JP3716507B2 - 滑り止め性を有する塗膜を被覆した物品 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、筆記具や、化粧具などの塗布具や、電子入力ペンや、釣り具や、ゴルフクラブや、階段の手摺り等のように手で把持したり接触したりする物品や、階段や、床材などのように歩行時に接触する物品、即ち、光沢性を有し、且つ、滑り止め性を有する塗膜を被覆した物品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、光沢性を有した塗膜は、表面が平滑であり、例えば、筆記具や釣り具或いは化粧具の口紅などの手で把持して使用する製品では、汗などが付着すると、滑りやすくなることから、把持部にロ−レット加工などによる溝を形成したり、エラストマ−で成形された別部材を装着する等の対策がなされている。又、滑り止め性を有した塗装仕様の製品では、一般には、シリカやアルミナ、ナイロンビ−ズ等の粉体を分散した塗料で軸体表面に塗膜を形成させることで、塗膜表面に微小な凹凸を形成させ、滑り止め性を付与することが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ロ−レット加工は、筆記具などによく用いれられている方法であるが、該方法は、軸体に機械的に溝を形成することから、溝のパタ−ンが制約されたり、軸体の肉厚を厚くする必要性から、金属の場合では、軸体重量が重くなる等の問題がある。更に、デザインの自由度が低下することから、化粧具などの容器では、殆ど利用されていない。又、別部材を把持部に装着する方法では、部品数が増すことから、製品のコストアップにつながったり、デザイン自由度が低下する等の問題があった。又、シリカやアルミナ、ナイロンビ−ズ等の粉体を分散した塗料で軸体表面に塗膜を形成した場合には、塗膜表面は艶消し調となり、光沢を有する外観は得られないことから、デザイン自由度が低くなり、更に、筆記具や化粧具では、表面が微小な凹凸が形成されていることから、使用により汗や化粧料による汚れが付着し易い等の問題があった。又、艶消し調の塗膜は、塗膜表面にキズが付きやすくなり、塗膜の耐久性での問題もあった。更に、一般の粘着剤は、その特性上ベタツキがあり、筆記具の軸上に粘着剤を塗布することで滑り止め性は高まるが、粘着剤のベタツキも大きくなり、それにによりゴミの付着や、把持した場合不快感が発生する等の問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、これらの問題に鑑みなされたものであって、光沢を有し、且つ、滑り難い塗膜が形成された物品を提供することを目的とするものであって、塗膜表面の光沢度が80%以上で、且つ、塗膜表面の静摩擦係数が0.35〜3.0である滑り止め性を有する塗膜を被覆した物品であって、その塗膜は塗料にポリウレタン樹脂系粘着剤を樹脂固形分と して5〜60重量%を分散混合してなる熱硬化型または紫外線硬化型である滑り止め性を有する塗膜を被覆した物品を第1の要旨とし、塗膜表面の光沢度が80%以上で、且つ、塗膜表面の静摩擦係数が0.35〜3.0である滑り止め性を有する塗膜を被覆した物品であって、その塗膜は塗料にポリウレタン樹脂系粘着剤を樹脂固形分として5〜95重量%を分散混合し、且つ、塗料に10〜200nmの粒子を分散混合してなる熱硬化型または紫外線硬化型である滑り止め性を有する塗膜を被覆した物品を第2の要旨とする。
【0005】
以下、添付図面に基づき本発明を詳述する。図1は、本発明の滑り止め性を有する塗膜が被覆された物品の部分断面図である。図中参照符号1は物品の基材、2は下地処理層、3は滑り止め性を有する塗膜層、4は粘着剤を示している。物品の基材1の材質としては、アルミニウム又はその合金、銅又はその合金、鉄又はその合金、亜鉛又はその合金、マグネシウム又はその合金などの金属材料、ABS、AS、アクリル、ポリカ−ボネ−ト、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリスチレン等の熱可塑性樹脂、アルミナ、ジルコニア、陶磁器などのセラミックス材料、木材、紙などの天然材料など、塗装できる材料であれば特に限定はしない。これらの材料で形成された物品には、予め電気めっきや無電解めっき法、塗装、印刷によりニッケルやクロム、或いは金めっき、塗膜、印刷パタ−ン等による下地処理層2が形成されてあってもよい。
【0006】
本発明で光沢を有し、且つ、滑り難い塗膜が被覆された物品を形成するための塗料としては、従来一般に使用されている塗料に粘着剤を分散することで得られた塗料を物品表面に被覆することで得られる。尚、一般に粘着剤として用いられている樹脂を、それ単体で物品上に粘着剤の膜を形成した場合には、ベタツキが大きく、又、膜強度も低く、更に、基材表面に対する密着強度は粘着剤の特性のみの強度であることから、筆記具や化粧具或いは釣り具など手で把持する物品の場合には、把持することで経時的に剥離や膜の引き裂きが発生し、使用できないのが現状である。そこで、本発明は、従来一般に使用されている塗料に粘着剤を分散することで得られた塗料を用いて、塗料の基材に対する密着性や高い膜強度と、光沢性を有し、且つ、粘着剤の添加量を滑り止め特性が優れた塗膜を被覆した物品を得んとしたものである。
