JP3713349B2 - インバータ式x線高電圧装置 - Google Patents
インバータ式x線高電圧装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3713349B2 JP3713349B2 JP00529997A JP529997A JP3713349B2 JP 3713349 B2 JP3713349 B2 JP 3713349B2 JP 00529997 A JP00529997 A JP 00529997A JP 529997 A JP529997 A JP 529997A JP 3713349 B2 JP3713349 B2 JP 3713349B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- ray
- voltage
- tube
- control
- tube voltage
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- X-Ray Techniques (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、交流電源を一旦、直流に変換し、この直流をインバータを用いて高周波の交流に変換し、その出力電圧を高電圧変圧器で昇圧した後に、再び整流して直流の高電圧を発生し、これをX線管に印加してX線を放射するインバータ式X線高電圧装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図4に従来のインバ−タ式X線高電圧装置のX線管電圧制御系の基本構成を示す。図においてX線管6に印加する管電圧は、インバ−タ2の動作位相差、周波数あるいはパルス幅等を調整することにより制御される。インバータ2で高周波に変換された電圧は、コンデンサ18と高電圧変圧器3の漏れインダクタンスとの共振現象を利用して高電圧変圧器3により高電圧に昇圧され、これを高電圧整流器4で高電圧の直流に整流し、高電圧ケーブル5を介してX線管6に印加されている。なお、高電圧ケーブル5は静電容量を持っており、これが管電圧の平滑作用をもたらしている。
【0003】
管電圧制御回路21は管電圧検出器8で検出された実際の管電圧Vxと、これと図示していないが後述の操作卓等の入力装置から入力され設定された目標管電圧信号Vrとを第1の比較手段10で比較し、同じく後述の各種補正手段によりインバータ2の動作位相差や周波数あるいはパルス幅等のパラメータを求め、上記検出した管電圧Vxが目標管電圧信号Vrと一致するように制御するものである。また、管電流の制御は図4においては図示していないが、図1における管電流制御回路26によってX線管6のフィラメントの温度を調節し、フィラメントから放出される熱電子の量を制御することによって行う。
【0004】
上記X線高電圧装置において、管電圧Vxが零ボルトから目標値に近づいていく過程の管電圧立ち上がり時(過渡状態)には、高電圧ケーブル5の静電容量に充電が行われるため、非常に大きな電流が流れ込む。そしてこの過渡状態での時間領域においては、高圧側の高電圧整流回路4を構成するそれぞれのダイオードは、その時間領域の大部分は導通状態にある。一方、管電圧が立ち上がった後の定常状態において上記ダイオードは、高電圧整流回路4の入力電圧が管電圧よりも高い場合にのみ導通するので、その定常状態の時間領域の大部分は非導通状態にあり、高電圧変圧器3の二次側の負荷状態は立ち上がり時とは大きく異なる。
従来この種のインバータ式X線高電圧装置においては、図4の管電圧制御回路21に示すように、PID(比例、積分、微分)制御により管電圧の制御を行っており、上記管電圧制御回路21においてはX線曝射前にその負荷条件に適したそれぞれの制御ゲインKp(比例ゲイン)、Ki(積分ゲイン)、Kd(微分ゲイン)を設定してX線曝射開始から終了まで同一の制御ゲインを用い、これを積極的に切り替えるようなことはなかった。制御ゲインをX線曝射途中で切り替えるような制御は、アナログ制御においては勿論困難であったし、ディジタル制御においても行われることはなかった。これは、後述するように、最近ではインバータ周波数の高周波化が進んでいるが、従来、動作周波数のあまり高くない時にはもともと定常状態における脈動(動作周波数で決まる)が大きかったため、制御ゲインを切り替えたとしても脈動分の影響のため顕著な効果は期待できなかったことによる。従って従来の制御法によれば、管電圧立ち上がり時(過渡状態)と定常状態という性質の異なった二つの状態に対して同一の制御ゲインを用いており、このため両時間領域に対して最適の制御条件とはならず理想的な管電圧波形が得られなかった。
