JP3715776B2 - エンジンの燃料供給装置及び燃料供給方法 - Google Patents

エンジンの燃料供給装置及び燃料供給方法 Download PDF

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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、燃料タンク内の燃料を電動式の燃料ポンプによりインジェクタへ圧送して噴射させ、エンジンへ供給するようにした燃料供給装置及び燃料供給方法に関する。詳しくは、ポンプに供給される駆動電流値を所要の目標値にフィードバック制御することにより、インジェクタに供給される燃料圧力を所要の目標値に制御するようにしたエンジンの燃料供給装置及び燃料供給方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電動式の燃料ポンプにより燃料タンクからデリバリパイプへ燃料を圧送して複数のインジェクタに分配し、各インジェクタから燃料を噴射させることにより、エンジンに燃料を供給するようにした燃料供給装置がある。ここで、デリバリパイプに供給される燃料圧力を、プレッシャレギュレータにより一定値に調整し、その調整で余った燃料をリターンパイプを通じて燃料タンクへ戻すようにしたものがある。
【0003】
ところで、上記の装置では、本来、インジェクタにおいて燃料噴射のために要求される燃料圧力は、エンジンの運転状態によって異なる。これは、エンジンで要求される燃料の噴霧状態がエンジンの運転状態によって異なるものであり、インジェクタから噴射される燃料の噴霧状態が燃料圧力の高低によって異なるからである。しかしながら、上記の装置では、インジェクタに対する燃料圧力をエンジンの運転状態に応じて適宜に変えることはできなかった。
【0004】
そこで、リターンパイプを廃止すると共に、インジェクタに供給される燃料圧力をエンジンの運転状態に応じて制御するようにしたリターンレス式の燃料供給装置が提案されている。特開平9−184460号公報は、リターンレス式の燃料供給装置の一例を開示している。この燃料供給装置は、直流電動モータを含む燃料ポンプと、そのポンプを駆動制御するための電子制御装置(ECU)とを備える。ECUは、モータに供給される駆動電流を所定値としてポンプを駆動させることにより、デリバリパイプに圧送される燃料圧力を所定値に調整し、その燃料をインジェクタから噴射させてエンジンに供給するようにしている。ここで、ECUは、モータに供給される駆動電流の値を検出し、その検出値が予め設定された目標値となるように、モータに供給される駆動電流をフィードバック制御している。これにより、燃料圧力センサを用いて実際の燃料圧力を検出することなく、燃料ポンプからの燃料の吐出量を調整してデリバリパイプ及びインジェクタに供給される燃料圧力を所要の目標値に制御するようにしている。
【0005】
一方、上記と同様、燃料圧力センサを用いることなくインジェクタに供給される燃料圧力を制御する燃料供給装置として、エンジンから排出される排気ガス中の空燃比を利用したものがある。特開平8−232737号公報は、この種の装置の一例を開示している。この公報の装置は、エンジンの排気通路に設けられた酸素センサにより検出される空燃比に関する情報を利用して燃料ポンプを制御するものである。即ち、ECUは、空燃比がリッチであると判断したときには、燃料ポンプの吐出圧力を下げて燃料圧力を下げ、空燃比がリーンであると判断したときには、燃料ポンプの吐出圧力を上げて燃料圧力を上げるようにポンプモータを制御する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記特開平9−184460号公報の燃料供給装置では、燃料ポンプに対する駆動電流をフィードバック制御することにより、インジェクタに対する燃料圧力をエンジンの運転状態に応じて制御できるものの、燃料ポンプの機械的な個体差や経時変化から生じる燃料圧力の微妙なばらつきを対策することはできなかった。即ち、個々の燃料ポンプには、製造時点から、駆動電流に対する吐出能力に多少の個体差が存在する。又、燃料ポンプが長期間使用されることにより、ポンプ内部の機械的な磨耗等に起因して、駆動電流に対する燃料ポンプの吐出能力は経時的に変化する傾向がある。これらの個体差や経時変化については、燃料ポンプに対する駆動電流をフィードバック制御するだけでは対処できず、燃料圧力の制御に誤差を生じさせるおそれがあった。この意味で、エンジンのドライバビリティや排気エミッション等の上で問題があった。
【0007】
一方、上記特開平8−232737号公報の燃料供給装置では、燃料ポンプのモータを酸素センサで検出される空燃比に基づいて制御することにより、インジェクタに対する燃料圧力を制御できるものの、やはり、燃料ポンプの個体差や経時変化については燃料圧力を制御する上で問題があった。この装置は、エンジンに対する燃料の供給状態、延いてはインジェクタに対する燃料圧力のずれを反映した空燃比に基づいて燃料ポンプの吐出圧力を制御していることから、燃料ポンプの個体差や経時変化を補正して燃料圧力を制御することも可能ではある。しかし、これら個体差や経時変化を燃料圧力の制御に反映させるには、ある程度の時間を要することになる。そのため、例えば、エンジン始動直後からや、エンジンの過渡運転時に、燃料圧力を即座に補正することはできず、補正ができるまでの間だけ燃料圧力に誤差を生じるおそれがあった。この意味で、エンジンのドライバビリティや排気エミッション等の上で問題があった。
【0008】
