JP3715003B2 - コンバインの枝梗除去装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、走行機台上に搭載する脱穀部からの1番籾を穀粒タンクに貯留する前に1番籾粒中に混在する枝梗付き粒を処理するコンバインの枝梗除去装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、処理胴内蔵の処理室によって脱穀部からの1番籾を穀粒タンクに貯留する前に籾粒中に混在する枝梗付き粒を処理するものは、処理室内での処理作用によって籾粒から切離した枝梗や粉塵等の塵埃類も穀粒タンク内に落下するようになって、籾粒自体の貯留量が落下する塵埃類の分だけ減るという結果を招き無用の塵埃類が貯留量に悪影響を与えているのである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような観点から、本発明は脱穀部からの1番籾中に混在する枝梗付き粒を処理したのちのものを穀粒タンクに多くのものを貯留できるように貯留量の増加をはかるために創案されたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記のように穀粒タンク内の1番籾の貯留量を増加させるものを提供するために、請求項1に記載したように、走行装置(7)上に搭載した脱穀部(A)で脱穀処理した1番籾を一時貯留する穀粒タンク(1)へ搬送する搬送経路に、穀粒に付着した枝梗を除去する処理胴(2)の始端部に送り込みロータ羽根(14)と、その後方に処理歯(11)を植設し、該処理胴(2)を駆動する軸(2a)の下周り側に穀粒を濾過する処理網(10)を張設した枝梗付き粒を処理する処理室(3)を設けたコンバインにおいて、前記脱穀部(A)によって脱穀処理した一番籾を前記穀粒タンク(1)の上部へ揚上移送する揚穀筒(6)の上端部と、該上端部に支持された一端を支点にして回動可能な移送筒(5)とを介して、穀粒タンク(1)内へ前記処理室(3)を前記支点回りの回動自在に連通連結し、該処理室(3)の前記支点回りの上向き回動に連動して前記穀粒タンク(1)の天井板部分(1a)を上向きへ傾動させる作動を可能となし、この際、移送筒(5)の回動支点と天井板部分(1a)の傾動支点(33)とを処理室(3)に対して水平方向(軸(33)と直交した水平方向)上の同じ側に位置させると共に、処理室(3)を天井 板部分(1a)の傾動半径方向長さの中央位置よりも前記傾動支点から離れる側に位置させた構成としている。
【0005】
【作用】
これにより、脱穀部で脱穀処理された1番籾は揚穀筒により揚上されて処理室内に送り込まれ処理胴の回転による処理歯によって混在している枝梗付き粒の切断処理が積極的に行われ、単粒の籾粒と、籾粒から切離した枝梗や粉塵等の塵埃類が処理室から穀粒タンク内に落下する。
そして、作業の進行によって処理室から穀粒タンク内に落下した量が増してくると、穀粒タンクの天井板部分を上方に拡張するとともに、処理室を上方に向け移動して、穀粒タンク内の実貯留容積を増大させるようになり、枝梗処理後のものの貯留量が増加するのである。
【0006】
【実施例】
以下、この発明を実施例図に基づいて説明すると、この例図に示すコンバインは「図5」のように、走行機台(7)上の左側に脱穀部(A)を、右側には運転席(8)とエンジン(E)と穀粒タンク(1)が配設され、脱穀部(A)の前方には刈取部(B)を後側に排藁処理機(C)が設けられて、刈取部(B)で刈り取りつた穀稈を脱穀部(A)に搬送供給して脱穀処理し、この脱穀処理された1番籾は揚穀筒(6)によって揚上されて後述の本発明による枝梗除去装置により籾粒中に混在している枝梗付き粒の処理が行われて穀粒タンク(1)に貯留されるようになり、脱穀済の排藁は後方に搬出されて排藁処理機(C)により処理され、穀粒タンク(1)に貯留されたものは排出オ−ガ(9)により随時取出されるようになっている。
【0007】
次に、枝梗付き粒を処理するところの処理室(3)に関して、その第1案のものを「図1」と「図2」により説明する。この処理室(3)の下周りがわは半円状の処理網(10)で形成され、処理室(3)内には周面に処理歯(11)を固設する処理胴(2)を内蔵し、その処理胴(2)の軸(2a)方向を機体の左右横方向にして穀粒タンク(1)の前後方向の略々中間部の上部に配置され、また、処理室(3)の供給側に前記揚穀筒(6)の上端部を連通し、排出側には排出口(12)を開口するとともに、この排出口(12)から出るものを下方に向けて案内するガイド筒(13)が連結されている。
