JP3713414B2 - 遊技機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、遊技機の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
遊技機には表示装置にて図柄を変動表示した後に静止表示し、その静止表示された図柄の組み合わせが当たりを示す組み合わせであると、遊技者側に景品体(メダルや賞球)を払い出したり、多数の景品体を獲得しやすい遊技状態(特別遊技、特賞などと呼ばれる状態)になるものがある。前者(図柄によって景品体を払い出す形態)の代表的なものにスロットマシンがあり、後者(遊技状態を変化させる形態)の代表的なものにパチンコ機などの弾球遊技機がある。また、スロットマシンの一種でいわゆるパチスロと呼ばれる遊技機のように、特別な図柄(例えば777)が揃うと景品体の払出に加えて、遊技状態を特別遊技に変化させるものもある。
【0003】
このような図柄表示装置の多くでは、図柄は複数行複数列(例えば3行3列)のマトリクス状に表示され、そのマトリクスの行に沿った直線または対角線に沿った直線(普通、これらを入賞ラインとか当たりラインという。)に沿った図柄の組み合わせが当たりに設定されている組み合わせであると、上記のような景品体の払出や特別遊技等の特典が与えられる。なお、スロットマシンではベット数によって有効な入賞ラインの本数が変更されるのが普通である。
【0004】
従来の図柄表示装置の場合、図柄が描かれているリール(ドラム)やベルトの回転(変動表示)と停止(静止表示)で図柄を表示する機械的な表示手段を備えるものと液晶やCRT等の電気的な表示手段により図柄の変動と静止表示を行うものとがある。さらに、これらの表示手段の前面側に透過型の液晶表示器を配して、この液晶表示器にて上述の入賞ラインを表示したり、ゲームが実行されていないときに広告やシミュレーション表示を行うものがある(例えば特開平2−19182号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の図柄表示装置の変動表示は上下方向のスクロール表示が主であり、いわゆるリーチ状態などで一時的に逆転する等、多少のバリエーションはあるにしても、変化に富んだものではなかった。また、特開平2−19182号公報に開示される技術では、図柄の表示に液晶表示器の表示を重畳させるとしても、重畳表示されるのは入賞ラインや広告等であって、この表示が例えば当たり外れを左右するようなものではなく、ゲーム性(娯楽性)にはあまり関係なかった。
【0006】
また、遊技者側としても、入賞ラインに沿った図柄により当たりの組み合わせが成立するかしないかだけが重要であり、例えばリーチ状態になった入賞ラインにしか興味を示さない等、従来の遊技機における図柄の表示では遊技者の興趣を高めるには不足な点があった。
【0007】
本発明は、図柄によって当たり外れを表示する遊技機において、遊技者の興趣をさらに高めることを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記課題を解決するための請求項1記載の遊技機は、
複数種類の図柄が描かれているリールと、
始動信号出力手段からの始動信号が入力されると、乱数発生手段によって生成された乱数値に基づいて入賞又は外れを判定する当否判定手段と、
前記リールの回転を停止させるために操作されるストップスイッチと、
前記当否判定手段の判定結果と前記ストップスイッチの操作タイミングとに基づいて前記リールを停止させる図柄制御手段と、
有効ライン上に静止表示された図柄の配列を判定する配列判定手段と、
前記リールの前面側に配される前面側表示手段と、
前記前面側表示手段によってリール図柄に置き換えて表示される重畳図柄を選択する表示データ選択手段と
を備え、
前記当否判定手段による当否判定の結果に対応する図柄の配列が前記リール停止時には実現されていないと前記配列判定手段により判定された場合には、既に停止したリール図柄と前記重畳図柄とを組み合わせれば前記当否判定手段による当否判定の結果に対応する図柄の配列が有効ライン上に揃うように前記前面側表示手段を制御する
ことを特徴とする。
【0009】
始動信号出力手段からの始動信号が入力されると、乱数発生手段によって生成された乱数値に基づいて入賞又は外れを判定し(当否判定手段)、リールの回転を停止させるためにストップスイッチが操作されると、当否判定手段の判定結果とストップスイッチの操作タイミングとに基づいてリールを停止させる(図柄制御手段)。
当否判定手段による入賞又は外れの判定は、乱数発生手段によって生成された乱数値が当たり値と一致するか否かによる公知の手法が推奨される。乱数発生手段はハードウエアでもソフトウエアでも構わない。また、入賞と判定される確率を、遊技店による設定に応じて高低変化させたり、例えば当たりが表示されたときの表示の種類によって高低変化させることも可能である。
