JPH0731894B2 - テープカセット - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はデジタル信号例えばＰＣ
Ｍ信号を記録するのに使用して好適なテープカセットに
関する。

【０００２】

【従来の技術】現在、音響信号等のアナログ信号をデジ
タル信号例えばＰＣＭ信号に変換して磁気テープに記録
（又は再生）するＰＣＭ記録再生装置が提案されてい
る。このＰＣＭ記録再生装置として回転ヘッドを使用し
て比較的高い記録密度が得られる様にしたものがある。
この回転ヘッドを使用したＰＣＭ記録再生装置において
は、記録又は再生時に磁気テープがテープカセットから
引き出され、回転ヘッドが設けられた回転ドラムに巻き
付けられた状態で記録又は再生がなされる。

【０００３】ところでこのようなＰＣＭ記録再生装置に
使用される磁気テープを装填したテープカセットにおい
ては、磁気テープに指紋の跡や埃がつくと再生信号にド
ロップアウトを生じるのでこれを防止するため磁気テー
プをできるだけテープカセット内に密封する必要があ
る。また、記録又は再生時にテープカセットから磁気テ
ープを引き出すことができるようにカセット匣体にはガ
イド類を挿入するための空間が必要である。

【０００４】このため、カセット匣体の下ハーフ外側部
に配されカセット前面に対して前後方向に摺動するスラ
イダと、回動可能に設けられ回動に応じてカセット前面
を覆う前蓋と、を有するテープカセットが考えられてい
る。このようなテープカセットにおいては、記録又は再
生時に前蓋がカセット前面から回動され、カセット前面
部に磁気テープが露呈されると共に、スライダが後方向
に摺動されてこの露呈された磁気テープの背面側にガイ
ド類を挿入するための空間が得られる様になっている。
また、保存時にはスライダ及び前蓋とカセット匣体とに
より磁気テープが密封される。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながらこのよう
なテープカセットにおいてはスライダを閉じた状態でロ
ックするロック機構がなかったので、保存時にこのスラ
イダが不用意に開き露呈した磁気テープに指が触れ折れ
目が付いたり指紋が付くといった不都合が受けることが
あった。またスライダが開いた時に塵等がカセット匣体
内に侵入し、磁気テープに付着してしまい、テープカセ
ットに前蓋やスライダを設けても磁気テープを十分に保
護できないという不都合があった。

【０００６】本発明は上述の点に鑑み、テープカセット
において、スライダを閉じた状態でこのスライダが不用
意に開くことを防止し、磁気テープの保護をより確実に
することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明のテープカセット
は、テープガイド部材の挿入用開口部及びリール軸挿入
孔が設けられたカセット匣体の底面側に摺動可能に装着
されたスライダと、スライダの底面外側にスライダの内
面側から外面側に通して穿設された第１及び第２の被係
合部と、カセット匣体に設けられた変移可能な自由端部
が溝部に対応して位置し、この自由端部に第１及び第２
の被係合部に選択的に嵌挿して係合する凸状の係合部を
有する弾性ロック片と、カセット匣体とスライダとの間
に位置しスライダを挿入開口部及びリール軸挿入孔を閉
じる位置へ付勢するねじりコイルばねと、を備え、スラ
イダが挿入開口部及びリール軸挿入孔を閉じた状態及び
開いた状態の時、弾性ロック片の係合部がスライダの第
１及び第２の被係合部に選択的に係合して上記スライダ
の摺動をロックするように構成したことを特徴とする。

【０００８】

【作用】本発明のテープカセットによれば、カセット匣
体に摺動して開閉自在に装着されたスライダの底面に係
合凹部を設け、このカセット匣体の底面における係合凹
部に対応した位置にスライダが閉じた状態で係合凹部に
嵌挿してロックする係合凸部をもつ弾性ロック片を設け
スライダを閉じた状態でロック可能とし、磁気テープの
保護をより確実にするものである。

【０００９】

【実施例】以下、本発明のテープカセットの一実施例を
図１乃至図６を参照しながら説明する。

【００１０】図１及び図２は本例のテープカセットの保
存時の状態を示す斜視図で、１はカセット匣体であり、
合成樹脂で形成した上ハーフ２及び下ハーフ３をねじ止
めして合体し構成する。

【００１１】また、上ハーフ２には透明な窓板４を設け
る。そして、カセット匣体１内には、磁気テープ５を巻
装した一対のリールハブ６，６を回動自在に装着する。

【００１２】また、カセット匣体１の前面開口部には前
蓋７を回動して開閉可能に枢着する。これとともに、下
ハーフ３には合成樹脂で形成したスライダ８を摺動して
開閉可能に装着する。すなわち、このスライダ８の両折
曲端部にはそれぞれ直線上に並んだ２つの摺動案内突起
９，９を穿設し、また下ハーフ３の両横側部にはそれぞ
れ１条のＵ字状の溝である摺動案内溝１０を穿設し、こ
の摺動案内溝１０に摺動案内突起９が嵌まってスライダ
８が摺動自在となるよう下ハーフ３にスライダ８を装着
するものである。