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、燃料ポンプに供給される駆動電流をフィードバック制御することにより、インジェクタに供給される燃料圧力を所要の目標値に制御するようにした燃料供給装において、燃料ポンプの個体差や経時変化に対処して燃料圧力を何時でも高精度に制御することを可能にしたエンジンの燃料供給装置及び燃料供給方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、燃料タンク内の燃料を、電動式の燃料ポンプによりインジェクタへ圧送し、インジェクタから噴射させてエンジンへ供給するようにした燃料供給装置であって、インジェクタに供給される燃料圧力を所要の目標燃料圧力値に制御するために、燃料ポンプに供給される駆動電流を所要の目標燃料圧力値に相関する目標電流値にフィードバック制御するためのフィードバック制御手段と、エンジンに供給される空気及び燃料に係る空燃比に相関してエンジンから排出される特定成分濃度を検出するための濃度検出手段と、空燃比がエンジンの運転状態に応じた目標空燃比となるように、検出される特定成分濃度及びエンジンの運転状態に基づいてインジェクタを制御するための空燃比制御手段と、検出される特定成分濃度に相関した空燃比と目標空燃比との偏差を、エンジンの運転状態に対応させた学習値として学習するための学習手段と、所要の目標燃料圧力値に、学習された学習値の二乗値を乗算することにより駆動電流に係るフィードバック制御を補正するための補正手段とを備えたことを趣旨とする。
【0010】
上記の構成によれば、フィードバック制御手段が、燃料ポンプに供給される駆動電流を所要の目標燃料圧力値に応じた目標電流値にフィードバック制御することにより、インジェクタに供給される燃料圧力が目標燃料圧力値に制御される。そして、濃度検出手段により検出される空燃比に相関した特定成分濃度及びエンジンの運転状態に基づいて空燃比制御手段がインジェクタを制御することにより、圧力調整された燃料が、インジェクタから噴射され、エンジンへと供給される。これにより、エンジンにおける空燃比が、その運転状態に応じた目標空燃比となるように制御される。
ここで、学習手段は、検出される特定成分濃度に相関した空燃比と目標空燃比との偏差を、エンジンの運転状態に対応させた学習値として学習する。この偏差は、インジェクタからエンジンに対する燃料の供給状態、延いてはインジェクタに対する燃料圧力の目標燃料圧力値とのずれであって、燃料ポンプ等の機械的な個体差や経時変化等を反映したものである。しかも、この偏差は、エンジンの個々の運転状態に対応させて学習される。そして、補正手段は、所要の目標燃料圧力値に、学習された学習値の二乗値を乗算することにより、燃料ポンプに対する駆動電流に係るフィードバック制御を、燃料ポンプ等の機械的な個体差や経時変化等を反映した学習値に基づいて補正することになる。
従って、燃料ポンプに対する駆動電流に係るフィードバック制御が学習値により補正されることから、燃料圧力を目標燃料圧力値にするための制御が、その時々のエンジンの運転状態に適合したレベルで、燃料ポンプ等の個体差や経時変化等を反映して補正されることになる。
【0011】
上記の目的を達成するために、請求項2に記載の発明は、燃料タンク内の燃料を、電動式の燃料ポンプによりインジェクタへ圧送し、インジェクタから噴射させてエンジンへ供給するようにした燃料供給装置であって、エンジンに供給される空気及び燃料に係る空燃比に相関してエンジンから排出される特定成分濃度を検出するための濃度検出手段と、空燃比がエンジンの運転状態に応じた目標空燃比となるように、検出される特定成分濃度及びエンジンの運転状態に基づいてインジェクタを制御するための空燃比制御手段と、検出される特定成分濃度に相関した空燃比と目標空燃比との偏差をエンジンの運転状態に対応させた学習値として学習するための学習手段と、インジェクタに供給される燃料圧力に係る目標燃料圧力値をエンジンの運転状態に基づいて算出するための目標燃料圧力値算出手段と、算出された目標燃料圧力値に、学習された学習値の二乗値を乗算することにより算出された目標燃料圧力値を補正するための補正手段と、燃料ポンプに供給される駆動電流に係る目標電流値を補正された目標燃料圧力値に基づいて算出するための目標電流値算出手段と、インジェクタに供給される燃料圧力を前記算出された目標燃料圧力値に制御するために、駆動電流を算出された目標電流値にフィードバック制御するためのフィードバック制御手段とを備えたことを趣旨とする。
【0012】
上記の構成によれば、請求項1の発明と異なり、目標燃料圧力値算出手段は、目標燃料圧力値をエンジンの運転状態に基づいて算出し、補正手段は、算出された目標燃料圧力値に、学習された学習値の二乗値を乗算することにより算出された目標燃料圧力値を補正する。更に、目標電流値算出手段は、目標電流値を、補正された目標燃料圧力値に基づいて算出する。そして、フィードバック制御手段は、燃料圧力を算出された目標燃料圧力値に制御するために、駆動電流を、算出された目標電流値にフィードバック制御することになる。
従って、燃料ポンプに係る目標電流値が、学習値で補正された目標燃料圧力値により補正されることから、燃料ポンプに係る駆動電流のフィードバック制御、即ち、燃料圧力を目標燃料圧力値にするための制御が、その時々のエンジンの運転状態に適合したレベルで、燃料ポンプ等の個体差や経時変化等を反映して補正されることになる。
【0013】
上記の目的を達成するために、請求項3に記載の発明は、燃料タンク内の燃料を、電動式の燃料ポンプによりインジェクタへ圧送し、インジェクタから噴射させてエンジンへ供給するようにした燃料供給方法であって、エンジンに供給される空気及び燃料に係る空燃比とエンジンの運転状態に応じた目標空燃比との偏差を、エンジンの運転状態に対応させた学習値として学習する学習工程と、インジェクタに供給される燃料圧力に係る目標燃料圧力値をエンジンの運転状態に基づいて算出する目標燃料圧力値算出工程と、算出された目標燃料圧力値に、学習された学習値の二乗値を乗算することにより算出された目標燃料圧力値を補正する補正工程と、燃料ポンプに供給される駆動電流に係る目標電流値を補正された目標燃料圧力値に基づいて算出する目標電流値算出工程と、インジェクタに供給される燃料圧力が算出された目標燃料圧力値になるように、駆動電流を算出された目標電流値にフィードバック制御するフィードバック制御工程とを備えたことを趣旨とする。
【0014】