当否判定手段の判定結果とストップスイッチの操作タイミングとに基づいてリールを停止させるので、遊技者は、所望のリール図柄を静止表示させるべく狙ってストップスイッチを操作することができる。なお、リールは複数とするのが好ましい。
ストップスイッチの操作に応じてリールが停止させられるので、リール図柄にては当否判定手段による判定結果を忠実に表示することができない場合がある。したがって、静止表示されたリール図柄により当たりが表示されたか否かを判定する配列判定手段が必要となる。
但し、リールの前面側に配される前面側表示手段と、前面側表示手段によってリール図柄に置き換えて表示される重畳図柄を選択する表示データ選択手段とを備えているので、停止したリール図柄を前面側表示手段の重畳図柄に置き換えて表示できる。
そして、当否判定手段による当否判定の結果に対応する図柄の配列がリール停止時には実現されていないと配列判定手段により判定された場合には、既に停止したリール図柄と重畳図柄とを組み合わせれば当否判定手段による当否判定の結果に対応する図柄の配列が有効ライン上に揃うように前面側表示手段を制御する。
従って、遊技者は、自身の操作によって確定したリール図柄で外れても、前面側表示手段の表示に期待を抱くことになり、前面側表示手段の価値が高まる。この効果をより良好にするには、リール図柄の確定よりも後(例えばリール図柄の確定の直後や適宜の時間後)に前面側表示手段の表示を確定させるとよい。
このように、従来の遊技機に無かった形態で当否判定手段による当否判定の結果に対応する図柄の配列を表示することが可能となり、表示のバリエーションも豊富になる。また、遊技者はリール及び前面側表示手段の双方の表示を見る必要があるから、前面側表示手段の価値が高まる。
【0010】
リールの前面側すなわち遊技者側に配される前面側表示手段は、リール図柄に重畳する表示を行うので、表示自体(例えば図柄、文字、記号など)は不透明でもよいが、無表示の領域(例えば図柄の周囲あるいは表示を行っていないとき)は透光性(当然ながら透明でもよい)であることを要する。もちろん、表示自体が透光性であっても構わない。具体的な例として特開平10−91076号公報、USP4,568,928号公報等に記載の透明EL(エレクトロルミネッセンス)パネルや透過型の液晶表示器が例示される。
【0011】
また、当否判定手段により入賞と判定されて、その判定の結果に対応する図柄の配列がリール図柄によって、又はリール図柄と重畳図柄との組み合わせによって、有効ライン上に揃って当たり表示がなされたことに起因して遊技者に遊技価値(例えばメダルや賞球)または特典(特別遊技など)を与える場合、遊技価値を与える(メダルの払出)とともに特典(ボーナスゲーム)をも与える構成としてもよい。
【0012】
請求項2記載の遊技機は、請求項1記載の遊技機において、前記配列判定手段は、有効ラインに沿って静止表示されたリール図柄の組合せが入賞の配列と一致しているかを判定し、一致していない場合には、該有効ライン上のリール図柄と重畳図柄とを組み合わせた配列が入賞の配列と一致しているかを判定することを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の遊技機は、請求項1又は2記載の遊技機において、前記前面側表示手段は、単純マトリクスタイプの透明EL表示器又は透過型の液晶表示器であることを特徴とする。
【0027】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施例を図面を参照して説明することにより、発明の実施の形態を具体的に説明する。
【0028】
【実施例】
この実施例は、本発明に係る遊技機をスロットマシンとして具体化した例である。
図1に示すように、スロットマシン10の筐体12の前面部には本体フレーム14が図示しないヒンジを介して取り付けられており、常時は施錠されているが解錠すれば扉状に開くことができる。また、本体フレーム14の下方には受け皿16が取り付けられ、多数のスリットにて形成された窓の背後にスピーカ18が配されている。
【0029】
本体フレーム14は上区画14a、中区画14b及び下区画14cに区分され、上区画14a及び下区画14cには装飾パネル22a、22bが装着されている。
中区画14bには、図柄の表示や遊技者が操作する部材等が配されているので詳しく説明する。まず中区画14bには矩形の窓24が設けられ、ここに前面パネル26が填め込まれている。
【0030】
図2に示すように、前面パネル26の背面には透明ELパネル28a、28b、28cが積層され、さらに透明ELパネル28a、28b、28cの背面には中パネル27が積層されている。つまり、前面パネル26、透明ELパネル28a、28b、28c及び中パネル27が三層に重なり、一体化されている。