【００１３】また、このスライダ８及び前蓋７が開かれ
ると図３に示す使用時の状態となるものであり、スライ
ダ８の前端部にはその一部を小矩形板条に折り曲げて一
対の当接部１１，１１を突設し、図示しないＰＣＭ記録
再生装置の引き爪がこの当接部１１に当たってスライダ
８を後方の所定位置まで摺動できるようにする。

【００１４】さらに、カセット匣体１の前面開口部にお
ける張架された磁気テープ５の背部を一部後退して形成
したガイド部材等の挿入用空間部１２の図で左角部に当
たる部分にばね支柱１３を立設し、これにねじりコイル
ばね１４のコイル部を嵌着し、その腕の自由端部を、ス
ライダ８の前端部中央に矩形片を折り曲げて突設したば
ね係着片１５に係着し、スライダ８が空間部１２を閉じ
る方向に移動するよう付勢する。尚、ねじりコイルばね
１４のコイル部をスライダ側に嵌着し、その腕の自由端
部をカセット匣体側に係着するように構成してもよい。

【００１５】また、このスライダ８の底面には、スライ
ダ８が開いた状態で下ハーフ３に穿設された一対のリー
ル軸挿入孔１６に合わさって連通するリール軸挿入用孔
１７を穿設する。

【００１６】このスライダ８のリール軸挿入用孔１７と
下ハーフ３のリール軸挿入孔１６とは図４に示す様にス
ライダ８がカセット匣体１の空間部１２を閉じた状態で
互に位置がずれて、下ハーフ３のリール軸挿入孔１６が
スライダ８の底面でふさがれるようにする。

【００１７】また、このスライダ８の底面にはその前端
に解放する長溝状の浅溝２０を形成する。この浅溝２０
は後述する突き上げピン２７が侵入し易いようその前端
部近くで末広がりに形成され、これに対応して前蓋７の
下端に形成された溝２１と連続する。またこの浅溝２０
の前端部には係合凹部２８、例えば半円形状の切欠き、
孔又は穴を穿設すると共に、またこの浅溝２０の終端部
にはロック機構で係止するための係合凹部２２、例えば
透孔、切欠き又は穴を穿設する。すなわち、この係合凹
部２２及び２８に対応して下ハーフ３にロック機構を構
成するもので、このロック機構は下ハーフ３の底面部に
Ｕ字状に切りあけた長溝２３を穿設して弾性ロック片２
４を形成し、図５にも示す様にこの弾性ロック片２４の
自由端部に外方に向けて突出する半球状の係合凸部２５
を設けて成る。

【００１８】なお、本例ではこの弾性ロック片２４の上
平面を所定量削って肉厚を薄くし撓み易くしてある。さ
らに、この弾性ロック片２４の係合凸部２５の背面上方
所定高さ位置にリミッタ２６を上ハーフ２から突設し、
図６に示すように弾性ロック片２４が必要以上に撓まさ
れて折れるようなことのないようにする。

【００１９】なお、上述の下ハーフ３やスライダ８は合
成樹脂で構成してあるので成形も容易に行なえるもので
ある。なお、上述のスライダ８は金属板で構成すること
も可能であり、この場合は浅溝２０を省略した事するこ
とも可能である。上述のように構成されたロック機構で
は、図５に示すようにカセット匣体１のスライダ８が閉
じた状態で係合凹部２２に弾性ロック片２４の係合凸部
２５が嵌挿し、スライダ８が摺動しないようロックして
いる。

【００２０】また、この状態では、特に本例においては
係合凸部２５が浅溝２０内に納まり、スライダ８の底面
から突出するものではないので、使用者が係合凸部２５
を指で押した程度では浅溝２０が細いので係合凸部２５
は押し込まれることはなく、従ってロックが解除されス
ライダ８が不用意に開くといった心配はない。

【００２１】次にこのテープカセットをＰＣＭ記録再生
装置に装着して使用するには、まずテープカセットを図
１及び図２に示す状態でカセット装着部に挿入する。

【００２２】すると図５に示すように、テープカセット
の挿入動作によりカセット装着部に立設された突き上げ
ピン２７が浅溝２０内に入った状態で進められ、この突
き上げピン２７に弾性ロック片の係合凸部２５が当たる
と、その曲面に沿って係合凸部２５が突き上げられ、弾
性ロック片２４が撓みながら上方に押し上げられる。

【００２３】この際図示しないＰＣＭ記録際装置のカセ
ット装着装置に設けられた引き爪がスライダ８の当接部
１１に当り、テープカセットの矢印Ａ方向の挿入動作に
従って後方すなわち、矢印Ｂ方向にねじりコイルばね１
４の付勢力に抗しながら引き下げられ、係合凸部２５が
スライダ８の係合凹部２２から押し出され図４のＶ−Ｖ
線断面図に相当する図６に示すようにロックが解除され
た状態となる。なお、この係合凹部２２には内側に傾斜
するテーパを設け頭部が滑らかに離脱するようにする。
またこのとき弾性ロック片２４がさらに撓むことになる
がリミッタ２６があるので弾性限度以上に撓むことはな
くこれが折れるようなこともない。