上記の構成によれば、学習工程において、エンジンの運転状態に応じた目標空燃比に対する空燃比の偏差が、その運転状態に対応させた学習値として学習される。更に、目標燃料圧力値算出工程において、目標燃料圧力値がエンジンの運転状態に基づいて算出される。そして、補正工程において、算出された目標燃料圧力値に、学習された学習値の二乗値を乗算することにより、算出された目標燃料圧力値が学習値に基づいて補正される。その後、目標電流値算出工程において、目標電流値が、補正された目標燃料圧力値に基づいて算出される。そして、フィードバック制御工程においては、燃料圧力が算出された目標燃料圧力値となるように、駆動電流が算出された目標電流値にフィードバック制御されることになる。 従って、燃料ポンプに係る目標電流値が、学習値で補正された目標燃料圧力値により補正されることから、燃料ポンプに係る駆動電流のフィードバック制御、即ち燃料圧力を目標燃料圧力値にするための制御が、その時々のエンジンの運転状態に適合したレベルで、燃料ポンプ等の個体差や経時変化等を反映して補正されることになる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明に係るエンジンの燃料供給装置及び燃料供給方法を具体化した一実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1は本実施の形態において、自動車に搭載されたエンジン1と、そのエンジン1に燃料を供給するための燃料供給装置を示す概念構成図である。このエンジン1は周知の構造を有する多気筒タイプのものである。エンジン1は、吸気通路2を通じて供給される燃料及び空気、即ち、可燃混合気を、各気筒の燃焼室で爆発・燃焼させ、その燃焼後の排気ガスを排気通路3を通じて排出させることにより、ピストン(図示しない)を駆動させてクランクシャフト4を回転させ、動力を得るものである。
【0017】
吸気通路2に設けられたスロットルバルブ7は、同通路2を流れて各燃焼室に吸入される空気量(吸気量)Qaを調節するために開閉されるものである。このバルブ7は、運転席に設けられたアクセルペダル8の操作に連動して駆動されるものである。スロットルバルブ7に対して設けられたスロットルセンサ9は、このバルブ7の開度(スロットル開度)TAを検出し、その検出結果に応じた電気信号を出力するものである。吸気通路2に設けられた吸気圧センサ30は、スロットルバルブ7より下流の吸気通路2における吸気圧力PMを検出し、その検出結果に応じた電気信号を出力するものである。
【0018】
各気筒に対応する吸気ポートに設けられた複数のインジェクタ10は、各気筒に対して燃料を噴射するためのものである。これらインジェクタ10は、共通するデリバリパイプ11に設けられる。デリバリパイプ11は、燃料タンク12から圧送される燃料を、各インジェクタ10へ分配するためのものである。
【0019】
各燃焼室に対応してエンジン1に設けられた複数の点火プラグ13は、ディストリビュータ14から分配される点火信号を受けて動作する。ディストリビュータ14は、イグナイタ15から出力される高電圧をクランクシャフト4の回転角度、即ちクランク角度の変化に同期して各点火プラグ13へ分配するものである。各点火プラグ13の動作時期、即ち点火時期は、イグナイタ15から出力される高電圧の出力タイミングにより決定される。従って、イグナイタ15を制御することにより、各点火プラグ13による点火時期が制御される。
【0020】
排気通路3に設けられた酸素センサ16は、各燃焼室から排気通路3へ排出される排気ガス中の酸素濃度Oxを検出し、その検出結果に応じた電気信号を出力するものである。この酸素センサ16は、本発明の濃度検出手段に該当するものであり、燃焼室に供給された可燃混合気の空燃比に相関して燃焼室から排出される排気ガス中の酸素を特定成分としてその酸素濃度Oxを検出するものである。この酸素センサ16は、酸素濃度Oxが低い場合、即ち空燃比が相対的にリッチである場合に高い電圧を出力し、酸素濃度Oxが高い場合、即ち空燃比が相対的にリーンである場合に低い電圧を出力する。
【0021】
クランクシャフト4に対して設けられた回転センサ17は、同シャフト4の回転速度、即ち、エンジン回転速度NEを検出し、その検出結果に応じた電気信号を出力するものである。エンジン1に設けられ水温センサ18は、エンジン1の内部を流れる冷却水の温度(冷却水温)THWを検出し、その検出結果に応じた電気信号を出力するものである。この冷却水温THWは、エンジン1の温度状態を示すものである。
【0022】
この実施の形態において、上記のスロットルセンサ9、酸素センサ16、回転センサ17、水温センサ18及び吸気圧センサ30等は、エンジン1の運転状態を検出するための運転状態検出手段を構成する。
【0023】
この実施の形態の燃料供給装置は、前述した各インジェクタ10、デリバリパイプ11及び燃料タンク12等を含む。燃料タンク12はガソリン等の燃料を貯留するものである。燃料タンク12に内蔵された電動式の燃料ポンプ19は、同タンク12内の燃料を汲み上げ、吐出するものである。燃料ポンプ12の吐出ポート側に接続された燃料パイプ20は、燃料フィルタ21を介してデリバリパイプ11に接続される。ここで、燃料ポンプ19が動作することにより、燃料タンク12内の燃料は、同ポンプ19から燃料パイプ20へと吐出され、燃料フィルタ21で異物が除去された後、デリバリパイプ11へと圧送され、各インジェクタ10に分配される。各インジェクタ10に圧送された燃料は、それらインジェクタ10の動作に伴って吸気ポートへと噴射さ、各燃焼室に供給される。
【0024】
本実施の形態の燃料供給装置では、従前の燃料供給装置においてインジェクタに供給される燃料圧力(燃圧)Pfを一定に保つために設けられたプレッシャーレギュレータ等が廃止される。その代わりに、燃料ポンプ19の動作を制御することにより、各インジェクタ10に供給される燃圧Pfを可変に制御するようにしている。
【0025】