【0007】
具体的に滑り止め性を有する塗膜層3に用いることのできる塗料としては、熱硬化型塗料、紫外線硬化型塗料が用いられる。熱硬化型塗料としては、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリルメラミン樹脂、アクリル−シリコン樹脂、アクリル−ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルギット樹脂、シリコン樹脂などが用いられる。紫外線硬化型樹脂としては、官能基として末端にアクリロイル基を有するアクリル酸エステル、メタアクリル酸エステルの単官能性モノマ−や多官能性モノマ−、光重合性プレポリマ−として、ポリエステルアクリレ−ト、エポキシアクリレ−ト、ポリウレタンアクリレ−ト、ポリエ−テルアクリレ−ト、メラミンアクリレ−ト、アルギッドアクリレ−トが用いられる。モノマ−は単独では用いられず、光重合性プレポリマ−と併用して用いられ、光重合性プレポリマ−は1種類または複数混合して用いられる。又、これらの塗料には、着色顔料や有機染料が含まれてあってもよく、特に限定はしない。
【0008】
更に、滑り止め機能を付与させるための粘着剤4としては、塗膜の耐摩耗性や表面硬度或いは、耐汗性を損なわないもので、反応硬化する樹脂が好ましく、ポリエ−テル系ポリウレタン樹脂、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリカ−ボネ−ト系ポリウレタン樹脂が用いられるが、その中で特にポリエステル系ポリウレタン樹脂が好ましい。これらの粘着剤は、塗料に樹脂固型分として、5〜60重量%配合し、ボ−ルミルやインペラ−ミル等で分散すればよく、又、熱硬化型塗料を用いる場合では、粘着剤を反応硬化させるために、イソシアネ−ト化合物を必要量加えればよく、紫外線硬化型塗料を用いる場合では、ラジカル重合開始剤を加えるか、又はイソシアネ−ト化合物を必要量加え、紫外線を照射後、加熱して反応硬化させればよい。
【0009】
この様にして得られた塗料を物品上に被覆する方法としては、静電塗装、スプレ−による吹き付け法、塗料を増粘させてインキ化し、スクリ−ン印刷法などで被覆し、加熱乾燥又は紫外線照射すればよい。
【0010】
尚、本発明において、粘着剤の使用量は、塗料中の樹脂固型分に対して、前記したように5〜60重量%が好ましいが、その理由は、60重量%を超えた場合には塗膜にベタツキが発生しやすくなるので、これを防止するためである。そこで、粘着剤の使用量を多くしてもベタツキの発生を極力防止するために、図2に示すように、粘着剤4と共にコロイド粒子5を塗料中に配合してもよい。即ち、コロイド粒子の添加によって、粘着剤の添加量を多くすることができ、その結果、塗膜強度及び密着強度を向上させつつ、ベタツキを防止できるという利点がある。このようなコロイド粒子としては、塗膜の光沢性や色調に影響を与えず、且つ、塗料中に分散するものであれば種々使用可能であるが、具体例を挙げれば、シリカ、アルミナ、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化インジウム等の酸化物コロイドが好ましく、その粒子径は10nmから200nm程度であればよい。これらのコロイドは、メタノ−ル、エタノ−ル、イソプロパノ−ル、アセトン、エチレングリコ−ル、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン等の有機溶剤中に分散させればよい。このコロイド粒子の使用によって、粘着剤の使用量を、塗料中の樹脂固型分に対して、5〜95重量%というように広げることができる。尚、コロイド粒子は、塗料の樹脂固形分に対して1〜10重量%が好ましい。コロイド粒子が塗料の樹脂固形分に対して10重量%を超えた場合には、塗膜表面の光沢度が低下することがあり、又、1重量%未満では粘着剤の添加量を多くしたときのベタツキ防止効果があまり期待できないからである。
【0011】
本発明においては、塗膜表面の光沢度を80%以上に、又、塗膜表面の静摩擦係数が0.35〜3.0になす必要があるが、その理由は、塗膜表面の光沢度が80%に満たない場合には、塗膜表面が艶消し調となり、光沢を有する外観が得られなくなり、又、塗膜表面の静摩擦係数が0.35に満たない場合には、滑りやすくなり、塗膜表面の静摩擦係数が3.0を超えた場合には、塗膜強度及び密着強度が低下するからである。上記範囲に塗膜表面の光沢度と静摩擦係数を調整するには、粘着剤を、塗料の樹脂固型分に対して5〜60重量%配合するか、粘着剤を、塗料の樹脂固型分に対して5〜95重量%、且つ、コロイド粒子を、塗料の樹脂固形分に対して1〜10重量%配合し、ボ−ルミルやインペラ−ミル等で分散すればよい。
【0012】
【作用】
