JP3713641B2 - エンジンの点火コイル装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、開磁路型のエンジンの点火コイル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、一次コイルが巻装されたコイルボビンの外側に二次コイルが巻装されたコイルボビンが同軸状に設けられ、その一次側のコイルボビンの中空軸内に棒状のコアが挿入された点火コイルの組立体が円筒状のコイルケース内に入れ、そのコイルケースの下方の開口部分にコネクタ部を装着して、内部に絶縁性樹脂が注入されて一体的に形成され、エンジンのシリンダ孔内に埋設されて、コネクタ部の内部に突出している高圧端子が点火プラグに接触するようにした点火プラグ直付型のエンジンの点火コイル装置がある(実公平4−23296号公報参照)
【0003】
従来、このようなエンジンの点火コイル装置にあって、二次コイルの出力端末を高圧端子に接続させる場合、図6に示すように、二次側のコイルボビン8′側に取り付けられた断面U字状の高圧端子12′に二次コイルの出力端末71を挟んでフューシング接続させるようにしている。
【0004】
同様に、図7に示すように、二次側のコイルボビン8′側に取り付けられた凸状の高圧端子12′に二次コイルの出力端末71をからげて半田溶接させるようにしている。
【0005】
また、従来、高圧端子と点火プラグとを接続させる場合、高圧端子側にスプリング状や板バネ状の接触子を取り付けて、その接触子を介して点火プラグとの電気的接続をとるようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
解決しようとする問題点は、点火プラグ直付型のエンジンの点火コイル装置にあって、二次側のコイルボビン側に取り付けられた断面U字状の高圧端子に二次コイルの出力端末を挟んでフューシング接続させたり、二次側のコイルボビン側に取り付けられた凸状の高圧端子に二次コイルの出力端末をからげて半田溶接させるような接続手段をとるのでは、その接続部分が大きくなって二次側のコイルボビンから突出してしまい、絶縁距離を確保するためにその接続部分をコイルケースから離す必要があって点火コイル装置が大きくなってしまうことである。
【0007】
また、高圧端子と点火プラグとをスプリング状や板バネ状の接触子を介して電気的に接続させるのでは、点または線接触となって両者の間に微小放電が発生して、周辺の機器に電気ノイズを与えてしまう。そして、振動により摩耗粉が発生してフラッシュオーバーの原因となり、折損による接触不良を引き起こすという問題がある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、点火プラグ直付型のエンジンの点火コイル装置にあって、二次コイルの出力端末と高圧端子との接続部分が大きくなって二次側のコイルボビンから突出して絶縁距離を確保するために大形になるようなことを防止するべく、二次側のコイルボビンの下方端部の中央部分に形成された突出部と、その突出部に嵌合して取り付けられる筒状の高圧端子と、その高圧端子の縁部に突出して形成された舌片とを設け、二次コイルの出力端末を高圧端子に巻き付けたうえで、舌片をその巻付け部分の上に折り曲げてフュージング接続するようにしている。
【0009】
また、本発明は、高圧端子と点火プラグとの電気的接続を振動の影響を受けることなく充分に行わせることができるようにするべく、高圧端子の先方に導電性ゴムからなる接触子を取り付けて、その接触子によって点火プラグとの電気的接続をとるようにしている。
【0010】
【実施例】
図1は点火プラグ直付型のエンジンの点火コイル装置の一構成例を示しており、それが、内部に点火コイルの組立体が入れられる円筒状のコイルケース1の部分と、そのコイルケース1の下方の開口部に嵌め込まれて装着されるプラグカバー2の部分と、そのコイルケース1の上方の開口部分の外側に嵌め込まれて装着される低圧端子ソケット3の部分とからなっている。
【0011】
コイルケース1の内部には、一次コイル5が巻装されたコイルボビン6の外側に二次コイル7が巻装されたコイルボビン8が同軸状に組み込まれて、その一次側のコイルボビン6の中空軸内に棒状のコア9が挿入された組立体が収納されている。コア9の両端には、一次電流の断続に際して磁束量の大きな変化が得られるように、永久磁石10がそれぞれ取り付けられている。
【0012】
二次側のコイルボビン8の下方の端部には、その中央部分に突出して高圧端子の取付部11が一体的に形成されている。また、その取付部11に接着して取り付けられる高圧端子12には、点火プラグ15との電気的接続をとるための接触子13が装着されている。
【0013】
