JP3713750B2 - エアブリッジ形成方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本願発明は、ハイブリッドICなどの配線構造及び配線形成方法に関し、詳しくは、基体(通常は基板)上に形成された下層配線を上層配線が接触することなく跨いだ構造を有するエアブリッジの形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ハイブリッドICなどにおいては、高密度配線を行う目的で、あるいは設計上の必要性などから、基板上に形成された下層配線を上層配線が跨いだ構造を有するエアブリッジが形成される場合がある。
【0003】
そして、このエアブリッジの形成方法としては、例えば、図3(a)〜(k)にその工程を示すようなセミアディティブプロセス(選択メッキ)によるエアブリッジ形成方法が知られている。
【0004】
このエアブリッジ形成方法は、概略以下の通りである。
【0005】
(1)図3(a)に示すように、配線との密着強度を向上させ、かつ、後工程で電解Auメッキを行うための導電性を付与する目的で、その表面に、膜厚が0.2μm〜1.5μmの金属薄膜(例えばTi/Pd薄膜やNi/Cr薄膜など)(図示せず)を蒸着や無電解メッキの方法により形成した基板1上に、フォトリソグラフィーによりパターニングを行い、下層配線パターンに対応するレジストパターン3を形成する。
(2)それから、図3(b)に示すように、電解Auメッキにより下層配線4を形成する。
(3)次いで、図3(c)に示すように、下層配線形成用のレジスト(レジストパターン)3を洗浄、剥離する。
(4)それから、図3(d)に示すように、フォトリソグラフィーによりパターニングを行い、ポスト部形成用のレジストパターン5を形成する。
(5)それから、図3(e)に示すように、レジスト(レジストパターン)5を介して下層配線4の両側に、電解Auメッキによりポスト部6a,6bを形成する。なお、このとき、レジスト5の膜厚とメッキ膜厚(ポスト部6a,6bの全高)を等しくすることが、後工程で上層配線9(図3(h)など)を形成した後の段差をなくすために重要である。
(6)次いで、図3(f)に示すように、膜厚が均一な上層配線9を形成することができるように、レジスト5及びポスト部6a,6b上に例えばAuなどからなる給電膜7を、蒸着や無電解メッキなどの方法により形成する。
(7)そして、図3(g)に示すように、フォトリソグラフィーによりパターニングを行い、上層配線形成用のレジストパターン8を形成する。
(8)それから、図3(h)に示すように、Auなどからなる上層配線9を、電解メッキなどの方法により形成する。
(9)次いで、図3(i)に示すように、上層配線形成用のレジスト(レジストパターン)8を洗浄、剥離する。
(10)それから、図3(j)に示すように、露出した給電膜7をエッチングして除去する。
(11)その後、図3(k)に示すように、ポスト部周りのレジスト5を、剥離液を用いて剥離することによりエアブリッジを形成する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の方法で形成されるエアブリッジは、その形成プロセスの途中で何度も剥離液やメッキ液などにさらされたりするため上層配線に歪みが生じやすく、基板上に配設された下層配線との接触による短絡を生じる場合があり、安定した特性を得ることが困難で、信頼性が低いという問題点がある。
【0007】
本願発明は、上記問題点を解決するものであり、上層配線と下層配線との接触による短絡を防止して、安定した特性を得ることが可能なエアブリッジ形成方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本願発明のエアブリッジ形成方法は、基体上に形成された下層配線を上層配線が接触することなく跨(また)いだ構造を有するエアブリッジ形成方法において、基体上に形成された下層配線をレジストで覆う工程と、前記レジストを介して前記下層配線の両側に導電材料からなるポスト部を形成する工程と、前記一方側のポスト部の上面から、前記レジストの上面を経て、前記他方側のポスト部の上面にかけて給電膜を形成する工程と、前記給電膜上に、下側層が下記上側層より熱膨張係数の小さい金属からなり、上側層が前記下側層より熱膨張係数が大きく、かつ、前記下側層との密着性の大きい金属からなる2層構造の上層配線を形成する工程と、ポスト部周り及び上層配線周りのレジスト及び給電膜を除去してエアブリッジを形成する工程と、少なくとも前記エアブリッジが形成された部分を加熱して、前記上層配線をその下側層と上側層の熱膨張係数の差から上方に撓ませることにより、前記上層配線と前記下層配線の間に所定の隙間を形成する工程とを具備することを特徴としている。
【0009】
