セメントとの密着性に
優れ、かつダイレクトスプレーガンに対する工程通過性
がよく、しかも集束性が良好であって、特にダイレクト
スプレー工法に適したセメント補強用の炭素繊維、及び
このものを用いた曲げ強度の高いセメント複合体に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】近年、炭素繊維は高強度及び高弾性率を
有し、かつ軽量であるなど、優れた特徴を有することか
ら、例えば航空機部品、自動車部品、スポーツ用具など
の種々の分野における素材、あるいは樹脂補強材やセメ
ント補強材などとして著しく需要が伸びている。
有し、かつ軽量であるなど、優れた特徴を有することか
ら、例えば航空機部品、自動車部品、スポーツ用具など
の種々の分野における素材、あるいは樹脂補強材やセメ
ント補強材などとして著しく需要が伸びている。
【0003】また、セメント類の水硬性粉体を用いた混
練物は各種の建築材料や土木材料などに広く用いられて
いる。このような混練物を補強し、亀裂発生を防止する
ため、従来繊維材料を配合することが行われてきた。し
かしながら、補強繊維として石綿を用いることは発がん
性の点から好ましくなく、また、ガラス繊維は耐アルカ
リ性に劣るため、セメント中においてガラス繊維自体の
強度が劣化するという欠点を有している。そのため、各
種の有機繊維や耐アルカリガラス繊維などが強化材とし
て使用されているが、有機繊維では耐火性の点で問題が
あり、また、耐アルカリガラス繊維を用いてもセメント
などのアルカリ性環境下では、長期間使用すると強度が
低下するという問題が生じる。そこで、耐熱性、耐薬品
性に優れ、かつ高強度、高弾性率の炭素繊維が注目され
ている。
練物は各種の建築材料や土木材料などに広く用いられて
いる。このような混練物を補強し、亀裂発生を防止する
ため、従来繊維材料を配合することが行われてきた。し
かしながら、補強繊維として石綿を用いることは発がん
性の点から好ましくなく、また、ガラス繊維は耐アルカ
リ性に劣るため、セメント中においてガラス繊維自体の
強度が劣化するという欠点を有している。そのため、各
種の有機繊維や耐アルカリガラス繊維などが強化材とし
て使用されているが、有機繊維では耐火性の点で問題が
あり、また、耐アルカリガラス繊維を用いてもセメント
などのアルカリ性環境下では、長期間使用すると強度が
低下するという問題が生じる。そこで、耐熱性、耐薬品
性に優れ、かつ高強度、高弾性率の炭素繊維が注目され
ている。
【0004】しかしながら、炭素繊維をセメントに添加
混合した場合、石綿やガラス繊維に比べてセメントへの
付着性(あるいは密着性)が劣るため、補強材として充
分な効果が発揮されないという問題がある。したがっ
て、これまで炭素繊維のセメントに対する付着性を高
め、得られる炭素繊維強化セメント材の強度を高めるべ
く種々の工夫がなされてきた。例えばエポキシ樹脂など
の疎水性液体樹脂を含浸させた炭素繊維ストランドをセ
メント中に張設し、樹脂とセメントとを同時に硬化させ
る方法(特公昭58−19620号公報)、メチルセル
ロースなどの水溶性結合剤で相互に結着した炭素繊維を
セメント中に一方向あるいは交差する二方向に配向して
配する方法(特開昭56−129657号公報)、アク
リルエマルジョンなどの水溶性合成樹脂エマルジョンを
含ませた炭素繊維シートを介してセメントスラリー層を
重ね合わせる方法(特開昭58−223659号公
報)、ハチエック式抄造法で強化セメント材を製造する
際に繊維表面にポリアルキルアミノアクリレートなどの
ノニオン性、あるいはカチオン性高分子凝集剤を付着さ
せる方法(特開昭60−81052号公報)、炭素繊維
の表面にカチオン性ゴムラテックスを付着させたセメン
ト補強用繊維材(特開昭62−108755号公報)な
どが提案されている。
混合した場合、石綿やガラス繊維に比べてセメントへの
付着性(あるいは密着性)が劣るため、補強材として充
分な効果が発揮されないという問題がある。したがっ
て、これまで炭素繊維のセメントに対する付着性を高
め、得られる炭素繊維強化セメント材の強度を高めるべ
く種々の工夫がなされてきた。例えばエポキシ樹脂など
の疎水性液体樹脂を含浸させた炭素繊維ストランドをセ
メント中に張設し、樹脂とセメントとを同時に硬化させ
る方法(特公昭58−19620号公報)、メチルセル
ロースなどの水溶性結合剤で相互に結着した炭素繊維を
セメント中に一方向あるいは交差する二方向に配向して