一次側のコイルボビン6、二次側のコイルボビン8、高圧端子12および接触子13からなる組立体がコイルケース1内に収納されるに際して、接触子13がプラグケース2の中央部分に形成されている管状の孔4の外方に突出した状態で、高圧端子12の取付部11の部分がその孔4の内部に圧入されて、その組立体がコイルケース1内に所定に位置決めされるようになっている。
【0014】
そして、コイルケース1内に組立体が所定に位置決めされた状態で、コイルケース1の上方の開口部から溶融されたエポキシなどの絶縁性樹脂が注入されて、その絶縁性樹脂が固化されることにより一体的に成形される。
【0015】
その際、絶縁性樹脂がコア9の部分に入り込まないように、そのコア9の両端に設けられた永久磁石10をそれぞれ覆うとともに、コア9の長手方向に生ずる比較的大きな熱応力を吸収して、周囲の絶縁性樹脂にクラックが発生するのを防止するためのダンパ部材14が設けられる。
【0016】
プラグカバー2の先端には点火プラグ15を保持するプラグラバー16が装着されている。そして、そのプラグラバー16内に点火プラグ15が差し込まれたときに、その点火プラグ15の先端が接触スプリング13に接触して電気的な接続がとられるようになっている。
【0017】
また、低圧端子ソケット3の内部には、図2に示すように、イグナイタ19が収納されている。
【0018】
コイルケース1に低圧端子ソケット3を嵌め込むに際して、コイルケース1の内側に設けられている弾性部材17を外方に折り返して、その折返し部分29に低圧端子ソケット3を嵌め込むようにして、シール性を高めるようにしている。
【0019】
低圧端子ソケット3にキャップ20を装着した状態で、そのキャップ20にあけられた穴22からノズルを差し込んで内部に絶縁性樹脂を注入するに際して、低圧端子ソケット3内におけるキャップ20の内側に設けられた複数のリブ21の先端がつかるレベルにまで絶縁性樹脂を注入してキャップ20を一体的に固着させる。
【0020】
なお、キャップ20に設けられた複数のリブ21によって、温度変化にともなって固化された絶縁性樹脂に加わる熱応力が分散され、イグナイタ19の上部の絶縁性樹脂部分にクラックが発生するのが有効に防止されることになる。
【0021】
また、低圧端子ソケット3の下側のコイルケース1部分には、エンジンのシリンダヘッド部分に形成されたシリンダ孔23の部分にコイルケース1を埋設する際に、そのシリンダ孔23の開口部分をシールするシールラバー24が嵌め込まれている。
【0022】
そして、シリンダ孔23の部分にコイルケース1を埋設した状態で、低圧端子ソケット3に一体的に形成されているボルト座25を介して、ボルト26によってこの点火コイルユニットがシリンダヘッド側に取り付けられる。
【0023】
コイルケース1は、それ自体が導電性を有する透磁率の高い珪素鋼板などの磁性材料によって形成されている。そして、コイルケース1と低圧端子ソケット3内のアース端子27とが電気的に接続されて、そのコイルケース1がアース電位に保持されている。
【0024】
しかして、コイルケース1によって電磁シールド効果が発揮され、また、開磁路型の点火コイルの組立体による発生磁束の大半がそのコイルケース1の部分に集中するようなサイドコアの役目が果たされて、発生磁束が広がって周囲のエンジンのシリンダブロックの部分を通ることにより減磁されて二次出力電圧が低下するようなことが有効に抑制されるようになる。
【0025】
また、そのコイルケース1がアース電位に保持されているので、内部の高電圧部からの漏れ放電による感電を防止できるようになる。そして、二次コイル7とコイルケース1との間で局部的に生ずるコロナ放電が抑制され、その間に介在する絶縁性樹脂の絶縁耐久性が向上する。
【0026】
また、コイルケース1とシリンダヘッドとの間の空隙を通して生ずる放電がなくなり、エンジンの制御系や周囲の機器に電波障害をきたすようなことが有効に防止できるようになる。
【0027】
なお、そのコイルケース1には、渦電流損を抑制するべく、図3に示すように、断面がC状になるように、その長手方向にギャップを形成する0.5〜1.5mm程度のスリット18が設けられている。
【0028】
そして、そのコイルケース1の内側には、ゴム、エラストマーなどの弾性部材17が設けられている。
【0029】
しかして、コイルケース1とその中に注入されて固化された絶縁性樹脂との間にその弾性部材17が介在することによって、温度変化による熱応力がその弾性部材17によって緩和されて、周囲の絶縁性樹脂にクラックが発生するようなことが有効に防止される。
【0030】
このように構成されたエンジンの点火コイル装置にあって、特に本発明では、図4および図5に示すように、二次コイル7の出力端末71と高圧端子12との接続を行わせるに際して、二次側のコイルボビン8の下方端部の中央部分に突出して形成された高圧端子の取付部11に、縁部に突出して舌片121が形成された筒状の高圧端子12を嵌合して取り付けて、二次コイル7の出力端末71を高圧端子12の筒部に数回巻き付けたうえで、舌片121をその巻付け部分の上に折り曲げてフュージング接続するようにしている。
