JP3670472B2 - テープカートリッジ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、本体ケースの前面に配置された前蓋を閉じ姿勢に保持するロック機構に特徴を有するテープカートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
不使用時のテープ保護のために、ケース前面に導出したテープの前後を前蓋と裏蓋とで覆い、さらにテープローディング用のポケットの上面を上蓋で覆う形態のテープカートリッジが、例えば特開平7−141828号公報に公知である。そこでは、図8に示すように下ケースに設けた水平断面がコ字状の爪受部40の内部にロック爪41を配置し、ロック爪41の上端に設けた爪軸42を爪受部40に凹設した軸受溝43で軸支している。さらに、ロック爪41と爪受部40の奥端壁44との間にはロックばね45を配置し、このロックばね45でロック爪41をこれが前蓋46と係合する向きに揺動付勢している。前蓋46の後縁内面には爪受片47が設けてあり、この爪受片47にロック爪41の爪腕48が係合して、前蓋46を閉じ姿勢にロック保持する。ロックばね45は逆V字状に折り曲げた板ばねからなる。
【0003】
上記のロック爪41の左右幅は1〜2mm前後しかなく、落下衝撃を受けるような場合に、爪腕48と爪受片47との係合が外れやすい。そこで、本発明者等はロック爪の全体の左右幅寸法を増強して、前蓋ロック機構の信頼性の向上を図ることとした。具体的には、図9に示すように、ロック爪50を左右厚みの大きなプラスチックブロックで形成し、その前面の上下中途部に前蓋46の爪受片47と係合する広幅の爪腕51を斜め上向きに突設し、前面下端にテープドライブのロック解除具でロック解除操作される脚部52を設けた。脚部52の左右幅寸法は爪腕51の左右幅寸法より小さい。こうしたロック爪50の構造変更に伴って、爪受部53の左右側壁の下端に突壁54を対向状に設け、両突壁54で脚部52の左右方向の振れを規制できるようにした。この場合にも、逆V字状のロックばね45を用いて、ロック爪50を前蓋と係合する向きに揺動付勢するようにした。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の前蓋ロック機構では、上下ケースを組み立てた後に、ロックばね45を爪受部53の下面開口の側から差し込み装填するので、ロックばね45の左右幅寸法は、突壁54の対向間隔と同じかこれより小さくならざるを得ない。そのため、ロック爪50と爪受部53の奥端壁との間に装填したロックばね45は、突壁54の突出寸法分だけ左右方向へ遊動できる余地を生じ、最悪の場合には、ロックばね45の全体が左右方向へ傾しいだ状態で装填され、ばね力を安定して発揮できなくなる。装填時には正しい姿勢であっても、落下衝撃を受けてばね姿勢が傾しぐこともある。このように、ロックばね45が傾しぐと、ロック爪50に十分なばね力を作用させることができず、あるいはロック爪50に偏ったばね力が作用するので、動作不良を生じやすい。
【0005】
本発明の目的は、前蓋ロック用のロックばねを捻じりコイルばねで形成し、捻じりコイルばねが圧縮コイルばねと同様の弾性作用を発揮できることを利用して、爪受部に装填したロックばねの側面を爪受部に圧接させ、この圧接作用に伴う摩擦力によってロックばねの装填状態を安定して維持できるようにし、以て前蓋ロック機構を常に確実に作動させることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のテープカートリッジは、図2に示すように上下ケース1a・1bを蓋合わせ状に結合してなる本体ケース1の前面に前蓋5を有し、本体ケース1の側壁前部に、前蓋5を閉じ位置にロック保持する前蓋ロック機構を有する。前蓋ロック機構は、図1および図4に示すように前蓋5の蓋側壁5aに設けた爪受片11と、爪受片11に係脱自在に係合するロック爪12と、ロック爪12をロック係合する向きに揺動付勢するロックばね13とからなる。ロック爪12およびロックばね13を収容するための爪受部14を、下ケース1bの側壁前部に、上下面および前面が開口する状態で断面コ字状に設ける。