【0031】
本実施例では透明ELパネル28a、28b、28cは、走査電極とデータ電極が交差した単純マトリクスタイプを使用しているが、表示パターンが決まっている場合にはセグメントタイプでも十分である。なお透明ELパネル28a、28b、28cの構成は公知であるので、詳細な説明は省略する。また、いうまでもないことではあるが、透明ELパネル28a、28b、28cが文字や図形などを表示している場合には、それら文字等が視線を遮ることがある。
【0032】
本実施例では、これら3枚の透明ELパネル28a、28b、28cにて前面側表示手段が構成される。本実施例では複数枚の透明ELパネルを使用しているが、1枚の透明ELパネルを複数領域に分割して使用してもよい。
中パネル27には透明ELパネル28a、28b、28cに対応して3カ所の小窓27a、27b、27cが設けられており、内部照明用の蛍光灯29が取り付けられている。また、中パネル27には入賞ラインを示すマークや装飾等が施されており、小窓27a、27b、27c以外は不透明である。一方、前面パネル26は透明である。このため、前面パネル26及び透明ELパネル28a、28b、28cを透して、小窓27a、27b、27cの内側を見ることができる。 これら小窓27a、27b、27cの内側には、透明ELパネル28a、28b、28cに対応してリール30a、30b、30cが配されている。これらリール30a、30b、30cは背後側表示手段に該当し、その透明ELパネル28a、28b、28cを透して見える部分がそれぞれ背後側表示域に該当する。前述の蛍光灯29は、リール30a、30b、30cの表面(つまり背後図柄31)を照明するためのものである。なおリール30a、30b、30cの詳細構造等は公知のスロットマシンと同様であるので、それらの図示と説明は省略する。
【0033】
図1に示すように、窓24の下縁部33には精算スイッチ34、ベットスイッチ36及びメダル投入口38が設置されている。また下縁部33に連接して垂下している鉛直部40には、スタートレバー42、ストップスイッチ44a、44b、44c、ELストップスイッチ45が配されている。
【0034】
図3に示すように、リール30a、30b、30cの胴部分には$、7、X等の各種の背後図柄31が備わっている。これらの背後図柄31が背後表示に該当している。本実施例の場合、各リール30a、30b、30cには21個ずつの背後図柄31が描かれており(背後図柄31の種類は1つのリールで重複するものがあるので21種類より少ない。)、リール30a、30b、30cの回転により、複数の背後図柄31を上下方向にスクロール表示すなわち変動表示できる。また、リール30a、30b、30cが停止した際には、透明ELパネル28a、28b、28cを透して、各3つの背後図柄31が静止表示される。
【0035】
一方、各透明ELパネル28a、28b、28cは、リール30a、30b、30cが停止したときの背後図柄31(すなわち静止表示されている背後図柄31)に重畳する位置に、前面表示に該当する重畳図柄32を表示することができる。重畳図柄32は、各透明ELパネル28a、28b、28cに対応するリール30a、30b、30cの背後図柄31と同種類のものが用意されており、図3に示す透明ELパネル28cの中段のように、リール30cの中段に静止表示されている背後図柄31と同じ種類を表示したり、その下段の場合のように異なる種類を表示したりする。
【0036】
なお、透明ELパネル28cとリール30cの中段の例のように、背後図柄31と重畳図柄32とが同じ場合に手前側の重畳図柄32が背後の背後図柄31を覆い隠さないように(遊技者が背後の背後図柄31を認識可能にするために)、本実施例においては重畳図柄32の表示位置を背後図柄31の表示位置とはわずかにずらす設定となっている。
【0037】
また、ゲーム状態により一部の重畳図柄32(8個以下)しか表示されない場合、9個全てが表示される場合、全く表示されない場合がある。
そして、透明ELパネル28aの左側と透明ELパネル28cの右側には、上から順に3,2,1,2,3の数字が描かれたラインマーカM1〜M5が配されている。そして、左右で対応するラインマーカM1〜M5の間を結ぶように、入賞ラインL1〜L5が配されている。これらラインマーカM1〜M5及び入賞ラインL1〜L5は中パネル27に描かれたもので、それが前面パネル26を透して見えている。これらラインマーカM1〜M5が表示手段に相当する。
【0038】