ここで、燃料ポンプ19の構成を詳しく説明する。図2に示すように、この燃料ポンプ19は、インペラ式の電動式ポンプである。燃料ポンプ19は、円筒状のケーシング31と、そのケーシング31に内蔵された電動モータ32と、そのモータ32の出力軸32aにより回転されるインペラ33とを備える。ケーシング31は、インペラ33の周囲に対応したポンプ室34を有する。ケーシング31は、ポンプ室34に通じる吸入ポート35及び流出ポート36、並びに、燃料を吐出するための吐出ポート37を有する。図3に示すように、インペラ33は、その外周に複数の羽根33a及び羽根溝33bを有するものである。ここで、モータ32に駆動電流Idが供給されることにより、その出力軸32aが回転してインペラ33が回転される。このインペラ33の回転に伴う複数の羽根33a及び羽根溝33bの作用により、ポンプ室34に旋回流が形成される。この旋回流により、燃料タンク12内の燃料が吸入ポート35からポンプ室34に汲み上げられ、流出ポート36から流出してケーシング31の内部を流れた後、吐出ポート37から外部へ吐出される。
【0026】
ここで、燃料ポンプ19により制御される燃圧Pfは、モータ32の出力トルクに比例することが分かっている。一方、モータ32の出力トルクは、同モータ32に供給される駆動電流Idに比例することが分かっている。従って、燃料ポンプ19により制御される燃圧Pfは、同ポンプ19に供給される駆動電流Idに比例することになる。このことから、燃圧制御のために燃料ポンプ19(モータ32)に供給される駆動電流Idのフィードバック制御が成立することになる。
【0027】
この実施の形態で、電子制御装置(ECU)22は、前述したスロットルセンサ9、酸素センサ16、回転センサ17、水温センサ18及び吸気圧センサ30等から出力される各種信号を入力する。ECU22は、これらの入力信号に基づき、空燃比制御を含む燃料噴射制御、燃料供給制御及び点火時期制御等を実行するために、各インジェクタ10、イグナイタ15及び燃料ポンプ19(モータ32)をそれぞれ制御する。燃料ポンプ19に対応して設けられた電流検出回路23は、そのモータ32に実際に供給される駆動電流Idの値を検出し、その検出結果をECU22へ出力するものである。
【0028】
ここで、燃料噴射制御とは、エンジン1の運転状態に応じて各インジェクタ10から噴射される燃料量(燃料噴射量)及びその噴射タイミングを制御することである。空燃比制御とは、少なくとも酸素センサ16の検出値に基づいてエンジン1における空燃比をフィードバック制御することである。燃料供給制御とは、エンジン1の運転状態に応じて燃料ポンプ19を制御することにより、各インジェクタ10に対して供給される燃圧Pfを制御することである。点火時期制御とは、エンジン1の運転状態に応じてイグナイタ15を制御することにより、各点火プラグ13による点火時期を制御することである。
【0029】
この実施の形態で、ECU22は、本発明のフィードバック制御手段、空燃比制御手段、学習手段、目標燃料圧力値算出手段、補正手段及び目標電流値算出手段に相当する。このECU22は中央処理装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)及びバックアップRAM等よりなる周知の構成を備えたものである。ROMは、前述した各種制御に係る所定の制御プログラムを予め記憶している。ECU(CPU)22は、これらの制御プログラムに従って前述した各種制御を実行する。バックアップRAMは、ECU22に対する電源の供給が切れても、常に電圧が供給され続けるものであり、一旦記憶したデータを次に更新されるまで保持できるものである。
【0030】
空燃比制御及び燃料噴射制御において、ECU22は、エンジン1の運転状態を反映した各種パラメータ、即ち吸気量Qa、スロットル開度TA、吸気圧力PM、酸素濃度Ox、エンジン回転速度NE及び冷却水温THW等に基づいて所要の燃料噴射量を算出する。ECU22は、その算出された燃料噴射量に基づいて各インジェクタ10を制御することにより、各気筒に対する燃料噴射量を制御する。ECU22は、この燃料噴射量の値を、インジェクタ10の開弁時間として算出する。これと同時に、燃料供給制御において、ECU22は、デリバリパイプ11を介して各インジェクタ10に供給される燃圧Pfをエンジン1の運転状態に応じて制御するために、燃料ポンプ19の動作を制御する。具体的には、ECU22は、燃料ポンプ19(モータ32)に供給される駆動電流Idを所要の目標電流値TIdにフィードバック制御する。即ち、ECU22は各インジェクタ10に供給される燃圧Pfが、エンジン1の運転状態に応じて算出される所要の目標燃圧値TPfとなるように制御する。そのために、ECU22は、燃料ポンプ19(モータ32)に供給される駆動電流Idに係る目標電流値TIdを算出し、電流検出回路23により実際に検出される駆動電流Idの値が算出された目標電流値TIdとなるように駆動電流Idをフィードバック制御する。
【0031】
次に、ECU22が実行する各種制御のうち、空燃比制御を含む燃料噴射制御の処理内容について説明する。図4は、この燃料噴射制御のプログラムの内容を示すフローチャートである。ECU22は、エンジン1の各気筒に対応した噴射タイミング毎に本プログラムを起動させる。
【0032】
このプログラムを起動させると、ステップ100において、ECU22は、各種センサ等6,9,16〜18,30からの検出信号に基づいて、エンジン1の運転状態に係る吸気量Qa、スロットル開度TA、酸素濃度Ox、エンジン回転速度NE、冷却水温THW及び吸気圧PiM等の値をそれぞれ読み込む。
【0033】
ステップ200において、ECU22は、読み込まれた酸素濃度Ox等に基づいて空燃比制御を行うための空燃比補正係数FAF及び空燃比学習補正係数KGの値をそれぞれ算出する。
【0034】
図5はこれら補正係数を算出するためのサブルーチンを示す。ステップ201において、ECU22は、リッチフラグXAFRがオンであるか否かを判断する。このフラグXFARは、前回行われた空燃比A/Fの判定結果を示すものである。このフラグXFARがオンである場合に前回の判定結果がリッチであることを示し、オフである場合に前回の判定結果がリーンであることを示す。ここで、リッチフラグXFARがオンである場合、ECU22は処理をステップ202へ移行する。このフラグXFARがオフである場合、ECU22は処理をステップ210へ移行する。
【0035】
