JP3716332B2 - テープカートリッジ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、テープカートリッジにおいて、前蓋を閉じ姿勢に保持する前蓋ロック機構に改良を加えたものである。
【0002】
【従来の技術】
不使用時のテープ保護のために、ケース前面に導出したテープの前後を前蓋と裏蓋とで覆い、さらにテープローディング用のポケットの上面を上蓋で覆う形態のテープカートリッジにおいて、図8に示すようにロック爪40を板ばね製のロックばね41で回動付勢する形態のロック機構がある。そこでは、ロックばね41の組み込みの容易化と、組み込み姿勢の安定化とを図るために、ロックばね41は断面U字状の基部42と、基部42の前方に突設したばね腕43とで構成し、基部42を下ケース1bの装着溝45に上方から差し込み装填している。
【0003】
そのロック爪40は、爪本体46の前面上下に爪腕47と脚片48とを有し、爪本体46の上端後部にばね受部49を突設してある。ロック爪40がロック解除された状態においても、ロック爪40を確実にロック付勢するために、ばね腕43の先端側はへ字状に折り曲げてある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、へ字状に折り曲げたばね腕43によれば、図8の状態でばね受部49に対して時計回転方向のばね力が確実に作用するので、ロック解除操作されたロック爪40をより大きな回動モーメントで復帰揺動できる。しかし、片持ち梁状のばね腕43でロック爪40を回動付勢するので、ばね腕43によって発揮できるばね力に限界があり、ばね腕43の板厚や幅を大きくしない限りは、充分なばね力を確保できない。ばね腕43の基部の傾斜角度や、へ字状の屈曲部分の屈曲角度の僅かなばらつきによって、ばね受部49に作用するばね力が変化し、先の回動モーメントが大きくばらつく。僅かな外力でばね腕43が変形しやすい不利もある。
【0005】
本発明の目的は、ロック爪およびロックばねの下ケースに対する組み付けの容易さを維持しながら、より大きなばね力を発揮させることができ、しかもばね腕の形状や構造のばらつきに起因するロック爪の回動モーメントのばらつきを解消して、前蓋ロック機構の動作の安定性を向上することにある。本発明の他の目的は、ロックばねの形状を単純化し、その分だけロックばねの機能の安定性を向上し、製作コストの削減化を図ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のテープカートリッジは、図2および図3に示すごとく上下ケース1a・1bを蓋合わせ状に結合してなる本体ケース1の前部に前蓋5を有し、本体ケース1の側壁前部に、前蓋5を閉じ位置にロック保持する前蓋ロック機構が設けられている。前蓋ロック機構は、図1に示すごとく前蓋5の蓋側壁5aに設けた爪受片11と、爪受片11に係合して前蓋5を開き不能にロック保持するロック爪12と、ロック爪12をロック係合する向きに揺動付勢するロックばね13とからなる。ロック爪12は、下ケース1bの側壁前部に設けた爪受部14に収容されて、その上部左右に突設した軸20を介して前後揺動自在に支持されている。ロックばね13は、下ケース1bに上方から装着されてロックばね13の全体を位置決め保持する基部23と、基部23に連続して片持ち梁状に突設されて、その中途部がロック爪12の上部のばね受部21に外接するばね腕24とを備えている。かくして、ばね受部21の上方揺動に伴うばね腕24の変形応力に抗して、ばね腕24の遊端を常時受け止めるための突片26をケース本体1側に設けたものである。
【0007】
ロックばね13は、断面U字状の基部23と、基部23の上端前後縁に連続して一体に折り曲げられたばね腕24、および規制壁25とを有する板ばねで形成する。下ケース1bには爪受部14に隣接して装着溝16を設けてあり、この装着溝16に基部23を上方から差し込み装着して、ばね腕24の折り曲げ基端と規制壁25とを上下ケース1a・1bで挟み固定する。ばね腕24の遊端を受け止める突片26は、爪受部14に臨む上ケース1aの内面に設ける。
【0008】
【作用】