本実施例の場合、透明ELパネル28a、28b、28cの表示領域は、リール30a、30b、30cの遊技者側から見える外形よりも大きいので、遊技者の視点が多少変化しても各透明ELパネル28a、28b、28cを透して各リール30a、30b、30cの表示面(遊技者に対面している部分)を確実に見ることができる。また、透明ELパネル28a、28b、28cとリール30a、30b、30cとの距離等は、ある透明ELパネル(例えば透明ELパネル28b)を透して隣のリール(例えばリール30a)の図柄が見えることのないように設定されており、重畳表示が混乱することもない。
【0039】
このスロットマシン10の制御系の構成は図4及び図5に示すとおりである。
まず、図4を参照してハードウエアについて説明する。
制御装置50は、CPU51、ROM52、RAM53、入力インタフェース54、出力インタフェース55、駆動回路57〜62などから構成されている。なお、本実施例の場合、CPU51、ROM52、RAM53などによりワンチップマイコンが構成されている。
【0040】
入力インタフェース54には、精算スイッチ34、ベットスイッチ36、メダル投入口38から投入されたメダルを検出するメダル投入センサ38a、スタートレバー42に連動するスタートスイッチ42a、ストップスイッチ44a、44b、44c、ELストップスイッチ45が接続され、制御装置50はこれらからの信号を取得できる。
【0041】
出力インタフェース55には、透明ELパネル28a、28b、28cを駆動制御するEL駆動回路63が接続され、EL駆動回路63の出力側には透明ELパネル28a、28b、28cが接続されている。また、出力インタフェース55には上述の駆動回路57〜62が接続されており、駆動回路57、58、59にはそれぞれモータ64a、64b、64cが、駆動回路60には払出装置65が、駆動回路61には蛍光灯29が、駆動回路62にはスピーカ18が接続されている。これにより、制御装置50は、透明ELパネル28a、28b、28cの表示、モータ64a、64b、64cの動作、払出装置65の動作、蛍光灯29の点灯、消灯、スピーカ18からの音声出力などを制御できる。
【0042】
制御装置50の制御機能をブロック化した図5により、制御装置50(主にCPU51)による上記の制御の概要をゲームの流れに沿って説明する。
ゲームを実行するために遊技者がメダル投入口38からメダルを投入すると、メダル投入センサ38aがメダルを検出する毎に投入信号を出力し、これが制御装置50に入力される。すると、CPU51は、投入信号すなわち投入されたメダル数(ベット数)に応じて有効な入賞ラインL1〜L5を設定する。具体的には、ベット数が1枚なら中段の入賞ラインL1が有効とされ、ベット数が2枚ならさらに上段と下段の入賞ラインL2、L3が有効とされ、ベット数が3枚ならさらに対角線に沿った入賞ラインL4、L5が有効とされる。有効になった入賞ラインL1〜L5は、対応するラインマーカM1〜M5の点灯により遊技者に示される。なお4枚以上のベットは受け付けない。
【0043】
また、予め多数のメダルを投入しておいて(クレジットにして)、ゲームを行うことも可能である。クレジットゲームの場合は、ベットスイッチ36を操作してベット数を選択する。1回操作するとベット数が1枚、2回操作すると2枚、3回操作すれば3枚であり、ベット数分だけクレジット数が減算される。有効な入賞ラインL1〜L5の設定は上記のメダル投入によるベットの場合と同様である。
【0044】
この有効な入賞ラインL1〜L5の設定は、後述する当たりの判定に関わるので、制御装置50の配列判定手段50fとしての機能に含まれている。
メダルの投入あるいはベットスイッチ36の操作により有効な入賞ラインL1〜L5が決まってから、遊技者がスタートレバー42を押し下げると、これに連動するスタートスイッチ42aからの始動信号が制御装置50に入力される。
【0045】
すると、CPU51は、駆動回路57〜59を介してモータ64a、64b、64cの回転を開始させる(図柄制御手段50e)。これにより、リール30a、30b、30cが回転し、背後図柄31が変動表示される。モータ64a、64b、64cが駆動手段に該当する。
【0046】
またCPU51は、始動信号が入力されると、乱数発生手段50a例えばRAM53の一部を使用するソフトウエアカウンタによって生成された乱数値を読み込んで(乱数抽出手段50b)、これが複数種類用意されている当たり値のいずれかと一致するか否かにより、入賞、ボーナスモードまたはビッグボーナスモードへの移行或いは外れを判定する(当否判定手段50c)。入賞には当たり値によってランクがあり、例えば2枚払出の入賞から15枚払出の入賞までさまざまである。この場合、スタートスイッチ42aが始動信号出力手段に該当し、乱数発生手段50a、乱数抽出手段50b及び当否判定手段50cにより抽選手段が構成されている。
【0047】