ステップ202において、ECU22は、今回の空燃比A/Fがリッチであるか否かを判断する。ECU22は、この判断を、読み込まれた酸素濃度Oxの値に基づいて行う。ここで、図6(a)に示すように、酸素センサ16の出力電圧が基準電圧よりも高い場合、即ち酸素濃度Oxが低い場合、図6(b)に示すように、空燃比A/Fの判定結果はリッチとなり、その逆に、酸素センサ16の出力電圧が基準電圧よりも低い場合、即ち酸素濃度Oxが高い場合、空燃比A/Fの判定結果はリーンとなる。このように、ECU22は、空燃比A/Fを判定する。
【0036】
そして、ステップ202における判定結果がリッチである場合、ステップ203において、ECU22はリッチフラグXFARをオンに設定する。更に、ステップ204において、ECU22は、前回の空燃比補正係数FAFoの値から所定の比例値(例えば「2%」)だけ減算したものを新たな空燃比補正係数FAFの値として設定する。
【0037】
一方、ステップ202における判定結果がリーンである場合、ステップ205において、ECU22はリッチフラグXFARをオフに設定する。更に、ステップ206において、ECU22は、前回の空燃比補正係数FAFoの値に所定のスキップ値(例えば「7%」)を加算したものを新たな空燃比補正係数FAFの値として設定する。
【0038】
これに対して、ステップ201から移行してステップ210において、ECU22は、今回の空燃比A/Fがリッチであるか否かを判断する。そして、ステップ210における判定結果がリッチである場合、ステップ211において、ECU22はリッチフラグXFARをオンに設定する。更に、ステップ212において、ECU22は、前回の空燃比補正係数FAFoの値から所定のスキップ値(例えば「7%」)だけ減算したものを新たな空燃比補正係数FAFの値として設定する。
【0039】
一方、ステップ210における判定結果がリーンである場合、ステップ213において、ECU22はリッチフラグXFARをオフに設定する。更に、ステップ214において、ECU22は、前回の空燃比補正係数FAFoの値に所定の比例値(例えば「2%」)を加算したものを新たな空燃比補正係数FAFの値として設定する。
【0040】
上記のように空燃比補正係数FAFが算出される。ここで、前述した比例値は、空燃比補正係数FAFを、比例的に増減させるためのものである。スキップ値は、空燃比補正係数FAFを、スキップ的に増減させるためのものである。
【0041】
各ステップ204,206,212,214から移行してステップ220において、ECU22は、空燃比補正係数の平均値FAFavを算出する。即ち、ECU22は、前回算出された空燃比補正係数FAFoと今回算出された空燃比補正係数FAFとを加算平均することにより、その平均値FAFavを算出する。
【0042】
ステップ230において、ECU22は、空燃比補正係数の平均値FAFavが所定の基準値(例えば「1.03」)よりも大きいか否かを判断する。ここで、平均値FAFavが基準値よりも大きい場合、ステップ231において、ECU22は、前回算出された空燃比学習補正係数KGの値に所定値αを加算することにより、新たな学習補正係数KGの値を算出し、処理をステップ240へ移行する。
【0043】
一方、ステップ230において、平均値FAFavが基準値未満である場合、ステップ232において、ECU22は、平均値FAFavが上記の基準値よりも小さい別の基準値(例えば「0.97」)よりも小さいか否かを判断する。ここで、平均値FAFavが別の基準値よりも小さい場合、ステップ233において、ECU22は、前回算出された空燃比学習補正係数KGの値から所定値αを減算することにより、新たな学習補正係数KGの値を算出し、処理をステップ240へ移行する。平均値FAFavが別の基準値以上である場合、ECU22は、そのまま処理をステップ240へ移行する。
【0044】
ステップ240において、ECU22は、上記のように算出された空燃比学習補正係数KGの値を、その時点の吸気圧PiM及びエンジン回転速度NEをパラメータとして複数(例えば、7つ)に区分される運転領域に対応させてバックアップRAMに記憶させる。即ち、ECU22は、学習補正係数KGの値をエンジン1の運転状態に対応させた学習値として学習し、バックアップRAMに格納するのである。このようにして空燃比補正係数FAF及び空燃比学習補正係数KGが算出される。
【0045】
ここで、学習補正係数KGとは、酸素センサ16の検出結果から得られる実際の空燃比A/Fの値と目標空燃比(理論空燃比)との偏差に相当するものである。この学習補正係数KGは、インジェクタ10から噴射される燃料の噴射状態、延いてはインジェクタ10に対する燃圧Pfの目標燃圧値TPfとのずれであって、燃料ポンプ19等の機械的な個体差や経時変化等を反映している。しかも、この学習補正係数KGは、エンジン1の個々の運転状態に対応させてバックアップRAMに記憶される。
【0046】
図4のフローチャートに戻って説明する。ステップ300において、ECU22は、高温補正等の各種補正値Kmを算出する。周知のように、ECU22は、水温センサ18、吸気圧センサ30等の検出値に基づいて各種補正値Kmを算出するが、ここでは、その算出に係る詳しい説明は省略する。
【0047】
ステップ400において、ECU22は、読み込まれた吸気圧PiM及びエンジン回転速度NEの値に基づいて基本噴射量TBSの値を算出する。ECU22は、この基本噴射量TBSの算出を、上記二つのパラメータPiM,NEとの間で予め定められた関数データ(図示しない)を参照して行う。
【0048】
ステップ500において、ECU22は、以下のような計算式に従って最終的な燃料噴射量TAUの値を算出する。
TAU=TBS*Km*FAF*KG
即ち、ECU22は基本噴射量TBSの値に各種補正係数Km、空燃比補正係数FAF及び空燃比学習補正係数KGを乗算することにより、最終的な燃料噴射量TAUの値を算出するのである。ここで、燃料噴射量TAUの値は、インジェクタ10の開弁時間に相当するものであり、この開弁時間の長短がインジェクタ10から噴射される燃料量の多少に反映されることになる。しかも、燃料噴射量TAUは、各種補正係数Km,FAF,KGによって補正されることから、その算出値は、エンジン1の運転条件、或いは、インジェクタ10及び燃料ポンプ19等の機械的な個体差や経時変化等を反映して補正されることになる。
【0049】