【作用】
基体上に形成された下層配線を跨ぐ上層配線が、上側層より熱膨張係数の小さい金属からなる下側層と、下側層より大きい熱膨張係数を有し、かつ、下側層との密着性の大きい金属からなる上側層とからなる2層構造を有しているため、加熱することにより、下側層と上側層の熱膨張係数の差から上層配線を上方に撓ませて上層配線と下層配線の間に所定の隙間を確保することが可能になる。したがって、基板上に形成された下層配線と上層配線の接触による短絡を確実に防止することが可能になり、所望の特性を得ることが可能になる。
【0010】
また、本願発明のエアブリッジの形成方法は、上層配線を、上側層より熱膨張係数の小さい金属からなる下側層と、下側層より熱膨張係数が大きく、かつ、下側層との密着性の大きい上側層からなる2層構造とし、かつ、少なくともエアブリッジが形成された部分を加熱して上層配線を下側層と上側層の熱膨張係数の差から上方に撓ませ、上層配線と下層配線の間に所定の隙間を形成するようにしているので、基板上に形成された下層配線と上層配線の接触による短絡を確実に防止することが可能になる。
【0011】
【実施例】
以下、本願発明の実施例を示してその特徴とするところをさらに詳しく説明する。図1(a)〜(i)及び図2(a)〜(d)は本願発明の一実施例にかかるエアブリッジ形成方法を示す図である。
【0012】
(1)図1(a)に示すように、配線との密着強度を向上させ、かつ、後工程で電解Auメッキを行うための導電性を付与する目的で、その表面に、膜厚が0.2μm〜1.5μmの金属薄膜(例えばTi/Pd薄膜)(図示せず)を蒸着や無電解メッキの方法により形成した基板(基体)1上に、フォトリソグラフィーによりパターニングを行い下層配線パターンに対応するレジストパターン3を形成する。なお、金属薄膜の種類はTi/Pd薄膜に限られるものではなく、Ni/Cr薄膜などの他の種類の金属薄膜を形成するようにしてもよい。
(2)それから、図1(b)に示すように、電解Auメッキにより下層配線4を形成する。なお、下層配線4の構成材料はAuに限られるものではなく、Au以外の配線材料を用いることも可能である。
(3)次いで、図1(c)に示すように、下層配線形成用のレジスト(レジストパターン)3を洗浄、剥離する。
(4)それから、図1(d)に示すように、フォトリソグラフィーによりパターニングを行い、ポスト部形成用のレジストパターン5を形成する。
(5)それから、図1(e)に示すように、レジスト(レジストパターン)5を介して下層配線4の両側に、電解Auメッキによりポスト部6a,6bを形成する。なお、このとき、レジスト5の膜厚とメッキ膜厚(ポスト部6a,6bの全高)を等しくすることが、後工程で上層配線9(図1(i)など)を構成する下側層9a,上側層9b(図1(h),(j)など)を形成した後の段差をなくすために重要である。なお、ポスト部6a,6bの構成材料はAuに限られるものではなく、Au以外の材料を用いることも可能である。
(6)次いで、図1(f)に示すように、膜厚が均一な上層配線9を形成することができるように、レジスト5及びポスト部6a,6b上に例えばAuからなる給電膜7を、蒸着や無電解メッキなどの方法により形成する。なお、給電膜7の構成材料としては、ポスト部6a,6bを構成する材料(この実施例ではAu)と同一の材料を用いることが好ましいが、他の材料を用いることも可能である。
(7)そして、図1(g)に示すように、フォトリソグラフィーによりパターニングを行い、上層配線形成用のレジストパターン8を形成する。
(8)それから、図1(h)に示すように、上層配線9(図1(i)など)の下側層(この実施例ではPtからなる層)9aを電解メッキなどの方法により形成する。なお、下側層9aの構成材料としては、Ptの他にもWその他の、熱膨張係数が後述の上側層9bを構成する材料より小さい種々の材料を用いることが可能である。また、上側層9bとの関係で、下側層9aの構成材料として、ポスト部6a,6b及び給電膜7を構成する材料(この実施例ではAu)と同一の材料を用いることが可能な場合もある。
(9)そして、図1(i)に示すように、熱膨張係数が下側層9aを構成する材料より大きく、かつ、上層配線9の下側層9aとの密着性が良好な材料(例えば、下側層がPtやWである場合にはAuなど)を電解メッキなどの方法により形成する。
(10)次いで、図2(a)に示すように、上層配線形成用のレジスト(レジストパターン)8を洗浄、剥離する。
(11)それから、図2(b)に示すように、露出した給電膜7をエッチングして除去する。
(12)その後、図2(c)に示すように、ポスト部周りのレジスト5を、剥離液を用いて剥離することによりエアブリッジを形成する。
(13)それから、形成されたエアブリッジを200〜500℃に加熱することにより、図2(d)に示すように、上層配線9を下側層9aと上側層9bの熱膨張係数の差から上方に撓ませることにより、上層配線9と下層配線4の間に所定の隙間を形成する。