配する方法(特開昭56−129657号公報)、アク
リルエマルジョンなどの水溶性合成樹脂エマルジョンを
含ませた炭素繊維シートを介してセメントスラリー層を
重ね合わせる方法(特開昭58−223659号公
報)、ハチエック式抄造法で強化セメント材を製造する
際に繊維表面にポリアルキルアミノアクリレートなどの
ノニオン性、あるいはカチオン性高分子凝集剤を付着さ
せる方法(特開昭60−81052号公報)、炭素繊維
の表面にカチオン性ゴムラテックスを付着させたセメン
ト補強用繊維材(特開昭62−108755号公報)な
どが提案されている。
【0005】しかし、これらの従来技術は、使用する炭
素繊維の形態に限定があったり、施工方法に限定があっ
たり、対象セメント種が制限されたり、あるいはセメン
トに対する付着性が充分でないなどの問題を有し、必ず
しも充分に満足しうるものではない。ところで、最近、
各種繊維を強化材とするコンクリート複合体の製造にお
いて、より長い繊維(25〜30mm以上)を用いるこ
とができ、力学的特性を充分に発揮できるダイレクトス
プレー法が注目され、ガラス繊維を用いて実用化されて
いる。また、繊維製造工程において、特殊な集束剤を用
いることにより集束性を高めたピッチ系炭素繊維をダイ
レクトスプレー法に応用する提案(特開昭62−300
08号公報)もなされているが、製造方法及び炭素繊維
の形態が限定されているため炭素繊維一般に適用するこ
とは困難である。さらにこのダイレクトスプレー法を適
用する場合、補強用炭素繊維は、セメントに対する密着
性が良好であるとともに、ダイレクトスプレーガンに対
する工程通過性に優れる、すなわち炭素繊維と金属との
摩擦性が低く、滑りやすいことが重要である。
素繊維の形態に限定があったり、施工方法に限定があっ
たり、対象セメント種が制限されたり、あるいはセメン
トに対する付着性が充分でないなどの問題を有し、必ず
しも充分に満足しうるものではない。ところで、最近、
各種繊維を強化材とするコンクリート複合体の製造にお
いて、より長い繊維(25〜30mm以上)を用いるこ
とができ、力学的特性を充分に発揮できるダイレクトス
プレー法が注目され、ガラス繊維を用いて実用化されて
いる。また、繊維製造工程において、特殊な集束剤を用
いることにより集束性を高めたピッチ系炭素繊維をダイ
レクトスプレー法に応用する提案(特開昭62−300
08号公報)もなされているが、製造方法及び炭素繊維
の形態が限定されているため炭素繊維一般に適用するこ
とは困難である。さらにこのダイレクトスプレー法を適
用する場合、補強用炭素繊維は、セメントに対する密着
性が良好であるとともに、ダイレクトスプレーガンに対
する工程通過性に優れる、すなわち炭素繊維と金属との
摩擦性が低く、滑りやすいことが重要である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情のもとで、セメントとの密着性に優れ、かつダイレ
クトスプレーガンに対する工程通過性がよく、しかも集
束性が良好であって、特にダイレクトスプレー工法に適
したセメント補強用の炭素繊維、及びこのものを用いた
曲げ強度の高いセメント複合体を提供することを目的と
してなされたものである。
事情のもとで、セメントとの密着性に優れ、かつダイレ
クトスプレーガンに対する工程通過性がよく、しかも集
束性が良好であって、特にダイレクトスプレー工法に適
したセメント補強用の炭素繊維、及びこのものを用いた
曲げ強度の高いセメント複合体を提供することを目的と
してなされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、炭素繊維の表
面に、特定の脂肪族エステルからなるサイジング剤を塗
布することにより、セメントとの密着性に優れ、かつダ
イレクトスプレーガンに対する工程通過性がよく、しか
も集束性が良好なセメント補強用の炭素繊維が得られる
こと、そしてこの炭素繊維を特定の長さかつ特定の割合
で含有するセメント複合体は高い曲げ弾性率を有するこ
とを見出した。本発明は、このような知見に基づいてな
されたものである。すなわち、本発明は、炭素繊維の表
面に、オレイン酸の脂肪族一価アルコールエステル及び
オレイルアルコールの一価脂肪酸エステルの中から選ば
れた少なくとも一種からなるサイジング剤を塗布したこ
とを特徴とするセメント補強用炭素繊維を提供するもの
である。また本発明は、この炭素繊維を繊維長10〜5
0mmに切断し、セメントマトリックスに対して容積混