【００２４】さらにテープカセットを挿入してスライダ
８が図４に一点鎖線で示すように、空間部１２を解放
し、リール軸挿入孔１６にリール軸挿入用孔１７が連通
するように合わさった開状態にまで引き下げられると、
係合凹部２８に弾性ロック片２４の係合凸部２５が嵌挿
し、スライダ８を開いた状態にロックする。

【００２５】なお、ねじりコイルばね１４は一点鎖線で
示す位置に引き下げられているから空間部１２は広く解
放されており、このねじりコイルばね１４が邪魔となる
ことはない。

【００２６】これとともに、図示しないＰＣＭ記録再生
装置の前蓋回動開閉装置により、テープカセットの前蓋
７が回動して開かれ、テープカセットは図３に示す使用
状態にされる。

【００２７】この状態ではテープカセットの前面開口部
に張架された磁気テープ５が露呈されこの張架された磁
気テープ５の背部のカセット匣体１を一部後退して形成
したガイド部材等の挿入用空間部１２が解放されている
ので図示しないＰＣＭ記録再生装置のガイド部材等によ
りテープカセットの磁気テープ５を引き出して回転ヘッ
ド装置にローディングするようにする。これとともにス
ライダ８に穿孔された一対のリール軸挿入用孔１７，１
７がそれぞれ下ハーフ３に穿孔されたリール軸挿入孔１
６，１６に合わさって連通し、図示しないＰＣＭ記録再
生装置のハブ駆動軸がこのリール軸挿入用孔１７及びリ
ール軸挿入孔１６から挿入されたカセット匣体１内のハ
ブ６に嵌挿し、磁気テープ５を走行するようにして記
録、再生を行なうものである。

【００２８】次にテープカセットをＰＣＭ記録再生装置
から取り出す場合は、図示しないＰＣＭ記録、再生装置
のテープカセット送り出し装置によりテープカセットを
出口方向に送る。

【００２９】すると、突き上げピン２７が係合凹部２８
に嵌挿した弾性ロック片２４の係合凸部２５を突き上げ
る。これによりスライダ８を前進させるねじりコイルば
ね１４の付勢力により係合凹部２８から係合凸部２５が
押し出されスライダ８のロックが解除されて、スライダ
８が空間部１２を閉じた状態に押しもどされる。

【００３０】また、図示しないＰＣＭ記録再生装置の前
蓋回動開閉装置によりテープカセットの前蓋７が回動し
て閉じられテープカセットは図１及び図２に示す保存時
の状態にもどされ、取り出される。

【００３１】なお、本発明は上述実施例に限らず本発明
の要旨を逸脱することなくその他、種々の構成を採り得
ることは勿論である。

【００３２】

【発明の効果】本発明のテープカセットによれば、スラ
イダを閉じた状態で確実にロックでき、しかも外部から
触れた程度では誤ってロックが解除されてしまうことが
ないようにしたロック機構を設け磁気テープの保護をよ
り確実にすることができるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のテープカセットの保存時の状態におけ
る上方から見た斜視図。

【図２】図１のテープカセットの下方から見た斜視図。

【図３】図１のテープカセットの使用時の状態における
下方から見た状態の斜視図。

【図４】図１のテープカセットの底面図。

【図５】図４Ｖ−Ｖ線による腰部の断面図。

【図６】要部の断面図。

【符号の説明】

１ カセット匣体 ２０ 浅溝 ２２ 係合凹部 ２４ 弾性ロック片 ２５ 係合凸部 ２６ リミッタ ２７ 突き上げピン ２８ 係合凹部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 テープガイド部材の挿入用開口部及びリ
   ール軸挿入孔が設けられたカセット匣体の底面側に摺動
   可能に装着されたスライダと、 該スライダの底面外側に上記スライダの内面側から外面
   側に通して穿設された第１及び第２の被係合部と、 上記カセット匣体に設けられた変移可能な自由端部が上
   記溝部に対応して位置し、この自由端部に上記第１及び
   第２の被係合部に選択的に嵌挿して係合する凸状の係合
   部を有する弾性ロック片と、 上記カセット匣体と上記スライダとの間に位置し上記ス
   ライダを上記挿入開口部及びリール軸挿入孔を閉じる位
   置へ付勢するねじりコイルばねと、を備え、 上記スライダが上記挿入開口部及びリール軸挿入孔を閉
   じた状態及び開いた状態の時、上記弾性ロック片の係合
   部が上記スライダの第１及び第２の被係合部に選択的に
   係合して上記スライダの摺動をロックするように構成し
   たことを特徴とするテープカセット。