JP3717096B2 - 蒸気製造装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蒸気製造装置に関し、とくに熱効率の向上等の装置の性能向上をはかりつつ、装置全体をとくに高さ方向に小型化して安価に製作可能な蒸気製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
脱イオン水等の高純度水から純枠蒸気を製造したり、さらに製造した蒸気を凝縮して高純度の蒸留水を製造可能な蒸気製造装置として、各種タイプのものが知られている。
【0003】
たとえば図2に示すように、加熱缶101と蒸発缶102を並設し、供給水(たとえば、脱イオン水等の高純度水)をプレヒータ103で加熱した後加熱缶101に供給し、加熱蒸気ライン104から供給される加熱蒸気によって加熱する。加熱缶101で加熱された供給水は、蒸気と液滴との気液混合相の状態で、発生蒸気の上昇力により蒸発缶102に供給される。蒸発缶102では、その伝熱管壁面に沿って蒸気が下降するとともに液膜が流下し、単に通過した蒸気と液膜から蒸発した蒸気とが気液分離器105に送られる。分離器105の上部から、分離された純粋蒸気(PS)がユースポイントへ供給され、分離された液は、蒸発缶102の出口側からの余剰水とともにブローライン106を介して廃棄される。分離器105の出口側で蒸気圧力検知手段107または圧力検知兼制御信号発生手段(PIC)によって蒸気圧力が検知され、その信号に基づいて加熱蒸気の供給量が弁108で制御される。なお、プレヒータ103での加熱には、通常、加熱缶101、蒸発缶102で消費した加熱蒸気のスチームトラップ109a、109bによるドレンが有効活用される。
【0004】
このような蒸気製造装置においては、液膜流下方式であるから蒸発缶102における伝熱係数を大きくすることができ、蒸発缶102を小さく構成して装置全体を小型化できる長所がある。また、発生蒸気の圧力を所定の圧力にするまでの立ち上がり時間が短いという長所もある。
【0005】
しかし、ユースポイントでの蒸気使用量が変動すると、その影響を直接的に受けるため、蒸発缶102による蒸気発生圧力の変動が激しく、所望の圧力の蒸気を安定して供給することが困難であるという短所がある。また、ユースポイントでの蒸気使用量が無くなった場合でも、装置およびユースポイントまでの配管内の圧力を保持するために、高純度水の供給を続けなくてはならないので、常時蒸発缶102の下部から余剰純水を廃棄しなければならない。この余剰純水の廃棄量は、ユースポイントでの蒸気使用量に反比例することになり、廃棄量が多くなる程、無駄に捨てられる熱量が多くなって装置全体としての熱効率が低下するとともに、純水使用量が多くなって、有効に使用される蒸気の単価が増大する。
【0006】
また、図3に示すような、いわゆるサーモサイホンリボイラ方式の蒸気製造装置も知られている。この装置では、たとえば、供給された高純度水はプレヒータ201で加熱された後フラッシュタンク202の下部から缶体内に供給され、そこから蒸発缶203へと供給される。蒸発缶203では、その伝熱管204内に導入された高純度水が、胴体205内に供給される加熱蒸気を熱源として加熱されることにより蒸発していく。蒸発缶203で発生した蒸気は、フラッシュタンク202の内部上方空間に導かれ、そこから気液分離器206を介して純粋蒸気(PS)がユースポイントへと送られる。分離器206の出口側で蒸気圧力検知手段207(PIC)によって蒸気圧力が検知され、その信号に基づいて加熱蒸気の供給量が弁208で制御される。分離された液は、フラッシュタンク202からの余剰水とともにブローライン209を介して廃棄される。
【0007】
