JP3717267B2 - 部材固定用雌ねじ型及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンクリート構造物等に種々な部材を固定する際に使用する部材固定用雌ねじ型、及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、コンクリート構造物に種々な部材を固定する際に使用する部材固定用雌ねじ型は、中心に雌ねじ孔を形成した部材固定用雌ねじ型を金属またはセラミックス等で製造し、この部材固定用雌ねじ型をコンクリート構造物の表面に埋め込み、固定しようとする部材に挿通したボルトを部材固定用雌ねじ型の雌ねじ孔に螺合して、コンクリート構造物に所用部材を固定していた。
【0003】
従来、このような部材固定用雌ねじ型を金属で製造する場合には、金属製のブロック体に雌ねじ孔を穿設していた。
【0004】
また部材固定用雌ねじ型をセラミックスで製造する場合には、外型の中に、雌ねじ孔を成形するねじ内型を設置し、外型にセラミックス粉末を充填してラバープレスで成形した後、ねじ内型を回しながら取り出していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、金属で部材固定用雌ねじ型を製造する場合には、金属製本体に雌ねじ孔を切削により設けるため材料が無駄になり、製造工程も多くなる問題があった。
【0006】
また部材固定用雌ねじ型をセラミックスで製造する場合には、全体が均一な緻密体になりにくく、特に雌ねじ孔のねじ山部分の成形が困難な問題があった。
【0007】
本発明は、このような従来の問題を解消し、材料が無駄にならず、簡単な工程で、雌ねじ孔のねじ山部分も容易に成形できるようにした部材固定用雌ねじ型及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は部材固定用雌ねじ型をその軸方向中心線で切断した場合に両側の雌ねじ部分は反転対称になることに着目し、その半部のみを成形してその2つを反転接合して所定の雌ねじ型を提供するものである。
【0009】
請求項1の発明は、円筒の中心軸線を通る平面で切断した半円形の凹状の半裁円筒面に形成された雌ねじを有する半裁雌ねじ孔と、前記円筒の中心軸線を通る平面上で前記半裁雌ねじ孔の両側に設けられた接合面とを備えた同形の半裁型材の2つを、一方を他方に対して反転して対面させ前記接合面で互いに接合して形成したことを特徴とする部材固定用雌ねじ型に係るもので、半裁型材の一方を他方に対して反転し、両者を両側の接合面で互いに接合すると、雌ねじ孔を有する部材固定用雌ねじ型が得られる。
【0010】
請求項2の発明は、接合面の一端から一定の距離をおいて形成された嵌合凹部と、接合面の他端から前記一定の距離をおいて形成され前記嵌合凹部に嵌入し得る嵌合突部とを接合面に備えたことを特徴とする請求項1記載の部材固定用雌ねじ型に係るもので、2つの半裁型材の接合面に形成されている嵌合凹部と嵌合突部とにより、2つの半裁型材の接合の際に正確な位置決めができるようになる。請求項3の発明は、半裁型材の外側に、突出部を備えたことを特徴とする請求項1記載の部材固定用雌ねじ型に係るもので、コンクリート構造物に埋め込まれた部材固定用雌ねじ型は、雌ねじ孔にボルトを螺合する際に回転することが防止される。
【0011】
請求項4の発明は、底面中央に、表面に雄ねじ山を形成した半裁円筒面を設け、その半裁円筒面の両側には接合面形成用平面部を設けてなる型枠に、成形用粉末を充填し、該成形用粉末を加圧して、雌ねじ面をもった半裁型材を成形した後、その半裁型材の2つを一方を他方に対して反転させて対面させ、半裁円筒面の両側に形成された接合面で2つの半裁型材を接合し、雌ねじ孔を形成することを特徴とする部材固定用雌ねじ型の製造方法に係るもので、型枠の半裁円筒面に形成されている雄ねじ山により、半裁型材の半裁雌ねじ孔のねじ山部分が、切削によらず押圧のみで容易に成形できるようになるので、緻密な製品が得られる。
【0012】