ロック爪12は、図1および図5などに示すように爪受片11に係合する爪腕18と、ロック解除具Pでロック解除される脚部19とを有し、爪上部に設けた軸20を、爪受部14の上端に設けた軸受溝15に装填することにより、ロック爪12の全体が前後揺動自在に支持される。爪受部14の左右側壁14a・14bの下端に、脚部19の左右方向への振れを規制する突壁23を突設する。ロックばね13は、コイル部25と、コイル部25の前後に連出される前ばね腕26、および後ばね腕27とを一体に設けた捻じりコイルばねからなる。前後に対向するロック爪12の後面と爪受部14の奥端壁14cとの少なくともいずれか一方に、前ばね腕26あるいは後ばね腕27の抜け出しを防ぐ受壁17・22を突設する。自由状態におけるロックばね13の左右幅寸法Lを、爪受部14の左右側壁14a・14bの対向寸法Tより大きく設定する。
【0007】
具体的には、ロックばね13は、コイル部25と、コイル部25の両側端から連出した左右一対の後ばね腕27と、コイル部25の中途部から連出したU字状の前ばね腕26とを備えている。
【0008】
爪受部14の奥端壁14cの下端に受壁17を突設する。ロック爪12の背面に、前ばね腕26を受け入れる凹部21を設け、凹部21の下端に受壁22を設ける。
【0009】
【作用】
組み立て時には、ロック爪12の軸20を爪受部14の軸受溝15に落とし込み装填し、上ケース1aを下ケース1bに組み付けた後、ロックばね13を下面開口の側から爪受部14内へ差し込み装填する。詳しくは、前後のばね腕26・27をそれぞれの遊端どうしが互いに接近する向きに弾性変形させる。さらに、ロックばね13を幅方向へ圧縮変形させながら、コイル部25を差し込み始端にして下面側から爪受部14の内部に差し込む。このときの、ロックばね13の左右幅寸法Lは、爪受部14の左右側壁14a・14bの対向寸法より大きい。そのため、爪受部14内に差し込んだロックばね13は、自由状態へ戻ろうとしてそのコイル部25、あるいは前後のばね腕26・27のいずれかが、爪受部14の左右側壁14a・14bに圧接し、圧接部分において摩擦力を受ける。従って、ロックばね13を装填し終わった状態においては、ロックばね13は左右方向へ傾動する余地がなく、常に適正な装填姿勢を維持できる。ロックばね13に外部衝撃が作用するような場合であっても、ロックばね13が大きく位置ずれし、その装填姿勢が変化するのを阻止できる。
【0010】
【実施例】
図1ないし図6は本発明に係るテープカートリッジの実施例を示しており、ディジタル化された映像および音声信号を記録する、主として業務用のビデオテープカートリッジ(DVC)が例示されている。図2および図3においてテープカートリッジは、本体ケース1がプラスチック製の上下ケース1a・1bを蓋合わせ状にねじ結合してなり、この本体ケース1の内部左右にテープ2が巻かれる一対のリール3・3をそれぞれ回転自在に収容してある。一方のリール3から引き出されたテープ2は、本体ケース1の前部左右のテープガイドに案内されてケース前面に導出されたのち、他方のリール3に巻き取られる。左右のテープガイド間には、上下面および前面が開口するテープローディング用のポケット4が設けてあり、不使用時においてポケット4の前面を横切るテープ2の保護のために、前蓋5および裏蓋6でテープ2の前面および後面を覆い、さらにポケット4の上面開口を上蓋7で覆っている。
【0011】
図4において、本体ケース1の前面に備えた前蓋5は、左右の蓋側壁5aの内側面に設けた軸8が、本体ケース1の側壁に軸支されていて、この軸8まわりに図4の実線で示す閉じ状態と、想像線で示す開放状態とにわたって上下方向に揺動開閉できる。前蓋5を開放した状態では、上蓋7はケース側壁に設けたへ字状のガイド溝9でケース後方へ案内されて、本体ケース1の上面上方へ乗り上がるようにスライド開放する。裏蓋6も同様に本体ケース1の上方へ退避スライドする。なお、前蓋5は図外の捻じりコイル形のばねで閉じ勝手に揺動付勢してある。
【0012】
前蓋5を閉じ位置において開き不能にロック保持するために、左右の蓋側壁5aと本体ケース1の左右の側壁前部との間に前蓋ロック機構が設けられている。図4において前蓋ロック機構は、蓋側壁5aの内側面に設けた爪受片11と、爪受片11に係脱自在に係合するロック爪12と、ロック爪12をロック係合する向きに揺動付勢するロックばね13とからなる。
【0013】