このような蒸気製造装置においては、サーモサイホンリボイラ方式であり、常にフラッシュタンク202内に多量の蒸気が用意されているため、ユースポイントでの蒸気使用量の変動に伴う蒸気発生圧力の変動を小さく抑えることができ、安定した運転が可能になる。また、純水供給量も必要な量だけ、つまり、ユースポイントで使用した量に見合う量だけ補給すればよいので、使用量が少なくて済む。レベルスイッチ210(LS)を設けておけば、保有水の定量制御も可能になる。さらに、フラッシュタンク202や蒸発缶203の缶体内保有水の濃縮防止のための系外ブロー量は、ユースポイントでの蒸気使用量に関わらず常に一定に保つことができる。
【0008】
しかし、サーモサイホンリボイラ方式では、一般に伝熱係数が小さくなることから、蒸発缶203を大きくせざるを得ず、装置全体が大型化するという短所がある。また、容量の大きな蒸発缶203やフラッシュタンク202を所定の温度、所定の蒸気発生状態にするまでの立ち上がり時間が長いという短所もある。
【0009】
さらに、図2に示した従来装置に対し、熱効率を高めるために、図4に示すような蒸気製造装置が提案されている(特公昭63−24428号公報)。この蒸気製造装置は、プレヒータ301から供給されてくる高純度水を、加熱缶302で沸騰させ、その発生蒸気の上昇力で蒸気と液との混合水を蒸発缶303に供給して、蒸発缶303で液膜流下方式で純粋蒸気を発生させるものである。そしてその公報第1図や第2図で開示されている装置では、蒸発缶303の下部出口側と加熱缶302の下部入口側とを配管304で連通してリボイラ運転も可能とし、かつ、蒸発缶303が水没して液膜流下方式による蒸発が行えなくなるのを防止するために、蒸発缶303を加熱缶302に対し上位に位置させ、水没防止用にレベルスイッチ305(LS)を設けている。
【0010】
このような蒸気製造装置においては、加熱缶302で高純度水を沸騰するまで加熱することにより、蒸発缶303内部での熱効率を高めることができる。また、蒸発缶303の下部出口側が加熱缶302の下部入口側に連通されているので、ユースポイントでの純粋蒸気(PS)の使用量が変動しても、使用した量だけ、つまり必要な量だけ供給水を補給すればよく、蒸気単価が安くなる。さらに、保有水濃縮防止のためのブローライン306からのブロー量も、ユースポイントでの蒸気使用量に関わらず常に一定に保つことができる。
【0011】
しかし、蒸発缶303での液膜流下方式による効率の良い蒸発を保つためには、蒸発缶303の水没を防止する必要があり、蒸発缶303は必ず加熱缶302よりも高い位置に設置しなければならない。そのため、蒸気製造装置の全高が大きくなり、装置が、とくに高さ方向に大型化してしまうという問題がある。また、蒸発缶303を高所に設置しなければならないため、その架台等にも大型のものが要求され、装置全体のコストが増大するとともに、保守、点検にも支障を来すことになる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の課題は、従来から知られている上記のような種々のタイプの蒸気製造装置における長所と短所を総合的に考慮し、これらの長所を生かしつつ、短所を克服した、とくに高熱効率を達成しつつ、ユースポイントでの蒸気使用量の変動にも適切に対応でき、かつ、供給水の使用量も必要最小限で済み、しかも、装置全体をとくに高さ方向に小型化できる、実用的かつ安価な蒸気製造装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の蒸気製造装置は、供給水を加熱する加熱缶と、該加熱缶からの気液混合水を液膜流下方式で蒸発させる蒸発缶とを有し、蒸発缶の出口と加熱缶の入口を連通した蒸気製造装置において、加熱缶から蒸発缶への流路と加熱缶の入口側とを連通するバイパス路を設けたことを特徴とするものからなる。
【0014】
この蒸気製造装置においては、通常、加熱缶と蒸発缶はともに垂設される。また、本蒸気製造装置においては、加熱缶と蒸発缶は、上下方向に、実質的に同じ高さの位置に並設できる。ここで「実質的に同じ高さの位置」とは、垂設された加熱缶と蒸発缶の中心位置が同一高さにある場合はもちろんのこと、両機器の一部が同じ高さに位置している場合まで含む。