入率を1〜5%の割合で含有させてなる曲げ強度300
kgf/cm2 以上のセメント複合体をも提供するもの
である。
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、炭素繊維の表
面に、特定の脂肪族エステルからなるサイジング剤を塗
布することにより、セメントとの密着性に優れ、かつダ
イレクトスプレーガンに対する工程通過性がよく、しか
も集束性が良好なセメント補強用の炭素繊維が得られる
こと、そしてこの炭素繊維を特定の長さかつ特定の割合
で含有するセメント複合体は高い曲げ弾性率を有するこ
とを見出した。本発明は、このような知見に基づいてな
されたものである。すなわち、本発明は、炭素繊維の表
面に、オレイン酸の脂肪族一価アルコールエステル及び
オレイルアルコールの一価脂肪酸エステルの中から選ば
れた少なくとも一種からなるサイジング剤を塗布したこ
とを特徴とするセメント補強用炭素繊維を提供するもの
である。また本発明は、この炭素繊維を繊維長10〜5
0mmに切断し、セメントマトリックスに対して容積混
入率を1〜5%の割合で含有させてなる曲げ強度300
kgf/cm2 以上のセメント複合体をも提供するもの
である。
【0008】本発明において、炭素繊維としては、ピッ
チ系,PAN系,レーヨン系等何れも使用可能であり、
公知の方法によって、紡糸,不融化(耐炎化),炭化,
黒鉛化されて引張強度が150kgf/mm2 以上で、
引張弾性率が10×103 kgf/mm2 以上のものが
好ましく使用出来る。またコストに比して弾性率の発現
しやすいメソフェーズピッチ系炭素繊維が特に好ましく
使用出来る。
チ系,PAN系,レーヨン系等何れも使用可能であり、
公知の方法によって、紡糸,不融化(耐炎化),炭化,
黒鉛化されて引張強度が150kgf/mm2 以上で、
引張弾性率が10×103 kgf/mm2 以上のものが
好ましく使用出来る。またコストに比して弾性率の発現
しやすいメソフェーズピッチ系炭素繊維が特に好ましく
使用出来る。
【0009】本発明においては、上記炭素繊維の表面
に、サイジング剤を塗布するが、このサイジング剤は該
炭素繊維の表面に直接塗布してもよいし、所望により炭
素繊維の表面を公知の方法、例えば酸化剤による液相酸
化法、ヒートクリーニング法,気相酸化法,ウイスカラ
イジング法,電解酸化法などにより、処理したのち塗布
してもよい。該サイジング剤としては、オレイン酸の脂
肪族一価アルコールエステル及びオレイルアルコールの
一価脂肪酸エステルの中から選ばれた少なくとも一種が
用いられる。オレイン酸の脂肪族一価アルコールエステ
ルとしては、例えばオレイルオレート,ステアリルオレ
ート,ラウリルオレート,オクチルオレート,2−エチ
ルヘキシルオレート,イソトリデシルオレートなどが挙
げられる。一方、オレイルアルコールの一価脂肪酸エス
テルとしては、例えばオレイルステアレート,オレイル
パルミテート,オレイルラウレート,オレイルイソステ
アレート,オレイルオクタノエートなどが挙げられる。
これらのサイジング剤は一種用いてもよいし、二種以上
を組み合わせて用いてもよい。
に、サイジング剤を塗布するが、このサイジング剤は該
炭素繊維の表面に直接塗布してもよいし、所望により炭
素繊維の表面を公知の方法、例えば酸化剤による液相酸
化法、ヒートクリーニング法,気相酸化法,ウイスカラ
イジング法,電解酸化法などにより、処理したのち塗布
してもよい。該サイジング剤としては、オレイン酸の脂
肪族一価アルコールエステル及びオレイルアルコールの
一価脂肪酸エステルの中から選ばれた少なくとも一種が
用いられる。オレイン酸の脂肪族一価アルコールエステ
ルとしては、例えばオレイルオレート,ステアリルオレ
ート,ラウリルオレート,オクチルオレート,2−エチ
ルヘキシルオレート,イソトリデシルオレートなどが挙
げられる。一方、オレイルアルコールの一価脂肪酸エス
テルとしては、例えばオレイルステアレート,オレイル
パルミテート,オレイルラウレート,オレイルイソステ
アレート,オレイルオクタノエートなどが挙げられる。
これらのサイジング剤は一種用いてもよいし、二種以上
を組み合わせて用いてもよい。
【0010】これらのサイジング剤の塗布方法について
は特に制限はなく、適当な溶剤に溶解した溶液又は水性
媒体に乳化させたエマルジョンを調製し、これに炭素繊
維のストランドを接触若しくは浸漬させたのち、従来公
知の方法、例えば熱風乾燥,赤外線乾燥,マイクロウエ
ーブ乾燥などの手段により、脱溶媒して炭素繊維の表面