【0005】
最近の医用X線装置においては、診断能の高い、鮮鋭なX線写真を撮るためにX線高電圧装置に対して高精度で再現性の良い大電流でかつ短時間の制御が要求されており、立ち上がりが高速で定常状態では脈動の無い管電圧波形を印加することが求められている。また、管電圧の立ち上がり、立ち下がりの高速化は同時に写真効果の向上及び軟X線による被曝低減の意味からも強く要求されており、このためインバータ動作周波数の高周波化が進んでいる。図5に理想的な管電圧波形と実際の管電圧波形とを比較して示す。上記事情により、通常X線高電圧装置においては、立ち上がり時の電圧波形に図6に示すようなオーバーシュートが無く、しかも立ち上がり時間が短い高速応答を示すことを優先して制御ゲインを決定するのが普通であった。従って、従来定常状態においてはある程度妥協的な制御ゲインを設定せざるを得ず、このため満足な波形が得られない場合が多くあり、この点の改善が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来装置では、管電圧制御回路21における制御ゲインを過渡状態と定常状態という性質の異なった二つの状態に対して上述のように同一の値としており、これによって定常状態において脈動が多くなる等理想的な管電圧波形が得られないといった問題があった。以下、これらの問題点について詳細に説明する。
【0007】
管電圧制御回路21は、高電圧装置全体の動作をコントロールする操作卓(後述)により管電圧値、管電流値、曝射時間等のX線曝射条件が設定されると、図4に示すように管電圧設定値から得られる目標管電圧信号Vrと管電圧検出器8により検出された実際の管電圧Vxとを比較手段10において比較し、この差を管電圧偏差として積分調節手段11により積分制御を行う。この積分制御と、主に管電圧立ち上がり時のオーバーシュートを抑制するための比例調節手段12による比例制御及び主に定常時の脈動を抑えるための微分調節手段13による微分制御を加えてPID(比例、積分、微分)制御を行う。なお、この内積分制御のゲイン(積分ゲインKi)の値は立ち上がり時間に大きく影響し、その値が大きいほど立ち上がりが高速になる傾向があるばかりではなく、定常状態での安定化にも大きな役割を果たす。
【0008】
通常X線高電圧装置においては、前述のように立ち上がり時の波形にオーバーシュートが無く、しかも立ち上がり時間が高速となることを優先して立ち上がり時に対して望ましい制御ゲインに決定するのが普通であった。このようにして決定された制御ゲインは、立上りの過渡状態とは性質の異なる定常状態に対しては必ずしも最適な制御ゲインとはならず、このため、従来は定常状態において脈動が大きいなど満足な波形が得られない場合が多くあった。一方逆に定常状態の脈動低減のため積分ゲインKiを大きくすると、図6に示すように管電圧が立ち上がり時にオーバーシュートを起こしてしまう場合が多かった。この現象はすなわち、立ち上がり時に最適な積分ゲインが定常状態のそれよりも不足している場合が多いことを示している。ただし、負荷条件によってはその逆に、立ち上がり時の積分ゲインよりも定常時における積分ゲインを小さくするのが望ましい場合もある。
【0009】
本発明の目的は、動作状態の異なる管電圧立ち上がり時と定常状態時とにおいてそれぞれの動作に対して最適な制御ゲインを設定することによって医用X線装置に要求される理想に近い管電圧波形を得ることのできるインバータ式X線高電圧装置を提供することにある。
【0010】
本発明においては、商用電源より受電された交流電源を整流する整流回路(1)と、この整流回路(1)によって整流された直流出力電圧を高周波の交流に変換するインバータ(2)と、このインバータ(2)の出力電圧を昇圧する高電圧変圧器(3)と、この高電圧変圧器(3)の出力を整流して高電圧ケーブル(5)を介してX線管(6)に印加する高電圧整流回路(4)と、操作卓を介して目標管電圧を入力し、この目標管電圧と前記X線管(6)に印加されている実際の管電圧とが一致するように前記インバータ(2)を制御するX線制御回路(9)と、を備え、
請求項1では、前記X線制御回路(9)は、前記目標管電圧と前記実際の管電圧との管電圧偏差を積分制御する積分調節手段(11)と、前記管電圧の立ち上がり時のオーバーシュートを抑制するために比例制御を行う比例調節手段(12)と、前記管電圧の定常時の脈動を抑えるための微分制御を行う微分調節手段(13)と、の各調節手段を有する管電圧制御回路(21)を具備したインバータ式X線高電圧装置において、前記管電圧制御回路(21)は、前記各調節手段の制御ゲインを切り替えるゲイン切り替え手段(17)と、前記X線管(6)に印加される管電圧の立ち上がりから定常状態への経過時間と、前記インバータ(2)への入力電圧と,前記実際の管電圧と、管電流とに基づいてソフトウエアにより求められる前記各調節手段の制御ゲインを前記ゲイン切替手段(17)に切り替えさせ、該切替えた制御ゲインが前記各調節手段に供給されたときに前記目標管電圧と前記実際の管電圧との比較演算を行い、その比較演算結果から前記インバータ(2)に供給するための制御信号を算出するX線制御用MPU(23)と、を具備した構成とし、