請求項5の発明は、半裁円筒面の両側に形成された平面に、嵌合凹部形成用突部と嵌合突部形成用凹部とを備えた型枠を使用して半裁型材を成形し、2つの半裁型材を接合する際に、一方の半裁型材の嵌合凹部と嵌合突部を、他方の半裁型材の嵌合突部と嵌合凹部とに嵌合することを特徴とする請求項4記載の部材固定用雌ねじ型の製造方法に係るもので、嵌合凹部と嵌合突部との嵌合により2つの半裁型材が正確な位置で接合され、半裁雌ねじ孔の雌ねじが連続した雌ねじになる。
【0013】
請求項6の発明は、加圧面に突出部形成用凹部を有する加圧型を使用して成形用粉末を加圧し、得られる半裁型材の外側に、突出部を形成することを特徴とする請求項4記載の部材固定用雌ねじ型の製造方法に係るもので、半裁型材を成形する際に、その外側に同時に突出部を形成することができる。その突出部は本雌ねじ型をコンクリート構造物に埋め込み使用する際に回り止めの作用をする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図に基づいて説明する。
【0015】
本発明は、図5の平面図に示すような、ほぼ円筒状の部材固定用雌ねじ型1となる製品の、円筒状の中心軸線2を通る平面3で切断した形状の半裁型材4,4を同一型で製造し、製造した2つの半裁型材4,4を反転対向して接合して部材固定用雌ねじ型1とするものである。
【0016】
図1は、このような半裁型材4の実施の形態の一例を示す正面図、図2は平面図、図3は右側面図、図4は図2のIV−IV断面図であって、半裁型材4は図2に示すように、円筒状の中心軸線2を通る平面3で切断した半円形に近似する形状を呈している。
【0017】
この半裁型材4には、中心軸線2を通る平面3で切断した半円形の凹状の半裁円筒面に雌ねじ5(図1参照)を形成した半円形の半裁雌ねじ孔6(図2参照)が、図1に示すように半裁型材4の上端から下端に亘って設けられている。
【0018】
そして、この半裁雌ねじ孔6の両側には、中心軸線2を通る平面3上に位置するようにした接合面7,8が設けられている。
【0019】
接合面7,8にはれぞれ、上端から一定の距離9(図1、図4参照)をおいて、嵌合凹部10が形成されており、また下端から同じ一定の距離9をおいて、嵌合突部11が形成されている。
【0020】
嵌合凹部10の横幅寸法と縦の寸法とは、嵌合突部11の横幅寸法と縦の寸法と等しい寸法になっており、嵌合凹部10の深さの寸法は、図4に示すように嵌合突部11の突出寸法と等しいかやや大きい寸法になっている。
【0021】
このため、1つの半裁型材4に対して、他の半裁型材4を上下反転し、これら2つの半裁型材4,4の接合面7,8を互いに接近させると、一方の半裁型材4の嵌合凹部10と嵌合突部11は、他方の半裁型材4の嵌合突部11と嵌合凹部10に嵌合し、一方の半裁型材4の接合面7,8と他方の半裁型材4の接合面8,7とは、密に接することができるようになっている。そして、雌ねじ孔6に設けられている螺糸は一体につながって雌ねじを形成する。
【0022】
半裁型材4の外側の上部と下部には、中心軸線2を通る平面3からはみ出さないようにして、突出部12が形成されている。
【0023】
上述した半裁型材4を製造する場合には、型枠に、焼結合金になる金属粉末もしくはセラミックス粉末のような成形用粉末を充填して加圧して製造する。
【0024】
半裁型材4を製造する型枠の凹所の中心線上には、図2に示す半裁雌ねじ孔6を成型するために、円筒の中心軸線2を通る平面3で切断した半円形の凸状の半裁円筒面が設けられていて、その凸状の半裁円筒面には、雌ねじ5(図1参照)を成型するための雄ねじ山が突設されている。
【0025】
さらに上述の型枠の凹所の半円形の凸状の半裁円筒面両側には、接合面7,8を成型するための、円筒の中心軸線2を通る平面が設けられている。そしてこの平面には、嵌合凹部10及び嵌合突部11を成型するために、嵌合凹部形成用突部と嵌合突部形成用凹部とが設けられている。
【0026】
このような凹所を有する型枠に、金属粉末もしくはセラミックス粉末の成形用粉末を充填し、この成形用粉末を加圧する加圧型の加圧面には、半裁型材4の外側の上部と下部に突出部12を形成するための突出部形成用凹部が設けてあって、この加圧型を使用して型枠内に充填されている成形用粉末を加圧成型すると、半裁型材4の半裁型材4の外側の上部と下部には、突出部12が形成される。
【0027】