本発明は、塗膜表面の光沢度と静摩擦係数を特定することにより、塗膜強度及び密着強度を低下させることなく、光沢及び滑り止め性を有する塗膜が被覆された物品が得られるものである。又、塗料に粘着剤を均一に分散した際には、塗膜表面は平滑となり、塗料の持つ光沢を損なわず、滑り止め性を有する塗膜が被覆された物品が得られるものである。更に、塗料に粘着剤と共にコロイド粒子を分散した際には、粘着剤の使用量の自由度をより高め、塗膜強度及び密着強度を向上させつつ、塗膜のベタツキを防止した滑り止め性を有する塗膜が被覆された物品が得られるものである。
【0013】
【実施例】
次に実施例に基づき本発明を説明する。
〈実施例1〉真鍮からなる物品(外径10mm、内径9.8mm、長さ100mmの筆記具の軸体)に黒のアクリル系塗料(関西ペイント(株)製)をスプレ−法にて塗布し、130℃、20分間乾燥することで、黒の塗膜を被覆した軸体を得た。次にアクリル系のクリヤ−塗料(関西ペイント(株)製)に粘着剤として、ポリエステル系ポリウレタン樹脂(日本ポリウレタン工業(株)製XN−230)をアクリル系樹脂塗料の樹脂固型分に対して25重量%添加し、ボ−ルミルで分散後、イソシアネ−ト系硬化剤(日本ポリウレタン工業(株)製コロネ−トHL)を10%加え、溶剤(MEK:シクロヘキサノン=1:1で混合)を加えて、塗料の樹脂固型分を8%に調整し、スプレ−法で黒のアクリル塗膜が形成された軸体に塗布し、180℃、20分間乾燥することで、光沢を有する黒の軸体を得た。
【0014】
〈実施例2〉
黒に着色したABS樹脂を用い、射出成形で形成した物品(外径10mm、内径9.5mm、長さ100mmの筆記具の軸体)に赤のウレタン系インキ((株)セイコ−アドバンス製VIC)を用い、スクリ−ン印刷法で花柄のパタ−ンを形成した。紫外線硬化型塗料(藤倉化成(株)製HO9257U)に実施例1で用いたポリエステル系ポリウレタン樹脂(日本ポリウレタン工業(株)製XN−230)を紫外線硬化型塗料の樹脂固型分に対して10重量%添加し、インペラ−ミルで分散した。得られた塗料にイソシアネ−ト系硬化剤(日本ポリウレタン工業(株)製コロネ−トHL)を10%加え、スプレ−法で花柄を形成したABS軸体に塗布し、50℃、3分間乾燥後、紫外線を1分間照射し、硬化させ、更に、80℃、30分間乾燥することで、光沢を有し黒地に赤の花柄を形成した軸体を得た。
【0015】
〈実施例3〉
透明なAS樹脂を用い、射出成形で形成された物品(外径10mm、内径9.5mm、長さ100mmの筆記具の軸体)にホットスタンピングにより、金色の格子パタ−ンを形成した。紫外線硬化型塗料(三菱レイヨン(株)製UL−1192)に紫外線硬化型粘着剤(日本ポリウレタン工業(株)製XN−238)を紫外線硬化型塗料の樹脂固型分に対して30重量%添加し、インペラ−ミルで分散した。得られた紫外線硬化型塗料をスプレ−法で金色の格子パタ−ンを形成した透明な軸体に塗布し、50℃、3分間乾燥後、紫外線を1分間照射することで、光沢を有し、金色の格子パタ−ンを有した透明な軸体を得た。
【0016】
〈実施例4〉
実施例1で用いた粘着剤をポリエステル系ポリウレタン樹脂(武田薬品工業(株)製E−350A)に代えた以外は実施例1と同様の条件で処理することにより、光沢を有する黒の軸体を得た。
【0017】
〈実施例5〉
真鍮からなる物品(外径10mm、内径9.8mm、長さ100mmの筆記具の軸体)に黒のアクリル系塗料(関西ペイント(株)製)をスプレ−法にて塗布し、130℃、20分間乾燥することで、黒の塗膜を被覆した軸体を得た。次にアクリル系のクリヤ−塗料(関西ペイント(株)製)に粘着剤として、ポリエステル系ポリウレタン樹脂(日本ポリウレタン工業(株)製XN−249)をアクリル系樹脂塗料の樹脂固型分に対して75重量%、シリカコロイド(日産化学工業(株)製MEK)を3重量%添加し、ボ−ルミルで分散後、イソシアネ−ト系硬化剤(日本ポリウレタン工業(株)製コロネ−トHL)を10%加え、溶剤(MEK:シクロヘキサノン=1:1で混合)を加えて、塗料の樹脂固型分を8%に調整し、スプレ−法で黒のアクリル塗膜が形成された軸体に塗布し、180℃、20分間乾燥することで、光沢を有する黒の軸体を得た。
【0018】
〈実施例6〉
黒に着色したABS樹脂を用い、射出成形で形成した物品(外径10mm、内径9.5mm、長さ100mmの筆記具の軸体)に赤のウレタン系インキ((株)セイコ−アドバンス製VIC)を用い、スクリ−ン印刷法で花柄のパタ−ンを形成した。紫外線硬化型塗料(藤倉化成(株)製HO9257U)にポリエステル系ポリウレタン樹脂(日本ポリウレタン工業(株)製XN−238)を紫外線硬化型塗料の樹脂固型分に対して90重量%、シリカコロイド(触媒化成工業(株)OSCAL1432)を5重量%添加し、インペラ−ミルで分散した。得られた塗料にイソシアネ−ト系硬化剤(日本ポリウレタン工業(株)製コロネ−トHL)を10%加え、スプレ−法で花柄を形成したABS軸体に塗布し、50℃、3分間乾燥後、紫外線を1分間照射し、硬化させ、更に、80℃、30分間乾燥することで、光沢を有し黒地に赤の花柄を形成した軸体を得た。
【0019】
〈実施例7〉