をサイジング剤で被覆する。サイジング剤の塗布量は炭
素繊維に対して0.5〜10重量%の範囲にあるのが望ま
しい。この量が0.5重量%未満では本発明の効果が充分
に発揮されず、また、10重量%を超えると集束が過度
に強固になりセメント中の分散度が劣り、セメント複合
体の物性が低下する傾向がみられる。このようにして処
理された炭素繊維束を構成するモノフィラメント数は3
0〜12,000本、好ましくは50〜6,000本である
のが望ましい。このモノフィラメント数が30本未満の
ものは集束した繊維束を製造する際の生産性に劣るし、
12,000本を超えると一束状に集束するのが困難とな
ったり、セメント中での分散性が悪くなったりする。こ
のようにして得られたセメント補強用の炭素繊維は、セ
メントとの密着性に優れ、かつ金属との摩擦性が低く、
滑りやすいため、ダイレクトスプレーガンに対する工程
通過性がよい上、集束性が良好であって、特にダイレク
トスプレー工法に適している。
は特に制限はなく、適当な溶剤に溶解した溶液又は水性
媒体に乳化させたエマルジョンを調製し、これに炭素繊
維のストランドを接触若しくは浸漬させたのち、従来公
知の方法、例えば熱風乾燥,赤外線乾燥,マイクロウエ
ーブ乾燥などの手段により、脱溶媒して炭素繊維の表面
をサイジング剤で被覆する。サイジング剤の塗布量は炭
素繊維に対して0.5〜10重量%の範囲にあるのが望ま
しい。この量が0.5重量%未満では本発明の効果が充分
に発揮されず、また、10重量%を超えると集束が過度
に強固になりセメント中の分散度が劣り、セメント複合
体の物性が低下する傾向がみられる。このようにして処
理された炭素繊維束を構成するモノフィラメント数は3
0〜12,000本、好ましくは50〜6,000本である
のが望ましい。このモノフィラメント数が30本未満の
ものは集束した繊維束を製造する際の生産性に劣るし、
12,000本を超えると一束状に集束するのが困難とな
ったり、セメント中での分散性が悪くなったりする。こ
のようにして得られたセメント補強用の炭素繊維は、セ
メントとの密着性に優れ、かつ金属との摩擦性が低く、
滑りやすいため、ダイレクトスプレーガンに対する工程
通過性がよい上、集束性が良好であって、特にダイレク
トスプレー工法に適している。
【0011】本発明のセメント複合体は、上記のセメン
ト補強用の炭素繊維を、繊維長10〜50mmに切断し
て、セメントマトリックスに対して容積混入率1〜5%
の割合で含有させたものである。該炭素繊維の切断の方
法については特に制限はなく、例えばギロチン式カッタ
ー,ロービングカッターあるいはダイレクトスプレー用
のノズルガンなどを用いて切断することができる。該繊
維長が10mm未満ではセメントとの混合時の分散性は
よいものの、充分な補強性能が得られないし、50mm
を超えると補強性は得られるものの、分散性が低下し、
均一な製品が得られにくい。また、炭素繊維の配合量が
セメントマトリックスに対し、容積混入率が1%未満で
は補強効果が充分に発揮されないし、5%を超えると混
合しにくかったり、均一に分散できなかったりするな
ど、好ましくない事態を招来する。
ト補強用の炭素繊維を、繊維長10〜50mmに切断し
て、セメントマトリックスに対して容積混入率1〜5%
の割合で含有させたものである。該炭素繊維の切断の方
法については特に制限はなく、例えばギロチン式カッタ
ー,ロービングカッターあるいはダイレクトスプレー用
のノズルガンなどを用いて切断することができる。該繊
維長が10mm未満ではセメントとの混合時の分散性は
よいものの、充分な補強性能が得られないし、50mm
を超えると補強性は得られるものの、分散性が低下し、
均一な製品が得られにくい。また、炭素繊維の配合量が
セメントマトリックスに対し、容積混入率が1%未満で
は補強効果が充分に発揮されないし、5%を超えると混
合しにくかったり、均一に分散できなかったりするな
ど、好ましくない事態を招来する。
【0012】セメントに上記炭素繊維を含有させてセメ
ント複合体を成形する方法については特に制限はなく、
従来慣用されている種々の方法、例えばダイレクトスプ
レー法やプレミックス法などを用いることができるが、
本発明においては特にダイレクトスプレー法が好適に用
いられる。このダイレクトスプレー法は、炭素繊維のロ
ービングを連続的に切断しながら圧縮空気ガンのノズル
より吹き出し、同時に他のノズルより吹き出すセメント
スラリーと一緒に吹きつけて成形する方法である。この