そして、ステップ600において、ECU22は、算出された燃料噴射量TAUの値に基づいて各インジェクタ10を制御することにより、燃料を吸気通路2へ噴射させる。その後、ECU22は処理を一旦終了する。
【0050】
上記の制御によれば、エンジン1の運転状態に応じて算出された燃料噴射量TAUに基づいて各インジェクタ10が制御されることにより、その開弁時間に相関した量の燃料がインジェクタ10から噴射される。ここで、燃料噴射量TAUは、エンジン1の運転状態に応じた目標空燃比となるように、空燃比補正係数FAF及び空燃比学習補正係数KG等に基づいて補正される。空燃比補正係数FAFの値は、実際の空燃比A/Fを目標空燃比(例えば、理論空燃比近傍)にフィードバック制御するために、燃料噴射量TAUに反映される。空燃比学習補正係数KGの値は、インジェクタ10及び燃料ポンプ19等の機械的な個体差や経時変化等を相殺するために、エンジン1の運転状態に応じたかたちで燃料噴射量TAUに反映される。
【0051】
次に、ECU22が実行する燃料供給制御の処理内容について説明する。図7は、燃料供給制御のプログラムの内容を示すフローチャートである。ECU22は、エンジン1の各気筒に対応した噴射タイミング毎に、このプログラムを起動させる。
【0052】
このプログラムを起動させると、ステップ700において、ECU22は回転センサ17及び吸気圧センサ30からの信号に基づいてエンジン回転速度NE及び吸気圧PiMの値をそれぞれ読み込む。加えて、ECU22は、エンジン回転速度NE及び吸気圧PiMの値に応じてバックアップRAMに記憶されている空燃比学習補正係数KGの値を読み込む。
【0053】
ステップ710において、ECU22は、読み込まれたエンジン回転速度NE及び吸気圧PiMの値に基づいて目標燃圧値TPfを算出する。ECU22は、この算出を、図8にグラフで示すような関数データ(マップ)に基づいて行う。
【0054】
この関数データにおいて、目標燃圧値TPfはエンジン回転速度NEと、エンジン1の負荷状態を反映した吸気圧PiMとをパラメータとして予め定められる。この関数データでは、エンジン1の運転状態として低負荷及び低回転速度となる領域E1では、目標燃圧値TPfが最も低い「低圧」に設定される。この設定の狙いは、アイドルを含む低負荷運転時に、エンジン1で低燃費及び低騒音を図るものである。エンジン1の運転状態として中負荷及び低中回転速度となる領域E2では、目標燃圧値TPfが最も高い「高圧」に設定される。この設定の狙いは、排気モード中にインジェクタ10から噴射される燃料の噴霧微粒化を図り、これによって排気エミッション(例えば、炭化水素HC)を低減させることにある。エンジン1の運転状態として高負荷及び低中高回転速度、並びに中高負荷及び中高回転速度となる領域E3では、目標燃圧値TPfが中程度の「中圧」に設定される。この設定の狙いは、高負荷運転時にインジェクタ10から噴射される燃料の噴霧微粒化を図り、これによって排気温度を低下させることにある。
【0055】
ステップ720において、ECU22は、読み込まれた空燃比学習補正係数KGの絶対値が所定の基準値βよりも大きいか否かを判断する。ここで、基準値βとは、燃圧制御において、目標燃圧値TPfの補正を開始するための開始条件を設定するものである。従って、学習補正係数KGの絶対値が基準値β以下である場合、ECU22は、処理をそのままステップ740へ移行する。一方、学習補正係数KGの絶対値が基準値βよりも大きい場合、ECU22は、目標燃圧値TPfを補正するために、処理をステップ730へ移行する。
【0056】
ステップ730において、ECU22は、ステップ710で算出された目標燃圧値TPfに、学習補正係数KGの値の二乗値を乗算して補正し、その補正結果を補正後の目標燃圧値TPfとして設定する。ここで、目標燃圧値TPfを学習補正係数KGの二乗値で補正するのは、学習補正係数KGが空燃比A/Fのズレ量を反映し、そのズレ量が可燃混合気中の燃料量と相関しており、その燃料量の二乗値が燃圧Pfと相関するものであることによる。
【0057】
ステップ720又はステップ730から移行してステップ740において、ECU22は、上記補正された目標燃圧値TPfに基づき、燃料ポンプ19(モータ32)に供給されるべき目標電流値TIdを算出する。ECU22は、目標燃圧値TPfと、目標電流値TIdとをパラメータとして予め定められた関数データ(図示しない)を参照して目標電流値TIdを算出する。この関数データにおいて、目標電流値TIdは目標燃圧値TPfに対して比例関係を有し、例えば、デューティ値として定められる。
【0058】
そして、ステップ750において、ECU22は、駆動電流Idの値を目標電流値TIdへフィードバック制御する。即ち、ECU22は、電流検出回路23により検出される実際の駆動電流Idの値が目標電流値TIdに収束するように、その駆動電流Idの値を調整する。そして、このルーチンの処理を一旦終了する。
【0059】
上記の燃料供給制御によれば、本発明の学習工程に該当する図5のサブルーチンにおいて、燃焼室における空燃比A/Fと、エンジン1の運転状態に応じた目標空燃比との偏差が算出され、エンジン1の運転状態に対応させた空燃比学習補正係数KGの値として学習される。そして、図7に示すフローチャートの中で、本発明の目標燃料圧力値算出工程に該当するステップ700,710おいて、インジェクタ10に供給される燃圧Pfに係る目標燃圧値TPfがエンジン1の運転状態に基づいて算出される。その後、本発明の補正工程に該当するステップ730おいて、上記算出された目標燃圧値TPfが学習補正係数KGの値に基づいて補正される。更に、本発明の目標電流値算出工程に該当するステップ740において、燃料ポンプ19(モータ32)に供給される駆動電流Idに係る目標電流値TIdが、上記補正された目標燃圧値TPfに基づいて算出される。そして、本発明のフィードバック制御工程に該当するステップ750において、駆動電流Idが、補正された目標燃圧値TPfに相関する目標電流値TIdにフィードバック制御されることになる。
【0060】