片持ち梁状に突設したばね腕24の遊端を突片26で受け止めて、例えば図1に示すようにばね腕24を、これの折り曲げ基端を挟持する上下ケース1a・1bの挟持部分27・28と、突片26とで両持ち支持するので、ロック爪12の前後揺動に伴ってばね受部21がばね腕24を押し上げ操作するときの変形応力、即ちばね力を充分に大きくできる。使用状態におけるばね腕24は、下ケース1bに装着した基部23で位置決めされ、さらにばね受部21と、突片26とで常に接当保持されているので、自由状態でのばね腕24の折り曲げ形状等にばらつきがあったとしても、組み付け時には一定のばね力を発揮して、ロック爪12に作用する回動モーメントが一定化する。
【0009】
板ばね製のロックばね13は、そのばね腕24の板面がばね受部21と接当するので、ばね力がロック爪12に対して偏寄した状態で作用するのを阻止して、ばね力がロック爪12に対して常に適正に作用する。上ケース1a側に突片26を設けておくと、ロック爪12とロックばね13とを下ケース1bに組んだ後、上ケース1aを下ケース1bに単に組み付けるだけで、ばね腕24の遊端が突片26で適正に受け止められ、組み立てを容易化できる。
【0010】
【実施例】
図1ないし図6は本発明に係るテープカートリッジの実施例として、ディジタル信号化された映像および音声信号を記録する、主に業務用のビデオテープカートリッジ(DVC)を例示している。図2および図3において、その本体ケース1はプラスチック製の上下ケース1a・1bを蓋合わせ状にねじ結合してなり、この本体ケース1の内部左右にテープ2を巻き取るための一対のリール3・3がそれぞれ回転自在に収容されている。一方のリール3から引き出されたテープ2は、本体ケース1の前部左右のテープガイドに案内されてケース前面に導出されたのち、他方のリール3に巻き取られる。本体ケース1の前面には、左右のテープガイド間に上下面および前面が開口するテープローディング用のポケット4が設けてある。不使用時にポケット4の前面を横切るテープ2を保護するために、前蓋5および裏蓋6でテープ2の前面および後面を覆い、さらにポケット4の上面開口を上蓋7で覆っている。
【0011】
図4において、本体ケース1の前面外側に備えた前蓋5は、左右の蓋側壁5aの内側面に設けた軸8が、本体ケース1の側壁に軸支されていて、この軸8まわりに図4の実線で示す閉じ状態と、想像線で示す開放状態とにわたって上下方向に揺動開閉できる。前蓋5を開放した状態では、上蓋7がケース側壁に設けたへ字状のガイド溝9に案内されて、本体ケース1の上面にスライド開放する。裏蓋6も同様に本体ケース1の上方へ退避スライドする。なお、前蓋5は図外の捻じりコイル形のばねで閉じ勝手に揺動付勢されている。
【0012】
前蓋5を閉じ位置において開き不能にロック保持するために、左右の蓋側壁5aと本体ケース1の左右の側壁前部との間に前蓋ロック機構が設けられている。図1において前蓋ロック機構は、蓋側壁5aの内側面に設けた爪受片11と、爪受片11に下方から回り込むよう係脱自在に係合するロック爪12と、ロック爪12をロック係合する向きに揺動付勢するロックばね13とからなる。
【0013】
ロック爪12およびロックばね13を組み込むために、図5に示すごとく下ケース1bの側壁前部には、上下面と前面が開口する水平断面がコ字状の爪受部14と装着溝16とを設ける。爪受部14は、対向する一対の左右側壁14a・14bを有し、左右側壁14a・14bの上端に軸受溝15がそれぞれ凹み形成してある。左右側壁14a・14bの下端縁に沿って、後述する脚部19の左右方向への振れを規制する突壁17を対向状に突設する。
【0014】
図5においてロック爪12は、上下に長いプラスチックブロックからなる爪本体12aを有し、その前面の上下中途部に爪受片11と係合する爪腕18を斜め上向きに突設する。爪本体12aの前面の下端には、デッキ側のロック解除具P(図1参照)でロック解除操作される脚部19を突設する。なお、脚部19の左右幅は爪腕18の左右幅より小さく寸法設定しておく。ロック爪12の上端寄りの左右には、図5および図6に示すように、前記軸受溝15に上方から落とし込み装填される一対の軸20を突設する。ロック爪12の上端には、前記軸20より後方へ偏寄した位置に、ロックばね13を受け止める断面半円状のばね受部21を上向きに突設する。図5において手前(右)側の軸20はロックばね13との相互干渉を避ける必要上、断面半円状に形成してある。
【0015】