【0015】
上記バイパス路には、該バイパス路中の液面を検知するレベルスイッチが設けられていることが好ましい。また、このレベルスイッチからの信号に基づいて、加熱缶への供給水の供給を制御する弁、たとえば自動弁を有することが好ましい。すなわち、バイパス路中で液相の高純度水がある液面レベルまで溜まったら、それ以上の高純度水の供給を停止できるようにする。
【0016】
また、この蒸気製造装置には、従来装置同様、加熱缶への供給水を加熱するプレヒータを設けることができ、蒸発缶の出口側には、蒸気と液滴を分離する気液分離器を設けることができる。さらに、分離器の蒸気出口側には、蒸気圧力検知手段を設けることができ、該手段からの信号に基づいて、加熱缶や蒸発缶への加熱蒸気の供給量を制御することができる。
【0017】
また、蒸発缶の出口側には、保有水の濃縮防止のためにブローラインを接続することができ、このブローラインは、蒸発缶の出口と加熱缶の入口との連通路や、上記気液分離器の液排出側と連通させることができる。
【0018】
さらに、蒸発缶の出口側に、蒸発缶からの蒸気を凝縮する凝縮器を設けておけば、この蒸気製造装置を高純度蒸留水製造装置として使用できる。通常、凝縮器は、上記気液分離器の蒸気出口側に接続する。
【0019】
このような本発明に係る蒸気製造装置においては、加熱缶で加熱され蒸気と液滴との二相状態とされた気液混合水は、蒸発缶に供給され、液膜流下方式にて蒸発が進められ、高い伝熱係数をもって高熱効率で蒸気が製造される。蒸発缶の出口側からは、気液分離器等を介して純粋蒸気がユースポイントに供給され、分離された液あるいは蒸発缶の出口側における余剰水は、蒸発缶の出口と加熱缶の入口との連通路を介して加熱缶の入口側に循環される。したがって、蒸発缶内部で熱効率が高く維持されるとともに、ユースポイントでの蒸気使用量に応じた量だけ高純度水を補給すればよいので、高純度水の無駄使いがなく蒸気の単価を安価に維持できる。また、保有水の濃縮防止のための系外ブロー量は、ユースポインでの蒸気使用量に関わらず常時一定に保つことができ、しかもそのブロー量はごく僅かでよいから、極めて安定した系となる。
【0020】
そして、本発明に係る蒸気製造装置においてはバイパス路が設けられているので、ユースポイントでの蒸気の使用量が変動する場合、とくに蒸気使用量が減少する場合、蒸発缶側からの背圧により、加熱缶からの気液混合水は自然にバイパス路へと流れ出す。このバイパス路への分岐流の量は、蒸発缶出口側における蒸気使用量に応じて自然に制御され、蒸気使用量が少なくなる程バイパス路への流量は多くなる。このバイパス路は加熱缶への入口側へと連通しているから、加熱缶とバイパス路とでリボイラ運転の系が作られ、加熱缶の出口側から蒸発缶の入口側までの流路では、常に安定した気液二相状態に維持され、常時、必要な量だけ蒸発缶に所定の気液二相状態の高純度水を供給できる態勢に維持される。したがって、ユースポイントでの蒸気使用量に関わらず、蒸気発生圧力の変動を極めて小さく抑えることができ、ユースポイントでの蒸気使用量に応じて、常に安定して所望の純粋蒸気を供給できる。
【0021】
また、ユースポイントでの蒸気使用量が減少した場合にも、加熱缶からの気液二相流、とくに液相の高純度水はバイパス路に流入して加熱缶の入口側へと循環されるから、蒸発缶が水没するおそれはなくなる。その結果、蒸発缶を加熱缶と同等の高さ位置に設置することが可能となり、両機器を上下方向に同じ高さ位置に並設することにより、装置の全高を大幅に低減でき、装置全体を高さ方向に大幅に小型化できる。
【0022】