【0013】
なお、上記実施例のエアブリッジの形成方法においても、上記(12)の工程の終了時には、上層配線9に歪みが生じているが、上記(13)の工程で加熱することにより、上層配線9と下層配線4との間に所定の隙間を形成して、上層配線9と下層配線4が接触して短絡することを確実に防止することが可能になり、所望の特性を得ることができるようになる。
【0014】
なお、本願発明において、上層配線9の下側層9aと上側層9bを構成する金属の種類は、耐熱性、耐酸化性、相互の密着性などに関して、特に問題のないものでありさえすれば、熱膨張係数に必要な差のある任意の金属を用いることが可能である。
【0015】
また、上記実施例では、上記(10)〜(12)の工程を経て、上層配線形成用のレジスト(レジストパターン)8の洗浄、剥離、露出した給電膜7のエッチング、ポスト部周りのレジスト5の剥離を行った場合について説明したが、超音波を印加して給電膜7を破壊すると同時に、ポスト部周りのレジスト(レジストパターン)8を剥離、除去した後、残存、露出した給電膜7(給電膜7のバリなど)をエッチングして除去するように構成することも可能であり、その場合、給電膜やレジストの除去を効率よく行うことができるようになるとともに、給電膜のエッチング時間を短くして上層配線などのオーバーエッチングを防止し、高精度の配線を行うことができる。
【0016】
なお、本願発明は、上記実施例に限定されるものではなく、基体(基板などのエアブリッジが形成される対象)の組成や構造、下層配線のパターン、レジストの種類、ポスト部の形状、上層配線のパターン、レジスト剥離液の種類や剥離条件、給電膜をエッチングするためのエッチング液やエッチング条件などに関し、発明の要旨の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【0017】
【発明の効果】
上述のように、本願発明のエアブリッジの形成方法は、上層配線を、上側層より熱膨張係数の小さい金属からなる下側層と、下側層より熱膨張係数が大きく、かつ、下側層との密着性の大きい上側層からなる2層構造とし、かつ、形成されたエアブリッジを加熱して、下側層と上側層の熱膨張係数の差から上層配線を上方に撓ませて、上層配線と下層配線の間に所定の隙間を形成するようにしているので、加熱するだけで、基板上に形成された下層配線と上層配線の接触による短絡のないエアブリッジを形成することができる。
【0018】
このように、本願発明によれば、上層配線と基板(下層配線)の間に十分な距離を確保することが可能になるため、エアブリッジの特性向上、ばらつきの低減を図ることが可能になり、従来のエアブリッジ及びその形成方法の問題を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願発明の一実施例にかかるエアブリッジ形成方法を示す図である。
【図2】 本願発明の一実施例にかかるエアブリッジ形成方法を示す図である。
【図3】 従来のエアブリッジ形成方法を示す図である。
【符号の説明】
1 基板(基体)
3 レジスト(レジストパターン)
4 下層配線
5 レジスト(レジストパターン)
6a,6b ポスト部
7 給電膜
8 レジスト(レジストパターン)
9 上層配線
9a 上層配線の下側層
9b 上層配線の上側層
Claims (1)
- 基体上に形成された下層配線を上層配線が接触することなく跨(また)いだ構造を有するエアブリッジ形成方法において、
基体上に形成された下層配線をレジストで覆う工程と、
前記レジストを介して前記下層配線の両側に導電材料からなるポスト部を形成する工程と、
前記一方側のポスト部の上面から、前記レジストの上面を経て、前記他方側のポスト部の上面にかけて給電膜を形成する工程と、
前記給電膜上に、下側層が下記上側層より熱膨張係数の小さい金属からなり、上側層が前記下側層より熱膨張係数が大きく、かつ、前記下側層との密着性の大きい金属からなる2層構造の上層配線を形成する工程と、
ポスト部周り及び上層配線周りのレジスト及び給電膜を除去してエアブリッジを形成する工程と、
少なくとも前記エアブリッジが形成された部分を加熱して、前記上層配線をその下側層と上側層の熱膨張係数の差から上方に撓ませることにより、前記上層配線と前記下層配線の間に所定の隙間を形成する工程と
を具備することを特徴とするエアブリッジ形成方法。
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JPH08335635A JPH08335635A (ja) | 1996-12-17 |
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