そして、この判定結果に基づいて、リール30a、30b、30cの停止時に静止表示する背後図柄31の組合せを決める(停止図柄選択手段50d)。入賞の場合、例えば「ダイヤ、ダイヤ、ダイヤ」、「スイカ、スイカ、スイカ」、「チェリー、−、−」(向かって左のリール30aにチェリーの背後図柄31を静止表示させ、他のリール30b、30cの背後図柄31は特定しない。)等の背後図柄31の組合せを選択する。また、ボーナスモードへの移行を決めた場合には、例えば「BAR、BAR、BAR」の背後図柄31の組合せを、ビッグボーナスモードへの移行の場合は、例えば「7,7,7」の背後図柄31の組合せを決める。ただし、どの背後図柄31が静止表示されるかは遊技者によるストップスイッチ44a、44b、44cの操作タイミングにもよるので、ここで決めた背後図柄31の組合せが必ず静止表示されるというものではない。
【0048】
リール30a、30b、30cの回転開始後にストップスイッチ44a、44b、44cが操作されたことによりストップ信号が入力されると、CPU51は、操作されたストップスイッチ44a、44b、44cに対応するリール30a、30b、30cを停止させて背後図柄31を静止表示させる(図柄制御手段50e)。この際、制御装置50は、停止図柄選択手段50dで決めた背後図柄31の組合せとなるようにリール30a、30b、30cの停止位置を制御するが、ストップスイッチ44a、44b、44cの操作から停止させるまでのリール30a、30b、30cの回転量にはおのずと制限があるので(スイッチ操作から停止までの時間が長いと遊技者が不信感を抱くので)、ほとんど即座に停止させなければならない。したがって、停止図柄選択手段50dで決めた背後図柄31の組合せとならないこともある。このような場合の対処については、透明ELパネル28a、28b、28cの表示に関する部分で説明する。
【0049】
制御装置50は、スタートスイッチ42aからの始動信号に起因してリール30a、30b、30cを回転させ(背後図柄31を変動表示させ)、ストップスイッチ44a、44b、44cの操作に応じて停止させる(背後図柄31を静止表示させる)点で、背後表示制御手段として機能している。
【0050】
3つのリール30a、30b、30cがすべて停止すると、CPU51は、リール30a、30b、30cの停止位置に基づいて、有効な入賞ラインL1〜L5に静止表示された背後図柄31にて入賞の組み合わせが成立していれるか否かを判定し、入賞が成立していれば払出装置65を稼働させてメダルホッパー66からのメダルを受け皿16に排出させる(配列判定手段50f)。つまり、メダルホッパー66と払出装置65にて払出手段が構成される。なお、クレジットゲームの場合、メダルの払出に代えてクレジット数を加算する。精算スイッチ34をオンすれば、クレジットゲームを終了してクレジット数に相当する枚数のメダルを受け皿16に排出させることができる。
【0051】
このときに、上記に例示した特別な組み合わせ、例えば「BAR、BAR、BAR」が成立していればボーナスモードに移行し、例えば「7,7,7」が成立していればビッグボーナスモードへ移行する。ボーナスモードで実行されるボーナスゲーム及びビッグボーナスモードで実行されるビッグボーナスゲームでは、例えば「7,7,7」の背後図柄31の組合せが成立しやすくなり、多数のメダルを獲得することが可能となる。ボーナスゲーム及びビッグボーナスゲームの内容は周知であるので、説明は省略する。
【0052】
次に、透明ELパネル28a、28b、28cの表示等について図6及び図7、8、9を参照して説明する。
制御装置50(この場合はCPU51)の機能の内、EL駆動回路63を介して透明ELパネル28a、28b、28cの表示を制御する機能がEL表示制御手段50gである。透明ELパネル28a、28b、28cに表示する図形等のデータ(表示データ)は、表示データ記憶手段50hとなるROM52に記憶されている。EL表示制御手段50gは、CPU51が表示データ選択手段50jとして、ROM52から読出した表示データを使用して、透明ELパネル28a、28b、28cに重畳図柄32等を表示させる。なお、透明ELパネル28a、28b、28cに重畳図柄32を静止表示させる際には、主にELストップスイッチ45からのEL停止信号の入力がきっかけとなるので、EL停止信号は表示データ選択手段50jに入力される。また、静止表示させる重畳図柄32の種類と位置を示すデータは、表示データ選択手段50jから配列判定手段50fに提供される。
【0053】
図6に示すように、CPU51は、重畳図柄32の変動表示の開始イベントを待っていて(S101)、開始イベントを認識すると重畳図柄32の変動表示を開始する(S102)。変動表示は、例えばスタートスイッチ42aからの始動信号の入力時に開始してもよいのだが、重畳図柄32の変動表示がリール30a、30b、30cによる変動表示と重なって、背後図柄31を見えにくくする可能性があるので、本実施例の場合、リール30a、30b、30cのすべてが停止したときにほぼ同期して、透明ELパネル28a、28b、28cによる重畳図柄32の変動表示が開始される構成としている。