さらに、バイパス路にレベルスイッチ等を設けて、加熱缶とバイパス路とで形成されるリボイラ系に過剰な高純度水が供給されないように制御すれば、この系の保有水も常に最適な量に維持できる。その結果、必要最小限の供給水量で、ユースポイントでの蒸気使用量に応じた量の蒸気を、効率よく製造できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の望ましい実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施態様に係る蒸気製造装置を示している。図1において、1は蒸気製造装置全体を示しており、2は高純度水の供給ラインを示している。供給ライン2から供給されてくる高純度水は、自動弁3を介してプレヒータ4に送られ、プレヒータ4で所定の予加熱が行われる。自動弁3は、プレヒータ4への高純度水の供給、つまり、この蒸気製造装置1への高純度水の供給を制御する。
【0024】
プレヒータ4で加熱された高純度水は、流路5を介して加熱缶6へと供給される。加熱缶6は上下方向に垂設され、その入口部6aと出口部6bとを連通する複数の伝熱管6cと、伝熱管6c周囲の胴体6dとを有している。プレヒータ4からの加熱高純度水は、入口部6aを通して伝熱管6c内に導入され、胴体6d内に供給された加熱蒸気によって加熱され、気液二相の気液混合水とされて出口部6bから流路7へと送り出される。
【0025】
流路7は、加熱缶6の出口部6bと蒸発缶8の入口部8aとを接続している。蒸発缶8は、上下方向に垂設されており、本実施態様では加熱缶6と実質的に同じ高さ位置に設置されている。蒸発缶8は、入口部8aと出口部8bとを連通する複数の伝熱管8cと、伝熱管8c周囲の胴体8dとを有している。流路7からの気液混合水は、入口部8aを通して伝熱管8c内に導入され、蒸気部分の大部分はそのまま通過するとともに、液相の高純度水は伝熱管8cの内面に薄い液膜を形成して流下し、胴体8d内に供給された加熱蒸気によって蒸発される。つまり、液膜流下方式により高熱効率で蒸発され、出口部8bでは大部分が気相(蒸気)となっている。
【0026】
蒸発缶8の出口部8bの下部からは、流路9が垂下され、流路9は流路10へと合流している。流路10は、加熱缶6の入口側に、本実施態様では、加熱缶6の入口部6a直前の流路5部分へと連通されている。したがって、蒸発缶8の出口部8bにおける余剰水あるいは出口部8bで既に蒸気から分離された高純度水は、流路9、流路10を通して加熱缶6の入口側へと循環されるようになっている。
【0027】
この循環水を含めた系内保有水の濃縮防止のために、流路10にはブローライン11が接続されており、弁12で制御された量だけ系外にブロー(排出)できるようになっている。
【0028】
蒸発缶8の出口部8bには、流路13を介して気液分離器14が接続されており、該分離器14内で、純粋蒸気と液とに分離される。分離された純粋蒸気(PS)は、蒸気供給ライン15を通して所望のユースポイントへと送られる。分離された液は、分離器14の下部から垂下された流路16を介して、ブローライン11へと送られる。
【0029】
加熱缶6と蒸発缶8の加熱には、本実施態様では別の系で生成された加熱蒸気が使用され、加熱蒸気は供給ライン17を通して供給される。加熱蒸気の供給量は、弁18によって制御される。この加熱蒸気制御弁18は、分離器14の出口側において、蒸気供給ライン15中の蒸気圧が蒸気圧力検知装置19(PIC)によって検知され、該装置19からの制御信号に基づいて制御される。弁18で制御された加熱蒸気は、加熱缶6へのライン20と蒸発缶8へのライン21とに分流された後、それぞれ加熱缶6と蒸発缶8の胴体6d、8d内に供給されて加熱に供される。
【0030】
加熱缶6と蒸発缶8で使用済の加熱蒸気は、ライン22、23によって導出され、スチームトラップ24、25を通した後、プレヒータ4における加熱に供され、しかる後にドレンポート26から排出される。
【0031】
