JP3713609B2 - 引出しのラッチ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、書類キャビネットや机等の引出しにおけるラッチ装置、特に引出しの前面板を引出し本体から分離して交換可能とした引出しにおけるラッチ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の引出しのラッチ装置としては、実公平7-21787号公報に記載のものが知られている。
この従来技術は、引出し本体の前端部の裏板の前面に前面板を装着して引出しを形成する際、前面板に取り付けた引手部材の作動アームを、引出し本体のラッチ爪アームに連係させるもので、引手部材の操作に連動して、ラッチ爪が家具本体の係合部に係脱自在に回動するラッチ装置を構成している。
従って、引出し本体の前端の裏板に前面板を着脱可能に装着して形成した引出しにおいて、ラッチ装置を設けても、引出しの前面板だけを簡単に交換することができ、様々な状況において、引出しの前面板を、色、材質等の異なるものと容易に変えることができるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この従来技術は、前面板が金属製であることを前提として開発されたものであり、木製の机等において、木製の前面板を備える引出しに適用するためには、前面板の裏面に、引手部材とラッチ爪とを連係する複数の軸等の中間部材を組み込むための複雑な溝加工を施す必要があった。
【0004】
また、このラッチ装置では、引出しの前面板の中央部に設けた引手部材と、家具本体の側板の内側に設けた係合部とが遠く離れているため、引手枠内に設けた引手部材と裏板の後面側部に設けたラッチ爪を連係させるために、複数の軸を使用しているが、構造が複雑となって組立に時間がかかり、また各部品の組立て精度が出ていないとラッチ爪は正常に作動せず、しかも引出しの出し入れ時に、騒音を発生することがあった。
【0005】
本発明は、上述のような問題点を解決するために、木製机等の家具における木製の前面板を備える引出しにも、前面板の裏面に複雑な溝加工を施すことなく適用することができ、かつ組立を簡単に行え、しかも作動が確実な引出しのラッチ装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1) 引出し本体の前面に用いられる木製の前面板における左右方向の中央の上縁より引手用開口を穿設し、ここに、金属または合成樹脂材料製の引手を上方よりはめ込み、木ねじにより前面板の裏面から固定し、前記引手の内側上部に、下向きの指掛け部を有する引手部材を、左右方向の水平軸により枢支し、前記引手部材の後部を、前記前面板の後方に突出させ、ここから前記引出し本体の一方の側部近くまで、前記引手部材と一体のアームを延設し、このアームの先端より垂下した押圧片の下端を、前記前面板の側端部の後面に形成した凹窪部内に垂直軸をもって枢支したラッチ部材に当接させ、かつ前記凹窪部から後方に突出する前記ラッチ部材の一部分を、引出し収納家具本体の側板に、これと係脱する方向に回動するように連係させる
【0007】
(2) 上記(1)項において、ラッチ部材をほぼL字形の構成とし、その一方の腕を引手部材の押圧片に当接させ、他方の腕をラッチ爪として、引出し収納家具本体の側板に当接させる。
【0008】
(3) 上記(2)項において、ラッチ部材に、その一方の腕を引手部材の押圧片に向けて付勢する弾性手段を取り付ける。
【0009】
(4) 上記(2)または(3)項において、ラッチ部材のラッチ爪に開口を設け、この開口に、引出し収納家具本体の側板に取り付けた止め金具の係合突片を係脱させるようにする。
【0010】
(5) 上記(1)〜(4)項のいずれかにおいて、前面板の後面に設けた裏板により、引手部材のアームを覆い隠す。
【0011】
【発明の実施の形態】
図面は、本発明を実施した引出しのラッチ装置を示すもので、図1は、前面板の一部を切り欠いて示す引出しの正面図、図2は、前面板の一部を切り欠いて示すその平面図、図3は、図1及び図2のIII−III線に沿う断面図である。
【0012】
これらの図において、引出し本体(1)は、書類キャビネットや机等の引出し収納家具本体の側板(2)に、前面板(3)が当接するまで引っ込められた状態で示されている。
前面板(3)は、引出し本体(1)の構造部材である裏板(4)の前面に交換可能に取り付けられている。
【0013】
前面板(3)の左右方向の中央には、その上縁より引手用開口(5)が穿設されており、ここに、金属または合成樹脂材料製の引手(6)を上方よりはめ込み、木ねじ(7)により前面板(3)の裏面から固定されている。
【0014】
引手(6)の内側上部には、前部を下向きに屈曲して指掛け部(8a)とした引手部材(8)が、左右方向の水平軸(8b)により回動可能に枢支されている。
【0015】
引手部材(8)の後部は、図1及び図2に示すように、前面板(3)の後方において、その裏面に沿って右方に長く、引出し本体(1)の側板(1a)の近くまで延びるアーム(9)と一体となっている。アーム(9)は、裏板(4)により覆い隠されている。
アーム(9)と一体をなす引手部材(8)の形状は、その平面を図6に、またその正面を図7に示す如くである。
【0016】
アーム(9)の先端、すなわち図6及び図7の右端には、押圧片(10)が垂下されている。押圧片(10)は、図4に示すように、その下端(10a)が前方に屈曲して突出し、前面板(3)の側端部の後面に穿設した凹窪部(11)内に突出している。
【0017】
凹窪部(11)には、前面板(3)の裏面から、ラッチレバー装置(12)が木ねじ(13)により取り付けられている。
図8に示すように、ラッチレバー装置(12)は、支持枠(14)内にほぼL字形のラッチ部材(15)を垂直軸(16)により左右回動可能に枢支したものであり、ラッチ部材(15)の一方の腕(15a)は、図2に明らかなように、押圧片(10)の下端(10a)に当接している。