このようにして成型した半裁型材4を2つ用い、半裁型材4,4の接合面7,8にそれぞれ接着剤を塗布して、一方の半裁型材4を図2に示す中心軸線2を通る平面3上で反転して上下反対にした後、一方の半裁型材4の嵌合凹部10と嵌合突部11を他方の半裁型材4の嵌合突部11と嵌合凹部10に嵌合し、2つの半裁型材4,4を接合面7,8で接合すると、図5ないし図9に示すほぼ円筒状の部材固定用雌ねじ型1が完成する。
【0028】
このように1つの型枠で成型した半裁型材4を2つ用い、一方を中心軸線2を通る平面3上で反転して接合すると、嵌合凹部10と嵌合突部11との嵌合によって2つの半裁型材4,4は一定の結合状態となり、双方の半裁雌ねじ孔6,6は図5に示すように円形になり、雌ねじ5は図8に示すように連続した1つの螺旋になる。また、部材固定用雌ねじ型1の外側には、突出部12が突出することになる。成形体は焼結により強固な製品とする。
【0029】
この部材固定用雌ねじ型1は図10に示すように、部材を固定しようとするコンクリート構造物13の表面に、部材固定用雌ねじ型1の一端が露出するようにして埋め込む。そして固定しようとする部材14に穿設されているボルト挿通孔15にボルト16を挿通し、このボルト16の先端を、部材固定用雌ねじ型1の雌ねじ5に螺合してボルト16を締め付ける。
【0030】
部材固定用雌ねじ型1の外側には、図5ないし図7に示すように突出部12が突出しているので、ボルト16を雌ねじ5に螺合して締め付ける際、部材固定用雌ねじ型1はコンクリート構造物13に対して回動することなく固定状態に保たれるため、ボルト16を雌ねじ5にきつく締め付けて、部材14をコンクリート構造物13の表面に強固に取り付けることができる。
【0031】
図11は、半裁型材4の実施の形態の他の例を示す正面図、図12は平面図、図13は右側面図、図14は図12のXIV−XIV断面図であって、図1ないし図4と同一部分には同一符号を付してある。
【0032】
この実施の形態においては、半裁型材4の半円筒状の外側の上部の円弧中心に、接線方向に突出する突出部12が形成されているほかは、図1ないし図4に示した実施の形態と同一の構成になっている。
【0033】
そしてこの半裁型材4を成型する型枠は、図1ないし図4に示した半裁型材4を成型する型枠と同じ構成のもので、ただ突出部形成用凹部の形状が異なるだけである。
【0034】
図11ないし図14に示す半裁型材4を2つ用い、一方を中心軸線2を通る平面3上で反転して接合すると、図15に示すように、円筒状の両端の直径の反対側に接線方向の突出部12が形成される。そして図10と同様に部材を固定しようとするコンクリート構造物13の表面に埋め込んで、部材14をコンクリート構造物13の表面に強固に取り付けることができる。
【0035】
【発明の効果】
請求項1の発明は、部材固定用雌ねじ型を半分に相当する同形の2つの半裁型材の一方を反転し接合面で他の一方で接合したものであるため、雌ねじ孔を同じパターンで形成することができ、材料が無駄にならず、製作が容易になり、しかも均質な製品が得られる効果がある。
【0036】
請求項2の発明は、嵌合凹部と嵌合突部との嵌合により、2つの半裁型材の接合の際の位置決めができ、2つの半裁型材に位置のずれが生じないため、正確な製品が得られる効果がある。
【0037】
請求項3の発明は、半裁型材の外側に突出部があるため、雌ねじ孔にボルトを螺合する際に部材固定用雌ねじ型が回転せず、部材をコンクリート構造物の表面に強固に取り付けることができる効果がある。
【0038】
請求項4の発明は、半裁型材として製作した均質のものを接合するため、型枠が簡単なものですみ、成形が容易であり、全体が均一な緻密体になり、雌ねじ孔のねじ山部分の成形も確実にできる効果がある。
【0039】
請求項5の発明は、接合面に位置決めのための嵌合凹部と嵌合突部とを成形するので、2つの半裁型材を接合する際にずれがなく、半裁雌ねじ孔の雌ねじが連続した雌ねじになる効果がある。
【0040】
請求項6の発明は、半裁型材を作る際に回り止め用の突出部も同時に成形でき、均一な製品ができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における半裁型材の実施の形態の一例を示す正面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図1の右側面図である。
