JP3713822B2 - 制御権の切換方式 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、現場設備・機器を監視や制御するコントローラの制御権を複数の制御卓や監視制御用CRT等に切換えるための制御権の切換方式に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5は、監視制御卓と監視制御用CRTを併用して各コントローラに制御指令を出す監視制御システム構成を示す。各コントローラ11〜1nは、通信手段としてのLAN2を通して監視制御室の制御卓3及びCRT4に結合され、制御卓3又はCRT4からの制御指令に応じてそれぞれ現場設備・機器を制御する。
【0003】
制御卓3とCRT4による各コントローラの制御権の切換えには、制御権を制御卓3に渡すか、CRT4に渡すかを切換えるスイッチ機構を用意している。このスイッチは、次のような構成と機能を持つ。
【0004】
(1)制御権をオルタネート式で制御卓側又はCRT側に保持する。
【0005】
(2)複数のコントローラに対する制御権を一括して切換える多接点式のもの(図5のスイッチ5)と、1つのコントローラ毎に切換える1接点式のもの(図5のスイッチ6)がある。
【0006】
(3)スイッチ信号は、LAN2とは別に、コントローラ11〜1nに直接接続した信号線により入出力する。
【0007】
(4)スイッチ信号は、制御権のある制御卓又はCRTからの制御指令のみをコントローラが受け付ける指令にする。
【0008】
(5)スイッチ信号は、制御権のあるコントローラに対してのみ制御卓又はCRTが制御指令を発生できるようにする。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来のスイッチによる制御権の切換方式では、以下の問題がある。
【0010】
(1)切換状態を保持するスイッチを必要とする。
【0011】
(2)制御卓、CRT及び各コントローラに切換状態を入力する入力インタフェースを必要とする。
【0012】
(3)LANとは別に、制御卓及びCRTとコントローラとの間でスイッチ信号を入出力する信号線を引き回す必要があり、この間の距離が数百メートル〜数キロメートルになるため、高価な制御権切換設備になる。
【0013】
本発明の目的は、切換状態を保持するスイッチを不要にし、しかも信号線の引き回しを不要にする制御権の切換方式を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、監視制御システム等が持つタグ管理機能を制御権の切換え信号として利用することにより上記目的を達成するもので、
現場設備・機器を制御するコントローラに複数の制御指令装置から通信手段を介して制御指令を発生し、前記複数の制御指令装置は前記コントローラに対する制御権を切換えて制御指令を発生する制御システムにおいて、
前記複数の制御指令装置は、他の制御指令装置が持つ前記コントローラに対する現在制御権に優先する切換入力をする入力手段と、前記入力手段の操作に応じて前記コントローラに対する制御権の状態をタグデータとして管理するタグ管理手段とを備え、
前記コントローラは、前記入力手段による制御権の切換入力を受付け、前記複数の制御指令装置のうち制御権を持つ装置をタグデータとして保持し、
前記タグ管理手段は、前記入力手段の操作に応じて前記タグの内容を書替えて制御権を切換え、複数のコントローラに対する一括の制御権切換えには前記複数の制御指令装置に持つタグデータと前記コントローラに持つタグデータを比較して制御権の状態の不一致を判定する手段を備えたことを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施形態になる切換方式の要部構成図である。制御指令装置の1つになる制御卓3は、制御権を制御卓3とCRT4とで切換操作するための操作スイッチ31〜34を備える。このうち、操作スイッチ31と32は、多数のコントローラ11〜1n-1の制御権を一括で切換えるためのものである。操作スイッチ33と34は、1つのコントローラ1nの制御権を単独で切換えるためのものである。
【0017】
制御卓3に備えるマイクロコンピュータ35は、各操作スイッチ31〜34の操作信号をインタフェースを通して取り込み、この信号を制御権切換タグとしてメモリ36に個々に書込む。図示では、コントローラ11〜1n別にタグ番号1P801〜nP801を割り当てた場合で示し、例えば操作スイッチ31が操作されたときにはタグ1P801〜(n−1)P801のデータをCRT側に制御権を与えたことを示す状態(1ビットの1又は0)に書替える。
【0018】
これら制御権切換タグの制御は、制御卓3と各コントローラ11〜1n間でLAN2を介して授受される各機器の制御状態(ポンプの運転/停止や開閉器の開/閉など)タグの管理機能を利用するもので、コントローラ11〜1n側にも図示のように制御権切換タグが割り当てられる。
【0019】
このタグ管理機能により、制御卓3の操作スイッチ31〜34の選択操作で各コントローラ11〜1nの制御権切換タグ111〜1n1もそれぞれのマイクロコンピュータ112〜1n2によって制御権が切換えられる。
【0020】