ロック爪12およびロックばね13を組み込むために、図5に示すごとく下ケース1bの側壁前部には、上下面と前面が開口する水平断面がコ字状の爪受部14を設ける。爪受部14は、対向する一対の左右側壁14a・14bを有し、左右側壁14a・14bの上端に軸受溝15がそれぞれ凹み形成してある。爪受部14の奥端壁14cは、左右側壁14a・14bどうしをつないでおり、減肉のために上面から見て凸字状に形成する。この奥端壁14cの下端には、後ばね腕27の下方への抜け出しを防ぐ受壁17を前向きに突設する。先の左右側壁14a・14bの下端縁に沿って、後述する脚部19の左右方向への振れを規制する突壁23が対向状に突設してある。
【0014】
図5において、ロック爪12は上下に長いプラスチックブロックからなり、その前面の上下中途部に爪受片11と係合する爪腕18が斜め上向きに突設され、前面の下端にロック解除具Pでロック解除操作される脚部19が突設されている。脚部19の左右幅は爪腕18の左右幅に比べて小さい。ロック爪12の上端寄りには、前記軸受溝15に上方から落とし込み装填される軸20を突設する。ロック爪12の背面には、後述する前ばね腕26を受け入れる凹部21を凹み形成し、その下端を前ばね腕26用の受壁22としている。図6に示すように、凹部21の内側壁は外拡がりテーパー状に傾斜してある。
【0015】
ロックばね13は、ばね線材で形成した捻じりコイルばねからなり、コイル部25の左右側端のそれぞれの後部から、後ばね腕27をコイル部25より広幅に連出し、コイル部25の幅方向中央の前部から前ばね腕26をU字状に連出して形成する。自由状態におけるロックばね13の左右幅寸法L(この実施例では後ばね腕27の突端の左右幅)は、爪受部14の左右側壁14a・14bの対向寸法Tより十分に大きく設定する。ロックばね13をロック爪12と奥端壁14cとの間に装填した状態においては、前ばね腕26の突端がロック爪12の凹部21で受け止められ、後ばね腕27が左右側壁14a・14bおよび奥端壁14cで受け止められて、ロック爪12をロック係合する向きに揺動付勢する。
【0016】
前蓋ロック機構の組み付けに際しては、予め前蓋5に上蓋7を組み、上蓋7に裏蓋6が組み付けてある。これらの蓋ユニットは軸8を上ケース1aに圧嵌係合して上ケース1aと一体化する。一対のリール3やリールロック機構などを下ケース1bに組んだのち、ロック爪12を爪受部14内に上方から落とし込み装填し、その軸20を軸受溝15に係合する。次に上ケース1aを下ケース1bに組み、最後にロックばね13を下面開口の側から爪受部14内に組む。詳しくは、図1に想像線で示すように、前後のばね腕26・27を互いに接近する向きに弾性変形させ、この状態を維持したままでコイル部25を圧縮変形させ、その上端を突壁23の間に差し込み装着する。以後は、両ばね腕26・27が受壁17・22を乗り越えるまでロックばね13を押し込み、各ばね腕26・27を凹部21および奥端壁14c内へ落とし込むことにより、ロックばね13を爪受部14内へ容易に組むことができる。
【0017】
上記のように、爪受部14内にロックばね13を組んだ状態においては、図6に示すようにロックばね13の全体が幅方向に圧縮され、後ばね腕27が爪受部14の左右側壁14a・14bに接当して摩擦力を受ける。従って、本体ケース1に外部衝撃が作用するようなことがあっても、ロックばね13が左右方向へ傾しぐのを確実に防止し、ロックばね13の組み付け状態を安定して維持できる。
【0018】
落下衝撃を受けるような場合に、ロックばね13は爪受部14の下面開口側へ抜け出ようとすることがある。しかし、前後のばね腕26・27を受け入れる凹部21、および奥端壁14cの下端のそれぞれに、受壁22・17を設けているので、各ばね腕26・27が受壁22・17を乗り越えて下方へ抜け出ることはない。なお、両受壁22・17はいずれか一方のみでも、同等の抜け出し防止作用を発揮できる。
【0019】
図7にロックばね13の別の実施例を示す。上記の実施例では、後ばね腕27の突端の左右幅をコイル部25の左右幅より大きく設定したが、この実施例では、両者25・27の左右幅を一致させたうえで、ロックばね13の左右幅寸法Lを、爪受部14の左右側壁14a・14bの対向間隔Tより十分に大きく設定することとした。
【0020】
