JP3719559B2 - 車両シート用ワディング材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ソフト感およびクッション性に優れ、しかも難燃性にも優れた車両シート用ワディング材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種車両シート用ワディング材としては、実開平1−103400号公報などに見られるように、ボリュームがあってソフト感があるうえにクッション性にも優れたポリウレタンフォームからなるものが広く知られているが、ポリウレタンフォームの強度が不十分なため、これを覆う表皮材としてとして強度的に優れた良質のものが使用されることとなってコスト高になるうえに、ポリウレタンフォームは廃棄公害上或いはリサイクリング上の問題点もあった。
【0003】
このような問題を解決するため、最近ではポリウレタンフォームの代わりに繊維ウェブをワディング材とするものが提案されているが、この種のワディング材は繊維ウェブを針刺加工により機械的に充分絡合させて剥離強度をもたせるか、繊維ウェブ中に熱接着性繊維フィラメントを混在させてヒートセット時に繊維フィラメント同士を融着させることにより剥離強度をもたせたものであるため、前者はソフトな風合いを得難くて厚手のものとして不向きであり、また、後者は耐へたり性が悪いうえにコスト高となるなどの問題点があった。
【0004】
そこで本発明者らは、繊維ウェブ内に潤滑性付与樹脂被膜をコーティングした高融点繊維フィラメントを混在させたワディング材を用いることによりソフトな風合いと耐へたり性の双方の向上を図れることを見出し、先に特願平8−29372号として提案した。しかしながら、潤滑性付与樹脂被膜であるシリコン系の樹脂被膜は非常に燃えやすいという特性を有するため、ワディング材として要求される難燃性を十分には満足することができないないという問題点が残されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとするところは上記のような従来の問題点を解決して、廃棄公害上或いはリサイクリング上の問題があるうえに強度的にも問題のあるポリウレタンフォームを少なくするか全く使用することがなく、しかもソフトな風合いがあるうえにクッション性にも優れており、また厚手のものとしても耐へたり性に優れており、更には難燃性にも優れて実用的価値の高い車両シート用ワディング材を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するためになされた本発明の車両シート用ワディング材は、無数の繊維フィラメントよりなる繊維ウェブを所定厚みのワディング本体に成形した車両シート用ワディング材において、前記ワディング本体を、芯フィラメントの表面に潤滑性付与樹脂被膜(4)がコーティングされた高融点繊維フィラメントを主材とする繊維ウェブからなるものとし、前記潤滑性付与樹脂被膜の潤滑性による高融点繊維フィラメントとの接点における滑りで上下方向に加圧されたときの復元力が有効に作用するように構成するとともに、前記芯フィラメントとして内部空気の燃焼が皆無である中実体からなる芯フィラメントを用いることを特徴とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を図面を参考にしながら詳細に説明する。
図において、1は無数の繊維フィラメントをカード機により延綿状とした繊維ウェブに部分的な絡合処理を施した目付けが約350g/m2、厚みが10mmの厚手の自動車シートに供される成形ワディング本体である。そして本発明においては、該ワディング本体1は、芯フィラメント3の表面に潤滑性付与樹脂被膜4がコーティングされた中実の高融点繊維フィラメント2を主材とする繊維ウェブからなるものとされている点に特徴的構成を有するものである。
【0008】
即ち、前記の高融点繊維フィラメント2は、図2に示されるように、ポリエステル繊維フィラメントやポリアミド系繊維フィラメント等の融点が150℃以上で5デニール以下の比較的細デニールの中実体からなる芯フィラメント3の表面に潤滑性付与樹脂被膜4がコーティングされたもので、従来のような車両シート用ワディング材に用いられる断面中空の繊維フィラメントとは異なるものである。そして、このような構成によって、断面中空の場合のように内部空気が燃焼を促進させることを皆無にし難燃性の向上を図るのである。
なお、前記の潤滑性付与樹脂被膜4としては、シリコン樹脂やフッ素樹脂などの融点がヒートセット加工温度より高くて摩擦抵抗の小さいものがコーティング加工により形成される。また、若干コスト高にはなるが潤滑性および難燃性に優れたフッ素樹脂を用いることもできる。
【0009】
また、このような中実の高融点繊維フィラメント2は、十分な難燃性の確保の点から繊維ウェブ中に60重量%以上の割合で含有させることが好ましく、全量を上記高融点繊維フィラメント2とすることもできる。更に、より難燃性を向上させるのに繊維ウェブ中にアクリル塩ビ系繊維やポバール塩ビ系繊維等のいわゆる難燃性繊維を3〜10重量%の割合で含有させることもできる。この場合、3重量%未満では十分な難燃性の向上を図ることができず、10重量%より多い場合には風合いや耐へたり性能に悪影響を及ぼすことがあり3〜10重量%の範囲が好ましい。
【0010】
なお、ワディング本体1は繊維ウェブの裏面に不織布などの裏基布5を添わせて針刺加工とヒートセット加工を施すことにより、図1に示すようなワディング本体1の裏面に該ワディング本体1とともに針刺加工された裏基布5を添着したものとすることによりミシン加工性および引張強度を高めるようにすることもできる。