なお、(14)は処理胴(2)の始端部周面に固着した送り込みロ−タ羽根、(15)は処理網(10)と覆蓋(16)から垂設する送り阻止用の抵抗板であり、処理胴(2)への回転動力は揚穀筒(6)内のスクリュ−コンベヤ軸(17)から一対のベベルギヤ(18)を介して供給している。
【0008】
また、処理室(3)の排出側には吸引排塵ファン(4)を内蔵するファンケ−ス(19)を連接させて固着して、前記処理室(3)の上部がわとこのファンケ−ス(19)の上部を穀粒タンク(1)内から上方に突出させている。
そして、吸引排塵ファン(4)の軸(4a)は処理胴(2)の軸(2a)を延長させてあって軸(4a)は軸(2a)と同一軸にしてある。(20)はファンケ−ス(19)内と穀粒タンク(1)内を連通する塵埃吸入口、(21)はファンケ−ス(19)の吐出がわに連結した排塵パイプで、フレキシブルパイプ(22)によって更に延長されている。
【0009】
これにより、揚穀筒(6)によって揚上される1番籾は処理室(3)の供給側に投入され送り込みロ−タ羽根(14)によって送り込まれ抵抗板(15)により送り阻止の作用と攪拌作用が与えられる1番籾に対して回転する処理歯(11)により混在している枝梗付き粒に積極的な枝梗切離の処理が行われるのである。
そして、この処理作用が行われながら単粒の籾粒と籾粒から切離した枝梗や粉塵等の塵埃は処理網(10)を通過して穀粒タンク(1)内に落下し、処理網(10)の目から通過しない比較的大きなものは終端がわの排出口(12)から出てガイド筒(13)を通り穀粒タンク(1)内に落下するようになる。
【0010】
この処理網(10)を通過して落下するものと排出口(12)から出てガイド筒(13)から落下するもののうち枝梗や粉塵等の塵埃類はその落下の過程で、吸引排塵ファン(4)の吸引力によって塵埃吸入口(20)からファンケ−ス(19)内に吸引され排塵パイプ(21)からフレキシブルパイプ(22)を経て排出されて籾粒のみが穀粒タンク(1)内に貯留されていくのである。
【0011】
したがって、枝梗の処理が積極的に行われ枝梗等の塵埃類が除去されて籾粒のみが穀粒タンク(1)内に貯留されるようになり、枝梗の処理を行う処理室(3)と塵埃類を穀粒タンク(1)外に排出する吸引排塵ファン(4)を穀粒タンク(1)の上部に設けることと相俟って貯留量を増加し、また、その場合に、吸引排塵ファン(4)の軸(4a)を処理胴(2)の軸(2a)と同一軸にすると、構成も簡単になり吸引排塵ファン(4)への回転動力の供給が容易になる。
【0012】
また、第2案のものを「図3」と「図4」により説明すると、(3)が枝梗付き粒処理用の処理室で、その下周りがわは半円状の処理網(10)で形成され、その処理室(3)内には周面に処理歯(11)を植設した処理胴(2)を内蔵して、処理胴(2)の軸(2a)を機体の左右横方向にして穀粒タンク(1)内の前側上部に位置させているのである。
【0013】
そして、脱穀部(A)からの1番籾を揚上する揚穀筒(6)は穀粒タンク(1)内の前後方向略々中間部の一側がわに立設されて、この揚穀筒(6)の上端部を移送筒(5)を介して前記処理室(3)の供給側に連通連結してあって、処理室(3)の供給側は穀粒タンク(1)内から側方に突出し、この突出する供給側に移送筒(5)の一端を連通連結し他端は穀粒タンク(1)がわに向けて屈曲して接続部(23)を形成し、また、揚穀筒(6)の上端部は穀粒タンク(1)外に向け屈曲して接続部(24)を形成しているのである。
この揚穀筒(6)の接続部(24)の端面がわには鍔部(25)を設け、移送筒(5)の接続部(23)には前記鍔部(25)が嵌合する溝付き鍔部(26)が設けられて、鍔部(25)と鍔部(26)の嵌合によって移送筒(5)は接続部(23)がわの他端を支点にして上下に回動可能になって、処理室(3)は移送筒(5)と一体となって上下に移動可能となり、その上下移動はシリンダ−装置(27)によって行わせているのである。
【0014】