際用いられるセメントスラリーについては特に制限はな
く、従来炭素繊維強化セメント複合体の製造において慣
用されているものを使用することができる。該セメント
スラリーとしては、例えばポルトランドセメント,高炉
セメント,アルミナセメントなどの水硬性セメントに、
砂,ケイ砂,パーライト,ひる石,シラスバルーン,フ
ライアッシュ,超微粉シリカなどの骨材と、分散剤,減
水剤,消泡剤などの混和剤などを配合し、水を加えて混
合スラリー化したものを挙げることができる。スラリー
中の水/セメント比や、骨材/セメント比などの配合比
率は、使用する炭素繊維の形態や製造するセメント複合
体の成形性、施工性に応じて適宜選ばれる。このように
して得られた未硬化の成形体は、その後周知の水中養
生,気中養生,蒸気養生などの方法により養生し、固化
して所望の炭素繊維強化セメント複合体を製造すること
ができる。このようにして製造された本発明のセメント
複合体は、その曲げ強度が300kgf/cm2 以上と
高いものであって、建築・土木分野における種々の用途
に好適に用いられる。
ント複合体を成形する方法については特に制限はなく、
従来慣用されている種々の方法、例えばダイレクトスプ
レー法やプレミックス法などを用いることができるが、
本発明においては特にダイレクトスプレー法が好適に用
いられる。このダイレクトスプレー法は、炭素繊維のロ
ービングを連続的に切断しながら圧縮空気ガンのノズル
より吹き出し、同時に他のノズルより吹き出すセメント
スラリーと一緒に吹きつけて成形する方法である。この
際用いられるセメントスラリーについては特に制限はな
く、従来炭素繊維強化セメント複合体の製造において慣
用されているものを使用することができる。該セメント
スラリーとしては、例えばポルトランドセメント,高炉
セメント,アルミナセメントなどの水硬性セメントに、
砂,ケイ砂,パーライト,ひる石,シラスバルーン,フ
ライアッシュ,超微粉シリカなどの骨材と、分散剤,減
水剤,消泡剤などの混和剤などを配合し、水を加えて混
合スラリー化したものを挙げることができる。スラリー
中の水/セメント比や、骨材/セメント比などの配合比
率は、使用する炭素繊維の形態や製造するセメント複合
体の成形性、施工性に応じて適宜選ばれる。このように
して得られた未硬化の成形体は、その後周知の水中養
生,気中養生,蒸気養生などの方法により養生し、固化
して所望の炭素繊維強化セメント複合体を製造すること
ができる。このようにして製造された本発明のセメント
複合体は、その曲げ強度が300kgf/cm2 以上と
高いものであって、建築・土木分野における種々の用途
に好適に用いられる。
【0013】
【実施例】次に実施例により本発明をさらに詳細に説明
する。 実施例1 ステアリルオレート濃度4.0wt%のエマルジョン水溶
液を調製し、この溶液中に、ストランド引張弾性率21
×103 kgf/mm2 及び引張強度216kgf/m
m2 を有する2000フィラメントからなるメソフェー
ズピッチ系炭素繊維ストランドを浸漬したのち乾燥し
て、ステアリルオレートが1.0wt%塗布されたセメン
ト補強用の炭素繊維を作成した。一方、セメント/砂重
量比1.33、水/セメント重量比0.35及びセメント混
和剤/セメント重量比0.008のセメントモルタルを調
製した。ダイレクトスプレー法で用いられるスプレーガ
ンにより、上記のセメント補強用の炭素繊維束を長さ2
5mmに切断しながら、上記セメントモルタルと同時に
吹き付け、炭素繊維強化セメントコンクリート成形体を
得た。この際、炭素繊維の供給量が3vol%になるよ
うに調整した。この成形体を室温材齢7日で長さ250
mm、幅50mm、厚さ10mmの曲げ試験用の供試体
に切出し、支点間距離200mmで3点曲げ試験を行な
った。その結果、曲げ強度は325kgf/cm2 であ
った。また、同じ成形体を室温材齢28日で同様に試験
したところ、曲げ強度は345kgf/cm2 であっ
た。
する。 実施例1 ステアリルオレート濃度4.0wt%のエマルジョン水溶
液を調製し、この溶液中に、ストランド引張弾性率21
×103 kgf/mm2 及び引張強度216kgf/m
m2 を有する2000フィラメントからなるメソフェー
ズピッチ系炭素繊維ストランドを浸漬したのち乾燥し
て、ステアリルオレートが1.0wt%塗布されたセメン
ト補強用の炭素繊維を作成した。一方、セメント/砂重
量比1.33、水/セメント重量比0.35及びセメント混