加熱缶6から蒸発缶8への流路7は、途中でバイパス路27として分岐されており、バイパス路27は、流路7と加熱缶6の入口側とを連通している。本実施態様では、バイパス路27は、加熱缶6の入口部6a直前の流路5部分へと連通されている。したがってバイパス路27は、加熱缶6とバイパス路27により形成される系によってリボイラ運転を可能としている。このバイパス路27には、バイパス路27内の液面を検知するレベルスイッチ28が設けられており、レベルスイッチ28の信号は、自動弁3の制御に用いられている。この制御系により、バイパス路27内に過剰な高純度水が保有されないように、たとえばバイパス路27内の液面が常にレベルスイッチ28の上下限の間の高さになるようにコントロールされる。また、この蒸気製造装置1に、要求される蒸気発生量に見合うだけの必要最小限の供給水が補給されるようになっている。
【0032】
なお、図示は省略するが、バイパス路27の加熱缶6入口側への接続部近傍には、流路5からバイパス路27への逆流を防止するための逆止弁を設けておいてもよい。ただし、このような逆止弁を設けなくても、バイパス路27においては、常に加熱缶6の出口側からの蒸気圧力が作用し、バイパス路27内を上方から下方へと流す一定方向の圧力が作用するので、上記のような逆流は生じない。
【0033】
このように構成された蒸気製造装置1においては、加熱缶6で加熱された気液二相の高純度水が蒸発缶8により液膜流下方式で蒸発されるので、高伝熱係数をもって効率よく蒸気が製造される。分離器14で分離された純粋蒸気は、ユースポイントでの蒸気使用量に応じて供給され、蒸気として供給されなかった余剰水は、再び加熱缶6の入口側に循環されて蒸気製造に供される。したがって、蒸気製造のための高純度水の供給は、実際に使用された蒸気の使用量に応じた量だけ補給すればよいことになり、高純度水の供給量が低減される。
【0034】
また、余剰水が循環使用されるので、保有水の濃縮防止のための系外ブロー量は、ユースポイントでの蒸気使用量に関わらず、濃縮防止に必要な最小限の一定量に保てばよいことになり、系全体として極めて安定した運転を行うことができる。
【0035】
また、ユースポイントでの蒸気使用量が変動する場合、とくに蒸気使用量が減少していくと、蒸発缶8側からの背圧が高まり、加熱缶6から流路7中へ送り出された気液混合水はバイパス路27へと流れ始める。流路7中での気液混合水の蒸発缶8側への供給量と、バイパス路27内への流入量との割合は、蒸発缶8で生成される蒸気の使用量、つまりユースポイントでの蒸気使用量に応じて自然に変化し、蒸気使用量が少なくなる程バイパス路27への流入量は多くなる。つまり、自然に自動調整される。
【0036】
バイパス路27内に流入した気液混合水は、加熱缶6の入口側へと循環され、加熱缶6とバイパス路27とでリボイラ運転系が自然に構成される。このリボイラ運転系は、蒸発缶8に対しては、バッファあるいは待機系をなすものであり、蒸発缶8による生成蒸気の使用量の変動を自動的に吸収する。
【0037】
ユースポイントでの蒸気使用量が少ない状態が継続されると、上記加熱缶6とバイパス路27からなるリボイラ運転系では液相が多くなり、保有水が多くなるが、バイパス路27に設けたレベルスイッチ28によってバイパス路27中の液面が検知され、該液面のレベルが常時最適なレベルに制御されるよう、自動弁3で高純度水の補給量が制限、制御される。したがって、このリボイラ運転系に、ひいては蒸気製造装置1全体に対して、高純度水が過剰に供給されることはなく、最終的にユースポイントでの蒸気使用量に応じた量の必要最小限の量の高純度水が供給されることになる。すなわち、バイパス路27を設けることによって、ユースポイントでの蒸気使用量がどのように変化しても、その変化に見合った最適な量だけ供給できるようになる。しかも、ユースポイントでの蒸気使用量の変動に対応できるように、たとえばユースポイントでの蒸気使用量が減少状態から急激に増大するような場合にあっても適切に対応できるように、必要な蒸気発生態勢に常時待機させておくことができるようになる。したがって、ユースポイントでの蒸気使用量が変動しても、蒸気発生圧力の変動を極めて小さく抑えることができ、常時安定して所望量の蒸気を供給することが可能になる。