【図4】図2のIV−IV断面図である。
【図5】図2に示した半裁型材によって形成した部材固定用雌ねじ型を示す平面図である。
【図6】図5の正面図である。
【図7】図5の右側面図である。
【図8】図5のVIII−VIII断面図である。
【図9】図5のIX−IX断面図である。
【図10】本発明による部材固定用雌ねじ型の使用状態を示す断面図である。
【図11】本発明における半裁型材の実施の形態の他の例を示す正面図である。
【図12】図11の平面図である。
【図13】図12の右側面図である。
【図14】図12のXIV−XIV断面図である。
【図15】図13に示した半裁型材によって形成した部材固定用雌ねじ型を示す側面図である。
【符号の説明】
2 中心軸線
3 平面
4 半裁型材
5 雌ねじ
6 半裁雌ねじ孔
7 接合面
8 接合面
9 一定の距離
10 嵌合凹部
11 嵌合突部
12 突出部
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンクリート構造物等に種々な部材を固定する際に使用する部材固定用雌ねじ型、及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、コンクリート構造物に種々な部材を固定する際に使用する部材固定用雌ねじ型は、中心に雌ねじ孔を形成した部材固定用雌ねじ型を金属またはセラミックス等で製造し、この部材固定用雌ねじ型をコンクリート構造物の表面に埋め込み、固定しようとする部材に挿通したボルトを部材固定用雌ねじ型の雌ねじ孔に螺合して、コンクリート構造物に所用部材を固定していた。
【0003】
従来、このような部材固定用雌ねじ型を金属で製造する場合には、金属製のブロック体に雌ねじ孔を穿設していた。
【0004】
また部材固定用雌ねじ型をセラミックスで製造する場合には、外型の中に、雌ねじ孔を成形するねじ内型を設置し、外型にセラミックス粉末を充填してラバープレスで成形した後、ねじ内型を回しながら取り出していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、金属で部材固定用雌ねじ型を製造する場合には、金属製本体に雌ねじ孔を切削により設けるため材料が無駄になり、製造工程も多くなる問題があった。
【0006】
また部材固定用雌ねじ型をセラミックスで製造する場合には、全体が均一な緻密体になりにくく、特に雌ねじ孔のねじ山部分の成形が困難な問題があった。
【0007】
本発明は、このような従来の問題を解消し、材料が無駄にならず、簡単な工程で、雌ねじ孔のねじ山部分も容易に成形できるようにした部材固定用雌ねじ型及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は部材固定用雌ねじ型をその軸方向中心線で切断した場合に両側の雌ねじ部分は反転対称になることに着目し、その半部のみを成形してその2つを反転接合して所定の雌ねじ型を提供するものである。
【0009】
請求項1の発明は、円筒の中心軸線を通る平面で切断した半円形の凹状の半裁円筒面に形成された雌ねじを有する半裁雌ねじ孔と、前記円筒の中心軸線を通る平面上で前記半裁雌ねじ孔の両側に設けられた接合面とを備えた同形の半裁型材の2つを、一方を他方に対して反転して対面させ前記接合面で互いに接合して形成したことを特徴とする部材固定用雌ねじ型に係るもので、半裁型材の一方を他方に対して反転し、両者を両側の接合面で互いに接合すると、雌ねじ孔を有する部材固定用雌ねじ型が得られる。
【0010】
請求項2の発明は、接合面の一端から一定の距離をおいて形成された嵌合凹部と、接合面の他端から前記一定の距離をおいて形成され前記嵌合凹部に嵌入し得る嵌合突部とを接合面に備えたことを特徴とする請求項1記載の部材固定用雌ねじ型に係るもので、2つの半裁型材の接合面に形成されている嵌合凹部と嵌合突部とにより、2つの半裁型材の接合の際に正確な位置決めができるようになる。請求項3の発明は、半裁型材の外側に、突出部を備えたことを特徴とする請求項1記載の部材固定用雌ねじ型に係るもので、コンクリート構造物に埋め込まれた部材固定用雌ねじ型は、雌ねじ孔にボルトを螺合する際に回転することが防止される。