制御卓3のランプ37は、制御権切換タグの書替えに際して、メモリ36の内容と各コントローラ11〜1nのタグ111〜1n1の内容が不一致の場合に点灯制御され、制御権の切換えが異常であることを操作員に知らせる。
【0021】
以上までは、制御卓3とコントローラ11〜1n間の制御権切換タグの管理であり、他方の制御指令装置としてのCRT4にも同様の管理機能を持たせる。このため、CRT4には制御権をCRT4に切換指定するためのシンボル41と42を画面表示する。このうち、シンボル41は、多数のコントローラ11〜1n-1の制御権を一括でCRT4側に移すことを選択指示するためのもので、マウス等のポインティングデバイスで指示される。シンボル42は、1つのコントローラ1nの制御権を単独でCRT4に移すことを選択指示するためのものである。
【0022】
CRT4に備えるマイクロコンピュータ43は、両シンボル41、42の選択信号をインタフェースを通して取り込み、この信号を制御権切換タグデータとしてメモリ44に個々に書込む。タグ44の構成及び書替えはタグ36と同等になる。また、CRT4による制御権切換操作には、LAN2を通して各コントローラ11〜1nの制御権切換タグデータが書替えられる。
【0023】
また、CRT4のシンボル45は、制御権切換タグの書替えに際して、メモリ44の内容と各コントローラ11〜1nのタグ111〜1n1の内容が不一致の場合に表示制御され、制御権の切換えが異常であることを操作員に知らせる。
【0024】
以上までの構成による制御権の切換動作を以下に説明する。
【0025】
まず、各コントローラ11〜1nにおけるタグ管理は、一般の機器の制御のためのタグの切換えについては現在制御権のある制御卓3又はCRT4からの指令しか受け付けないが、制御権切換タグについては他の制御指令装置が持つ現在制御権に拘わらず、すなわち現在制御権に優先して、制御卓3又はCRT4から切換指令を受け付ける。
【0026】
また、制御卓3及びCRT4においては、一般の機器の制御と同様の方法で制御権切換え指令を発生する。
【0027】
図2は、制御卓3及びCRT4における制御手順を示す。制御指令が発生したときにその制御項目が一般の機器制御か制御権切換えかをタグ番号から判定し(S1)、一般の機器制御のときは制御内容が現在状態と同じ方向に出力を要求するものか否かを判定する(S2)。例えば、制御内容がポンプを運転状態にするものであるのに対して、現在の当該ポンプが同じ制御方向になる運転状態にあるか否かを判定する。
【0028】
判定処理S2において、同じ方向の出力要求にはそれを無視して制御を終え、異なる方向のときに制御出力を当該コントローラ側に送る(S3)。
【0029】
処理S1において、制御項目が制御権切換えの場合、このタグが複数設備の一括切換えか否かを判定し(S4)、一括切換えの場合にはメモリ36又は44の内容を書替えると共に、複数のコントローラ11〜1n-1へ制御権切換の指令を出力する(S5)。また、1つの設備の切換えの場合にはメモリ36又は44の内容を書替えると共に当該1つのコントローラ1nへの制御権切換の指令を出力する(S6)。
【0030】
図3は、各コントローラ11〜1nの制御手順を示す。制御卓3又はCRT4からLAN2を介して伝送されてきた制御指令の制御項目が一般の機器制御か制御権切換えかをタグ番号から判定し(S11)、一般の機器制御のときは当該制御の要求元(CRT4又は制御卓3)が現在制御権を持つか否かをメモリ111〜1n1の内容から判定し(S12)、制御権がある場合には当該機器の制御出力を発生し(S13)、制御権がない場合には当該制御指令を無視する。
【0031】
処理S11において、制御権の切換え指令の場合には、メモリ111〜1n1の内容を書替えることで制御権切換えを行う(S14)。
【0032】
図4は、制御卓3及びCRT4における制御権切換え操作時の制御権の不一致表示処理手順を示す。制御卓3又はCRT4における制御権切換スイッチ又はシンボルが操作されたとき、この操作対象が複数設備の制御権を一括切換えか否かを判定し(S21)、1つの設備の制御権の切換えの場合には不一致判定を行わない。
【0033】
複数設備の制御権の一括切換の場合、各コントローラ11〜1nの制御権状態をメモリ36又は44の内容とタグ111〜1n1の内容から比較し(S22)、すべてが一致したか否かを判定する(S23)。
【0034】
この判定ですべてが一致するときは制御権の切換えを行い、一致しないときには制御権の不一致をランプ37の点灯、点滅及びシンボル45のフリック等で表示する(S24)。
【0035】
この制御権の不一致表示は、各コントローラ11〜1nの一部がダウンしてタグの内容が破損した場合などに有効となる。また、制御権の情報を制御卓3とCRT4及びコントローラ11〜1nにそれぞれ持たせることにより、制御権情報の喪失に対する回復処理を可能にする。
【0036】
なお、以上までの実施形態においては、制御卓とCRT間における制御権切換方式を示すが、複数のCRT間における制御権切換えにも同様に適用できる。
【0037】
また、制御システムとしては、制御権の切換えを中央と現場の切換えや遠方監視制御と直接監視制御の切換えなど操作場所を切換えにも適用できる。この場合には、切換指令が中央の監視制御装置からではなく、現場側のスイッチから取り込むことになるが、該等コントローラでタグ情報を管理し、LAN等の通信手段を通して中央の監視制御装置に切換指令を伝送することから従来の直引きの信号線は不要となる。