透明なAS樹脂を用い、射出成形で形成された物品(外径10mm、内径9.5mm、長さ100mmの筆記具の軸体)にホットスタンピングにより、金色の格子パタ−ンを形成した。紫外線硬化型塗料(三菱レイヨン(株)製UL−1192)に紫外線硬化型粘着剤(日本ポリウレタン工業(株)製XN−238)を紫外線硬化型塗料の樹脂固型分に対して80重量%、シリカコロイド(触媒化成工業(株)OSCAL1434)を1重量%添加し、インペラ−ミルで分散した。得られた紫外線硬化型塗料をスプレ−法で金色の格子パタ−ンを形成した透明な軸体に塗布し、50℃、3分間乾燥後、紫外線を1分間照射することで、光沢を有し、金色の格子パタ−ンを有した透明な軸体を得た。
【0020】
〈実施例8〉
実施例5で用いた粘着剤をポリエステル系ポリウレタン樹脂(武田薬品工業(株)製E−350A)に代えた以外は実施例5と同様の条件で処理することにより、光沢を有する黒の軸体を得た。
【0021】
〈実施例9〉
真鍮からなる物品(外径10mm、内径9.8mm、長さ100mmの筆記具の軸体)に黒のアクリル系塗料(関西ペイント(株)製)をスプレ−法にて塗布し、130℃、20分間乾燥することで、黒の塗膜を被覆した軸体を得た。次にアクリル系のクリヤ−塗料(関西ペイント(株)製)に粘着剤として、ポリエステル系ポリウレタン樹脂(日本ポリウレタン工業(株)製XN−249)をアクリル系樹脂塗料の樹脂固型分に対して75重量%添加し、ボ−ルミルで分散後、イソシアネ−ト系硬化剤(日本ポリウレタン工業(株)製コロネ−トHL)を10%加え、溶剤(MEK:シクロヘキサノン=1:1で混合)を加えて、塗料の樹脂固型分を8%に調整し、スプレ−法で黒のアクリル塗膜を形成した軸体に塗布し、180℃、20分間乾燥することで、光沢を有する黒の軸体を得た。
【0022】
〈実施例10〉
黒に着色したABS樹脂を用い、射出成形で形成した物品(外径10mm、内径9.5mm、長さ100mmの筆記具の軸体)に赤のウレタン系インキ((株)セイコ−アドバンス製VIC)を用い、スクリ−ン印刷法で花柄のパタ−ンを形成した。次に紫外線硬化型塗料(藤倉化成(株)製HO9257U)にポリエステル系ポリウレタン樹脂(日本ポリウレタン工業(株)製XN−238)を紫外線硬化型塗料の樹脂固型分に対して90重量%添加し、インペラ−ミルで分散した。得られた塗料にイソシアネ−ト系硬化剤(日本ポリウレタン工業(株)製コロネ−トHL)を10%加え、スプレ−法で花柄を形成したABS軸体に塗布し、50℃、3分間乾燥後、紫外線を1分間照射し硬化させ、光沢を有し黒地に赤の花柄を形成した軸体を得た。
【0023】
〈比較例1〉
真鍮からなる物品(外径10mm、内径9.8mm、長さ100mmの筆記具の軸体)に黒のアクリル系塗料(関西ペイント(株)製)をスプレ−法にて塗布し、130℃、20分間乾燥することで、黒の塗膜を被覆した軸体を得た。次にアクリル系のクリヤ−塗料(関西ペイント(株)製)をスプレ−法で黒のアクリル塗膜を形成した軸体に塗布し、180℃、20分間乾燥することで、光沢を有する黒の軸体を得た。
【0024】
〈比較例2〉
黒に着色したABS樹脂を用い、射出成形で形成した物品(外径10mm、内径9.5mm、長さ100mmの筆記具の軸体)に赤のウレタン系インキ((株)セイコ−アドバンス製VIC)を用い、スクリ−ン印刷法で花柄のパタ−ンを形成した。次に紫外線硬化型塗料(藤倉化成(株)製HO9257U)をスプレ−法で花柄を形成したABS軸体に塗布し、50℃、3分間乾燥後、紫外線を1分間照射し硬化させ、光沢を有し黒地に赤の花柄を形成した軸体を得た。
【0025】
実施例1〜10、比較例1、2で得られた塗膜の静摩擦係数、光沢度、表面硬度、密着性、ベタツキを評価した。その結果を表1に示す。尚、静摩擦係数、光沢度、表面硬度、密着性は以下の方法による。
・静摩擦係数:ASTM D 1894に準じた。尚、相手基材はJIS G4305に定められているSUS 304を使用した。
・光沢度:JIS K 5400 鏡面光沢度に準じ、入射角60゜、受光角60゜の条件で測定した。
・表面硬度:JIS K 5400 鉛筆引っかき値試験機法に準じ測定した。
・密着性:JIS K 5400 付着性碁盤目テ−プ法に準じ測定した。尚、評価は碁盤目100個中の剥離した個数とした。
【0026】
【表1】
【0027】
【発明の効果】
本発明は、実施例、比較例の結果が示すように、塗膜表面の光沢度と静摩擦係数を特定した塗膜を物品上に被覆することにより、塗料の持つ光沢を損なわず、滑り止め機能を有する物品が得られ、広範囲の分野に利用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の滑り止め性を有する塗膜が被覆された物品の実施例を示す部分断面図。
【図2】 本発明の滑り止め性を有する塗膜が被覆された物品の他の実施例を示す部分断面図。
【符号の説明】
1 物品の基材
2 下地処理層
3 滑り止め性を有する塗膜層
4 粘着剤
5 コロイド粒子
【発明の属する技術分野】