以上説明したように、本実施の形態の燃料供給装置及び燃料供給方法によれば、ECU22が、燃料ポンプ19(モータ32)に供給される駆動電流Idを目標電流値TIdにフィードバック制御することにより、各インジェクタ10に供給される燃圧Pfがエンジン1の運転状態に適合した目標燃圧値TPfに制御される。そして、ECU22が、検出される酸素濃度Oxに相関した空燃比A/F及びエンジン1の運転状態に基づいて燃料噴射量TAUを算出する。更に、ECU22が、算出された燃料噴射量TAUに基づいて各インジェクタ10を制御することにより、圧力調整された燃料が、必要な量だけ、各インジェクタ10から噴射され、エンジン1の各気筒へと供給される。これにより、エンジン1における空燃比A/Fが、その運転状態に応じた目標空燃比となるように制御される。
【0061】
ここで、ECU22は、実際の空燃比A/Fと目標空燃比との偏差を、エンジン1の運転状態、即ちエンジン回転速度NE及び吸気圧PiMより決定される条件に対応させた空燃比学習補正係数KGとして常時学習している。この学習補正係数KGは、各インジェクタ10から噴射される燃料の噴射状態、延いては各インジェクタ10に対する燃圧Pfの目標燃圧値TPfとのずれを示すものであって、燃料ポンプ19及びインジェクタ10等の機械的な個体差や経時変化等を反映したものである。しかも、この学習補正係数KGは、エンジン1の個々の運転状態、即ちエンジン回転速度NE及び吸気圧PiMの条件に対応させて学習されるものである。そして、ECU22は、目標燃圧値TPfをエンジン1の運転状態に基づいて算出し、その算出された目標燃圧値TPfを、燃料ポンプ19及び各インジェクタ10等の機械的な個体差や経時変化等を反映した空燃比学習補正係数KGに基づいて補正している。そして、ECU22は、目標電流値TIdを、補正された目標燃圧値TPfに基づいて算出し、実際の燃圧Pfを算出された目標燃圧値TPfに制御するために、駆動電流Idを、算出された目標電流値TIdにフィードバック制御している。
【0062】
従って、上記の構成によれば、燃料ポンプ19(モータ32)に係る目標電流値TIdが、空燃比学習補正係数KGにより補正された目標燃圧値TPfに基づき補正される。即ち、駆動電流Idに係るフィードバック制御が、学習補正係数KGにより補正されることになる。このため、燃料ポンプ19(モータ32)に係る駆動電流Idのフィードバック制御、即ち、燃圧Pfを目標燃圧値TPfに適合させるための制御が、その時々のエンジン1の運転状態に適合したレベルで、燃料ポンプ19及びインジェクタ10等の個体差や経時変化等を反映して補正されることになる。これにより、燃圧Pfを目標燃圧値TPfに適合させるための燃圧制御が、その時々のエンジンの運転状態に適合したレベルで、燃料ポンプ等の個体差や経時変化等を反映して補正されることになる。この結果、燃料ポンプ19等の個体差や経時変化に対処して、燃圧Pfを何時でも高精度に制御することができるようになる。
【0063】
つまり、従来の装置では、単に、燃料ポンプに対する駆動電流をフィードバック制御したり、空燃比A/Fに基づいて燃料ポンプの吐出圧を制御したりするだけでは、燃料ポンプ等の個体差や経時変化に起因する燃圧制御の誤差を解消することができなかった。これに対し、本実施の形態では、燃料ポンプ19(モータ32)に係る駆動電流Idのフィードバック制御を、空燃比学習補正係数KGに基づいて補正していることから、燃料ポンプ19等の個体差や経時変化に対処して、しかも、エンジン1の運転状態の変化に拘わらず、何時でも高精度な燃圧制御を実現できるようになるのである。
【0064】
図9は空燃比学習補正係数KGに基づいて燃圧制御を補正した前後における駆動電流Id及び燃圧Pfの挙動を示すタイムチャートである。時刻T0において、目標燃圧値TPfの学習補正係数KGによる補正が開始されると、それ以前に目標電流値TIdに合致していた駆動電流Idが、徐々に増加して学習補正係数KGに相関する分だけ増大する。これに伴い、それ以前に目標燃圧値TPfからずれていた燃圧Pfが、徐々に増加して目標燃圧値TPfに収束することになる。
【0065】
本実施の形態によれば、上記のように燃圧制御の精度を高めることができることから、各インジェクタ10から噴射される燃料の噴射状態を、エンジン1の運転状態に応じて即座に適合させることができるようになる。この意味で、エンジン1のドライバビリティや排気エミッション等の改善を図ることができるようになる。
【0066】
尚、この発明は次のような別の実施例に具体化することもできる。以下の別の実施例でも前記実施例と同等の作用及び効果を得ることができる。
【0067】
(1)前記実施の形態では、算出された目標燃圧値TPfを空燃比学習補正係数KGにより補正し、その補正された目標燃圧TPfに基づいて算出された目標電流値TIdに基づき、駆動電流Idに係るフィードバック制御を補正するよにした。これに対し、目標燃圧値TPfに基づいて算出された目標電流値TIdを空燃比学習補正係数により補正し、その補正された目標電流値TIdに基づいて駆動電流Idに係るフィードバック制御を補正するよにしてもよい。
【0068】
(2)本発明の燃料供給装置を、プレッシャレギュレータと、デリバリパイプから燃料タンクまで延びるリターンパイプ等を省略してなるリターンレス式の燃料供給装置に具体化することもできる。
【0069】
【発明の効果】
請求項1の発明の構成によれば、燃料ポンプに供給される駆動電流をフィードバック制御することにより、インジェクタに供給される燃圧を所要の目標燃圧値に制御するようにした燃料供給装において、駆動電流に係るフィードバック制御を、空燃比制御の際にエンジンの運転状態に対応させて学習した学習値に基づいて補正するようにしている。
従って、燃圧を目標燃圧値にするための制御が、その時々のエンジンの運転状態に適合したレベルで、燃料ポンプ等の個体差や経時変化等を反映して補正されることになる。この結果、燃料ポンプ等の個体差や経時変化に対処して燃料圧力を何時でも高精度に制御することができるという効果を発揮する。
【0070】