【0011】
請求項4の発明は、底面中央に、表面に雄ねじ山を形成した半裁円筒面を設け、その半裁円筒面の両側には接合面形成用平面部を設けてなる型枠に、成形用粉末を充填し、該成形用粉末を加圧して、雌ねじ面をもった半裁型材を成形した後、その半裁型材の2つを一方を他方に対して反転させて対面させ、半裁円筒面の両側に形成された接合面で2つの半裁型材を接合し、雌ねじ孔を形成することを特徴とする部材固定用雌ねじ型の製造方法に係るもので、型枠の半裁円筒面に形成されている雄ねじ山により、半裁型材の半裁雌ねじ孔のねじ山部分が、切削によらず押圧のみで容易に成形できるようになるので、緻密な製品が得られる。
【0012】
請求項5の発明は、半裁円筒面の両側に形成された平面に、嵌合凹部形成用突部と嵌合突部形成用凹部とを備えた型枠を使用して半裁型材を成形し、2つの半裁型材を接合する際に、一方の半裁型材の嵌合凹部と嵌合突部を、他方の半裁型材の嵌合突部と嵌合凹部とに嵌合することを特徴とする請求項4記載の部材固定用雌ねじ型の製造方法に係るもので、嵌合凹部と嵌合突部との嵌合により2つの半裁型材が正確な位置で接合され、半裁雌ねじ孔の雌ねじが連続した雌ねじになる。
【0013】
請求項6の発明は、加圧面に突出部形成用凹部を有する加圧型を使用して成形用粉末を加圧し、得られる半裁型材の外側に、突出部を形成することを特徴とする請求項4記載の部材固定用雌ねじ型の製造方法に係るもので、半裁型材を成形する際に、その外側に同時に突出部を形成することができる。その突出部は本雌ねじ型をコンクリート構造物に埋め込み使用する際に回り止めの作用をする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図に基づいて説明する。
【0015】
本発明は、図5の平面図に示すような、ほぼ円筒状の部材固定用雌ねじ型1となる製品の、円筒状の中心軸線2を通る平面3で切断した形状の半裁型材4,4を同一型で製造し、製造した2つの半裁型材4,4を反転対向して接合して部材固定用雌ねじ型1とするものである。
【0016】
図1は、このような半裁型材4の実施の形態の一例を示す正面図、図2は平面図、図3は右側面図、図4は図2のIV−IV断面図であって、半裁型材4は図2に示すように、円筒状の中心軸線2を通る平面3で切断した半円形に近似する形状を呈している。
【0017】
この半裁型材4には、中心軸線2を通る平面3で切断した半円形の凹状の半裁円筒面に雌ねじ5(図1参照)を形成した半円形の半裁雌ねじ孔6(図2参照)が、図1に示すように半裁型材4の上端から下端に亘って設けられている。
【0018】
そして、この半裁雌ねじ孔6の両側には、中心軸線2を通る平面3上に位置するようにした接合面7,8が設けられている。
【0019】
接合面7,8にはれぞれ、上端から一定の距離9(図1、図4参照)をおいて、嵌合凹部10が形成されており、また下端から同じ一定の距離9をおいて、嵌合突部11が形成されている。
【0020】
嵌合凹部10の横幅寸法と縦の寸法とは、嵌合突部11の横幅寸法と縦の寸法と等しい寸法になっており、嵌合凹部10の深さの寸法は、図4に示すように嵌合突部11の突出寸法と等しいかやや大きい寸法になっている。
【0021】
このため、1つの半裁型材4に対して、他の半裁型材4を上下反転し、これら2つの半裁型材4,4の接合面7,8を互いに接近させると、一方の半裁型材4の嵌合凹部10と嵌合突部11は、他方の半裁型材4の嵌合突部11と嵌合凹部10に嵌合し、一方の半裁型材4の接合面7,8と他方の半裁型材4の接合面8,7とは、密に接することができるようになっている。そして、雌ねじ孔6に設けられている螺糸は一体につながって雌ねじを形成する。
【0022】
半裁型材4の外側の上部と下部には、中心軸線2を通る平面3からはみ出さないようにして、突出部12が形成されている。
【0023】
上述した半裁型材4を製造する場合には、型枠に、焼結合金になる金属粉末もしくはセラミックス粉末のような成形用粉末を充填して加圧して製造する。
【0024】