上記の実施例とは逆に、前ばね腕26をコイル部25の両端から連出し、後ばね腕27をコイル部25の中途部から連出してロックばね13を形成してもよい。ロックばね13は、コイル部25の一側端から前ばね腕26を連出し、コイル部25の他側端から後ばね腕27を連出して形成できる。凹部21を囲む左右側壁は省略することができる。
【0021】
【発明の効果】
本発明では、ロックばね13を捻じりコイルばねで形成し、そのコイル部25を差し込み始端にして、下面側から爪受部14に組むようにした。さらにロックばね13の左右幅寸法Lを爪受部14の左右側壁14a・14bの対向間隔より大きく設定して、爪受部14内に組み込んだロックばね13を、先の左右側壁14a・14bに圧接させ、ロックばね13が爪受部14内で容易に動くのを制限できるようにした。従って本発明のテープカートリッジによれば、ロックばね13の組み付け状態を安定的に維持して、前蓋ロック機構のロック機能を常に安定して発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】前蓋ロック機構を示す要部の一部切欠き側面図である。
【図2】全体の斜視図である。
【図3】前蓋まわりの構造を示す縦断側面図である。
【図4】要部の側面図である。
【図5】前蓋ロック機構の分解斜視図である。
【図6】前蓋ロック機構の平面図である。
【図7】ロックばねの別の実施例を示す正面図である。
【図8】従来の前蓋ロック機構の分解斜視図である。
【図9】前蓋ロック機構の比較例を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
1 本体ケース
1a 上ケース
1b 下ケース
5 前蓋
5a 蓋側壁
11 爪受片
12 ロック爪
13 ロックばね
14 爪受部
15 軸受溝
18 爪腕
19 脚部
20 軸
25 コイル部
26 前ばね腕
27 後ばね腕

Claims (2)

  1. 上下ケース1a・1bを蓋合わせ状に結合してなる本体ケース1の前面に前蓋5を有し、本体ケース1の側壁前部に、前蓋5を閉じ位置にロック保持する前蓋ロック機構を有し、
    前蓋ロック機構は、前蓋5の蓋側壁5aに設けた爪受片11と、爪受片11に係脱自在に係合するロック爪12と、ロック爪12をロック係合する向きに揺動付勢するロックばね13とからなり、
    ロック爪12およびロックばね13を収容する爪受部14が、下ケース1bの側壁前部に、上下面および前面が開口する状態で断面コ字状に設けられており、
    ロック爪12は、爪受片11に係合する爪腕18と、ロック解除具Pでロック解除される脚部19とを有し、爪上部に設けた軸20が、爪受部14の上端に設けた軸受溝15に装填されて前後揺動自在に支持されており、
    爪受部14の左右側壁14a・14bの下端に、脚部19の左右方向への振れを規制する突壁23が対向状に突設されており、
    ロックばね13は、コイル部25と、コイル部25の両側端から連出した左右一対の後ばね腕27と、コイル部25の中途部から連出したU字状の前ばね腕26とを備える捻じりコイルばねからなり、
    前後に対向するロック爪12の後面と爪受部14の奥端壁14cとの少なくともいずれか一方に、前ばね腕26あるいは後ばね腕27の抜け出しを防ぐ受壁17・22が突設されており、
    自由状態におけるロックばね13の左右幅寸法Lが、爪受部14の左右側壁14a・14bの対向寸法Tより大きく設定してあって、
    爪受部14内にロックばね13を組んだ状態において、ロックばね13が幅方向に圧縮され、後ばね腕27が左右側壁14a・14bに受け止められようになっているテープカートリッジ。
  2. 爪受部14の奥端壁14cの下端に受壁17が突設されており、ロック爪12の背面に、前ばね腕26を受け入れる凹部21が設けられ、凹部21の下端に受壁22が設けてある請求項1記載のテープカートリッジ
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7891645B2 (en) 2006-10-27 2011-02-22 Hayes Bicycle Group, Inc. Adjustable and progressive coil spring system for two wheeled vehicles

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