【0054】
なお、リール30a、30b、30cは一つずつ停止するので、各リール30a、30b、30cが停止する毎に対応する透明ELパネル28a、28b、28cによる重畳図柄32の変動表示を開始する構成としてもよい。
次に、CPU51は、ELストップスイッチ45からのEL停止信号が入力されたか否かを判断し(S103)、EL停止信号が入力されていないときには重畳図柄32の変動開始から設定時間(例えば10秒以上)経過したか否かを判断する(S104)。このS104の処理は、遊技者がELストップスイッチ45を操作しない場合に備えるものである。
【0055】
ELストップスイッチ45からのEL停止信号が入力されるか(S103:YES)又は重畳図柄32の変動開始から設定時間を経過した場合には(S104:YES)、CPU51は、停止図柄選択手段50dとして決定した背後図柄31の組合せが入賞か否かを判断し(S105)、外れの場合にはすでに停止しているリール30a、30b、30cによって静止表示された背後図柄31による外れの表示に影響を与えない(つまり外れのままとなる)重畳図柄32を透明ELパネル28a、28b、28cに静止表示させる(S108)。
【0056】
一方、停止図柄選択手段50dとして決定した背後図柄31の組合せが入賞であれば、すでに停止しているリール30a、30b、30cによって入賞の組合せが表示されているか否か(停止図柄選択手段50dとして決定した背後図柄31の入賞組合せが具現されたか否か)を判断する(S106)。
【0057】
抽選で入賞となったにも関わらず背後図柄31では入賞の組合せが表示されていない場合(その理由は上述したとおり)、CPU51は、背後図柄31と重畳図柄32との共同によって、その入賞の組合せを表示すべく透明ELパネル28a、28b、28cに重畳図柄32を表示させる(S107)。
【0058】
その重畳図柄32によって入賞を表示する例を図3により説明する。図3に示す例では、背後図柄31において、入賞ラインL1には$、7、7が、入賞ラインL2には$、$、Xが、入賞ラインL3にはX、X、$が、入賞ラインL4には$、7、$が、入賞ラインL5にはX、7、Xが、それぞれ表示されていて、いずれの入賞ラインL1〜L5においても入賞の組合せは成立していない。
【0059】
これに透明ELパネル28cの下段に重畳図柄32のXを表示すれば、入賞ラインL3の右の$の背後図柄31にXが重畳表示されて($をXに置き換えた状態となって)、3つのXが揃うからX、X、Xの入賞となる。
また、透明ELパネル28bの中段に重畳図柄32のXを表示すれば、入賞ラインL5の中央の7の背後図柄31にXが重畳表示されて(7をXに置き換えた状態となって)、3つのXが揃うからX、X、Xの入賞となる。他の入賞ラインについても同様に重畳図柄32(表示される図柄と位置)を制御することで、入賞を表示することができる。
【0060】
このように背後図柄31と重畳図柄32との組合せによる入賞の表示を行う場合に、上の例のように無条件で組合せを許す(有効にする)だけでなく、例えば透明ELパネル28cの中段に、その背後の背後図柄31の7と同じ7の重畳図柄32が表示された場合のように、背後図柄31と重畳図柄32とが同じになっている組がどこかにあるときに限って背後図柄31と重畳図柄32との組合せによる入賞の表示を有効にしたり、特定の重畳図柄32(例えば7)が中央(透明ELパネル28bの中段)に表示されたときに背後図柄31と重畳図柄32との組合せによる入賞の表示を有効にする、といった条件を設定することも可能である。
【0062】
これに対して、抽選で入賞となり、背後図柄31によってその入賞の組合せが表示されているなら(S106:入賞)、CPU51は、すでに停止しているリール30a、30b、30cによって静止表示された背後図柄31による入賞の表示に影響を与えない重畳図柄32を透明ELパネル28a、28b、28cに静止表示させる(S108)。
【0063】
ただし、リール30a、30b、30cの背後図柄31によって入賞が表示されている場合に重畳図柄32による表示がなんらのプラスにならないのでは、遊技者は透明ELパネル28a、28b、28cの表示内容に関心を持たない(重畳図柄32の表示が無意味になる)。したがって、そのような場合(背後図柄31によって入賞が表示)には、重畳図柄32の表示次第でさらなるメリットを付加するとよい。具体的には、重畳図柄32と背後図柄31との組合せでも入賞が成立するならこれも有効としたり、特定の重畳図柄32(例えば☆)が表示されたら背後図柄31による入賞に対する払出数を倍増する等である。このようにすれば、重畳図柄32の静止表示が完了するまで、遊技者の関心を引きつけておくことができる。