半裁型材4を製造する型枠の凹所の中心線上には、図2に示す半裁雌ねじ孔6を成型するために、円筒の中心軸線2を通る平面3で切断した半円形の凸状の半裁円筒面が設けられていて、その凸状の半裁円筒面には、雌ねじ5(図1参照)を成型するための雄ねじ山が突設されている。
【0025】
さらに上述の型枠の凹所の半円形の凸状の半裁円筒面両側には、接合面7,8を成型するための、円筒の中心軸線2を通る平面が設けられている。そしてこの平面には、嵌合凹部10及び嵌合突部11を成型するために、嵌合凹部形成用突部と嵌合突部形成用凹部とが設けられている。
【0026】
このような凹所を有する型枠に、金属粉末もしくはセラミックス粉末の成形用粉末を充填し、この成形用粉末を加圧する加圧型の加圧面には、半裁型材4の外側の上部と下部に突出部12を形成するための突出部形成用凹部が設けてあって、この加圧型を使用して型枠内に充填されている成形用粉末を加圧成型すると、半裁型材4の半裁型材4の外側の上部と下部には、突出部12が形成される。
【0027】
このようにして成型した半裁型材4を2つ用い、半裁型材4,4の接合面7,8にそれぞれ接着剤を塗布して、一方の半裁型材4を図2に示す中心軸線2を通る平面3上で反転して上下反対にした後、一方の半裁型材4の嵌合凹部10と嵌合突部11を他方の半裁型材4の嵌合突部11と嵌合凹部10に嵌合し、2つの半裁型材4,4を接合面7,8で接合すると、図5ないし図9に示すほぼ円筒状の部材固定用雌ねじ型1が完成する。
【0028】
このように1つの型枠で成型した半裁型材4を2つ用い、一方を中心軸線2を通る平面3上で反転して接合すると、嵌合凹部10と嵌合突部11との嵌合によって2つの半裁型材4,4は一定の結合状態となり、双方の半裁雌ねじ孔6,6は図5に示すように円形になり、雌ねじ5は図8に示すように連続した1つの螺旋になる。また、部材固定用雌ねじ型1の外側には、突出部12が突出することになる。成形体は焼結により強固な製品とする。
【0029】
この部材固定用雌ねじ型1は図10に示すように、部材を固定しようとするコンクリート構造物13の表面に、部材固定用雌ねじ型1の一端が露出するようにして埋め込む。そして固定しようとする部材14に穿設されているボルト挿通孔15にボルト16を挿通し、このボルト16の先端を、部材固定用雌ねじ型1の雌ねじ5に螺合してボルト16を締め付ける。
【0030】
部材固定用雌ねじ型1の外側には、図5ないし図7に示すように突出部12が突出しているので、ボルト16を雌ねじ5に螺合して締め付ける際、部材固定用雌ねじ型1はコンクリート構造物13に対して回動することなく固定状態に保たれるため、ボルト16を雌ねじ5にきつく締め付けて、部材14をコンクリート構造物13の表面に強固に取り付けることができる。
【0031】
図11は、半裁型材4の実施の形態の他の例を示す正面図、図12は平面図、図13は右側面図、図14は図12のXIV−XIV断面図であって、図1ないし図4と同一部分には同一符号を付してある。
【0032】
この実施の形態においては、半裁型材4の半円筒状の外側の上部の円弧中心に、接線方向に突出する突出部12が形成されているほかは、図1ないし図4に示した実施の形態と同一の構成になっている。
【0033】
そしてこの半裁型材4を成型する型枠は、図1ないし図4に示した半裁型材4を成型する型枠と同じ構成のもので、ただ突出部形成用凹部の形状が異なるだけである。
【0034】
図11ないし図14に示す半裁型材4を2つ用い、一方を中心軸線2を通る平面3上で反転して接合すると、図15に示すように、円筒状の両端の直径の反対側に接線方向の突出部12が形成される。そして図10と同様に部材を固定しようとするコンクリート構造物13の表面に埋め込んで、部材14をコンクリート構造物13の表面に強固に取り付けることができる。
【0035】
【発明の効果】
請求項1の発明は、部材固定用雌ねじ型を半分に相当する同形の2つの半裁型材の一方を反転し接合面で他の一方で接合したものであるため、雌ねじ孔を同じパターンで形成することができ、材料が無駄にならず、製作が容易になり、しかも均質な製品が得られる効果がある。
【0036】
請求項2の発明は、嵌合凹部と嵌合突部との嵌合により、2つの半裁型材の接合の際の位置決めができ、2つの半裁型材に位置のずれが生じないため、正確な製品が得られる効果がある。