【0038】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明によれば、制御卓やCRTなどの制御指令装置は、制御権を切換えるのに、制御権の状態をタグデータとして管理し、また、コントローラでも制御権を持つ制御指令装置をタグデータとして保持し、制御権の切換入力操作に応じてタグの内容を書替えて制御権を切換えるようにしたため、以下の効果がある。
【0039】
(1)制御指令装置での制御権切換信号に装置のインタフェースを利用することができる。
【0040】
(2)コントローラまでの長距離に渡る直引き信号線が不要となる。
【0041】
(3)1つのコントローラに対する制御権は、そのコントローラに一元管理され、別のコントローラが異常停止等になるときも影響を受けない。
【0042】
また、本発明は、複数のコントローラに対する一括の制御権切換えには制御指令装置に持つタグデータとコントローラに持つタグデータを比較して制御権の状態の不一致を判定するようにしたため、コントローラの異常等に対処した制御権の切換ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す切換方式。
【図2】実施形態における制御卓及びCRTの制御権切換制御手順。
【図3】実施形態におけるコントローラの制御権切換制御手順。
【図4】実施形態における制御卓及びCRTの不一致表示手順。
【図5】従来の制御権の切換方式。
【符号の説明】
11、1n…コントローラ
2…LAN
3…制御卓
4…監視制御用CRT
31、34…スイッチ
36、44…メモリ
37…ランプ
41、42、45…シンボル
Claims (1)
- 現場設備・機器を制御するコントローラに複数の制御指令装置から通信手段を介して制御指令を発生し、前記複数の制御指令装置は前記コントローラに対する制御権を切換えて制御指令を発生する制御システムにおいて、
前記複数の制御指令装置は、他の制御指令装置が持つ前記コントローラに対する現在制御権に優先する切換入力をする入力手段と、前記入力手段の操作に応じて前記コントローラに対する制御権の状態をタグデータとして管理するタグ管理手段とを備え、
前記コントローラは、前記入力手段による制御権の切換入力を受付け、前記複数の制御指令装置のうち制御権を持つ装置をタグデータとして保持し、
前記タグ管理手段は、前記入力手段の操作に応じて前記タグの内容を書替えて制御権を切換え、複数のコントローラに対する一括の制御権切換えには前記複数の制御指令装置に持つタグデータと前記コントローラに持つタグデータを比較して制御権の状態の不一致を判定する手段を備えたことを特徴とする制御権の切換方式。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17604196A JP3713822B2 (ja) | 1996-07-05 | 1996-07-05 | 制御権の切換方式 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17604196A JP3713822B2 (ja) | 1996-07-05 | 1996-07-05 | 制御権の切換方式 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1020902A JPH1020902A (ja) | 1998-01-23 |
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ID=16006691
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP17604196A Expired - Lifetime JP3713822B2 (ja) | 1996-07-05 | 1996-07-05 | 制御権の切換方式 |
Country Status (1)
Country | Link |
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Families Citing this family (1)
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---|---|---|---|---|
JP2004157700A (ja) * | 2002-11-06 | 2004-06-03 | Hitachi Ltd | 制御システム及び制御方法 |
-
1996
- 1996-07-05 JP JP17604196A patent/JP3713822B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
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JPH1020902A (ja) | 1998-01-23 |
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