JP3717968B2 - ボタン型アルカリ電池 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は封口部を改良したボタン型アルカリ電池に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来のボタン型アルカリ電池の封口部は次のように形成されていた。合成樹脂または合成ゴムからなる絶縁ガスケットを負極端子を兼ねた金属封口板に嵌合し、次にこれを正極端子を兼ねた正極ケースに嵌合し、そして正極ケースの開口部を内方向にかしめて封口する。その際に、電池の漏液を防止するために、シール剤としてポリアミド系樹脂、アスファルト、クロロスルフォン化ポリエチレン、エポキシ樹脂、あるいはこれらの混合物を絶縁ガスケットの全面に塗布するか、またはこれらのシール剤を負極端子を兼ねた金属封口板に当接する箇所にのみ注入するかしていた。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の封口方法のうち、シール剤を絶縁ガスケットの全面に塗布する方法では、耐漏液特性は良好になるが、全面に塗布されたシール剤によって絶縁ガスケット同士がくっつき合い、そのためこれをほぐす作業が後工程として必要となる。一方、シール剤を負極端子を兼ねた金属封口板に当接する箇所にのみ注入する方法では、上記のような作業上の問題は発生しないが、耐漏液特性に劣っている。したがって、作業性と耐漏液特性との両方を満足する封口方法が望まれる。
本発明は上記問題に対処してなされたもので、耐漏液特性に優れ、かつ作業性にも優れたボタン型アルカリ電池を提供することを目的とする。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
本発明のボタン型アルカリ電池は、絶縁ガスケットの全面にシール剤を塗布し、さらにその表面に滑り剤を塗布することによって上記目的を達成した。すなわち、本発明は、負極端子を兼ねた金属封口板の端部と正極端子を兼ねた正極ケースの端部との間に絶縁ガスケットが介在して封口部を形成しているボタン型アルカリ電池において、絶縁ガスケットの全面にシール剤が塗布され、さらに該シール剤の表面に、カーボンブラック、グラファイト、シリカ、タルク、マイカまたはそれらの混合物からなる滑り剤が塗布されていることを特徴とする。
【０００５】
上記において、絶縁ガスケットとしては合成樹脂、合成ゴム等、通常絶縁ガスケットとして使用されるものならばいずれでもよい。また、シール剤としては、ポリアミド系樹脂、アスファルト、クロロスルフォン化ポリエチレン、エポキシ樹脂、あるいはこれらの混合物等、シール機能を有するものならば使用することができる。
【０００６】
【作用】
本発明のボタン型アルカリ電池は、絶縁ガスケットの全面にシール剤が塗布されているので、耐漏液特性が良好であり、しかもその上に塗布された滑り剤によって絶縁ガスケット同士の接着を防止できるので、封口時の作業性も良好である。したがって、耐漏液特性と作業性の両方を向上させることができる。
【０００７】
【実施例】
本発明の実施例を図面を参照して説明する。
図１は本発明のボタン型アルカリ電池（酸化銀電池ＳＲ６２１ＳＷ型、直径６．８ｍｍ、高さ２．１５ｍｍ）の一実施例を示す断面図である。また、図２はこのボタン型アルカリ電池で使用した絶縁ガスケットの拡大図である。図１および図２において、１は負極端子を兼ねた封口板、２はナイロン樹脂よりなるガスケット、３ａはシール剤、３ｂは滑り剤、４は正極ケース、５は正極合剤、６はセパレータ、７は液保持材、８は負極作用物質である。
【０００８】
図２に示されるように、本発明のボタン型アルカリ電池の絶縁ガスケットは、その全面にシール剤３ａが塗布され、さらにその上に滑り剤３ｂが塗布されている。本実施例ではシール剤３ａとして以下の配合物を使用し、これをスプレー式の流動層塗布機を用いて絶縁ガスケット全面に塗布した。
シール剤： 脂肪酸ポリアミド樹脂…２０ｗｔ％、 イソプロピルアルコール…４０ｗｔ％、 トルエン…４０ｗｔ％。
【０００９】
上記シール剤を塗布した後、以下の配合の滑り剤３ｂを塗布した。
滑り剤： タルク…５ｗｔ％、 イソプロピルアルコール…４５ｗｔ％、 エチルアルコール…５０ｗｔ％。
【００１０】
滑り剤を塗布する場合には、タルクがスプレー容器に沈降しやすいので、攪拌しながら塗布する。塗布量はシール剤中の脂肪酸ポリアミド樹脂の固形分に対してタルクが０．５ｗｔ％になるように調製した。
【００１１】
次に、本発明との比較のために、比較例１として上記シール剤を絶縁ガスケットの全面に塗布して滑り剤を塗布しないもの、比較例２として上記シール剤を注射器により絶縁ガスケットの金属封口板１に当接する箇所に注入したもの、をそれぞれ使用し、本発明の実施例電池と同じ型の電池を作成した。
【００１２】
本発明の実施例電池と比較例１および２の電池のそれぞれ５０個を、温度４５℃、湿度９３％の環境下に、４０日、８０日、１２０日貯蔵した後、２０倍の顕微鏡でそれらの漏液発生数を調べた。結果を表１に示す。
【００１３】
【表１】
また、作業性については、実施例および比較例２の絶縁ガスケットはパッキング同士のくっつきがなく、ほぐし工程が必要なかったが、比較例１の場合はくっつきが発生してほぐし作業をしなければならなかった。
【００１５】
なお、上記実施例ではシール剤として脂肪酸ポリアミド樹脂を使用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他にアスファルト、クロロスルホン化ポリエチレン、エポキシ樹脂、またはこれらの混合物等を使用しても同様の効果が得られる。また、滑り剤としても、上記のタルク以外にシリカ、マイカ、カーボンブラック、グラファイト等も同様に使用できる。
【００１６】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のボタン型アルカリ電池は、封口部分を改良したことにより、耐漏液特性が優れ、かつ封口の際の作業性もよいという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施例のボタン型アルカリ電池の断面図。
【図２】本発明のボタン型アルカリ電池に用いられる絶縁ガスケットの一実施例の断面図。
【符号の説明】
１…負極端子を兼ねた封口板、２…ガスケット、３ａ…シール剤、３ｂ…滑り剤、４…正極ケース、５…正極合剤、６…セパレータ、７…液保持材、８…負極作用物質。
Claims (1)
- 負極端子を兼ねた金属封口板の端部と正極端子を兼ねた正極ケースの端部との間に絶縁ガスケットが介在して封口部を形成しているボタン型アルカリ電池において、絶縁ガスケットの全面にシール剤が塗布され、さらに該シール剤の表面に、カーボンブラック、グラファイト、シリカ、タルク、マイカまたはそれらの混合物からなる滑り剤が塗布されていることを特徴とするボタン型アルカリ電池。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP12334995A JP3717968B2 (ja) | 1995-05-23 | 1995-05-23 | ボタン型アルカリ電池 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP12334995A JP3717968B2 (ja) | 1995-05-23 | 1995-05-23 | ボタン型アルカリ電池 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH08315792A JPH08315792A (ja) | 1996-11-29 |
| JP3717968B2 true JP3717968B2 (ja) | 2005-11-16 |
Family
ID=14858374
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP12334995A Expired - Fee Related JP3717968B2 (ja) | 1995-05-23 | 1995-05-23 | ボタン型アルカリ電池 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3717968B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
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| JP4966518B2 (ja) * | 2005-06-15 | 2012-07-04 | Ｆｄｋエナジー株式会社 | アルカリ電池 |
-
1995
- 1995-05-23 JP JP12334995A patent/JP3717968B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH08315792A (ja) | 1996-11-29 |
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