本発明は、筆記具や、化粧具などの塗布具や、電子入力ペンや、釣り具や、ゴルフクラブや、階段の手摺り等のように手で把持したり接触したりする物品や、階段や、床材などのように歩行時に接触する物品、即ち、光沢性を有し、且つ、滑り止め性を有する塗膜を被覆した物品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、光沢性を有した塗膜は、表面が平滑であり、例えば、筆記具や釣り具或いは化粧具の口紅などの手で把持して使用する製品では、汗などが付着すると、滑りやすくなることから、把持部にロ−レット加工などによる溝を形成したり、エラストマ−で成形された別部材を装着する等の対策がなされている。又、滑り止め性を有した塗装仕様の製品では、一般には、シリカやアルミナ、ナイロンビ−ズ等の粉体を分散した塗料で軸体表面に塗膜を形成させることで、塗膜表面に微小な凹凸を形成させ、滑り止め性を付与することが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ロ−レット加工は、筆記具などによく用いれられている方法であるが、該方法は、軸体に機械的に溝を形成することから、溝のパタ−ンが制約されたり、軸体の肉厚を厚くする必要性から、金属の場合では、軸体重量が重くなる等の問題がある。更に、デザインの自由度が低下することから、化粧具などの容器では、殆ど利用されていない。又、別部材を把持部に装着する方法では、部品数が増すことから、製品のコストアップにつながったり、デザイン自由度が低下する等の問題があった。又、シリカやアルミナ、ナイロンビ−ズ等の粉体を分散した塗料で軸体表面に塗膜を形成した場合には、塗膜表面は艶消し調となり、光沢を有する外観は得られないことから、デザイン自由度が低くなり、更に、筆記具や化粧具では、表面が微小な凹凸が形成されていることから、使用により汗や化粧料による汚れが付着し易い等の問題があった。又、艶消し調の塗膜は、塗膜表面にキズが付きやすくなり、塗膜の耐久性での問題もあった。更に、一般の粘着剤は、その特性上ベタツキがあり、筆記具の軸上に粘着剤を塗布することで滑り止め性は高まるが、粘着剤のベタツキも大きくなり、それにによりゴミの付着や、把持した場合不快感が発生する等の問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、これらの問題に鑑みなされたものであって、光沢を有し、且つ、滑り難い塗膜が形成された物品を提供することを目的とするものであって、塗膜表面の光沢度が80%以上で、且つ、塗膜表面の静摩擦係数が0.35〜3.0である滑り止め性を有する塗膜を被覆した物品であって、その塗膜は塗料にポリウレタン樹脂系粘着剤を樹脂固形分と して5〜60重量%を分散混合してなる熱硬化型または紫外線硬化型である滑り止め性を有する塗膜を被覆した物品を第1の要旨とし、塗膜表面の光沢度が80%以上で、且つ、塗膜表面の静摩擦係数が0.35〜3.0である滑り止め性を有する塗膜を被覆した物品であって、その塗膜は塗料にポリウレタン樹脂系粘着剤を樹脂固形分として5〜95重量%を分散混合し、且つ、塗料に10〜200nmの粒子を分散混合してなる熱硬化型または紫外線硬化型である滑り止め性を有する塗膜を被覆した物品を第2の要旨とする。
【0005】
以下、添付図面に基づき本発明を詳述する。図1は、本発明の滑り止め性を有する塗膜が被覆された物品の部分断面図である。図中参照符号1は物品の基材、2は下地処理層、3は滑り止め性を有する塗膜層、4は粘着剤を示している。物品の基材1の材質としては、アルミニウム又はその合金、銅又はその合金、鉄又はその合金、亜鉛又はその合金、マグネシウム又はその合金などの金属材料、ABS、AS、アクリル、ポリカ−ボネ−ト、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリスチレン等の熱可塑性樹脂、アルミナ、ジルコニア、陶磁器などのセラミックス材料、木材、紙などの天然材料など、塗装できる材料であれば特に限定はしない。これらの材料で形成された物品には、予め電気めっきや無電解めっき法、塗装、印刷によりニッケルやクロム、或いは金めっき、塗膜、印刷パタ−ン等による下地処理層2が形成されてあってもよい。
【0006】
本発明で光沢を有し、且つ、滑り難い塗膜が被覆された物品を形成するための塗料としては、従来一般に使用されている塗料に粘着剤を分散することで得られた塗料を物品表面に被覆することで得られる。尚、一般に粘着剤として用いられている樹脂を、それ単体で物品上に粘着剤の膜を形成した場合には、ベタツキが大きく、又、膜強度も低く、更に、基材表面に対する密着強度は粘着剤の特性のみの強度であることから、筆記具や化粧具或いは釣り具など手で把持する物品の場合には、把持することで経時的に剥離や膜の引き裂きが発生し、使用できないのが現状である。そこで、本発明は、従来一般に使用されている塗料に粘着剤を分散することで得られた塗料を用いて、塗料の基材に対する密着性や高い膜強度と、光沢性を有し、且つ、粘着剤の添加量を滑り止め特性が優れた塗膜を被覆した物品を得んとしたものである。
【0007】