前記揚穀筒(6)の上端がわの筒壁部分には放出口(28)を開口し、その放出口(28)にはスライド式の開閉蓋(29)が装着されて、開閉蓋(29)を「開」することにより揚上される1番籾を移送筒(5)から処理室(3)を通すことなく直ちに穀粒タンク(1)内に投入可能なものにしてある。
【0015】
そして、(30)は揚穀筒の上端部に揚上されたものを接続部内に跳ね出す跳ね出し羽根であり、(31)は移送筒(5)内に内装されたスクリュ−コンベヤ、(14)は処理胴(2)の始端部周面に設けた送り込みロ−タ羽根である。
なお、(32)は揚穀筒(6)の上端部から跳ね出されたものを移送筒(5)に受継がせるためのコンベヤである。
【0016】
また、処理室(3)から揚穀筒(6)にかけての穀粒タンク(1)の天井板部分(1a)は軸(33)を支点にして上方に回動可能に構成してあって、この天井板部分(1a)の軸(33)がわ以外の周りは可撓性または伸縮性の素材(34)によって穀粒タンク(1)の本体がわに接続され、天井板部分(1a)の上方への回動によって穀粒タンク(1)内は拡張するようになっている。
【0017】
これによって、揚穀筒(6)により揚上される1番籾は移送筒(5)を通って処理室(3)の始端部に供給され処理胴(2)の回転により混在している枝梗付き粒の処理が行われ、処理室(3)から処理されたものが穀粒タンク(1)内に落下して貯留されるのである。
【0018】
そして、作業の進行によって穀粒タンク(1)内の貯留量が増すと、シリンダ−装置(27)を作動して処理室(3)を上方へ移動させると、この移動する処理室(3)が穀粒タンク(1)の天井板部分(1a)に接当しながら押上げて穀粒タンク(1)内を拡張し実貯留容積を増大させ穀粒タンク(1)の貯留量を増加させるのである。
【0019】
また、1番籾中の枝梗付き粒の混在量が極めて少量であって処理室(3)に供給するには及ばないときは、揚穀筒(6)の開閉蓋(29)を「開」すれば、揚穀筒(6)内を揚上される1番籾は放出口(28)から直接穀粒タンク(1)内に投入されるのである。
【0020】
したがって、穀粒タンク(1)の天井板部分(1a)の上方への拡張と処理室(3)を上方へ移動可能にすることにより穀粒タンク(1)内の実貯留容積が増大して貯留量を増加させるのであるが、処理室(3)と揚穀筒(6)の間に移送筒(5)を介装しこの移送筒(5)により揚穀筒(6)内を揚上された1番籾を処理室(3)の供給側に供給するとともに、その移送筒(5)を上方へ回動させることによって処理室(3)を上方へ移動させるようにすると、処理室(3)へ1番籾を供給する移送筒(5)は処理室(3)を上方へ移動させる役目も兼用して構成が簡潔なもので穀粒タンク(1)の貯留量が増加するのである。
【0021】
また、第2案のものは、処理室(3)が穀粒タンク(1)内の前側上部に位置しているので処理胴(2)を(イ)方向に回転させて処理室(3)から落下するものを穀粒タンク(1)の後側へ向けて落下させるようにしているが、これでは充分ではないので、このように処理室(3)が穀粒タンク(1)の中央部以外の偏ったところに位置する場合には、「図6」と「図7」に示すように穀粒タンク(1)内に均一に貯留させるための方法としての一手段が考えられるのであって、このものによると、処理室(3)の処理網(10)を通過して落下するものを跳ね出し室(35)で受けて跳ね出し室(35)に回転自在に装架する跳ね出し板(36)で穀粒タンク(1)内に(ロ)のように跳ね出し、その際、拡散させる山形の方向板(37)により幅方向にも拡げることで均一に落下させるようにしている。
本発明の好ましい実施例は、上記した第1案のものと第2案のものとを併用したものとなすのであり、これにより穀粒タンク(1)内の貯溜量を第2案のもののみの構成となすよりも有効に増加させることができるのである。なお、第2案のもののみを具備した構成となすことも差し支えない。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば次のような効果を奏するものである。