ロックばね13は、図5に示すごとくステンレス板等の金属薄板をプレス成形してなる板ばねからなり、断面U字状の基部23と、基部23の上端前後縁に連続してそれぞれ一体に折り曲げた長尺のばね腕24と短尺の規制壁25とを有する。自由状態における基部23は、上縁の前後間隔が装着溝16の前後間隔より大きなくさび形状を呈しており、装着溝16に差し込み装着することによって、前後壁が溝周壁に沿って平行になる。このときの押し込み限界を、ばね腕24と協同して規定するために規制壁25が後ろ向きに張り出し形成されている。
【0016】
自由状態におけるばね腕24は、単純な水平面壁からなり、基部23を装着溝16に装着した状態では、ばね腕24の中途部がばね受部21の上周面に接当して、ロック爪12の全体を例えば図4の時計回転方向へ揺動付勢する。ばね受部21に作用するばね力を増強し、さらにばね腕24の形状や姿勢のばらつきに伴うばね力のばらつきを防ぐために、図1に示すごとく、爪受部14に臨む上ケース1aの内面に突片26を下向きに突出形成してあり、ばね腕24の遊端上面を該突片26で僅かに押え込み、突片26と、ばね腕24の折り曲げ基端を挟持する上下ケース1a・1bの挟持部分27・28とでばね腕24を両持ち状に支持する。その結果、ばね腕24は緩やかに屈曲するへ字形状に弾性変形し、図1に示すようにロック爪12をロック解除操作すると、腕中途部が押し上げられて屈曲の度合が増す。
【0017】
前蓋ロック機構の組み付けに際しては、予め前蓋5に上蓋7を組み、上蓋7に裏蓋6を組み付けてユニット化してあり、この蓋ユニットは軸8を上ケース1aに圧嵌係合して上ケース1aと一体化される。一対のリール3やリールロック機構などを下ケース1bに組んだのち、ロック爪12を爪受部14内に上方から落とし込み装填し、その軸20を軸受溝15に嵌め込み、ロック爪12を軸20まわりに回動自在に仮組みする。次にロックばね13の基部23を装着溝16に上方から差し込んで、ばね腕24をばね受部21に外接させる。最後に、下ケース1bに上ケース1aを被せ付け、両ケース1a・1bを下ケース1bの下面側からねじ込んだビスで締結することにより、組み立てが完了する。この状態では、図1に示すようにばね腕24の折り曲げ基端と規制壁25とが上下ケース1a・1bの接合面で挟持されて、上下方向の位置決めされている。また、ばね腕24の遊端が突片26で受け止められている。
【0018】
上記の実施例では、基部23を断面U字状に形成したが、例えば図7に示すように基部23を下向きに開口する断面コ字状に形成して、これを爪受部14の後端壁に上方から差し込み装着することができる。必要があれば、突片26は下ケース1bの接合面に突出形成して、上ケース1aを組む前に、ばね腕24の遊端を突片26に掛け止めることができる。
【0019】
【発明の効果】
本発明の前蓋ロック機構によれば、片持ち梁状に形成したばね腕24の遊端を突片26で受け止めて、ばね腕24を、これの折り曲げ基端を挟持する上下ケース1a・1bの挟持部分27・28と突片26とで両持ち状に支持するので、従来のロックばねに比べて、ばね腕24によって発揮されるばね力を格段に増強できるうえ、自由状態におけるばね腕24の折り曲げ形状等にばらつきがあっても、その影響を受けることなく一定のばね力を発揮させることができる。これにより、ロック爪12に対してより大きな一定のモーメントを作用させることができるので、前蓋ロック機構の動作が安定化し、長期使用時の信頼性が高まる。落下衝撃等を受けて、ロック爪12がロック解除することも確実に防止できる。ばね腕24を予め屈曲形成する必要がなく、その形状を単純化できるので、ばね力をばらつきなく安定して発揮させることができるうえ、ロックばね13の製作コストも削減化できる。
【0020】
上ケース1a側に突片26を設けられていると、ロック爪12およびロックばね13を下ケース1bに組んだ後、上ケース1aを下ケース1bに被せ付けて組み付けるだけで、ばね腕24の遊端を突片26で受け止め支持できるので、従来と同様に前蓋ロック機構の組み付けが容易であり、組付の自動機械化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】前蓋ロック機構を示す要部の一部切欠き側面図である。
【図2】全体の斜視図である。
【図3】前蓋まわりの構造を示す縦断側面図である。