【0037】
請求項3の発明は、半裁型材の外側に突出部があるため、雌ねじ孔にボルトを螺合する際に部材固定用雌ねじ型が回転せず、部材をコンクリート構造物の表面に強固に取り付けることができる効果がある。
【0038】
請求項4の発明は、半裁型材として製作した均質のものを接合するため、型枠が簡単なものですみ、成形が容易であり、全体が均一な緻密体になり、雌ねじ孔のねじ山部分の成形も確実にできる効果がある。
【0039】
請求項5の発明は、接合面に位置決めのための嵌合凹部と嵌合突部とを成形するので、2つの半裁型材を接合する際にずれがなく、半裁雌ねじ孔の雌ねじが連続した雌ねじになる効果がある。
【0040】
請求項6の発明は、半裁型材を作る際に回り止め用の突出部も同時に成形でき、均一な製品ができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における半裁型材の実施の形態の一例を示す正面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図1の右側面図である。
【図4】図2のIV−IV断面図である。
【図5】図2に示した半裁型材によって形成した部材固定用雌ねじ型を示す平面図である。
【図6】図5の正面図である。
【図7】図5の右側面図である。
【図8】図5のVIII−VIII断面図である。
【図9】図5のIX−IX断面図である。
【図10】本発明による部材固定用雌ねじ型の使用状態を示す断面図である。
【図11】本発明における半裁型材の実施の形態の他の例を示す正面図である。
【図12】図11の平面図である。
【図13】図12の右側面図である。
【図14】図12のXIV−XIV断面図である。
【図15】図13に示した半裁型材によって形成した部材固定用雌ねじ型を示す側面図である。
【符号の説明】
2 中心軸線
3 平面
4 半裁型材
5 雌ねじ
6 半裁雌ねじ孔
7 接合面
8 接合面
9 一定の距離
10 嵌合凹部
11 嵌合突部
12 突出部
Claims (6)
- 円筒の中心軸線を通る平面で切断した半円形の凹状の半裁円筒面に形成された雌ねじを有する半裁雌ねじ孔と、前記円筒の中心軸線を通る平面上で前記半裁雌ねじ孔の両側に設けられた接合面とを備えた同形の半裁型材の2つを、一方を他方に対して反転して対面させ前記接合面で互いに接合して形成したことを特徴とする部材固定用雌ねじ型。
- 接合面の一端から一定の距離をおいて形成された嵌合凹部と、接合面の他端から前記一定の距離をおいて形成され前記嵌合凹部に嵌入し得る嵌合突部とを接合面に備えたことを特徴とする請求項1記載の部材固定用雌ねじ型。
- 半裁型材の外側に、突出部を備えたことを特徴とする請求項1記載の部材固定用雌ねじ型。
- 底面中央に、表面に雄ねじ山を形成した半裁円筒面を設け、その半裁円筒面の両側には接合面形成用平面部を設けてなる型枠に、成形用粉末を充填し、該成形用粉末を加圧して、雌ねじ面をもった半裁型材を成形した後、その半裁型材の2つを一方を他方に対して反転させて対面させ、半裁円筒面の両側に形成された接合面で2つの半裁型材を接合し、雌ねじ孔を形成することを特徴とする部材固定用雌ねじ型の製造方法。
- 半裁円筒面の両側に形成された平面に、嵌合凹部形成用突部と嵌合突部形成用凹部とを備えた型枠を使用して半裁型材を成形し、2つの半裁型材を接合する際に、一方の半裁型材の嵌合凹部と嵌合突部を、他方の半裁型材の嵌合突部と嵌合凹部とに嵌合することを特徴とする請求項4記載の部材固定用雌ねじ型の製造方法。
- 加圧面に突出部形成用凹部を有する加圧型を使用して成形用粉末を加圧し、得られる半裁型材の外側に、突出部を形成することを特徴とする請求項4記載の部材固定用雌ねじ型の製造方法。
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- 1997-03-14 JP JP06090997A patent/JP3717267B2/ja not_active Expired - Fee Related
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