具体的に滑り止め性を有する塗膜層3に用いることのできる塗料としては、熱硬化型塗料、紫外線硬化型塗料が用いられる。熱硬化型塗料としては、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリルメラミン樹脂、アクリル−シリコン樹脂、アクリル−ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルギット樹脂、シリコン樹脂などが用いられる。紫外線硬化型樹脂としては、官能基として末端にアクリロイル基を有するアクリル酸エステル、メタアクリル酸エステルの単官能性モノマ−や多官能性モノマ−、光重合性プレポリマ−として、ポリエステルアクリレ−ト、エポキシアクリレ−ト、ポリウレタンアクリレ−ト、ポリエ−テルアクリレ−ト、メラミンアクリレ−ト、アルギッドアクリレ−トが用いられる。モノマ−は単独では用いられず、光重合性プレポリマ−と併用して用いられ、光重合性プレポリマ−は1種類または複数混合して用いられる。又、これらの塗料には、着色顔料や有機染料が含まれてあってもよく、特に限定はしない。
【0008】
更に、滑り止め機能を付与させるための粘着剤4としては、塗膜の耐摩耗性や表面硬度或いは、耐汗性を損なわないもので、反応硬化する樹脂が好ましく、ポリエ−テル系ポリウレタン樹脂、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリカ−ボネ−ト系ポリウレタン樹脂が用いられるが、その中で特にポリエステル系ポリウレタン樹脂が好ましい。これらの粘着剤は、塗料に樹脂固型分として、5〜60重量%配合し、ボ−ルミルやインペラ−ミル等で分散すればよく、又、熱硬化型塗料を用いる場合では、粘着剤を反応硬化させるために、イソシアネ−ト化合物を必要量加えればよく、紫外線硬化型塗料を用いる場合では、ラジカル重合開始剤を加えるか、又はイソシアネ−ト化合物を必要量加え、紫外線を照射後、加熱して反応硬化させればよい。
【0009】
この様にして得られた塗料を物品上に被覆する方法としては、静電塗装、スプレ−による吹き付け法、塗料を増粘させてインキ化し、スクリ−ン印刷法などで被覆し、加熱乾燥又は紫外線照射すればよい。
【0010】
尚、本発明において、粘着剤の使用量は、塗料中の樹脂固型分に対して、前記したように5〜60重量%が好ましいが、その理由は、60重量%を超えた場合には塗膜にベタツキが発生しやすくなるので、これを防止するためである。そこで、粘着剤の使用量を多くしてもベタツキの発生を極力防止するために、図2に示すように、粘着剤4と共にコロイド粒子5を塗料中に配合してもよい。即ち、コロイド粒子の添加によって、粘着剤の添加量を多くすることができ、その結果、塗膜強度及び密着強度を向上させつつ、ベタツキを防止できるという利点がある。このようなコロイド粒子としては、塗膜の光沢性や色調に影響を与えず、且つ、塗料中に分散するものであれば種々使用可能であるが、具体例を挙げれば、シリカ、アルミナ、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化インジウム等の酸化物コロイドが好ましく、その粒子径は10nmから200nm程度であればよい。これらのコロイドは、メタノ−ル、エタノ−ル、イソプロパノ−ル、アセトン、エチレングリコ−ル、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン等の有機溶剤中に分散させればよい。このコロイド粒子の使用によって、粘着剤の使用量を、塗料中の樹脂固型分に対して、5〜95重量%というように広げることができる。尚、コロイド粒子は、塗料の樹脂固形分に対して1〜10重量%が好ましい。コロイド粒子が塗料の樹脂固形分に対して10重量%を超えた場合には、塗膜表面の光沢度が低下することがあり、又、1重量%未満では粘着剤の添加量を多くしたときのベタツキ防止効果があまり期待できないからである。
【0011】
本発明においては、塗膜表面の光沢度を80%以上に、又、塗膜表面の静摩擦係数が0.35〜3.0になす必要があるが、その理由は、塗膜表面の光沢度が80%に満たない場合には、塗膜表面が艶消し調となり、光沢を有する外観が得られなくなり、又、塗膜表面の静摩擦係数が0.35に満たない場合には、滑りやすくなり、塗膜表面の静摩擦係数が3.0を超えた場合には、塗膜強度及び密着強度が低下するからである。上記範囲に塗膜表面の光沢度と静摩擦係数を調整するには、粘着剤を、塗料の樹脂固型分に対して5〜60重量%配合するか、粘着剤を、塗料の樹脂固型分に対して5〜95重量%、且つ、コロイド粒子を、塗料の樹脂固形分に対して1〜10重量%配合し、ボ−ルミルやインペラ−ミル等で分散すればよい。
【0012】
【作用】
本発明は、塗膜表面の光沢度と静摩擦係数を特定することにより、塗膜強度及び密着強度を低下させることなく、光沢及び滑り止め性を有する塗膜が被覆された物品が得られるものである。又、塗料に粘着剤を均一に分散した際には、塗膜表面は平滑となり、塗料の持つ光沢を損なわず、滑り止め性を有する塗膜が被覆された物品が得られるものである。更に、塗料に粘着剤と共にコロイド粒子を分散した際には、粘着剤の使用量の自由度をより高め、塗膜強度及び密着強度を向上させつつ、塗膜のベタツキを防止した滑り止め性を有する塗膜が被覆された物品が得られるものである。
【0013】
【実施例】
次に実施例に基づき本発明を説明する。