【図4】要部の側面図である。
【図5】前蓋ロック機構の分解斜視図である。
【図6】前蓋ロック機構の平面図である。
【図7】ロックばねの別実施例を示す斜視図である。
【図8】本発明の比較例を示す前蓋ロック機構の一部切欠き側面図である。
【符号の説明】
1 本体ケース
5 前蓋
5a 蓋側壁
6 裏蓋
7 上蓋
11 爪受片
12 ロック爪
13 ロックばね
14 爪受部
20 軸
21 ばね受部
23 基部
24 ばね腕
25 規制壁
Claims (2)
- 上下ケース1a・1bを蓋合わせ状に結合してなる本体ケース1の前部に前蓋5を有し、
本体ケース1の側壁前部に、前蓋5を閉じ位置にロック保持する前蓋ロック機構が設けられており、
前蓋ロック機構は、前蓋5の蓋側壁5aに設けた爪受片11と、爪受片11に係合して前蓋5を開き不能にロック保持するロック爪12と、ロック爪12をロック係合する向きに揺動付勢するロックばね13とからなり、
ロック爪12は、下ケース1bの側壁前部に設けた爪受部14に収容されて、その上部左右に突設した軸20を介して前後揺動自在に支持されており、
ロックばね13は、下ケース1bに上方から装着されてロックばね13の全体を位置決め保持する基部23と、基部23に連続して片持ち梁状に突設されて、その中途部がロック爪12の上部のばね受部21に外接するばね腕24とを備えており、
ばね受部21の上方揺動に伴うばね腕24の変形応力に抗して、ばね腕24の遊端を常時受け止める突片26が、ケース本体1側に設けられているテープカートリッジ。 - ロックばね13が、断面U字状の基部23と、基部23の上端前後縁に連続して一体に折り曲げられたばね腕24、および規制壁25とを有する板ばねからなり、
基部23は爪受部14に隣接するよう下ケース1bに設けた装着溝16に、上方から差し込み装着されて、ばね腕24の折り曲げ基端と規制壁25とが上下ケース1a・1bで挟み固定されており、
ばね腕24の遊端を受け止める突片26が、爪受部14に臨む上ケース1aの内面に設けてあるテープカートリッジ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16141698A JP3716332B2 (ja) | 1998-05-25 | 1998-05-25 | テープカートリッジ |
Applications Claiming Priority (1)
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JP16141698A JP3716332B2 (ja) | 1998-05-25 | 1998-05-25 | テープカートリッジ |
Publications (2)
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JPH11339430A JPH11339430A (ja) | 1999-12-10 |
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ID=15734691
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP16141698A Expired - Lifetime JP3716332B2 (ja) | 1998-05-25 | 1998-05-25 | テープカートリッジ |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3716332B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1096494A3 (en) * | 1999-10-27 | 2004-01-14 | TDK Corporation | Tape cassette |
-
1998
- 1998-05-25 JP JP16141698A patent/JP3716332B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JPH11339430A (ja) | 1999-12-10 |
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