請求項2では、請求項1に記載の前記ソフトウエアは、前記X線制御用MPU(23)がX線曝射待機をする機能と、前記X線制御用MPU(23)がX線曝射開始要求を判定する機能と、前記判定結果がX線曝射開始要求有であれば、前記X線制御用MPU(23)が曝射条件取得、前記制御ゲイン取得、前記整流回路(1)動作のX線曝射準備を行う機能と、前記X線制御用MPU(23)が前記X線管(6)にX線の曝射を開始させる機能と、前記X線制御用MPU(23)がX線曝射開始からの時間を計測する機能と、前記X線制御用MPU(23)が計測された時間から管電圧の立ち上がりの終了を判定する機能と、前記判定結果が管電圧の立ち上がり終了であれば、前記X線制御用MPU(23)が前記制御ゲインを定常時に最適な値に切り替える機能と、前記X線制御用MPU(23)がX線曝射開始からの時間を再度計測する機能と、前記判定結果が設定曝射時間を経過していれば、前記X線制御用MPU(23)が前記X線管(6)にX線曝射を終了させ、再び前記X線曝射待機に戻る機能とを有している構成とすることにより目的を達成している。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
図1に本発明を適用したインバータ式X線高電圧装置の全体構成を示す。このX線高電圧装置は、整流回路1からの直流電圧をインバータ2を用いて高周波電圧に変換し、その出力高周波電圧を高電圧変圧器3により昇圧した後高電圧整流回路4により整流し、得られた直流電圧を高電圧ケーブル5を介してX線管6に供給してX線を放射するものである。X線管6に印加されるべき電圧をインバータ入力電圧検出器7で、また実際にX線管に印加された管電圧を管電圧検出器8で検出し、後述の管電流Ixと管電圧Vxとの相互関係から制御条件を算出する制御信号入力部27を介して、特に図示しないが管電圧制御回路21(図1における斜線部)に内蔵のA/D変換器に入力しディジタル量に変換した後、フィードバックループに挿入されたディジタル制御方式によるX線制御回路9により所定の条件に制御する構成となっている。
【0013】
次に、上記構成要素の主なものの機能についてそれぞれ説明する。上記整流回路1は、直流電圧を供給する装置であり、50Hzまたは60Hzの交流の商用電源(単相または三相)の電圧をダイオード等の整流素子で整流すると共にインダクタンスL、コンデンサC等の平滑素子で平滑することによって直流電圧を得るようになっている。インバータ2は、上記整流回路1から出力された直流電圧を受電して高周波電圧に変換すると共にX線管に出力される電圧(以下管電圧)を制御するものである。高電圧変圧器3は、上記インバータ2からの高周波電圧を昇圧するもので、その一次巻線はインバータ2の出力側にコンデンサ18を介して接続されている。また高電圧変圧器3の二次巻線からの高周波出力電圧は高電圧整流回路4に通電され、ここで整流された出力電圧は高電圧ケーブル5を介してX線管6に印加されX線を放射する。インバータ入力電圧検出器7で検出されたインバ−タ2の入力電圧信号Viは、上記管電圧制御回路21内蔵のA/D変換器でディジタル信号に変換された後、制御信号算出の処理が行なわれる。さらに、管電圧検出器8は管電流Ixとの相互関係から制御信号を決定するための制御信号入力部27を介してX線制御回路9内の出力回路28においてインバータ2へのインバータ制御信号Sを生成するためのものであり、上記高電圧整流回路4の出力側においてX線管6の入力側への接続部分に設置されている。以上は管電圧についての説明であるが、管電流に対しても同様に管電流制御回路26により、設定された目標管電流と管電流検出器19で検出された実際の管電流が一致するように制御が行われる。
【0014】