〈実施例1〉真鍮からなる物品(外径10mm、内径9.8mm、長さ100mmの筆記具の軸体)に黒のアクリル系塗料(関西ペイント(株)製)をスプレ−法にて塗布し、130℃、20分間乾燥することで、黒の塗膜を被覆した軸体を得た。次にアクリル系のクリヤ−塗料(関西ペイント(株)製)に粘着剤として、ポリエステル系ポリウレタン樹脂(日本ポリウレタン工業(株)製XN−230)をアクリル系樹脂塗料の樹脂固型分に対して25重量%添加し、ボ−ルミルで分散後、イソシアネ−ト系硬化剤(日本ポリウレタン工業(株)製コロネ−トHL)を10%加え、溶剤(MEK:シクロヘキサノン=1:1で混合)を加えて、塗料の樹脂固型分を8%に調整し、スプレ−法で黒のアクリル塗膜が形成された軸体に塗布し、180℃、20分間乾燥することで、光沢を有する黒の軸体を得た。
【0014】
〈実施例2〉
黒に着色したABS樹脂を用い、射出成形で形成した物品(外径10mm、内径9.5mm、長さ100mmの筆記具の軸体)に赤のウレタン系インキ((株)セイコ−アドバンス製VIC)を用い、スクリ−ン印刷法で花柄のパタ−ンを形成した。紫外線硬化型塗料(藤倉化成(株)製HO9257U)に実施例1で用いたポリエステル系ポリウレタン樹脂(日本ポリウレタン工業(株)製XN−230)を紫外線硬化型塗料の樹脂固型分に対して10重量%添加し、インペラ−ミルで分散した。得られた塗料にイソシアネ−ト系硬化剤(日本ポリウレタン工業(株)製コロネ−トHL)を10%加え、スプレ−法で花柄を形成したABS軸体に塗布し、50℃、3分間乾燥後、紫外線を1分間照射し、硬化させ、更に、80℃、30分間乾燥することで、光沢を有し黒地に赤の花柄を形成した軸体を得た。
【0015】
〈実施例3〉
透明なAS樹脂を用い、射出成形で形成された物品(外径10mm、内径9.5mm、長さ100mmの筆記具の軸体)にホットスタンピングにより、金色の格子パタ−ンを形成した。紫外線硬化型塗料(三菱レイヨン(株)製UL−1192)に紫外線硬化型粘着剤(日本ポリウレタン工業(株)製XN−238)を紫外線硬化型塗料の樹脂固型分に対して30重量%添加し、インペラ−ミルで分散した。得られた紫外線硬化型塗料をスプレ−法で金色の格子パタ−ンを形成した透明な軸体に塗布し、50℃、3分間乾燥後、紫外線を1分間照射することで、光沢を有し、金色の格子パタ−ンを有した透明な軸体を得た。
【0016】
〈実施例4〉
実施例1で用いた粘着剤をポリエステル系ポリウレタン樹脂(武田薬品工業(株)製E−350A)に代えた以外は実施例1と同様の条件で処理することにより、光沢を有する黒の軸体を得た。
【0017】
〈実施例5〉
真鍮からなる物品(外径10mm、内径9.8mm、長さ100mmの筆記具の軸体)に黒のアクリル系塗料(関西ペイント(株)製)をスプレ−法にて塗布し、130℃、20分間乾燥することで、黒の塗膜を被覆した軸体を得た。次にアクリル系のクリヤ−塗料(関西ペイント(株)製)に粘着剤として、ポリエステル系ポリウレタン樹脂(日本ポリウレタン工業(株)製XN−249)をアクリル系樹脂塗料の樹脂固型分に対して75重量%、シリカコロイド(日産化学工業(株)製MEK)を3重量%添加し、ボ−ルミルで分散後、イソシアネ−ト系硬化剤(日本ポリウレタン工業(株)製コロネ−トHL)を10%加え、溶剤(MEK:シクロヘキサノン=1:1で混合)を加えて、塗料の樹脂固型分を8%に調整し、スプレ−法で黒のアクリル塗膜が形成された軸体に塗布し、180℃、20分間乾燥することで、光沢を有する黒の軸体を得た。
【0018】
〈実施例6〉
黒に着色したABS樹脂を用い、射出成形で形成した物品(外径10mm、内径9.5mm、長さ100mmの筆記具の軸体)に赤のウレタン系インキ((株)セイコ−アドバンス製VIC)を用い、スクリ−ン印刷法で花柄のパタ−ンを形成した。紫外線硬化型塗料(藤倉化成(株)製HO9257U)にポリエステル系ポリウレタン樹脂(日本ポリウレタン工業(株)製XN−238)を紫外線硬化型塗料の樹脂固型分に対して90重量%、シリカコロイド(触媒化成工業(株)OSCAL1432)を5重量%添加し、インペラ−ミルで分散した。得られた塗料にイソシアネ−ト系硬化剤(日本ポリウレタン工業(株)製コロネ−トHL)を10%加え、スプレ−法で花柄を形成したABS軸体に塗布し、50℃、3分間乾燥後、紫外線を1分間照射し、硬化させ、更に、80℃、30分間乾燥することで、光沢を有し黒地に赤の花柄を形成した軸体を得た。
【0019】
〈実施例7〉
透明なAS樹脂を用い、射出成形で形成された物品(外径10mm、内径9.5mm、長さ100mmの筆記具の軸体)にホットスタンピングにより、金色の格子パタ−ンを形成した。紫外線硬化型塗料(三菱レイヨン(株)製UL−1192)に紫外線硬化型粘着剤(日本ポリウレタン工業(株)製XN−238)を紫外線硬化型塗料の樹脂固型分に対して80重量%、シリカコロイド(触媒化成工業(株)OSCAL1434)を1重量%添加し、インペラ−ミルで分散した。得られた紫外線硬化型塗料をスプレ−法で金色の格子パタ−ンを形成した透明な軸体に塗布し、50℃、3分間乾燥後、紫外線を1分間照射することで、光沢を有し、金色の格子パタ−ンを有した透明な軸体を得た。