【0064】
透明ELパネル28a、28b、28cによる重畳図柄32の表示が完了すれば、ゲームの終了となり、CPU51は図7に示すゲームエンド処理を実行する。この処理では、まず入賞判定(S210)を行う。その詳細は図8に示すとおりで、CPU51は、背後図柄31による入賞の配列と入賞の内容とを対比させた入賞テーブルA(ROM52に格納されている。)を検索し、例えば入賞ラインL1に沿って静止表示された背後図柄31の配列と一致するものがあるか否か調べる(S211)。一致する配列があれば(S212:YES)、その配列に対応する入賞の内容に基づいて払出数をセットアップ(RAM53に書き込み)し(S213)、その入賞の配列に該当するヒットフラグ(例えばボーナスゲームやビッグボーナスゲームの開始を示すフラグ)をセットする(S214)。
【0065】
一致する配列がなければ(S212:NO)、背後図柄31と重畳図柄32との組合せによる入賞の配列と入賞の内容とを対比させた入賞テーブルB(ROM52に格納されている。)を検索し、S211で対象とした入賞ライン(ここでは入賞ラインL1)に沿って静止表示された重畳図柄32と背後図柄31との組合わせによる配列と一致するものがあるか否か調べる(S216)。一致する配列があれば(S217:YES)、上述と同様に払出数をセットアップし(S213)、該当するヒットフラグをセットする(S214)。
【0066】
ここでも一致する配列がなければ(S217:NO)、対象となっている入賞ライン(ここでは入賞ラインL1)についてテーブルA、Bの全ての配列との照合が済んだか否か判断し(S218)、済んでいなければS211に戻る。
S218で肯定判断のとき又はS214の後、上記の照合が全部の入賞ラインL1〜L5について実行されたか否か判断し(S219)、済んでいなければS211に戻り、済んでいればゲームエンド処理にリターンする。
【0067】
図7に示すように、ゲームエンド処理では入賞判定(S210)に続いて入賞が成立していたか否か(正確には払出数がセットアップされているか否か)判断し(S220)、払出数がセットアップされているなら払出装置65を稼働させてメダルホッパー66からのメダルを受け皿16に排出させる(S230)。そして、セットアップされていた払出数に相当する枚数のメダルが払い出されたなら(S240:YES)、この処理からメインルーチンにリターンする。メインルーチンにリターン後は、例えば今回のゲームでのデータをクリアするなど、次のゲーム開始のための処理が行われる。
【0068】
なお、前後組合せ許可条件が成立しているときに限って重畳図柄32と背後図柄31との組合わせによる入賞の表示を有効とする場合には、図9に示すように、S212とS216の間に、重畳図柄32と組合せを有効とするか否か(すなわち前後組合せ許可条件が成立しているか否か)を判定する処理(S215)を介在させ、前後組合せ許可条件が成立しているときに(S215:YES)、S216を実行する構成とすればよい。
【0069】
以上が制御装置50(特にCPU51)による制御処理の説明である。なお、ここに説明した以外の制御やスロットマシン10の動作については、周知のパチスロと同様に行われるので説明を省略する。
以上の通り、本実施例の場合、リール30a、30b、30cの背後図柄31と透明ELパネル28a、28b、28cの重畳図柄32との組み合わせを有効とし、背後図柄31と重畳図柄32との組合わせによって入賞の組合わせが成立している場合もメダルの払出があるので、図柄表示のバリエーションが豊富になり興趣を高めることができる。特に、透明ELパネル28a、28b、28cの重畳図柄32が当たりを決めることがあるので、この表示に対する遊技者の注目度は高くなり、透明ELパネル28a、28b、28cの価値が高まる。
【0070】
また、図9に例示したように、前後組合せ許可条件が成立したときに限って、背後図柄31と重畳図柄32との組合わせを有効とすれば、背後図柄31と重畳図柄32との関連性がいっそう重要となり、遊技者の興趣を高めることができる。
【0071】
以上、実施例に従って、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこのような実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でさまざまに実施できることは言うまでもない。
上記実施例では、当たり外れといういわゆる勝負ごとの遊技対象表示を遊技者に認識させるようにしたが、背後図柄31と重畳図柄32との共同による共同表示が例えばAというゲームからBというゲームに変化できるというようにゲームの多様性を得られるという遊技対象表示を遊技者に認識させるようにすることもできる。これにより、奥行きのあるゲーム選択性が遊技者に付与され、ゲームの面白さを一層高めることができる。