即ち、請求項1に記載したように、走行装置(7)上に搭載した脱穀部(A)で脱穀処理した1番籾を一時貯留する穀粒タンク(1)へ搬送する搬送経路に、穀粒に付着した枝梗を除去する処理胴(2)の始端部に送り込みロータ羽根(14)と、その後方に処理歯(11)を植設し、該処理胴(2)を駆動する軸(2a)の下周り側に穀粒を濾過する処理網(10)を張設した枝梗付き粒を処理する処理室(3)を設けたコンバインにおいて、前記脱穀部(A)によって脱穀処理した一番籾を前記穀粒タンク(1)の上部へ揚上移送する揚穀筒(6)の上端部と、該上端部に支持された一端を支点にして回動可能な移送筒(5)とを介して、穀粒タンク(1)内へ前記処理室(3)を前記支点回りの回動自在に連通連結し、該処理室(3)の前記支点回りの上向き回動に連動して前記穀粒タンク(1)の天井板部分(1a)を上向きへ傾動させる作動を可能となし、この際、移送筒(5)の回動支点と天井板部分(1a)の傾動支点(33)とを処理室(3)に対して水平方向上の同じ側に位置させると共に、処理室(3)を天井板部分(1a)の傾動半径方向長さの中央位置よりも前記傾動支点から離れる側に位置させたことにより、穀粒タンク(1)の天井板部分(1a)が上方に移動されると同時に、処理室(3)が上方に向け移動されて、穀粒タンク(1)内の実貯留容積が増大するものとなり、従って穀粒タンク(1)内への一番籾の貯留量を必要に応じて増加させることができるのである。
【0023】
また、移送筒(5)の回動支点と天井板部分(1a)の傾動支点(33)とを処理室(3)に対して傾動支点(33)に直交した水平方向上の同じ側に位置させたことにより、移送筒(5)の回動支点と天井板部分(1a)の傾動支点(33)と処理室(3)とからなるこれら三者の、傾動支点(33)に直交した水平方向上の配置長さが、移送筒(5)の回動支点と天井板部分(1a)の傾動支点(33)との間範囲で傾動支点(33)に直交した水平方向上に処理室(3)を位置させる場合に較べて、短くなるのである。
【0024】
さらには、処理室(3)を天井板部分(1a)の傾動半径方向長さの中央位置よりも前記傾動支点から離れる側に位置させたことにより、移送筒(5)の回動量に対する処理室(3)の上方移動量が、処理室(3)を天井板部分(1a)の傾動半径方向長さの中央位置よりも前記傾動支点に近い側に位置させる場合に較べて、大きくなるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1案の処理室とその周辺を示す前方視図である。
【図2】 第1案の処理室と周辺の側面図である。
【図3】 第2案の処理室とその周辺を示す側面図である。
【図4】 第2案の処理室と周辺の平面図である。
【図5】 コンバイン全体の側面図である。
【図6】 第2案の処理室に一番籾などの跳ね出し構造を設けた変形例を示す前方視図である。
【図7】 前記変形例を示す側面図である。
【符号の説明】
A 脱穀部
1 穀粒タンク
1a 天井板部分
2 処理胴
2a 軸
3 処理室
5 移送筒
6 揚穀筒
7 走行装置
10 処理網
11 処理歯
14 送り込みロータ羽根
33 傾動支点
Claims (1)
- 走行装置(7)上に搭載した脱穀部(A)で脱穀処理した1番籾を一時貯留する穀粒タンク(1)へ搬送する搬送経路に、穀粒に付着した枝梗を除去する処理胴(2)の始端部に送り込みロータ羽根(14)と、その後方に処理歯(11)を植設し、該処理胴(2)を駆動する軸(2a)の下周り側に穀粒を濾過する処理網(10)を張設した枝梗付き粒を処理する処理室(3)を設けたコンバインにおいて、
前記脱穀部(A)によって脱穀処理した一番籾を前記穀粒タンク(1)の上部へ揚上移送する揚穀筒(6)の上端部と、該上端部に支持された一端を支点にして回動可能な移送筒(5)とを介して、穀粒タンク(1)内へ前記処理室(3)を前記支点回りの回動自在に連通連結し、該処理室(3)の前記支点回りの上向き回動に連動して前記穀粒タンク(1)の天井板部分(1a)を上向きへ傾動させる作動を可能となし、この際、移送筒(5)の回動支点と天井板部分(1a)の傾動支点(33)とを処理室(3)に対して水平方向上の同じ側に位置させると共に、処理室(3)を天井板部分(1a)の傾動半径方向長さの中央位置よりも前記傾動支点から離れる側に位置させたことを特徴とするコンバインの枝梗除去装置。
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JP26774895A JP3715003B2 (ja) | 1995-09-20 | 1995-09-20 | コンバインの枝梗除去装置 |
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