【0020】
〈実施例8〉
実施例5で用いた粘着剤をポリエステル系ポリウレタン樹脂(武田薬品工業(株)製E−350A)に代えた以外は実施例5と同様の条件で処理することにより、光沢を有する黒の軸体を得た。
【0021】
〈実施例9〉
真鍮からなる物品(外径10mm、内径9.8mm、長さ100mmの筆記具の軸体)に黒のアクリル系塗料(関西ペイント(株)製)をスプレ−法にて塗布し、130℃、20分間乾燥することで、黒の塗膜を被覆した軸体を得た。次にアクリル系のクリヤ−塗料(関西ペイント(株)製)に粘着剤として、ポリエステル系ポリウレタン樹脂(日本ポリウレタン工業(株)製XN−249)をアクリル系樹脂塗料の樹脂固型分に対して75重量%添加し、ボ−ルミルで分散後、イソシアネ−ト系硬化剤(日本ポリウレタン工業(株)製コロネ−トHL)を10%加え、溶剤(MEK:シクロヘキサノン=1:1で混合)を加えて、塗料の樹脂固型分を8%に調整し、スプレ−法で黒のアクリル塗膜を形成した軸体に塗布し、180℃、20分間乾燥することで、光沢を有する黒の軸体を得た。
【0022】
〈実施例10〉
黒に着色したABS樹脂を用い、射出成形で形成した物品(外径10mm、内径9.5mm、長さ100mmの筆記具の軸体)に赤のウレタン系インキ((株)セイコ−アドバンス製VIC)を用い、スクリ−ン印刷法で花柄のパタ−ンを形成した。次に紫外線硬化型塗料(藤倉化成(株)製HO9257U)にポリエステル系ポリウレタン樹脂(日本ポリウレタン工業(株)製XN−238)を紫外線硬化型塗料の樹脂固型分に対して90重量%添加し、インペラ−ミルで分散した。得られた塗料にイソシアネ−ト系硬化剤(日本ポリウレタン工業(株)製コロネ−トHL)を10%加え、スプレ−法で花柄を形成したABS軸体に塗布し、50℃、3分間乾燥後、紫外線を1分間照射し硬化させ、光沢を有し黒地に赤の花柄を形成した軸体を得た。
【0023】
〈比較例1〉
真鍮からなる物品(外径10mm、内径9.8mm、長さ100mmの筆記具の軸体)に黒のアクリル系塗料(関西ペイント(株)製)をスプレ−法にて塗布し、130℃、20分間乾燥することで、黒の塗膜を被覆した軸体を得た。次にアクリル系のクリヤ−塗料(関西ペイント(株)製)をスプレ−法で黒のアクリル塗膜を形成した軸体に塗布し、180℃、20分間乾燥することで、光沢を有する黒の軸体を得た。
【0024】
〈比較例2〉
黒に着色したABS樹脂を用い、射出成形で形成した物品(外径10mm、内径9.5mm、長さ100mmの筆記具の軸体)に赤のウレタン系インキ((株)セイコ−アドバンス製VIC)を用い、スクリ−ン印刷法で花柄のパタ−ンを形成した。次に紫外線硬化型塗料(藤倉化成(株)製HO9257U)をスプレ−法で花柄を形成したABS軸体に塗布し、50℃、3分間乾燥後、紫外線を1分間照射し硬化させ、光沢を有し黒地に赤の花柄を形成した軸体を得た。
【0025】
実施例1〜10、比較例1、2で得られた塗膜の静摩擦係数、光沢度、表面硬度、密着性、ベタツキを評価した。その結果を表1に示す。尚、静摩擦係数、光沢度、表面硬度、密着性は以下の方法による。
・静摩擦係数:ASTM D 1894に準じた。尚、相手基材はJIS G4305に定められているSUS 304を使用した。
・光沢度:JIS K 5400 鏡面光沢度に準じ、入射角60゜、受光角60゜の条件で測定した。
・表面硬度:JIS K 5400 鉛筆引っかき値試験機法に準じ測定した。
・密着性:JIS K 5400 付着性碁盤目テ−プ法に準じ測定した。尚、評価は碁盤目100個中の剥離した個数とした。
【0026】
【表1】
【0027】
【発明の効果】
本発明は、実施例、比較例の結果が示すように、塗膜表面の光沢度と静摩擦係数を特定した塗膜を物品上に被覆することにより、塗料の持つ光沢を損なわず、滑り止め機能を有する物品が得られ、広範囲の分野に利用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の滑り止め性を有する塗膜が被覆された物品の実施例を示す部分断面図。
【図2】 本発明の滑り止め性を有する塗膜が被覆された物品の他の実施例を示す部分断面図。
【符号の説明】
1 物品の基材
2 下地処理層
3 滑り止め性を有する塗膜層
4 粘着剤
5 コロイド粒子
Claims (2)
- 塗膜表面の光沢度が80%以上で、且つ、塗膜表面の静摩擦係数が0.35〜3.0である滑り止め性を有する塗膜を被覆した物品であって、その塗膜は塗料にポリウレタン樹脂系粘着剤を樹脂固形分として5〜60重量%を分散混合してなる熱硬化型または紫外線硬化型である滑り止め性を有する塗膜を被覆した物品。
- 塗膜表面の光沢度が80%以上で、且つ、塗膜表面の静摩擦係数が0.35〜3.0である滑り止め性を有する塗膜を被覆した物品であって、その塗膜は塗料にポリウレタン樹脂系粘着剤を樹脂固形分として5〜95重量%を分散混合し、且つ、塗料に10〜200nmの粒子を分散混合してなる熱硬化型または紫外線硬化型である滑り止め性を有する塗膜を被覆した物品。
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