【0072】
また、重畳図柄32を表示する前面表示手段28a〜28cの単独表示を遊技対象表示として遊技者に認識させるようにしてもよい。例えば、背後図柄31は一定の表示とし、重畳図柄32を、遊技者に遊技価値または特典を認識させるような特定の表示に変化させるようにしても勿論よい。遊技者は、そのような重畳図柄32が表示されるよう遊技機を操作することになり、遊技の興趣を高めることができる。
【0073】
また、上記実施例では、当たり外れの表示は、ラインマーカM1〜M5の点灯により遊技者に表示されるようにしたが、例えば、音声であってもよい。
さらには、このようなラインマーカ等の表示手段を備えずに、重畳図柄32の形態自体そのもの、その表示色自体そのもの、或いは背後図柄31との組合せ表示における重畳図柄32の配列自体そのものを遊技対象表示として遊技者に認識させて、例えば当たり外れを表示するようにしても勿論よい。このような表示形態としては、例えばゲーム機の場合に好適である。ゲーム機の場合は、多くは取り扱い説明書が備わっており、その説明書に重畳図柄32の形態、その表示色によりゲームの多様性(例えば、上述したようにゲームAからゲームBへの変化など)が得られるという説明を記載しておけば、ゲーム機の遊技者は重畳図柄32の形状、その表示色を直接見て、判断することにより、ゲームの多様性が得られるという認識を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例のスロットマシンの正面図である。
【図2】 実施例のスロットマシンの中区画部分の縦断面図である。
【図3】 実施例のスロットマシンにおけるリールと透明ELパネルの重畳表示の説明図である。
【図4】 実施例のスロットマシンの制御系のブロック図である。
【図5】 実施例のスロットマシンの制御装置の機能ブロック図である。
【図6】 実施例のスロットマシンの制御装置が実行する透明ELパネルの表示制御のフローチャートである。
【図7】 実施例のスロットマシンの制御装置が実行するゲームエンド処理フローチャートである。
【図8】 実施例のスロットマシンの制御装置が実行する入賞判定処理のフローチャートである。
【図9】 入賞判定処理の変形例のフローチャートである。
【符号の説明】
10 スロットマシン(遊技機)
28a、28b、28c 透明ELパネル(前面側表示手段)
30a、30b、30c リール(背後側表示手段)
31 背後図柄(背後表示)
32 重畳図柄(前面表示)
42a スタートスイッチ(始動信号出力手段)
42 スタートレバー(始動信号出力手段)
44a、44b、44c ストップスイッチ(停止スイッチ)
45 ELストップスイッチ
50 制御装置(抽選手段、背後表示制御手段、前面側表示制御手段、配列判定手段)
65 払出装置(付与手段)
66 メダルホッパー(付与手段)
M1〜M5 ラインマーカ(表示手段)

Claims (3)

  1. 複数種類の図柄が描かれているリールと、
    始動信号出力手段からの始動信号が入力されると、乱数発生手段によって生成された乱数値に基づいて入賞又は外れを判定する当否判定手段と、
    前記リールの回転を停止させるために操作されるストップスイッチと、
    前記当否判定手段の判定結果と前記ストップスイッチの操作タイミングとに基づいて前記リールを停止させる図柄制御手段と、
    有効ライン上に静止表示された図柄の配列を判定する配列判定手段と、
    前記リールの前面側に配される前面側表示手段と、
    前記前面側表示手段によってリール図柄に置き換えて表示される重畳図柄を選択する表示データ選択手段と
    を備え、
    前記当否判定手段による当否判定の結果に対応する図柄の配列が前記リール停止時には実現されていないと前記配列判定手段により判定された場合には、既に停止したリール図柄と前記重畳図柄とを組み合わせれば前記当否判定手段による当否判定の結果に対応する図柄の配列が有効ライン上に揃うように前記前面側表示手段を制御する
    ことを特徴とする遊技機。
  2. 請求項1記載の遊技機において、
    前記配列判定手段は、有効ラインに沿って静止表示されたリール図柄の組合せが入賞の配列と一致しているかを判定し、一致していない場合には、該有効ライン上のリール図柄と重畳図柄とを組み合わせた配列が入賞の配列と一致しているかを判定する
    ことを特徴とする遊技機。
  3. 請求項1又は2記載の遊技機において、
    前記前面側表示手段は、単純マトリクスタイプの透明EL表示器又は透過型の液晶表示器である
    ことを特徴とする遊技機。
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