請求項2の発明の構成によれば、燃料ポンプに供給される駆動電流をフィードバック制御することにより、インジェクタに供給される燃圧を所要の目標燃圧値に制御するようにした燃料供給装において、エンジンの運転状態に応じた目標燃圧値を、空燃比制御にてエンジンの運転状態に対応させて学習した学習値に基づいて補正し、その補正された目標燃圧値により算出された目標電流値に基づいて駆動電流に係るフィードバック制御を行うようにしている。これにより、請求項1の発明と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0071】
請求項3の発明の構成によれば、燃料ポンプに供給される駆動電流をフィードバック制御することにより、インジェクタに供給される燃圧を所要の目標燃圧値に制御するようにした燃料供方法において、目標空燃比に対する空燃比の偏差が、エンジンの運転状態に対応させた学習値として学習される。更に、エンジンの運転状態に応じた目標燃圧値が、上記学習値に基づいて補正され、その補正された目標燃圧値に基づいて目標電流値が算出される。そして、駆動電流が、算出された目標電流値にフィードバック制御される。これにより、請求項1の発明と同様の作用及び効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一実施の形態に係り、エンジンと燃料供給装置を示す概念構成図である。
【図2】 同じく、燃料ポンプの構造を示す縦断面図である。
【図3】 同じく、燃料ポンプの主要部の構造を示す横断面図である。
【図4】 同じく、燃料噴射制御のプログラムの内容を示すフローチャートである。
【図5】 同じく、サブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図6】 同じく、空燃比補正係数等の挙動を示すタイムチャートである。
【図7】 同じく、燃料供給制御のプログラムの内容を示すフローチャートである。
【図8】 同じく、エンジン回転速度及び吸気圧に対する目標燃圧値の関数データを示すグラフである。
【図9】 同じく、駆動電流及び燃圧等の挙動を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
1 エンジン
10 インジェクタ
12 燃料タンク
16 酸素センサ(濃度検出手段を構成する。)
19 燃料ポンプ
22 ECU(フィードバック制御手段、空燃比制御手段、学習手段、補正手段、目標燃料圧力値算出手段及び目標電流値算出手段を構成する。)

Claims (3)

  1. 燃料タンク内の燃料を、電動式の燃料ポンプによりインジェクタへ圧送し、前記インジェクタから噴射させてエンジンへ供給するようにした燃料供給装置であって、
    前記インジェクタに供給される燃料圧力を所要の目標燃料圧力値に制御するために、前記燃料ポンプに供給される駆動電流を前記所要の目標燃料圧力値に相関する目標電流値にフィードバック制御するためのフィードバック制御手段と、
    前記エンジンに供給される空気及び燃料に係る空燃比に相関して前記エンジンから排出される特定成分濃度を検出するための濃度検出手段と、
    前記空燃比が前記エンジンの運転状態に応じた目標空燃比となるように、前記検出される特定成分濃度及び前記エンジンの運転状態に基づいて前記インジェクタを制御するための空燃比制御手段と、
    前記検出される特定成分濃度に相関した空燃比と前記目標空燃比との偏差を、前記エンジンの運転状態に対応させた学習値として学習するための学習手段と、
    前記所要の目標燃料圧力値に、前記学習された学習値の二乗値を乗算することにより前記駆動電流に係るフィードバック制御を補正するための補正手段と
    を備えたことを特徴とするエンジンの燃料供給装置。
  2. 燃料タンク内の燃料を、電動式の燃料ポンプによりインジェクタへ圧送し、前記インジェクタから噴射させてエンジンへ供給するようにした燃料供給装置であって、
    前記エンジンに供給される空気及び燃料に係る空燃比に相関して前記エンジンから排出される特定成分濃度を検出するための濃度検出手段と、
    前記空燃比が前記エンジンの運転状態に応じた目標空燃比となるように、前記検出される特定成分濃度及び前記エンジンの運転状態に基づいて前記インジェクタを制御するための空燃比制御手段と、
    前記検出される特定成分濃度に相関した空燃比と前記目標空燃比との偏差を前記エンジンの運転状態に対応させた学習値として学習するための学習手段と、
    前記インジェクタに供給される燃料圧力に係る目標燃料圧力値を前記エンジンの運転状態に基づいて算出するための目標燃料圧力値算出手段と、
    前記算出された目標燃料圧力値に、前記学習された学習値の二乗値を乗算することにより前記算出された目標燃料圧力値を補正するための補正手段と、
    前記燃料ポンプに供給される駆動電流に係る目標電流値を前記補正された目標燃料圧力値に基づいて算出するための目標電流値算出手段と、
    前記インジェクタに供給される燃料圧力を前記算出された目標燃料圧力値に制御するために、前記駆動電流を前記算出された目標電流値にフィードバック制御するためのフィードバック制御手段と
    を備えたことを特徴とするエンジンの燃料制御装置。
  3. 燃料タンク内の燃料を、電動式の燃料ポンプによりインジェクタへ圧送し、前記インジェクタから噴射させてエンジンへ供給するようにした燃料供給方法であって、
    前記エンジンに供給される空気及び燃料に係る空燃比と前記エンジンの運転状態に応じた目標空燃比との偏差を、前記エンジンの運転状態に対応させた学習値として学習する学習工程と、
    前記インジェクタに供給される燃料圧力に係る目標燃料圧力値を前記エンジンの運転状態に基づいて算出する目標燃料圧力値算出工程と、
    前記算出された目標燃料圧力値に、前記学習された学習値の二乗値を乗算することにより前記算出された目標燃料圧力値を補正する補正工程と、
    前記燃料ポンプに供給される駆動電流に係る目標電流値を前記補正された目標燃料圧力値に基づいて算出する目標電流値算出工程と、
    前記インジェクタに供給される燃料圧力が前記算出された目標燃料圧力値になるように、前記駆動電流を前記算出された目標電流値にフィードバック制御するフィードバック制御工程と
    を備えたことを特徴とするエンジンの燃料供給方法。
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