和剤/セメント重量比0.008のセメントモルタルを調
製した。ダイレクトスプレー法で用いられるスプレーガ
ンにより、上記のセメント補強用の炭素繊維束を長さ2
5mmに切断しながら、上記セメントモルタルと同時に
吹き付け、炭素繊維強化セメントコンクリート成形体を
得た。この際、炭素繊維の供給量が3vol%になるよ
うに調整した。この成形体を室温材齢7日で長さ250
mm、幅50mm、厚さ10mmの曲げ試験用の供試体
に切出し、支点間距離200mmで3点曲げ試験を行な
った。その結果、曲げ強度は325kgf/cm2 であ
った。また、同じ成形体を室温材齢28日で同様に試験
したところ、曲げ強度は345kgf/cm2 であっ
た。
【0014】実施例2 実施例1において、ステアリルオレートの代わりにオレ
イルステアレートを用いた以外は、実施例1と同様にし
て実施した。その結果、室温材齢7日のものの曲げ強度
は310kgf/cm2 、室温材齢28日のものの曲げ
強度は327kgf/cm2 であった。
イルステアレートを用いた以外は、実施例1と同様にし
て実施した。その結果、室温材齢7日のものの曲げ強度
は310kgf/cm2 、室温材齢28日のものの曲げ
強度は327kgf/cm2 であった。
【0015】比較例1 エピコート828及び硬化剤SE−11を含有するエマ
ルジョンタイプのエポキシ系サイジング剤中に、実施例
1と同様のストランド引張弾性率21×103kgf/
mm2 及び引張強度216kgf/mm2 を有する20
00フィラメントからなるメソフェーズピッチ系炭素繊
維ストランドを浸漬したのち、乾燥して、エポキシ系サ
イジング剤が1.0wt%塗布されたセメント補強用の炭
素繊維を作成した。一方、セメント/砂重量比1.33,
水/セメント重量比0.35及びセメント混和剤/セメン
ト重量比0.008のセメントモルタルを調製した。以
下、実施例1と同様にして実施した。その結果、室温材
齢7日のものの曲げ強度は、187kgf/cm2 であ
った。
ルジョンタイプのエポキシ系サイジング剤中に、実施例
1と同様のストランド引張弾性率21×103kgf/
mm2 及び引張強度216kgf/mm2 を有する20
00フィラメントからなるメソフェーズピッチ系炭素繊
維ストランドを浸漬したのち、乾燥して、エポキシ系サ
イジング剤が1.0wt%塗布されたセメント補強用の炭
素繊維を作成した。一方、セメント/砂重量比1.33,
水/セメント重量比0.35及びセメント混和剤/セメン
ト重量比0.008のセメントモルタルを調製した。以
下、実施例1と同様にして実施した。その結果、室温材
齢7日のものの曲げ強度は、187kgf/cm2 であ
った。
【0016】
【発明の効果】本発明のセメント補強用の炭素繊維は、
セメントとの密着性に優れ、かつダイレクトスプレーガ
ンに対する工程通過性がよく、しかも集束性が良好であ
って、特にダイレクトスプレー工法に適している。ま
た、このセメント補強用の炭素繊維を含有するセメント
複合体は曲げ強度が高く、建築・土木分野における種々
の用途に好適に用いられる。
セメントとの密着性に優れ、かつダイレクトスプレーガ
ンに対する工程通過性がよく、しかも集束性が良好であ
って、特にダイレクトスプレー工法に適している。ま
た、このセメント補強用の炭素繊維を含有するセメント
複合体は曲げ強度が高く、建築・土木分野における種々
の用途に好適に用いられる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 勝田 也寸志 茨城県鹿島郡神栖町東和田4番地 株式 会社ペトカ内 (72)発明者 大野 定俊 大阪府南河内郡美原町木材通3−1−8 株式会社竹中工務店 技術研究所 大 阪支所内 (72)発明者 柿沢 忠弘 東京都江東区南砂2−5−14 株式会社 竹中工務店 技術研究所内 (72)発明者 位田 淳一 愛知県名古屋市天白区原5丁目2101番地 (72)発明者 岩田 正樹 愛知県名古屋市港区辰巳町29−11 (56)参考文献 特開 平4−65338(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C04B 14/38 D06M 13/224 D06M 101:40 EPAT(QUESTEL)
Claims (3)
- 【請求項1】 炭素繊維の表面に、オレイン酸の脂肪族
一価アルコールエステル及びオレイルアルコールの一価
脂肪酸エステルの中から選ばれた少なくとも一種からな
るサイジング剤を塗布したことを特徴とするセメント補