また、上記管電圧制御回路21は、操作卓22に搭載されているマイクロプロセサユニット(MPU)により発生された目標管電圧信号Vrと上記インバータ入力電圧検出器7で検出したインバータ入力電圧信号Vi及び上記管電圧検出器8で検出した管電圧信号Vxとを比較演算し、また、同様にして管電流検出器19により管電流Ixを検出し、この検出信号を上記と同様に操作卓22に搭載されているマイクロプロセサユニット(MPU)により発生された目標管電流Irと比較演算し、上記X線管6の曝射条件が所定の条件となるように上記インバータ2へ制御信号Sおよび整流回路1へのゲート信号Gを送出するものである。なお、図2において、管電圧入力配線aを通じて管電圧制御回路21に供給される制御信号は、上記のように管電圧Vxのみの場合もあるが、管電流Ixと管電圧Vxとの相互関係を制御信号入力部27で演算し算出された値が使用される。ただし、上記制御のうち管電流制御は場合によっては省略することは可能である。
【0015】
続いて、本発明の要部である管電圧制御回路21の構成と機能について図2により詳細に述べる。この実施の形態においては、管電圧の制御のため図示していないが入力配線aおよびbにはA/D変換器を含み、出力配線cにはD/A変換器を含むマイクロコントローラが適用されている。このマイクロコントローラを用いたソフトウエアによるディジタルフィードバック制御を行なう管電圧制御回路21においては図2に示す第一の比較手段10、積分調節手段11、比例調節手段12、微分調節手段13、第二の比較手段14、入力電圧補正手段15、定常特性補正手段16等の機能はすべてディジタル量で演算処理されている。このため、図2において管電圧入力配線a、インバータ入力電圧配線bの入力信号はいずれもアナログ量であるため、図示していないがこれら各入力配線aおよびbに接続されている入力電圧補正手段15、微分調節手段13および比例調節手段12の直前に設けられたA/D変換器においてディジタル量に変換され供給されており、制御信号出力配線cからもディジタル信号が出力され、定常特性補正手段16の出力側に設けられているD/A変換器でアナログ量に変換された後、出力配線cを通じてインバータ2の動作制御を行なう。図1に示すフィードバックループを形成している管電圧制御回路21内の中に搭載されているマイクロプロセサユニット(MPU)でX線曝射開始時の過渡状態での制御ゲインおよび定常状態での制御ゲインのゲイン切り替えを行なう。すなわち、本発明においては、上記のようにディジタルフィードバック系を用いてX線制御回路9を構成することにより、図2における積分調節手段11、比例調節手段12、微分調節手段13のそれぞれの制御ゲインをゲイン切り替え手段17により管電圧の立ち上がり時と定常状態とで切り替え、双方に最適な制御ゲインをX線曝射条件に応じて自由に選択できる機能を有することを特徴としている。
【0016】
次に、上記のような構成と機能とを有するインバータ式X線高電圧装置の管電圧制御回路21のディジタルフィードバック制御の具体的動作について図3を参照しつつ説明する。まず、X線曝射要求が出された時点でX線曝射の準備が始まる。すなわち、管電圧、管電流及び曝射時間等の曝射条件と、これによる積分、比例、微分の各制御部のゲイン設定が行われる。例えば、管電圧に関しては、操作卓22から入力され、X線制御用MPU23により演算処理されて得られた目標管電圧信号Vrと、ディジタル量に変換された管電圧信号Vxとは管電圧制御回路21で比較され、図2における第一の比較手段10の処理が行なわれ両者の差が演算される。次に、この演算結果は上記管電圧制御回路21内で図2の微分調節手段13、比例調節手段12等の演算処理が行われ、上記積分調節手段11の演算結果と共に比較演算する。その演算結果を、前記入力電圧検出器7で検出したインバータ入力電圧信号Viと共に図2における入力電圧補正手段15にて処理が行なわれる。すなわち、上記比較演算結果に上記インバータ入力電圧信号Viの逆数を掛けることにより入力電圧の変動を補正する。このようにしてX線曝射動作に伴う管電圧フィードバックが開始され、同時に曝射開始からの時間の計測も開始される。この計測された時間が予め設定された立上り時間に達した時点で定常状態に最適なゲインに切り替えられる。ここで上記補正された演算結果は、さらに定常特性補正手段16に入力され、装置の出力特性を考慮した補正処理が施される。以上の処理はすべて管電圧制御回路21においてソフトウエアにより処理される。この処理結果は位相差パルス回路、D/A変換回路を含む出力回路28においてインバータ2の動作を制御するインバータ制御信号Sが生成される。このインバータ制御信号Sは、目標管電圧信号Vrに応じてインバータ2の各スイッチのスイッチングのタイミングを決定するものである。その結果、インバータ2は、前記整流回路1が出力する直流電圧を交流電圧に変換し、これが高電圧変圧器3へ送出されて昇圧された後高電圧整流回路4によって直流電圧に整流され、X線管6に高圧直流電圧を印加するものである。
【0017】