また、前記繊維ウェブの裏面に対して主材となる高融点繊維フィラメントにホットメルト繊維フィラメントを混在させた前記繊維ウェブとは異種の繊維ウェブを添わせて前記の針刺加工とヒートセット加工を施すことにより、図3に示すような高融点繊維フィラメントにホットメルト繊維フィラメントを混在させて部分的に融着させたワディング本体1とは異種の加工繊維ウェブをクッション裏当て層6としてワディング本体1の裏面に添着したものとして厚みを確保したり、前記した繊維ウェブの裏面に軟質のポリウレタンフォームなどの褥板を添わせて前記の針刺加工とヒートセット加工を施すことにより、図4に示すようなポリウレタンフォームをクッション裏当て層6としてワディング本体1の裏面に添着することにより厚みを確保してより優れた弾性を付与するようにするなど、別部材を付加して使用することも可能であり、これらも本発明の範囲に属することは勿論である。
【0011】
このように構成されたものは、従来の車両シート用ワディング材と同様に使用した場合、ワディング本体1を芯フィラメント3の表面に潤滑性付与樹脂被膜4がコーティングされた中実の高融点繊維フィラメント2を主材とする繊維ウェブからなるものとしてあるので、繊維ウェブを針刺加工により機械的に充分絡合させて剥離強度をもたせたものや、繊維ウェブ中に熱接着性繊維フィラメントを混在させてヒートセット時に繊維フィラメント同士を融着させて剥離強度をもたせたものに比べて遙かにソフトな風合いが得られるうえに弾性に富んだものとなるとともに、潤滑性付与樹脂被膜4のコーティングされた高融点繊維フィラメント2が互いに接点における滑りをよくするので、上下方向に加圧されたときの復元力が有効に作用することとなり、耐へたり性は一段と優れたものとなってより座り心地のよいものとなる。しかも、繊維ウェブを中実の高融点繊維フィラメント2を主材とするものとしてあるので、従来の断面が中空の繊維フィラメントを用いたものに比べて大幅な難燃性の向上を図ることができるものとなる。更には、ワディング本体1を繊維ウェブよりなるものとしたことにより廃棄公害上或いはリサイクリング上の問題があるうえに強度的にも問題のあるポリウレタンフォームを少なくするか全く使用することがなくなる利点もある。
【0012】
表面にシリコン樹脂被膜がコーティングされた3デニールの中実の高融点繊維フィラメントを主材とした繊維ウェブよりなる目付けが約350g/m2、厚みが10mmの厚手の自動車シート用ワディング材を成形し燃焼試験を行った結果、テスト片(n=10)の内、着火したのは3個であり、燃焼速度も63mm/min以下であった。これに対して同一条件で、中空の高融点繊維フィラメントを用いた点のみ異なるテスト片(n=10)の燃焼試験結果は全て着火し、かつ燃焼速度も72mm/min以上であり、本発明の優れた難燃性が確認できた。
また、上記本発明の繊維ウェブ中に、アクリル塩ビ系繊維からなる難燃性繊維を10重量%添加して得られたテスト片(n=10)の燃焼試験を行った結果、着火したのは1個だけで燃焼速度も32mm/minであり、より難燃性が向上していることが確認できた。
【0013】
【発明の効果】
本発明の車両シート用ワディング材は前記説明によって明らかなように、廃棄公害上或いはリサイクリング上の問題があるうえに強度的にも問題のあるポリウレタンフォームを少なくするか全く使用することがなく、しかもソフトな風合いがあるうえにクッション性にも優れており、また厚手のものとしても耐へたり性に優れており、更には難燃性にも優れて実用的価値が極めて高いという利点を有するものである。
よって本発明は従来の問題点を一掃した車両シート用ワディング材として、産業の発展に寄与するところは極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい実施の形態を示す断面図である。
【図2】本発明における高融点繊維フィラメントを示す断面図である。
【図3】その他の好ましい実施の形態を示す断面図である。
【図4】その他の好ましい実施の形態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 ワディング本体
2 高融点繊維フィラメント
3 芯フィラメント
4 潤滑性付与樹脂被膜
5 裏基布
Claims (5)
- 無数の繊維フィラメントよりなる繊維ウェブを所定厚みのワディング本体(1)に成形した車両シート用ワディング材において、前記ワディング本体(1)を、芯フィラメント(3)の表面に潤滑性付与樹脂被膜(4)がコーティングされた高融点繊維フィラメント (2)を主材とする繊維ウェブからなるものとし、前記潤滑性付与樹脂被膜 (4) の潤滑性による高融点繊維フィラメント (2) との接点における滑りで上下方向に加圧されたときの復元力が有効に作用するように構成するとともに、前記芯フィラメント (3) として内部空気の燃焼が皆無である中実体からなる芯フィラメントを用いることを特徴とする車両シート用ワディング材。
- 繊維ウェブ中に中実の高融点繊維フィラメント(2) が60重量%以上の割合で含有されている請求項1に記載の車両シート用ワディング材。
- 繊維ウェブ中に3〜10重量%の難燃性繊維が添加されている請求項1または2に記載の車両シート用ワディング材。
- 潤滑性付与被膜(4) がシリコン樹脂被膜である請求項1または2または3に記載の車両シート用ワディング材。
- ワディング本体(1) の裏面に該ワディング本体(1) とともに針刺加工された裏基布(5) が添着されている請求項1または2または3または4に記載の車両シート用ワディング材。
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1997
- 1997-01-24 JP JP01126097A patent/JP3719559B2/ja not_active Expired - Fee Related
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