【0031】
しかして、このような二次コイル7の出力端末71と高圧端子12との接続手段をとることにより、その接続部分が何ら突出することなく、小スペースとなり、特にその接続部分をコイルケース1から離さなくとも絶縁距離を確保することができて、点火コイル装置の小形化を有効に図ることができるようになる。
【0032】
また、本発明では、高圧端子12と点火プラグ15との電気的接続をとる接触子13として導電性ゴムからなるものを用いるようにしている。
【0033】
しかして、柔軟性のある導電性ゴムからなる接触子13を用いているので、従来のようなスプリング状や板バネ状の接触子による点または線接触に比べて、点火プラグ15との接触面積を増大させることができ、部分接触による微小放電が発生して周辺の機器に電気ノイズを与えるようなことを有効に防止できるようになる。そして、振動にも強く、摩耗粉が発生してフラッシュオーバーの原因となったり、折損による接触不良を引き起こすようなことがなく、常に高圧端子12と点火プラグ15との電気的接続を良好に行わせることができるようになる。
【0034】
【効果】
以上、本発明によるエンジンの点火コイル装置によれば、二次側のコイルボビンの下方端部の中央部分に形成された突出部に筒状の高圧端子を嵌合して取り付けて、二次コイルの出力端末を高圧端子の筒部に数回巻き付けたうえで、その高圧端子の縁部に形成されている舌片をその巻付け部分の上に折り曲げてフュージング接続するようにしているので、二次コイルの出力端末と高圧端子との接続部分が何ら突出することなく、小スペースとなり、特にその接続部分をコイルケース1から離さなくとも絶縁距離を確保することができて、点火コイル装置の小形化を有効に図ることができるという利点がある。
【0035】
また、本発明によれば、高圧端子の先方に導電性ゴムからなる接触子を取り付けて点火プラグとの電気的接続をとるようにしているので、面接触によって点火プラグに対する接触面積を大きくとることができ、部分接触による微小放電が発生して周辺の機器に電気ノイズを与えるようなことを有効に防止できるようになる。そして、振動にも強く、摩耗粉が発生してフラッシュオーバーの原因となったり、折損による接触不良を引き起こすようなことがなく、常に高圧端子と点火ブラグとの電気的接続を良好に行わせることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるエンジンの点火コイル装置の構成例を示す正断面図である。
【図2】同構成例における低圧端子ソケットの内部構造を示す平面図である。
【図3】同構成例におけるコイルケース部分の横断面図である。
【図4】本発明の一実施例を示す二次コイルの出力端末と高圧端子との接続部分における高圧端子に出力端末を巻回した状態を示す斜視図である。
【図5】本発明の一実施例における二次コイルの出力端末と高圧端子との接続部分における高圧端子側の舌片を出力端末の巻付け部分に折り曲げた状態を示す斜視図である。
【図6】従来の二次コイルの出力端末と高圧端子との接続手段の一例を示すその接続部分の斜視図である。
【図7】従来の二次コイルの出力端末と高圧端子との接続手段の他の例を示すその接続部分の斜視図である。
【符号の説明】
1 コイルケース
2 プラグカバー
3 低圧端子ソケット
5 一次コイル
7 二次コイル
9 コア
11 高圧端子の取付部(突出部)
12 高圧端子
13 接触子
15 点火プラグ
71 二次コイルの出力端末
121 舌片
Claims (2)
- 一次コイルおよび二次コイルが巻装されたコイルボビンの中空軸内に棒状のコアが挿入された点火コイルの組立体を円筒状のコイルケース内に入れ、そのコイルケースの下方の開口部分にプラグカバーを装着して、内部に絶縁性樹脂を注入して一体的に成形し、エンジンのシリンダヘッド部分に形成されたシリンダ孔内に埋設されて点火プラグに直付けされる開磁路型のエンジンの点火コイル装置において、二次側のコイルボビンの下方端部の中央部分に形成された突出部と、その突出部に嵌合して取り付けられる筒状の高圧端子と、その高圧端子の縁部に突出して形成された舌片とを設け、二次コイルの出力端末を高圧端子に巻き付けたうえで、舌片をその巻付け部分の上に折り曲げてフュージング接続するようにしたことを特徴とするエンジンの点火コイル装置。
- 高圧端子の先方に導電性ゴムからなる接触子を取り付けて、その接触子によって点火プラグとの電気的接続をとるようにしたことを特徴とする前記第1項の記載によるエンジンの点火コイル装置。
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