続いて、上述のような構成、機能及び動作を有する本発明の、上記管電圧制御回路21においてゲインを切り替える動作について説明する。ここでは、一例として積分ゲインを管電圧立ち上がり後に切り替える場合を考える。積分調節手段11における積分値Siは、目標管電圧信号Vrから検出管電圧Vxを引いた値に積分ゲインKiを掛けた数値のX線曝射開始からその時点(時刻T)までの積算値すなわち、
【0018】
【数1】
【0019】
で表わせる。この積分ゲインの切り替えは、ソフトウェアによるディジタル制御を用いているため、簡単に実現できる。例えば、上記の時間計測による方法以外に管電圧が目標値に達したのを検出して積分ゲインを切り替えたり、あるいは立ち上がり時間は1ms以内であることが分かっているから、ソフトウェアのタイマーを観測しながら、曝射時間がlmsを経過した時点でKiを切り替える処理を行う方法等である。これは、図3のようなフローチャートで示されるアルゴリズムを制御プログラムに組み込むことによって容易に達成できる。
【0020】
また上記と同様な方法で、例えばDSP(Digital Signal Processor)のようにA/D変換器を内蔵しないタイプのコントローラを用いることもできる。この場合、インバータ入力電圧検出器7からのインバータ入力電圧信号Viと管電圧検出器8からの管電圧信号VxとをA/D変換するためのA/D変換器を追加する構成としても、ソフトウェアによるディジタル制御によって本目的を達成することが可能である。
【0021】
なお、以上の実施の形態においては、制御ゲインを立ち上がり時と定常時との二段階に分けそれぞれ最適なゲインを設定することとしたが、さらにこの段階を細分化し、ゲインを多数回切り替えてもよい。また、管電圧制御回路21内において図4の場合と同様積分調節手段11と比例調節手段12と微分調節手段13とを組み合わせたものとして示したが、本発明はこれに限らず、三つの調節手段の内いずれか二つの調節手段を組み合わせたもの、或いは積分調節手段11か比例調節手段12のいずれかのみとしてもよい。同様に、上記実施の形態ではA/D変換で取得する制御用のデータはインバータ入力電圧Viと管電圧Vx及び管電流Ixの三つであったが、必要に応じてX線管に流れる電流(管電流)を検出する管電流検出器を省略しても実用上差し支えない場合もある。
【0023】
一方、整流回路1は直流電圧を発生するものであればよく、上記の構成に限らず、商用電源を使用せず例えばバッテリを用いてもよい。また、大きな出力電力を得る場合においても電圧ドロップが少ない、あるいは入力電圧の変動が出力電圧(管電圧)に影響しても構わない場合等においては、入力電圧の取得及び入力電圧補正手段は省〈こともできる。また、以上の説明では総て高電圧ケーブル5を用いたが、上記の考案は高電圧変圧器3以降が一体となったいわゆるワンタンク式とした場合にも適用できる。同じく、図1においては、インバータ2の出力側に共振用のコンデンサ18を接統したものとして示したが、このコンデンサ18は、高電圧変圧器3の漏れインダクタンスの影響で高周波の電流が上記高電圧変圧器3の巻線に十分に流れないことを改善する目的で挿入してあり、上記の改善の必要のない場合等には必ずしも挿入しなくてもよい。
【0024】
【発明の効果】
以上で説明したように、本発明によれば、フィードバックループ内でディジタル演算処理を行ない、かつ、ディジタル処理過程においてゲイン切り替え手段を設けたことによりX線曝射途中で必要に応じて自由に最適な制御ゲインを設定することが出来、これによって医用X線装置に要求される理想に近い管電圧波形を得ることのできるインバータ式X線高電圧装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示すインバータ式高電圧装置の全体構成図。
【図2】本発明による電圧制御回路の信号処理構成図。
【図3】本発明における信号処理ソフトウエアのフローチャート。
【図4】従来装置におけるX線管電圧制御系を示す系統図。
【図5】医用X線装置における管電圧の理想的波形図及び実際の波形図。
【図6】管電圧が立ち上がり時にオーバーシュートを生じた場合の波形図。
【符号の説明】
1…整流回路 2…インバータ
3…高電圧変圧器 4…高電圧整流回路
5…高電圧ケーブル 6…X線管
7…インバータ入力電圧検出器 8…管電圧検出器
9…X線制御装置 10…第一の比較手段
11…積分調節手段 12…比例調節手段
13…微分調節手段 14…第二の比較手段
15…入力電圧補正手段 16…定常特性補正手段
17…ゲイン切り替え手段 18…直列共振コンデンサ
19…管電流検出器 21…管電圧制御回路
22…操作卓(MPU) 23…X線制御用MPU
24…ゲート回路 25…ドライブ回路
26…管電流制御回路 27…制御信号入力部
28…出力回路
Claims (2)