【0038】
そして、蒸気使用量が減少した場合にも、バイパス路27により液相の高純度水は加熱缶6の入口側へと自然に循環されるから、蒸発缶8が水没するおそれはなくなる。レベルスイッチ28からの信号に基づいて自動弁3により高純度水の補給量を制限すれば、一層確実に蒸発缶8の水没が防止される。蒸発缶8の水没のおそれがなくなる結果、蒸発缶8の設置位置、とくに高さ方向の位置に実質的に制約がなくなり、図1に示したように、蒸発缶8を加熱缶6と同等の高さ方向位置に並設できる。その結果、蒸気製造装置1の全高が大幅に低減され、とくに高さ方向に装置全体が大幅に小型化される。したがって、蒸発缶8を高所に設置する必要がなくなり、蒸発缶8用の大がかりで高価な架台の必要もなくなり、蒸気製造装置1を安価に構成できる。また、設置スペース的にも大幅に縮小可能となる。
【0039】
このような高性能でかつ、小型化可能で安価な蒸気製造装置1は、高純度蒸留水の製造装置としても使用できる。たとえば図1に2点鎖線で示すように、気液分離器14の出口側に凝縮器30を接続し、分離器14からの純粋蒸気を凝縮して高純度蒸留水を製造できる。このような高純度蒸留水の製造装置として使用しても、前述と全く同様の作用、効果が得られる。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の蒸気製造装置によれば、熱効率の向上、必要最小限の供給水の補給、蒸気発生圧力の変動抑制、ブロー量の抑制、安定化等の装置の性能向上を達成しつつ、同時に装置全体をとくに高さ方向に大幅に小型化することができ、優れた蒸気製造装置を安価に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様に係る蒸気製造装置の機器系統図である。
【図2】従来の蒸気製造装置の機器系統図である。
【図3】従来の別の蒸気製造装置の機器系統図である。
【図4】さらに別の従来の蒸気製造装置の機器系統図である。
【符号の説明】
1 蒸気製造装置
2 高純度水の供給ライン
3 自動弁
4 プレヒータ
5 プレヒータから加熱缶への流路
6a 加熱缶の入口部
6b 加熱缶の出口部
6c 伝熱管
6d 胴体
7 加熱缶から蒸発缶への流路
8 蒸発缶
8a 蒸発缶の入口部
8b 蒸発缶の出口部
8c 伝熱管
8d 胴体
9 蒸発缶出口部からの流路
10 加熱缶入口側への流路
11 ブローライン
12 弁
13 気液分離器への流路
14 気液分離器
15 蒸気供給ライン
16 気液分離器からの垂下流路
17 加熱蒸気供給ライン
18 加熱蒸気制御弁
19 蒸気圧力検知装置
20、21 加熱蒸気ライン
22、23 使用済加熱蒸気のライン
24、25 スチームトラップ
26 ドレンポート
27 バイパス路
28 レベルスイッチ
30 凝縮器

Claims (6)

  1. 供給水を加熱する加熱缶と、該加熱缶からの気液混合水を液膜流下方式で蒸発させる蒸発缶とを有し、蒸発缶の出口と加熱缶の入口を連通した蒸気製造装置において、加熱缶から蒸発缶への流路と加熱缶の入口側とを連通するバイパス路を設けたことを特徴とする蒸気製造装置。
  2. 加熱缶と蒸発缶がともに垂設されている、請求項1の蒸気製造装置。
  3. 加熱缶と蒸発缶が、上下方向に実質的に同じ高さの位置に並設されている、請求項1または2の蒸気製造装置。
  4. バイパス路に、該バイパス路中の液面を検知するレベルスイッチが設けられている、請求項1ないし3のいずれかに記載の蒸気製造装置。
  5. レベルスイッチからの信号に基づいて加熱缶への供給水の供給を制御する弁を有する、請求項4の蒸気製造装置。
  6. 蒸発缶の出口側に、蒸発缶からの蒸気を凝縮する凝縮器が設けられている、請求項1ないし5のいずれかに記載の蒸気製造装置。
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