【0018】
他方の腕すなわちラッチ爪(15b)は、四角形の開口(17)を有し、この開口(17)は、引出し収納家具本体の側板(2)の内面に取り付けた止め金具(18)の係合突片(18a)に係合するようになっている。
符号(19)は、ラッチ爪(15b)が止め金具(18)に係合する方向に、ラッチ部材(15)を付勢する板ばね、すなわち弾性手段である。
【0019】
本発明のラッチ装置は、このような構成であるので、常時は、弾性手段(19)の作用により、ラッチ爪(15b)の開口(17)が、止め金具(18)の係合突片(18a)にはまり込んで、引出しにラッチが掛かって、引出しの飛び出しを防止する状態となっている。
【0020】
この状態から、図3に示す引手(6)の内方に手を掛けて、指掛け部(8a)を水平軸(8b)を中心として上方に回動させると、引手部材(8)は、想像線の位置へ上向回動する。
この時、引手部材(8)と一体のアーム(9)の先端の押圧片(10)は、図4に想像線により示すように回動し、その下端(10a)は前方へ移動する。これにより、図2に示すように、ラッチ部材(15)の一方の腕(15a)を、弾性手段(19)の付勢に逆らって垂直軸(16)を中心として想像線位置まで回動させる。
【0021】
すると、ラッチ爪(15b)の開口(17)は、止め金具(18)の係合突片(18a)から脱出し、ラッチが外れて、引出しを引き出すことが可能となる。
【0022】
【発明の効果】
引出しの前面板を、ラッチ装置とともに、簡単に交換することができ、様々な状況において前面板の色、材質等を容易に変えることができる。
【0023】
木製の前面板の裏面に、ラッチ装置取付用の複雑な溝加工を施す必要なく、かつ組立を簡単に行え、しかも、作動が確実な引出しのラッチ装置を得ることができる。
【0024】
前面板が、ラッチ装置のすべての可動部品を備えるので、前面板だけにより、部品の作動状況の確認が行える。
【0025】
請求項2記載の発明のように、ラッチ部材をほぼL字形の構成とし、その一方の腕を引手部材の押圧片に当接させ、他方の腕をラッチ爪として引出し収納家具本体の側板に当接させると、引手部材の回動を確実にラッチ爪に伝達させることができる。
【0026】
請求項3記載の発明のように、ラッチ部材に、その一方の腕を引手部材の押圧片に向けて付勢する弾性手段を取り付けると、ラッチが掛かった状態に常時維持することができる。
【0027】
請求項4記載の発明のように、ラッチ部材のラッチ爪に開口を形成し、この開口に、引出し収納家具本体の側板に取り付けた止め金具の係合突片を係脱させるようにすると、ラッチ作用を確実に行わせることができる。
【0028】
請求項5記載の発明のように、前面板の後面に設けた裏板により、引手部材のアームを覆い隠すと、引出し内部に収納される物品によりラッチ装置の作動が妨げられることがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のラッチ装置の一実施例を備えた引出しを、その前面板の一部を切り欠いて示す正面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う横断平面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】引手部材をアーム先端から見た側面図である。
【図5】引出し本体の前端部の側面図である。
【図6】引手部材とこれと一体のアームの正面図である。
【図7】引手部材とこれと一体のアームの平面図である。
【図8】ラッチレバー装置の分解斜視図である。
【符号の説明】
(1)引出し本体
(2)家具本体の側板
(3)前面板
(4)裏板
(5)引手用開口
(6)引手
(7)木ねじ
(8)引手部材
(8a)指掛け部
(8b)水平軸
(9)アーム
(10)押圧片
(10a)下端
(11)凹窪部
(12)ラッチレバー装置
(13)木ねじ
(14)支持枠
(15)ラッチ部材
(15a)一方の腕
(15b)他方の腕(ラッチ爪)
(16)垂直軸
(17)開口
(18)止め金具
(18a)係合突片
(19)板ばね

Claims (5)

  1. 引出し本体の前面に用いられる木製の前面板における左右方向の中央の上縁より引手用開口を穿設し、ここに、金属または合成樹脂材料製の引手を上方よりはめ込み、木ねじにより前面板の裏面から固定し、前記引手の内側上部に、下向きの指掛け部を有する引手部材を、左右方向の水平軸により枢支し、前記引手部材の後部を、前記前面板の後方に突出させ、ここから前記引出し本体の一方の側部近くまで、前記引手部材と一体のアームを延設し、このアームの先端より垂下した押圧片の下端を、前記前面板の側端部の後面に形成した凹窪部内に垂直軸をもって枢支したラッチ部材に当接させ、かつ前記凹窪部から後方に突出する前記ラッチ部材の一部分を、引出し収納家具本体の側板に、これと係脱する方向に回動するように連係させたことを特徴とする引出しのラッチ装置。
  2. ラッチ部材をほぼL字形の構成とし、その一方の腕を引手部材の押圧片に当接させ、他方の腕をラッチ爪として、引出し収納家具本体の側板に当接させたことを特徴とする請求項1記載の引出しのラッチ装置。
  3. ラッチ部材に、その一方の腕を引手部材の押圧片に向けて付勢する弾性手段を取り付けたことを特徴とする請求項2記載の引出しのラッチ装置。
  4. ラッチ部材のラッチ爪に開口を設け、この開口に、引出し収納家具本体の側板に取り付けた止め金具の係合突片を係脱させるようにしたことを特徴とする請求項2または3記載の引出しのラッチ装置。
  5. 前面板の後面に設けた裏板により、引手部材のアームを覆い隠したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の引出しのラッチ装置。
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