- 商用電源より受電された交流電源を整流する整流回路(1)と、
この整流回路(1)によって整流された直流出力電圧を高周波の交流に変換するインバータ(2)と、
このインバータ(2)の出力電圧を昇圧する高電圧変圧器(3)と、
この高電圧変圧器(3)の出力を整流して高電圧ケーブル(5)を介してX線管(6)に印加する高電圧整流回路(4)と、
目標管電圧を入力し、この目標管電圧と前記X線管(6)に印加されている実際の管電圧とが一致するように前記インバータ(2)を制御するX線制御回路(9)と、を備え、
前記X線制御回路(9)は、前記目標管電圧と前記実際の管電圧との管電圧偏差を積分制御する積分調節手段(11)と、
前記管電圧の立ち上がり時のオーバーシュートを抑制するために比例制御を行う比例調節手段(12)と、
前記管電圧の定常時の脈動を抑えるための微分制御を行う微分調節手段(13)と、の各調節手段を有する管電圧制御回路(21)を具備したインバータ式X線高電圧装置において、
前記管電圧制御回路(21)は、前記各調節手段の制御ゲインを切り替えるゲイン切り替え手段(17)と、
前記X線管(6)に印加される管電圧の立ち上がりから定常状態への経過時間と、前記インバータ(2)への入力電圧と,前記実際の管電圧と、管電流とに基づいてソフトウエアにより求められる前記各調節手段の制御ゲインを前記ゲイン切替手段(17)に切り替えさせ、該切替えた制御ゲインが前記各調節手段に供給されたときに前記目標管電圧と前記実際の管電圧との比較演算を行い、その比較演算結果から前記インバータ(2)に供給するための制御信号を算出するX線制御用MPU(23)と、
を備えたことを特徴とするインバータ式X線高電圧装置。 - 前記ソフトウエアは、
前記X線制御用MPU(23)がX線曝射待機をする機能と、
前記X線制御用MPU(23)がX線曝射開始要求を判定する機能と、
前記判定結果がX線曝射開始要求有であれば、前記X線制御用MPU(23)が曝射条件取得、前記制御ゲイン取得、前記整流回路(1)動作のX線曝射準備を行う機能と、
前記X線制御用MPU(23)が前記X線管(6)にX線の曝射を開始させる機能と、
前記X線制御用MPU(23)がX線曝射開始からの時間を計測する機能と、
前記X線制御用MPU(23)が計測された時間から管電圧の立ち上がりの終了を判定する機能と、
前記判定結果が管電圧の立ち上がり終了であれば、前記X線制御用MPU(23)が前記制御ゲインを定常時に最適な値に切り替える機能と、
前記X線制御用MPU(23)がX線曝射開始からの時間を再度計測する機能と、
前記判定結果が設定曝射時間を経過していれば、前記X線制御用MPU(23)が前記X線管(6)にX線曝射を終了させ、再び前記X線曝射待機に戻る機能とを有する請求項1に記載のインバータ式X線高電圧装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP00529997A JP3713349B2 (ja) | 1997-01-16 | 1997-01-16 | インバータ式x線高電圧装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP00529997A JP3713349B2 (ja) | 1997-01-16 | 1997-01-16 | インバータ式x線高電圧装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10199695A JPH10199695A (ja) | 1998-07-31 |
JP3713349B2 true JP3713349B2 (ja) | 2005-11-09 |
Family
ID=11607379
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP00529997A Expired - Fee Related JP3713349B2 (ja) | 1997-01-16 | 1997-01-16 | インバータ式x線高電圧装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3713349B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5220995B2 (ja) * | 2006-02-01 | 2013-06-26 | 株式会社東芝 | X線照射装置及びx線照射時間制御方法 |
JP5416006B2 (ja) * | 2010-03-23 | 2014-02-12 | キヤノン株式会社 | X線発生装置及びその制御方法 |