強用炭素繊維。 - 【請求項2】 サイジング剤の塗布量が、炭素繊維に対
して0.5〜10重量%である請求項1記載のセメント補
強用炭素繊維。 - 【請求項3】 請求項1又は2記載のセメント補強用炭
素繊維を繊維長10〜50mmに切断し、セメントマト
リックスに対して容積混入率1〜5%の割合で含有させ
てなる曲げ強度300kgf/cm2 以上のセメント複
合体。
Priority Applications (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31830292A JP2752871B2 (ja) | 1992-11-27 | 1992-11-27 | セメント補強用炭素繊維及びセメント複合体 |
DE69313410T DE69313410T2 (de) | 1992-11-27 | 1993-11-26 | Kohlenstoffasern für die Bewehrung von Zement und zementhaltiges Verbundmaterial |
EP19930119110 EP0599340B1 (en) | 1992-11-27 | 1993-11-26 | Carbon fibers for reinforcement of cement and cement composite material |
US08/502,599 US5686181A (en) | 1992-11-27 | 1995-07-14 | Carbon fibers for reinforcement of cement and cement composite material |
US08/876,298 US5855663A (en) | 1992-11-27 | 1997-06-16 | Carbon fibers for reinforcement of cement and cement composite material |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31830292A JP2752871B2 (ja) | 1992-11-27 | 1992-11-27 | セメント補強用炭素繊維及びセメント複合体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06166552A JPH06166552A (ja) | 1994-06-14 |
JP2752871B2 true JP2752871B2 (ja) | 1998-05-18 |
Family
ID=18097688
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP31830292A Expired - Fee Related JP2752871B2 (ja) | 1992-11-27 | 1992-11-27 | セメント補強用炭素繊維及びセメント複合体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2752871B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
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---|---|---|---|---|
JP3270443B2 (ja) * | 2000-03-31 | 2002-04-02 | 北日本化学工業株式会社 | セメント改質剤、セメント改質方法及び改質セメント硬化物 |
KR101485692B1 (ko) * | 2013-08-13 | 2015-01-22 | 전북대학교산학협력단 | 열가소성 수지 사이징제의 제조 및 처리 방법 |
KR102212026B1 (ko) * | 2019-09-03 | 2021-02-05 | 효성첨단소재 주식회사 | 탄소섬유의 제조방법 및 이를 이용하여 제조된 탄소섬유 |
-
1992
- 1992-11-27 JP JP31830292A patent/JP2752871B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06166552A (ja) | 1994-06-14 |
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