CN109450231B (zh) * | 2018-11-15 | 2024-01-16 | 全球能源互联网研究院有限公司 | 一种大功率器件的电流驱动装置 |
-
1997
- 1997-01-16 JP JP00529997A patent/JP3713349B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH10199695A (ja) | 1998-07-31 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US6683800B2 (en) | Resonant switched mode power supply system | |
WO2010141431A1 (en) | Welding power supply with digital control of duty cycle | |
US6711533B1 (en) | Method for controlling a double-resonance generator | |
JPS58216397A (ja) | X線診断装置 | |
JP3713349B2 (ja) | インバータ式x線高電圧装置 | |
US4171488A (en) | X-ray diagnosis generator comprising an inverter feeding the high voltage transformer | |
JP4318779B2 (ja) | インバータ式x線高電圧装置 | |
JPH11155287A (ja) | 最適制御による電気調整の装置および方法 | |
JP3735465B2 (ja) | 電子レンジ | |
JP3736906B2 (ja) | インバータ式x線高電圧装置 | |
JP3605657B2 (ja) | X線高電圧装置 | |
JP2003219688A (ja) | 単相インバータの低速リップル電流抑制装置及び方法 | |
JP2847115B2 (ja) | 電圧信号の電圧制御方法 | |
JP3410164B2 (ja) | インバータ式x線高電圧装置 | |
JPH08195294A (ja) | X線管フィラメント加熱回路及びそれを用いたx線装置 | |
JP3117697B2 (ja) | 高周波加熱調理装置 | |
JP3778304B2 (ja) | X線発生装置用高電圧電源装置 | |
JP5997553B2 (ja) | X線高電圧装置およびその制御方法 | |
JPH03285299A (ja) | X線高電圧装置 | |
JP2839646B2 (ja) | 高周波加熱調理装置 | |
JPH0529092A (ja) | X線高電圧装置 | |
JPH0432187A (ja) | 高周波加熱調理装置 | |
JPH0432191A (ja) | 高周波加熱調理装置 | |
JPH10162989A (ja) | インバータ式x線高電圧装置 | |
JPH0313719B2 (ja) |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050412 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20050603 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20050816 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20050822 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090826 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100826 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100826 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110826 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120826 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120826 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130826 Year of fee payment: 8 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |